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第8回働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会 [2019年10月05日(Sat)]
第8回働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会(令和元年9月20日) 
《議事》 議論のとりまとめ その他
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000208525_00014.html
◎資料1 「働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会」における議論のとりまとめ(案)
I. はじめに
短時間労働者に対する健康保険及び厚生年金保険の適用範囲
→公的年金制度の 財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律(平成 24 年 法律第 62 号)の規定により、2019 年(令和元年)9月末までに検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずることとされている。 加えて、平均寿命が延伸し「人生 100 年時代」を迎え、「教育・仕事・引退」という3ステージの単 線型の人生からマルチステージの人生を送るようになる中で、働き方の多様化に向けた動きが生じている。 これらの動きを踏まえた社会保険制度としての課題や対応について、社会保障審議会医療保険 部会や年金部会における検討に資するよう、保険局長及び年金局長の招集により、関連分野の有 識者や労働者・使用者団体からなる懇談会を開催することとなった。
本懇談会(1)短時間労働者に対する社会保険の適用範囲のあり方、及び、(2)働き方の 多様化等を踏まえた社会保険の適用におけるその他の課題について、2018 年(平成 30 年)12 月 から8回にわたり議論を重ねてきた。 このうち第2回から第4回懇談会にかけて、適用範囲の見直しの影響が大きいと考えられる業種 の使用者団体のほか、被用者保険が非適用となっている業種の団体、働き方の多様化に関する団 体、労働者団体など、計 13 団体1に対してヒアリングを実施し、(1)雇用・就労の実態、(2)これまで の被用者保険の適用拡大の実施状況、(3)今後の制度見直しに関する意見等の聴取を行い、その結果については、第5回懇談会において整理を行った。
第5回懇談会以降、このほか、すでに適用拡大を実施した企業に対するアンケート調査の結果 や、これまでの被用者保険の適用拡大に関する労働政策研究・研修機構(JILPT)による調査の 結果も踏まえて議論・検討を行った。本稿はこれらの議論をとりまとめたもの
である。

II. 基本的な考え方
1.多様な働き方に対応した社会保険における対応の必要性

近年、これまで労働参加が比較的進んでいなかった女性や高齢者が働き手として定着、短時間就労の担い手には、いわゆる就職氷河期世代などやむを得ず非正規雇用の枠組で就 労する者、一人親で育児をしながら就労する者や、健康上の理由でフルタイム就労が困難な者等、多様な者が含まれていることを踏まえれば、短時間労働者を被保険者として被用者保険の適 用対象としていくことが、意欲ある働き手がさらに働きやすい環境を整えつつ、その現在及び将来 の生活の安定を図る上で重要な課題である。この点、「経済財政運営と改革の基本方針 2019」 (2019 年(令和元年)6月 21 日閣議決定)においても、「就職氷河期世代支援プログラム」として 「短時間労働者に対する年金などの保障を厚くする観点から、被用者保険(年金・医療)の適用拡大を進めていく」こと、「高齢者、女性をはじめとして多様な就労・社会参加を促進するため勤労者 が広く被用者保険でカバーされる勤労者皆社会保険制度の実現を目指して検討を行う」こととされている。
また、被用者保険が適用される事業所の範囲からは一部の個人の事業所が除かれている。こうした事業所の従業員については、たとえフルタイムに近い就労に従事する場合においても被用者保 険に加入できていないため、その生活の安定を図るために、適用事業所の範囲を拡大することが 長らく検討課題とされてきた。
更に、働き方が多様化し、副業・兼業や雇用類似の働き方といった、より柔軟な働き方が普及しつ つある。現行の被用者保険制度はこうした働き方が一般的に選択されうることまでを想定しておらず、こうした柔軟な働き方にどう対応していくかは、被用者保険制度における新たな課題である。
平成の時代において、我が国の社会保険制度は、急速な少子高齢化に対応して、制度の持続 可能性を維持することへの対応に追われる中で、働き方の多様性に対応した制度の見直しが十分であったとは言い難い。年金制度においては、1985 年(昭和 60 年)の改正において、全国民共通 の基礎年金が導入され、その下で、女性の年金権確立を目的とした第3号被保険者制度の導入 や、分立する被用者保険制度の格差・不均衡の是正が図られたほか、すべての法人の事業所が 厚生年金の適用事業所となるなど、現在の働き手を取り巻く年金制度の骨格が確立している。また、それ以後の平成の 30 年間においても、被用者年金の一元化や一部の短時間労働者に対す る適用拡大が行われるなど、一定の改革努力は払われてきた。しかし、新たな令和の時代においては、多様な働き方をする個人に着目した一層の制度の改善に取り組むべきであろう。

2.今後の検討の方向性に関する基本的な考え方
多様な働き方に対応した社会保険制度の見直しの方向性→まず、男性が主に働き、女性は専業主婦という特定の世帯構成や、フルタイム労働者としての終身雇用といった特定の働き方 を過度に前提としない制度へと転換していくべき。我が国の働き手は、近年、更に多様化してきている。ライフスタイルに対する考え方が多様化する中、生涯未婚の者や、離婚の経験を持つ者、一人親で家族的責任を果たしている就労者もいる。また、育児・家 事といった家庭の状況や自身の健康上の制約のため、自らの新たなキャリア形成のため、あるいは いわゆる就職氷河期世代などのようにやむを得ず、フルタイム雇用以外の働き方に従事する者が 増えている。社会保険制度は、こうしたライフスタイルの多様性を前提とした上で、働き方や生き方 の選択によって不公平が生じず、広く働く者にふさわしい保障が提供されるような制度を目指していく必要がある。
加えて、個人の働く意欲を阻害せず、むしろ更なる活躍を後押しするような社会保険制度として いくべきであり、特に、社会保険制度上の適用基準を理由として就業調整が行われるような構造は、早急に解消していかなければならない。こうした就業調整は、本人のキャリア形成や生活の安 定にとっても必ずしもプラスにならない。加えて、女性や高齢者を含めた多様な個人が、それぞれ が置かれた状況に応じて、積極的に労働市場に参加していける環境を整えることは、今後、生産年 齢人口が急速に減少する中、我が国経済における労働力の確保と生産性の向上を図り、その活力 を維持していく上でも欠かせない。 また、働き手の多様性を踏まえた制度の見直しを検討していく上では、社会的に厳しい状況に 置かれている人々への対応という視点も重要である。特に、被用者として働いているにもかかわらず、自営業や農林水産業などの個人事業主、無職等の者が加入する国民健康保険・国民年金に 加入している者については、被用者による支え合いの仕組みである被用者保険の適用対象とし、 保険料負担を負担能力に応じたものとするとともに、将来の給付の充実を図ることで、その生活の 安定を図っていくことが必要。こうした方向は、就職活動の時期に求人難に置かれたいわゆる就職氷河期世代を含め、現在被用者保険の適用対象とされていない層が、将来、高齢期におけ る生活困窮に陥ることをできるだけ防止する観点からも極めて重要である。 同時に、被用者保険制度のあり方を考える上では、労働者と並ぶ制度の支え手である企業の視 点も決して忘れてはならない。冒頭に述べたとおり、被用者保険は労働者とその家族のための制 度であるが、企業もその収益の中から保険料を負担し、また日々の適用事務を企業が担うことによ り制度が支えられている。従業員を新たに被用者保険に適用する際に生ずる企業の保険料負担 は決して軽いものではなく、被用者保険の適用範囲を広げていく上では、それが企業の経営に与 える影響について配慮する必要がある。

III. 短時間労働者に対する被用者保険の適用範囲のあり方
1.これまでの適用拡大の結果及び影響の検証
@ 適用拡大の施行状況について
→図1〜図7への参照。
A 労働政策研究・研修機構(JILPT)による調査結果→図8〜図14への参照。
B 関係団体に対するヒアリング結果 →計 13 団体の結果について整理。適用拡大により、短時間労働者の労働時間について延長・短縮双方の動きがあったこと、企業 への影響は業種によっても違いがあったことといった本ヒアリングの結果は、@・Aで行った分析と も整合する
C 適用拡大企業に対するアンケート結果 →i) 従業員 501 人以上企業における適用拡大の影響等、ii) 労使合意に基づく適用拡大を導入した企業の導入目的・経緯等、iii) アンケート結果に関する総括(アンケート全体の結果を見れば、適用拡大による影響については、短時間労働者の適用回避行 動が一定数見られたこと、そのことにより人手不足にさらなる影響を与えていること、社会保険料負 担の増加が経営に与える影響が大きいなど、企業経営に対する負の影響があることも否定できな い反面、従業員への丁寧な説明により適用回避行動をある程度解消できること、むしろ人員確保 や従業員の福利厚生向上に資することなど、負の影響が軽微・減殺可能、あるいは正の影響があ るという認識も確認された)

2.今後の検討の方向性
@ 基本的な考え方
→第一に、被用者にふさわしい保障の実現に資すること、第二に、働き方や雇用の選択を歪めない制度の構築に資すること、第三に、社会保障の機能強化に資すること、適用拡大によって厚生年金の適用対象とな った者は、定額の基礎年金に加え、報酬比例給付による厚い保障を受けられるようになる。加え て、適用拡大はどのような働き方であっても共通に保障される給付である基礎年金の水準の確保 につながり、これによる年金制度における所得再分配機能の維持にも資する。
A 適用拡大の対象企業の範囲 →企業規模要件については、被用者にふさわしい保障の確保や経済活動 への中立性の維持、法律上経過措置としての規定となっていることなどの観点から、本来的な制度 のあり方としては撤廃すべきものであるとの位置づけで対象を拡大していく必要性が示された。
B 適用対象となる短時間労働者の範囲 →(ア) 労働時間要件(週労働時間 20 時間以上の者への適用拡大の検討)、(イ) 賃金要件(制度の見直しの緊要性の程度も念頭に置いた検討の必要性が示された)、(ウ) 勤務期間要件、(エ) 学生除外要件
C 健康保険における対応 →健康保険との関係については、厚生年金との制度上の差異に係る指摘 があった一方、実務上の課題を踏まえ一体的適用を維持することの必要性も示された。併せて、医 療保険財政についても、考えられる影響について適切な試算を行った上で、所要の対応策を講じ る必要性が指摘された。
D 第3号被保険者制度 →働き方やライフスタイルの選択を阻害しない制度とするため、まずは更なる適用拡大を通じて、ある 程度働く短時間労働者については被用者保険に加入する形を目指しつつ、制度のあり方につい ての将来像を議論していく必要性が指摘された。

IV. 被用者保険の適用事業所の範囲
1.検討の背景
→こうした制度の下、@法定された 16 の業種以外の非適用業種(第一次産業、法務業等の専門サービス業、宿泊・飲食サービス業、生活関連サービス・娯楽業等)の個人事業所と、A常時使用する者が5人未満の個人事業所に使用される従業員については、当該事業所が任意包括適用事 業所でない限り、被用者保険に入ることができない状況となっている。雇用保険や労災保険といった労働保険においては、従業員を一人でも雇用して いれば、適用事業となっており、被用者保険の適用事業所の範囲は、同じく被用者を対象者とした 労働保険と比べて狭くなっている。
2.現状の課題と今後の検討の方向性 →労働者の保護や老後保障の観点から、現 代に合った合理的な形に見直す必要があるのではないか、具体的には、従業員数5人以上の個 人事業所は、業種ごとの状況を踏まえつつ原則強制適用とすべきではないかとの意見があった。

V. 複数事業所就業者に対する被用者保険の適用のあり方
1.検討の背景
→複数の事業所において「複数就業者」が増加傾向。 また、複数就業者の多くは、本業における所得が低い傾向にあり、生計維持のために短時間就 労を掛け持ちしている者が少なくないとみられる。こうした中、複数就業者に対する社会保険については、「働き方改革実行計画」(2017 年(平 成 29 年)3 月 28 日、働き方改革実現会議決定)において、「複数の事業所で働く方の保護等の 観点や副業・兼業を普及促進させる観点」から、労働法制と合わせて、社会保険についても「公 平な制度の在り方」について検討を進めることとされた。
2.現状の課題と今後の検討の方向性 →複数事業所で就業する者については、該当する労働者にふさわしい保 障を確保する方策について、実務上の実行可能性も踏まえて引き続き議論していく必要性や、 現行の適用の仕組みの効率化を図る必要性が指摘された。

VI. 雇用類似の働き方への対応
1.検討の背景→、雇用類似の働き方をする者は被用者としての保障を受けられない状況にあり、伝統的な自営業者と同様に、自ら国民健康保険・国民年金等に加入。現在、厚生労働省の「雇用類似の働き方に係る論点整理等に関する検討会」において分野横断的な議論が行われており、そこで は、「社会保障等」については、「対象者の範囲や人数規模、働き方の広がり等も踏まえつつ、必 要に応じて検討していくことが適当である」と整理されている 。
2.現状の課題と今後の検討の方向性→雇用類似の働き方をする者は、役務の対償として報酬を得ているため、被用者に近い性質を有するが、社会保険の適用において被用者と異なっている。この点、例えば、出産時や病気・怪我による休業時のセーフティネットの一つとして、健康保険における出産手当金や傷病手当金に対するニーズの高さが指摘されている。本懇談会においても、個人事業主のうち、被用者性が高い者については被用者保険適用による 保障を検討すべきとの意見や、今や柔軟な働き方を選べる時代であり、誰もがフリーランス的な働き方になる可能性があることから、働き方に中立な社会保険制度を目指すべきとの意見があった。 一方で、自営業者との公平性の問題も考慮し、均衡を失しない制度とすべきとの意見もあった。 こうした議論を通じて、雇用類似の働き方への対応については、被用者性の高い個人事業主の 保護を図る観点から、制度上・実務上の課題も踏まえつつ、働き方の多様化の進展に応じてどのよ うな対応ができるか、引き続き議論していく必要性が指摘された。

VII. 結びに
本懇談会は、
冒頭述べたとおり、(1)短時間労働者に対する社会保険の適用範囲のあり方、及び、(2)働き方の多様化等を踏まえた社会保険の適用におけるその他の課題について、近年進展 してきている短時間労働を含む多様な働き方を社会保険制度の対象としていくための検討に資する観点から、2018 年(平成 30 年)12 月から8回にわたって精力的に議論を行った。
構成員の間では、被用者として働く者については被用者保険に加入するという基本的考え方が示された。また、多様な働き方の労働者が増加していることを踏まえて、被用者保険の適用のあり方について見直しを図るという大きな方向性は時代の要請であるといえる。
一方、特に適用拡大の影響を受けやすい業種の団体を念頭に、具体的な適用拡大の進め方に ついては、人手不足や社会保険料負担を通じた企業経営への影響等に留意しつつ、丁寧な検討 を行う必要性が示された。
このような基本的な方向性の認識については共有の上、懇談会として、できるだけ中立的にこれまでの適用拡大の結果及び影響について分析・検証を行った上で、今後の更なる適用拡大の検討の方向性について意見集約を行ったものが本「議論のとりまとめ」である。
ここで提示された方向性を踏まえつつ、現実に適用拡大により影響を受ける者へも配慮しながら、社会経済の大きな変化に対応する形での社会保険の適用拡大をはじめ、働き方の多様化を踏 まえた社会保険の対応について、社会保障審議会医療保険部会、年金部会など適切な検討の場において検討を深め、積極的に推進していただくことを強く期待する。


(別添1)働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会 構成員名簿
(別添2)働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会 各回の主な議題

次回は、「令和元年『全社協福祉懇談会』の開催」からです。
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