• もっと見る
« 2018年05月 | Main | 2018年07月»
<< 2018年06月 >>
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
最新記事
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
日別アーカイブ
新たな財政健全化計画等に関する建議 (参考3) [2018年06月10日(Sun)]
新たな財政健全化計画等に関する建議(平成30年5月23日)
財政制度等審議会
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia300523/06.pdf
◎(参考3)財政制度等審議会 財政制度分科会
海外調査出張報告− とりまとめ資料−(平成30年3月30日)
・調査体制及び調査日程→1.欧州A、2.欧州B、3.欧州C、4.北米。
(上記出張者から調査の視点でまとめられたものです)

≪財政健全化目標・計画に対する各国の取組(調査から得られる視点)≫↓
○目標の設定・変更、計画期間・内容に関する考え方等→堅実な経済予測に基づき、財政健全化目標と毎年の財政政策の指針等をしっかりと関連付けて策定する必要。また、目標設定に当たって政治のコミットメントを確保し、安易に目標を変更せずに着実に実施することが信頼性の確保のために重要。信頼性の高い目標・計画は、社会保障制度の持続可能性に対する不安を解消し、過剰貯蓄の解消や期待インフレの改善を通じてマクロ経済のパフォーマンスの改善につながる。

・(参考)各国の財政健全化目標等
・(参考)各国の財政状況の推移→諸外国では、経済環境の好転等を受けて財政健全化の取組が進む。

○歳出規律、各歳出分野における改革方針・項目の設定の在り方→外国では、歳出規律として複数年のシーリング・目安等を設定し、その実効性は、政治のコミットメント、会計年度を通じた歳出の実績に基づく取組状況の評価、是正措置の実施によって担保。歳出規律の維持により、好況期に歳入が上振れした場合には財政健全化に適切に活用。歳出圧力の高い社会保障や地方財政等に個別に規律を設ける例もある。

○個別の歳出分野における、歳出改革のための特徴的な取組例↓↓
〔社会保障分野〕
フランス:医療保険の支出目標を設定。支出状況を年間を通じてモニタリングし目標を超えるリスクが生じた場合には、医療機関等への投資的予算を凍結する等により、目標を守り、支出を抑制。
オランダ:2006年に皆保険を実現して以降、民間保険会社に保険の運営を任せ、相互に競争させることを通じて保険の質の確保と費用の抑制の2つを両立。また、介護保険分野では、2015年に施設での介護サービスが必要な重度の患者に対象を絞ることで歳出を抑制。(注)ただし、歳出の実績は高齢化等により増加。
〔地方財政〕
フランス
:2014年に地方財政支出の伸び率に目標値を設定し、目標が達成されない場合に交付金の支給を削減する仕組みを導入し、これにより地方政府の歳出抑制に成功。この結果、地方交付金の抑制も可能となり、国・地方の両面の財政状況が改善。
イタリア:地方政府に対しても厳しい財政規律を設定。地方自治体の医療支出に3か年シーリングを設定し、収支均衡等が達成できない場合には、個人所得税の引上げなどの是正措置が必要。
〔その他〕
英 国
:財政健全化を進める一方で、予算の質的向上を図り、生産性を向上させるために重要な住宅、研究開発、交通、デジタル情報通信の4分野に対して重点的に投資をし、予算にメリハリ。
カ ナ ダ:予算の質の向上に向けて、経済成長への貢献度などアウトカムまで踏み込んで執行面を厳しく精査する取組を試行的に開始。

○目標・計画やそれらに基づく歳出改革等の実施状況の評価手法、タイミング→財政健全化の進捗状況を検証し、計画と実績にかい離が認められる場合には、予算編成過程等において是正措置を講じることで計画の信頼性を確保することが重要。その際、会計年度を通じた歳出・歳入の実績又は実績見込みに基づき取組状況の評価を実施。
〔評価手法・メカニズム
・諸外国の多くは、毎年、財政健全化の取組状況を評価。欧州では、財政健全化の取組状況を相互に監視する体制を強化し、欧州委員会が、事前に予算法案や向こう3か年の経済財政政策の方針を盛り込んだ「安定化プログラム」を評価し、意見を述べる枠組みを構築。
・さらに、計画と実績のかい離が認められる場合、計画どおりに戻すための制度設計が見られる。(フランス、ドイツ、英国)
・各国は会計年度を通じた歳出・歳入の実績又は実績見込みに基づき取組状況を評価(欧州では、各国の取組が比較可能なSNAベースが前提)。

○財政状況の改善・悪化が国民生活等に与えた影響等→諸外国では、過去の経済・財政危機の経験を風化させず、分かりやすい言葉で財政健全化の必要性を訴え、財政健全化に対する国民的な関心を高め、そのコンセンサスを得ている。
・財政状況や文化的な違いがあるものの、諸外国では様々な背景によって財政健全化の必要性を認識。国民に財政健全化に対する理解を浸透させる取組も実施。(カナダ、スウェーデン、ドイツ、オランダ)
・他方で、国民の理解を促進するために取り組むべき課題も明らかに。(アメリカ)

次回は、「我が国の財政に関する長期推計(改訂版)」資料からです。
| 次へ