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「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針」 [2018年09月24日(Mon)]
「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針」を公表します(平成30年9月7日)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_01170.html
(「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」では、事業者は、「労働者の心身の状態に関する情報を収集し、保管し、又は使用するに当たっては、労働者の健康の確保に必要な範囲内で労働者の心身の状態に関する情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならない」とされ、「労働者の心身の状態に関する情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならない」とされ、厚生労働大臣は、「事業者が講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表する」こととされました。)

◎労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する 指針(平成31年4日1日適用)

1 趣旨・総論
・労働者の健康管理や心身の状態に関する情報
→個人情報の保護に関する法律第2条第3項に規定する「要配慮個人情報」に該当。そのため、事業場において、労働者が雇用管理において自身にとって不利益な取扱いを受けるという不安を抱くことなく、安心して産業医等による健康相談等を受けられるようにするとともに、事業者が必要な心身の状態の情報を収集して、労働者の健康確保措置を十全に行えるようにするためには、関係法令に則った上で、心身の状態の情報が適切に取り扱われることが必要。
・このため、事業者が、当該事業場における心身の状態の情報の適正な取扱いのための規程(以下「取扱規程」という。)を策定することによる当該取扱いの明確化が必要である。
・こうした背景の下、労働安全衛生法第 104 条第3項及びじん肺法(昭和 35 年法律第 30 号)第 35 条の3第3項に基づき公表する本指針は、心身の状態の情報の取扱いに関する原則を明らかにしつつ、事業者が策定すべき取扱規程の内容、策定の方法、運用等について定めたもの。その上で、取扱規程については、健康確保措置に必要な心身の状態の情報の範囲が労働者の業務内容等によって異なり、また、事業場の状況に応じて適切に運用されることが重要であることから、本指針に示す原則を踏まえて、事業場ごとに衛生委員会又は安 全衛生委員会(以下「衛生委員会等」という。)を活用して労使関与の下で、その内容を検討して定め、その運用を図る必要がある。
本指針に示す内容は、事業場における心身の状態の情報の取扱いに関する原則であり、事業者は、当該事業場の状況に応じて、心身の状態の情報が適切に取り扱われるようその趣旨を踏まえつつ、本指針に示す内容とは異なる取扱いを行うことも可能であり、その場合は、労働者に、当該事業場における心身の状態の情報を取り扱う方法及び当該取扱いを採用する理由を説明した上で行う必要がある。


2 心身の状態の情報の取扱いに関する原則
(1)心身の状態の情報を取り扱う目的
→事業者が心身の状態の情報を取り扱う目的→必要な心身の状態の情報を適正に収集し、活用する必要があり、労働者の個人情報を保護する観点から、現行制度においては、事業者が心身状態の情報を取り扱えるのは、労働安全衛生法令及びその他の法令に基づく場合や 本人が同意している場合のほか、労働者の生命、身体の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき等とされているので、適正に取り扱われる必要がある。

(2)取扱規程を定める目的→ 心身の状態の情報が、労働者の健康確保措置の実施や事業者が負う民事上の安全配慮義務の履行の目的の範囲内で適正に使用され、事業者による労働者の健康確保措置が十全に行われるよう、事業者は、当該事業場における取扱規程を定め、労使で共有 することが必要である。

(3)取扱規程に定めるべき事項→@ 心身の状態の情報を取り扱う目的及び取扱方法 A 心身の状態の情報を取り扱う者及びその権限並びに取り扱う心身の状態の情報の範囲 B 心身の状態の情報を取り扱う目的等の通知方法及び本人同意の取得方法 C 心身の状態の情報の適正管理の方法 D 心身の状態の情報の開示、訂正等(追加及び削除を含む。以下同じ。)及び使用停 止等の方法 E 心身の状態の情報の第三者提供の方法 F 事業承継、組織変更に伴う心身の状態の情報の引継ぎに関する事項 G 心身の状態の情報の取扱いに関する苦情の処理 H 取扱規程の労働者への周知の方法 なお、Aについては、個々の事業場における心身の状態の情報を取り扱う目的や取 り扱う体制等の状況に応じて、部署や職種ごとに、その権限及び取り扱う心身の状態 の情報の範囲等を定めることが適切である。

(4)取扱規程の策定の方法→事業者は、取扱規程の策定に当たっては、衛生委員会等を活用して労使関与の下で 検討し、策定したものを労働者と共有することが必要である。この共有の方法につい ては、就業規則その他の社内規程等により定め、当該文書を常時作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付ける、イントラネットに掲載を行う等の方法により周知する ことが考えられる。なお、衛生委員会等を設置する義務がない常時 50 人未満の労働者を使用する事業場 (以下「小規模事業場」という。)においては、事業者は、必要に応じて労働安全衛生 規則(昭和 47 年労働省令第 32 号)第 23 条の2に定める関係労働者の意見を聴く機会 を活用する等により、労働者の意見を聴いた上で取扱規程を策定し、労働者と共有す ることが必要である。 また、取扱規程を検討又は策定する単位については、当該企業及び事業場の実情を 踏まえ、事業場単位ではなく、企業単位とすることも考えられる。

(5)心身の状態の情報の適正な取扱いのための体制の整備→情報を適切に管理するための組織面、技術面等での措置を講じることが必要。(9)の表の右欄に掲げる心身の状態の情報の取扱いの原則のうち、特に心身の状態の情報の加工に係るものについては、主に、医療職種を配置している事業場での実施を想定しているものである。 なお、健康診断の結果等の記録については、事業者の責任の下で、健康診断を実施 した医療機関等と連携して加工や保存を行うことも考えられるが、その場合において も、取扱規程においてその取扱いを定めた上で、健康確保措置を講じるために必要な 心身の状態の情報は、事業者等が把握し得る状態に置く等の対応が必要である。

6)心身の状態の情報の収集に際しての本人同意の取得→(9)の表の@及びAに分類される、労働安全衛生法令において労働者本人の同意 を得なくても収集することのできる心身の状態の情報であっても、取り扱う目的及び 取扱方法等について、労働者に周知した上で収集することが必要である。また、(9) の表のAに分類される心身の状態の情報を事業者等が収集する際には、取り扱う目的及び取扱方法等について労働者の十分な理解を得ることが望ましく、取扱規程に定め た上で、例えば、健康診断の事業者等からの受診案内等にあらかじめ記載する等の方 法により労働者に通知することが考えられる。さらに、(9)の表のBに分類される心 身の状態の情報を事業者等が収集する際には、個人情報の保護に関する法律第 17 条第2項に基づき、労働者本人の同意を得なければならない。

(7)取扱規程の運用 事業者は、取扱規程について、心身の状態の情報を取り扱う者等の関係者に教育し、 その運用が適切に行われるようにするとともに、適宜、その運用状況を確認し、取扱 規程の見直し等の措置を行うことが必要である。 取扱規程の運用が適切に行われていないことが明らかになった場合は、事業者は労 働者にその旨を説明するとともに、再発防止に取り組むことが必要である。

(8)労働者に対する不利益な取扱いの防止事業者→労働者の健康確保措置及び民事上の安全配慮義務の履行に必要な範囲を超えて、 当該労働者に対して不利益な取扱いを行うことはあってはならない。↓↓
@ 心身の状態の情報に基づく就業上の措置の実施に当たり、例えば、健康診断後に 医師の意見を聴取する等の労働安全衛生法令上求められる適切な手順に従わないな ど、不利益な取扱いを行うこと。
A 心身の状態の情報に基づく就業上の措置の実施に当たり、当該措置の内容・程度 が聴取した医師の意見と著しく異なる等、医師の意見を勘案し必要と認められる範囲内となっていないもの又は労働者の実情が考慮されていないもの等の労働安全衛 生法令上求められる要件を満たさない内容の不利益な取扱いを行うこと。
B 心身の状態の情報の取扱いに労働者が同意しないことや心身の状態の情報の内容 を理由として、以下の措置を行うこと。 (a)解雇すること (b)期間を定めて雇用される者について契約の更新をしないこと (c)退職勧奨を行うこと (d)不当な動機・目的をもってなされたと判断されるような配置転換又は職位 (役職)の変更を命じること (e)その他労働契約法等の労働関係法令に違反する措置を講じること

◆長くなりましたので区切ります。
次回はこの続き「(9)心身の状態の情報の取扱いの原則 」からです。
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