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第9回放課後児童対策に関する専門委員会 [2018年06月01日(Fri)]
第9回放課後児童対策に関する専門委員会(平成30年5月15日開催)
《主な議題》「中間取りまとめ(素案)」等
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000204398.html

3.放課後児童クラブの今後のあり方
(1)待機児童の解消(いわゆる「量の拡充」について)
○平成 29 年5月1日現在の放課後児童クラブの数は 24,573 か所、登録児童数は1,171,162人となり、過去最大となった。その一方で、待機児童数は17,170人となり、前年度と比べてやや減少したものの横ばい状態である。
○待機児童の学年別の状況を見ると、4年生以上の割合が約4割となっている。これは、平成 27 年度から施行されている子ども・子育て支援新制度による、放課後児童クラブの対象拡大の影響が大きいと考えられる。
○「子育て安心プラン」に基づく保育の受け皿については、2020年度末までに女性就業率80%に対応できる約32万人分を確保し、待機児童解消を目指している。放課後児童クラブについては、昨年 12 月に閣議決定した「新たな経済政策パッケージ」において、「放課後子ども総合プラン」における平成 31 年末までの整備目標(約 30 万人分)を、1年前倒しし、さらに、「その後の在り方について検討する」こととされている。
○女性の就業率が上昇する中にあって、保育の利用率もあわせて上がってきていることを踏まえれば、放課後児童クラブの利用率も今後さらに上昇することが予想される。保育所に入所ができても小学校入学後に子どもを預けられない事例が生じないよう、待機児童や「小1の壁」の解消に取り組む必要がある。
(基本的な視点・方向性)
○待機児童を解消していくためには、女性就業率の上昇を踏まえたニーズを見込んだ上で、必要な受け皿整備を着実に進めていく必要がある。その上で、放課後児童クラブ未設置の小学校区への放課後児童クラブの設置促進、「放課後子ども総合プラン」に基づく放課後児童クラブと放課後子供教室との一体的な実施において、学校施設に加え、児童館や社会教育施設等を活用する等、様々な方法により放課後児童クラブの着実な整備を行っていくことが求められる。
○4年生以上の高学年児童の待機児童の解消にあたっては、放課後児童クラブの整備はもちろんのこと、子どもの発達段階に応じ、放課後における居場所のニーズも多様化することにも鑑み、児童館、社会教育施設等既存資源の活用をはじめ、地域の中で子どもが安心し、生き生きと過ごせる多様な居場所を確保していくことが求められる。その際、子どもの発達の状況、家庭での養育の状況、地域環境等、放課後に子どもがどこで、どのように過ごすのがよいのか、子ども自身がどこで過ごしたいのか、多角的に検討する必要がある。
○子ども自身が放課後の居場所を選べるよう、子どもに向けた情報提供をしていくこと、所管や公的事業、民間事業にかかわらず情報を一元化し、その情報を提供しコーディネートする役割も必要であると考えられる。
○放課後児童クラブの利用者の増加や、障害のある子どもや配慮を必要とする子ども・家庭が増えている現状などを考えると、放課後児童支援員を支援したり、必要に応じて関係機関と連携して支援するスーパーバイザー的な職員の配置を検討することも考えられる。

(2)質の確保
@放課後児童クラブに求められるもの

○放課後児童クラブの質の確保を考えるにあたり、設備運営基準及び運営指針に基づき、子どもの最善の利益を第一に、子どもの視点に立って、運営や育成支援の内容を検証する必要がある。
○運営指針によれば、放課後児童クラブの役割は、児童の権利に関する条約の理念に基づき、子どもの最善の利益を考慮して育成支援を推進することにある。育成支援とは、「子どもが安心して過ごせる生活の場としてふさわしい環境を整え、安全面に配慮しながら子どもが自ら危険を回避できるようにしていくとともに、子どもの発達段階に応じた主体的な遊びや生活が可能となるように、自主性、社会性及び創造性の向上、基本的な生活習慣の確立等により、子どもの健全な育成を図ること」が目的である。
○放課後児童クラブの育成支援の内容に、「子どもが発達段階に応じた主体的な遊びや生活ができるようにする」「子どもが自分の気持ちや意見を表現することができるように援助し、放課後児童クラブの生活に主体的に関わることができるようにする」などが挙げられているが、現状を踏まえると、子どもの主体的な活動を尊重する運営や育成支援を一層進めていくことが一つの課題である。
基本的な視点・方向性)
○運営指針で示されている放課後児童クラブにおける「育成支援」の内容について、改めて現場への理解浸透を図り、放課後児童クラブにおいて、子どもの発達段階に応じて、主体性に応じた遊びや生活ができるよう、最大限に配慮するとともに、放課後児童クラブ以外の子どもや地域の人たちとの交流や多様な活動ができるよう、地域の他施設等との連携により交流や活動の幅を広げることが求められる。また、運営指針が求める「育成支援」の内容を実践できる放課後児童支援員の育成や資質の向上に、より一層取り組む必要がある。
○運営指針及び「放課後児童クラブ運営指針解説書」(平成29年3月厚生労働省発出)でも述べられているように、遊びは自発的、自主的に行われるものであり、子どもにとってほかに代えがたい不可欠な活動である。子どもが自ら遊びをつくっていくという観点に立てば、放課後児童支援員が、子どもが主体性を発揮できる環境づくりと関わり方の専門分野であるプレイワークの知識を身に着けていくことも求められる。
○厚生労働省が昨年度末に全国の市町村を対象に、放課後児童クラブにおける情報公開について調査を行ったところ、「運営状況を取りまとめて、情報公開している」ところが1割程度であった。放課後児童クラブの中には、保護者に対し、連絡帳のやりとりやアンケートを実施するところもあるが、全体的には運営に関わる情報公開については進んでいないところも多くみられる。
○同調査において、子どもの安全確保に関する取組についても聞いているが、部外者が敷地内に自由に出入りできないよう施錠等を行う場合が2割程度、内部通報制度が周知されているところが2割程度など、安全確保の取組について課題があると考えられる放課後児童クラブも多いことが想定される。
○放課後児童クラブの質の確保という点では、情報公開の推進、第三者評価の実施や子どもの安全確保の体制の整備は重要な視点であると考えられ、各放課後児童クラブがこうした取組を進められるよう必要な方策を考えていくことが求められる。

A放課後児童支援員のあり方・研修について
○放課後児童支援員は、子ども・子育て支援新制度の施行に合わせ、放課後児童クラブにおいて子どもの育成支援を行う専門的な知識を有する者として置かれたものであり、学校教育や保育とも異なる「育成支援」を担う。放課後児童支援員のこうした特性を踏まえた、資質の向上のあり方を考えていかねばならない。
○現在、国では、放課後児童支援員に対する研修として、放課後児童支援員認定資格研修と放課後児童支援員等資質向上研修の二種類がある。放課後児童支援員認定資格研修については、経過措置により、来年度末までに今後放課後児童支援員として勤務を予定する方については受講が義務付けられている。自治体や放課後児童クラブ関係者からは、経過措置期間までに受講が修了しないことについて懸念もなされている。
○平成 29 年5月の厚生労働省調査によると、放課後児童支援員のうち、常勤職員は35,632人(27.1%)であり、残りは非常勤職員、パート・アルバイト職員等が占める。
基本的な視点・方向性)
○放課後児童支援員の職務には、子どもに直接関わることのみならず、育成支援の計画や、保護者、学校や地域との連絡等様々なものがあり、こうした育成支援の内容を反映できる処遇が出来るようにしていくべきである。
放課後児童支援員認定資格研修については、経過措置が終了する 2020 年度以降のあり方について速やかに検討していく必要がある。
○放課後児童支援員等資質向上研修については、研修体系の整理や研修内容の充実方策等についても今後検討すべきである。とりわけ、放課後の子どもの生活を保障する視点からは、ソーシャルワークの専門性やプレイワークの知識等を培う必要が考えられ、その方法を検討する必要がある。

○おわりに
○本委員会で検討してきたように、「健全育成」という観点から子どもの放課後生活を保障していくためには、放課後児童対策の全容を明らかにし、その全体の充実を図ることが必要。その中では、放課後児童クラブの果たすべき役割を明確化し、その量質とともに充実を図っていくことも求められる。子どもたちが主体的に生きる力、他者と共に生きる力を育成することを支援するため、国が総合的な放課後児童対策を進めていくことが課題。
○なお、本委員会の中で、各委員から放課後児童対策を考える上での将来的な検討課題が提起されたので、付記しておく。放課後児童対策の充実の観点から、今後、議論が深められることを期待する。
・放課後児童クラブの就労要件について
・放課後児童クラブの保護者負担の割合について
・放課後児童対策全般についての情報公開や放課後児童対策に関わる者に対する倫理的なセキュリティーの確保についての検討
・「子どもにやさしいまち」という視点で、町全体で子どもが遊びまわれるようにする環境作りの検討

・放課後児童対策の情報の集約や研究、研修への支援等を行うセンターの設立 等

次回は、「(参考資料1)」資料です。
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