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第4回困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会 [2018年11月24日(Sat)]
第4回困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会(平成30年10月24日開催)
《主な議題》「困難な問題を抱える女性への支援のあり方について
      (中間的な論点の整理に向けた議論)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_01981.html
◎資料1これまでの検討会における主な意見(案)
<1.対象となる女性の範囲とニーズに対応した支援について>

◆対象となる女性の範囲に ついて
・「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」の施行に対応した婦人保護事業の実施について (H14.3.29 雇児発 0329003:局長通知)【参考資料1−1】P1〜8
・婦人相談所における人身取引被害者への対応について(H16.8.16 雇児福発 0816001:課長通知)【同】P9〜13
・「ストーカー行為等の規制等に関する法律の一部を改正する法律」の施行に対応した婦人保護事業の実施につ いて(H25.10.1 雇児福発 1001 第 2:課長通知)【同】P14
・婦人保護事業の実施要領について(S38.3.19 厚生省発社 34:事務次官通知)【参考資料1−1】P15〜23
・婦人保護事業における性暴力被害・性犯罪被害状況(H28 実施状況報告)【参考資料2】P1
◆若年女性や性暴力被害等 のニーズに対応した支援について
・若年女性→(法の狭間)(利用のしづらさ)(支援の課題、スキルの向上)(リプロの問題)
・児童を同伴する女性とその同伴児童→はっきりと支援を明文化すべき。
・性暴力被害→(医療、心理的ケア)(スキルの向上)スーパーバイサー養成
・支援システム→若年女性の性暴力、性搾取の問題が非常に緊急性があり重要な問題なので集中的に議論されるべき。 一方で、障害のある方、外国籍の方、高齢の方などに対する支援の問題も落ちないように議論していくべき。
・支援の専門性→専門職として広い視野と専門性の高い支援が求められる。運用上の研修やスーパービジョンも重要だが、新たな仕組みを考えていく必要があるのではないか。

<2.各実施機関における役割や機能について>
◆都道府県と市区町村の役 割について
・婦人相談員の設置義務→婦人保護事業の位置付けを市区町村の責務とし、市区では任意設置となっている婦人相談員について設置義務 とするとともに、専門職として位置付けるべき。婦人相談員の全市区町村への必置義務化、アフ ターケア事業の人員配置や対象の拡大など制度の見直し、婦人保護施設や一時保護所における職員配置基準等の見直し、高齢者、障害者、児童、生活困窮者等の他法他施策との整理、市町村及び女性相談センター、施設の役 割分担の明確化。
・市区町村の位置付け→市町村は住民に近い部門、都道府県は広域的な行政サービスを担っており、自立支援については市町村のほう が様々な選択肢を持ち合わせている。そういったお互いの強みを生かした効率的な役割分担を考えたい。
・国と地方の責務→女性のニーズに応じた自立支援の仕組みをつくること。国及び地方公共団体の責務を明確にすること。
◆支援の実施機関に求めら れる役割・機能について
・婦人相談所→児童福祉では、虐待ケースというよりは非行ケースとして扱われてしまうところもあり、特に性的搾取や性売買に関わった少女たちは、一時保護所や児童福祉施設で受け入れるのが難しいとはっきり言われてしまうことも たびたびある。その少女たちがもっと婦人保護施設を使えるようになってほしいが、婦人保護施設の入所のハー ドルがものすごく高く、結局なかなかそれだけの受け皿がない。保護を要する女性のニーズと提供される一時保護の枠組みにミスマッチが生じており、一時保護の対象枠組みを見直し、実現するための条件整理が必要。また、市町村に向け一時保護の共通理解の熟成を図ることが必要
・婦人相談員→婦人保護事業のわかりにくさ というところがあり、そのことが、婦人相談員の雇用の不安定な状況では?
・婦人保護施設→婦人保護施設を必要としている人が利用できない婦人保護施設になっている。婦人保護施設を利用できたらという思いがあるのに、利用する側にあまりにも寄り添えていない仕組みで、結局諦めて、生活保護を受けて一人 単身でアパート暮らしをするといった現状がある。立ち直りから生活の再建、そして自立していくというプロセスを、一貫して息長く寄り添って支援をしていく ということが大事。その際、上から目線でなく本人の自立の意思を大切にする、福祉でいう措置から契約への転 換ということが重要。 ○ 婦人保護施設は何をするところか。入所時の目的は就労自立とされているがそうではない。私たちがすべきは、 たくさんの被害を受けた、虐待を受けた女性たちに対して、きちんと心の回復支援を主軸にするべきだと考えて いる。 ○ 市の立場からは、婦人保護施設は非常に縁遠く、県を通して間接的にしか関われない。相談員にとっても、入 所者にコンタクトするのに県を通してでないと話ができないというような感じがあり縁遠い。 ○ 売春防止法を根拠とすることの限界がある。24 時間 365 日、婦人保護施設は対応している。支援する職員が足 りない。国基準では支援員が2名。自立支援という考え方ではなく、「見ていればいい」という捉え方だったと 推察する。

◆民間シェルター等の関係 団体との連携について
・退所後の自立支援→民間シェルターに特徴的なことは、シェルターを退所した後のお付き合いが長いということ。当事者の困難 はシェルター退所後に大きくなる。どこに住むか、どういう仕事ができるのか、子どもたちがまたPTSDで 苦しまないか、自分自身がまた新しい職場で被害に遭わないか。様々な問題に向き合いながら、当事者は一歩 一歩新しい生活を固めていくが、その本格的な自立回復支援を担っているのは、多くは民間シェルターである。今後、高齢者、子ども、若年女性、妊娠出産するハイティーンの子ども、アジアの外国人など、シェルター機能は特化・専門化されていくであろう。そのときに、公的なDVセンターが相談から自立支援までを行うのは無理なことで、支援に特色を持った、スキルや経験のある支援団体に役割を渡すことが重要。本人や同伴児童への心理的ケアについては、母子の回復プログラム・並行プログラムのシステム化を提案したい。親子回復プログラムについては、実績のある民間団体への委託事業として予算化してほしい。
・財政的支援→民間団体との連携について、行政ができない部分、縛りのある部分において、民間団体と連携しながら支援す ることが必要。民間団体の活動費に是非とも予算をつけてほしい。
・その他→性被害を受けてからの保護では遅い。そのおそれがある段階で事前の保護をきちんとするということが重 要。その意味で民間支援団体の活動はとても大事で、これを制度上きちんと位置付けることが必要。→平成 30 年度若年被害女性等支援モデル事業の実施について(H30.5.28 子発 0528 第 1:局長通知) 【参考資料1−1】P67〜76

<3.他法他施策との関係や根拠法の見直しについて>
◆他法他施策との連携の推進について

・支援ネットワークの構築→。児童相談の分野において要保護児童対策地域協議会があるように、婦人保護事業においても関係機関連携会議の設置が望まれる。女性福祉は本人の意思尊重が支援のベースとなっているため、周りからは支援の姿勢や方針がわかりづらい。 例えば、児童虐待の担当者からすれば、なぜ本人の言いなりなのか、施設退所させるべきでないのになんで引き止めなかったのかというような発言につながっていくということがある。要対協と同じようなしっかりとした仕組みづくりは必要。連携という意味では、大変関連の深い医療や福祉、こういったところと連携が不足しているところが大きくある。

・母子生活支援施設→婦人相談所と母子生活支援施設の関係は、一時保護の委託を請けることは可能だがそれほどつながりがよくない。婦人相談所だけではなく、児童相談所ともあまりつながらない。なぜなら、母子生活支援施設は市町村事業 で、婦人相談所、児童相談所は都道府県事業。ここがつながらない理由のひとつで、何とかこれをつなげていきたいと思う。
・児童福祉法との関係→16、17 歳で母親になった相談者の方が結構いるが、その子がまだ、そこまで子どもを育てるところまで決意できず迷いがある中で、女性支援の方は母親としてどう生きていくかが先にきてしまう。私たちはそもそもまだ子供だよねというところで、子ども期の保障をするというところは、今度はまた児童福祉法がしっかりこの子を子 どもとして守っていくということも大事かなというのがある。法律の下で守られるという視点も大事だし、でも 子どもというところも大事だし、そこはもっと深く議論されなければならないことかなと思う。性虐待を受けた子どもはリアルタイムではそのことを言わない。婦人保護事業が関わる年代になってやっと出 てくるが、婦人相談所には調査権がないため、性虐待を受けた、その客観的事実を児童相談所からもらえない。
・その他→関わる切り口、場面が、それぞれの福祉法によって散りばめられ分解されている。そこをどうつなげて、どう 情報共有して、一貫したその女性の支援ができていくかということは非常に大切。他法他施策優先については削除すべき。より柔軟に関係機関との連携を図り、年齢や管轄で区切ることのない 一貫した支援のあり方が必要。

◆売春防止法の見直しにつ いて
・理念等の見直し
→婦人相談員が支援する対象は処罰の対象ではなく支援の対象。売春をしている女性は犯罪者ではなく被害者。第2章第5条、第3章を廃止することで、被害女性を転落女性とみるなどの差別的な表現を削除して、性の侵害を受けた女性の人権を擁護する法律となるよう改正を望む。用語の見直しについては、婦人を女性、収容を入所、保護更生は自立支援、収容保護は入所支援、指導は支援、 要保護女性は要支援女性と直せるのでは。
・新たな法体系→売春防止法は女性が処罰をされる法律。売春防止法5条で処罰された女性はまだ今でも手錠を掛けられている。女性たちは犯罪者ではない。女性たちは福祉的な支援が必要な女性たち。売春防止法には人権保障の概念がない。自立をさせられる支援の仕組みがない。専門性がない。そして何よりも、一人ひとりを支える個別性が必要。私たちは、これらの自立を支えるための支援の仕組み、そのために新しい支援体制を考えている。婦人保護事業を超えた新しい枠組みに是非取り組んでいきたい。女性自立支援法、いま仮称と称しているが、 新しい法律が生まれていくべき時。総合支援法、生活困窮者自立支援法などの考え方を取り入れた法整備を望む。回復支援のサービスを受ける権利主体としてきちんと位置付けられる、そういう法制度がどうしても必要。損害された人権を確立するための支援法が今、最も求められている。措置、収容、指導というふうに散りばめられた売春防止法の下では、本来の意味での女性支援は成立しないというのは明らかな事実。その課題と限界は明らかになっており、私たちは女性の人権の確立を目指す、売春防止法に代わる新たな女性支援の根拠法を急いで作る必要がある。この根拠法は、当事者主体はもちろん、暴力を根絶するためのジェンダー平等法としての機能を きちんと果たすものであることを心から願う。
性被害を受けた人たちの保護、それから立ち直り、生活の再建、自立支援。こういったことを進めていく包括的な対策が必要だとすると、売春防止法第4章の保護更生では、性被害からの立ち直りや自立の支援はできない。 ここは、こういう趣旨に合った新しい法律が、売春防止法とは別に必要。

次回は、「参考資料1-1 婦人保護事業関係通知」からです。
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