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第14回新たな社会的養育の在り方に関する検討会 (上鹿渡構成員提出資料) 「フォスタリングチェンジプログラム実施報告 [2017年06月21日(Wed)]
第14回新たな社会的養育の在り方に関する検討会(平成29年5月26日開催)
《主な議題》「施設の在り方に関する議論等」等
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000166124.html
○(上鹿渡構成員提出資料) 「フォスタリングチェンジプログラム実施報告」
SOS 子どもの村 JAPAN (→http://www.sosjapan.org )


【はじめに】(日本財団の助成報告書)
・フォスタリングチェンジ・プログラムを日本に
・英国からのメッセージ→フォスタリングチェンジは効果的なコミュニケーション、問題解決のスキルを重視し、子どもの行動と安全に肯定的な影響を与えるための知識と実践的スキルの両方を養育者に提供することが目的。行動を基本とし、ペアレンティングスキル、アタッチメント、学業成績、里親養育に委託された社会的養育の子どもたちの学業面の発達の研究に基づいた内容となっています。エビデンスベースのこのプログラムの支柱となる理論は社会学習理論、アタッチメント理論、認知行動理論です

【プログラムの導入】
・フォスタリングチェンジ・プログラム導 入に向けて→「背景」「これまで」を経て「2015年度経過」→企画委員会の開催、テキスト翻訳、ファシリテーター養成研修の実施へとこぎつける。

【プログラムの概要】
・フォスタリングチェンジ・プログラムの概 要→プログラムの実施構成(週1回3時間、グループでのセッションを12回(約3か月)継続・里親12名まで)、プログラム内容(「温もり」と「観察」が基本、@〜C)、プログラムの特徴(ファシリテーターとなる担当者が里親宅を個別に訪問し規定の聞き取りを実施し、その情報をグループでのセッションに生かす。里親からの評価が行われ、相互性のあるプログラム。)
・セッションの内容→題目1〜12、題目ごとに具体的内容あり。
・フォスタリング・フラワーパワー→「肯定的な注目」は4側面あり(関係性の強化、教育、ソーシャルスキル、ポジティブディシプリン(肯定的なしつけ)。)←ぬくもりと観察の中で。


【実践報告】→フォスタリングチェンジ・プログラム in 福岡
・プログラムの実践(3月下旬〜4月上旬 実施に向けた協議、4月中旬 参加者の募集を開始、5月中旬 家庭訪問、5月下旬〜8月上旬 プログラムの実施)
・毎週金曜日 セッション当日の流れ→9:00〜10:00 準備、10:00〜13:00 プログラム実施、13:00〜16:00 片付けや次回打ち合わせ 
・セッション1〜12までプログラムが組まれております。
・フォローアップセッション(プログラム後)→9月と12月報告会。現在3回目の開催も予定している。
・おわりに→1週間実践し、振り返りという形がとてもよかった。プログラムの中では「きっかけ」「選択的無視」などの言葉の定義を学ぶため、話を共有しやすくなることや、建設的に考えやすくなることも特徴と思われた。
・参加者の声→子どもがかわいいと思えるようになった。そのほかもあり。

【実践報告】→フォスタリングチェンジ・プログラム in 熊本
・プログラムとの出会いから実践まで→「子どもの問題行動への理解と対応〜里親のためのフォスタリングチェンジ・ハンドブック〜 」をすぐに購入。ファシリテーター資格取得。フォスタリングチェンジTeamくまもと(3人)立ち上げ。→デモンストレーション→参加者を募る試みとして、児童相談所、里親協議会の理解のもと里親協議会総会にて、時間(30分)をいただき、プログラムのデモンストレーションを行いました。ロールプレイを含むセッション4(肯定的な注目・ロールプレイを通して)の一部分を実際に体験していただく。→(感想)概要がわかりとても興味がわきました。日々悩んでいるので・・・。
・プログラムの実践→参加者の紹介()、プログラム開催前の家庭訪問、セッションの内容、ファシリテーターの役割(『調整役』『促進者』)。
・熊本での実践の成果→、3名の方が12セッションすべてに参加され、残りの方も11セッション、9セッションを受講されました。そして最後には参加者全員に修了証書をお渡しすることができた。「困難と思うことも対処方法を学ぶことで困難ではなくなると私自身の思考も変化させることができた」といった養育者自身の成長、その他の感想もあり。
【実施報告】→大分県の状況について
・プログラム実施に向けた検討→興味を持った 里親は20組以上いましたが、実際に全12回のプログラムに参加可能と答えた里親はいませんでした(回数が多すぎるなど)
・体験版プログラム→大分県中央児童相談所では里親の資質向上を目的としたテーマ別研修会を年に4回開催、11月の研修会にてプログラムの一部を体験してもらう内容を実施する。→研修会の内容参照。里親からは「アテンディングを早速実践したい」「ロールプレイをして子どもの気持ちがわかった」「ファシリテーターの語りがやさしくわかりやすかった」等の反応があり、好評でした。
【里親学習会】→ファシリテーターが共に里親なので、ピアサポートという観点から言えば功を奏し、初回からクラスの雰囲気は和気藹々とし、毎回、活発な意見が出され、日々抱え込んでおられる養育上の問題を親身になって聞くことができました。

【プログラムに関する里親の評価】→(福岡・熊本の参加者 n=12)
・最も役に立つと思った考えやスキル(1人5つ回答)
・将来、これらのスキルを別の子どもに使うことについて
・子どもの行動の変化(5段階評価 1:ひどくなった⇔5:大変よくなった)
・里親と里子の関係性の変化(5段階評価 1:とても悪い⇔5:とても良い)
・里親としての感じ方への影響
【プログラムを終えて】→参加した里親さんの感想文
・Aさん→フォスタリングチェンジは問題行動を起こす里子とそれに疲弊する里親との関係を解決する一番の近道の手段である
・Bさん→受講内容に関しては、初めて聞くことばかりで納得、理解するのが難しいことはありましたが、これからの里子との関係作りにテキストを見直しながら実践していきたいと思います。今後とも、相談、アドバイスをよろしくお願いいたします。
・Cさん→特に行動のABC分析は、私が課題として関わった彼にはとても勉強になりました。常に思っている事ではあるのですが、改めて取り組むとまだまだきっかけの見落としを感じましたので今も心がけて続けているところです。又肯定的な言葉を穏やかな状態で語り、まず褒めてからを心がけています。研修で1週間持ち帰り、実践がとても楽しみながらでも意味深い事を学びました。
【質問紙の結果】(参加の里親)→プログラム開始前と終了後に質問紙への回答に協力いただいた)
・質問紙の内容→アラバマ・ペアレンティング質問票、子どもの強さと困難さアンケート、里親の自己効力感についての質問紙、アタッチメントの質に関する質問紙、里親のコーピング方略尺度、ビジュアル・アナログ尺度
・プログラムの対象とした子どもについて→アタッチメントの質の変化(大いにあり)、子への心配度の変化(低下している)
・きょうだい児について→アタッチメントの質の変化:6名中5名の里親の心配度が減少した(図2)
【ファシリテーター フォローアップ研修】→第1回目から第3回目までの

【付録 参加者募集チラシ(例)】→フォスタリングチェンジ・プログラム参加者募集のお知らせ→福岡市里親のみなさまへ、   (特)SOS子どもの村JAPAN福岡市こども総合相談センター事務局 (担当:杉村)より

【総 括】→実践を通してプログラムの成果と課題を考える
・英国と同様のプログラムを実施するなかで日本での課題を検討することとしました。
・各セッションの進行は、数分、10分単位で決められており、この時間で話せるだろうかなどの不安もありましたが、やってみると大丈夫ということが多く、非常に実践的に練られたプログラムであることを実感。発言時間やプログラムの時間を守るなかで、里親の発言も回を重ねるごとにテーマに添った的確なものになっていき、相互交流も活発になってきました。里親自身が主体的になりコミュニケーション能力の向上が認められました。
終了後のフォローアップ研修においても、それぞれの里親が自分なりにその場に応じたスキルを使っていることが伺われ、研修内容の維持も高いことが推察されました。
課題としては、まず、本プログラムの有効性を児童相談所や里親支援機関、里親にどのように啓発していくかです。大分や熊本で実施した里親研修時のワークショップはその一つの取り組みとなると思います。里親会の協力も欠かせません。受講のためには里親の時間確保が必要です。時期の設定や他家族や関係者の支援、託児なども考慮していく必要があります。さらに、カタカナの多い専門用語や事例の提示などを日本の生活習慣や風土に応じた親しみやすいものにしていくことも必要です。そのためにはさらに実践を積み重ね、評価をしていくことや、実践体験を共有し検討するネットワークの仕組みが必要と考えます

次回は、構成員提出資料の「(藤林構成員提出資料)」です。
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