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第11回過労死等防止対策推進協議会 配布資料 [2018年05月11日(Fri)]
第11回過労死等防止対策推進協議会 配布資料(平成30年4月24日)
≪議題≫過労死等の防止のための対策に関する大綱(素案)について
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000204334.html
第2 過労死等の防止のための対策の基本的考え方→大綱が策定されてから3年、大綱を改定し、今後3年間「過労死等の防止のための対策」は以下の考え方に基づき実施するもの。↓↓

1 調査研究等の基本的考え方→過労死等の実態の解明のためには、疲労の蓄積や、心理的負荷の直接の原因となる労働時間や職場環境だけでなく、不規則勤務、交替制勤務、深夜労働、出張の多い業務、精神的緊張の強い業務といった要因のほか、その背景となる企業の経営状態や短納期発注を含めた様々な商取引上の慣行等の業界を取り巻く環境、労働者の属性や睡眠・家事も含めた生活時間等の労働者側の状況等、複雑で多岐にわたる要因及びそれらの関連性を分析していく必要があり、医学や労働・社会分野のみならず、経済学等の関連分野も含め、国、地方公共団体、事業主、労働組合、民間団体等の協力のもと、多角的、学際的な視点から実態解明のための調査研究を進めていくことが必要。 なお、過労死等の調査研究は、労働・社会分野の調査において事業を営む個人や法人の役員等も対象としてきており、今後とも事業を営む個人など一定の事業主に係るものを含め、広く対象とする。医学分野の調査研究については、職域コホート研究、介入研究、実験研究など、長期的な視点で行うものも含め、過労死等の危険因子やそれと疾患との関連の解明、効果的な予防対策に資する研究を継続的に行うことが必要である。これらの調査研究の成果を踏まえ、過労死等の防止のための健康管理の在り方について検討することが必要である。また、これらの調査研究が科学的・倫理的に適切に行われるよう、外部専門家による評価を受けるようにすることが必要である。労働・社会分野の調査研究については、平成27年度から3年間で、全業種の企業及び労働者を対象としたアンケート調査や、過労死等が多く発生しているとの指摘がある職種・業種である自動車運転従事者、教職員、IT産業、外食産業、医療等に加え自営業者、会社役員を対象としたアンケート調査を行い、その結果、取引先の都合による所定外労働発生や、人員不足の現状、業務関連のストレスの状況など、職種・業種特有の課題を明らかにしてきた。しかし、過労死の背景要因を掘り下げ、我が国における過労死等の全体像を明らかにするためには、新たな課題にも対応するべく、一定期間を周期として再度調査対象とし、結果を経年比較する取組が必要。また、これらの職種・業種に加え、建設業、メディア業界など重層下請構造の特徴があり、長時間労働の実態にあるとの指摘がある業種など、社会情勢に応じて、調査研究の対象を追加して行うべきで、これらの調査研究を通じて、我が国の過労死等の状況や対策の効果を評価するために妥当かつ効果的な指標・方法についても早急に検討すべきである。さらに、これらの調査研究の成果を集約し、啓発や相談の際に活用できる情報として広く発信していくことが必要である。

2 啓発の基本的考え方(国民に対する啓発)→過労死等には、労働時間や職場環境だけでなく、その背景となる企業の経営状況や様々な商取引上の慣行のほか、睡眠を含めた生活時間等、様々な要因が関係している。また、過労死等を防止するためには、職場のみでなく、職場以外においても、周囲の「支え」が有効であることが少なくない。このため、過労死等を職場や労働者のみの問題と捉えるのではなく、国民一人ひとりが、労働者の生産した財やサービスの消費者として、ともに生活する社会の構成員として、さらには労働者を支える家族や友人として、自身にも関わることとして過労死等に対する理解を深めるとともに、それを防止することの重要性について自覚し、これに対する関心と理解を深めるよう、国、地方公共団体、民間団体が協力・連携しつつ、広く継続的に広報・啓発活動に取り組んでいくことが必要である。

・(教育活動を通じた啓発)→若い頃から労働条件をはじめ、労働関係法令に関する理解を深め、民間団体とも連携しつつ、学校教育を通じて啓発を行っていくことが必要である。
・(職場の関係者に対する啓発)→過労死等は職場において生じるものであることから、その防止のためには、一般的な啓発に加えて、職場の関係者に対する啓発が極めて重要。特に、それぞれの職場を実際に管理する立場にある上司に対する啓発や、若い年齢層の労働者が労働条件に関する理解を深めるための啓発も重要である。白書によると、「過労死等防止対策推進法」について「聞いたことはなかった、知らなかった」と回答した労働者の割合は31.1%であり、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」についての同じ回答をした労働者の割合は42.0%であるなど、十分といえる状況にない。また、白書においては、「労働時間を正確に把握すること」及び「残業手当を全額支給すること」が、「残業時間の減少」、「年次有給休暇の取得日数の増加」、「メンタルヘルスの状態の良好化」に資することが示唆されており、労働基準や労働安全衛生に関する法令の遵守が重要であることから、関係法令の規定や関連する事業主が講ずべき措置、指針及び関係通達の内容とその趣旨に対する理解の促進及びその遵守のための啓発指導を行う必要がある。さらに、過労死等の主な原因の一つである長時間労働の削減や、賃金不払残業の解消、年次有給休暇の取得促進のためには、単に法令を遵守するだけではなく、長時間労働を行っている職場においては、人員の増員や業務量の見直し、マネジメントのあり方、企業文化や職場風土などを見直していくことが必要であり、これまでの働き方を改め、仕事と生活の調和(ワークライフバランス)のとれた働き方ができる職場環境づくりを進める必要がある。このため、各職場において、これまでの労働慣行が長時間労働を前提としているのであれば、企業文化等の見直しを含め、それを変え、定時退社や年次有給休暇の取得促進等、それぞれの実情に応じた積極的な取組が行われるよう働きかけていくことが必要。また、先進的な取組事例を広く周知するとともに、このような積極的な取組は企業価値を高めること、また、過労死等を発生させた場合にはその価値を下げることにつながり得ることを啓発することも必要。その一方で、過重労働対策やメンタルヘルス対策に取り組んでいる企業が社会的に評価されるよう、そのような企業を広く周知することが必要である。長時間労働が生じている背景には、様々な商慣行が存在し、個々の企業における労使による対応のみでは改善に至らない場合もある。このため、これらの諸要因について、取引先や消費者など関係者に対する問題提起等により、個々の企業における労使を超えて改善に取り組む気運を社会的に醸成していくことが必要である。なお、調査研究の成果を踏まえ、職種・業種等ごとに重点をおいた啓発を行うことが必要。

3 相談体制の整備等の基本的考え方→事業場において、過重な長時間労働やメンタルヘルス不調等により過労死等のリスクが高い状況にある労働者を見逃さないため、医師による面接指導や産業医・産業保健スタッフによる健康相談等が確実に実施されるよう、事業場における相談体制整備等を促進することが必要で、職場において健康管理に携わる産業医をはじめとする産業保健スタッフ等の人材育成、研修について、充実・強化を図ることも必要。相談窓口は、単に設置するだけではなく、労働者のプライバシーに配慮しつつ、必要な場合に労働者が躊躇なく相談に行くことができるよう環境を整備していくことが必要。また、職場において、労使双方が過労死等の防止のための対策の重要性を認識し、労働者や管理監督者等に対する教育研修等を通じ、労働者が過重労働や心理的負荷による自らの身体面、精神面の不調に気づくことができるようにしていくとともに、上司、同僚も労働者の不調の兆候に気づき、産業保健スタッフ等につなぐことができるようにしていくことなど、相談に行くことに対する共通理解を形成していくことが必要である。さらに、産業医等のいない小規模の事業場に対して、労働者の健康等の支援を行う産業保健総合支援センターの地域窓口(地域産業保健センター)について、充実・強化を図ることも必要である。職場以外においては、家族・友人等も過労死等の防止のための対策の重要性を認識し、過重労働による労働者の不調に気づき、相談に行くことを勧めるなど適切に対処できるようにすることが必要である。

4 民間団体の活動に対する支援の基本的考え方→過労死等を防止する取組については、家族を過労死で亡くされた遺族の方々が悲しみを乗り越え、同じ苦しみを持つ方々と交流を深めていく中で、それぞれの地域において啓発・相談活動を展開する民間団体や、全国規模での電話相談窓口の開設などを通じて過労死等で悩む労働者やその家族等からの相談に携わっている弁護士団体が活動している。さらには、これらの団体及び国・地方公共団体との連携の要となる民間団体や、研究者、弁護士等の専門家が研究会や啓発活動等を行う民間団体の組織化が行われている状況にある。また、産業医の育成や研修等を通じて、過労死等の防止に向け活動している民間団体もある。過労死等の防止のための対策が最大限その効果を発揮するためには、上記のような様々な主体が協力及び連携し、国民的な運動として取り組むことが必要である。 さらに、過労死等防止対策推進シンポジウムが未開催であった都道府県においても、こうした民間団体の取組があり、大綱策定後おおむね3年を目途に、全ての都道府県で少なくとも毎年1回はシンポジウムが開催されるようにするという目標が達成された。今後とも、過労死等防止対策推進シンポジウムを始め、過労死等の防止のための活動を行う民間団体の活動を、国及び地方公共団体が支援するとともに、民間団体の活動内容等の周知を進める必要がある。

次回は、「第3 過労死等防止対策の数値目標」からです。
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