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第9回子ども家庭福祉人材の専門性確保ワーキンググループ [2017年12月24日(Sun)]
第9回子ども家庭福祉人材の専門性確保ワーキンググループ(平成29年11月14日開催)
《主な議題》「新しい社会的養育ビジョンを受けた児童相談所及び一時保護所の見直しについて」
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000184628.html

(構成員提出資料2) 一時保護ガイドライン(素案)の作成に当たっての意見
○(奥山構成員提出資料) 一時保護ガイドライン(案)

I.本ガイドラインの目的
・安全確保とアセスメントの目的のための一時保護、子どもの最善の利益の確保の上で。
・平成 28 年改正児童福祉法の理念である子どもの権利を守るために、一時保護の大改革を行うための、あるべき姿を示したもの。
II.一時保護の目的と性格
1.一時保護の目的→代替養育下の子どもの再判定にあたっては、懲罰的な理由や他の児童の安全確保の理由で一時保護は行うことはあってはならず、あくまで、アセスメントが目的であり、所期の目的が達成された後は、速やかに元の環境に戻すべきである。
2.一時保護の在り方
1)緊急保護
(1)緊急保護の在り方→安全確保したら元に戻す
(2)緊急保護の継続→子どもの同意必要。
2)アセスメント保護の在り方→行動自由の制限がない開放的環境で行われるべき。
3)一時保護に共通する考え方→閉鎖的環境、開放的環境いずれにおける保護であっても、子どもの安全と権利制限については、常に子どもの利益に配慮してバランスを保ちつつ判断を行う。
III一時保護の運営
1.子どもの権利保障と権利擁護
1)権利保障→権利制限を出来るだけ最小にする。
IV委託一時保護
1.委託一時保護の活用
(1)委託一時保護の意味→学習権の保障及び学校生活の連続性を保障するため
(2)委託先の選択→乳幼児の場合、学齢児の場合に配慮。施設への一時保護委託においては、長期の措置入所児童と一時保護児童が混在する環境は双方への影響が大きいため、一時保護専用の施設あるいは居室とすべきである。
(3)保護者等との面会交流
2.施設への委託一時保護の運営→年度当初に行政と決めておく。定員枠と別にする。
V一時保護時の生活における子どものケア
A.一時保護時の生活における子どもの権利擁護
1.子どもの自由権の尊重
2.子どもの守られる権利の尊重
3.子どもの意見表明権の尊重
4.子どもの育つ権利・学習の権利の尊重
5.特別な配慮が必要な子ども→1)障害を持った子どもや医療的ケアを必要とする子ども、2)文化・習慣等が異なる子ども、3)LGBT等、性的なアイデンティティーの問題を持った子ども
B.一時保護生活における子どもへのケア
1.一時保護時のケアの原則→一時保護は子どもにとって、環境の急激な変化による危機的な状態であり、そのような状態に対する子どもの反応は、子どもがそれまで受けてきた養育による問題の表出であることが多いことを意識すべき。子どもが何らかの行動の問題を呈している時には、それの背景を一緒に考えることで、その子の受けてきた心理的問題が明らかになり、それがアセスメントの根幹をなすことも少なくない。 一時保護所ではアセスメントは法律にも定められた重要な目的であり、子どもの行動はそれが問題のあるものであっても単に抑え込むのではなく、子どもの理解を深めるきっかけにする必要がある。
・一方で、それだけのエネルギーを使って子どもをケアしても短期で子どもと別れることになる。それだけに、その間を問題なく過ごす方法として管理的方法や抑える方法に頼りがちになる危険性がある。意識して子どもへの共感的理解と安心感を与える個別的ケアを行い、家庭に復帰して家庭や地域で何らかの権利侵害が起きたら、一時保護所を求めて児童相談所に自ら相談に来れるようなケアを行うことが求められているのである。
2.一時保護が決まってから一時保護初期までのケア↓↓
1)背景情報の収集(予防接種情報や感染者との接触に関する情報)、
2)一時保護された子どもの不安・怒り・悲しみを受け止める安心できるケア→一時保護先での不安や一時保護に対する怒りや悲しみについて、共感的に受け止め、子どもが不安・怒り・悲しみを受けてもらえたという感じを抱けるように傾聴することが大切なのである。
3)一時保護に関しての理解を促す→一時保護に至る状況を防げなかった社会の大人として、まず関係者は、子どもへの「謝罪」の気持ちを持つべき。ずっと安全で安心して暮らせる場所を一緒に考えることが目的であることをわかりやすく説明。虐待を受けて来た子ども、非行等の行動の問題によるこども、
4)先の見通しを持たせる→いつまで、どのような生活になるのか。時間感覚が育っていない幼児には、毎日、今日と明日のことを説明する必要がある。
5)子どもへの心理教育→大変な人生を送って来た子ども達が一時保護された時に起きがちな、以下のような反応(例が記載されている)や心理を説明して、それが良く起きることであり、あなたがおかしかったり悪いわけではないこと、そのようなことがあったらスタッフに教えてほしいこと、一緒に考えていきたいことを伝えることが重要。
6)子どもへの権利教育→CAP プログラム「安心、自信、自由」という 3 つの権利の説明の利用。子どもの権利に関して、年齢に応じて理解できるような冊子を用意。権利が侵害されるようなときに No と言える、もしくはスタッフに相談する勇気を持ってもらうことが大切。

2.一時保護中のケア
1)安全で安心が与えられるケア→一時保護はまず安全で安心できる場でなければならない。まず、ほのぼのとした安心できる感じを受ける環境が整っているかが重要。ケアをする側は、困難な環境を生き抜いてきた子どもへの尊敬の念を持ち、それがその子が大人に対して持つ当然の感情であることを理解しながら、「あなたを守りたい」という気持ちで向き合い続けることが求められる。
2)個別ケア
3)家から分離された特別な環境であることへの配慮
4)親・家族への感情、家族の情報、家族との再接触、→子どもは常に家族や家庭のことを気にかけているので、その複雑さを考慮。
5)エンパワメントに繋がるケア→一時保護のケアの中で、「あなたは大切な存在」であることを言葉でも行動でも生活全体としてもメッセージとして伝え、子どもの自己評価を上げることを試みる必要がある。加えて、表現が抑えられることなく、また表現の機会が多く、それが受け止められる体験を通して、自己表現を促すことも必要。
6)子どもが再被害と感じないためのケア→@必要以上の大声を出さない。怒鳴らない。 A子どもを非難するような言葉や価値を下げる言葉は冗談としても出すことは避ける。 B子どもの呼び名は、一時保護時に呼ばれたい名前を子どもから聞き、それを徹底する。新たな呼び名を使うことはしない。 C家族の悪口は言わない。D子どもと 1 対 1 の場面での身体接触は避ける。 例えば、個室内でふざけあって身体接触するなどのことは避ける。 子どもが混乱していて、抑える必要がある時など、どうしても身体接触が必要な時には、できるだけ同性のスタッフが対応する。同性の場合でも複数のスタッフで対応することが望ましい。それがかなわない時で、個室内での対応が必要な時には、ドアを開けておくことを原則とする。
7)ケアをしながらのアセスメント

4.特別な配慮が必要な子どものケア
1)マイノリティーである子どものケア
2)性被害を受けた子ども→性被害を受けた子どもに関しては一時保護の初期は個室を提供、人間関係に不安を感じたときには自分の部屋に入ることができるようにするべき。加えて、性被害を受けたことによる症状や性化行動への対応を行う必要がある。また、性被害を受けた子どもへの心理教育や権利教育、性教育を含む安全教育は特別に重視しなければならない。
3)刑事告訴・告発を伴うときのケア
4)重大事件触法少年→初期から専門家のバックアップチームを作って対応することも求められる。

5.特別な状況へのケア
1)他害→例えば、他児から「おまえ」と言われて、親から「おまえ」と言われて暴力を受けていた状況を思い出し、頭が真っ白になって、それを言った子どもを殴ってしまうというようなことは一時保護される子どもでは少なからず起きることである。
2)性的問題への対応→(1)性的問題行動・性加害を起こす子どもへの対応、(2)在宅で性的問題行動・性加害を起こして一時保護されてくる子どもへの対応、(3)性的虐待・性被害を受けた子どもへの一時保護中の対応、(4)性非行の子どもへの対応
3)長時間無断外出→何よりも発生予防が重要、
4)自傷

6.一時保護解除時のケア
1)家庭復帰ケースの場合→家庭復帰後に子どもとその家族を連携して援助していくための地域サポートシステムや相談支援のあり方について確認しておく必要がある
2)里親や施設等の代替養育先に措置する場合
3)情報などの引継ぎ→子どもが生活し生きていくために必要な大切な情報(歴史、強み・長所、継続的な取り組みなど)やものなどについては、丁寧にわかりやすく引き継ぐことは必要不可欠

7.一時保護スタッフや委託里親として必要な知識・技能(未完成)
1)知識→(1)子どもの権利に関する知識 (2)子ども家庭福祉・児童相談機能・一時保護の意味に関する知識 (3)一般的な成長と発達に関する知識(4)親子関係の発達と、その問題があるときの症状や偏り(5)(複雑性)トラウマを受けた子どもにおきがちな症状・感情・行動(トラウマインフォームドケアについて)
2)技能→(1)安心できる生活環境を構成して、一緒に生活できる技能(2)発達年齢に応じたコミュニケーションをとる技能(3)関係性の問題やトラウマのある子どもと生活するための技能

VI.一時保護におけるアセスメント
1.適切なアセスメントの前提条件→適切なアセスメントを実施するためには、一時保護における生活環境に対して、子どもが安全を感じられ、かつ安心感を持てていることが大前提。
2.行動観察→子どもの問題行動の「意味」や「原因」を理解しようと努力することによって、子どもの「心」の世界を見ることができるのだ。一時保護所や専門施設もしくは委託先里親家庭では、子どもに対するていねいで温かい生活支援を提供しながら、子どもとの細やかなやりとりを通して、過去の経験や家族関係を含めた子どもの理解を行うことになる。こうしたアセスメントは、児童相談所の「医学診断」「心理診断」「社会診断」に擬えて言うなら、「生活診断」と言えるかもしれない
3.子どもからの成育歴の聴取→子どもからの聴取が適切に行われるためには、聴取を行おうとする大人に対して、子どもが「この人だったら、話しても大丈夫だろう」という信頼感を持っている必要がある。
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