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労働者等のキャリア形成における課題に応じたキャリアコンサルティング技法の開発に関する調査・研究事業 [2018年04月15日(Sun)]
労働者等のキャリア形成における課題に応じたキャリアコンサルティング技法の開発に関する調査・研究事業
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/career_consulting_gihou.html
◎平成29年度 厚生労働省委託労働者等のキャリア形成における課題に応じたキャリアコンサルティング技法の開発に関する調査・研究事業報告書
○ 第3章 技法の開発(P35〜44) [483KB]
3−1若者向け技法の開発方針→技法の開発方針は、文献調査、Webアンケート調査(以下、Web調査という。)、実務家に対するヒアリング調査(以下、ヒアリング調査という。)の結果を統合し、以下の方針

・しごと理解を支援する技法として→「(1)雇用環境チェックシート」「(2)離職レディネスチェックシート」を開発
・エンプロイアビリティを意識化する技法として→「(3)エンプロイアビリティチェックシート」を開発
・ミュニケーションに対する啓発的経験を企図する技法として→「(4)職場のあなた再現シート(職場における対応力チェック)」を開発
・エンプロイアビリティに対する意識化を支援する技法として→「(5)仕事と楽しく付き合うためのキャリアコンサルティングチャート」を開発
・キャリア・プランニングを支援する技法として→「(6)ジョブ・カード様式1作成ワークシート」を開発
以上を総括し、労働者等のキャリア形成上の課題と6つの技法の対応を整理したものが表9(若者−労働者等のキャリア形成上の課題と技法の対応表)である。

・以下、技法の説明
(1)雇用環境チェックシート(Employment Environment Check sheet=EEC)
@技法の概要→相談者の持つ不平や不満の内容を整理してレーダーチャートを作成、自分の価値観や理想の自己理解を深め、キャリアコンサルタントが客観的な助言や情報提供を行うことで安易な離職を防止するためのシート。
A想定する対象者→1)職場等に馴染めず、離職が予見されるような若者。2)漠然と離転職に関する相談を希望して来たが、離職等の理由・原因が不明確な若者。但し、35歳以上でも同様の人には使用可能。
B想定する効果→1)若者の早期離職の要因として多い職務内容、職場環境等の主要な項目に対する不満の度合いを数値化・視覚化して評価することを通じ、漠然とした就労への不満要因を明確化する。2) 1)に基づき面接内容を掘り下げていくことで、相談者側の間違った思い込みや認識不足があった場合、しごと理解を促し、自助努力や取り組むべき職業能力開発の方向性を見出すことで、現在の職場での就労継続に向けた動機付け・目標設定を促す。3) 1)に基づき面接内容を掘り下げていくことで、雇用者側の労務管理上の課題を明確化し、早期離職を予防するためのフィードバック材料とする。(環境への働きかけ)

(2)離職レディネスチェックシート(Early separation Readiness Check sheet=ERC)
@技法の概要→一時的な感情による離職や安易な離職を防止し、今までの働き方や離職に向けた計画性や準備状況を客観的に見つめなおすきっかけを提供するシート。転職した場合、希望の労働条件や環境に近づくための準備として、取り組んでおくべき課題を20項目に回答し、自己の準備度合いを得点化して判定する。
A想定する対象者→1)職場等に馴染めず、離職が予見されるような若者。2)漠然と離転職に関する相談を希望して来たが、離職等の理由・原因が不明確な若者。但し、35歳以上でも同様の人には使用可能。
B想定する効果→1)一時的な感情による離職や職業生活設計を疎かにした安易な離職を思いとどまらせる。2)離職するために必要な準備、望ましい準備を促す。

(3)エンプロイアビリティチェックシート(Employability Check Sheet =ECS)簡易版・総合版
@技法の概要→いわゆる正規雇用で働くことに対して今一つ自信が持てない若者や、自己PR等に自信がない若者のポジティブ且つ行動ベースの自己分析を支援するために、若者就職基礎能力(厚生労働省2004)と社会人基礎力(経済産業省2006)で示された、企業で雇用され活躍するために必要とされるスキル・行動、能力を棚卸しし、訴求力のある自己PR材料を洗い出したり、自己効力感を高めるためのシート。
A想定する対象者→1)不本意に非正規雇用等で働いているものの、正規雇用を諦めている若者。2)自己効力感の乏しい若者。但し、35歳以上でも同様の人には使用可能。
B想定する効果→1)自己理解を促し、自身の持つ能力として評価することで自己効力感を向上させる。2)自己効力感の向上を通じて、望ましい就転職行動への行動意欲を高める。3)エンプロイアビリティを意識することで、労働市場で評価される行動や意識変容を促す。

(4)職場のあなた再現シート(職場における対応力チェック)
@技法の概要→職場における特徴的な場面に対する行動(発言)を分析することで、職場等における基本的な行動特性や発言について自己理解を促し、職場等での好ましいコミュニケーションがとれるような気づきを促し、必要な助言等を行う契機を作り出すことを促すワークシート。
A想定する対象者→1)職場等で課題を指摘されており、職場の勧めでキャリアコンサルティングに来た若者。2)離転職に関する相談を希望して来たが、離職等の理由・原因が本人の側にあると予見される若者。但し、35歳以上でも短期の離転職が多い人や、組織の一員としての就労経験が乏しい人、人間関係の希薄な職場環境が長い人等、新たな環境への適応を支援する目的でも使用可能。
B想定する効果→1)相談者のソーシャルスキルの変容。2)職場定着の促進や職場における相談者本人に対する人物評価の向上。

(5) 仕事と楽しく付き合うためのキャリアコンサルティングチャート
@技法の概要→相談者が不満や面白くないと感じている「作業」、即ち「つまらない、くだらない」と感じる周辺的業務等に対して、視点を変えることでその仕事の意義や受け止め方の変容を促すツール。異なる視点を持つトレーニングや、自己目標設定スキルを涵養することで、仕事に対する認知や取り組みに変容をもたらすシート。
A想定する対象者→1)不本意な就職等が原因で、与えられた職務をネガティブに捉えがちな若者。2)希望どおりの就職をしたものの、周辺的な作業が続き、やりたい仕事が出来ないため、入職して日が浅いにもかかわらず離転職を検討している若者。3)羽柴秀吉の草履取りのストーリーを単なる「ゴマすり」と理解しているか、全く理解していないような若者。但し、35歳以上でも同様の人には使用可能。
B想定する効果→1)職務内容に対するポジティブ・リフレーミング2)内発的動機づけ(自己目標設定等)のスキルの涵養

(6) ジョブ・カード様式1作成ワークシート
@技法の概要→ジョブ・カード様式1−1(2017年10月現在)の作成を支援するため、キャリアの棚卸しや過去の自己分析に加えて、将来のライフプラン(キャリア、ライフ・ロール等)、社会・経済動向の予測を組み合わせ、キャリア・コンストラクション・セオリーや積極的不確実性を前提としたアプローチに繋げるセルフ・ワークシート。
A想定する対象者→1)マッチング理論に基づく職業選択行動にこだわる若者。2)自己理解が不十分な若者。3)過去と現在に意識が集中し、将来の展望ができない若者。但し、35歳以上でも同様の人には使用可能。
B想定する効果→1)自己理解の促進。2)将来予測によるキャリア・レジリエンスやレディネスの涵養を促す。3)主体性・具体性のあるジョブ・カード様式1−1の作成。


3−2女性向け技法の開発方針
・相談者の現状把握のための切り口として、課題認識や気づきにつなげられるよう、「(1)育児女性相談者への質問例」を開発

・仕事のみならず仕事以外での経験も書き出し、自分の強みを多面的に再確認することで、思い込みや不安を払拭し、自己効力感を高めることに資する「(2)自己棚卸しシート」を開発
・課題を取り上げ、何のために働いてきたのか、働いてきたことで良かったことに焦点を当てることで自己理解を深め、自己効力感を高めることを企図した「(3)〜2つの視点で考える〜キャリア&子育て分析シート」を開発
・目先の育児に意識が集中しがちな育児女性に対して、自分の年齢を軸に中長期先を見える化す「(4)私のキャリアと子供の成長シート」を開発
・以上を総括し、労働者等のキャリア形成上の課題と4つの技法の対応を整理したものが次ページの表10(女性−労働者等のキャリア形成上の課題と技法の対応表)である。

・以下、各技法についての説明↓↓
(1)育児女性相談者への質問例

@技法の概要→育児女性との相談において、キャリアコンサルタントが手持ちの駒として持っておくと有効な質問例。相談者自身の気づきを促すことに加え、キャリアコンサルタントが相談者をより深く理解することを支援するツール。
A想定する対象者→1)子育てしながら就業中の女性全般。2)育児(休暇)からの復帰を考えている女性全般。
B想定する効果→1)相談者が質問に答えていくことで、自分の状況について整理できる。2)適切な問いかけにより言語化することで、相談者の気づきを促すことができる。3)キャリアコンサルタントの固定観念・経験則に陥ることなく、相談者の状況を正確に把握し、理解を促進することができる。

(2)自己棚卸しシート
@技法の概要→「仕事」「仕事以外」双方の経験等を並列して書き出すことにより、単なる棚卸しで終わるのではなく、双方を結び付けた多角的な振り返りを行うことで、今まで気づかなかった強み等を発見でき、自己効力感の向上・自己理解の促進に繋げることを狙いとするツール。
A想定する対象者→1)子育てしながら就業している女性で、両立することに自信が持てない女性。2)育児(休暇)からの復帰に際して、不安を抱いている女性。
B想定する効果1)今まで気づかなかった自分の強み等を発見し、自己効力感を上げる。2)自身の乗り越えてきた経験等を幅広く振り返ることができ、自己理解が深まる。

(3)〜2つの視点で考える〜キャリア&子育て分析シート@技法の概要仕事と育児の両立において「負の効果」と感じているものを整理し、視点を変えることで「正の効果」があることについての気づきを促すツール。「迷ったこと、困ったこと」を多角的に見つめ直しリフレーミングすることで、「良かった事、役立つ事、充実する事」へとつなげる。A想定する対象者1)育児と仕事の両立に負い目を感じて(子供や家族に申し訳ない気持ち)、辛くなっている女性。2)職場に迷惑をかけているのではないかと思い悩んでいる女性。3)仕事も家事も育児も全部自分がやらなくては、と一人で抱え込み、一杯一杯になっている女性。B想定する効果→1)現在抱えている迷いや不安がカテゴライズされ、何に悩んでいたかが明確になる。2)可処分所得の増加により、自分や子供、家族にどのような「正の効果」があるか具体的に確認できる。3)母親が就業する事で、集団保育でのペアレンティング・スキル不足の補いが期待できる等、「正の効果」があるという気づきが促される。4)自分が働く事が組織・社会にとってどういう意味づけを持つかに気づく。5)男女の家事・育児分担に思い込みがなかったか検討するきっかけとなる。6)働く事は負の側面ばかりでなく、「働いても良いのだ」という勇気づけになる。

(4)私のキャリアと子供の成長シート〜今できる事&準備する事〜
@技法の概要→目先の大変さにとらわれている相談者が、中・長期的な視点でライフ・キャリアを見通すことができるようになり、現状の大変さが永続するものではないこと等の認知の変容をねらったツール。自分の年齢表に子供等の年齢表を重ねて「見える化」することで、中・長期先の状況を客観視することが可能となる。
A想定する対象者→1)子育てと仕事の両立に疲弊しており、先のことまで考えが及ばなくなっている女性。2)上昇志向を持っているが、子育てがそれを阻害するものとの考えにとらわれている女性。3)上記のような課題は特にないが、中長期のライフ・キャリア・プランが不明確と思われる女性。
B想定する効果→1)子育ての負荷が大きい時期がいつまでも継続する訳ではないことに気づく。2)子育てのゴール時期がいつ頃なのか(何年後なのか)を見える化できる。3)子育て後も自分の人生が続いていく事に気づく。4)仕事と育児、双方合わせて最も負荷のかかる時期が明確になる。その時期をどう乗り越えれば良いか、という具体的な方策に進むきっかけ作りができる。5)子育てにウェイトを置きたい(置かざるを得ない)時期があるとすればいつかが明確になり、将来的に仕事へとウェイトが移る時までに、何か準備できる事があるかを検討できる


3−3中高年向け技法の開発方針
・キャリアチェンジをポジティブに捉えることができない中高年に対して自己理解を促し、自己効力感を高めることを企図した「(1)自己理解〜行動・特徴把握シート」を開発

・中高年者の自己理解を深め、将来の展望を開くことを企図した「(2)人生後半戦のライフ・キャリアシート」を開発
・現在から25年後までを経済面を含めて計画する「(3)人生後半戦の経済面を含めたライフプランニングシート」を開発
・既に紹介した上記(1)は自己理解に取り掛かる段階、(2)は自己理解を更に深め、将来に目を向ける段階、(3)は具体的に将来を考える段階であり、これらすべての支援場面において自身を取り巻く環境の変化を認識することは有効であり、(1)〜(3)の技法と併用することにより、より効果的に環境変化を認識することを狙う技法として「(4)環境変化を考えるワーク」を開発
・以上を総括し、労働者等のキャリア形成上の課題と4つの技法の対応を整理したものが次ページの表11(中高年−労働者等のキャリア形成上の課題と技法の対応表)である。

・以下、各技法についての説明↓↓
(1)自己理解〜行動・特徴把握シート

@技法の概要自分自身を客観視してこなかった中高年(エンプロイアビリティの高低は問わない)に対して、自己理解を促し、キャリアチェンジを前向きに捉えることを企図したツール。
A想定する対象者→1)キャリアチェンジ(役職定年・再雇用等)を余儀なくされることに対して不安や不満を感じている中高年。2)自己開示することが苦手な中高年。
B想定する効果→1)意識変革により前向きな気持ちになり、70歳雇用時代に向けて生産性を上げながら働くことができるようになる。2)自己理解を促すことにより、今後のライフ・キャリアに関心を持たせ、次の支援に繋げることができるようになる。

(2)人生後半戦のライフ・キャリアシート(在職者用)
@技法の概要これまでの職業人生を振り返りながら、仕事をする上で大事にしている価値観や自分の強み・弱みを探索して、人生後半戦のライフ・キャリアを中長期的に考える機会を提供するツール。
A想定する対象者→1)企業に在籍中の社員で、これまで将来のことをあまり考えて来なかった中高年(転職経験がない社員は真剣に過去を振り返る機会がない)。2)役職定年や他律的な理由でキャリアチェンジをすることは受けとめているが、今後どうしていけばよいのか分からない中高年。3)再雇用で継続して働きたいが、自分の居場所がなくなることに不安を感じている中高年。
B想定する効果→1)自己分析や自己理解が進み、自分を取り巻く環境(変化予想を含む)を認識することができる。2)働く上で大事にしたい価値観や自分の強みと弱みを確認し、今後の働き方やこれから取り組むことを明確にすることができる。

(3)人生後半戦の経済面を含めたライフプランニングシート
@技法の概要現在から25年先までのライフ・イベントと、それに伴う家計収支を1枚のシートにまとめ、人生後半戦のライフ・キャリアとマネープランを長期的に考え、見える化するツール。長期的なプランニングに必要不可欠である環境理解を行い(次の(4)を使用することも有効)、将来に対する漠然とした不安や現状に対する不満を取り除くことから始めることができる。今後25年間の家族のイベントを想定するため、相談者だけでなく、宿題として家庭で家族と一緒に検討させる等の支援が必要。セミナー等の集合研修の中で実施することも可能。
A想定する対象者→1) これまで家計を考えたことがない、老後の生活に漠然とした不安を抱えている中高年。2) 今後のライフ・キャリア・プランを考える際に、家計の見直しも必要と考えている中高年。3) これからのマネープランについて家族と話す機会が必要と考えている中高年。
B想定する効果→1)不明確であった自分の将来を、具体的で明確にすることができる。2)将来を見通すことで、今やるべきこと(備えるべきこと)を明確にすることができる。

(4)[共通版]環境変化を考えるワーク
@技法の概要・相談者を取り巻く環境の変化について、幅広い観点から認識することを支援するツール。(1)(2)(3)を使う際に、必要に応じて併用する。
A想定する対象者・(1)(2)(3)それぞれの対象者。
B想定する効果・環境変化を多角的に検討することで、併用する(1)(2)(3)のワークを深めることができる。

次回は、「第4章 試行実施の結果(P45〜58)」からです。
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