札幌・障害者年金横領:補助金計2700万円、13年間支給 市は現地調査せず(毎日新聞)[2008年02月15日(金)]
札幌市白石区の食堂で過酷な労働を強いられ給与などを横領されたとして、住み込みの知的障害者4人が経営会社「商事洋光」(同区)などに損害賠償を求めた裁判に絡み、寮を運営する社団法人「札幌市知的障害者職親(しょくおや)会」(東区)に補助金を支給していた市が支給年度(93〜05年度)の13年間、一度も現地調査をしていなかったことが分かった。市は「運営者の報告書に不具合がなかったが、今思えば調査に入るべきだった」と話し、対応の不備を認めた。
4人は男性(32)と女性3人(51歳、35歳2人)。市障がい福祉課によると、市は84年に知的障害者生活寮の運営費補助制度を創設。社会福祉法人かそれに類する団体しか受給資格がないため、商事洋光は職親会に加盟し、同会を寮の運営者として13年間に約2700万円の補助金を受給していた。
同課は07年1月、4人のうち3人が療育手帳の更新手続きをした際、服装などから劣悪な住環境に置かれている可能性を把握。しかし、具体的な対応は取らず、半年後の同6月4日になって、初めて商事洋光の女性経営者を呼び出して事情を聴いた。経営者は給与の未払いと年金の横領行為を認めたため、翌日、寮を立ち入り調査し、労働基準監督署に通報した。これとは別に、障害者対象の相談電話をきっかけに4人の親から依頼を受けた弁護士が同22日までに全員を寮から連れ出した。経営者の所在は分からないという。
提訴を受け、成沢元宏就労・相談支援担当係長は「今後は件数を抽出するなどして、もっと現地調査をしなくてはならない」と述べ、対応を見直す考えを示した。職親会の小向裕一事務局長は「年に何回か経営者に会って話を聞いたり、実際に寮を見たりして特に問題はないと判断した」と釈明している。
こうした対応について、原告代理人の西村武彦弁護士は「行政や労働基準監督署、出身の養護学校などが何かおかしいと気付けば調べるべきだった。札幌市は被告に含めなかったが、裁判を通して(市の)責任を明らかにしたい」と話した。
◇訴え聞く仕組みを−−田中耕一郎・北星学園大社会福祉学部教授(障害者福祉論)の話
知的障害者は金銭的、身体的な被害に遭っても自分で被害を訴えることが難しく、行政などが積極的に訴えを聞き取るシステムが必要。ただ、行政任せにはせず、地域生活支援のネットワークの中で、障害者の権利を守っていかなければならない。
[毎日新聞 2008年2月14日]



