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第14回今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会 [2018年07月31日(Tue)]
第14回今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会(平成30年7月20日開催)
《主な議題》「研究会の取りまとめについて」等
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_00482.html
◎第14回今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会
(第15回の研究会で成案が出来ると思いますので、今回は「目次」のみにします。)

T はじめに

U 障害者雇用の現状と本研究会における議論の論点
1.障害者雇用の現状
2.本研究会における議論の論点

V 多様な働き方のニーズ等に対応した障害者の雇用の質の向上に向けた取組の推進
1.障害者の雇用の質について
2.多様な希望や特性等に対応した働き方の選択肢の拡大
@週所定労働時間 20 時間未満の障害者の雇用に対する支援措置の創設
(週所定労働時間 20 時間未満の障害者雇用の現状等)
(週所定労働時間 20 時間未満の障害者雇用に関する議論)
(週所定労働時間 20 時間未満の障害者雇用に関する新たな支援について)
A自宅や就労施設等での障害者の就業機会の確保
(自宅や就労施設等での就労の現状等)
(在宅就業障害者支援制度の拡充等について)
B希望する障害者のテレワークの推進
(障害者のテレワークの現状等)
(障害者のテレワークの課題と今後の取組)

3.安心して安定的に働き続けられる環境の整備
@精神障害者等の個別性の高い支援を要する場合の支援の充実
(精神障害者の雇用の現状)
(精神障害者等に対するハローワークの対応)
(精神障害者等の個別性の高い支援を要する場合の就労パスポートの作成等)
A中高年齢層の障害者が希望により長く安定的に働ける環境の整備
(中高年齢層の障害者の雇用の現状)
(中高年齢層の障害者に対する雇用継続支援の在り方)
B地域における就労支援体制の機能強化
(地域における就労支援体制の現状)
(地域障害者職業センターの取組の現状と今後の対応)
(障害者就業・生活支援センターの取組の現状等)
(障害者就業・生活支援センターにおける今後の取組)
(障害者雇用における産業医の活用)
(障害者雇用のノウハウ等を有する人材の活用)
(教育機関との連携)
C障害者雇用の質の向上に向けた事業主の取組に対する支援措置の創設等
(障害者の雇用継続に対する支援について)
(雇用の質の向上に向けた助成措置等について)

W 中小企業における障害者雇用の推進
1.中小企業における障害者の雇用状況と支援措置
(中小企業における障害者の雇用状況)
(中小企業に対する支援措置について)
2.障害者の働きやすい環境を整備する中小企業の認証制度の創設
3.中小企業に対する障害者雇用調整金及び障害者雇用納付金の適用

X 障害者が長く安心して安定的に働き続けられる環境整備に繋げる制度の在り方
1.障害者雇用率制度の在り方
(障害者雇用率制度について)
(除外率制度について)
2.障害者雇用納付金制度の在り方
(障害者雇用納付金財政の経緯等について)
(障害者雇用調整金について)
(障害者雇用納付金について)
(障害者雇用納付金財政の調整機能について)

Y おわりに

◆今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会(第1〜第14回目)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syokuan_480542.html

次回からは、「平成30年版 少子化社会対策白書 概要版(PDF版)」を見てみます。
社会福祉法人秋田旭川福祉会 明成園を訪問して [2018年07月30日(Mon)]
社会福祉法人秋田旭川福祉会 明成園を訪問して(平成30年7月18日) 
http://meiseien.akita.jp/
(福祉サービス第三者評価受審の訪問調査からの感想です)

◎「明成園」は就労継続支援B型作業所(定員:50名、現員:53名)
○「理念」→「働いて暮らす」の通り、利用者と職員が一体となって工賃アップに取組んでいます。
・作業部門→クリーニング(寝具類等・おしぼり)が主で、トイレットペーパー製造、買い物用「籠の洗浄」など。特にクリーニング部門では、重量60sの洗濯機や乾燥機に付属している安全装置があり、安心できる。それぞれの作業棟には「安全第一」トプレートが天井から吊り下げられ、朝礼や仕事始めに確認されている。10:30より全員集合して「ラジオ体操」の時間。
・昼食は全員食堂で(個性に富んだ利用者にはそれぞれの対応を、我々3名(調査者)も分かれて食事を体験)。「おかず」(弁当箱で)だけ外注で、ご飯・味噌汁等は施設パートさんの調理で、利用者は「トレー」に必要品を取り揃えてセルフサービスに。

○昼食後、希望者は「竿燈を上げる」練習、明成園が参加予定。
・町内会からの借用した「練習用のミニ竿燈」で8月上旬まで練習、なかなかバランスを取るのが難しく、何個かの提灯がボロボロに敗れており、練習の跡が垣間見られる。

○利用者の送迎はマイクロバス1台、小型マイクロ2台で8:30施設到着
・ホームページ「通所のご案内」掲載の通り、施設標準の動きまでに、職員の朝の打合せ、利用者の朝礼などを経て作業体制に入る。そして休憩時を挟んで体操の時間へ。

◎第三者評価の観点から→委細は公表後です
○利用者の平均工賃→35,000円と前回の第三者評価時(平成23年)よりも大幅にアップ。
・H23年受審時よりも工賃委託作業や造花などの小物組み立てが整理され、自前独自による営業や販売がなされている。
・発達的に複雑な利用者も散見されるが、職員の方々は情報を的確にとらえ一生懸命の対応がなされ、経験の浅い職員は職務を継続することによって、より充実感が期待できる。
・地域に対する公益事業の取組→困った家庭にトイレットペーパー完成品を配布したり、寝具類の洗濯提供したり、草刈りの奉仕をしたり、更にはまた今回の西日本の豪雨災害に対しトイレットペーパーを箱で数十ケース送付している。
・職員の教育・研修について→職員一人ひとりの教育・研修については一番弱いところ。今年度より計画的に何年かかけて「人事考課制度」による段階的導入を試行している。

次回は、「第14回今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」からの資料になります。

◆7/17 「竿燈」練習風景
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平成30年版障害者白書 [2018年07月29日(Sun)]
平成30年版障害者白書(2018年6月15日) 
http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h30hakusho/gaiyou/index-pdf.html
第6章 国際的な取組(我が国の国際的地位にふさわしい国際協力に関する施策)
1.障害者に関する国際的な取組
(1)障害者権利条約
→障害者の権利及び尊厳を保護し及び促進すること等を目的とする「障害者の権利に関する条約」、いわゆる「障害者権利条約」は、 平成18(2006)年12月、第61回国連総会本会議において採択され、 平成20(2008)年5月に発効した。平成30(2018)年3月31日現 在、締約国・地域・機関数は177となっている。 我が国は、本条約の起草段階から積極的に参加するとともに、 平成19(2007)年9月に同条約に署名後、障害者基本法の改正(平成23(2011)年8月)等の各種法制度整備を行い、平成26(2014)年1月、障害者権利条約の批准書を国連に寄託、同年2月に我が国について発効した。 障害者権利条約では、各締約国が、「条約に基づく義務を履行するためにとった措置及びこれらの措置によりもたらされた進歩に関する包括的な報告」を国連の「障害者の権利に関する委員会 (障害者権利委員会)」に提出することを定めており(条約第35条)、 特に初回の報告については、条約発効後2年以内の提出が求められている。 我が国においても、障害者政策委員会における議論やパブリックコメントを踏まえて政府報告作成準備を進め、平成28(2016) 年6月に障害者権利委員会に初回の政府報告を提出した。今後は、障害者権利委員会による我が国政府報告の審査が行われ、同委員会の提案及び勧告を含めた最終見解が採択され、国連文書として公表される予定である。
(2)ESCAPアジア太平洋障害者の十年→ アジア太平洋地域において障害のある人への認識を高め、域内障害者施策の水準向上を目指すために、「国連障害者の十年」に続くものとして、平成4(1992)年に我が国と中国が「アジア太平洋障害者の十年」を主唱し、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)総会において決議された。平成24(2012)年5月に ESCAP総会において、我が国の共同提案により「ESCAP第3次 アジア太平洋障害者の十年(2013-2022年)」決議が採択され、同年11月には「第2次アジア太平洋障害者の十年最終レビュー・ハ イレベル政府間会合」において、「ESCAP第3次アジア太平洋障害者の十年」の行動計画である「仁川(インチョン)戦略」が採択された。「仁川戦略」では、「貧困の削減と労働及び雇用見通しの改善」、「政治プロセス及び政策決定への参加促進」等障害者施策に関する10の目標、与えられた期間内に達成すべき27のター ゲット及びその進捗状況を確認するための62の指標が設定されている。
(3)情報の提供・収集→内閣府では、我が国の障害者施策に関する情報提供のために、 基本的枠組みである「障害者基本計画」や「障害者白書の概要」 等の英語版を作成し、内閣府ホームページ(英語版サイトなど) にこれらを掲載している。

2.国際協力等の推進
(1)国際協力の基本的な方針
→福祉、保健・医療、教育、雇用等の広範な分野にわたって我が国が蓄積してきた技術・経験などを政府開発援助(ODA)などを通じて開発途上国の障害者施策に役立てており、協力を行うに当たり、対象国の実態や要請内容を十分把握し、その国の文化を尊重しながら密接な政策対話を通じ、対象国と我が国の双方が納得いく協力を行うよう努めている。
(2)有償資金協力→ 有償資金協力では、鉄道建設、空港建設等においてバリアフリー化を図った設計を行う等、障害のある人の利用に配慮した協力を行っている。
(3)無償資金協力→無償資金協力では、障害のある人の利用に配慮した協力を行うとともに、障害のある人のためのリハビリテーション施設や職業 訓練施設の整備、移動用ミニバスの供与等、毎年多くの協力を行っている。
(4)技術協力→技術協力の分野では、独立行政法人国際協力機構(JICA)を通じて、障害者を対象とした取組に加え、開発プロセスのあらゆる分野において障害者の参加を支援するために、研修員の受入れや専門家及びJICAボランティアの派遣など幅広い協力を行っている。
(5)国際機関等を通じた協力→我が国では国連等国際機関を通じた協力として国連障害者基金に対して継続的な拠出を行っている。さらに、アジア太平洋地域への協力としては、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP) に対し、日本エスカップ協力基金(JECF)を通じた活動支援を実施している。

◆ずいぶん長かったのですが、これで「平成30年版障害者白書」を目を通したことになります。次回は、第三者評価受審事業所、新たに「社会福祉法人秋田旭川福祉会 明成園を訪問して」からを挿入します。
平成30年版障害者白書 [2018年07月28日(Sat)]
平成30年版障害者白書(2018年6月15日) 
http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h30hakusho/gaiyou/index-pdf.html
第5章 住みよい環境の基盤づくり

第2節 障害のある人の情報アクセシビリティを向上するための施策
1.情報アクセシビリティの向上
(1)総合的な支援
→地域生活支援事業においては、IT関連施策の総合サービス拠点となる障害者ITサポートセンターの運営(26都府県:平成28 (2016)年度末時点)や、パソコンボランティア養成・派遣等が 実施されている。総務省では、平成29(2017)年11月に「IoT新時代の未来づくり検討委員会」を設け、ICTを利活用できるようにするための施策について、検討を行っている。
(2)障害のある人に配慮した機器・システムの研究開発→障害のある人の利用に配慮した情報通信機器・システムの研究開発の推進に当たっては、その公益性・社会的有用性が極めて高いにもかかわらず、収益性の低い分野であることから、国立研究 機関等における研究開発体制の整備及び研究開発の推進を図るとともに、民間事業者等が行う研究開発に対する支援を行うことが 重要。平成28(2016)年度より国際標準化団体のISO/IEC JTC1にてスマートフォンやタブレットのアクセシビリティ向上を目的とした議論が開始され、我が国の製造メーカーも参加している。
(3)情報アクセシビリティに関する標準化の推進→情報アクセシビリティに関する日本工業規格(JIS)として「高齢者・障害者等配慮設計指針−情報通信における機器、ソフトウェア及びサービス」(JIS X8341シリーズ)を制定している。平成 29(2017)年、国際規格との整合性を高めるため 「電気通信機器」 のJIS規格改正原案作成を進めた。
(4)ホームページ等のバリアフリー化の推進→総務省では、平成27(2015)年度に「みんなの公共サイト運用ガイドライン(2016年版)」を改定し、アクセシビリティ評価ツール (miChecker)を更新。平成29(2017)年度には国及 び地方公共団体の公式ホームページのJIS規格対応状況を調査し、 結果を公表した。

2.社会参加を支援する情報通信システムの開発・普及
(1)電子投票の実施の促進
→ 我が国における電子投票は、平成14(2002)年2月より、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙において導入することが認められている。
(2)テレワークの推進→政府では、テレワークが様々な働き方を希望する人の就業機会 の創出及び地域の活性化等に資するものとして、関係府省が連携 し、テレワークの一層の普及拡大に向けた環境整備、普及啓発等を推進することとしている。平成29(2017)年から、関係府省・ 団体が連携し、2020年東京オリンピックの開会式が予定されている7月24日を「テレワーク・デイ」と位置付け、全国一斉のテレワークを実施している。

3.情報提供の充実
(1)情報提供に係る研究開発の推進

ア 民間による研究開発に対する支援→総務省では、高齢者や障害のある人向けの通信・放送サービスの開発を行うための通信・放送技術の研究開発を行う者に対し、支援を行っているほか、国立研究開発法人情報通信研究機 構を通じて、身体に障害のある人のための通信・放送サービス の提供又は開発を行う者に対する助成、情報提供を実施している。
イ 使いやすい電話機の開発→電気通信事業者において、音量調節機能付電話等福祉用電話 機器の開発や車椅子用公衆電話ボックスの設置など障害のある人が円滑に電話を利用できるよう種々の措置を講じている。

(2)情報提供体制の整備
ア 情報ネットワークの整備
→社会福祉法人日本点字図書館を中心として運営されている視覚障害情報総合ネットワーク「サピエ」により、点字・録音図 書情報等の提供を行っている。 平成21(2009)年6月に可決成立した著作権法(昭和45年法 律第48号)改正により、障害の種類を限定せずに、視覚や聴覚による表現の認識に障害のある人が広く対象になるとともに、 視覚障害のある人については、デジタル録音図書の作成、聴覚障害のある人については、映画や放送番組への字幕・手話の付与など、それぞれの障害のある人が必要とする幅広い方式での 複製等が可能となった。なお、当該複製等を行う主体についても、障害者施設に加えて、公共図書館等の施設なども含まれる こととなった。 平成25(2013)年6月に、「盲人、視覚障害者その他の印刷物の判読に障害のある者が発行された著作物を利用する機会を 促進するためのマラケシュ条約」が採択されたことを踏まえ (平成28(2016)年9月に発効)、文化審議会著作権分科会において、本条約締結のための制度整備や視覚障害者等のための情報アクセス機会の充実に向けた制度整備について検討が行われ、平成29(2017)年4月に報告書が取りまとめられ、視覚障害者等のための権利制限規定の対象を肢体不自由者に拡大することや、ボランティア団体が障害者向けに音訳サービス等を提供しやすくするための制度の整備等について提言された。
イ 政府広報における情報提供 内閣府では、視覚に障害がある人に対して政府の重要な施策の情報を提供するため、政府広報として音声広報CDを発行している。
ウ 字幕付きビデオ及び点字版パンフレット等の作成→ 法務省刑事局では、犯罪被害者やその家族、さらに一般の人々に対し、検察庁における犯罪被害者の保護・支援のための制度について分かりやすく説明したDVDを全国の検察庁に配布し、 説明のポイントにテロップを利用しているほか、全編に字幕を付すなどしている。
エ 国政選挙における配慮→平成15(2003)年の公職選挙法(昭和 25年法律第100号)改正により、郵便等投票の対象者が拡大、代理記載制度が創設されているほか、点字による「候補者名簿及び名簿届出政党等名簿」の投票所等への備付け、投票用紙に点字で選挙の種類を示す取組、点字版やカセットテープ、コンパクトディスク等の音声版による候補者情報の提供等を行っている。政見放送における取組として、手話通訳や字幕をつけることができることとしている。

(3)字幕放送、解説放送及び手話放送の推進→平成9(1997)年の放送法(昭和25年法律第132号)改正により、 字幕番組、解説番組をできる限り多く放送しなければならないとする努力義務規定が設けられた。 平成19(2007)年10月には、「視聴覚障害者向け放送普及行政 の指針」を策定し、行政指針に定められた普及目標の実現に向けて、放送事業者の取組を促してきた。同指針の普及目標が、平成 29(2017)年度までとされていることから、総務省では、平成30 (2018)年度以降の普及目標を定めるため、平成29年9月から「視聴覚障害者等向け放送に関する研究会」を開催し、12月に報告書をとりまとめた。これを踏まえて平成30年2月に「放送分野における情報アクセシビリティに関する指針」を策定。また、国立研究開発法人情報通信研究機構を通じて字幕番組、解説番組及び手話番組の制作費等の一部助成も行っている。

(4)日本銀行券の券種の識別性向上に向けた取組→財務省は、国立印刷局、日本銀行とともに、現行の日本銀行券がより使いやすいものとなるよう、平成25(2013)年4月26日に 「日本銀行券の券種の識別性向上に向けた取組み」を公表。 平成29(2017)年度、具体的な3つの取組として、@ 改良五千円券の発行や、A日本銀行券にカメラをかざすことで音声等により券種をお知らせするスマートフォン用の券種識別アプリ(言う吉くん)の提供、B券種を識別して音声等により通知する専用機器の開発に資する技術情報の提供を行っている。

4.コミュニケーション支援体制の充実
(1)手話や点訳等によるコミュニケーション支援
→ 地域生活支援事業においては、聴覚、言語機能、音声機能、視覚その他の障害のため、意思疎通を図ることに支障がある人に、 手話通訳者等の派遣や設置、点訳や音声訳等による支援などを行う意思疎通支援事業や、点訳奉仕員、朗読奉仕員、要約筆記者、手話奉仕員及び手話通訳者等の養成研修が実施されている。平成 25(2013)年4月に改正された障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)における 地域生活支援事業では、手話通訳者、要約筆記者及び盲ろう者向け通訳・介助員の養成研修を都道府県の必須事業とする、 派遣を行う事業についても市町村で実施できない場合などは都道府県が実施する仕組みとし、意思疎通支援の強化を図っている。 厚生労働省は、平成29(2017)年度より、全国4か所 の聴覚障害者情報提供施設等において、聴覚障害のある人が一人で電話をかけられるよう、手話通訳や文字通訳に対応するオペ レーターを配置して支援する「電話リレーサービス」を実施して いる。

(2)コミュニケーション支援用絵記号及びアクセシブルミーティング→日本工業標準調査会(JISC)は、文字や話し言葉によるコミュ ニケーションの困難な人が、自分の意思や要求を相手に的確に伝え、正しく理解してもらうことを支援するための絵記号に関する規 格を「コミュニケーション支援用絵記号デザイン原則(JIS T0103)」 として制定し、障害のある人が会議に参加しやすいように主催者側の配慮事項を「アクセシブルミーティング(JIS S0042)」として 規格を制定した。

次回は、「第6章 国際的な取組」資料で最終になります。
平成30年版障害者白書 [2018年07月27日(Fri)]
平成30年版障害者白書(2018年6月15日) 
http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h30hakusho/gaiyou/index-pdf.html
第5章 住みよい環境の基盤づくり
第1節 障害のある人の住みよいまちづくりと安全・安心のための施策

7.防災、防犯対策の推進
(1)防災対策
ア 防災対策の基本的な方針(災害対策基本法の一部改正)
→ 政府では平成24(2012)年度に、高齢者や障害者などの多様な主体の参画を促進し、地域防災計画に多様な意見を反映できるよう、地方防災会議の委員として、自主防災組織を構成する者又は学識経験のある者を追加すること等を盛り込んだ災害対策基本法の一部を改正する法律(平成24年法律第41号)を制定し、災害対策基本法(昭和36年法律第223号)の改正を行った(第1弾改正)。その後、市町村長に要配慮者のうち災害時の避難行動に特に支援を要する者について名簿を作成することを義務付ける、主として要配慮者を滞在させることが想定される避難 所に適合すべき基準を設ける等の事項を含む所要の法改正を実施した(災害対策基本法等の一部を改正する法律(平成25年法 律第54号))(第2弾改正)。
イ 要配慮者対策等の推進→平成29(2017)年度、より円滑な避難所の運営に資するため、避難所運営ガイドライン等を補完するものとして、「平成28年度避難所における被災者支援に関する事例等報告書」を作成して公表した。 市町村が、要配慮者にも配慮した、避難所、避難路等の整備を計画的、積極的に行えるよう、防災基盤整備事業等により支援し、地方債の元利償還金の一部について交付税措置を行っている。 また、地域防災計画上社会福祉施設など要配慮者等の避難所となる公共施設のうち、耐震改修を進める必要がある施設についても公共施設等耐震化事業等により支援し、地方債の元利償還金の一部について交付税措置を行っている。
ウ 要配慮者利用施設等への対策→要配慮者利用施設における土砂災害対策については、土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律に 基づき、市町村地域防災計画において土砂災害警戒区域内の要配慮者利用施設の名称及び所在地を定めるとともに、「土砂災害防止対策基本指針」及び「土砂災害警戒避難ガイドライン」 により市町村の警戒避難体制の充実・強化が図れるよう支援を行っている。 さらに、平成28(2016)年8月の台風10号による社会福祉施設の浸水被害を踏まえ、土砂災害防止法が一部改正され、平成 29(2017)年6月に施行された。本改正により、市町村地域防災計画に位置づけられた要配慮者利用施設の管理者等に対し、避難確保計画の作成及び避難訓練の実施が義務づけられ、施設利用者の円滑かつ迅速な避難の確保を図っている。 水災時における要配慮者利用施設の利用者の円滑かつ迅速な避難を確保するため、平成29年に水防法(昭和24年法律第193号)が改正され、本改正→市町村地域防災計画に位置づけられた浸水想定区域内の要配慮者利用施設の所有者又は管理者に対し避難確保計画の作成及び訓練の実施が義務づけられ、水災防止体制の強化を図っている。
エ 水害対策→浸水被害に対しては、再度災害の防止を図るためのハード整備を着実に推進、ハザードマップなどの円滑かつ 迅速な避難を支援するソフト対策を一体的に行っている。また、 雨量・水位等の河川情報を地方公共団体や地域住民に迅速かつ的確に伝達するため、インターネットや地上デジタル放送等によりリアルタイムで情報提供しており、警報等で危険を知らせている。平成26(2014)年の土砂災害防止法の改正により土砂 災害警戒情報が法律上に明記されるとともに、市町村への通知及び一般への周知が都道府県に義務付けられている。
オ 防火安全対策→全国の消防機関等では、障害のある人等が入居する小規模社会福祉施設等においては、適切な避難誘導体制の確保を図るとともに、消防法令違反の重点的な是正の推進など必要な防火安全対策の徹底を図っている。
カ 音声によらない119番通報→ 消防庁では、スマートフォン等を活用して、音声によらない 円滑な通報を行える新たなシステム(Net119緊急通報システ ム)について、平成29(2017)年3月に標準仕様等をとりまとめ、各消防本部での導入を促進するとともに、厚生労働省と連携して障害のある人への周知・利用促進にも取り組んでいる。

キ 震災における障害のある人たちへの主な支援→東日本大震災及び熊本地震に伴い、被災地、被災者に対して講じられた施策のうち、障害のある人への支援の一環として実施されているものとして、主に次のような施策がある(平成30 (2018)年3月現在)。
@ 利用負担減免等
(ア)利用者への対応について→被災した障害者等にかかる障害福祉サービス等の利用者負担を市町村が免除した場合、この利用者負担額について、国がその全額を財政支援することとした。 (イ)障害福祉サービスの提供について→被災者等を受け入れたときなどに、一時的に、定員を超える場合を含め人員配置基準や施設設備基準を満たさない場合も報酬の減額等を行わないこととした 等。(ウ)介護職員等の派遣、避難者の受入等→各事業所等において、介護職員等が不足している場合には、国や県などの調整を受けて、別の事業所等より介護職員等の派遣を行った 等。 (エ)被災地における障害福祉サービス等の再開支援について→震災を受け被災した障害者支援施設等の復旧事業や事業 再開に要する経費に関する国庫補助事業を実施し、復旧 支援を行った。 等
A 心のケア→東日本大震災における心のケアについては、岩手、宮城、 福島の各県に「心のケアセンター」を活動拠点として設置し、 平成30(2018)年度から、「心のケアセンター」の連携の強化、 福島県外避難者の支援体制の構築、支援者への支援の充実、 専門研修・調査研究の推進等の取組の充実・強化に着手している。 また、熊本地震の心のケアについては、精神医療チームの派遣として、厚生労働省が、発災直後からDMHISS(災害精神保健医療情報支援システム)を活用してDPAT(災害派遣精神医療チーム)の情報集約、派遣調整を行い、現地では、 精神科医療機関への支援として、被災した精神科医療機関から県内及び県外の医療機関に患者搬送を行った。平成28 (2016)年10月に、被災者の精神的健康の保持及び増進を図るため「熊本こころのケアセンター」を設置し、きめ細かな 「専門的な心のケア」を実施している。
B 発達障害→国立障害者リハビリテーションセンターに設置されている 発達障害情報・支援センターでは、震災直後から、発達障害のある人に対する円滑な支援を図るため、被災地で対応する方々に向けて、支援の際の留意点等の情報提供を行った。
C 就学機会確保・就学支援等→文部科学省では、東日本大震災により就学困難となった幼児児童生徒に就学援助等を実施、各都道府県教育委員会等に対し、被災した幼児児童生徒の学校への受入れを要請している。また、熊本地震に被災した幼児児童生徒に 対しても同様の対応を行っている。
D 教師のためのハンドブック→国立特別支援教育総合研究所は、平成23(2011)年度に「震災後の子どもたちを支える教師のためのハンドブック〜発達障害のある子どもへの対応を中心に〜」を作成し、関係機関に配布するとともに、ホームページに掲載をしている。
E 幼児児童生徒の状況把握等→文部科学省及び厚生労働省では、被災した障害のある幼児児童生徒の状況把握及び支援、教育委員会、学校等が支援を必要とする幼児児童生徒を把握した場合に保護者の意向を確認した上で市町村障害児福祉主管課に連絡するなどの教育と 福祉との連携、障害児支援に関する相談窓口等の周知について、各都道府県教育委員会、障害児福祉主管課に対し要請し ている。

(2)防犯対策
ア 警察へのアクセス
→障害のある人が警察へアクセスする際の困難を取り除くため、警察では、スマートフォン等を使用して、画像等の音声以外で緊急通報が行える全国一律の「携帯電話用110番サイトシ ステム」の整備に向けて検討を進めているほか、全都道府県警察における、FAX及びEメールでの緊急通報の受理(FAX110 番及びメール110番)、巡回連絡等を行っている。
イ 犯罪・事故被害の防止→警察では、関係省庁及び関係団体と連携して、住宅等に対する侵入犯罪対策として大きな効果が期待できる防犯性能の高い建物部品の開発・普及を図っている。
ウ 障害者支援施設等における防犯対策の推進→平成28(2016)年7月に神奈川県相模原市の障害者支援施設で発生した殺傷事件を踏まえ、平成28年9月に「社会福祉施設等における防犯に係る安全の確保について(通知)」を発出し、 防犯に係る日常の対応や緊急時の対応に関する具体的な点検項目を示し、各施設において必要な取組がなされるように周知した。

次回は、第5章−第2節「1.情報アクセシビリティの向上」からです。
平成30年版障害者白 [2018年07月26日(Thu)]
平成30年版障害者白書(2018年6月15日) 
http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h30hakusho/gaiyou/index-pdf.html

第5章 住みよい環境の基盤づくり
第1節 障害のある人の住みよいまちづくりと安全・安心のための施策
1.移動等の円滑化の一層の促進(バリアフリー法改正法案の閣議決定・国会提出)
→ @「バリアフリー法」に基づく措置が「共生社会の実現」、「社会的障壁の除去」に資するよう行われるべき旨の基本理念の規定の創設、A公共交通事業者等によるハード対策及びソ フト対策の一体的な取組を推進するための計画制度の創設、Bバリア フリーのまちづくりに向けた地域における取組を強化するため市町村が移動等円滑化促進方針を定めるなどの新たな仕組みの創設、C更なる利用しやすさの確保を図るため、一般貸切旅客自動車運送事業者等の本法の適用を受ける事業者への追加、駅等に加えて道路や建築物等を含む幅広いバリアフリー情報の提供の推進、高齢者、障害のある人等が参画し施策内容の評価等を行う会議の設置等を内容とする、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の一部を改正する法律案を平成30(2018)年2月に閣議決定し、第196回国会に提出した。

2.ユニバーサルデザインの考え方を踏まえたバリアフリー施策の推進→「どこでも、だれでも、自由に、使いやすく」というユニバーサルデザインの考え方を踏まえた、バリアフリー法に基づき、施設等(旅 客施設、車両等、道路、路外駐車場、都市公園、建築物等)の新設等の際の「移動等円滑化基準」への適合義務、既存の施設等に対する適 合努力義務を定めるとともに、「移動等円滑化の促進に関する基本方 針」において、平成32(2020)年度末までの整備目標を定めている。 交通政策基本法(平成25年法律第92号)に基づく交通政策基本計画(平成27年2月閣議決定)においても、バリアフリーをより一層身近なものにすることを目標の1つとして掲げており、これらを踏まえながら バリアフリー化の推進を図っている。
1)公共交通施設や建築物等のバリアフリー化の推進→バリアフリー法では、公共交通機関・建築物・道路・路外駐車 場・都市公園について、バリアフリー化基準に適合するように求め、生活空間におけるバリアフリー化を進めることとしている。
(2)地域における重点的・一体的なバリアフリー化の推進→市町村は、移動等の円滑化を図ることが必要な一定の地区を重点整備地区とし、移動等の円滑化に係る事業の重点的かつ一体的な推進に関する基本構想を作成することができる。 基本構想の作成にあたっては、利用者の視点を反映するよう、以下の制度を設けている。 ア 協議会制度 イ 基本構想作成提案制度
(3)バリアフリー化を推進する上での国及び国民の責務
ア 国民の理解促進→バリアフリー法では、バリアフリー化の促進に関する国民の理解を深め、バリアフリー化の実施に関する国民の協力を求めるよう努めることを国の責務として定めるとともに、高齢者や 障害のある人などの自立した日常生活や社会生活を確保することの重要性についての理解を深めることが、国民の責務として 定められている。
イ 「スパイラルアップ」の導入等→具体的な施策や措置の内容について、施策に関係する当事者の参加の下、検証し、新たな施策や措置を講じる「スパイラルアップ」を、バリアフリー法では、国の果たすべき責務として 位置づけている。

3.住宅のバリアフリー化の推進
(1)設計、設備の面で障害のある人に配慮した住宅の供給

ア 公共賃貸住宅のバリアフリー化の推進→ 新設される全ての公営住宅、都市再生機構賃貸住宅、改良住 宅及び公社賃貸住宅について、原則として障害のある人の心身の特性に応じた設備等の設置に配慮し、バリアフリーを標準仕様としている。
イ 障害のある人等の利用に配慮した住宅ストックの形成の推進→「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針」により、身体機能が低下した場合にも住み続けられるような住宅の設計上の配 慮事項を示している。
(2)住宅リフォーム→障害のある人等が居住する住宅について、一定のバリアフリー 改修工事を行った場合に、所得税額や固定資産税額を軽減する特例措置を設けている。また、長期優良住宅化リフォーム推進事業において、住宅の長期優良化に資するリフォームと併せて行うバリアフリーリフォームについても支援を行っている。

4.建築物のバリアフリー化の推進
(1)官庁施設のバリアフリー化
(2)人にやさしい建築物の整備
3)バリアフリー法に伴う助成等→認定特定建築物等のうち一定のものについては、障害のある人等の利用に配慮したエレベーター、幅の広い廊下等の施設整備に対する助成制度(バリアフリー環境整備促進事業)により支援している。 総務省では、地方公共団体が実施する公共施設等のユニバーサルデザイン化のための改修事業等について、平成30(2018)年度より、公共施設等適正管理推進事業債にユニバーサルデザイン化事業を追加し、財政措置を講じることとしている。
(4)表示方法の統一
ア 点字表示→「高齢者・障害者配慮設計指針─点字の表示原則及び点字表 示方法─公共施設・設備(JIS T0921)」を平成18(2006)年に制定し、平成21(2009)年には消費生活製品に関して、「高齢者・ 障害者配慮設計指針─点字の表示原則及び点字表示方法─消費生 活製品の操作部(JIS T0923)」を制定した。また、平成28(2016)年度にJIS T0923をJIS T0921に統合し、JIS T0921を「アクセ シブルデザイン─標識、設備及び機器への点字の適用方法」へ と改正した。
イ 案内用図記号→不特定多数の人々が利用する公共施設や企業内の施設において、文字や言語によらず対象物、概念又は状態に関する情報を提供する図形(案内用図記号)は、視力の低下した高齢者や障害のある人、さらに外国人等でも容易に理解することができ、 文字や言語に比べて優れた情報提供手段である。JIS Z8210については、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを契機 に外国人観光客の増加が見込まれることから、外国人観光客などにも、より分かりやすい図記号にするため、平成29(2017) 年7月に改正し、国際規格との整合化の観点から7つの図記号 について変更するとともに、15種類の図記号及び外見からは障害があることが分かりにくい人が周囲に支援が求めやすくする「ヘルプマーク」の図記号を新たに追加した。
ウ 公共トイレ、触知案内図→視覚障害のある人が、鉄道駅、公園、病院、百貨店などの不 特定多数の人が利用する施設・設備等を安全で、かつ、円滑に 利用できるようにするため、「高齢者・障害者配慮設計指針─ 公共トイレにおける便房内操作部の形状、色、配置及び器具の 配置(JIS S0026)」、「同指針─触知案内図の情報内容及び形状 並びにその表示方法(JIS T0922)」及び「同指針─触覚情報─ 触知図形の基本設計方法(JIS S0052)」を制定している。

5.公共交通機関、歩行空間等のバリアフリー化の推進
(1)公共交通機関のバリアフリー化
ア 法令等に基づく公共交通機関のバリアフリー化の推進
→下記の@〜B平成29(2017)年度末に改訂を行った→@ バリアフリー法に基づく公共交通機関のバリアフリー化の推進、A 旅客施設に関するガイドラインの策定、B 車両等に関するガイドライン等の整備
イ 施設整備及び車両整備に対する支援 →@都市鉄道整備事業及び地域公共交通確保維持改善事業などにおいて、バリアフリー化に要する経費の一部補助を実施。また、地下鉄事業のバリアフリー化を含む建設改良事業に対する財政融資及び地方公共団体金融機構の融資制度が設けられている。 A ノンステップバス、リフト付きバス、福祉タクシー、低床式路面電車(LRV)等の導入に対し、訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業などに経費の一部補助を行っている。 B 地域公共交通確保維持改善事業において、高度バリアフリー化船の建造及び船舶のバリアフリー化のための改造に要する経費の一部補助を実施している。
(2)歩行空間等のバリアフリー化
ア 福祉のまちづくりの推進
→幅の広い歩道の整備や建築物の出入口の段差の解消、鉄道駅 舎のエレベーターの設置やホームドア等の転落防止設備の導入、音響式信号機等の整備等による障害のある人の円滑な移動の確保、公園整備等による憩いと交流の場の確保等、福祉の観 点も踏まえた総合的なまちづくりが各地で進められている。こ のほか、福祉のまちづくりへの取組を支援するため、以下のような施策を実施→ @ 公共交通機関の旅客施設等を中心としたまちのバリアフリー化の推進 A農山漁村における生活環境の整備 B 普及啓発活動の推進
イ 都市計画等による取組→全国の都市の再生を効率的に推進する観点から、地域の創意 工夫を生かした個性あふれるまちづくりを実施するため、都市再生整備計画に基づく事業(都市再生整備計画事業)に対して、社会資本整備総合交付金による支援を行っている。 市街地再開発事業等→再開発ビルに一定の社会福 祉施設等を導入するものを「福祉空間形成型プロジェクト」と位置付け、通常の助成対象に加え、共用通行部分整備費、駐車場 整備費等を助成対象とするとともに、社会福祉施設等と一体的に整備する場合の整備費に関する助成額の割増を実施。 また、バリアフリー化等に対応した施設建築物を整備する場合に生じる付加的経費について、別枠。
ウ 歩行空間のバリアフリー化→バリアフリー法に基づき、駅、官公庁施設、病院等を結ぶ道路や駅前広場等において、高齢者や障害のある人を始めとする誰もが安心して通行できるよう、幅の広い歩道の整備や歩道の段差・傾斜・勾配の改善、無電柱化、視覚障害者誘導用ブロックの整備等による歩行空間のバリアフリー化を推進。 さらに、バリアフリー法に基づく基本方針では、重点整備地区内の主要な生活関連経路を構成する道路に設置されている信号機等→平成32(2020)年度までに、原則として全ての当該道路において、バリアフリー対応型信号機等の設置等の 移動等円滑化を実施することを目標としている。
エ 路外駐車場のバリアフリー化→バリアフリー法に路外駐車場のバリアフリー化が位置づけられ、同法の規定に基づき、「移動等円滑化のために必要な特定路外駐車場の構造及び設備に関する基準を定める省令」(平成 18年国土交通省令第112号)を制定し、バリアフリー化を推進(平成28(2016)年度末現在の特定路外駐車場のバリアフリー化率:約60.5%)。 また、同法の規定に基づく基本方針において、特定路外駐車場のバリアフリー化の目標を定めている。
(3)移動支援
ア 福祉タクシー等の普及促進
→障害のある人等の輸送をより便利にするため、地域公共交通 確保維持改善事業により福祉タクシー車両の導入等に対して経費の一部補助を行うなど、福祉タクシーの普及促進を図っている。 屋外での移動が困難な障害のある人について、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法 律第123号)に基づく地域生活支援事業において、各市町村が 地域の特性や利用者のニーズに応じて、個別支援型、グループ 支援型及び車両移送型など柔軟な形態で、ガイドヘルパーの派 遣などのサービスを提供する「移動支援事業」を実施している。
イ 移動支援システムの研究開発→経済産業省では、障害のある人等がITを活用して社会・経済に積極的に参画できる環境を整備するため、平成22(2010) 年度に「高齢者・障害者配慮設計指針―移動支援のための電子 的情報提供機器の情報提供方法(JIS T0901)」として規格化している。
ウ 障害のある人に対する運賃・料金割引→鉄道、バス、タクシー、旅客船、航空等の各公共交通機関で は、身体障害者手帳の交付を受けた身体に障害のある人・療育 手帳の交付を受けた知的障害のある人及び常時介護を要するこれらの人の介護者に対して運賃・料金の割引を実施。 精神障害者保健福祉手帳については、写真貼付を行うこととし、本人確認を容易にし、公共施設の入場料や公共交通機関の 運賃に対する割引等の支援の協力を得やすくしている。さらに、 発達障害のある人及び高次脳機能障害のある人について、平成 23(2011)年4月には、手帳の診断書の様式及び判定基準を改正した。
エ 駐車禁止の交通規制からの除外措置→一定の障害のある人に対して駐車禁止除外指定車標章を交付し、駐車禁止の交通規制の対象から除外している。
オ 障害者等用駐車区画の適正利用の確保→国土交通省では、障害者等用駐車区画の適正利用を確保する観点から、多くの地方公共団体において導入されている「パー キングパーミット制度」について、好事例の共有を通じた制度の改善を促進するとともに、制度のメリット等の周知を行う等 により未導入の地方公共団体に対する制度の普及促進を図るこ ととしている。
カ ICTを活用した歩行者移動支援の推進→国土交通省では、多様な主体によるサービス創出に向けた オープンデータ推進等の環境整備を行っており、施設や経路のバリアフリー情報等の移動に必要なデータを多様な主体により 継続的に収集する方法について検討している。
4)ユニバーサルツーリズムの促進とバリアフリー情報の提供→観光庁では、平成24(2012)年3月に閣議決定した「観光立国 推進基本計画」に基づき、障害のある人を含む誰もが旅行を楽しむことが出来るユニバーサルツーリズムを促進。 平成29(2017)年度には、「ユニバーサルデザイン2020行動計画」に基づき、宿泊施設、旅行業者、観光地域それぞれの接遇マニュアルを作成し、その普及方法をとりまとめるとともに、旅行相談 窓口及び宿泊施設のバリアフリー情報発信のあり方の検討を行った。
5)公園、水辺空間等のバリアフリー化
ア 公園整備における配慮
→バリアフリー法では、一定の要件を満たした園路及び広場、休憩所、並びに便所等の特定公園施設について、新設等の際の基準への適合義務、既存の施設等に対する適合努力義務を定めている。都市公園のバリアフリー化については、園路の幅の確保や段差・勾配の改善、車いす使用者を始め、多くの人にとっ て利用可能な駐車場やトイレの設置など、公園施設のバリアフ リー化を今後一層推進していくとしている。
イ 水辺空間の整備における配慮→河川利用上の安全・安心に係る河川管理施設の整備により、 良好な水辺空間の形成を推進。また、海岸保全施設のバリアフリー化を推進。
ウ 港湾緑地・マリーナ等における配慮→港湾緑地は、計画段階から周辺交通施設との円滑なアクセス 向上に配慮するとともに、施設面においてもバリアフリー対応が図られるよう取り組んでいる。また、マリーナ等施設のバリアフリー化を推進している。
エ 森林の施設の整備における配慮→ユニバーサルデザインの考え方を踏まえた森林歩道等の整備を推進している。

6.安全な交通の確保
(1)安全かつ円滑な通行の確保
ア 生活道路対策の推進
→生活道路等において、都道府県公安委員会と道路管理者が連 携し、信号機の新設・改良、歩道等の整備、車両の速度抑制や 通過交通の侵入抑制を図る物理的デバイスの設置等の対策を推進、最高速度30km/hの区域規制に加え、その他の安全対策を必要に応じて組み合わせて、区域内における速度の抑制や通過交通の抑制・排除を図る「ゾーン30」等の面的かつ総合的な事故抑止対策を推進している。
イ 利用する視点からの歩行空間の整備→歩行空間の整備に当たっては、「交通安全総点検」の点検結 果を新規整備の際に活用するなど計画段階から住民が参加した整備を推進。
ウ 障害のある人等の利用に配慮した信号機等の設置→音響により信号表示の状況を知らせる音響式信号機、信号表 示面に青時間までの待ち時間及び青時間の残り時間を表示する 経過時間表示機能付き歩行者用灯器、歩行者等と車両が通行する時間を分離して交通事故を防止する歩車分離式信号等のバリアフリー対応型信号機等の整備を推進している。
エ 障害のある人等が運転しやすい道路交通環境の整備→障害のある人を含む全ての人が安心して運転できるよう、ゆとりある道路構造の確保や視環境の向上、疲労運転の防止等を図る、道の駅等の休憩施設の整備、付加車線(ゆずり車線)の整備、道路照明の増設を行うとともに、高速道路等のサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)、自動車駐車場等において障害者用トイレや障害者用駐車スペース等の設置を実施、信号灯器のLED化、道路標識・道路標示の高輝度化、交通情報提供装置の整備、道路情報板、情報ターミナル等の道路情報提供装置やそれを支える光ファイバ網等の情報通信基盤の整備を推進。
オ 走行音の静かなハイブリッド車等への対策→国土交通省においては、平成22(2010)年1月に「ハイブリッド車等の静音性に関する車両接近通報装置のガイドライン」を定め、自動車メーカー等の関係者に周知し、本ガイドラインを基に、国連において日本が策定を主導してきた国際基準が平成28(2016)年3月に成立し、同年10月に発効したことに合わせ、ハイブリッド車等に車両接近通報装置を義務付ける法令を公布した。
カ ITSの推進と自動運転の実現に向けた取組→過疎地域等地方における移動手段の確保や、ドライバー不足への対応等が喫緊の課題であることを踏まえ、高齢者、障害者等の安全快適な移動に資するTSPS(信号情報活用運転支援シ ステム)、DSSS(安全運転支援システム)、ETC2.0等のITS(高度道路交通システム)の研究開発及びサービス展開を実施するとともに、高度自動運転システムの開発や、地方、高齢者、障害者等向けの無人自動運転移動サービス実現に取り組む。 @ TSPS(信号情報活用運転支援システム) 運転者に信号交差点への到着時における信号灯火等に関する情報を事前に提供することで、ゆとりある運転を促し、急 停止・急発進に伴う交通事故の防止等を図っている。 A DSSS(安全運転支援システム) 道路に設置された無線機等から運転者へ周辺の交通状況等を視覚・聴覚情報により提供することで、危険要因に対する注意を促し、ゆとりを持った運転ができる環境を作り出すことにより、交通事故防止を図っている。 B ETC2.0 ETC2.0は、大量の情報の送受信が可能となることや、イ ンターチェンジの出入り情報だけでなく経路情報の把握が可能となることなど、これまでのETCと比べて格段と進化した機能を有しており、道路利用や道路政策に様々なメリット をもたらし、ITS推進に大きく寄与するシステムである。 全国の高速道路上に設置された路側機を活用し、広域的な渋滞情報の提供や、カーブ先の見えない渋滞といった危険な状況の注意喚起など、交通の円滑化と安全に向けた取組を進めている。 また、路側機から収集される速度や利用経路、急ブレーキ のデータなど、多種多様できめ細かいビックデータを活用して、ピンポイント渋滞対策や交通事故対策など、安全な生活道路づくりに取り組んでいる。
(2)歩行者に対する保護意識の高揚等→運転者に対しては、運転者教育、安全運転管理者による指導その他広報啓発活動を推進。また、障害のある人に対しては、字幕入りビデオの活用や参加・体験・実践型の交通安全教室 の開催等により、きめ細かい交通安全教育を推進している。
(3)電動車椅子の型式認定→道路交通法上(昭和35年法律第105号)、一定の基準に該当する原動機を用いる身体障害者用の車椅子を通行させている者は歩行者とされるが、平成29(2017)年度において、その基準に該当する11型式が型式認定された。
(4)運転免許取得希望者への配慮→各都道府県警察の運転免許試験場に、スロープ、エレベーター等を整備することに努めているほか、運転適性相談窓口を設け運転免許取得に関する相談を行っている。 また、身体に障害のある人が、身体の状態に応じた条件を付す ことにより、自動車の安全な運転に支障を及ぼすおそれがないと認められるときは、身体に障害のある人のために改造を行った持込み車両等による技能試験を受けることができる等している。

次回は、第5章−第1節「7.防災、防犯対策の推進」からです。

平成30年版障害者白書 [2018年07月25日(Wed)]
平成30年版障害者白書(2018年6月15日) 
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第4章 日々の暮らしの基盤づくり
第1節 生活安定のための施策


6.福祉用具の研究開発・普及促進と利用支援
(1)福祉用具の普及
→補装具費の支給は、義肢、装具、車椅子、盲人安全つえ、補聴器等の補装具の購入又は修理に要した費用の一部について公費を支給するもの。 平成30(2018)年度より、購入を基本とする原則は維持した上で、 障害のある人の利便に照らして「借受け」が適切と考えられる場合に限り、新たに補装具費の支給の対象となった。 日常生活用具の給付(貸与)は、日常生活を営むのに著しく支障のある障害のある人に対して、日常生活の便宜を図るため、特殊寝台、特殊マット、入浴補助用具等を給付又は貸与するものであり、地域生活支援事業の一事業として位置付けられ、実施主体である市町村が地域の障害のある人のニーズを勘案の上、柔軟な運用を行っている。

(2)情報・相談体制の充実→福祉用具の情報→公益財団法人テクノエイド協会で福祉用具の製造・販売企業の情報や福祉用具の個別情報にかかるデータベース(福祉用具情報システム:TAIS)を構築しており、インターネットを通じてこれらの情報を提供。
(3)研究開発の推進→平成5(1993)年度より福祉用具の研究開発及び普及の促進に 関する法律(平成5年法律第38号)に基づいて、福祉用具の実用化開発事業を推進。本事業では、高齢者や障害のある人、 介護者の生活の質の向上を目的として優れた技術や創意工夫のある福祉用具の実用化開発を行う民間企業等に対し、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)を通じて研 究開発費用の助成を行っている。
(4)標準化の推進→より優れた福祉用具の開発・普及を推進するため、平成16(2004) 年度から平成29(2017)年度までに日本工業規格(JIS)を活用 した福祉用具の標準化を推進。平成29年度までに、JIS Z8071(規格におけるアクセシビリティ配慮のための指針)を含めて40規格を制定しアクセシブルデザインに関する横断的な評価 基準等の作成に向けた検討を行っている。

7.サービスの質の向上
(1)障害福祉人材の処遇改善
→平成28(2016)年6月 に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」等に基づき、平成29(2017)年4月には、競合他産業との賃金差がなくなるよう、 職員のキャリアアップの仕組みを構築した事業所について職員1人当たり、月額平均1万円相当の改善を行うための臨時の報酬改定を行った。
(2)第三者評価事業→第三者評価事業については、平成29(2017)年2月には、障害者・児福祉サー ビス固有の状況を踏まえた評価が円滑に実施されるよう、障害者・児福祉サービスに係る共通評価基準及び内容評価基準等についても、見直しを行っている。
(3)障害福祉サービス等情報公表制度→施設や事業者が事業の内容等を都道府県知事へ報告し、報告を受けた都道府県知事がこれを公表する仕組みである「障害福祉サービス等情報公表制度」 を創設した(平成30(2018)年4月施行)。

8.専門職種の養成・確保
(1)福祉専門職
ア 社会福祉士、介護福祉
士→社会福祉士については、資格登録者数221,251人(平成30(2018) 年3月末)、介護福祉士については、資格登録者数1,558,897人(平 成30年3月末)を数えている。
イ 精神保健福祉士→資格登録者数は80,891人(平成30(2018)年3月末)数えている。

(2)リハビリテーション等従事者
ア 理学療法士、作業療法士
→ 平成29(2017)年12月現在の資格登録者数は、理学療法士は 151,588人、作業療法士は85,107人。
イ 視能訓練士、義肢装具士→ 平成29(2017)年12月現在の資格登録者数は、視能訓練士は 14,469人、義肢装具士は5,091人となっている。
ウ 言語聴覚士→ 平成29(2017)年12月現在の言語聴覚士の資格登録者数は 29,198人。 エ 公認心理師→ 公認心理師法(平成27年法律第68号)が平成27(2015)年9 月に成立し、平成29(2017)年9月から施行された。平成30(2018) 年9月に第1回国家試験が実施される。

(3)国立専門機関等の活用→ 国立障害者リハビリテーションセンター学院において、障害のある人のリハビリテーション・福祉に従事する専門職を養成する6学科を設置するとともに、現に従事している各種専門職に対し て、知識・技術向上のための研修を実施。


第2節 保健・医療施策
1.障害の原因となる疾病等の予防・治療
(1)障害の原因となる疾病等の予防・早期発見
ア 健康診査
→ 早期発見・早期治療のため、新生児を対象としたマススクリーニング検査の実施及び聴覚障害の早期発見・早期療育を目的とした新生児聴覚検査の実施を推進。 また、1歳6か月児及び3歳児の全てに対し、総合的な健康診査を実施、その結果に基づいて適切な指導を行っている。 学校→就学時や毎学年定期に児童生徒の健康診断。職場→労働者を雇い入れた時及び定期に健康診断を実施を事業者に義務づけている。
イ 保健指導→ 妊産婦や新生児・未熟児等に対して、障害の原因となる疾病等を予防し、健康の保持増進を図るために、家庭訪問等の個別指導による保健指導が行われている。
ウ 生活習慣病の予防→ がん、糖尿病等のNCDs(非感染性疾患)の予防等の具体的な目標等を明記した「健康日本21(第二次)」(厚生労働省告示)に基づく国民健康づくり運動を平成25(2013)年度より開始。
(2)障害の原因となる疾病等の治療→平成29(2017)年4月に都道府県に対して、難病の医療提供体制の構築に係る手引きを通知した。
(3)正しい知識の普及→学校安全の充実→ 学校においては、児童生徒等が自他の生命を尊重し、日常生 活全般における安全に必要な事柄を実践的に理解し、安全な生 活ができるような態度や能力を養うことが大切であるため、体育科、保健体育科、特別活動など学校の教育活動全体を通じて 安全教育を行っている。

2.障害のある人に対する適切な保健・医療サービスの充実
(1)障害のある人に対する医療・医学的リハビリテーション
ア 医療・リハビリテーション医療の提供
→身体障害の状態を軽減するための医療(更生医療及び育成医療)及び精神疾患に対する継続的な治療(精神通院医療)を自立支援医療と位置づけ、 その医療費の自己負担の一部又は全部を公費負担。 また、平成30(2018)年度の診療報酬改定において、入退院支援や退院時の指導等の要件に障害福祉サービスにおける相談支援事業者との連携を追加するとともに、自宅等で暮らす重症精神疾患患者に対する多職種共同の訪問支援等について評価の充実や継続的な支援を可能とする見直しを行った。さらに、医療的ケアが必要な児に対する長時間の訪問看護について評価の充実を行った。

次回は、「第5章 住みよい環境の基盤づくり」からです。
平成30年版障害者白書 [2018年07月24日(Tue)]
平成30年版障害者白書(2018年6月15日) 
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第4章 日々の暮らしの基盤づくり
第1節 生活安定のための施策


2.在宅サービス等の充実
(1)在宅サービスの充実
→「障害者総合支援法」においては、居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護及び重度障害者等包括支援を実施。

(2)住居の確保
ア 福祉施策における住居の確保支援
→ 平成30(2018)年度の障害福祉サービス等報酬改定では、常時の支援体制を確保することにより、 利用者の重度化・高齢化に対応できるグループホームの新たな類型として「日中サービス支援型指定共同生活援助」を設けた (平成30年4月施行)。 地域生活支援事業における相談支援事業に住宅入居等支援事業(居住サポート事業)を位置づけ、公的賃貸住宅及び民間賃 貸住宅への入居を希望する障害のある人に対して、不動産業者 に対する物件のあっせん依頼及び家主等との入居契約手続等と いった入居支援や、居住後のサポート体制の調整をしている。ま た、障害のある人が地域の中で生活することができるように、低額な料金で居室などを利用する福祉ホーム事業を実施している。

イ 住宅施策における住宅の確保支援→住生活基本法(平成18年法律第61号)の理念にのっとり賃貸住宅の供給促進に関する基本事項等を定めた住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(平成19年法律第 112号)に基づき、公営住宅やそれを補完する公的賃貸住宅の 的確な供給及び民間賃貸住宅への円滑な入居の支援等の各種施 策を一体的に推進。また、住宅確保要配慮者に対する 賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律(平 成29年法律第24号)(平成29年4月26日公布、同年10月25日施行)により、民間賃貸住宅や空き家を活用した住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度等を内容とする新たな住宅 セーフティネット制度を創設→ @ 障害のある人に配慮した公的賃貸住宅の供給 A 民間賃貸住宅への円滑な入居の促進

ウ 住宅施策と福祉施策との連携→公営住宅については、障害のある人の共同生活を支援することを目的とするグループホーム事業へ活用することができることとしており、公営住宅等を障害のある人向けのグループホームとして利用するための改良工事費について支援している。また、生活支援サービス付き公営住宅(シルバーハウジング)については、地方公共団体の長が特に必要と認める場合に、障害のある人を含む世帯の入居を可能とし、その居住の安定を図っている。 さらに、平成30(2018)年度から、既存の公営住宅や改良住宅の大規模な改修と併せて、障害者福祉施設等の生活支援施設 の導入を図る取組に対しても支援を行う。 民間賃貸住宅については、居住支援協議会や居住支援法人を活用し、障害のある人を含む世帯等の民間賃貸住宅への円滑な入居を支援している。

(3)自立及び社会参加の促進→平成 19(2007)年度に身体障害者補助犬法の一部を改正する法律(平 成19年法律第126号)が成立、平成20(2008)年4月から、都道府県等が苦情の申し出等に関する対応をすることが明確化され、同年10月から、一定規模以上の事業所や事務所において、勤務する身体に障害のある人が身体障害者補助犬を使用することを拒んではならないこととされている。

(4)発達障害児者施策の充実
ア 発達障害の定義
→発達障害者支援法(平成16年法律第167号)において、「発達障害」は、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの等と定義されている。

イ 発達障害者支援の推進
@ 発達障害者支援の体制整備
→厚生労働省においては、乳幼児期から高齢期までの一貫した発達障害に係る支援体制の整備、困難ケースへの対応や適切な医療の提供を図るため、地域生活支援事業の「発達障害者支援体制整備事業」の中で、都道府県等が地域支援の中核である発達障害者支援センター等に発達障害者地域支援マネ ジャーを配置し、市町村、事業所等への支援や医療機関との連携を強化することを推進。また、平成29(2017) 年度から発達障害のある人やその家族等をきめ細かく支援するために、都道府県等が「発達障害者支援地域協議会」を設置し、市町村又は障害保健福祉圏域ごとの支援体制の整備の 状況や発達障害者支援センターの活動状況を検証することを支援している。
A 発達障害児者及び家族への支援→平成30(2018)年度からは、地域生活支援事業の「発達障害児者及び家族支援等事業」として、発達障害児者の家族同士の支援を推進するため、同じ悩みを持つ本人同士や発達障害児者の家族に対する ピアサポート等の支援を新たに盛り込んだ。
B 発達障害者支援センター運営事業→ 厚生労働省は、発達障害のある人及びその家族等 に対して相談支援、発達支援、就労支援及び情報提供などを行う「発達障害者支援センター」の整備を図ってきた、現在全ての都道府県・指定都市に設置されている。
C 支援手法の開発と情報発信→ 厚生労働省は、発達障害児者を支援するための支援手法の開発、関係する分野との協働による支援や切れ目のない支援等を整備するための「発達障害児者地域生活支援モデル事業」を実施。
D 発達障害の早期支援→平成23(2011)年度から発達障害等に関して知識を有する専門員が保育所や放課後児童クラブ等を巡回し施設の職員や親に対し障害の早期発見・早期対応のための助言などの支援を行う「巡回支援専門員」の派遣に対し財政支援を行っている。
E 人材の育成→都道府県等においては、平成28(2016)年度から、発達障害における早期発見・早期支援の重要性に鑑み、小児科医などのかかりつけ医等の医療従事者に対して、発達障害に関する国の研修内容を踏まえ、発達障害に対する対応力を向上させるための研修を実施し、どの地域においても一定水準の発達障害の診療及び対応が可能となるよう医療従事者の育成に取り組んでいる。 さらに厚生労働省では、平成30(2018)年度から「発達障害専門医療機関ネットワーク構築事業」において、都道府県等が、発達障害の診療や支援を行う医師等を養成するための 実地研修等を実施することを支援することとした。

(5)盲ろう者等への対応
ア 盲ろう者への対応
→ 盲ろう者とは、「視覚と聴覚に障害がある者」、全盲ろう、盲難聴、弱視ろう、弱視難聴の4つのタイプがある。平成 25(2013)年度から、障害者総合支援法の地域生活支援事業においては、盲ろう者の自立と社会参加を図るため、コミュニケーションや移動の支援を行う「盲ろう者向け通訳・介助員養成研修事業」及び「盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業」を、都道府県の必須事業として実施。平成27(2015)年度からは「盲ろう者向けパソコン指導者養成研修事業」等を実施するなど、盲ろう者に対するコミュニケーション支援等の充実を図っている。
イ 強度行動障害への対応→障害児入所施設等の指定施設において適切な支援と環境の提 供を行うために「強度行動障害児特別支援加算」等による支援が行われている。平成25(2013)年度から「強度行動障害支援者養成研修」を創設、平成27(2015)年度の報酬改定において「重度障害者支援加算」の見直しを行い、研修修了者を報酬上評価すること、及び行動援護従業者に対して、研修の受講を必須化すること等により支援の充実を図っている。 また、平成30(2018)年度の報酬改定において児童発達支援又は放課後等デイサービスを提供する事業所が、研修を修了した職員を配置し、強度行動障害のある子供を支援する場合の加算を創設している。
ウ 難病患者等への対応→ 平成25(2013)年4月から施行された障害者総合支援法→障害者の定義に難病患者等を追加して障害福祉サービ ス等の対象とし、新たに対象となる難病患者等は、身体障害者手帳の所持の有無にかかわらず、必要に応じて障害程度区分(平成26(2014)年4月からは障害支援区分)の認定などの手続を経た上で、市区町村において必要と認められた障害福祉サービス等(障害児にあっては、児童福祉法に基づく障害児支援)が 利用できることとなった。また、障害者総合支援法における対象疾病(難病等)の範囲については、平成30(2018)年4月1 日より359疾病に拡大している。 

3.経済的自立の支援
(1)年金制度等による所得保障
→原則として全ての障害のある成人が年金を受給できることになり、年金は障害のある人の所得保障において重要な役割を果たしている。 その他、都道府県・指定都市において、保護者が生存中掛金を 納付することで、保護者が死亡した場合等に、障害のある人に生涯年金を支給する障害者扶養共済制度(任意加入)が実施されている。
(2)個人財産の適切な管理の支援→認知症の人、知的障害のある人、精神障害のある人など、判断能力の不十分な人々の財産管理の支援等に資する成年後見制度及び成年後見登記制度について周知を図っている。

4.施設サービスの再構築
(1)地域生活を支える拠点としての施設整備
→地域での生活を念頭に置いた社会生活の技能を高めることを目指し、施設等から地域生活への移行を促進するとともに、地域生活を支える拠点として、施設の専門的機能を地域に開放する「地域化」を進めることとしている。
(2)施設の地域利用→施設に対しては、施設が蓄えてきた知識や経験を活用し、施設の持っている様々な機能を地域で生活している障害のある人が利用できるように、各種在宅サービスを提供する在宅支援の拠点として地域の重要な資源として位置づけ、取組の一層の充実を図ることとしている。第5期障害福祉計画において、障害者 の地域生活を支援する機能を持った拠点等を各市町村、又は各圏域に少なくとも1つ整備することとなっている。

5.スポーツ・文化芸術活動の推進
(1)スポーツの振興
ア 障害者スポーツの普及促進
→ 平成27(2015)年度から、一部の都道府県・政令指定都市において、スポーツ関係者と障害福祉関係者が連携・協働体制を構築する事業を実施している。平成30(2018)年度からは、地域における障害者スポーツの振興体制の強化、身近な場所でスポーツを実施できる環境の整備を図る取組や、障害者スポーツ団体と民間企業とのマッチング等により障害者スポーツ団体の体制の強化を図る取組を実施することとしている。
イ 障害者スポーツの競技力向上→平成30(2018)年3月、平昌パラリンピック競技大会が開催され、日本選手団は3個の金メダルを獲得し、総メダル 数では前回大会を上回る10個のメダルを獲得した。 スポーツ庁では、「競技力強化のための今後の支援方針(鈴 木プラン)」(平成28(2016)年10月)や「スポーツ基本計画」 (平成29(2017)年3月)に基づき、オリンピック競技とパラリンピック競技の支援内容に差を設けない一体的な競技力強化 支援に取り組んでいる。平成29年度から「ハイパフォー マンスセンターの基盤整備」において、2020年東京大会等に向けた我が国アスリートのメダル獲得の優位性を確実に向上させるため、競技用具の機能等を向上させる取組を実施。 加えて、オリンピック競技とパラリンピック競技の一体的な拠点としてナショナルトレーニングセンターの拡充整備に取り組んでおり、平成31(2019)年6月末の完成を目指して整備工事を実施。
(2)文化活動の振興→「2020年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技 大会の準備及び運営に関する施策の推進を図るための基本方針」(平成27年11月27日閣議決定)において、日本文化の魅力を発信していくこととしている。平成28(2016)年3月に、関係府省庁、 東京都、大会組織委員会を構成員とする「2020年東京オリンピッ ク・パラリンピック競技大会に向けた文化を通じた機運醸成策に関する関係府省庁等連絡・連携会議」を開催した。その中で2020 年以降を見据え、日本の強みである地域性豊かで多様性に富んだ文化を活かし、障害のある人にとってのバリアを取り除く取組等成熟社会にふさわしい次世代に誇れるレガシー創出に資する文化 プログラムを「beyond2020プログラム」として認証するとともに、 日本全国へ展開することを決定した。平成30(2018)年3月末時点で約4,000件の事業を認証した。

次回は、第4章−第1節「6.福祉用具の研究開発・普及促進と利用支援」からです。
平成30年版障害者白書 [2018年07月23日(Mon)]
平成30年版障害者白書(2018年6月15日) 
http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h30hakusho/gaiyou/index-pdf.html
第4章 日々の暮らしの基盤づくり

第1節 生活安定のための施策
1.利用者本位の生活支援体制の整備
(1)障害者総合支援法の改正
→施行後3年を目途とする見直し。障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律(平成28年法律第65号)が平成28(2016)年5月に成立。今回の障害者総合支援法の改正では、「障害者の望む地域生活への支援」、「障害児支援のニーズのきめ細かな対応」、「サービスの質の確保・向上に向けた環境整備」を主な柱としている。
(2)障害者総合支援法の概要
ア 障害福祉サービス
@ 障害種別によらない一体的なサービス提供
→平成25(2013)年度の障害者総合支援法の施行により、障害福祉サービス等の対象となる障害者の範囲に難病患者等が含まれることとなった。制度の対象となる疾病(難病等)については、難病患者等居宅生活支援事業の対象となっていた 130疾病を対象としていたが、平成30(2018)年4月1日よ り359疾病に拡大。 平成30年度の障害福祉サービス等報酬改定においては、障害種別によって訓練の類型が分かれていた自立訓練(機能訓練、生活訓練)を障害の区別なく利用できる仕組みに改め、利用者の障害特性に応じた訓練を身近な事業所で受けられるようにした。 A 市町村による一元的な実施→障害者自立支援法(平成17年法律第123号)施行後は、市町村に実施主体に一元化、都道府県はこれをバックアップする仕組みに改め、障害のある人たちにサービスを提供できるようになっている。
イ 利用者本位のサービス体系
@ 地域生活中心のサービス体系
→障害者総合支援法により、平成26(2014)年4月1日から、 地域生活への移行のために支援を必要とする者を広く地域移行支援の対象とする観点から、障害者支援施設等に入所している障害のある人又は精神科病院に入院している精神障害のある人に加えて、保護施設、矯正施設等に入所している障害のある人を地域移行支援の対象とすることとした。また、障害のある人が身近な地域において生活するための様々なニー ズに対応する観点から、重度の肢体不自由者に加え、行動障害を有する知的障害のある人又は精神障害のある人を重度訪 問介護の対象とすることとした。
A 「日中活動の場」と「住まいの場」の分離→障害者自立支援法における日中活動支援については→療養介護 ・生活介護 ・自立訓練 ・就労移行支援 ・就労継続支援 ・地域活動支援センター
B 障害のある人の望む地域生活の支援→・就労定着支援 ・自立生活援助
C 地域の限られた社会資源を活かす 通所施設の民間の運営主体については、社会福祉法人に限られていたが、これを特定非営利活動法人、医療法人等、社会福祉法人以外の法人でも運営することができるように規制を緩和。

ウ 福祉施設で働く障害のある人の一般就労への移行促進等
@ 就労支援の強化→
一般就労を希望する人には、できる限り一般就労が可能となるように支援を行い、一般就労が困難である人には、就労 継続支援B型事業所等での工賃の水準が向上するように支援を行ってきている。就労系障害福祉サービスから一般就労への移行者数は10.5倍に増加(平成15(2003)年度1,288人→平 成28(2016)年度13,517人)し、就労系障害福祉サービスの 利用者は3.3倍に増加(平成15年度97,026人→平成28年度 322,254人)している。
A 工賃向上のための取組→平成24(2012)年度からは「工賃向上計画」を策定、工賃向上に向けた取組を進めている。また、特別な事情がない限り、個々の事業所における「工賃向上計画」を作成し、事業所責任者の意識向上、積極的な取組を促し、 都道府県の計画では、官公需による発注促進についても、目標値を掲げて取り組んでいる。

エ 支給決定の透明化・明確化
@ 障害程度区分の導入と障害支援区分への見直し
→障害者総合支援法では障害程度区分を障害の多様な特性その他の心身の状態に応じて必要とされる標準的な支援の度合いを総合的に示す「障害支援区分」に改め、平成26(2014)年4月から施行。
A 支給決定に係るプロセスの透明化等→市町村が事前に障害のある人の面接調査を行い、その調査を基に障害支援区分の一次判定が行われ、 さらに障害保健福祉の有識者などで構成される審査会での審査(二次判定)を経て、障害支援区分の認定が行われる仕組みとなっており、支給決定に係るプロセスの透明化が図られている。

オ 費用をみんなで負担し合う仕組みの強化
@ 国の費用負担の義務づけ
→障害者自立支援法の施行以降、 国が義務的にその費用の一部を負担する仕組みとした(具体 的には、国は費用の2分の1、都道府県は費用の4分の1を 義務的に負担。市町村は費用の4分の1を負担)。
A 利用者負担→ 障害者自立支援法の施行以降は、サービスの利用者も含め て皆で制度を支え合うため、国の費用負担の義務づけと併せて、利用者については、所得階層ごとに設定された負担上限月額の範囲内で負担することとした。 平成28(2016)年の障害者総合支援法の一部改正では、障害福祉サービスを利用してきた人が、65歳に達することにより介護保険サービスに移行することによって利用者負担が増加してしまうという事態を解消するため、一定の要件を満たした高齢障害者については、障害福祉サービスに相当する介護保険サービスを利用する場合の利用者負担(原則1割)をゼロにするという措置を講じた(平成30(2018)年4月施行)。

カ 障害福祉計画に基づく計画的なサービス基盤整備の推進→平成29(2017)年3月には、平成30(2018) 年度から平成32(2020)年度までの3年間の計画の策定のため、 障害福祉サービス及び相談支援並びに市町村及び都道府県の地域生活支援事業の提供体制の整備並びに自立支援給付及び地域生活支援事業の円滑な実施を確保するための基本的な指針(平成18年厚生労働省告示第395号)の改正を行った→ @ 地域共生社会の実現のための規程の整備 、A 精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築、 B 障害児支援の提供体制の計画的な整備 (ア)地域支援体制の構築 (イ )保育、保健医療、教育、就労支援等の関係機関と連携した 支援 (ウ)地域社会への参加・包容の推進 (エ)特別な支援が必要な障害児に対する支援体制の整備 (オ)障害児相談支援の提供体制の確保、 C 発達障害者支援の一層の充実、 D  障害福祉サービス等及び障害児通所支援等の提供体制の確 保に係る目標の設定 (ア)福祉施設の入所者の地域生活への移行 (イ)精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築 (ウ)地域生活支援拠点等の整備 (エ)福祉施設から一般就労への移行等 (オ)障害児支援の提供体制の整備等

(3)身近な相談支援体制整備の推進
ア 障害のある人や障害のある児童の親に対する一般的な相談支援
→障害のある人や障害のある児童の親に対する一般的な相談支援は、障害者自立支援法により、障害種別にかかわらず、事業の実施主体を利用者に身近な市町村に一元化して実施。厚生労働省では、障害のある人の支援体制のさらなる充実を図るため、平成30(2018)年度から、地域における相談支援等の指導的な役割を担う主任相談支援専門員の養成等を行うこととしている。
イ 都道府県による取組及び市町村区域への対応→都道府県においては、市町村に対する専門的な技術支援、情報提供の役割を担っている更生相談所等が設けられており、それぞれの施設が担う相談支援内容に合わせて、身体障害者相談員、知的障害者相談員、児童に関する相談員及び精神保健福祉相談員を配置している。
ウ 法務局その他→全国の法務局・地方法務局及びその支局等において、人権擁 護委員や法務局職員が障害のある人に対する差別、虐待等の人権問題について、面談・電話による相談に応じている。また、 保健所、医療機関、教育委員会、特別支援学校、ハローワーク、 ボランティア団体等においても、相談支援が行われている。
エ 矯正施設入所者→障害等により自立が困難な矯正施設入所者について、出所後 直ちに福祉サービスを受けられるよう「地域生活定着支援センター」を全国の各都道府県に整備している。
(4)権利擁護の推進
ア 成年後見制度等→
障害福祉サービスを利用し又は利用しようとする重度の知的障害のある人又は精神障害のある人であり、助成を受けなければ成年後見制度の利用が困難であると認められる場合に、申立てに要する経費及び後見人等の報酬の全部又は一部について補助を行うため、成年後見制度利用支援事業を実施しており、平成24(2012)年度から市町村地域生活支援事業の必須事業に位 置付けている。平成29(2017)年4月1日現在で1,485市町村 (85%)が実施、今後とも本事業の周知を図ることとしている。 また、障害者総合支援法では、平成25(2013)年度から、後見、保佐及び補助の業務を適正に行うことができる人材の育成及び活用を図るための研修を行う事業について、成年後見制度法人後見支援事業を地域生活支援事業として市町村の必須事業に位置づけたほか、指定障害福祉サービス事業者等の責務として、障害のある人等の意思決定の支援に配慮し、常に障害のある人の立場に立ってサービス等の提供を行うことを義務づけている。 また、成年後見制度の利用の促進に関する法律(平成28年法律第29号)に基づき策定された「成年後見制度利用促進基本計画」(平成29年3月24日閣議決定)に沿って、成年被後見人の 財産管理のみならず意思決定支援・身上保護も重視した適切な支援に繋がるよう、成年後見制度の利用促進に関する施策を総合的・計画的に推進している。併せて、成年後見制度の利用の促進に関する法律に基づく措置として、成年被後見人等であることを理由に不当に差別されないよう、成年被後見人等に係る欠格条項その他の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための措置を講ずる「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適 正化等を図るための関係法律の整備に関する法律案」を平成30 (2018)年3月に閣議決定し、国会に提出した。
イ 消費者としての障害者→地方消費者行政推進交付金等を通じ、被害に遭うリスクの高 い消費者(障害者、高齢者、被害経験者等)を効果的・重点的に地域で見守る体制を構築し、消費者トラブルの防止及び早期発見を図る取組等を支援。加えて、平成28(2016)年 4月から施行された平成26年改正消費者安全法では、地方公共団体において消費者安全確保地域協議会を設置できることが盛り込まれている。
(5)障害者虐待防止対策の推進→障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律(平成23年法律第79号)が平成24(2012)年10月から施行。厚生労働省は、地域生活支援事業において、地域における関係機関等の協力体制の整備・充実を図るとともに、 過去に虐待のあった障害のある人の家庭訪問、障害者虐待防止に関する研修、虐待事例の分析を行う都道府県や市町村を支援して いる。
(6)障害者団体や本人活動の支援→意思決定過程に障害のある人の参画を得て、その視点を施策に 反映させる観点から、障害者政策委員会等において障害のある人 や障害者団体が、情報保障その他の合理的配慮の提供を受けながら構成員として審議に参画している。また、障害者総合支援法に 基づく地域生活支援事業において、障害のある人等やその家族、 地域住民等が自発的に行う活動に対する支援を行う「自発的活動 支援事業」を実施している。

次回は、第4章第1節の続き「2.在宅サービス等の充実」からです。
平成30年版障害者白書 [2018年07月22日(Sun)]
平成30年版障害者白書(2018年6月15日) 
http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h30hakusho/gaiyou/index-pdf.html
第3章 社会参加へ向けた自立の基盤づくり 社会参加へ向けた自立の基盤づくり

第2節 雇用・就労の促進施策
1.障害のある人の雇用の場の拡大
(1)障害者雇用の現状
ア 平成29(2017)年障害者雇用状況報告
@ 民間企業の状況
→平成29(2017)年6月1日現在の障害者雇用状況は、雇用 障害者数が14年連続で過去最高を更新し、495,795.0人(前年 同日474,374.0人)となるなど、一層進展。障害者である労働者の実数は406,981人(前年同日386,606人)。 また、民間企業が雇用している障害者の割合は1.97%(前年同日1.92%)、法定雇用率を達成した企業の割合は、 50.0%を超えた。
A 国・地方公共団体の状況→国の機関(法定雇用率2.3%)に在職している障害者の割合、 勤務している障害者数はそれぞれ2.50%、7,593.0人。 都道府県の機関(法定雇用率2.3%)は2.65%、8,633.0 人、市町村の機関(法定雇用率2.3%)は2.44%、 26,412.0人。 都道府県等の教育委員会(法定雇用率2.2%)は 2.22%、14,644.0人。国、地方公共団体等ともに、 勤務している障害者数は前年同日の報告より増加した。
イ ハローワークの職業紹介状況→平成28(2016)年度のハローワークを通じた就職件数は、平 成27(2015)年度を上回る93,229件(前年度比3.4%増)。このうち、身体に障害のある人は26,940件(前年度比3.8% 減)、知的障害のある人は20,342件(前年度比1.9%増)、精神障害のある人は41,367件(前年度比7.7%増)、その他の障害のある人(発達障害、難病、高次脳機能障害などのある人)は4,580 件(前年度比19.5%増)、精神障害のある人の就職件数 が大幅に増加した。
(2)障害のある人の雇用対策について
ア 障害のある人の雇用対策の基本的枠組
み→障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号)や同法に基づく障害者雇用対策基本方針(平成30年厚生労働省告示第178号)等を踏まえ、障害のある人、一人一人がその能力を最大限発揮して働くことができるよう、障害の種類及び程度に応じたきめ細かな対策を講じている。

イ 障害者雇用率制度及び法定雇用率の達成に向けた指導
@ 障害者雇用率制度
(ア)障害者雇用率制度
→障害者雇用促進法では、民間企業等に対し、一定の割合(障害者雇用率)以上の障害のある人の雇用を義務づけ。平成30(2018)年4月からは、新たに精神障害者が 雇用義務の対象となり、民間企業の障害者雇用率は2.2% (平成33(2021)年4月までに、さらに0.1%引き上げが行われる)。国等の公的機関については、 率先垂範すべき立場にあることから、民間企業を上回る2.5%(都道府県等の教育委員会は2.4%)(民 間企業と同様に、平成33年4月までに、さらに0.1%引き 上げが行われる)。
(イ)特例子会社制度等の特例措置→事業主が障害のある人の雇用に特別の配慮をした子会社 (特例子会社)を設立した場合には、一定の要件の下でこの特例子会社に雇用されている労働者を親会社に雇用されている者とみなして、「実 雇用率」を算定できる特例措置(特例子会社制度) を設けている。平成29(2017)年6月1日現在で464社を特例子会社として認定している。

A 法定雇用率の達成に向けた指導の一層の促進→障害者雇用率制度の履行を確保するため、ハローワークに おいて、法定雇用率未達成企業に対する指導を行っている。
(ア)民間企業等に対する指導→実雇用率の著しく低い民間企業に対しては、ハローワー クが障害のある人の雇入れに関する2年間(平成24(2012) 年以降。それ以前は3年間)の計画の作成を命じ、当該計画に基づいて障害のある人の雇用を進めるよう継続的な指導を実施している。
(イ)国・地方公共団体に対する指導等→国及び地方公共団体の機関については、民間企業に率先 垂範して障害のある人の雇入れを行うべき立場にあること を踏まえ、厚生労働省は国及び地方公共団体の各機関の任命権者に対し、計画的な採用を図るよう要請を行っている。

ウ 障害者雇用納付金制度→障害者雇用促進法は、障害者雇用納付金制度を設けている。 この制度では、障害者雇用率未達成の民間企業(常用雇用労働 者数100人超)から納付金を徴収するとともに、一定水準を超 えて障害のある人を雇用している民間企業に対して、障害者雇 用調整金、報奨金を支給している。
エ チャレンジ雇用→各府省・各地方公共団体で知的障害のある人等を非常勤職員 として雇用し、1〜3年の業務の経験を積んだ後、ハローワー ク等を通じて一般企業等への就職の実現を図る「チャレンジ雇用」を推進している。
オ 職業リハビリテーションの実施→ハローワーク、地域障害者職業センター、障害者就業・生活 支援センターなどの機関を中心に障害のある人が希望や能力、適性に応じた職場に就き、それを継続し、それにおいて向上することができるようにするための就労に関するサービスを実施 している。
カ 助成金等による企業支援や普及啓発活動→国では、民間企業が無理なく、かつ積極的に障害のある人を雇用できるよう、障害のある人を雇用した場合などに助成金を支給。例えば、身体に障害のある人や知的障害のある人、精神障害のある人を継続して雇用する労働者として雇い入れる民間企業に対して助成する「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」や、障害特性に応じた雇用管理や雇用 形態の見直し等の措置を実施する企業に対して助成する「障害者雇用安定助成金(障害者職場定着支援コース)」、障害のある人を雇い入れたり、継続して雇用するために必要な職場の環境 整備等を行った場合に費用の一部を助成する障害者雇用納付金 制度に基づく助成金等を支給している。
キ 税制上の特例措置 障害のある人を雇用する民間企業に対し、税制上の各種の特 例措置を講じている。障害のある人の一層の雇用促進につながるよう、平成30(2018)年度税制改正では、障害のある人を多数雇用する場合の機械等の割増償却制度(所得税、法人税)について、基準雇用障害者数が20人以上であって、重度障害者割合が50%以上であることとの要件における重度障害者割合を55%以上に引き上げた上、その適用期限の2年延長を行った。
ク 障害者差別禁止と合理的配慮の提供→雇用分野において障害があることを理由とした差別を禁止 し、過重負担とならない限り、合理的配慮の提供を事業主に義務付けている。このため、全国の都道府県労働局・ハローワー クにおいて事業主・障害のある人からの相談に応じ、必要な場合は事業主に助言・指導等を行っているほか、都道府県労働局長や障害者雇用調停会議による紛争解決の援助を行っている。

2.総合的支援施策の推進
(1)障害のある人への地域における就労支援
ア ハローワーク
→@ ハローワークを中心とした「チーム支援」 A トライアル雇用イ 地域障害者職業センター
イ 地域障害者職業センター→@ 職業評価・職業指導及び職業リハビリテーション計画の策定 A 障害のある人の就労の可能性を高めるための支援(職業準 備支援) B  障害のある人の職場適応に関する支援(職場適応援助者 (ジョブコーチ)による支援事業) C 精神障害のある人等に対する総合雇用支援 D 地域の就労支援機関に対する助言・援助。
ウ 障害者就業・生活支援センター→障害のある人の職業生活における自立を図るために、福祉や教育等の地域の関係機関との連携の下、障害のある人の身近な地域(平成30(2018)年4月現在334か所)で就業面及び生活面の両面における一体的な支援を行っている。平成29(2017)年度には、職場定着支援の強化を図るため、ジョブコーチとして多くの障害のある人の支援に携わり、障害のある人の職場定着支援に関する豊富な知識と経験を有する「主任職場定着支援担当者」を増員するとともに、精神障害のある人に対する支援経験を有するなど精神障害のある人の支援に特化した担当者及び企業における人事管理や障害者雇用の経験を有するなど事業主からの雇用相談や雇用 管理支援に対応する担当者をモデル配置するなど、センターの定着支援機能の強化を図った。
(2)福祉的就労から一般就労への移行等の支援
ア 就労移行支援について
→一般就労を希望する障害のある人が、できる限り一般就労が 可能となるように、就労移行支援事業所では、在宅就労も含めて生産活動、職場体験等の活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練、求職活動に関する支援、その適性に応じた職場の開拓、就職後における職場への定着のために必要な相談、その他の必要な支援を行っている。
イ 就労継続支援A型について→雇用契約に基づき、継続的に就労することが可能な障害のある人に対し、生産活動等の活動の機会の提供及びその他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行うとともに、一般就労に向けた支援や職場への定着のための支援等を行っている。また、就労継続支援A型事業所における就労の質を向上させるため、平成29(2017)年4月に改正した指定障害福祉サービス等基準に基づき、事業所の生産活動の収支を利用者に支払う賃金の総額以上とすることなどとした取扱いを徹底し、安易な事業参入の抑制を図るとともに、基準を満たさない事業所に経営改善計画の提出を求めることにより、事業所の経営状況を把握した上で地方公共団体が必要な指導・支援を行うことを通じ、障害のある人の賃金の向上を図ることとした。
ウ 就労継続支援B型について→通常の事業所に雇用されていた障害のある人であって、その年齢、心身の状態その他の事情により、引き続き当該事業所に雇用されることが困難となった者、就労移行支援によっても通常の事業所に雇用されるに至らなかった者、その他の通常の事業所に雇用されることが困難な者につき、生産活動その他の活動の機会の提供、その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行うとともに、一般就労に向けた支援や職場への定着のための支援等を行っている。また、事業所の経営力強化に向けた支援、共同受注化の推進等、就労継続支援B型事業所等における工賃の向上に向け、官民一体となった取組を推進している。
エ 就労定着支援について→平成28(2016)年度の障害者の日常生活及び社会生活を総合 的に支援するための法律(平成17年法律第123号)の一部改正 により、就労移行支援事業所等を利用し、一般就労に移行した障害のある人に対して、一般就労に伴い生じる生活リズムの乱れや給料の浪費などの生活面の課題に対応できるよう、家族や 関係機関との連絡調整等の支援を一定期間にわたって行う新たなサービスを創設した。
オ  平成30(2018)年度障害福祉サービス等報酬改定について→障害のある人がその能力を十分に発揮し、地域で自立した生活を実現することができるよう、報酬改定において、一般就労への定着実績や工賃実績等に応じた報酬体系を構築し、就労系障害福祉サービスにおける工賃・賃金の向上や一般就労への移 行の更なる促進が図られるよう見直しを行った。
(3)障害特性に応じた雇用支援策
ア 精神障害のある人への支援
→精神障害のある人について、ハローワークの専門窓口で「精神障害者雇用トータルサポーター」などの専門職員による相談支援等を行っている。 民間企業に対しては、継続雇用する労働者へ移行することを目的に、週の所定労働時間10時間以上20時間未満から一定程度の期間をかけて、週の所定労働時間を20時間以上とすることを 目指す「トライアル雇用助成金(障害者短時間トライアルコー ス)」の支給などを行っている。 精神障害のある人については、障害者基本計画(第3次)では、50人以上の規模の事業主で雇用される精神障害のある人を、平成29(2017)年の障害者雇用状況報告で3.0万人にすることを目指しており、平成29年6月1日現在で5.0万人。
イ 発達障害のある人への支援 ハローワークでは、発達障害などの要因によりコミュニケーション能力に困難を抱えている求職者について、専門の支援員 (就職支援ナビゲーター(発達障害者等支援分))によるきめ 細かな就職支援を実施する「若年コミュニケーション能力要支 援者就職プログラム」を実施。 平成30(2018)年度よりハローワークに発達障害者雇用トータルサポーターを新たに配置し、カウンセリング等の求 職者支援や事業主が抱える発達障害のある人等の雇用に係る課題解決のための個別相談等を実施。発達障害のある人をハローワーク等の職業紹介により新たに雇い入れ、雇用管理に関する事項を把握・報告する事業主に対して、「特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)」を支給することにより、その 雇用促進を図っている。
ウ 難病のある人への支援→ハローワークでは、「難病患者就職サポーター」を配置し、 難病相談支援センターと連携しながら、就職を希望する難病患者に対する総合的な就労支援を行っている。 また、事業主に対して、「特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)」を支給することにより、その雇用促進を図っている。
エ 在宅就業への支援→@ 在宅就業支援制度 自宅等で就業する障害のある人(在宅就業障害者)の就業機会の確保等を支援するため、在宅就業支援団体(平成29 (2017)年6月現在で22団体)を介して業務を発注した事業主に対して、障害者雇用納付金制度で、在宅就業障害者特例調整金(常用雇用労働者数100人以下の事業主については在 宅就業障害者特例報奨金)を支給する制度を運用。 A 就労支援機器等の普及・啓発 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構において、 障害のある人や事業主のニーズに対応した就労支援機器に関 する情報提供、貸出事業等を通じて、その普及・啓発に努めている。
4)就労に向けた各種訓練の推進→国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局においては、一般就労を希望する65歳未満の障害のある人に対して、就労に必要な知識や技能を獲得させるため、障害福祉サービス(就労 移行支援)を実施している。
(5)障害のある人の創業・起業等の支援→経済産業省では、地域経済を活性化させるため、産業競争力強 化法(平成25年法律第98号)の認定市区町村(平成29(2017)年 12月現在で1,379市区町村)において、新たに創業を行う者に対して、その創業等に要する経費の一部を助成し、新たな需要や雇 用の創出等を促す取組を行っている。
(6)障害のある人の就労支援に当たっての農業部局との連携→農林水産省では、障害のある人等のための福祉農園の開設・整備等の取組を支援しているほか、全国の地方農政局等に行政、福祉、農業等の関係者で構成する「農業分野における障害者就労の促進ネットワーク(協議会)」を設置し、シンポジウムを通じて 優良事例や施策の紹介などを行っている。 厚生労働省では、農福連携による障害のある人の就労支援を推進する取組として、農業分野に取り組もうとする就労継続支援B 型事業所等に対して、農業分野の専門家を派遣し、農業に関する知識・技術の習得や6次産業化の推進に向けた助言・指導を行うとともに、都道府県において農業に取り組む就労継続支援B型事業所等が参加する農福連携マルシェ(市場)の開催を支援している。平成30(2018)年度は全都道府県での実施を目指している。
(7)職場での適応訓練
ア 職場適応訓練
→障害のある人に対し、作業環境への適応を容易にし、訓練修了後も引き続き雇用されることを期待して、都道府県知事又は 都道府県労働局長が民間事業主等に委託して実施する訓練で、訓練生には訓練手当が、事業主には職場適応訓練費(2万4千 円/月)が支給される(訓練期間6か月以内(原則))。また、 重度の障害のある人に対しては、訓練期間を長くし(1年以内)、 職場適応訓練費も増額(2万5千円/月)。
イ 職場適応訓練(短期)→障害のある人に対し、実際に従事することとなる仕事を経験 させることにより、就業への自信を持たせ、事業主に対しては 対象者の技能程度、適応性の有無等を把握させるため、都道府県知事又は都道府県労働局長が民間事業主等に委託して実施する訓練で、訓練生には訓練手当が、事業主には、職場適応訓練費(960円/日)が支給される(訓練期間2週間以内(原則))。 また、重度の障害のある人に対しては、訓練期間を長くし(4 週間以内(原則))、職場適応訓練費も増額(1,000円/日)。
(8)資格取得試験等(法務関係)における配慮→司法試験においては、視覚障害者に対する措置として、パソコ ン用電子データ又は点字による出題、解答を作成するに当たって のパソコンの使用、拡大した問題集・答案用紙の配布、試験時間の延長等を、肢体障害者に対する措置として、解答を作成するに 当たってのパソコンの使用、拡大した答案用紙の配布、試験時間 の延長等を認めるなどの措置を講じている。 司法書士試験、土地家屋調査士試験及び簡裁訴訟代理等能力認 定考査においては、弱視者に対する拡大鏡の使用や記述式試験の 解答を作成するに当たってのパソコン(ワープロ)の使用を、また、試験時間の延長を認める等の措置を講じている。
(9)福祉施設等における仕事の確保に向けた取組
ア これまでの取組
→官公需(官公庁の契約)を積極的に進めるため、各府省の福祉施設受注促進担当者会議を開催し、更なる官公需の促進を依頼するなどの取組を行うとともに、平成20(2008)年に地方自治法施行令を改正し、地方公共団体の契約について随意契約に よることができる場合として、地方公共団体が障害者支援施設等から、クリーニングや発送作業などの役務の提供を受ける契約を追加する措置を講じた。 また、国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律(平成24年法律第50号)の施行(平成25(2013)年4月)にあわせて、「予算決算及び会計令」を改正し、随意契約によることができる場合として、「慈善のため設立した救済施設から役務の提供を受けるとき」を追加する措置を講じた。
イ 障害者優先調達推進法の成立→平成25(2013)年4月から、障害者優先調達推進法が施行され、障害者就労施設等で就労する障害のある人や在宅で就業する障害のある人の自立の促進に資するため、国や地方公共団体などの公的機関が物品やサービスを調達する際、障害者就労施設等から優先的に購入することを進めるために、必要な措置を講じることとなった。当該法律に基づき、全ての省庁等で調達方針を策定し、障害者就労施設等が供給する物品等の調達に取り組んでいる。
(10)職業能力開発の充実
ア 障害者職業能力開発校における職業訓練の推進
→一般の公共職業能力開発施設において職業訓練を受けることが困難な重度の障害のある人については、障害者職業能力開発校において、職業訓練を実施。 平成30(2018)年4月1日現在、障害者職業能力開発校は国立が13校、都道府県立が5校で、全国に18校が設置されており、 国立13校のうち2校は独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営し、他の11校は都道府県に運営を委託。 障害者職業能力開発校の就職率→障害者基本計画 (第4次)において、平成34(2022)年度に70%となるよう目 標設定されている。
イ 一般の公共職業能力開発施設における受入れの促進→ 都道府県立の一般の公共職業能力開発施設において、精神障害や発達障害のある人を対象とした訓練コースの設置を促進し、受講機会の拡充を図っている。
ウ 障害のある人の多様なニーズに対応した委託訓練→障害者委託訓練は、主として座学により知識・技能の習得を図る「知識・技能習得訓練コース」、企業の現場を活用して実践的な職業能力の向上を図る「実践能力習得訓練コース」、通校が困難な人などを対象とした「e−ラーニングコース」、特別 支援学校高等部等に在籍する生徒を対象とした「特別支援学校 等早期訓練コース」及び在職障害者を対象とした「在職者訓練 コース」の5種類があり、個々の障害特性や企業の人材ニーズに応じて多様な職業訓練を行うことが可能な制度。なお、 委託訓練修了者の就職率については、平成28(2016)年度は 46.2%であり、障害者基本計画(第4次)において、平成34(2022) 年度に55%となるよう目標設定されている。
エ 精神障害・発達障害のある人に対する職業訓練→都道府県が運営する障害者職業能力開発校で精神障害のある人や発達障害のある人の障害特性に配慮した訓練コースの設置 が円滑に行われるよう独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営する障害者職業能力開発校において、訓練計画の策定、指導技法、訓練コース設置後のフォローアップ支援を行っ ている。
オ 障害のある人の職業能力開発に関する啓発
@ 全国障害者技能競技大会(愛称:アビリンピック)の実施
→ 障害のある人の職業能力の開発を促進し、技能労働者としての自信と誇りを持って社会に参加する、広く障害のある人に対する社会の理解と認識を深め、障害のある人の 雇用の促進を図ることを目的として、平成29(2017)年度には、栃木県で第37回大会が開催(11月17日〜19日)された。
A 国際アビリンピックへの日本選手団の派遣→障害のある人の職業的自立意欲の増進と職業技能の向上を 図るとともに、事業主及び社会一般の理解と認識を深めること等を目的として、昭和56(1981)年10月に第1回国際アビリンピックが東京で開催され、第9回大会がフランス共和国 ボルドー市において平成28(2016)年3月に開催された。日本からは、第35回全国大会での成績優秀者31名の選手が参加 した。
(11)雇用の場における障害のある人の人権の確保→全国の法務局・地方法務局及びその支局では、人権相談等により雇用の場における、障害のある人に対する差別的取扱い等の人権侵害の疑いのある事案を認知した場合には、事案に応じた適切な措置を講じるなどして、人権侵害による被害の救済及び予防を 図っている。

3.働き方改革における「障害者関連施策」について
ニッポン一億総活躍プラン(平成28年6月2日閣議決定)を踏まえ て策定された働き方改革実行計画(平成29年3月28日働き方改革実現会議決定。以下「本実行計画」という。)では、日本経済再生に向けた最大のチャレンジは働き方改革であるとし、働く人の視点に立って、 労働制度の抜本改革を行うこととされた。 障害者関連施策については、「障害者等の希望や能力を活かした就 労支援の推進」として位置付けられており、今後の対応の方向性について「障害者等が希望や能力、適性を十分に活かし、障害の特性等に応じて最大限活躍できることが普通になる社会を目指す。
このため、長期的寄り添い型支援の重点化等により、障害者雇用ゼロ企業を減らしていく、福祉的就労の場を障害者がやりがいをより感じられる環境に変えていく。また、特別な支援を必要とする子供について、 初等中等・高等教育機関と福祉・保健・医療・労働等の関係行政機関が連携して、就学前から卒業後にわたる切れ目ない支援体制を整備する。」こととされている。 本実行計画では、上記2項目を含む合計19項目からなる対応策について、10年先の未来を見据えたロードマップが策定。平成 30(2018)年度においては、平成29(2017)年度に引き続き、本実行 計画に盛り込まれた施策について、ロードマップに沿って進めていく。

次回も続きます。「第4章 日々の暮らしの基盤づくり」からです。
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