第80回労働政策審議会障害者雇用分科会 [2019年01月03日(Thu)]
第80回労働政策審議会障害者雇用分科会(平成30年12月17 日)
<議題>(1)今後の障害者雇用対策の在り方について https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02935.html ◎参考資料5−1 今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会報告書 概要 (平成 30 年 7 月 30 日) .趣旨→ 障害者雇用は、大幅に雇用者数が増加するとともに、雇用障害者に占める知的障害者や精神障害者の割合が高まるなど、大きな変化が生じている状況。働き方改革実行計画」(平成29年3月28日働き方改革実現会議決定)では「多様な障害特性に対応した障害者雇用の促進、職場定着支援を進めるため、有識者による会議の場を設置し、障害者雇用に係る制度の在り方について幅広く検討を行う」ことを踏まえ、障害者雇用促進制度の中心的役割を果たす障害者雇用納付金制度や雇用率制度のほか、各種支援策について、今後の在り方の 検討を行う。 ・主な検討事項→(1)障害者雇用納付金制度の在り方について、(2)障害者雇用率制度の在り方について、(3)その他 ・開催状況(平成29年9月〜平成30年7月)→第15回(平成30年7月)研究会の開催取りまとめ ⇒ 平成30年7月30日 研究会の報告書 公表 ○今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会報告書の概要 T はじめに U 障害者雇用の現状と課題、本研究会における議論の論点→ V 多様な働き方のニーズ等に対応した障害者の雇用の質の向上に向けた取組の推進 1.障害者の雇用の質について 2.多様な希望や特性等に対応した働き方の選択肢の拡大、 @週所定労働時間20時間未満の障害者の雇用に対する支援 措置の創設 A自宅や就労施設等での障害者の就業機会の確保 B希望する障害者のテレワークの推進→都市部の未充足求人と、地方部での就労希望者のマッチング、障害者と企業の双方にとって適切な職場環境 でのテレワークが実現するよう取組を進める必要。 3.安心して安定的に働き続けられる環境の整備 @精神障害者等の個別性の高い支援を要する場合の支援の充実 A中高年齢層の障害者が希望により長く安定的に働ける環境の 整備 B地域における就労支援体制の機能強化→難病患者や依存症といった多様化する障害者や、生活困窮者等で障 害のうかがわれる方等に対する支援を充実していくこと C障害者雇用の質の向上に向けた事業主の取組に対する支援措 置の創設等 W 中小企業における障害者雇用の推進 1.中小企業における障害者の雇用状況と支援措置→本研究会で議論した週所定労働時間20時間未満の雇用に対する支援措置等は、障害者雇用ゼロ企業を含む、障害者雇用のイメージが十分につかめていない中小企業の観点からも、取組の選択肢となる。 2.障害者の働きやすい環境を整備する中小企業の認証制度の創設→、公的な認証制度を創設することが考えられるのではないか。 3.中小企業に対する障害者雇用調整金及び障害者雇用納付金の適用→障害者雇用調整金の支給及び納付金の徴収を行う制度が適用される企業の範囲を、常用雇用労働者50人以上(現行100人超)の中小 企業に拡大することが考えられるのではないか。 X 障害者が長く安心して安定的に働き続けられる環境整備に繋げる制度の在り方 1.障害者雇用率制度の在り方→障害者が安定的に働き続けられる環境の整備に向けて、事業主が障害者の雇用環境や業務内容の整備を計画的に実施できるよう、今後の法定雇用率見直しに当たっては、労使及び当事者並びに有識者の議論により決定していくこととしてはどうか。 2.障害者雇用納付金制度の在り方 (障害者雇用調整金について)→中小企業の環境整備を支援する財源の確保等のため、経営基盤が比較的安定している大企業や、利用者ごとに障害報酬が支給される就労継続支援A型事業所について、障害者雇用調整金の支給上限額等を設定することが考えられる。 (障害者雇用納付金財政の調整機能について)→障害者雇用納付金財政の持続可能性を確立するため、単年度収支が赤字になった場合には、赤字額の程度に応じて翌年度以降の調整金の額を減額させる仕組み等を導入することも考えられるのではないか。 ◎参考資料5−2 今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会報告書 (平成 30 年 7 月 30 日) T はじめに ・一億総活躍社会を作るための重要な鍵となる改革→障害者の雇用・就業の推進、障害者の希望や能力、適性を十分に活かし、障害の特性等に応じて活躍できることが普通の社会、 障害者と共に働くことが当たり前の社会を目指しているところ。 ・障害者雇用の現状→企業の障害者雇用に対する理解の深まりや、障害者本人の就労意欲の高まり等が相まって、14 年連続で民間企業における障害者雇用者数が過去最高を更新、障害者雇用の量的側面は着実に進展。 近年、連続して法定雇用率が引き上げられているが、こうしたことも、障害者である雇用者や就労希望者の急激な増加等を背景としたもの。 ・障害者本人の希望や特性等を活かしつつ、安心して働き続けられる環境を整備する、雇用の質の改善についても、企業や地域の就労支援機関における理解の促進や雇用管理上のノウハウの蓄積といった様々な改善点が見られる。他方で、精神・発達 障害者や重度障害者等の個別性の高い特性のある就労希望者が増加する中、多様な特性に対応した職場定着支援や就労環境の整備等が、より一層重要な課題となっている状況。また、障害者の希望や特性等を踏まえた働き方を実現していくためには、身近な地域における中小企業に期待される役割も大きくなっていると言える。 ・こうしたことから、「働き方改革実行計画」(平成 29 年 3 月 28 日働き方改革実現会議 決定)→「多様な障害特性に対応した障害者雇用の促進、職場定着支援を進めるため、有識者による会議の場を設置し、障害者雇用に係る制度の在り方について幅広く検討を行う」とされた。本研究会は、この実行計画を踏まえ、平成 29 年 9 月から開催されてきたもの。 ・昨年中は、関係者の協力の下、障害者団体や支援者、労使等の広範な関係団体のヒアリ ング等を行い、本年は、その中で多くの意見が提示された課題や施策のアイディア等を踏まえ、精力的に議論を進めてきた。 ・このような障害者雇用の論点に関して、今後進めて行くことが望ましいと考えられる政 策の方向性について、本研究会での議論の結果を取りまとめたので、報告する。 U 障害者雇用の現状と課題、本研究会における議論の論点 1.障害者雇用の現状と課題 →(障害者雇用の現状)(障害者雇用の課題) 2.本研究会における議論の論点→平成 29 年 9 月以来、合計 16 の障害者団体や支援者、労使等の広範な関係団体 からのヒアリングを進めたところ V 多様な働き方のニーズ等に対応した障害者の雇用の質の向上に向けた取組の推進 1.障害者の雇用の質について→(処遇・待遇の改善等)(安心して、安定的に働き続けられる環境の整備) 2.多様な希望や特性等に対応した働き方の選択肢の拡大 @週所定労働時間 20 時間未満の障害者の雇用に対する支援措置の創設→(週所定労働時間 20 時間未満の障害者雇用の現状等)(週所定労働時間 20 時間未満の障害者雇用に関する議論)(週所定労働時間 20 時間未満の障害者雇用に関する新たな支援について→常用労働者として) A自宅や就労施設等での障害者の就業機会の確保→(自宅や就労施設等での就労の現状等)(在宅就業障害者支援制度の拡充等について) B希望する障害者のテレワークの推進(障害者のテレワークの現状等)(障害者のテレワークの課題と今後の取組) 3.安心して安定的に働き続けられる環境の整備 @精神障害者等の個別性の高い支援を要する場合の支援の充実→(精神障害者の雇用の現状)(精神障害者等に対するハローワークの対応)(精神障害者等の個別性の高い支援を要する場合の就労パスポートの作成等→情報の共有) A中高年齢層の障害者が希望により長く安定的に働ける環境の整備→(中高年齢層の障害者の雇用の現状)(中高年齢層の障害者に対する雇用継続支援の在り方) B地域における就労支援体制の機能強化→(地域における就労支援体制の現状)(ハローワークの取組の現状と今後の対応)(地域障害者職業センターの取組の現状と今後の対応→ジョブコーチなど)(障害者就業・生活支援センターの取組の現状等)(障害者就業・生活支援センターにおける今後の取組→「地域の支援機関のネ ットワークのハブ」)(障害者雇用における産業医の活用)(障害者雇用のノウハウ等を有する人材の活用)(教育機関との連携) C障害者雇用の質の向上に向けた事業主の取組に対する支援措置の創設等→(障害者の雇用継続に対する支援について)(雇用の質の向上に向けた助成措置等について) W 中小企業における障害者雇用の推進 1.中小企業における障害者の雇用状況と支援措置→(中小企業における障害者の雇用状況) 2.障害者の働きやすい環境を整備する中小企業の認証制度の創設 3.中小企業に対する障害者雇用調整金及び障害者雇用納付金の適用→常用労働者が 50 人 以上の企業にまで拡大する場合、企業規模や経営基盤等を勘案し、その後の更なる適用拡大は行わないこととすべきとの意見も示された。 X 障害者が長く安心して安定的に働き続けられる環境整備に繋げる制度の在り方 1.障害者雇用率制度の在り方→(障害者雇用率制度について)(除外率制度について) 2.障害者雇用納付金制度の在り方→(障害者雇用納付金財政の経緯等について)(障害者雇用調整金について)(障害者雇用納付金について)(障害者雇用納付金財政の調整機能について) Y おわりに ・本研究会では、就労を希望する障害者の希望や障害特性が多様化する中にあって、働き方の選択肢の拡大や、長く安定的に働き続けられる環境整備に向けた対応や制度の在り方 のほか、中小企業における障害者雇用の推進等を図るための方策についての提言を行った ものである。 私たちとしては、こうした取組の推進により、障害者雇用の量的側面・質的側面のいず れにおいても更なる改善が図られることを目指すものであるが、自らの希望や特性に応じて働き方を選択し、安心して安定的に長く働き続けられる環境が整備されていくことは、 障害の有無に関わらず、全ての労働者にとっての働く上での基盤であるということも、改 めて認識しておく必要があるのではないだろうか。 ・人生全体で考えれば、誰もが、自らの仕事と、育児・家事や介護、病気の治療、障害、 体力の低下等といった事情とを共存させていくこととなる可能性がある以上、お互いの抱 える事情を理解・配慮し、お互いの「できないこと」ではなく、お互いの「できること」 「得意なこと」に目を向け、チームとしての成果物を作り上げていく姿勢は、全ての人に とって「自らの希望や特性に応じて働き方を選択し、安心して長く働き続けられる環境」 が常に整えられているという状況に繋がるものである。 ・今回提言した政策方針が実現されることによって、障害者雇用の質の向上が図られると ともに、全ての労働者にとって働きやすい環境が整備され、一億総活躍社会の実現に向け た取組が推進されるよう、祈念するものである。 ◆労働政策審議会 (障害者雇用分科会)↓↓ https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-rousei_126985.html 次回は、「社会保障審議会児童部会小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会(第32回)」からです。 |