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平成30年版 少子化社会対策白書 概要版(PDF版) [2018年08月03日(Fri)]
平成30年版 少子化社会対策白書 概要版(PDF版)
http://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2018/30pdfgaiyoh/30gaiyoh.html
第1部 少子化対策の現状
第2章 少子化対策の取組

第3節 子育てしやすい社会の実現に向けて【特集】
1 はじめに

少子化の問題は、若者の経済的な不安定さや長時間労働、仕事と子育ての両立の難しさ、子育て中の孤立感や負担感、教育費負担の重さなど、様々な要因が複雑に絡み合って生じている。 政府では、これらの要因を取り除き、結婚 や妊娠・出産、子育てに関する国民一人一人 の希望がかなう社会を実現するため、「少子化社会対策大綱」(2015(平成27)年3月20 日閣議決定)や「ニッポン一億総活躍プラ ン」(2016(平成28)年6月2日閣議決定)などに基づき、長時間労働の是正や同一労働同 一賃金の実現等の働き方改革、待機児童解消 に向けた保育の受け皿整備などの施策に取り組んでいる。 特に子育て世代への経済的支援については、「新しい経済政策パッケージ」(2017(平 成29)年12月8日閣議決定)により、2019 (平成31)年10月に予定されている消費税率 10%への引上げによる財源を活用し、これまで段階的に進めてきた幼児教育の無償化について一気に進めるとともに、高等教育についても真に支援が必要な子供たちを対象として 無償化するなど、子育て世代、子供たちに大胆に政策資源を投入することとしている。 一方で、2014(平成26)年度に内閣府で実施した「結婚・家族形成に関する意識調査」によれば、子育ての不安要素を尋ねる問に対して、「経済的にやっていけるか」(63.9%)に次いで、「仕事をしながら子育てすることが難しそう」が51.1%、「きちんと した子供に育てられるか自信がない」が 40.7%となっているなど、経済的な不安のみならず、仕事と子育ての両立をはじめ、子育てに伴う様々な負担について根強い不安があることが分かる。(第1-2-8図) また、国際比較の観点からも、2015(平成 27)年度に内閣府で実施した「少子化社会に関する国際意識調査」によると、自分の国が 「子供を生み育てやすい国だと思うか」とい う問いに対して「そう思う」と答えた者の割合は、対象4か国で日本が最も低い46.6%に 留まっており、中でも、「フレックスやパートタイムなど、柔軟な働き方ができるから」 (13.1%)、「育児休業や出産休暇を取りやすい職場環境が整備されているから」(16.0%)、 「地域で子育てを助けてもらえるから」 (13.7%)、「子供を生み育てることに社会全 体がやさしく理解があるから」(11.4%)など、職場や地域の子育て環境に関する項目が、他国と比較して低い割合となっている点が注目される。(第1-2-9図、第1-2-10図) 子育てしやすい社会を実現するためには、 職場・居住地域・外出先など、様々な場において、多様な主体による幅広い支援が展開されることが不可欠であり、本特集では、企業 や団体などの意欲的な取組事例を紹介する。

2-1 職場における取組→様々な制度で社員の多様な働き方を支える
・食品企業のカルビー株式会社
→2010 (平成22)年に社内にダイバーシティ委員会を設置、子育て中の社員を含め、すべての社員が多様性を活かせる組織・風土づくりを進めている。出産・育児に関する制度については、2010 年以前も整っており、当時から出産を理由に 退職する女性はほとんどいなかった。一方 で、従業員の約半数が女性であるにも関わらず女性管理職の比率は2009(平成21)年時点で約5%と非常に低いという状況があり、 女性社員が出産・育児をしながら仕事でも活躍できる環境の整備が必要となっていた。 そうした中で、2009年に外資系企業から 就任した松本晃会長兼CEOのイニシアティ ブにより、ダイバーシティ委員会において、 キャリア研修やメンター制度を導入するな ど、女性の意識改革の取組を進めた。この結果、子供のいる女性管理職も増え、責任ある 立場で仕事をしつつ、育児と仕事の両立ができるような支援のニーズが高まったことから、ダイバーシティの推進と併せて、より柔軟な働き方ができるような制度の充実が必要となっていった。 こういった状況を受け、同社では、2014(平成26)年に社員の柔軟な働き方を支援するため、「在宅勤務制度」 を導入したが、 2017(平成29)年からは、更に回数や場所 の制限を廃止し、時間と場所にとらわれない 「モバイルワーク制度」に発展、1日単位に限らず半日単位でも申請できるため、例えば、午前中に子供の授業 参観がある日に、通勤時間を加味して従来は 全日休暇を申請していた社員が、午前中は半 日休暇を取得し、午後はカフェで仕事をするといったことも可能となるなど、社員はさらに柔軟な働き方を選択することができるようになった。 実際に、この制度を活用した社員からは、「通勤の負担が無く仕事に集中できる」、「子育てをしながら働くのに助かる」、「家の近くの消費者の動向を観察し、マーケティングの戦略立案に活かせる」などの声が挙がってお り、業務面でもメリットがあることが伺える。 この他にも、同社では、10時〜15時をコ アタイムとするフレックスタイム制度など、 社員の柔軟な働き方を支える様々な制度を設けているほか、育児をしながら仕事で活躍する社員を支援するため、2015(平成27)年 に「早く帰ってきてくれてありがとう感謝金制度(早期復帰感謝金)」や「学童準備金制度(フルタイム勤務への準備金)」などを導入。また、2017年には育児休業を5 日間有給とし、男性は配偶者出産休暇と合わせ、10日間有給で出産育児のために休むことが可能となった。 同社では、女性のみならず、男性も仕事と 家庭を両立できる環境にしていくことを重視しており、今後、より軽量なモバイルツール の導入など、働き方がより身軽で生産性の高い状態になるよう、様々な取組や最先端の事例を研究し、取り入れていくことを検討している。

・東京都渋谷区にある体験型ギフトの企画・販売を行っているソウ・エクスペリエンス株 式会社→「子連れ出勤」→親と一緒に出勤した子供たちは、他の社員と同じ空間で過ごす。ハイハイで移動する子供もいるため、オフィスフロアの半分ほどの スペースを土足禁止エリアとして設定し、クリーンで危険なものが落ちていない空間を確保している。常に他の社員と同じ空間で過ごしているため、仮に親が仕事で手が離せない時に子供がトラブルを起こしそうになっても、別の社員が対応することも可能な体制になっている。 実際に子連れ出勤をしている社員からは、「社会とのつながりができる」、「家で1対1で いるよりも、子供に対して冷静でいられる」、「大家族で育てているように感じる」などといった声があり、その他の社員からも「一緒に働きたいと思うメンバーと、出産を経ても 働き続けられる」といった好意的な声が挙がっている。 また、同社では、子連れのパートタイム社 員自らの提案で「“みなし”お世話時間」を導入し、オフィス滞在時間から一定割合時間を差し引いている。これにより、子連れ出勤をしている社員は気兼ねなく子供の面倒を見ることができ、継続的な取組につながっている。

愛知県清須市の自動車部品用金型メーカー である株式会社エムエス製作所→出産をきっかけに同社を退職した女性社員の「仕事は継続したいが、子供が小さいうちは自分で育てたい」という思いをきっかけに、2017 (平成29)年から子連れ出勤制度を導入。 社内にある十畳ほどの空き部屋を子供と一緒に仕事ができる「子供部屋」に。子供を連れて出勤してきた社員は、子供と同じ室内で働きながら子供を見守り、必要がある時には他の社員が子供たちを見守ることを基本的なコンセプトにしている。また、子供部屋については鍵の位置を子供の手が届かない高さに設置するなど安全面でも配慮している。中には、保育園や幼稚園が休園の日だけ子連れ出勤をしている社員もいるなど柔軟な運用がなされている。 社員からは、「子供の成長を見ながら仕事もできる」、「無理なく子育ても仕事もできる環境を整えてもらっている分、仕事も頑張ろうと思える」と好評だ。 同社の子連れ出勤制度はまだ始まったばかりであり、利用しているのは女性社員のみだが、こういった取組をきっかけに企業内に多様な価値観が生まれ、特に子供を含め家族と過ごす時間の大切さの意識が高まり、子供や配偶者の誕生日には定時退社するなど、男性社員の働き方に対する考え方にも徐々に変化が見られている。

○ソウ・エクスペリエンス株式会社、株式会社エムエス製作所の両社に共通→比較的小さな規模の企業が、優秀な人材の確保・定着の観点から、なるべく手間や費用をかけず、柔軟な運用で周囲の理解を得ながら、子連れ出勤の導入・定着を図っている という点である。子連れ出勤は、こうした企業側の思いと、仕事と子育てを両立させたい と希望する従業員側の思いが一致した結果、 実現した取組であると言える。

2-2 地域社会における取組→核家族化の進行や、地域のつながりの希薄化など、子育てをめぐる環境が大きく変化する中で、子育てが「孤育て」化し、悩みを誰にも相談できず、一人で問題を抱え込んでしまう人もいる。子育ての孤立感やストレスが 増幅する前に支援や手助けを受けられるよう、地域全体で子供を育む環境整備・機運醸成が不可欠である。そこで、地域における子 育て支援に取り組む特定非営利活動法人の活 動を紹介する。

○待つ支援から届ける支援へ→現在、地方公共団体においては、地域子育て支援拠点事業、乳児家庭全戸訪問事業、養 育支援訪問事業、子育て援助活動支援事業(ファミリー・サポート・センター事業)など様々な子育て支援施策が行われているが、 これら「地域子ども・子育て支援事業」に出かけづらい親子や、継続したケアの対象とすることが難しい家庭、ファミリー・サポート・センター事業で対応できない親自身の支援が必要な家庭など、支援の隙間″で誰かの手助けを必要としている孤立しがちな親子へ の支援が求められている。これを実現するための新しい“家庭訪問型子育て支援ボラン ティア”活動の仕組みが「ホームスタート」。 ホームスタートは、「当事者性」と「素人性」を重視した同じ子育て経験者ならではの 無償ボランティアによる訪問活動として、 1974(昭和49)年にイギリスのレスターで始まったものであり、この独自の訪問支援の仕組みは現在、世界23か国で行われている。 日本でも「特定非営利活動法人ホームスター ト・ジャパン」が全国ネットワーク組織として2009(平成21)年12月に設立され、現在、 その取組は90以上の地域に広がっている。 日本におけるホームスタートは、8日間延べ37時間の養成講座を全日受講した子育て 経験のある地域住民が、ボランティア(ホー ムビジター)として、週に1回2時間程度、定期的に家庭を訪問し、「傾聴」(親の気持ち を受け止めて話を聴くこと)、「協働」(親と 一緒に家事や育児、外出などをすること)をしながら2か月程度親子と共に過ごし、子育て中の親の心を支えている。 ホームビジターによる支援活動をサポートし、多様な利用家庭のニーズに沿った支援内容をマネジメントするため、「オーガナイザー」を配置しており、効果の高い支援を提供できるように、利用者とホームビジターの双方を守る仕組みとなっている。 また、地域の専門職等で構成される「運営委員会」がオーガナイザーをサポートする体制を各地で整備し、地域連携を促進。 ホームビジター、オーガナイザー、運営委員会の三者が異なる役割を担い、互いに尊重し協力し合うスキーム体制により地域力の向上を図っている。 ホームスタートの利用者からは、「自分の子育てに自信がついて不安が解消した」、「子供の問題行動が減少した」、「子育てが楽しいと思えるようになった」など利用後の変化が 喜びの声として寄せられている。 ホームビジターは、ベビーシッターやヘルパーのように親の代わりに家事や育児をすることはなく、親と一緒に家事・育児をしながら共に過ごす、伴走型の支援者である。地域の親同士である利用者とホームビジターの対等な関係性を基礎に、地域全体で子供の育ちと子育てを支え合える未来志向のまちづくり につながる活動として注目される。

2-3 外出・移動に着目した取組→子育てを意識したまちづくり、公共交通機関の主体的な取組、周囲の人々を巻き込む仕組みづくりなど様々な観点からの取組が必要。
○子育て世代に選ばれるまちづくり→子育てを意識したまち づくり、公共交通機関の主体的な取組、周囲 の人々を巻き込む仕組みづくりなど様々な観点からの取組が必要。
・→地方公共団体、子育て世代を ターゲットにしたまちづくりに取り組む事例→千葉県の北西部に位置する流山市では、住民の高齢化が進む中、2003(平成15)年に就任した井崎義治市長を中心に、人口が増える街にするためにはどうすればよいか SWOT分析 やターゲットの整理など、マー ケティングの視点を取り入れて検討を行った結果→ゆったりとした戸建て住宅や、公園・ 緑地などの豊富な緑化資源を地域の強みと位置づけ、「都心から一番近い森のまち」という都市のイメージを設定し、30代から40代前半の共働き子育て世代をターゲットとして 定住人口を増加させることを目標に掲げた。 子育て世代に選ばれる街にするため、同市ではまず、2005(平成17)年8月に開通した つくばエクスプレス建設とその沿線のまちづ くりを一体的に行ってきた。特に、「流山おおたかの森」駅周辺を同市の新たな中心核として位置付け、駅を中心に子育て支援施設やクリニックファーム、商業施設などの多様な生活利便施設を集積することで高度な都市性を創出する一方、地区周辺の環境資源や公園を緑地・道路等でネットワーク化し、地域固有 の自然を維持・活用しつつも、都心的な魅力を兼ね備えた生活空間の形成を目指している。 そうした中で、市内の子育て世帯に人気なのが、「流山おおたかの森」駅と「南流山」 駅に設置された駅前送迎保育ステーションである。これは、市内2か所の駅前送迎保育ステーションと市内の指定保育所(園)を安全・安心のバスで結び、登園・降園ができるシステムである。ステーションは一時預かりも兼ねているため、保護者は出勤前に子供をステーションに預け、帰りもステーションまで迎えに行けばよい仕組みになっている。 1回100円と手軽に利用でき、自宅と保育園が離れていたり、保育園の開所時間と保護者の通勤時間の調整が容易でない場合の移動負担などの軽減につながっている。このほか、認可保育園等の新設・増設や、 小中学校へのALT(外国語指導助手)配置による英語教育の強化に加え、広い家を持て余すシニア世帯と、子供の成長に伴って安くて広い中古住宅に住み替えを希望する子育て世帯をつなぐ「住み替え支援制度」など、子育て世代のニーズを捉えた様々な取組を行った結果、流山市の人口は2003年の約15万人 から2017(平成29)年4月時点で約18万2千 人となっている。市内全人口のうち、30代 から40代の人口が最も多く、全体の約3割を占めるなど、子育てに着目したまちづくりにより、ターゲットにしていた子育て世代を呼び込み、発展し続ける街の仕組みづくりを進めている事例としても注目される。

○親子連れに優しい電車→子供連れでも、安心して楽しく外出できるようになれば、育児の息抜きとなったり、社会とのつながりが保たれるなど、そのメリッ トは大きいと考えられる。しかし、実際には、ベビーカーを押しながら公共交通機関を 利用する際に他の乗客の迷惑にならないか心配になったり、泣く赤ちゃんを抱えて、トイレや授乳場所を探し回らなければならないなど、子供連れで外出する際に不安や負担を感 じる人も多い。
・公共交通事業者として子育て世 代を含めた全ての人が気兼ねなく乗れる車両の開発に取り組んだ事例→西武鉄道株式会社では、2017(平成29)年3月に「人にやさしい、みんなと共に進む電車」をコンセプトに、これからの100年に 向けて走り出す新型通勤車両「40000系」を新たに開発。「今までにない電車」を目指そうという考えから、車両設計部門に加え、鉄道車両の設計とは無 関係な管理部門の若手社員(女性4名・男性 2名)からなるプロジェクトチームを結成→Webアンケートや街頭インタビューの結果を検討し、ユーザー目線のデザインを心掛け、特に子育て世代の 「混雑時にベビーカーの置き場に困る」、「車両の先頭部に小さい子供が立って外の風景を 見られるスペースが欲しい」との意見に着目、子供たちや育児を頑張る親たちを支援、子供にも乗りたいと思ってもらえる車内 空間を創ろうと考えた→新型車両には、「パー トナーゾーン」(高齢者、乳幼児連れ、障害者等を対象にした既存の「優先席」と異なり、ユニバーサルの概念を拡張した空間)を設置。ベビーカーを押した方にも気兼ねなく利用してもらえるスペースとして開発担当者が様々なアイデアを出し合い、初めてVR(バーチャルリアリティー)を活用した手法を用いてユーザーの利便性を徹底 的に検証した上で設計されたもの。最終設計図面の完成から約1年半の歳月を経て、車内の空気環境を改善するための空気清浄器や、ベビーカーを固定するための設備も設置し、小さな子供が車窓の風景を楽しめるような大型窓を採用。加えて、手摺りは 子供でも握ることができる高さにも設置している。 「人にやさしい、みんなと共に進む電車」 は、親子連れをはじめ、乗る人全てが心地良く、気兼ねなく乗れる電車として走り始めている。

○「やさしさ」を「見える化」する→ 次に、妊娠中の女性が電車を利用する際、 最新の技術を活用して、乗客の「席を譲りたいというやさしさ」を見える化し、実際に席 を譲る行動につなげる取組を紹介。
・2017(平成29)年12月、東京メトロ銀座線で、一般社団法人PLAYERSが考案した妊婦向けサービス「&HAND/アンドハンド」 の実証実験が、大日本印刷株式会社、東京地下鉄株式会社、LINE株式会社と共同で行われた。 アンドハンドは、通信機器(ビーコン1 ) を内蔵したキーホルダーを携帯した妊婦が、 電車内で立っているのがつらい時にスイッチ をONにすると、サポーターとして事前に登 録した周囲の乗客のLINE2 に「妊婦さんが近くにいます」とメッセージが届き、席を譲る ことができる状況にあるサポーターが「席を譲る」を選ぶと、妊婦のLINEに通知が届くことで妊婦への席譲りを後押しするサービス。サポーターが妊婦を見つけられない時は、LINEで妊婦に座席を伝えることもできる仕組。 数年前、同法人を主宰するタキザワケイタ 氏が妊娠中の妻と一緒に満員電車に乗っていた際、マタニティマークを見て中年男性が席を譲ってくれた経験を機に、マタニティマー クについてインターネットで検索してみたところ、「危険」や「不快」、「嫌い」といった 関連ワードが表示され、検索結果もネガティ ブな記事で占められていることを知り、自分の子供の将来のためにもこの状況を変えたい と思ったのが、このサービスを考案するきっ かけとなった。 同法人が、男性や妊娠経験がない女性の計 約1,000人を対象にWEBアンケートを行ったところ、約8割の人が妊婦に席を譲る必要はあると思いつつ、「スマホを見ていてマタニティマークに気付かなかった」、「声を掛けるのが恥ずかしかった」などの理由で席を譲らなかった経験があるという結果となったことを踏まえ、マタニティマークに関する正しくポジティブな情報の提供と、思いやりを 持った人の「やさしさ」を見える化し、妊婦 に届けることを目的としてアンドハンドの サービスを開発した。 2017年12月の実証実験に参加した妊婦からは、「席を譲ってくれる方がたくさんいる ことが分かって本当に嬉しかった」、「やっぱり助けてくれる人はいるんだと感動した」と いった感想が得られた。また、サポーターからも「断られる心配がなく、安心して妊婦さんに声を掛けることができた」、「席を譲れたことが嬉しかった」といった声があった。 同法人は、この仕組みがサポーターの背中を押し、困っている人を助けたという成功体験を持ってもらうことで、いずれこのサービスがなくとも自然と手助けできるような社会 になることを目指している。

3 おわりに→ 今後も、子育てしやすい社会の実現に向けて、子供や子育てを大切にするという意識が 社会全体で深く共有され、行政による支援の充実に加え、本特集で紹介した事例のような 取組が一層広がっていくことが期待される。

次回は、第2部−第1章 重点課題「第1節 子育て支援施策の一層の充実」からです。
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