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第13回社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会資料(資料1) [2018年03月05日(Mon)]
第13回社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会資料(平成30年2月15日)
《主な議題》(1)社会福祉士に求められる役割等について
(2)介護福祉士養成課程のカリキュラム改正案
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000194323_1.html
◎(資料1)ソーシャルワーク専門職である社会福祉士に求められる役割等について
○これまでの議論の整理(現状)

・社会福祉士の活躍の場は、高齢分野や障害分野、児童分野、教育分野、司法領域など広い範囲にわたっており、各種制度において、それぞれの制度趣旨を達成するために配置され、養成課程で習得したソーシャルワークの技法を活用し、生活の質(QOL)の向上に向けた支援やウェルビーイングの状態を高めることを目指して相談援助を中心に実践に取り組んでいる
・子ども・高齢者・障害者など全ての人々が地域、暮らし、生きがいを共に創り、高め合うことができる「地域共生社会」の実現が今後の重要な福祉施策として位置づけられており、社会福祉士には、こうした変化を踏まえて役割を担っていくことが求められている
・具体的には、世帯全体の複合化・複雑化した課題に対応するため、多職種連携・多機関協働による支援を行うとともに、アウトリーチによって把握した地域の福祉ニーズを踏まえてサービスの提供や資源開発を行うなど、ソーシャルワークの機能を必要とする取組が求められていることから、社会福祉士には、専門的知識及び技術を有するソーシャルワーク専門職として、その機能を発揮することが期待される。
・また、「社会福祉法等の一部を改正する法律」(平成28年3月31日成立、平成29年4月1日に本格施行)において、社会福祉法人の公益性・非営利性を踏まえ、法人の本旨から導かれる本来の役割を明確化するため、「地域における公益的な取組」の実施に関する責務規定が創設され、今後、社会福祉法人には、他の事業主体では対応が困難な福祉ニーズに対応していくことが求められることから、社会福祉法人の社会福祉士がソーシャルワーク機能を発揮し、地域の福祉ニーズを把握し、既存資源の活用や資源の開発を行う役割を担うことが期待される。
・さらに、各地域における地域共生社会の実現に向けた地域づくりの取組を見ると、社会福祉士が中心となって住民の支援や相談窓口での対応、組織の運営、多職種・多機関との連携等の業務を担っている事例もあり、ソーシャルワークの機能を発揮する人材である社会福祉士を活用することで、地域づくりの推進が図られている。

○社会福祉士が担う今後の主な役割
・地域共生社会の実現に向けて、包括的な相談支援体制の構築や住民主体の地域課題解決体制の構築を進めていく必要があり、社会福祉士がソーシャルワークの機能を発揮することにより、それらの体制の構築が推進される。
・包括的な相談支援体制の構築に向けたネットワークの形成や支援チームの編成にあたっては、例えば、自立相談支援機関や地域包括支援センター、基幹相談支援センター、社会福祉協議会、社会福祉法人、医療法人、NPO法人、行政などの様々な機関が、地域の実情に応じて、地域で協議し、ふさわしい機関が中核的な役割を担っていくことが求められる。
・そのため、社会福祉士には、ソーシャルワーク専門職として、社会的孤立、制度の狭間、サービスにつながらない課題等について、地域全体で支え合うことを目指して、分野別、年齢別に縦割りだった支援を当事者中心の「丸ごと」の支援とし、個人やその世帯の地域生活課題を把握し、既存の社会資源の活用及び資源開発を行い、多職種連携や住民主体の地域課題解決体制と連動し、必要な支援を包括的に提供する役割を担うことが求められる。
・また、住民主体の地域課題解決体制の構築にあたっては、住民一人ひとりが、地域社会の構成員であるという意識を持ち、自身の身近な圏域に存在する福祉課題や表出されていないニーズに気づき、他人事を我が事として捉え、地域課題の解決に向けてそれぞれの経験や特性等を踏まえて役割を分かち合うことが求められている。
・そのため、社会福祉士には、地域住民の問題意識の醸成や地域住民の強みの発見などのエンパワメントを支援するとともに、グループや組織等の立ち上げ及び立ち上げ後の支援、拠点となる場づくり、ネットワーキングなどを通じて地域住民の活動支援や関係者との連絡調整を行う役割を果たすことが求められる。

○対応の方向性
・地域共生社会の実現に向けた包括的な相談支援体制や住民主体の地域課題解決体制を構築するために必要なソーシャルワークの機能や、その機能を社会福祉士が担うために必要な実践能力を明らかにし、その能力を身につけることができるよう、社会福祉士の養成カリキュラム等の見直しを検討。
・地域共生社会の実現に向けた地域づくりの担い手となる人材の育成にあたっては、養成団体、職能団体、事業者、行政、地域住民等の地域の関係者が連携・協働して学び合い、地域の実情を踏まえて取り組むことが重要。このため、養成団体や職能団体等が中心となって地域でソーシャルワークの機能が発揮されるような取組を推進。
・社会福祉士の地域共生社会の実現に向けた活動状況等を職能団体が中心となって把握するとともに、社会福祉士が果たしている役割や成果の「見える化」を図り、国民や関係者の理解を促進。

○@社会福祉士養成カリキュラム等の見直しの方向性→地域共生社会の実現に向けた地域づくりに必要となる包括的な相談支援体制及び住民主体の地域課題解決体制の構築やその後の運営推進において中核的な役割を担うとともに、新たな社会福祉ニーズに対応するため、ソーシャルワーク機能を発揮できる実践能力を身につけておく必要がある。その機能には、権利擁護・代弁・エンパワメント、支持・援助、仲介・調整・組織化、社会資源開発・社会開発など、様々な機能が挙げられるが、これらの体制の構築及び運営を推進していくにあたって求められるソーシャルワークの具体的な機能は次のようなものとなる。→「包括的な相談支援体制の構築に求められるソーシャルワークの機能」「住民主体の地域課題解決体制の構築に求められるソーシャルワークの機能」
・地域共生社会の実現を推進し、新たな社会福祉ニーズに対応するためには、これらのソーシャルワーク機能の発揮が必要であり、ソーシャルワークの専門職である社会福祉士が、その役割を担っていけるような実践能力を習得する必要があることから、現行のカリキュラムを見直し、内容の充実を図っていく必要がある。
・また、社会福祉士の実践能力を高めていくためには、カリキュラムの見直しとあわせて、実践能力を養うための機会である実習・演習を充実させるとともに、教員が新カリキュラムを展開していくための研修や教員・実習指導者の要件等について検討する必要がある
(1)社会福祉に関する科目の内容の充実→社会福祉士が、個人及びその世帯が抱える課題への支援を中心とした分野横断的・業種横断的な関係者との関係形成や協働体制を構築し、それぞれの強みを発見して活用していくため、コーディネーションや連携、ファシリテーション、プレゼンテーション、ネゴシエーション(交渉)、社会資源開発・地域開発などを行うとともに、中核的な役割を担える能力を習得できる内容とすべき。また、自殺防止対策、矯正施設退所者の地域定着支援、依存症対策、社会的孤立や排除への対応、災害時の支援などにおいて、ソーシャルワーク専門職である社会福祉士にも役割を担うことが期待されていることを踏まえると、ソーシャルワークの基本を習得することを土台として幅広い社会福祉ニーズに対応できるようにするための実践能力を習得できる内容とすべきである。
(2)実習・演習の充実→実習生の準備状況や習熟度等を実習プログラムに十分に組み込むことができておらず、職場の業務内容の学習に留まっている場合もあるとの意見。今日求められている人材は、複合化・複雑化した個人や世帯の課題を適切に把握し、既存のサービスでは解決できていない問題や潜在的なニーズに対応するため、多職種・多機関と連携や交渉を行い、それらをコーディネートしながら課題を解決できるだけでなく、課題解決に向けて地域に必要な社会資源を開発できる実践能力を有する人材であり、実習を通して養成していく必要がある。@「アセスメントができる」とした場合、講義でソーシャルワークにおけるアセスメントとは何かという理論等を学んだ上で、実際に演習でアセスメントの技術を身につけていく、A講義内容と演習を連動させることで、確実にソーシャルワーカーに必要な実践力を学習できるようにしていく必要、Bそれらを実習でさらに総合的かつ実践的に学ぶとともに、講義−演習−実習の学習の循環を作っていくべきとの指摘がある。こうしたことを踏まえると、演習は、地域福祉の基盤整備と開発に関する科目やサービスに関する科目などとの関連性を視野に入れて、具体的な事例を用いて専門的援助技術を実践的に習得することをねらいとしている。実習施設の範囲の拡大の検討に併せて、実習指導の方法に関する事項についても見直しが必要。現在では、対面による実習指導のほか、ICT等を活用した指導も可能と考えられることから、今日的状況を踏まえて実習指導の方法を見直し、様々な地域の実習施設で実習が可能となるよう検討を行う必要がある。

○A地域全体での社会福祉士育成のための学び合いの推進について→現在、社会福祉士の育成は、養成団体、職能団体、事業者団体が中心となって進めているが、地域共生社会の実現に向けて必要となる包括的な相談支援体制及び住民主体の地域課題解決体制を構築し、対象者の属性に関わりなく、複合化・複雑化した課題に対応できる社会福祉士を育成するためには、養成団体、職能団体、事業者団体が協働して社会福祉士養成に取り組みつつ、行政、地域住民など、地域の様々な立場や分野の関係者が連携・協働して学び合うことが重要。地域共生社会を実現するためには、支え手側と受け手側に分かれるのではなく、地域のあらゆる住民が役割を持ち、支え合いながら、自分らしく活躍できる地域コミュニティを育成することも重要であり、こうしたことを踏まえると、現任の社会福祉士が中核となって地域住民と協働してソーシャルワークに関する知識・技術や実践事例等を学び合い、それぞれの力を合わせながら実践能力を向上させ、地域共生社会の実現に向けたソーシャルワークを展開できるような取組を推進していくため、職能団体や養成団体等が中心となって実施する社会福祉士の育成や、地域課題の解決に向けた活動を学び合えるような場づくりを推進することが必要である。また、そのような場を活用することは、実習教育の充実や教員・実習指導者の資質向上にも資すると考えられる。

○B社会福祉士の役割等に関する理解の促進について→社会福祉士が果たしている役割や活動等の周知については、職能団体や養成団体等が中心となって行われているが、社会福祉士は多様な施設・機関において様々な職種や職名で勤務し、相談援助以外の業務も行っている場合もある等の理由から、社会福祉士の専門性や役割が分かりにくいものになっているのではないかとの意見がある。また、「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」(平成30年4月1日施行)では、市町村において地域住民や行政等との協働による包括的支援体制の推進が求められていることから、自治体において社会福祉士が果たしている役割等の実態把握を行う必要があるとの意見がある。福祉事務所等の行政機関は、地域における包括的な相談支援体制において中核的な役割を担う一つとされており、相談者について適切なアセスメントを行い、ニーズに対応したサービス提供や多機関協働が期待されていることから、行政機関においても、ソーシャルワークを専門職とする社会福祉士の活躍がより一層期待される。
・こうしたことを踏まえると、社会福祉士が果たしている役割や成果等の「見える化」を図り、国民の理解をより一層促進するため、職能団体が中心となって、多様な分野の施設・機関等において活動している社会福祉士の業務実態や所属組織での社会福祉士の活用の状況等を把握することが重要である。

次回は、「(資料2)「介護福祉士養成課程における教育内容の見直し」について」からです。
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