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ようこそ信州まちづくり研究会へ
私たちは、デンマーク、ノルウェー、スウェーデンに行きエコヴィレッジとその要素であるコウハウジング、そして循環形社会のモデルを勉強しました。アメリカ、カナダでは,”サステイナブル・コミュニティ”の理念で創られた町と住宅地とデュレ夫妻が北欧から学び帰った”コウハウジング”を視察しました。そして今里山の資源活用研究と、「田舎暮らしコミュニティ」創りの推進を始めました。
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「庄内自給圏をつくる会」準備委員会が始動[2018年06月10日(Sun)]

スマート・テロワール通信 第11回

「庄内自給圏をつくる会」準備委員会が始動

第11回 2018年05月30日



3年目の取り組みスタート 鶴岡市長が協力の意向

庄内スマート・テロワール形成に向けた取り組みは、4月で3年目に入った。
山形大学農学部と山形県農業会議、生産者らによる「庄内スマート・テロワール実践会議」の2018年度初となる定例ミーティングが4月19日、鶴岡市内で開催された。この日の定例ミーティングでは、今年度の活動目標やスケジュールなどが共有された。

また、同日スマート・テロワール協会の中田康雄と山形大学農学部、山形県農業会議が鶴岡市の皆川治市長に面会し、趣旨に賛同して「協力する」との言葉を受けた。定例ミーティングのメンバーからは、市との連携に期待する声が挙がった。ミーティングの内容は、5月26日のミニシンポジウム(平成30年度戦略講演会)で関係者や住民に報告される。


大学と学外の専門家らが連携し、体制を強化

山形大学農学部「寄附講座」から始まった活動は、手探りのなかで研究者や生産者、加工業者、小売業まで、それぞれの専門家たちが参画し、次第に体制が整ってきた。新たに研究者、若手の生産者、大学院生らを迎え、取り組みはさらに活気づきそうだ。ここで、あらためて現在の体制の全体像を紹介する。

17年11月に山形大学農学部、山形県農業会議による「庄内自給圏をつくる会」準備委員会が設立された。「庄内自給圏をつくる会」準備委員会は、次の3つが連携して活動を進めている。

(1)寄附講座委員会
山形大学農学部の研究推進部門。畑輪作体系と飼料調製給与の2つの研究に加え、今年度より生産者が実践したとき経営が成り立つかどうかという経営評価を進める。

(2)庄内スマート・テロワール実践会議
庄内スマート・テロワールの定例ミーティング。スマート・テロワール協会の中田康雄のほか、各部門の担当者が参加している。研究推進部門(山形大学農学部教員)、地域連携推進部門(山形県農業会議)、協力推進部門(学外専門家、生産者、鶴岡市)、センシング・ICT部門(鶴岡高専教員)

(3)チーム・マーチャンダイジング
農畜産物の加工品の開発と、販売促進をする。畜肉、馬鈴薯、大豆、小麦の4つのチームが設けられ、(2)のメンバーのほか、生産者、加工業者、小売業者が参画している。


若手生産者2人が畑輪作の実地試験をスタート

「スマート・テロワール」では、大学内の実証展示圃に加え、実際の生産規模に近い面積で、実地試験をするモデル農場を設けることを提唱している。最終的には、大学と生産者が連携して、地域の生産者に栽培から経営までのモデルを示すセントラル農場として機能することを目指すものだ。

今年から鶴岡市内の若手生産者2人が、山形大学・山形県農業会議と連携しながら畑輪作の実地試験に協力することになった。定例ミーティングの翌日の4月20日、関係者たちは、実地試験が行なわれる圃場を視察した。

庄内といえば、日本海沿いに水田地帯が広がる庄内平野のイメージが強いが、内陸に向かって鳥海山や羽黒山、月山などを含む出羽山地(出羽丘陵)があり、高原や傾斜地も多い。現在、高原では酪農、傾斜地では稲作と畑作が営まれている。山の上から海に向かって標高が高い順に、畜産、畑作、稲作、そして漁業が営まれるというスマート・テロワールの構想を実現しやすい条件にある。

実地試験を行なう圃場は、傾斜地を畑作用に開拓した団地の中にある。現在、団地には耕作放棄地も目立つ。実地試験では、月山高原ならではの大小の石を含む土壌の除礫作業や、耕作放棄された場所の再生作業、赤土の土壌改良にも取り組む。約100haの団地のうち、今年は約2haを使用する。今後、実践会議メンバーを中心に、厳しい条件をクリアし、地域の人々に成功モデルを見せていくことを目指す。 (平井ゆか)


中田康雄の気づき
【加工品の品質規格があって、はじめて作物の品質規格が決まる】

庄内の実証実験では、豚肉加工品が発売された。今後、加工業者と連携し、小麦や大豆、ジャガイモの加工品も開発される予定だ。 農業試験場での加工用作物の品種は、一般的な加工品を想定した加工適性と栽培適性を備えることを目標にしている。

しかし、スマート・テロワールが目指しているのは、それぞれの地域住民が求めるコスパが高くて美味しい商品を提供することだ。テロワールの作物は一般的な品質では無く、当該テロワール住民の要求に応える固有の加工適性と栽培適性を備える品質規格が求められるはず。

そのためには、テロワール固有の品質規格を実現する作物品種の開発・進化が不可欠だ。また作物の栽培にあたっても納期、数量、価格とともに品質規格をも保証することが必須になってくる。まず、その地域でどんな加工品が住民に求められ、何を提供するのか問われることになる。


【MDチームの役割】

「庄内自給圏をつくる会」準備委員会では作物ごとにマーチャンダイジング・チーム(MDチーム)を設置している。研究者、生産者、加工業者、小売業者らが参加し、生産から加工、販売までの全工程にわたるマーケティング活動を進めていく。まずは加工業者がこの活動をリードする役割を担う。

カルビーのポテトチップの場合、加工工程での歩留まり、製品の食感や風味、揚げたときの色、カットしたときの大きさなどの品質規格を定めている。製品の品質規格が決まってはじめて、作物の品種や栽培の規格が決まる。作物の品質規格が決まったら、そのための栽培方法が確立され、継続的に改善されていくのである。


【継続的改善を保証するPDCA】

MDチームの活動は、商品開発ならびに商品品質そして作物品質の継続的改善が主たる任務になる。 この品質改善を継続的に実現するためには、PDCA(計画・実行・検証・軌道修正)サイクルを回し続けることが前提になる。起点としてのPこそは「仮説」に他ならない。「仮説・検証」をたゆまず続けていくことに尽きる。
7/8 地域づくり講演会〜藤山浩先生〜[2018年06月04日(Mon)]

佐久地域保健福祉大学同窓会長をお務めの荻原武治さん(NPO法人信州まちづくり研究会会員)から添付の地域づくり講演会のご案内を頂いております。私は以前にお聞きしておりますが、地域の問題を科学的に分析しておられ、とても良い勉強になると思います。
公開講演会募集チラシ(1面).jpg
公開講演会募集チラシ(2面).jpg
農と食の安全保障から これからの地域の再生とビジネスまで[2018年05月27日(Sun)]
東信自給圏 研究会のお知らせ
東信地域の将来をお考えの皆様へ

NPO法人信州まちづくり研究会
理事長兼事務局長 安江高亮


いま 何故 種子・種苗なのか?
〜農と食の安全保障から これからの地域の再生とビジネスまで〜


講師:松延洋平氏
日時:平成30年6月16日PM7時〜9時
場所:佐久平交流センター(AEON西側)

昨年来、我が国の政治経済の根底を脅かす事態が進展する一方、国会は森友問題等で大揺れしており、その最中、我が国の食の安全保障問題や地域再生等の法律が十分に議論することなく決められています。そのひとつ「種子法の廃止」を巡って、意欲ある農業者の間に、そして心ある地域住民や事業者の間に多くの疑念・議論がわき起こっています。

そこで農水省の在任時代に知的財産権としての画期的な「種苗法」の生みの親と言われ、多面的な『種』問題の背景と展開について豊かな知見をお持ちのこの道の権威である松延洋平氏に冷静に国際的な視野で現状を説明して頂きます。現在は国際食・農問題アナリスト、コーネル大学終身評議員などして日米の産官学にわたってご活躍されております。世の論議とは違った視点と実践体験を語って頂くことに致しました。

松延洋平氏は、「これらの『種』問題や農業経営で使われる諸資材や情報などのサービスは専門家の間でも国際的な議論になっており、内容も多岐にわたるので、まず冷静に現状を認識しビジネスチャンスを活かして地域再生を実現することが大事です」と仰っています。

[参考] 主要農作物種子法は、主要農作物の優良な種子の生産及び普及を促進するため、種子の生産についてほ場審査その他の措置を行うことを目的として制定されていたが、平成30年4月をもって廃止された。
十分な論議と説明が事前に行われなかったためか次のような疑念が提起されています。

・主要農作物の種子の安定生産と穀物の安定供給・需給に支障が出るのではないか?
・食料安全主権が脅かされないか?
・一部企業による種子開発や品種の独占、稲などの種子が一部の企業や多国籍企業に独占され食料支配されることにつながらないか?
・地域の種子の品質向上や安定供給のシステムが崩れかねないのでは?
・各地の米などの地域資源が消え去らないように多様性に富む遺伝資源は保存するなど多重な多様性対策は?(民間活力の適正な管理活用など

尚、長野県は種子法廃止後も、優良な種子を生産農家へ安定的に供給していくことを明確化。これまでの種子供給のシステムを堅持し、必要な予算の確保に努めていく」として「長野県主要農作物の種子生産に係る基本要綱」を今年4月から施行した。

今回の研究会は会員と今まで関わりのあった皆様、そしてその皆様からの口コミで招かれた皆さんで行うことに致します。お仲間にお声がけください。

 参加ご希望の方は、氏名、住所、携帯番号を下記にお知らせ下さい。
 contact@smk2001.com  090-3148-0217 (安江)
 会場案内  佐久平駅「蓼科口」から、蓼科側に歩いて数分 Tel. 0267-67-7451
地域食料自給圏の構築に向けた新たな一歩、長野[2018年05月05日(Sat)]

スマート・テロワール通信第10回
  月間『農業経営者』5月号より転載

地域食料自給圏の構築に向けた新たな一歩、長野

3月26日、NPO法人信州まちづくり研究会主催の「第一回研究会」が開催され、NPO会員ら約70人が参集した。NPOの副理事長を務める安江高亮氏(74)は「この研究会の開催は、東信自給圏をつくる活動のキックオフだ」と述べた。

この日、地域食料自給圏に取り組む行政とNPO会員ら市民が一同に会したことにより、長野は新たな一歩を踏み出した。


長野は、地産地消から「地消地産」に転換

本通信3号で伝えたように、長野県では行政主導で2017年から5ヵ年計画の地域食料自給圏実証実験事業プロジェクトが進められている。

研究会に駆けつけた中島恵理副知事より、スマート・テロワールの仮説に基づいたプロジェクトが始まった背景が語られた。中島副知事によると、長野県では、従来、県内で生産したものを県内で使う「地産地消」に取り組んできた。しかし、地方創生の戦略をつくる際、松尾雅彦氏の著書『スマート・テロワール』の“需要があるものを生産する”という概念に注目し、「地『消』地『産』」を戦略に据えることにしたのだという。つまり、長野も県内の人々が使っているものを県内で生産し、外から入ってくるものを県産に置き換えていくということだ。


「東信自給圏をつくろう」を合言葉に機運を醸成

スマート・テロワールの提言では、風土や文化が同じ地方に地域食料自給圏をつくるのが望ましいとしている。長野県には、東信、中信、南信、北信という風土や文化が異なる4つの地方がある。したがって、長野県には4つの地域食料自給圏ができうるというわけだ。

NPO法人信州まちづくり研究会は、スマート・テロワールの考え方に賛同し、4つの地方のなかのひとつ、東信地方に食料自給圏をつくろうという機運を高める運動を展開してきた。現在、NPOは「東信自給圏をつくろう」を合言葉に食料自給率70%を最終目標に掲げ、「東信自給圏をつくる会」の有志を募っている。有志が200人になりしだい、一般社団法人化する予定だという。
中島副知事は、この研究会の活動に期待する言葉を述べた。
「東信自給圏をつくろうという研究会が始まったことはうれしい。研究会に県も参加し、一緒に意見交換をしていきたい」

行政と民間が実証実験プロジェクトの情報を共有

研究会では、実証実験プロジェクトの経過が報告され、来場したNPO会員ら市民と共有された。スマート・テロワール協会理事の中田康雄の提言に続き、長野県野菜花き試験場に所属する佐久支場長の山下亨氏が、実証実験の経過と今後の展望を報告した。

実証実験の内容は、畑輪作・耕畜連携の実証と、農産物加工・地域内消費の実証である。畑輪作の試験圃場では、小麦、子実トウモロコシ、大豆、ジャガイモを栽培している。そこでは連作障害の回避はもちろん、安定的に高い収量や品質を維持できるか、堆肥や緑肥作物、深根作物のトウモロコシの投入によって土壌性質が改善されるかなどを検証し、畑輪作の優位性を証明することが狙いだ。豚の肥育試験では、畑輪作の規格外品や余剰品を飼料にしたとき、豚の肉質にどう影響するか検証している。また、収穫した作物と豚肉は、県内の加工事業者の協力で、小麦はパンに、大豆は豆腐に、ジャガイモはポテトサラダに、豚肉はハム・ソーセージに加工され、地域内消費の実証をしていく。

山下氏は、詳細な分析データを示しながら、作物の収量はおおむね高く
順調であることや、生大豆を飼料にすると肉質に影響があること、土壌性質の検証には時間がかかることなど、現時点での実験結果を説明した。
18年度からは、加工品について、作物の加工適性や販売評価の取り組みが始まる。また、実際に長野県の生産者が取り組んだ場合、経営が成り立つかどうか試算していく予定だ。

つづいて、長野県から消費実態調査を任されている長野大学教授の古田睦美氏、放牧養豚をしながらハム・ソーセージ加工をしている、きたやつハム(株)社長の渡邊敏氏、新規就農者として野菜生産を始め、今年4月に法人化したFarmめぐる(株)代表の吉田典生氏から報告があった。来場者たちからは、彼らの活躍に期待する声が聞かれた。
最後に、登壇者と来場者との意見交換会が行なわれた。長野は行政と民間の連携によって、地域食料自給圏の実現に向けて、さらに動きが活発になっていきそうだ。 (平井ゆか)


中田康雄の気づき

スマート・テロワールの提唱者松尾雅彦さんが、2月12日、帰らぬ人となりました。心からご冥福をお祈りいたします。
私が松尾さんの大望を受け継ぐことになったのは、カルビーでの社長後継に続いて二度目である。おそらく、そういう巡り合わせの下に生まれたのだろう。
現在、山形と長野で、スマート・テロワールの取り組みが進められている。松尾さんの遺志を継いでそれぞれの歩みを加速させて、そのビジョンが実現されることに向けて微力ながら知恵を出して参りたい。

【地域住民活動の意義】

長野県では、3月26日、スマート・テロワールに賛同する有志の会「法人信州まちづくり研究会」が開催された。スマート・テロワール論では、地域には、研究機関や教育機関である大学や農業試験場が地域自給圏を支援する機能を果たすことが求められている。長野でいえば、現在、長野県農政部や試験場がその役割を果たすべく始動している。
一方、地元愛を持って、地元産の食品を愛する地域住民は、自給圏構築の牽引力という機能が求められる。地域住民が食品加工業者に対してニーズや改善要求を出すことによって、新商品の開発が始まったり、商品の品質が進化していくことが期待できるからだ。
長野では、「信州まちづくり研究会」が地域住民を糾合する役割を担っていくことが期待される。今後は現状のメンバーに加えて、生産者や加工業者、小売業者など、自給圏を支える人材がさらに集まり、地域自給圏構築をリードする人材を輩出していく組織となることが期待される。

【これからの時代を背負う人材とは】

自給圏は、先祖帰りの思想ではなく、最新の知識や技術を縦横に活用することで初めて成り立つことが前提とされる構想である。
したがって、自給圏はたとえば最新の土壌分析技術、生物科学技術、マイクロ気象予報技術、マーケティング技術、食品加工技術、HACCP技術、IoTなどのスキルを持つ人材が必要となる。まさに自給圏が「『スマート』・テロワール」と命名されたゆえんである。

プロフィール
中田 康雄 (なかた・やすお )
1943年、東京日本橋馬喰町生まれ。
1967年、慶應義塾大学大学院経済学研究科修士課程修了後、宇部興産、三菱レイヨンに勤務を経て1979年、カルビー(株)入社。
カルビー入社後24年間、工場の生産管理・人事・労務・情報システム・財務・経理・経営企画・アジア地区関係会社統括等の職務を経験。
2005年、松尾雅彦氏の後任として、代表取締役社長兼CEO、CIOに就任。社長就任後はカルビーを上場させるべく経営改革を実行し、また「JAGABEE」の開発上市をリードした。(株)オートバックスセブンや(株)コジマの社外取締役にも就任。
2009年、(株)中田康雄事務所を設立し、複数社の顧問社外取締役を務めるとともに経営コンサルタントとして第一線で活躍。講演活動の傍ら、中田塾、中田会、中田ゼミを開設し、若手経営者の薫陶に携わっている。スマート・テロワールには2014年、協会理事として参画。
平成30年度通常総会と記念講演のお知らせ[2018年04月28日(Sat)]

NPO法人信州まちづくり研究会
平成30年度通常総会と記念講演を行います。

 総会は会員しか入れませんが、お知らせしたいのは、一般参加できる総会の後に行われる記念講演です。すばらしい農業経営者・イノベーターである鹿児島県の農業生産法人株式会社さかうえの代表取締役坂上隆様をお招きすることができました。

演題:『農村・農業の変革に挑む・新しい「農業価値」の創造』


坂上様は、事業展開もすごいですが、技術者、経営者、イノベーターの人材育成に力を入れていらっしゃいます。農業のあるべき姿、農業の可能性をお聞かせいただけると思います。下にプロフィールとホームページを掲載しました。企業情報と事業内容をお読み下さい。

講演会には、一般の方も参加できますので、お誘い合わせてお出かけ下さい。
準備の都合がございますので、5月10日までにお申し込み下さい。

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日 時:平成30年5月17日(木)PM5時受付開始 
場 所:佐久平プラザ21 2階会議室 0267−65−8811
    北陸新幹線「佐久平駅」蓼科口から歩いて3分です。
プログラム
総 会: PM5:30〜6:30 (会員のみ)
夕 食: PM6:30〜7:00 (希望者)
記念講演:PM7:00〜8:00 (参加費無料)
知事県政報告:PM8:00〜8:30(参加費無料)
     質疑応答 :PM8:30〜9:00
懇親会: PM9:00〜10:00 (有料)     
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坂上隆様 プロフィール(広報ブログより)株式会社 さかうえ
 
鹿児島県の農業生産法人汲ウかうえ 代表取締役。
大学卒業後、自然を相手とする仕事をしたくなり、鹿児島に帰郷。父の元で農業修行をはじめるも、新築の家一件分の損失。農業は甘くない!俺の農業人生はそこから始まった。
・IT活用の農業工程管理システムで拡大。
・数量・品質・納期は100%遵守。
・『A−1グランプリ』(農業技術通信社)大賞。
・1968年、鹿児島県生まれ、剣道7段。
・現在、作付面積200ヘクタール、従業員48名。
・カルビー株式会社の馬鈴薯契約栽培農家。


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参加申し込みは下記フォームに書き込んで送信してください。
お誘いいただく非会員の方もこのフォームでお申し込みください。
選択項目はどちらかを消してください。

氏名:(会員  非会員)           携帯番号:
住所:
非会員の方はメールアドレス:
総会:   参加する   参加しない
夕食:   食べる    食べない
講演会:  参加する   参加しない
懇親会:  参加する   参加しない
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
問い合わせ・申し込み先
NPO法人信州まちづくり研究会
〒384-2305 長野県北佐久郡立科町芦田2076-1(安江方)
yasue@smk2001.com
理事長 齋藤兵治
事務局 安江高亮 090-3148-0217
報告書『研究会:東信自給圏構想の現状とビジョン』[2018年04月22日(Sun)]

平成30年3月26日(月)佐久平プラザ21にて、盛会に行うことができました。
ここに概要を報告しますが、部分的でしかありません。詳細は、会員専用のグーグルドライブをご覧ください。プログラムの@からGと、意見交換まで、9のパートにして丸ごとアップロードしてあります。これらをしっかり観ていただくと、スマート・テロワール(地域食料自給圏)構想を理解して頂くことができると思います。

特に、スマート・テロワール協会理事中田康雄様のA提言:「スマート・テロワールが目指すもの」と、長野県副知事中島恵理様によるF「長野県とスマート・テロワール」にご注目ください。


報告書「研究会:東信自給圏構想の現状とビジョン」

(長野県佐久市 佐久平プラザ21・2018/03/26)


会場はJR佐久平駅から歩いて5分の「リゾートイン佐久平プラザ21」。出席者は当初の目標を上回り70名でした。中島恵理副知事さんをはじめ、東京からスマート・テロワール協会理事中田康雄様、種子法の創設者であり世界的権威でもある松延洋平先生、そして政策研究大学院大学特任教授内田幸雄先生も参加して下さいました。また県議会議員さんや、長野県農政部の皆さん、上田市、佐久市、軽井沢町、御代田町の農政課・経済課の職員の皆さん、さらに首都圏在住の地元出身者の方々や静岡からもご参加いただきました。会員の参加が33名、その他が37名でした。

ここに概要を報告しますが、部分的でしかありません。詳細は、会員専用のグーグルドライブをご覧ください。プログラムの@からGと、意見交換まで、9のパートにして丸ごとアップロードしてあります。これらをしっかり観ていただくと、スマート・テロワール(地域食料自給圏)構想を理解することができると思います。
 特に、スマート・テロワール協会理事中田康雄様のA提言:「スマート・テロワール」が目指すもの」と、長野県副知事中島恵理様によるF「長野県とスマート・テロワール」にご注目ください。

(プログラム)

@ オープニング  (司会挨拶・説明、理事長挨拶)
A 提言:「スマート・テロワール」が目指すもの」
スマート・テロワール協会理事 中田康雄

B 報告:「地域食料自給圏実証実験事業の経過と今後の展望」
長野県野菜花き試験場 佐久支場長 山下亨

C 提言:「食と農のネットワークでつくる持続可能な社会」
長野大学 教授 古田睦美

D 提言:「放牧豚と加工から考える食の循環」
きたやつハム株式会社 社長 渡邊敏

E 体験談:「新規就農:創業と今後の抱負」 
Farmめぐる 代表 吉田典生

☆ 休憩 10分
F 「長野県とスマート・テロワール」
長野県副知事 中島恵理

G 「NPO法人信州まちづくり研究会の今後の活動計画」 
副理事長 安江高亮


☆ 意見交換
☆ 研究会終了 
☆ 交流会
☆ 閉会

開会 司会 正会員 今井明子

@ オープニング
主催者挨拶 NPO法人信州まちづくり研究会 副理事長 安江高亮


皆さん、こんにちは。今日は、私どもの呼びかけにお答えいただきまして、本当にありがとうございます。私はNPO法人信州まちづくり研究会の副理事長兼事務局の安江高亮と申します。理事長は、鹿教湯温泉齋藤ホテルの齋藤兵治ですが、今日はどうしても都合がつかず、「皆様には、失礼をして大変申し訳ありませんが、よろしくお願い申し上げます。」と伝言を預かっております。代わりまして、私からご挨拶させていただきます。

ご挨拶の前に、2月12日に急逝されました松尾雅彦様のご冥福をお祈り申し上げまして、全員で黙祷を捧げさせて頂きたいと思います。実は昨日、東京の帝国ホテルで「お別れの会」が開催されましたが、哀惜の想いが会場に溢れておりました。九州から北海道まで、大変な数の弔問客でした。私がNPOから代表して献花させて頂きました。

松尾雅彦様は、菓子業界最大手カルビー株式会社の元代表取締役社長でございました。日本の菓子業界および農業界に数多くの業績を残されました。

2014年12月に、私たちが現在取り組んでおりますスマート・テロワール、訳して地域食料自給圏ですが、この運動の元になりました本「スマート・テロワール・農村消滅論からの大転換」を出版なされ、この考え方を山形県・福島県・長野県をはじめとして、全国に広められた方です。私どもNPOも物心両面に亘り大変お世話になりました。

 深い感謝と鎮魂の祈りを捧げたいと思います。
・・・黙祷・・・・・
ありがとうございました。松尾様はまだ76歳でした。まさかの急逝で、関係者一同、大変なショックを受けました。しかし、ここで塞ぎ込んでいては松尾さんに叱られると思います。今日は活発にこの研究会をやらせていただくことが、松尾さんへのご供養にもなると思いますので、皆様もどうかそんなおつもりでお願い申し上げます。

さて、私たちの会員数もまもなく100名を超えますが、組織の広がりに相応しい体制も活動もまだできておりません。今回の企画は、体制づくりのキックオフにしたいと思っております。当面の目的は会員200名獲得と一般社団法人「東信自給圏をつくる会」(仮称)の立上げです。そのためには、スマート・テロワール、つまり地域食料自給圏構想について、共通の理解と目標を持つことが重要です。今回はそのための企画でもあります。

講師の皆さんには日頃大変お世話になっております。今日も、お話しいただくことを快くお引き受けくださり、本当にありがとうございました。講師の皆さんのお話を一通りお聞きいただくと、大凡のことはお判りいただけると思います。

皆さんにお渡ししました資料の中に、松尾さんの顔写真が入ったものがあります。この文章は、松尾さんが書かれた最後のまとまった文章ではないかと推測していますが、読んで感動いたしました。論文とすれば短いものですが、見事にスマート・テロワール全体を説明し尽くしていると思いました。

また、今日、東京から駆けつけて下さいました松延洋平先生のことも書かれております。 松延先生は、農学部とエコマネーで有名なニューヨーク州にあります名門コーネル大学の終身評議員をお務めです。今話題になっております種子法は農水省におられた時に松延先生がお作りになったそうです。種子法に関しては世界的な権威とお聞きしております。

研究会最後の意見交換の折に、何かご意見をお聞かせ願えればと思っております。それでは、先生方、よろしくお願い申し上げます。

A 提言:「スマート・テロワール」が目指すもの」
スマート・テロワール協会理事 中田康雄


 トップバッターは、東京に事務所があるスマート・テロワール協会を代表しての中田康雄さん。「スマート・テロワールが目指すもの」と題して、根本思想と目指す目標について、お話し頂きました。要旨を箇条書きにしました。

[講師紹介]
慶應義塾大学商学部及び慶應義塾大学大学院経済学部研究科修士課程を修了し、宇部興産、三菱レーヨンなどの上場企業を経て、菓子業界最大手カルビー株式会社に入社し24年間に渡り、工場等の生産管理・人事・情報システム・財務・経営企画などを​担当​し、2005年、松尾雅彦社長の後継として、社長兼CEO・CIOに就任して、カルビーを上場させるべく経営改革を実行してきた方です。2009年に、相談役に退かれ、同年中田康雄事務所を設立され、経営コンサルタントとして複数社の​主にベンチャー企業の​社外取締役や顧問を務め、中田塾などを開設されております。スマート・テロワール活動では、当初より、松尾様を強くサポートされて来られました。松尾様亡き後、まだ正式には決定されていないということですが、会長としてご活躍いただけるものと期待申し上げております。当NPOの顧問であり、賛助会員でもあります。

○日本の農業に関連する問題点として、次の5点がある。
・自給率の低下→自給率を上げる必要がある
・畑作生産の衰退…1961年施行の「農業基本法」により、 

稲作中心に転換した。→畑作と地場産業 
の復活
・消費の変化…食料品支出額は、畜産酪農品、小麦製品、大豆製品が米に比べ圧倒的に多い→稲作中心ではなく、畜産や畑作に着目すべき
・少子高齢化ではなく、向都離村が問題→農村での職場の確保
・大豆の収量の伸び悩み→日本の農業はもっと生産性をあげるべき
○農協の一括購入には、生産者の努力が評価されず、消費者の声が生産者に届きにくいという問題があった。
○畑作と畜産はスマート・テロワールの車の両輪。食品加工工場とは、市場を介さない契約栽培とする。畜産の堆肥により土壌を改善し収量の増加を図る。
○畜産が循環型社会の要。耕畜連携+農工一体が非市場社会のシステムで一体化。
○いまこそ福沢諭吉に学ぶとき。「文明論之概略」に「2つの眼を見開いて、表と裏と凝視せよ」、「世論とは、大成に順応して一生を送る連中に生じたもの。異端を尊べ」とある。


B 報告:「地域食料自給圏実証実験事業の経過と今後の展望」
長野県野菜花き試験場 佐久支場長 山下亨 


阿部知事が唱える「地消地産」の実現策としての「地域食料自給圏実証実験」を行なっている現場の報告と今後の展望について、県の農業試験場を代表して、野菜花き試験場佐久支場長山下亨さんからお話を頂きました。

[講師紹介]
昭和57年長野県職員に採用され、農業改良普及センター、病害虫防除所を経た後、平成3年以降、農業試験場において普通作物の病害担当として発生生態や防除対策に関することに従事されました。平成28年からは現職の佐久支場にお務めです。

○実証試験には大きく分けて2つの事業がある。1つは「畑作輪作・耕畜連携実証」で、畑作輪作試験を農試・野花試・支場・畜試において実施し、規格外品による豚の肥育試験を畜産試験場で行う。もう1つの「農産物加工・地域内消費実証」は、輪作作物や肉の加工試験を地域の加工業者で実施し、東信地域の食品流通や消費動向調査は長野大学で行う。

○農産物加工・地域内消費の実証に当たっての「作物・品目」、「食品加工業者」、 「テスト加工品目」は、次のとおりである。ジャガイモは長野市の惣菜製造業者がポテチサラダを、小麦は東御市のパン屋が食パン・カンパーニュなどを、大豆は東御市の大豆加工組合が、豚は佐久穂町の肉加工業者がハム・ソーセージを製造する。調査項目は、加工適正、商品適正、採算性、消費者アンケートとしている。

○実証試験圃場は、長年、牧草地として管理されていた農地を畑へ転換した。7,500uの農地を4区画に分け、それぞれジャガイモ、小麦、大豆、飼料用作物として栽培をスタートさせた。各区に堆肥区、化学肥料区、連作区(堆肥・緑肥・化学肥料)の3つに分け、計12区画に区分し比較検討することとした。
○自給飼料による畜産と加工・販売による循環が自給圏(スマート・テロワール)構想の要である。そのための実験は、今年の1月スタートさせ、6月には加工品ができる予定である。
○30年度は、試作加工品についての加工適正、食味評価、販売評価を行うことにしている。
○農家に勧められるかどうかを確認するために、農家の手取りを算出することにしている。


C 提言:「食と農のネットワークでつくる持続可能な社会」
長野大学 環境ツーリズム学部長 教授 古田睦美


「食と農のネットワークがつくる持続可能な社会」と題して、たくさんの研究・調査データを元にお話し頂きました。長野大学では「地産地消論」という授業を開講しておられ、長野県農政部から、東信地域の食品流通の実態調査事業も受託しています。長野大学と「NPO法人信州まちづくり研究会」とは、年に数回コラボされてもらっています。

[講師紹介]
一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学、研究テーマは、信州の暮らし方と働き方、信州の豊かさについて、地産地消と地元の食文化について。地域活動として山口大根の会副会長、長野県農村女性きらめきコンクール審査委員長、第一次長野県地産地消推進計画策定座長、長野県農政部の委託事業として上田市の消費動向調査を受託調査中。長野大学は日本経済新聞の大学の地域貢献度調査で、私立大学部門では5年連続日本一になっています。当NPOの会員にもなって頂いております。
○長野大学は、地域(旧塩田町)が全額出資して設立した公設民営の珍しい大学で(1966年4月設立)、2017年4月には上田市立の公立大学となっている。
○「NPO法人食と農のまちづくりネットワーク」が実施している「コラボ食堂」の取組についての紹介。この食堂では、食文化を未来に伝えること、農家の想いを消費者に伝えること、安全・安心・おいしさを追求することで、地産地消を推進している。
○調査の目的は、地域内の食料自給率の実態把握、地域内の循環の実態把握、消費の実態と意識(地元産選択)の把握である。

○地域での異業種の連携が必要である。またいくらだったらやれるのか、どの位の需要があるのかといったマーケティングが必要である。


D 提言:「放牧豚と加工から考える食の循環」
きたやつハム株式会社 社長 渡邊敏


食産業の循環システムを作っていく上で要になる畜産とその加工・流通事業を佐久穂町で起業している「きたやつハム社」社長の渡邊敏さん。渡邊さんは、ドイツの伝統的な製法を学ばれた方で、2012年よりドイツ農業協会の品評会で金賞、銀賞を連続受賞されています。松尾さんがいつも「小さい工場で良いのだ。地元で育て加工し販売すれば、大企業に対抗できるよ」と仰っておられた。それを地で行っている。いろんなブランドを食べ比べしたが、間違いなく美味しい。ホームページも素敵です。ネットで検索してください。

[講師紹介]
南佐久郡佐久穂町で、2012年に「きたやつハム株式会社」を設立され、ロースハム、ベーコン、ウィンナー等の豚肉製品を、本場ドイツの技術で、放牧で飼育した豚肉から加工し販売しておられます。
「きたやつハム」は知る人ぞ知るブランドです。この会場の中にもファンがいらっしゃると思います。世界的に権威のあるドイツ農業協会主催の国際ハム・ソーセージ品質コンテストで、金・銀賞を連続受賞しておられます。「食の安全」「食文化」「食育」などについても積極的な情報発信をしておられます。畜産と加工業の連携を自ら実践しておられ、循環型農産業の要となるモデルになると期待しているところです。やはり、当NPOの会員です。
○八千穂村地域開発長期構想に基づき「八千穂JA」が1987年に設立した「きたやつハム工場」を、2012年に「きたやつハム梶vとして独立し、ブランドづくりを目指し、仔豚5頭

で養豚を開始した。
○高品質の原料豚を求めて、自からが養豚を行う。

○生ハム用としては、6カ月ものが使われることが多いが、イタリアの例に倣い9カ月ものとしている(スペインでは2年もの)。
○耕作放棄地での養豚に拘っており、2〜3年で場所も替える。
○2015年に直営店を設け、県外からも多くのお客さんに来てもらっている。
○自分たちの事業が起点となって、佐久穂町の畜産物の生産振興と特産品による観光振興で、地域全体が潤うことが目標。
○後継者育成にも努めているが、生産者も増えており、スマート・テロワールの具体化に向けて好材料だと考えている。
○「きたやつハム社」の特徴は、放牧豚肥育と本場ドイツ流の豚肉加工。


E 体験談:「新規就農:創業と今後の抱負」 
Farmめぐる 代表 吉田典生


最後に、「NPO法人信州まちづくり研究会」の農業経営者として希望の星である吉田典生さんが話してくれました。

[講師紹介]
愛知県出身の41歳。6年前に小さなお子さんを連れて佐久市春日に移住。農業は全くの未経験でありながら、10年間の国税職員として勤務の後、2年間の研修を経て、2012年に有機農業で新規就農。家族営農から農業経営者への転換を図り、パイオニア的存在として、地道に規模拡大を続けている。現在5ヘクタールの農地を使って、見事に経営しています。
農業は後継者不足などで悲観的になる側面もありますが、吉田さんの成功を見て、農村の若者が農業に振り向いてくれることを期待しています。吉田さんは、まだ着手していませんが、循環型農業構築の要である麦・大豆・トウモロコシなどの穀物生産と畜産への関心を高めています。○ほうれん草を中心に1haの家族営農で始めた。5年後の2017年には、社員4名、アルバイト4名で5haの農地を耕作し、有機JASインゲン、レタス、ミニ白菜、ニンジン等の契約出荷をしている。2018年4月には「Farmめぐる梶vを設立する予定にしている。

○今後の展開として次の3つを考えている

・目の多さを武器に発展を加速させる
・それぞれの長所を伸ばすことでパフォーマンスを引き出す+人財をさらに集める
・篤農家集団として、地域を牽引したい

○スマート・テロワールについては、次 のように考える。
・中山間地での穀物生産のための水田の畑作転換は地域維持のために必要だが、「地主が転換に応じるか?」ここが鍵ではないか?
・そのために、政治や行政の力よりも必要なのは、その地域の人々が作り上げる「機運」だろう。

・生産ベースができれば、名乗りを上げる農家はいるだろう。少なくとも私は・・・

F 「長野県とスマート・テロワール」
長野県副知事 中島恵理


中島恵理副知事から、地方創生としての県政における循環型経済との関連について、お話し下さいました。

[講師紹介]
京都府出身。1995年京都大学法学部卒業後環境庁入庁、水質保全局、企画調整局環境計画課を経て、1999年から2001年まで英国留学、2000年ケンブリッジ大学土地経済学科修士課程取得、2001年オックスフォード大学環境変化管理学科修士課程取得。その後、環境省地球環境局総務課、地球温暖化対策課、経済産業省資源エネルギー庁新エネルギー対策課、環境省水・大気環境局水環境課、総合環境政策局環境教育推進室、民間活動支援室を経て、2011年4月から2年間、長野県環境部温暖化対策課長を務める。2013年4月より現職、環境省自然環境局総務課課長補佐。2015年副知事。サステイナブル・コミュニティ研究所の会員。
○「スマート・テロワール」を読んだ時が、丁度県で地方創生の戦略を作ろうとしていた時だったので、タイミングよく自給圏の考えを取り込むことができ、非常によかった。
○地域経済の活性化の観点からも、環境、経済、社会の連環を考えなければならない。
○食の安全・安心が重要であり、生産者と消費者との交流は、不可欠である。
○「地産地消」から地域の消費は地域で生産するという「地消地産」への視点が重要である。
○エネルギーについても100%自給を実現したいと考えている。
○木材についても自給圏構想を持っている。
○直売所の増設が必要であると考えている。
○今後は、健康についても重要なテーマとして取り組む。
○東信自給圏の活動を非常に嬉しく思っている。県もこの研究会に参加して一緒に東信自給圏を作れるような意見交換ができればありがたい。

G 「NPO法人信州まちづくり研究会の今後の活動計画」 
副理事長 安江高亮

一般社団法人「東信自給圏をつくる会(仮称)」の結成に向けての協力、つまり会員登録と年会費の納入をお願いを致しました。住民の皆さんの参加なくして自給圏は作れません。名前を出して頂くだけで力になり、会費は活動につながりますのでお願い申し上げます。


☆ 意見交換 
時間は押していましたが、最後に、本日の6名の講師と種子法の創設者である松延先生が壇上に上がられ、安江の進行により参加者との意見交換を行いました。

○スマート・テロワールの実現に向けては、地元の人たちが関わることが大切である。もっと地元の人たちの参加を訴える必要があるのでは。
○もっと地元出身者の活用を図る必要があるのでは。

研究会の記録は以上です。
この後、パーティー会場で、30名が参加して賑やかに懇親会が開かれました。中島恵理副知事の乾杯で始まり、初対面の方々が多かったので、名刺と自給圏への想いの交換に話が弾んで、約2時間ばかりでしたが、熱気のある交流会となりました。事務局として、ご参加いただいた全員の皆様に心より感謝申し上げます。

報告者 NPO法人信州まちづくり研究会 副理事長・事務局 安江高亮
地域を活性化し、人口減少に歯止めをかけた集落営農法人[2018年04月19日(Thu)]

【新・農業経営者ルポ】
地域を活性化し、人口減少に歯止めをかけた集落営農法人

第165回 2018年03月29日

文・写真/窪田新之助・山口亮子、写真提供/ファーム・おだ


地域のことを行政に委ねるだけでいいのだろうか。住民自身が地域を活性化させるために何かできるのではないか。広島県東広島市の小田地区では、平成の大合併を機に住民が現状に対して疑問を抱き、自らの手で地域を元気にしたいと「小さな役場」と「小さな農協」を作った。「ピンチはチャンス」の逆転の発想で住民の意見をまとめ上げるのに一役買ったのが、小さな農協に当たる農事組合法人ファーム・おだ顧問の吉弘昌昭(79)だった。

今回、ファーム・おだを訪問しようと思ったきっかけは、筆者(山口亮子)の出自と切っても切り離せないので、少し自己紹介をさせていただきたい。筆者は愛媛県南西部の山間の集落の出身で、今年31歳になる。中山間地で、実家の農地は山間と谷間に点在しており、全部で1haに満たない。最近やっと基盤整備をして、それでも1枚の田んぼが30?aいけばいいほうという条件不利地だ。

通っていた小学校の児童数は入学時に60人余りいたが、卒業時には30人を切っていた。集落は物心ついたころには限界集落になっており、中学校に通うのに使っていたバス路線は、高校に上がると同時に廃線になってしまった。小学校はちょうど5年前の2013年3月末に閉校した。

閉校になった小学校をどうするかという議論が住民の間でされる前に、福祉法人から介護付き有料老人ホームとして活用したいという申し出があり、その要望どおりに事態は進んだ。廃校になってから2年ほど後に小学校を再訪した。校庭まで建物を増築しており、かつて遊んだ校庭に張り出したガラス張りの共有スペースに、介護職員に付き添われた車椅子の老人がいるのが見えた。寂しいとか悲しいとかいう単純な言葉では表現できない、感情の波に襲われたのを覚えている。

小学校がなくなるということは、過疎高齢化の進行する地域にとって避けては通れない通過儀礼だ。地域の連帯感や結束力はこれを分岐点に一気に失われる場合が多い。その危機に面して、今回取り上げる小田地区は住民自身が地域の課題に向き合い、解決方法を探っていく自治組織「共和の郷・おだ」を作った。小学校の旧校舎を「小さな役場」にし、地域に活気をもたらしているというその存在を2年ほど前に知って以来、ずっと訪れたいと思ってきた。

小田地区は標高265〜300mの中山間地域で、小田川流域に棚田の広がる盆地に13の集落を持つ。農家1戸当たりの平均面積は約70?a。農業をするうえでの条件が恵まれていないこと、そして人口流出が進んでいたことにおいては、実家のある地域と共通する部分が多い。

なぜ同じような条件不利地で、しかも小学校の廃校という同じイベントに直面しながら、これほどまでに違う結果がもたらされるのか。棚田の合間に赤い屋根瓦の日本家屋が散在する絵に描いたような風景の中を車で走りながら、脳裏からはその疑問が離れなかった。

地区の中心にかつての小田城址の高台があり、そこから少し下ったところに旧小田小学校がある。2004年に廃校になっているが、地域の拠点として使われているので、2月下旬の取材時には駐車場の半分ほどが車で埋まっていた。
ガラス扉に「往診歯科おだ」と毛筆で大書した紙が貼られており、驚いた。「歯医者さんが開業したいと広島市からいらっしゃって、2階で診療をされています」と吉弘が説明した。


住民のやりたいことを地域で支援する


校舎内に入ると、女性たちの和気あいあいとしたおしゃべりの声と、香ばしいにおいが廊下に漂ってきた。
「1年生の教室を調理室に改造していて、今日は地元の『くるみ会』というグループがここを使って米粉パンやお菓子を作っています」
調理室に入ると、ちょうど6人の女性たちが米粉パンの生地をこねているところだった。

「取材に来たの」
「吉弘さんのインタビュー?」

皆さん調理室の中を忙しそうに立ち回りながらも歓待してくださる。話しているうちに「あと1時間くらいでお昼にするから、召し上がっていきませんか? 1人分余るから」とありがたい提案をしていただく。

取材を終えて調理室に戻ると、ちょうどアツアツの米粉パンが焼き上がったところだった。お昼に用意してもらった米粉ピザは、普通のピザ生地よりもふんわり、しっとりしていておいしい。調理室の端では米粉を使ったシフォンケーキを冷ましているところで、ほかにも米粉を使ったお菓子を焼いているという。

車で2分ほどの至近距離には、米粉パン工房「パン&米夢(パントマイム)」がある。これはもともと米粉を使った菓子づくりに熱心だったくるみ会のメンバーが、本格的な米粉パンの製造をしようと決め、ファーム・おだの支援で加工施設と店舗を2012年に作ったものだ。

地元産の米粉を8割使ったパンは子どもから大人までおいしいと人気だ。製造・販売に8人が従事しており、地元の雇用創出になっているうえ、コメの新たな需要づくりにも成功している。ファーム・おだは2006年に事業を本格化させてから売り上げが6000万円前後で横ばいだったが、パン&米夢の健闘もあって2013年には売り上げが1億円を突破した。

取材で訪れた日はパン&米夢の定休日だった。調理室にいる女性メンバーの中には翌日から店頭に立つ人もいる。皆さん忙しそうに、でも楽しそうに調理をしている様子を見て、地域住民の中から何かをやりたいという声が自発的に出てきて、それを地域全体で後押しするという小田地区の地域の回し方の一部が垣間見えた気がした。


地域拠点の統廃合を機に小さな役場設立

小田地区は昭和25(1950)年に約1500人いた人口が、今では213戸約600人で高齢化率は49.2%。明治22(1889)年までは小田村という独立した行政区だったが、その後合併を繰り返し、平成の大合併を機に地域のよりどころとなっている小学校、保育所、診療所の統廃合の話が出ていた。

小学校がなくなると、地域は灯が消えたようになってしまうのではないか。地域の灯が消えないようにするにはどうしたらいいか。危機感を持った地元の有志から、広島県農業会議にいた吉弘に声がかかった。

吉弘ら6人ほどのメンバーは地域住民が新たに自治組織を作った先進地を見て回り、小学校を地域住民が使える施設に改造し、「小さな役場」を置くことにした。総務企画部、農村振興部、文化教育部……といった具合に、まるで役場のような機構を持ち、地域の課題に臨機応変に対応しようというものだった。「私は、組織を作るということは今までの経験からよく知っていますから、組織づくりに関していろいろと助言しました」と吉弘は当時を振り返る。

吉弘は副会長に就任し、農村振興部の部長を務めることになった。農村振興部長の立場から地域の農業を見たときに、このままではいけないと思ったところから、第二の組織づくりが始まる。
当時、小田地区でも過疎高齢化と農業の担い手不足、遊休農地の増加が深刻になりつつあった。加えて米価の下落で、当時、農業による赤字は1戸当たり平均で年45万円に達していた。地域住民は将来をどう考えているのか。正確に把握したいという思いから、2004年にアンケート調査をした。


「10年後農業続けられない」6割強の衝撃


その結果は驚くべきものだった。「5年後には農業を続けることができない」という回答が42%、「10年後には農業を続けることができない」が64%に達した。
「6割が農業ができないという状況になったら、荒廃地が増大し、集落の崩壊に向かいます。これはもう大変なことですよ」
吉弘は農地を守り、集落を崩壊させずに農業を維持・発展させるには集落の農業を法人化するしかないと考えた。

「個人でやる農業にそこまでの危機が来ているということは大変なことです。ピンチはチャンスと言いますね。なぜなら、農家の皆様の思いが共有できるからです。では、個人で農業ができないのなら、こういう方法はどうですかと提案して、小田の場合は幸い同感して行動してくれる人がおった」

法人化という発想がぱっと思い浮かんだのは、吉弘が広島県で集落営農の法人数を劇的に伸ばした立役者だからだ。広島県内には現在272の集落法人がある。その数の激増は、集落内で法人化を率いるリーダーを育成する「集落法人リーダー養成講座」の開催によるところが大きい。2001〜04年にかけて広島県農業会議でこれを主導していたのが吉弘だった。広島県は農業をするうえでの条件が悪く、個別経営が成り立ちにくいため、集落営農を勧めたが、なかなか設立に至らなかった。

「一番必要だったのはリーダーの養成だったんです。個人の経営はわかっていても、法人経営はなかなか経験した人が少ない。したがって、自信を持ってやってもらうためには、まずリーダーを育てようと、 リーダー養成講座を始めたんです。これが最大のポイントです」
こうして、法人の設立方法や手続き、事業計画の立案、税務、会計などを学ぶ講座を開いたところ、設立数が伸びていったのだ。

農業会議時代に培ったノウハウは、小田地区で法人を立ち上げる際に大いに役立った。2005年2月から50回にわたって話し合いの場を設けた。農業会議のリーダー養成講座の「ミニ版」(吉弘)として「共和塾」を開き、地区内のリーダー20人に学んでもらう機会も作った。こうしてその年の11月、ファーム・おだ設立にこぎ着けた。


一番大事なのは人づくり

「同志を増やしていったから、設立までは9カ月で早いほうでした」
経営に必要な人、物、金、情報という要素の中で、一番不足するのが人だと吉弘は言う。今のご時世、情報はあり余っている。金と物も工面すればなんとかなる。そんな中で、人はどうにもならない。人の養成を最重視するという考え方の正しさが地元の小田での法人設立でも証明された。組織を小学校単位にしたのも、そのくらいの広さにすればある程度人材がそろうからだ。
こうしてできた同社は、設立当初から成果を上げていく。法人設立時に機械を地域にない大型のものだけ購入し、格納庫などは地域にあるものを活用したところ、かかった費用は6200万円だった。法人化前には機械を個別の経営ごとに買っていたので、これを試算してみると地域全体で機械に7億3000万円もの投資をしていたことになった。法人化による機械の効率化の威力は歴然としている。

ロットが大きくなったことで、有利な販売もできるようになった。最初の6年間は定年退職者で運営をし、組織の体力がついてからは若者を雇用している。今、20〜50代の15人と60代以上の30人ほどを雇用しており、まさに人づくりができるようになっている。

小田地区の人口は減少が続いていたのがここ数年横ばいになっている。若い夫婦13世帯が移ってきたからだ。移住するうえで大事だったのは、地元出身の夫の意向ではなく、妻のほうが「小田地区はきれいで子どもの教育にいい。生活費も安くつく」と転居に積極的だったことだという。
車で小田地区を縦断する県道を走っていると、吉弘が「この集落はきれいでしょう」と言う。確かにセイタカアワダチソウが茂っていたり、ススキが視界をふさいでいるようなところがなく、田んぼの畦畔は手入れが行き届いている。

「草刈は年3回でいいと言っていますが、5、6回刈る人が多い。これも草刈にファーム・おだがお金を払う仕組みを作っているから」
とはいえ、住民にここまで行き届いた管理をさせているのは、単に経費が出るからだけではないだろう。地域に対する愛着と誇りが行き届いた管理につながり、Uターン、Iターンを促す。「地域の灯を消さない」という吉弘ら当時のリーダーの思いは、次の世代にも引き継がれていくだろう。

ところで、取材を終えた今も、なぜ小田地区が地域の灯を消さないことに成功し、筆者の実家の辺りは逆に灯が消えたようになってしまったのか、両者を分けたものがなんだったのかはわからない。こうだからこうなったという方程式はそもそも存在しないのだろう。ただ、なんとなくこうなのではないかと感じる部分はあった。

小田地区の場合、合併で広域化する一方の行政が地域のニーズを細かく吸い上げるのは難しいと考え、自分たちで課題を見つけ、対策を立てるべきだと考えた。筆者の実家の場合は、行政経由で持ち込まれた福祉法人に校舎を譲るという案に、住民は行政の提案だからと乗った。その提案がなかったら、何か独自の活用法を考えたのかといわれると、そうなったとは思わない。地域の中で住民が主体的に考えるということの習慣が、小田地区にはあって、筆者の実家のほうには乏しかったのだろう。

ファーム・おだの事務所には「何もやらなければ愚痴が出る。中途半端にやれば言い訳が出る。一生懸命やれば知恵が出る。」という「れば三訓」が模造紙に大書して貼り出してあった。吉弘は見上げながら「好きな言葉なんですよ」と言っていた。負のスパイラルに陥ってもおかしくなかった小田地区の歯車が正の方向に回り始めた理由は、この言葉をより多くの住民と共有できたことにあるのではないか。一生懸命やるということを知っている地域は強い。心底そう思う。 (文中敬称略)
第1回研究会:東信自給圏構想の現状とビジョン[2018年04月18日(Wed)]

平成30年3月26日(月)佐久平プラザ21にて、盛会に行うことができました。

ここに概要を報告しますが、部分的でしかありません。詳細は、会員専用のグーグルドライブをご覧ください。プログラムの@からGと、意見交換まで、9のパートにして丸ごとアップロードしてあります。これらをしっかり観ていただくと、スマート・テロワール(地域食料自給圏)構想を理解して頂くことができると思います。

特に、スマート・テロワール協会理事中田康雄様のA提言:「スマート・テロワールが目指すもの」と、長野県副知事中島恵理様によるF「長野県とスマート・テロワール」にご注目ください。

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素敵な農場で働いて見ませんか?[2018年04月17日(Tue)]

Farmめぐる株式会社の吉田さんは、NPO法人信州まちづくり研究会の正会員であり次世代を担う若きリーダーです。素敵な経営者でありパートナーです。農業・農村の可能性を実証している私たちの希望の星です。

このたび、7〜9月の繁忙期に必要なアルバイトの募集を始めました。魅力ある産業にしていくことも関係者の大きな課題です。以下に概要をまとめましたので是非たくさんの方々に知ってほしいと思います。

Farmめぐる株式会社
代表取締役 吉田典生
佐久市 蓼科山麓・望月駒の里

脱国家公務員。2012年にIターンで佐久市望月に移住。2年間有機栽培農家で研修して独立。
現在は、5ヘクタールの畑で、通年雇用の社員4名とアルバイトを多数使い、有機JAS認証野菜を栽培、販売。
自然エネルギーハウスと称した住み込み従業員寮を用意!
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応募フォームはこちらです。

連絡先
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Farm めぐる 株式会社
  代表取締役 吉田典生
mail:farm.meguru@gmail.com
phone:090-4252-7364
fax:050-3156-7135
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
松尾雅彦氏最後の論文「食と農を地域に取り戻す 」[2018年04月15日(Sun)]

食と農を地域に取り戻す
― スマート・テロワール運動の息吹―

松尾 雅彦


スマート・テロワール、それは一言でいえば「地方都市を含む広 域の農村自給圏」構想である。海には魚や貝などの水産資源があり、 平地には水田、台地には畑地があり、高地には牛や豚などの畜産資源があり、いずれも太陽エネルギーによって育まれている。これら の資源を持続的に活用して、食料のサステナビリティ(持続可能性) を実現し、農村を元気にしようというのがスマート・テロワールの 目指すところである。そのために田畑輪換を畑作輪作へ転換し、地 域に女性の職場の食品加工場をつくり、住民の地元愛で地元産の食 品を創出するといった課題への取り組みを農業・加工業・流通業と 自治体の有志が一体となって進めようとするものである。

このような構想を立ち上げた理由は、日本の食糧問題・農業問題 への危機感からである。日本は1960年の安保改定時に食料自給を犠 牲にして、工業化政策を優先する「加工貿易立国」に舵を切った。 これによって食料自給と農村政策の議論がひねくれていき、自給率 の降下が止まらず、いまでは自給率38%という実態を甘受すること になった。
 
現在の農村の人口減少は著しく、休耕田が約100万ha、耕作放棄 地40万ha以上が未利用資源として存在している。これらの耕地が稼 働すれば農産物出荷額は20兆円(カルビーの実績:7000haの契約 栽培から1000億円の加工品出荷の実績を敷衍)となる。これは現状 の農業出荷額約8兆円の2.5倍にあたる。この約140万haを用いて、 カルビーのような付加価値の高い加工品の生産にあてれば、日本経 済の最大の浮上策になるのだが、現状の農政ではどんな手を講じて も、期待するようなことは起こらない。
 
こうした現状を背景に、私が農村問題に取り組む契機となった出 来事が二つある。一つは事業経営をリタイア後に立ち上げたNPO 「日本で最も美しい村」連合である。これはフランスをはじめ先進欧 州各国に広がっている運動である。地方の文化の再評価をつうじ て、持続的な地方再生をめざそうとするもので、成功した村では人 口増を生じていた。そこで創設したNPOでは、欧州の「最も美しい 村」の先進事例の視察会を行い、「最も美しい村」に向かう村づくり を学習する機会をつくった。ところが日本では「最も美しい村」に 認定しても一向に人口減少が止まらず、その根本原因の探索を始め ることになった。

もう一つの契機は、私がカルビー在籍時に築いた馬鈴薯の契約栽培が思わしくない状況に陥り、その原因の探索を求められたことで ある。良質の原料確保は加工食品メーカーの死命にかかわる。探索 を始めてしばらくして、オーストラリアの馬鈴薯栽培の情報がもた らされた。それによるとオーストラリアでは反収が7tという。これ は日本の実情である平均反収 3.5 tの2倍にあたる。2011年3月(大 震災の1週間後)にオーストラリアの馬鈴薯栽培の現場を視察した 後、他の作物についても日本と他国の実態を調べたところ、大豆や 小麦など穀物では日本の反収量は先進国の半分しかないことがわか った。なぜこのような「不都合な現実」が起こるのか、私の好奇心は痛く刺激された。

この二つの契機に基づいて、2012年、解決策の提言をまとめたも のがスマート・テロワールの原型になった。スマート・テロワール とは冒頭に記したように「地方都市を含む広域の農村自給圏」構想 だが、もう少し具体的にいうと、その骨格は農産業に「耕畜連携」 「農工一体」「地消地産」という3つの連携体制を導入し、圏内で住 民と生産者(農家と加工業者)が循環システムを構築することであ る(地消地産であって、地産地消ではないことに留意すること)。自 給圏を構築できれば、森林の活用・エネルギーの自給にまで積み上 げることができ、農村はアルカディアになるのである。その舞台と なるのが、未利用資源になっている約140万haの耕地にほかならな い。

現状では、日本の農産物は、集荷組織に集められ市場に供給され て、そこから誰だかわからない消費者の元へと届けられる。そうし た市場経済のシステムが農村の苦境を招き、人口の流出につながっ ている。スマート・テロワールでは、地域で作られた農産物を、地 域内の住民の必要に供されることを第一とする。加工食品について も、現状では輸入原料に依存する大手加工食品メーカーの製品を購 入する仕組みが行き渡っているが、これも地域内に食品加工場をつ くることで女性の雇用を促進するとともに、「地消地産」が可能にな る。

地域内の住民の消費がベースになることには大きなメリットがあ る。なによりも為替相場や商品相場の変動のリスクを負わない。生 産者としては気象変動のリスクに絞って対策を集中できる。この形 はカルビーが40年間にわたって実践し成果を挙げているものだ。

私はこの提言に「スマート・テロワール」という新しい言葉を冠した。スマートとは「賢い」「無駄のない」という意味で、テロワー ルとは「風土や景観や栽培法などの、その場所ならではの特徴を もった地域」といった意味の言葉である。この提言に関心を持たれ た京都府立大学教授の宗田好史氏からスマート・テロワール論の書 籍化を勧められた。とはいえ、馬鈴薯の世界については少々の覚え はあったが、世界的な競争の中にある農業や農村の事情に習熟して いるとは言えない。そのような時に農業界気鋭の評論家浅川芳裕氏 とコーネル大学終身評議員の肩書を持つ松延洋平さんとの出会いが あり、十勝をフードバレーとする政策を掲げられていた帯広市長(当 時)の米沢則寿氏らとの意見交換などから、フードバレー政策の研 究をかねてコーネル大学視察旅行会を敢行した。これはその後の私 の活動に大きな刺激を与えることになった。

コーネル大学の農村社会学者のT・ライソン教授はその著書『シ ビック・アグリカルチャー』において、大規模化した農場の繁栄は 市民社会にいい状況を提供しないと語り、大企業の活動への懐疑を 露わにしている。その主張の基礎には、ウィーン生まれの経済学者 カール・ポランニーの思想がある。ポランニーは、市場経済は社会 にある問題を解決することはなく、終局では戦争でかたをつけるし かない経済と断じ、めざすべきは産業革命以前の経済の形である共 同体における「家政(自給自足)」と「互酬」であると主張した。

先進欧州の農村社会にはいまでも「共同体」の経済が力強く残っ ている。ワインやチーズなど地域のブランドが多く活躍し、地域住 民と食品の生産者が価値の高い社会をつくっている。筆者個人の経 験だが、数年前にイタリアのフィレンツェのある店でピエモンテの 高級ワインの「バローロ」を注文したところ、返ってきた言葉が 「なんでそんな不味いワインを飲むのか?」であった。店の主人は、 フィレンツェはトスカーナ地方の中核都市であり、沢山の銘醸があ ると強調した。イタリアのワインが「地元愛」に支えられて各地が張り合っていることが窺われた。それぞれの地元がテロワールを生かした製品作りを行い、地消地産の経済を構築することこそ農村の健全なありかたではないだろうか。

このような成果や経験を取りこんで2014年に『スマート・テロワ ール 農村消滅論からの大転換』(学芸出版社)という書物を上梓し た。

『スマート・テロワール』の発表後、この本で述べた農村自給圏の 実現に向けて研究会も立ち上げられた。その第一歩を踏み出したの が山形大学農学部を中心とした山形県庄内地域である。大学では 2016年4月より、「食糧自給圏スマート・テロワール形成講座」が 開設され、5年計画でモデル作りが始められている。農学部付属の 農場ではジャガイモ、大豆、トウモロコシの畑作輪作と、豚の肥育 が開始された。畑作と畜産の耕畜連携を図り、収穫物は高品質なも のを食用に、規格外品や加工残滓は豚の餌に、豚の糞尿は堆肥とし て活用し、豚肉は地元で加工して、地域内流通させることを目指し ている。

山形県につづき、長野県でも2017年からスマート・テロワール構 築のための事業「地域食糧自給圏構築」の五カ年計画が開始された。 私は「食の地消地産アドバイザー」として関わることになった。

このような取り組みは、かつて社会システムとして当然のもので あった地消地産の再生をめざすものである。地消地産は19世紀の産 業革命以降、グローバルな商社の躍進によって崩壊し、現代は「重商主義」全盛の時代になってしまった。20世紀は科学技術の大きな 進歩と産業革命によって成立した分業体制と交易手段の発達で、ど の産業も規模の大きさを競い市場経済を推進してきた時代であった。戦後の日本では「市場経済」こそが民主主義の根幹をなすと考 えられてきた。この考え方は、米国の対共産圏政策とも合致したこ ともあって、ほとんど無批判に受け入れられてきた。そのような中で、地消地産というと、「昔はよかった」的な懐古趣味と受けとられ るかもしれない。

しかし、それは大きな誤解である。その逆に21世紀だからこそ地 消地産が有効なのである。なぜならば、21世紀はサステナビリティ、 つまり限られた資源を持続的に活用していくことがなによりも求め られている時代だからである。

今後は、供給過剰を背景にして多様性(ダイバーシティ)をベー スにした産業が活力を持ち、生命科学の分野が発展していく時代で ある。供給過剰時代だからこそ、過剰となった圃場を新たな作物に 転換する戦略が成り立つ。EUの共通農業政策でも、過剰になって いる圃場が家畜の放牧にあてられ、それに基づいて肥育基準も改定 されている。同様に、日本でも休耕田を飼料米の栽培にあてるので はなく、放牧地として家畜の肥育に活用することが、もっとも理に かなっている。

人はみな生態系の中で生かされている。その生態系を持続的に活用していくシステムが地消地産である。時代に合った山や農地や海などの資源の生かし方を深め、地消地産で住民の絆を結ぶ。その中で、農村は「サステナビリティ」と「ダイバーシティ」という時代の要請が交差する社会として美しく輝くのではないだろうか。


(松尾雅彦 カルビー株式会社相談役・ NPO 法人「日本で最も美しい村」連合副会長)
学際 第4号より コピーライトマーク2017 Institute of Statistical Research

[略歴]1941年 2月20日生まれ(広島県):1965年 慶應義塾大学法学部 卒業 ・・中略・・1967年カルビー株式会社入社:1992年同社 代表取締役社長:2005年同社 代表取締役会長、「日本で最も美しい村連合」設立に尽力:2009年同社 相談役:2014年「スマート・テロワール・農村消滅論からの大転換」出版:2016年 長野県「食の地消地産アドバイザー」、山形大学客員教授:2016年NPO法人信州まちづくり研究会 顧問:2018年2月12日死去。
[功績]馬鈴薯農家との契約栽培と加工システムを確率、1988年にシリアル市場に参入し、現在の市場の礎を築いた。
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