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新規事業紹介「日本の戦略的水平線の拡大と日米対話」 [2009年11月06日(Fri)]
笹川平和財団では、日米交流プログラムの一環として「日本の戦略的水平線の拡大と日米対話」事業を10月にスタートさせました。日米関係に携わる知的交流においては、人材や組織の先細りが指摘されて久しくなります。新たな政権が両国で発足し、新しい時代の日米関係構築に向けた更なる相互理解と交流が求められる中で、日米両国の将来を担う次世代の若手専門家が交流しつつグローバルな問題に取り組み、独自性を発揮できる活躍の場を広げていくことは喫緊の課題であると言えます。こうした現状を背景にして、このプロジェクトは誕生しました。

この事業の中心となるテーマは、長期的視野から見た日本の安全保障政策の再構築です。冷戦終結から約20年が経過しようとしている今、冷戦期における大国の「対立」構造の枠組の中で形成されてきた「脅威」を基にした思考様式に代わる新しい安全保障政策の視点の必要性が指摘されています。この問題について、日本の「利益」の視点からこのテーマに取り組むのが、日本の新進気鋭の若手研究者グループです。このグループが中心となって1年半にわたり、日米両国の実務家や海洋政策、戦略研究、地政学等の専門家を講師に迎えた研究会の開催を通じて、アジア太平洋における国際情勢の変遷や米国の対外戦略の分析を行っていきます。また、東南アジア、南アジア、中東等にも赴いて視察や意見交換を行い、2010年9月、2011年3月には日本の安全保障政策に関する提言を作成する予定です。


(村田 綾)
新型インフル事業:途上国におけるパンデミックの被害軽減に向けて [2009年10月30日(Fri)]
笹川平和財団では、新型インフルエンザH1N1の感染拡大を受けて、途上国の地方レベルでパンデミックによる被害を軽減していくための対策の検討、試行を支援しています(「新型インフルエンザによるパンデミック対策と域内協力」事業)。先日、東北大学によるパイロット・プロジェクトが行われているフィリピンの東ビサヤ地域レイテ島を訪問させていただきました。


(東ビサヤ地域の基幹病院の小児病棟のICU)


ここは、フィリピンで最も貧しい地域の一つですが、新型インフルエンザによる重症化のリスクが高い、妊婦や子ども、基礎疾患患者を多く抱えており、早急に対策を講じることが求められています。そこで、東北大学のプロジェクト・チームが中心となり、現地政府、病院、保健センター等の連携を促しながら、@感染しないための予防・啓発活動、A感染を把握するためのサーベイランス、B現地の限られた資源を活用した医療の試行などに取り組んでいます。


(東ビサヤ地域Tanauanの保健センターの保健師さんとプロジェクト・スタッフの方たち)


現地では、幸いなことにまだそれほど大きな感染拡大は起こっていないとのことでしたが、妊婦さんなどに対する啓発活動が行われ、病院や保健センターの実施体制も着々と整えられていました。抗ウィルス薬やワクチンもほとんどなく、医療人材も医療設備も限られている状況で、重症化のリスクが高い人たちを守り、感染による被害を抑えていくのは至難の技ですが、プロジェクトの担当者は関係機関との議論を重ねながら対策を練っておられました。

グローバルな感染拡大が続いていますが、本プロジェクトの関係者やコミュニティの人たちからお話を伺って、途上国におけるパンデミックによる被害を抑えることに少しでも役立ちたい、との思いをより一層強くする出張になりました。

(岡本 富美子)


「アジア諸国との国会議員交流」事業について [2009年10月23日(Fri)]
笹川汎アジア基金では、10月より「アジア諸国との国会議員交流」事業を開始しました。

アジア諸国からの国会議員の日本訪問は、民間団体による不定期な招へいのほかは、政府招へいの場合のように閣僚レベル以上などを対象とする場合がほとんどです。その国会議員の日本招へいプログラムの数と頻度も、近年は減少傾向にあります。



本事業では、そのような中で日本訪問の機会の少ないアジアの若手国会議員に焦点をあてた招へいを実施し、初年度にあたる本年度はカンボジアおよびモンゴルが対象になります。。訪日中には、日本の国会議員、政府関係者、財界、有識者などとの意見交換を行うほか、対象国のニーズに応じて短期の各種研修活動も合わせて実施する予定です。研修には、内外から講師を招き、議院運営の実際、議員立法のプロセス、汚職防止・倫理規定の運用などを内容とする5日間程度の短期の集中研修コースなどがあります。これら一連の活動が、カンボジア及びモンゴルの国会議員による議員活動の質の向上に寄与することが期待されます。




(世古将人)
ペルシア湾の安全保障に関する専門家会議 [2009年10月13日(Tue)]
 笹川中東イスラム基金の新規事業「ペルシア湾の安全保障に関する専門家会議」について紹介します。この事業は、平和・安全保障研究所の協力を得て実施します。

 日本の石油輸入の80%余りを湾岸諸国が構成するように、ペルシア(アラビア湾)の安全保障は日本のエネルギー確保にとって重要です。しかし、日本の中東専門家は、ペルシア湾(アラビア湾)の海洋安全保障についての関心が高くはありません。他方、安全保障の専門家にもペルシア(アラビア湾)の海洋安全保障を専門とする者もいません。ペルシア湾(アラビア湾)は、日本のエネルギー安全保障上重要でありながら、海洋安全保障に関する研究はされてきませんでした。

 この事業では、日本・湾岸諸国・米国などの安全保障の専門家が連携し、ペルシア(アラビア湾)の海洋安全保障上の諸問題につき研究を深めます。同地域の海洋安全保障についての理解を深めるため、日本・米国・湾岸諸国の安全保障の専門家が参加する国際会議を開催します。この会議では、ペルシア湾(アラビア湾)において、日本ができる貢献や現地から求められる貢献策に関して専門家の間で議論を交わします。ここでの議論の成果は、ウェブなどを通じて情報発信をします。

 なお,プロジェクト名に《ペルシア湾》という言葉を使用しましたが、GCC(湾岸協力機構諸国)はペルシア湾ではなく、アラビア湾という名称を使用しています。日本では地名として、《ペルシア湾》が広く使用されていますので、この名称を使用しました。ただし、英文では、Gulf としました。このように、中東では名称によっては、民族の対立や不信を起こす可能性があります。笹川イスラム基金は、中東イスラム地域での平和の実現に協力し、中東と日本の架け橋になれるような事業を展開していきます。

(松長 昭)

新規事業紹介「格差と南北問題:協力枠組みの構築に向けて」 [2009年10月09日(Fri)]
SPFの「グローバリゼーションの功罪への挑戦」のプログラムでは、グローバリゼーションがもたらす恩恵の一方で、さまざまな文脈で顕在化する「格差」の問題を、少なからず深刻に受け止めています。とりわけ、国際的に拡大しているといわれる南北間や南南間の格差は、国際社会の協調と安定を脅かす要因のひとつになりかねないと危惧されます。周知の通り、国連のミレニアム開発目標(MDGs)も、貧困と飢餓の撲滅をはじめとする8つの目標を2015年までに達成することを掲げています。ただし、その達成目標値を基準にすると、今日までのドナー国の量的な援助配分は必ずしも効率的ではないとも指摘されています。そこで、SPFとしては、南北格差解消に対するモラルコミットメント以上の国際的枠組みが重要性を持つのではないかという問題意識にもとづき、既存のシステムの問題点と課題を明らかにし、格差是正のための国際協力のあり方、およびその実行体制の再構築に向けた方策を探っていきたいと考えます。

資金拠出額や割合の問題だけでなく、資金拠出のよりよい仕組みを検証していくことが求められますが、そのために、本年度は、既存のドナー国や開発援助機関の取り組みについて、先行研究をもとにレビューするとともに、現場経験の豊富なキーパーソンにインタビューを行い、今後の取り組みの方向性を示すコンセプト・ペーパーをまとめるための課題抽出作業を行います。特に、南北問題の「南」から脱却する新興工業国がある一方で、グローバリゼーションの恩恵からも取り残され、「貧困の罠」に陥っている国々にとって必要とされる政策は何かに焦点を当てていく予定です。

(小林香織)

自己紹介4 [2009年09月28日(Mon)]
9月7日より事業部研究員となりました村田と申します。日米交流事業を担当させていただいています。私は学生時代には西洋古代史が専門で古代ローマ史の勉強をしておりましたが、生まれ育った広島という土地柄もあってか、同時に現在進行形の国際問題にも関心を持っておりました。幸運なことに、その後外交、国際問題関連のシンクタンクや財団で働く機会を得ることができ、特に東アジアや米国に関わる事業に携わる機会に恵まれました。仕事を通じて多くの専門家の方々のお話を聞き、様々なトピックにふれる中で、アジア太平洋の地域問題について、関心を広げることができ、同時に日本では数少ない国際問題を扱う民間の助成・事業団体の役割の重要性についても、実感してまいりました。

SPFでの日米事業はまだまだ新しいプログラムですが、両国で新しい政権が発足し、これまで以上に相互理解や協力の深化が問われる中で、大切な役割を担っていると思います。これからさらに勉強を積み重ねつつ、皆様にご教示いただきながら、少しでもSPFの事業に貢献できるようがんばっていきたいと思っております。どうぞ宜しくお願いいたします。

(村田 綾)
自己紹介3 [2009年09月24日(Thu)]
9月1日より笹川汎アジア基金担当研究員となりました兵藤真理です。

これまで民間企業および国際機関でPR、イベント、翻訳等の仕事に携わっておりました。財団の仕事は初めてのことで、新鮮さと同時に戸惑いも感じる毎日です。
生まれた時から「放浪生活」で、主にヨーロッパ大陸を渡り住みました。高校3年間を過ごしたフィリピンと日本以外は、アジアも未知の世界ですが、世界の熱い眼差しが、この地域へと向きつつある中、アジアを学び、少しでも財団のお役に立てるよう努力、邁進したいと思っております。

皆様、どうか宜しくご指導、ご鞭撻のほどお願い申し上げます。

(兵藤 真理)

新型インフルエンザ:緊急討論会を開催しました [2009年09月15日(Tue)]
国内で新型インフルの感染が急激に拡大していることを受けて、9月14日(月)に日本財団ビルにおいて、新型インフルエンザの緊急シンポジウムを開催いたしました。演者の先生方、ご参加いただいたみなさま、本当にありがとうございました。

前半の講演において、東北大学の押谷仁教授は、各国の流行からの教訓やこれまで明らかになった新型インフルエンザ(H1N1)の特徴などを踏まえたうえで、今後の課題について整理してくださいました。



具体的には、これから冬にかけて日本各地での大規模な感染拡大が起こることは確実であり、被害の軽減に向けて、(1)ワクチン、(2)医療体制、(3)公衆衛生対応、(4)個人防御の4つの対策すべてを効果的に組み合わせた「基本戦略」が必要であるとおっしゃいました。

また、各対策を考えるうえでの課題としては、@ワクチンの接種時期と流行期が重複することに伴う接種体制の問題、Aまんえん期に多くの人が診療に殺到することを想定した特別な外来診療体制(発熱外来や電話相談によるトリアージ(選別)により、本当に治療の必要な人が診療や治療を受けられるシステム)の必要性、B重症例が多発した場合のICUなどの医療体制、C感染爆発を抑えるための公衆衛生面での地域社会での対応(学校閉鎖の開始のタイミング)などがあると、指摘されました。



後半は、国立感染症研究所の谷口清州先生と朝日新聞社論説委員の辻篤子先生を交えて、今後求められる対策や体制などに関して、パネル・ディスカッションと参加者との質疑応答が行なわれ、@現在、厚労省からの通知を基に各地域の対策が進められているが、新型インフルエンザ対策のガイドラインには特にまんえん期に必要な対策も盛り込まれているので、あらためて見直す必要があるのではないか、といったことや、A感染者の出社の是非に関しては、業種などにもよるが、基本的には感染者は自宅待機というコンセンサスを社会全体として形成していくべきではないか、B感染症の危機管理という観点からは、中国や米国といった諸外国に倣って感染研のような専門機関が対策を主導する形が望ましいのではないか、といった点について活発な議論が行なわれました。

詳しくは、講演録を近日中にウェブサイトに掲載できるよう準備しておりますので、そちらをご覧ください(5月20日の緊急講演については、こちらをどうぞ)。

押谷先生によると、日本は医療資源にも恵まれており、「対策がうまくいけば」このパンデミックを乗り切ることができるとのことです。しかし、ほとんどの人は軽症で済むけれども、妊婦さんや基礎疾患を持つ方、そして一部には健康な方でも重症化する可能性がある新型インフルエンザです。まずは、個人や組織で「かからない」、「うつさない」努力をし、少しでも被害を軽減できるようにしていきたいと思います。


(岡本 富美子)
スタンフォード日本センター・インターンシッププログラム成果発表会(その2) [2009年09月11日(Fri)]
 学生が、在学中に一定期間の就業体験をするインターンシップは、仕事や企業に対する理解を深め、将来的に自分が何をやっていきたいかが明確になるなどの大きなメリットがあります。また、企業にとっても、優秀な人材と出会うことだけでなく企業イメージを高めアピールすることができます。日本でも注目され始め、大学生を対象にインターンシップ制度を導入する企業・団体は年々増加していますが、インターンシップ発祥の国である米国からのインターン学生にとって、日本はまだまだ後進国です。日本でインターンをやってみたいという学生はいても受け皿となる日本企業・団体はまだまだ少ない状況です。
 1990年に設立されたスタンフォード日本センターでは、毎年スタンフォード大学の学生のインターンシップを行っています。参加した学生達が東京に集まり、日本財団ビルの会議室で受け入れ企業・団体担当者と成果発表会を行いました。以下はプレゼンテーションの概要です。


スタンフォード大学で生物学を専攻する学生は、日本の大学の研究室でインターンを行い、猿の脳みそを凍らせて薄くスライスする、という特殊技術を学びました。徹底したベジタリアンで豆腐とご飯をお弁当に持ってくるのには受け入れた研究室の教授も驚いたそうです。忍耐強く研究に取り組む姿勢は素晴らしく、組織科学の才能をこれからもぜひ伸ばし、科学の分野で日米の協力関係を強めて欲しいと話していました。

小学校4年生のときに知り合った日本人の子供からビデオゲームやアニメを教えてもらい、以来日本の文化に大変興味を持っているという学生もいました。彼は、大学の研究室でインターンをしましたが、今回一番感動したのは日本の文化、特に、書道と茶道だったそうです。受け入れ側は、欧米からの初めてのインターンで、初めは緊張しましたが、彼が非常に適応力があり日本文化を学ぶことに積極的なので、会議から温泉まであらゆるところに引っ張りだしたと話していました。




ある受け入れ企業の担当者は、自分が米国留学中にアメリカ人から受けた親切をお返ししたいと思い、今回のインターン受け入れを楽しみにしていた』と語りました。場所が茨城県なので、週末を楽しむところがなくて申し訳なかったと思っていたそうです。しかし、インターン学生は、普通の日本人の暮らしぶりが観察できて喜んでいました。
京都と東京という大都市ではただの通りすがりのストレンジャーという意識でしたが、茨城県の静かなところで日本の生活ができて、やっとお客様ではなくなったと思ったと語りました。




アジアから年間15人のインターンを受け入れている企業が、今回、スタンフォード日本センターのインターンを初めて受け入れました。担当者は、学生が優秀で、理解が早く仕事も速いのですぐにアサインメントがなくなるので困ったそうです。選抜された社員だけがアメリカに行き英語を身につけて帰ってくるのでは業界の国際化に追いついていけないという信念を持っている、と話してくれました。インターンを受け入れるのは企業の国際化にとっては欠かせないことで、インターン生から学ぶことも多く、アジアからのインターンはそのまま就職にいたることもあるそうです。ぜひ、今後も積極的に受け入れていきたいと語っていました。

 
 日本で海外からのインターンを受け入れる企業が少ない理由は、主にコミュニケーションの問題が大きいのと外国人をお客様扱いする日本のカルチャーの問題だと思われます。その壁を乗り越え、日本の国際化を牽引して行こうという気概のある担当者の発言が印象的でした。
 
 蒸し暑い日本の夏を緊張して過ごした参加学生達と、受け入れ企業・団体担当者達、今後受け入れの可能性のある方々によるプログラムは、16時からの発表会から終始和やかに行われ、懇親会は20時過ぎに終了しました。


(野崎 由美子)


スタンフォード日本センター・インターンシッププログラム成果発表会(その1) [2009年09月09日(Wed)]
 スタンフォード日本センターは1990年に設立され、日米両国が密接な関係を続けていくために必要な知識や資質を備えた米国の若い世代の育成を目的とし、地道にインターンシッププログラムを運営しています。毎年4月から9月のプログラム期間に20名から30名のスタンフォード大学の学生が来日します。前半3ヶ月はセンターのある同志社大学のキャンパスで日本語授業を中心とした講義、後半の3ヶ月は日本企業・団体においてインターンシップを行うもので、今年は21名が参加しました。笹川平和財団では、このインターンシップ参加者の中から、将来各方面において日米関係を強化し、ネットワークの緊密化に貢献する人材が輩出されることに期待をし、プログラムを支援しました。8月28日には、日本財団ビル2F会議室にインターンシップ参加学生と受け入れ企業・団体の関係者を招いて成果発表会を開き、学生たちが、どんな経験をし、何を吸収したのか、また受け入れ先との交流の様子や苦労話が披露されました。また、今後受け皿となる可能性のある企業・団体も、インターンシップの重要性に対する理解を深めてもらうためゲストとしてお招きしました。

 冒頭、コーン・フェリー・インターナショナル日本担当代表取締役社長の橘・フクシマ・咲江氏に基調講演をしていただきました。「今、韓国や中国のグローバル化のスピードが大変速い一方、日本では国民の内向き傾向が顕著である。そのような状況の中、企業の中で違った価値観を持った人とのコミュニケーションをとることは大変重要で、社員の活性化になる。より複雑となる多様性に対応でき、国際競争力をそなえた人材育成のためにも、インターンシップのような制度は積極的に取り入れるべきである。」といった趣旨のお話を頂戴しました。




 コーヒーブレイクを挟んで学生と受け入れ企業・団体担当者からのプレゼンテーションが行われました。望んでいた仕事ができて大喜びの学生もいれば、期待通りに行かなかったという学生もいました。受け入れ企業・団体では、初めてインターンを受け入れたところは試行錯誤で大変だったようですが、10数年海外からのインターンを受け入れている対応に慣れた企業もありました。以下はプレゼンテーション概要です。


スタンフォード大学でプロジェクト・デザインを専攻している女子学生は、あるメーカーのイノベーションセンターでのインターン期間に、トマトの蔦を長く這わせる道具を発明しました。仕事も人間関係も上手くいき、本当に楽しかったので、できればこのメーカーに、ぜひ就職したいと思っていると語りました。企業担当者は、大変優秀な学生さんでCADを使って自分でデザインをし、あっという間に製作したのでびっくりしたそうです。男性ばかりの職場にアメリカ人の女子学生が来るということで最初は緊張しました。オハイオとテネシーに工場もあるし、ぜひ入って欲しいと話しました。

 

エンジニアリング専攻の学生はある企業でロボットの製作を担当し、大変勉強になったと語りました。日本はこの分野で非常に進んだ技術を持っていることを再認識し、もっと日本語を学びたいという意欲がでました。受け入れの企業担当者は、英語が苦手なので始めは一緒にやっていけるかどうか不安でしたが、身振り手振りと専門用語でなんとか乗り切り刺激的な夏を過ごしたと語りました。

初めてインターンを受け入れたあるコンサルタント会社では、ただリサーチをしてもらうだけではもったいない(?)と、毎日違う人とランチをすること、というユニークなアサインメントを出しました。インターンをした学生は、毎日緊張しましたが、良い日本語の練習になったと語っています。企業担当者は、アメリカ人と話をしたことがない社員もいたので良い異文化交流になった、またユニークなアサインメントを考えて来年も受け入れたいと話しました。

楽しんだ学生ばかりではなく、受け入れ先の対応が不十分で、仕事もなく、コミュニケーションも無く、「とにかく、どうやって一日時間をつぶしたらいいのかを一生懸命考えていた」苦い思い出の残った人もいました。


 いずれにせよ、アメリカ人学生にとって、日本という異文化の中で、自分が知らなかった仕事や業界を体験し、自己理解の深まった夏だったことは確かなようです。受け入れ側の日本人の奮闘振りも予想以上で、心地よい達成感が伝わってきました。


(野崎 由美子)