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令和6年第1回経済財政諮問会議 [2024年02月04日(Sun)]
令和6年第1回経済財政諮問会議(令和6年1月22日)
議事 (1) 中長期の経済財政に関する試算 (2) 目指すべき新たなステージに向けた特別セッション (DX推進、新技術の徹底した社会実装、EBPMの徹底)
第1回会議資料 令和6年 会議結果- 経済財政諮問会議 - 内閣府 (cao.go.jp)
◎資料1−1 中長期の経済財政に関する試算(2024 年1月)のポイント(内閣府)↓
○経済の中長期的な展望
→「ベースラインケース」:全要素生産性(TFP)上昇率が直近の景気循環の平均並み(0.5%程度)で将来にわたって推 移するシナリオ。中長期的に実質・名目0%台半ばの成長。 「成長実現ケース」:TFP上昇率が、デフレ状況に入る前の期間の平均1.4%程度まで高まるシナリオ。中長期的に実 質2%程度、名目3%程度の成長。
○財政の中長期的な展望→【国・地方のPB対GDP比】⇒累次の経済対策によって歳出が増加したが、民需が拡大するなか、2024年度までに対策にかかる歳出の大宗が執行されることから、2025年度に改善。 いずれのケースにおいても、2025年度に赤字が残るが、成長実現ケースでは、歳出効率化努力を継続した場合、2025年度のPB黒字化が視野に入る。 【公債等残高対GDP比】⇒ベースラインケースでは2020年代後半に上昇に転じる。成長実現ケースではPBが黒字化する中で徐々に低下する。


◎資料1−2 中長期の経済財政に関する試算(2024 年1月)(内閣府)↓
○上記「資料1−1 中長期の経済財政に関する試算」の文章化。↓

1.はじめに→ 本試算は、今後10年間程度の経済財政の展望を提示。
2.経済の中長期的な展望
・24年度以降「成長実現ケース」が「ベースラインケースを上回っている。」
3.財政の中長期的な展望
・プライマリーバランスは25年度以降から平常になる予測として用いられています。
4.リスク・不確実性→これまで述べてきた中長期の経済財政の姿には、種々のリスク・不確実性が伴う。 短期的には、海外景気の下振れリスクや物価動向に関する不確実性が存在すること、 令和6年能登半島地震の影響、金融資本市場の変動の影響等に、十分注意する必要が ある。さらに、中長期の時間軸を見据えると、例えば、以下のようなリスク・不確実 性が含まれる
@)中長期的な経済成長の変化
A)金利の上昇
B)景気変動等への対応
→様々な経済の下振れ要因となるショックが発生した場合、発生した危機に対処する ための追加的な財政支出が行われることが多い。国・地方の公債等残高対GDP比は、 過去20年(2002〜2022年度)に100%pt程度上昇したが、特にリーマンショックと新型 コロナウイルス感染症への対応を行った5年間で40%pt程度上昇した。 経済ショックに対し財政による調整機能が働き、早期に経済が安定することは望ま しいが、これまでリーマンショック、同感染症ほどの大きなショックではない場合にも、時々の経済情勢等に対する機動的な対応として、補正予算が編成されてきた。過 去の国の一般会計における基礎的財政収支対象経費をみると、当初予算から決算に かけて上振れる傾向にあり、2013〜2019年度の平均で3兆円程度、決算の方が大きい 結果となっている。 一般会計における補正予算は、財政法上、特に緊要となった場合に編成されるもの であり、本試算では、そうした現時点で具体的に想定されない支出は織り込まない姿 を示している。政府は、緊急時の財政支出を必要以上に長期化・恒常化させないよう に取り組むこととしているが、それとともに、経済の安定的成長に高い効果をもたら すようワイズスペンディングを実現していくことが必要である。


◎資料2 参考資料(中長期の経済財政に関する試算を踏まえて)(内閣府)
○国・地⽅のPBと企業・家計のISバランス↓

・2020年度以降のPB悪化は、経済下支えのための民間への移転支出等が半分程度を占める。賃金が物価を上回っ て伸びる経済環境、国内投資主導の経済成長を通じて「新たなステージ」への移行を実現し、財政も健全化させる。
・新たなステージでは、規制・制度改革、官民連携を通じて、スタートアップ・新分野を中心に投資を活性化するとともに、 家計の実質可処分所得の拡大の下、新たな需要(例えば、EV・省エネ・健康・子育て)が喚起され民需主導の持続 的な成長が大きく動き出す。
・ こうした成長と分配の好循環の下、一国のISバランスも、企業は投資主体、家計と政府は貯蓄主体となっていくこと が見込まれ、2025年度のPB黒字化が視野に入る。
(ISバランス:経済全体の投資(investment)と貯蓄(saving)のバランスのこと。)

○企業の投資動向→・設備の老朽化が進んでいる我が国において、生産性向上にもつながる設備投資の強化は重要課題。直近10年間の 資本ストックの伸びは、中堅・中小企業の寄与が6割と大企業を上回る。 ・ 大企業は近年、海外投資を重視。DX・GX・経済安全保障等の取組を通じ、構造的に国内投資を強化する必要。 ・ 中堅・中小企業の投資は、我が国経済の成長のエンジン。スタートアップ支援などを通じて投資拡大の牽引役となる 企業の創出を図っていくことが重要。

○家計の消費と投資→世帯主年齢別の世帯消費は、可処分所得の減少を主因として、現役世代を中心に減少。構造的賃上げ、全世代型 社会保障の構築等による現役・子育て世代の所得向上を通じて、消費や住宅投資の拡大を図っていく必要。 新たな需要が、投資を喚起する。欧米ではEV、Eコマース、ヘルスケア等で新しい動きがみられる


◎資料3 中長期の経済財政に関する試算を踏まえて(有識者議員提出資料) ↓
2025年度PB黒字化目標が間近に迫る中、今回の中長期試算において、その達成が視野 に入ることが示された。しかしながら、その前提として、経済下支え策に依存しない民需中心の 高い経済成長に加え、歳出改革の継続と財源確保の着実な実施等が不可欠となっている。 新たなステージが見えつつある今、経済財政運営の手順に誤りなきよう、以下提言する。
1.基本的政策スタンス
まずは、能登半島地震の復旧・復興に向けた対応を早期に実行し、国民の暮らしの安全と 安心の確保に万全を期すべき。 デフレ脱却、新たなステージに向けて、以下のポイントを踏まえ、迅速な制度・規制改革、官 民連携の強化を徹底し、成長力を強化していくとともに、規律ある財政運営を図るべき。⇒国民所得の伸びが物価上昇を上回る状態をつくり上げ、デフレマインドを払拭し、構造 改革により成長期待を高めていくこと。 官民連携による社会課題解決とイノベーション創造を通じて、GX・HX等のニューフロ ンティアへの投資拡大、働き方改革の展開、新技術の社会実装やDX利活用による徹 底した生産性向上を実現すること。 ・ EBPMをベースとして歳出改革を強化し、効果的でメリハリの効いた財政にするととも に、社会保険料負担の上昇を抑制し、家計の可処分所得の向上を図ること。 ・ PB黒字化後の新たな経済成長と財政規律の在り方についても、中長期を見据え、国 民への説明責任を果たしていくこと。

2.取組の強化に向けて→日本経済は、新たなステージに向けた、まさに正念場にある。今年の骨太方針に向けて、中 長期的な展望を見据えながら、日本経済をジャンプ・アップさせる投資喚起策、ニューフロンテ ィア拡大に向けた制度・規制改革、さらには、強靭で活力のある地域の創出策等を打ち出して いくべき。⇒・今後3年程度の変革期間における重点課題、そのための制度・規制改革の取組、官民連携の在り方等を明らかにすべき。
・ 少子高齢化が加速する日本経済において、20〜30年後を見据えた、より長期の試算1 を示した上で、中長期的に取り組むべき課題についてバックキャストすべき。 (以上)


◎資料4 スタートアップ・エコシステムの加速とグローバル化に向けての提言 「社会課題解決コンテスト」のポテンシャルなど(櫛田健児氏提出資料)↓
○シリコンバレーのスタートアップ・エコシステム→教訓と「活用」の視点で。
○シリコンバレーエコシステムのモデル→複数のコンポーネントで構成。スタートアップを大きく育てるための「需要」を政府が作ることで民需 も増えて急成長。
○シリコンバレーからの教訓:政府の役割→「リードバイヤー」としての役割。
○政府は「リードバイヤー」として伸ばす→スタートアップの初期のフェーズには「投資」が必要だが、急成長 に必要なのは作ったモノやサービスを買ってくれる「お客さん」
○具体的な解題(ペインポイント)の解決→アメリカでは軍からの調達が「リードバイヤー」として大きな役割 だが、日本では防衛周りである必要はない • さまざまな深刻な社会課題(高齢化、過疎化、格差など)の解決 に向けたモノやサービス、取り組みをスタートアップが提供して いれば、調達という手段でスタートアップが急成長できる
○コンテストという手法のポテンシャル→米国Department of Defense, Darpa から学ぶ「コンテスト」
○コンテスト:自動運転(先端技術の例)
○コンテスト:画像認識
○日本でのコンテストのポテンシャル→社会課題解決型コンテスト。高齢化、過疎化などに伴うさまざまな課題の解決策を提供す るスタートアップ向けコンテスト。具体例案(あらゆる業界、横断領域)⇒7つの具体的例あり。
○日本でのコンテストでグローバルソリューション のポテンシャル→日本の高齢化や過疎化は、世界に先駆けて経験しているが、だ からこそさまざまなソリューションはグローバル化も可能 • 課題先進国であることはグローバルの強み
○大企業のオープンイノベーション促進とグロー バル化の加速→スタートアップエコシステムには大企業との共存・競争関係も含まれ、大企 業もオープンイノベーションのパートナーを探しているので、こういうコン テストをフォーカスポイントに、競業相手も見つけやすくなる • スタートアップが日本の大企業のグローバルプレゼンスを活用して一緒に海 外展開のシナリオも可能 • スタートアップもお互いを知らないことが多いので、こういうコンテストを 通してお互いを認識し、合併や競争の促進、人材流動性の加速材となる。 • 国内スタートアップの海外企業による買収もスタートアップエコシステムの 促進、グローバル人材の育成加速。
○日本のスタートアップエコシステムのグ ローバル化に向けて→シリコンバレーは世界選抜で、世界中から人材が集まる上、それ ぞれの出身国とのパイプが強化され、出身国も恩恵を受ける
○大規模な海外留学支援で深いグローバル人脈 を構築→例えば、ランキングトップ50の大学に入学できる日本人は、 教育制度などが異なるため、ごく僅かなので日本国内の大学 との取り合いにはそう簡単にはならない • (東京大学は学部生1万3千人、スタンフォードは8千人 。これから日本人が増えても世界との競争なのでベストケ ースで数十人。今は10人程度。) • 大学院も政府の奨学金。 • 海外の大学に行っても「日本人をやめる」わけではなく、 むしろ「日本代表」としての意識が強まることが多いので 、トップ大学で得られる人脈 • 現在は受かっても到底学費も生活費も払えないのでそもそも チャレンジしていない人が多い可能性が高い
○海外大卒や博士を使いこなせ、グローバル市場 水準の高賃金を払える日本企業は日本発 グローバルスタートアップ→「海外の大学出身の日本人や、博士号を取得した日本人を日 本企業が使いこなせない」の特効薬は「そういう日本人を活 用できるタイプのシリコンバレー的なスタートアップを増や すこと」 • 海外のトップ大学出身の日本人人材は世界中の「良いところ どり」をしているトップ大学の人材にアクセス可能なので、 日本のスタートアップエコシステムに呼び込む役割と、日本 のスタートアップを海外展開させられる橋渡し役が可能 • これは流石に短期研修や拠点だけでは難しく、長期的なコミ ットメントが必要
○グローバルに価値が高い人材はグ ローバル大学から。→シンガポールやタイの学生のトップ大学の学部生はほとんど 政府の奨学金 • 「グローバル人材を呼び込む」という発想でも、海外でも通 用するグローバルな日本人の数を増やすことで、より多くの 、より質の高い人材を呼び込める • そもそもグローバル人材市場で評価される日本人は日本で起 業しても他に選択肢があるので、賃金を高く設定できる(大 企業終身雇用人材は特技をもとにした世界の労働市場に携わ っていないから賃金が安く留まってしまう。)


◎資料5 EBPMの更なる推進に向けて(中室牧子氏提出資料)↓
○行政データとは
→行政目的のために国や地方自治体によって業務を通じて収集され るデータ。あくまで業務の一環で収集される。
○国勢調査に行政データを用いる→オランダ、ベル ギー、スウェーデ ン、オーストリア などの9か国で採 用(2015年段階)。国勢調査の実施に かかるコストの削 減や、統計として の質の担保を目的 とする
○研究利用が進む行政データ→トップの国際学術雑誌に掲載された論文は 行政データを利用したものの割合が増加。米国のトップ経済学者らは、米国内の行政 データ利用が欧州と比べると遅れていること に懸念を表明。
○行政データを用いた研究→将来(親よりも)高い所得を得る確率が高い地域はどこか?⇒・税に関する行政記録と国勢調査を 照合して推計。「白い地域」は親 よりも高い所得を得られる確率が 高い地域、「赤い地域」はその確 率が低い地域。・ 貧困の連鎖が生じる地域の特徴が わかる。 ・“Moving to Opportunity”:米国 住宅都市開発局とハーバード大学 の研究者が共同で、低所得の家族 を、赤い地域→白い地域への引っ 越しを支援するバウチャー券を配 布するというランダム化比較試験
○コロナ対策はうまくいったのか→ハーバード大の経済学者グループ(Opportunity Insights)は、 公的統計と民間企業から提供された匿名加工の支出、収益、雇用 などに関するリアルタイムデータを照合して、分析を行い、 Covid-19が「いつ」「誰に」「どのような」影響をもたらした のかを細かに分析。低所得世帯への景気刺激策は、個人消費を大幅に増加させたが、 COVID-19ショックの影響を最も受けた企業(例えば飲食業)に はほとんど流入せず、雇用にプラスの効果をもたらさなかった。 中小企業に対する融資は、中小企業の雇用を2%しか増やさず、 雇用を1件増加させるのに37万7,000ドルものコストがかかった ことになる。 総需要を刺激したり、企業に流動性を提供したりする伝統的なマ クロ経済手段では、健康上の懸念から個人消費が制限された場合 に雇用を回復するのに十分ではない。パンデミックの際には、社 会保険によって経済的苦難を軽減する方がより効果的。
○78,000ドルの壁→米国における第2回目の給付金は、78,000ドル以上の家計にとって、 消費を増加させる効果が低く、逆に貯蓄を増加させている。低所得世帯が依然として不況下で雇用を回復させられずにいる中、 高所得層にとっては景気後退期を脱した。バイデン政権下における 定額給付金の上限が75,000ドルとすることの根拠となった
○欧州では何が起こっているのか。→0-19歳の国内の全公立学校について、ど のクラスで、どの生徒たちが、どの先生 に、どの内容を教わったのかが、所与の 時間と日付についてわかるパネルデータ を公開。  海外の研究者も分析するチャンスがある。
○日本の現在地↓
・政府統計の元データの研究利用が、提供まで1年以上の時間がかかる右矢印1データの提供を迅速化・円滑化(2023年度中に平均1か月以内、2024年度中に平均1週間以内、かつ、遅くとも4週間での提供を実施)。
・医療のレセプト情報の研究利用は、申請から利用までにかかる 日数が平均390日右矢印1データの提供を迅速化・円滑化(平均390日→2024年秋までに原則7日)
・アメリカ・テキサス州のTexas Education Research Center 割る 2006年創設。
・Texas Education Agency (TEA), Texas Higher Education Coordinating Board (THECB), Texas Workforce Commission (TWC)のデータを集約。
・データセンターは、州内の複数の大学に置かれている。

次回は新たに「労働基準関係法制研究会 第1回資料」からです。

令和5年第9回経済財政諮問会議・第20回新しい資本主義実現会議合同会議 [2023年07月11日(Tue)]
令和5年第9回経済財政諮問会議・第20回新しい資本主義実現会議合同会議(令和5年6月16日) 
≪議事≫(1) 新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2023 改訂版案等 (2) 経済財政運営と改革の基本方針 2023(案)
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2023/0616/agenda.html
◎資料3 小林委員提出資料
○第 20 回 新しい資本主義実現会議への意見    日本商工会議所 会頭 小林 健

今般、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」を改訂し、 成長と分配の好循環に向けた多様な施策を打ち出したことを高く評価する。官民連携による社会的課題の解決とそれに伴う新たな市場創造などが確実かつスピード感をもって実現されることを期待する。 わが国が国際社会の中で引き続き存在感を示すためには、力強い経済成長が欠かせない。所得の向上を通じて、次代の中核を担う若い世代の人たち が将来展望を描けるようにすることが何より大切である。
少子化問題への対応もその延長線上にある。国力維持のためにも、現在の ような急激な少子化は食い止めねばならない。先に取りまとめられた「こども未来戦略方針」の中で、安定的な経済成長の実現に先行して取り組む意思が明確に示されたことを歓迎する。「加速化プラン」のもと、真に効果のある対策を国民全体の理解と負担によって実施されたい。
全国的に人手不足が深刻化する中で、成長と分配の好循環に向け、構造的 賃上げを実現しなければならない。パートナーシップ構築宣言などの 取組みを継続・強化し、サプライチェーンの付加価値増大に加え、取引 適正化による価格転嫁を商習慣として定着させることが必要である。 地域活性化に向けた強力な政策的後押しにも大いに期待
する。地方では、 自然減と社会減の両方による人口減少が産業・経済の疲弊に拍車をかけて いる。「公的支出を呼び水として民間投資を拡大させる」とした方針を 支持する。新たな事業創造や技術開発に対する内外からの投資が行われ、 良質な雇用が全国各地に創出・確保されることとともに、中小企業の生産 性向上や円滑な事業承継に対する支援を強く望む。
この点、政府が成長戦略分野に掲げる GX、DX を、地域の中小企業も 積極的に経営戦略に取り込むべきと考える。東京商工会議所が今夏より 始める「攻めの脱炭素」なども参考としつつ、政府は、中小企業が チャレンジしやすくなる環境づくりを進められたい。
内外情勢が大きく変化する中で、さまざまなリスクに備える必要もある。 経済・エネルギー・食料、外交・防衛、防災・国土強靭化など、総合的に 国と地方の安全保障体制を整備・強化していくことが強く求められる。 国費・公費への期待は小さくないが、ワイズスペンディングと社会保障等 歳出改革の徹底による財政運営が不可欠である。  以上

◎資料4 内閣総理大臣からの諮問第 49 号について
→当面の経済財政運営と改革の基本方針の在り方いかん。

◎資料5 経済財政運営と改革の基本方針 2023(案)
(目次) のみ↓

第1章 マクロ経済運営の基本的考え方
1.本基本方針の考え方
2.環境変化に対応したマクロ経済運営
3.持続可能な成長の実現に向けた経済構造の強化
第2章 新しい資本主義の加速
1.三位一体の労働市場改革による構造的賃上げの実現と「人への投資」の強化、分厚い中間層の形成
2.投資の拡大と経済社会改革の実行
(1)官民連携による国内投資拡大とサプライチェーンの強靱化
(2)グリーントランスフォーメーション(GX)、デジタルトランスフォーメ ーション(DX)等の加速
(3)スタートアップの推進と新たな産業構造への転換、インパクト投資の促 進
(4)官民連携を通じた科学技術・イノベーションの推進
(5)インバウンド戦略の展開
3.少子化対策・こども政策の抜本強化
4.包摂社会の実現
5.地域・中小企業の活性化
第3章 我が国を取り巻く環境変化への対応
1.国際環境変化への対応
(1)外交・安全保障の強化
(2)経済安全保障政策の推進
(3)エネルギー安全保障の強化
(4)食料安全保障の強化と農林水産業の持続可能な成長の推進
(5)対外経済連携の促進、企業の海外ビジネス投資促進
2.防災・減災、国土強靱化、東日本大震災等からの復興
3.国民生活の安全・安心
第4章 中長期の経済財政運営
1.中長期の視点に立った持続可能な経済財政運営
2.持続可能な社会保障制度の構築
3.生産性を高め経済社会を支える社会資本整備
4.国と地方の新たな役割分担等 5.経済社会の活力を支える教育・研究活動の推進
第5章 当面の経済財政運営と令和6年度予算編成に向けた考え方↓
1.当面の経済財政運営について
1. 令和6年度予算編成に向けた考え方↓
@ 前述の情勢認識を踏まえ、持続可能な成長の実現に向けた経済構造の強化を進め、日 本経済を本格的な経済回復、そして新たな経済成長の軌道に乗せていく。
A 令和6年度予算において、本方針、骨太方針2022及び骨太方針2021に基づき、経済・ 財政一体改革を着実に推進する。 ただし、重要な政策の選択肢をせばめることがあってはならない。
B 構造的賃上げの実現、官民連携による投資の拡大、少子化対策・こども政策の抜本強化を含めた新しい資本主義の加速や防衛力の抜本的強化を始めとした我が国を取り巻く環境変化への対応など、重要政策課題に必要な予算措置を講ずること等により、メリハリの効いた予算編成とする。
C 新たな拡充を要する政策課題を含め、PDCAやEBPMの取組を推進し、効果的・効率的な支出(ワイズスペンディング)を徹底する。単年度主義の弊害是正に取り組み、事業の性質に応じた基金の活用・事業効果の見える化、経済・財政一体改革における重点課題への対応など中長期の視点に立った持続可能な経済財政運営や社会保障制度の構築等を進める。



◎参考資料 「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」(令和4年6月7日)のフォローアップ(内閣官房新しい資本主義実現本部事務局)↓
※記載順、項目名は本年度の「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2023 改訂版」による。↓

○以下の項目に沿って「実行計画(昨年6月閣議決定)の記載内容」「進捗状況」「残された課題」「今後の対応方針」を各項目別にまとめています。↓
V.人への投資・構造的賃上げと「三位一体の労働市場改革の指針」
W.GX・DX等への投資
1.レジリエンス上の日本の優位性と国内企業立地促進・高度外国人材の呼び込み
2.GX・エネルギー安全保障
3.食料安全保障
4.AI
5.DX
6.官民連携による科学技術・イノベーションの推進
X.企業の参入・退出の円滑化とスタートアップ育成5か年計画の推進
1.産業構造の転換と企業の参入・退出の円滑化の必要性
2.スタートアップ育成5か年計画の推進
3.事業不振の場合の総合的な支援策と事業再構築・事業承継等を含めた退出の円滑化
Y.社会的課題を解決する経済社会システムの構築
1.インパクトスタートアップに対する総合的な支援策
2.社会的課題を解決する NPO・公益法人等への支援
3.競争当局のアドボカシー(唱導)機能の強化
4.コンセッション(PPP/PFI を含む)の強化
Z.資産所得倍増プランと分厚い中間層の形成
[.経済社会の多極化
1.デジタル田園都市国家構想の実現
2.企業の海外ビジネス投資の促進
\.日本の魅力を活かしたインバウンドの促進
].個別分野の取組
1.宇宙
2.海洋
3.対外経済連携の促進
4.グローバルヘルス(国際保健)
5.福島をはじめ東北における新たな産業の創出

◆令和5年会議情報一覧↓
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2023/index.html

次回は新たに「第14回「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」)」からです。

令和5年第9回経済財政諮問会議・第20回新しい資本主義実現会議合同会議 [2023年07月10日(Mon)]
令和5年第9回経済財政諮問会議・第20回新しい資本主義実現会議合同会議(令和5年6月16日) 
≪議事≫(1) 新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2023 改訂版案等 (2) 経済財政運営と改革の基本方針 2023(案)
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2023/0616/agenda.html
X.「日本の魅力を活かしたインバウンドの促進」関連のフォローア ップ ↓
(持続可能な観光地域づくり)
→ ・「観光立国推進基本計画」(令和5年3月 31 日閣議決定)の「持続可能 な観光地域づくり戦略」に従い、地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化のため、宿泊施設等の改修、廃屋撤去等のハー ド面の取組に加え、キャッシュレス化等の観光地における面的なDX 化によるソフト面の取組を、複数年度にわたる計画的・継続的な支援 策を活用して支援。また、観光DXや観光産業の革新、観光人材 の育成・確保等の取組も支援する。 ・地域独自の観光資源(自然、文化・歴史、地場産業等)を保全・活用 したコンテンツ造成や、観光旅行者から入域料を徴収し地域づくりに 還元するためのシステム・設備整備等を支援する。また、地球環境に 配慮した旅行の普及啓発等を行う。 ・優れた観光資源の保全・活用による観光地の魅力向上のため、良好な 景観の形成・保全・活用等を進めるとともに、エコツーリズムなどの 取組や旅行者の安全の確保等の取組の支援等を行う。
(観光インバウンド回復)→・「観光立国推進基本計画」の「インバウンド回復戦略」に従い、早期の 訪日外国人旅行消費額5兆円の達成等の目標達成のため、文化、自然、 食、スポーツ等の多岐にわたる分野を対象とし、伝統芸能等の特別な 体験や期間限定の取組の創出等の支援や、海外における日本への誘客 イベントの開催等を集中的に行う。 ・消費拡大に効果の高いコンテンツの整備のため、アドベンチャーツー リズムや、アート・文化芸術コンテンツの整備、地域の食材を活用し たコンテンツの整備等を支援するとともに、皇居三の丸尚蔵館等の整 備を含め魅力ある公的施設の公開・開放を行う。また、外国人旅行者 18 向け消費税免税店の拡大、新宿御苑の整備等を行う。 ・万博に向けて、日本博 2.0 を集中的に開催する。 ・高付加価値旅行者の誘客支援を集中的に行うとともに、戦略的な訪日 プロモーションを行う。あわせて、MICE 誘致・開催支援や厳格なカジ ノ規制を実施した上でのIR整備を着実に進める。
(国内交流拡大)→・「観光立国推進基本計画」の「国内交流拡大戦略」に従い、措置された 予算を活用して全国旅行支援を着実に実施するとともに、平日旅行需 要喚起キャンペーンの実施等による国内旅行需要の平準化を着実に 進める。
(文化芸術)→・「文化芸術推進基本計画(第2期)」(令和5年3月 24 日閣議決定)に 基づき、文化芸術と経済の好循環の実現に向けて、ポストコロナの創 造的な文化芸術活動やデジタル技術を活用した文化芸術活動、文化資 源の保存・活用、子供たちの育成と多様性を尊重した文化芸術の振興、 グローバル展開と地方創生に重点的に取り組む。 ・ポストコロナの舞台芸術水準の向上のため、統括団体への総合的な支 援の枠組みを導入する。 ・国内アート市場の国際拠点化・活性化のため、2023 年度に、アートバ ーゼルと提携して作品を購入できる展覧会を開催するとともに、美術 品の価格評価ガイドラインを策定し、その普及・広報を行う。 ・国立劇場の再整備を引き続き進めるとともに、新国立劇場バレエ団の 公演環境整備を行う。 ・メディア芸術ナショナルセンターについて、2023 年度中に具体的な制 度設計等の検討を行い、基本構想として取りまとめる。 ・地域の伝統行事等について、適切な継承に配慮しつつ、地域振興、観 光・産業振興等に活用するため、その取組を支援する。 ・2023 年3月策定の「障害者による文化芸術活動の推進に関する基本的 な計画(第2期)」に基づき、障害者による幅広い文化芸術活動の促進・ 展開、文化施設や福祉施設、関係団体・機関等の連携による障害者の 文化芸術への親しみ・参加機会の充実、地域における推進体制の構築 に重点的に取り組む。 ・休日の文化部活動の地域連携等に向けて、改革推進期間において、地 域の取組状況も考慮し、指導者の確保、参加費用の支援等の課題を踏 まえた環境整備等を行う。
(スポーツ)→・第2期スポーツ未来開拓会議において、2022 年に策定した「第3期スポーツ基本計画」を踏まえ、トップスポーツの更なる拡大や地域スポ ーツの発展等について検討し、2023 年度中に結論を得て、所要の措置 を講ずる。 ・引き続き、スポーツ施設のユニバーサルデザイン対応を支援するとと もに、スポーツ審議会等における検討を踏まえ、地域の障害者スポー ツ振興の拠点として都道府県等による障害者スポーツセンターの整 備を重点的に進める。また、障害者スポーツ団体と他の競技団体や民 間企業等との連携等を重点的に支援する。 ・地方公共団体や民間事業者によるスタジアム・アリーナ計画の策定や 整備等を支援する。 ・休日における運動部活動の地域連携や地域クラブ活動への移行に向け て、2023 年度から 2025 年度の改革推進期間において、地域の取組状 況も考慮し、受皿団体の整備や指導者の確保、参加費用負担への支援 等の課題を踏まえた環境整備を行う。また、2022 年度の実践研究等を 踏まえ、優良事例の横展開を行う。
(金融市場の整備)→・地域でのGX投融資を促すため、地方自治体と地域企業・金融機関等 による推進協議体の設置等を支援。・引き続きプロダクトガバナンスの確保やそのための資産運用会社等の ガバナンス強化に向けた制度整備について検討し、2023 年度中に結論を得て、所要の措置を講ずる。また、仕組債に関するコストを含む顧客との利益相反に係る情報提供について、金融庁及び日本証券業協会において、早期に適切な措置を講ずる。 ・コーポレートガバナンス改革の実質化のため、2023 年4月に策定した アクションプログラムに基づき、大量保有報告制度や公開買付制度等 について投資家と企業との対話の促進に向けた見直しを行い、2023 年 中に結論を得て、関連法案の早期の国会提出を目指す。 ・2022 年度に実施した実証実験を踏まえ、金融機関の保有データを収集し、外部データと組み合わせて行う分析手法の実用化を進める。 ・次回の FATF(金融活動作業部会)対日相互審査に向けて金融機関のマネロン態勢を高度化させるため、不備がある金融機関への検査・監督体制の強化、精緻なリスク評価のための制度見直し、業界団体を通じ た金融庁のアウトリーチの強化等を行う。
(対内直接投資の促進)→海外からの人材・資金の呼び込みを図るため、「海外からの人材・資金 を呼び込むためのアクションプラン」(令和5年4月 26 日対日直接投 資推進会議決定)を着実に進める。

Y.「個別分野の取組」関連のフォローアップ↓
1.「宇宙」関連
→・衛星コンステレーションの各種衛星の活用により、ニア・リアルタイ ムでの情報収集能力を整備する。 ・2030 年代以降を見据えた地球低軌道の民間の需要喚起のため、国際宇 宙ステーション(ISS)の利用枠や装置の活用等による地球低軌道の利 用環境の確保・整備を行う。 ・宇宙輸送をめぐる国際環境の激しい変化等を踏まえ、2040 年までを見 据えた将来宇宙輸送システムに必要なエンジン等の研究開発や設備 整備を官民共創で進める。 ・温室効果ガス・水循環観測技術衛星(GOSAT-GW)の打上げを、引き続 き 2024 年度を目指して進める。 ・2025 年度までを目途に、衛星から地上への宇宙太陽光発電によるエネ ルギーの伝送技術の実証を行う。 ・新たな宇宙輸送ビジネスや宇宙港の整備を早期に実現するため、有人サブオービタル飛行等の実証・事業化や空港の宇宙港としての活用に 必要となる法制度や安全基準の在り方について検討し、制度整備を進 める。 ・情報収集衛星の 10 機体制が目指す情報収集能力の向上を早期に達成 するため、引き続き、衛星開発を行う。 ・世界初の大型デブリ除去を実現するため、2026 年度目途での打上げを目指して、大型デブリ除去技術の実証用衛星の開発を加速化する。 ・宇宙空間の安全かつ安定した利用の確保のための宇宙領域把握(SDA) 体制の確立に向けて、2026 年度までの打上げを目指して、SDA 衛星の 製造を行う。 ・世界初の火星圏からのサンプル採取の実現のため、2023 年4月の「日 本国政府とアメリカ合衆国政府との間の火星衛星探査計画に関する 交換公文」を踏まえ、2024 年度目途での火星衛星探査機の打上げ等の 火星衛星探査計画を進める。

2.「海洋」関連→・「海洋基本計画」(令和5年4月 28 日閣議決定)に基づき、海洋のデ ジタルツインの構築を念頭に全球観測の実施や観測データの解析技 術や海洋環境等のシミュレーション技術の高度化等を行うとともに、 洋上風力発電の適地選定等のための海洋状況表示システム「海しる」 21 の更なる活用・機能強化等を行う。 ・メタンハイドレート、海底熱水鉱床等の国産海洋資源の開発促進のた め、2023 年度に「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」(平成 31 年 2月改定)を改定するとともに、南鳥島海域でのレアアース泥の採鉱 や精錬・精製試験等を 2027 年度までに進める。 ・2026 年の就航に向けて北極域研究船の建造を着実に進めるとともに、 極域の観測・研究を引き続き実施する。 ・2023 年度中に、浮体式洋上風力の導入目標を設定する。また、排他的 経済水域での洋上風力発電の実施のための法制度を検討し、法案化を進める。 ・海運業・造船業の国際競争力の強化のため、引き続き、船舶の部品の 国内の安定供給確保のための取組等を重点的に支援する。また、国際 海底ケーブルの敷設・保守体制の強化を進める。

3.「対外経済連携の促進」関連→ ・RCEP 協定の完全な履行確保のため、協定参加国への経済・技術協力支 援を強化しつつ、事務局設置の議論を我が国が主導して進める。 ・イスラエルやバングラデシュとの経済連携協定の可能性について検討し早期に結論を得るとともに、引き続き、経済連携協定に関する取組 を積極的に行う。また、アンゴラやアゼルバイジャンとの投資協定等 の早期妥結を図るとともに、他国との新規の投資協定の交渉開始に、 引き続き取り組む。 ・国連関係機関における邦人職員数を 2025 年までに 1,000 人以上とす ることを目指し、引き続き国際機関への派遣や幹部ポストの確保など を重点的に行う。

(注)法律名につき、以下の略語等を用いている。 ↓
・女性活躍推進法
→女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64 号)
・フリーランス・事業者間 取引適正化等法→特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(令和5年法律第 25 号)
・省エネ法→エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律(昭和 54
年法律第 49 号)
・改正省エネ法→安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に
関する法律等の一部を改正する法律(令和4年法律第 46 号)による改正後の省エネ法
・温対法 地球温暖化対策の推進に関する法律(平成 10 年法律第 117 号)
・電気事業法 →電気事業法(昭和 39 年法律第 170 号)
・独占禁止法→私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和 22 年法律第 54 号)
・食料・農業・農村基本法→食料・農業・農村基本法(平成 11 年法律第 106 号)
・デジタルプラットフォ ーム取引透明化法 特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する 法律(令和2年法律第 38 号)
・改正次世代医療基盤法 医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律の一
部を改正する法律(令和5年法律第 35 号)による改正後の医療分 野の研究開発に資するため
の匿名加工医療情報に関する法律(平成 29 年法律第 28 号)
・再生医療等安全性確保法→再生医療等の安全性の確保等に関す法律(平成25年法律第85号)
・会社法→会社法(平成 17 年法律第 86 号)
・中小企業等経営強化法→ 中小企業等経営強化法(平成 11 年法律第 18 号)
・国際卓越研究大学法 →国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化に 関す
る法律(令和4年法律第 51 号)
・金融商品取引法→ 金融商品取引法(昭和 23 年法律第 25 号)
・投資信託法 投資信託及び投資法人に関する法律(昭和 26 年法律第 198 号)
・銀行法→ 銀行法(昭和 56 年法律第 59 号)
・LPS 法→ 投資事業有限責任組合契約に関する法律(平成 10 年法律第 90 号)
・公益法人認定法→公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成 18 年法律第 49
号)
・孤独・孤立対策推進法→孤独・孤立対策推進法(令和5年法律第 45 号)
・地域交通法→ 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律(平成 19 年法律第 59 号)
・改正国土強靱化基本法→強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱 化基本法の一部を改正する法律(令和5年6月 14 日成立)による改正後の強 くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化 基本法(平成 25 年法律第 95 号)
・空家等対策特別措置法→空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26 年法律第 127 号)
・割賦販売法→割賦販売法(昭和 36 年法律第 159 号)
・臨床研究法→ 臨床研究法(平成 29 年法律第 16 号)
・大麻取締法 大麻取締法(昭和 23 年法律第 124 号)
・国立大学法人法→国立大学法人法(平成 15 年法律第 112 号)
・改正著作権法→著作権法の一部を改正する法律(令和5年法律第 33 号)による改正後 の著作権法(昭和 45 年法律第 48 号)
・改正地域交通法→地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律(令和5年法律第 18 号)による改正後の地域交通法
・地域未来投資促進法→地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する 法律(平成 19 年法律第 40 号)
・改正空家等対策特別措置法→空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和
5 年法律第 50 号)による改正後の空家等対策特別措置法

次回も続き「資料3 小林委員提出資料」からです。

令和5年第9回経済財政諮問会議・第20回新しい資本主義実現会議合同会議(令和5年6月16日)  [2023年07月09日(Sun)]
令和5年第9回経済財政諮問会議・第20回新しい資本主義実現会議合同会議(令和5年6月16日) 
≪議事≫(1) 新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2023 改訂版案等 (2) 経済財政運営と改革の基本方針 2023(案)
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2023/0616/agenda.html
◎資料2 成長戦略等のフォローアップ案 ↓
趣旨
→ 「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」及びそれまでの 成長戦略等を踏まえて取り組むべき事項についての「フォローアップ」 の取組の進捗を踏まえ、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行 計画 2023 改訂版」の関連する項目整理に沿って、以下のとおり、フォロ ーアップとして進めるべき事項を記載するものとする。↓

T.「人への投資・構造的賃上げと三位一体の労働市場改革の指針」関連のフォローアップ
(地域の産業界のニーズに合わせた教育プログラムの提供)
→ 地域の産業界のニーズに合わせた高度人材を育成するため、地域の大 学、地方自治体等にコーディネーターを配置し、当該ニーズを踏まえ たリ・スキリング・プログラムの提供等を支援する。また、自動車整 備士等専門技術者のリ・スキリングを促すため、専修学校での専門技 術者へのリ・スキリング・プログラムの提供等を支援する。
(パートナーシップ構築宣言の拡大・実効性向上)→パートナーシップ構築宣言の更なる拡大のため、宣言企業への国・地 方自治体の補助制度での加点措置の実施や地方自治体・経済団体間の 協定締結等の普及を行う。また、パートナーシップ構築宣言の実効性 向上のため、宣言企業の取組状況とその下請企業の評価を調査し、取 組改善に向けたフィードバックを宣言企業へ行う。
(シルバー人材センターのオンライン・システム整備)→ シルバー人材センターにおいて、会員への就業条件の明示等が円滑に 行われるよう、2024 年度を目途に、システムの整備も含めた対応を行 う。
(フリーランスの労働保険の適用)→労災保険特別加入制度の対象に一定の要件を満たすフリーランスを追 加することについて、労働政策審議会で審議を行い、早期に結論を得て、所要の措置を講ずる。
(介護と仕事の両立支援等)→ 高齢者の Quality of Life(QOL)を十分配慮しつつ、従業員の介護と仕事の両立に取り組む企業を支援する仕組みについて、2023 年度を目途に検討を行い、所要の措置を講ずる。介護保険外での介護サービスの提供に係る実証を行う。
(医療・介護現場の組織改革等)→ ・2024 年4月の医師の時間外労働の上限規制導入に向けて、大学・大学 病院でのより効率的で質の高い臨床教育・研究の取組事例の収集と横 展開を行う。あわせて、教育や研究を支援する人材の確保等を支援。 ・2022 年度に改訂された「医学教育モデル・コア・カリキュラム」に基 づき、大学の自主性・自律性を尊重しつつ、大学医学部での医学教育 の充実に向けた環境整備を支援する。
(結婚等支援)→ 結婚を希望する若い世代がその希望をかなえられるようにするため、 地方自治体による出会いの機会・場の提供などの取組を、引き続き支 援。また、社員の家事支援サービス等利用を支援する企業やライ フプラン研修等を行う事業者を支援する。
(予防・重症化予防・健康づくりの推進)→ ・健康スコアリングレポートについて、2023 年度を目途にデータヘルス 計画の共通評価指標を新たな表示項目として追加する。 ・2023 年度より、健康経営を実践する企業と質の高い効果的な健康経営 を支えるサービスとのマッチングのため、関係サービスを検索・比較 検討できるポータルサイトの開設等を行う。 ・予防・重症化予防・健康づくりの推進のために 2024 年度から始まる「第4期特定健康診査等実施計画」の円滑な実施に向けて、特定保健 指導におけるアウトカム評価の導入、成果の見える化、ICT 活用の推 進等の見直しを行う。・女性の健康の包括的な支援を推進するため、月経困難症や更年期障害 等の女性に特有な健康課題の把握や、エビデンスに基づく的確な支援 を行うための研究等を引き続き進めるとともに、関連のある医学会に おいて女性の健康に係る指針の策定を行う。また、企業・地方自治体 でのフェムテック製品・サービスの利活用の実証を支援し、実証事例 を横展開する。 ・2024 年度から「子どもの健康と環境に関する全国調査基本計画」に基 づき 13 歳以降のエコチル調査(子どもの健康と環境要因に関する疫 学調査)を実施する。

U.「GX・DX等への投資」関連のフォローアップ
1.「GX」関連 ↓
(炭素集約度のデータ整備等)
→2023 年4月のG7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合の成果等を踏 まえ、グリーン製品の普及のための国際的な評価手法・定義の確立に 向けて、鉄鋼の「グローバルデータ収集フレームワーク」に基づく「炭 素集約度」のデータ基盤整備を進めるとともに、「削減貢献量」の評 価方法等の具体化を進める。
(JCM)→二国間クレジット制度(JCM)の活用を進めるため、2023 年度に CCS 等の大規模プロジェクトのガイドラインの策定、カーボンクレジット市場でのJCM クレジットの取扱の制度設計等を行う。また、パリ協定6 条実施パートナーシップセンターを 2023 年中に創設する。
(合成燃料・SAF)→・合成燃料(e-fuel)を 2030 年代前半までに商用化するため、グリーンイノベーション基金を活用して、e-fuel の大規模かつ高効率な製造技術の開発を加速化する。また、早期の供給を目指して国内外のプロジェクトの組成を促すとともに、e-fuel の品質の国際標準化等を進める。また、持続可能な航空燃料(SAF)を国際競争力のある価格で安定的に 供給できる体制を構築するため、東南アジア・豪州等を含めた国内外 での SAF の原料開発や製造・輸送インフラ整備等を支援するとともに、 SAFの原料の国内調達比率を高めるためのアクションプランを2023年 中に策定する。
(カーボンニュートラルポートの形成)→グリーン海運回廊の形成に向けた国際的議論の主導等により、海外も含め、カーボンニュートラルポートの形成による港湾の脱炭素化を進 める。
(中小企業の温室効果ガス排出量の算定等支援)→2024年度から報告義務のない中小企業等が任意に温室効果ガス排出量 の算定・公表をできるようにするため、省エネ法・温対法・フロン法 電子報告システム(EEGS)のシステム改修を行う。
(代替フロン排出量削減のための自然冷媒機器への転換等)→2030 年度の代替フロン排出量を 2013 年度比で 55%削減するため、 2023 年度から中小企業に対して自然冷媒機器の導入補助を行い、2027 年度までに導入件数を倍増させるとともに、大企業に対しても自然冷 媒機器への転換の目標設定を前提に導入補助を行う。また、次世代冷 媒及びその使用機器の開発を加速するため重点的な支援を行う。

2.「DX」関連 ↓
(情報銀行の活用)
→2022 年度に行った健康・医療分野における情報銀行の活用等の検討結 果を踏まえ、2023 年度末までに情報銀行の認定指針を改定する。また、 教育分野については2024年度目途で、スマートシティについては2025 年度目途で、それぞれの認定指針の改定を目指して実証を行う。
(キャッシュレス利用環境の整備)→・2022年度に行われたクレジットカード決済システムのセキュリティ対 策強化に向けた検討結果を踏まえ、2024 年までに割賦販売法の不正利 用防止の措置等について見直しを行い、結論を得た上で、所要の措置を講ずる。 ・政府・日本銀行は、実証実験の進捗や年内を目途に行われる中央銀行 デジタル通貨(CBDC)に関する有識者会議での議論の取りまとめ結果 を踏まえ、CBDC の制度設計の大枠として、民間事業者と日本銀行の役 割分担の在り方、CBDC と他の決済手段との役割分担の在り方、セキュリティの確保と利用者情報の取扱い等の論点について、諸外国の動向 を踏まえながら、基本的な考え方や考えられる選択肢等を整理し、これに基づき、発行の実現可能性や法制面の検討を進める。
(企業等のDXの推進)→サプライチェーンの寸断リスク等不測の事態への対応力向上に向けて、 無線通信技術を活用し製造現場での柔軟な制御や組換えを可能とす る技術について、その普及のための指針を 2024 年度前半までに策定。
(医療のDX)→ ・2024 年4月を目途に、居宅でのオンライン資格確認や、資格情報のみ の取得が可能なオンライン資格確認ができるようにシステム導入支 援等を行う。また、2024 年4月を目途に、マイナンバーカードの電子 証明書機能がスマートフォンに搭載される状況を踏まえつつ、スマー トフォンでのオンライン資格確認が可能となるようにする。 ・質の高い個人健康情報(PHR)の活用による再生・細胞医療・遺伝子治 療の臨床効果の検証やウイルスベクター生産技術の開発を促し、患者 がより効果的な医療サービスを受けることができる措置を 2023 年度 中に検討し、所要の措置を講ずる。
(サイバーセキュリティ)→・国産のサイバーセキュリティ製品の開発のため、2023 年度から、国内 のサイバー攻撃関連情報の収集・分析システムを稼働させる。 ・IoT 機器を使用する踏み台攻撃を抑止するため、国立研究開発法人情 報通信研究機構が行う IoT 機器のぜい弱性の調査範囲等について検討し、2023 年夏までに結論を得て、所要の措置を講ずる。・サプライチェーンを構成する中小企業のサイバーセキュリティ対策を 強化するため、2023 年度に中小企業のニーズにより対応できるように 「サイバーセキュリティお助け隊サービス」のサービス基準を改定す るとともに、その導入支援や相談体制の整備を行う。 ・可搬式の模擬プラントを整備し、地方で重要インフラ事業者等の実践 演習を行う。また、「実践的サイバー防御演習」の受講者数の増加のた めの取組を行う。 ・医療機関等におけるサイバーセキュリティの更なる確保のため、「サ イバーセキュリティお助け隊サービス」等と連携した外部ネットワー クとの接続の安全性の検証・検査や、オフライン・バックアップ体制 の整備等を支援する。

3.「科学技術・イノベーション」関連 ↓
(医療・医薬品・医療機器)
→・医薬品産業のエコシステムを確立するため、政府全体の医薬品産業政 策の司令塔機能の在り方について、引き続き検討。 ・再生・細胞医療・遺伝子治療における、新たな医療技術の臨床研究・治験の推進やこれらの医療技術の製品化に向けた研究開発・製造基盤 強化等の取組、遺伝子治療におけるゲノム編集技術の再生・細胞医療 への応用やそれぞれの人の特性に合った薬効等を試験できるオルガノイド(試験管内で人工的に作られるミニ臓器)等の革新的な研究開 発を引き続き進める。 ・2022 年6月の「臨床研究法5年後の見直しに係る検討の取りまとめ」 を踏まえ、臨床研究法改正案を早期に国会提出するとともに、臨床研 究等での利益相反関係を管理するためのデータベースを 2024 年度ま でに構築する。 ・先進的研究開発戦略センター(SCARDA)を通じて、世界トップレベルの研究開発拠点の形成や、新たな創薬手法による産学官の出口を見据 えた研究開発支援、重点感染症に対するワクチン開発を、引き続き、進める。また、感染症有事を見据えたデュアルユースが可能なワクチ ン製造拠点等の整備を支援する。さらに、疫学データの収集等を行う 国外調査先や国外研究拠点の設置地域の拡大等を行う。 ・国立研究開発法人国立国際医療研究センターとその関連医療機関との 連携により、2024 年度末までを目途に、感染症危機管理医薬品等の臨 床研究体制を構築する。また、国際共同での大規模臨床試験の実施費 用を支援する。 ・各臨床研究中核病院とその関連医療機関との連携拡大等により、2024 6 年度末までを目途に、臨床研究中核病院を核とする在宅治験の実施体 制を確立する。 ・2022 年度に実施した調査結果を踏まえ、今後のパンデミックに備えて 感染症専門人材の計画的な育成プログラムを検討し、2023 年度中に結 論を得て、所要の措置を講ずる。 ・「国際的に脅威となる感染症対策の強化のための国際連携等に関する 基本戦略」(令和5年4月7日国際的に脅威となる感染症対策の強化 のための国際連携等関係閣僚会議決定)に基づき、人獣共通感染症も 含めワンヘルス・アプローチによる感染症対策や調査研究等を行う。 また、新規抗菌薬に対する市場インセンティブの仕組みを含め、薬剤 耐性(AMR)対策を「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2023-2027)」 に沿って進める。 ・「グローバルヘルス戦略」(令和4年5月 24 日健康・医療戦略推進本部 決定)や「国際的に脅威となる感染症対策の強化のための国際連携等 に関する基本戦略」に加え、G7広島サミットの成果も踏まえ、パンデミック対策の新たなファイナンシング、WHO・UHC2030・GHIT 等に対する適切な拠出を通じた連携強化及び日本の医薬品・医療機器の調達の促進、民間資金を動員するためのインパクト投資の推進に向けた国 際連携の枠組み構築等を行う。 ・「アジア健康構想」や「アフリカ健康構想」の下、日本の医薬品・医療 機器等の国際展開を促すため、アジア・アフリカ諸国での産官学医の ハブとなる組織の創設や関係構築等のための伴走支援を行う。また、 日本とアジア諸国での革新的な医薬品・医療機器の開発等を促すため、 2024 年度に独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の拠点を整 備し、ASEAN 地域での協力体制を強化する。さらに、臨床開発体制の 充実のため、2023 年度に国立研究開発法人国立がん研究センターの臨 床研究・治験ネットワークにおいて ASEAN 地域の拠点の機能強化を行 う。 ・革新的なプログラム医療機器の優先的な承認審査の試行的実施や、二 段階での承認スキームによる早期での市場投入の実現、スタートアッ プ企業の海外実証を含む研究開発に係る支援、PMDA での相談・審査体 制の拡充に向けて、2023 年度中に、新たに実用化促進パッケージ戦略 を策定する。 ・セルフケア・セルフメディケーションを進めるとともに、薬局で市販 される OTC 検査薬等の拡大に向けて、引き続き、医療用検査薬等の検 査項目ごとに課題整理を行う。 ・「がん対策推進基本計画」(令和5年3月 28 日閣議決定)等を踏まえ、重粒子線がん治療装置の小型化・高度化等の先端的な研究を進める。 ・漢方について、生薬の国内生産を支援するとともに、国内産業の競争 力強化に資する国際標準化を着実に進める。 ・2022 年 10 月の「厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会大麻規制検 討小委員会とりまとめ」を踏まえ、大麻取締法等の関係法案を早期に 国会提出する。 ・医療コンテナの更なる活用を促進するため、地方公共団体等に対し、「医療コンテナの活用に関する手引き」を用いた情報提供等を行う。 ・「医療用等ラジオアイソトープ製造・利用推進アクションプラン」(令 和4年5月 31 日原子力委員会決定)に基づき、引き続き、試験研究炉 や加速器を用いた研究開発や実用化を進めるとともに、2025 年度まで に国内外の需要者と供給者の連携体制を整備する。
(大学改革)→ ・国立大学が国際卓越研究大学となる上で必要となる経営方針を定める ための合議体の設置を可能とする措置を講ずるため、国立大学法人法改正法案を早期に国会提出する。 ・地域の産学官ネットワークの連携強化や地域社会での大学の地域課題 解決を先導する取組等を支援する。 ・「第5次国立大学法人等施設整備5か年計画」に基づき、「イノベーシ ョン・コモンズ」(共創拠点)の実現に向け、DX、GXやグローバル 化等に対応した施設整備に対する支援を行う。
(探究・STEAM 教育の強化)→・初等中等教育段階における探究・STEAM(Science, Technology, Engineering, Art and Mathematics)・アントレプレナーシップ教育の強化のため、2024 年度に、日本科学未来館におけるリアル・オンラ インが融合した展示体験を全国科学館ネットワークを通じて遠隔地 を含め地域に提供する。また、スーパーサイエンスハイスクール(SSH) と他校等との連携を促すため、コーディネーターの配置等を行う。さ らに、民間教育サービスの学校への導入を進める。 ・ジェンダーバイアスの排除に向けて、イベントの開催等を通じた理数 等の学びを活かし活躍するロールモデルの提示や、大学等での女性研 究者のための研究サポートや家族帯同サポートの制度導入支援等を 行う。
(留学生派遣・受入れ、教育の国際化)→教育未来創造会議の第二次提言(令和5年4月 27 日教育未来創造会 議決定)を踏まえ、将来の留学につなげるため、初等中等教育段階か ら早期に留学の情報に触れる機会を設けつつ、海外大学で単位や学位の取得を目指す学生を中心に日本人学生の海外留学を促進するとと もに、高い志を有する優秀な外国人留学生の戦略的受入れや、留学生 の卒業後の活躍に向けた環境整備、教育の国際化を進める。
(外国人向け教育の充実)→・日本語教育の基盤整備のため、生活・留学・就労分野での教育モデル 等の開発や日本語教育情報を一元的に発信する多言語情報発信サイ トの開設を 2024 年度までに完了させ、早期に提供を開始する。また、 2023 年度に日本語教員の養成研修拠点6か所の整備を着実に実施す るとともに、引き続き、地域の日本語教育の体制づくりへの支援を行う。 ・海外企業・研究機関の国内誘致が進む地域での高度外国人材の受入環 境を一層充実させるため、外国人の子弟を受け入れる学校等での教育 環境の整備に取り組む。
(研究インテグリティの強化)→研究インテグリティの確保を研究者及び研究機関が自律的に進めるた め、大学・研究機関等における研修強化等の取組状況及び利益相反・ 責務相反に関する規程・組織の整備状況等について、引き続き、2023 年度も、把握・公表する。
(戦略的な研究開発の推進)→・ムーンショット型研究開発において、9つのムーンショット目標に関し、ポートフォリオの再編を繰り返しながら有望課題の絞り込みや人 材確保、国際連携強化等を行いつつ、引き続き、開始から最大 10 年間 の支援を可能とする研究開発の充実を進める。 ・2023年度から開始する「戦略的イノベーション創造プログラム」(SIP) 第3期の14課題について、2022年度に整備した「成熟度レベル」(XRL) を用いつつ、「橋渡しプログラム」(BRIDGE)により定める重点課題と 連携し、社会実装に向けた取組を行う。 ・若手を含む幅広い年代の研究者が独創性をより一層発揮できるよう、 科研費の基金化などにより、柔軟な研究活動を認め、国際性・挑戦性を高める制度改善を行う。 ・先進国や ASEAN 等との間で戦略的な国際共同研究を行うとともに、 2023 年度から世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)に段階的 に拠点形成等を行う手法を導入。 ・「地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージ」における「研究時間の質・量の向上に関するガイドライン」に基づき、データ・キュレ ーターの活用等の支援を行う。
(マテリアル技術)→国立研究開発法人や大学等に整備する材料データベースや先端研究設 備群を企業が新規事業を創出する際に活用できる基盤整備を開始する。あわせて、当該事業により収益を得た場合に収益の一部を大学等 に還元させることを検討し、2023 年度中に結論を得る。
(知的財産・標準活用戦略の推進)→・「知的財産推進計画 2023」(令和5年6月9日知的財産戦略本部決定) 等に基づき、国際卓越研究大学制度、地域中核・特色ある研究大学強 化促進事業等を通じて大学知財ガバナンスガイドラインの普及を着 実に進める。また、標準化の取組・支援の強化方針等を 2023 年夏頃を 目途に「日本型標準加速化モデル」として示した上で、標準の戦略的 活用の推進のための総合的な標準戦略を策定。 ・特許審査の標準的な「権利化までの期間」を、引き続き平均 14 月とする体制を維持するため、審査官の人員補充や能力向上等を行う。
(アジア新興国企業との新ビジネス共創とリバースイノベーションの 加速)→引き続きリバースイノベーションを進めるため、「日 ASEAN 経済共創 ビジョン」等を踏まえ、J-Bridge のスタートアップ向け支援機能の強 化や国内での事業可能性調査の支援等を行うとともに、現地の社会課 題解決に向けた企業間の協業・連携支援を加速させる。
(2027 年国際園芸博覧会)→2027年国際園芸博覧会の開催に向けて、招請活動やセキュリティ対策、 税関・出入国管理・検疫体制の強化等の開催準備を着実に進める。
(メタバースも含めたコンテンツの利用拡大) →「知的財産推進計画 2023」に基づき、分野横断権利情報検索システム の構築や改正著作権法に基づく新裁定制度に係る窓口組織の整備等 を促すとともに、メタバース上のコンテンツ等をめぐる法的課題等に 関するガイドラインの作成・公表等を行う。また、海賊版・模倣品対 策を、民間との連携による取組の強化や二国間協議等の活用により、 引き続き進める。

V.「社会的課題を解決する経済社会システムの構築」関連のフォローアップ→「PPP/PFI 推進アクションプラン(令和5年改定版)」(令和5年6月2 日民間資金等活用事業推進会議決定)に基づき、空港、交通ターミナル、スタジアム・アリーナでの公共施設等運営事業等の実施を加速化 10 するほか、成果連動型民間委託契約方式の事業数を増加させる。

W.「経済社会の多極化」関連のフォローアップ ↓
1.「デジタル田園都市国家構想の推進」関連 ↓
(スーパーシティ、デジタル田園健康特区、国家戦略特区)
→国家戦略特区での取組を更に推進するため、スーパーシティとデジタル田園健康特区における規制の特例措置の追加・拡充を行う、データ連携や先端的サービスの実現のための取組を重点的に行う。
(地域金融機関の人材マッチング支援)→地域金融機関の人材マッチングの促進のため、株式会社地域経済活性 化支援機構(REVIC)の人材プラットフォーム(レビキャリ)の登録対 象の拡大・給付要件の緩和やレビキャリ・アンバサダー(仮称)の創 設等を行う。
(自動運転・自動運転移動サービス)→地域限定型の無人自動運転移動サービスを 2025 年度目途に 50 か所程 度で、また 2027 年度までに 100 か所以上で実現するため、2023 年度 に、レベル4自動運転車両を用いた限定空間での無人自動運転移動サ ービスの実証や、混在交通環境下にある市街地の交差点等での路車協 調システムを用いた車両制御の実証等を行う。 ・国際海事機関(IMO)での自動運航船の安全要件に関する国際基準づく りにおいて、我が国が議論を主導し、2025 年の国際合意を目指し取り 組む。
(自動配送サービス)→低速・小型ロボットの公道走行による自動配送サービスの提供のため、 10 台以上の配送ロボットの同時走行技術や、低速・小型ロボットの配 送サービス用のインフラ協調システム技術の開発を支援するととも に、配送ロボットの安全性及びその試験方法に係る国際規格づくりに おいて、我が国が議論を主導し、2025 年までの国際合意を目指し取り 組む。
(より安全で効率的なドローンの利活用)→ドローンの有人地帯での目視外飛行(レベル4飛行)の導入を離島・山間部で進めるとともに、都市部でも実現するため、引き続きドロー ン物流の実証を行い、ドローン物流サービスの提供開始を支援する。 また、操縦者講習実施機関への厳格な監査を通じてレベル4飛行を担う高度技能操縦者の適正な育成を行う。さらに、2024 年度までにドローンの型式認証ガイドラインを策定し、その取得を促すとともに、2025 年度までにより安全で効率的な航行のために必要な運航管理シ ステムの提供事業者の認定に係る要件を定める。
(空飛ぶクルマ)→2025 年大阪・関西万博での空飛ぶクルマの商用運航とこれ以降の拡大 等の実現のため、「空の移動革命に向けたロードマップ」に沿って、機体や運航に関する安全基準等の検討や交通管理を行う体制の整備等 を着実に進める。また、離島・山岳での操縦者の搭乗しない自動操縦 による荷物輸送等の2026 年度での事業化のための更なる制度整備を 行う。さらに、運航管理システム設計等に関する運航管理技術の研究 開発や福島ロボットテストフィールド等を活用した機体の安全性能 を評価する手法の実証等を行う。
(モビリティデータの連携)→「地理空間情報活用推進基本計画」(令和4年3月 18 日閣議決定)を踏 まえ、自動運転やドローン等での安全な運行に必須となる高精度な実 空間の位置情報を統一的な基準で一意に特定できる「4次元時空間 ID」 について、2024 年中に、その運用等に関するガイドラインを改定し、 普及を進める。また、国土地理院が提供する立体地図について、2028 年度までに、衛星測位により得られた位置情報が補正され、高頻度で 更新される国土全体の3次元地図として整備し、順次提供する。
地域交通)→改正地域交通法に基づき、ローカル鉄道の再構築に向けた協議会の設 置や実証の実施、バス等のエリア一括での協定に基づく運行の実施等 を着実に行う。また、MaaS、自動運転技術の活用等のほか、地域医療 等との連携も進めながら、地域公共交通ネットワークのリ・デザイン を加速する。
(遠隔医療)→オンライン診療を受診することが可能な場所や条件に関する方針について 2023 年中に検討し、2024 年度末までに当該方針を踏まえ、郵便 局等の身近な場所でのオンライン診療の実証を行う。また、2025 年度 までエビデンス収集・構築の進め方に関する調査・研究を行う。
(教育環境の整備)→ ・教育の質の向上に向けて、学校における働き方改革、処遇の改善、学 校の指導・運営体制の充実を一体的に進めるため、2022 年度の「教員 勤務実態調査」の結果等を踏まえ、「学校における働き方改革」を更 に加速化し、学校の指導・運営体制の効果的な充実等を行うとともに、 教師の処遇改善について検討を行い、結論を得て、所要の措置を講ずる。・2022 年度に行った「サード・プレイス」に関する実証結果を踏まえ、 引き続き、学校内外を通じた学びの環境整備に向けた実証を行い、優 良事例を横展開する。
(地域中小企業等の成長支援)→・「中小企業活性化パッケージ NEXT」や「コロナ資金繰り支援継続プロ グラム」に基づく株式会社日本政策金融公庫・沖縄振興開発金融公庫 の低利融資、資本性劣後ローン、セーフティネット貸付での金利引下 げの実施状況等を踏まえ、ウクライナ情勢や原油価格上昇等の経営環 境の変化や事業者のニーズに対応した資金繰り支援を徹底して行う。 ・中小企業・小規模事業者の設備投資・IT導入・販路開拓・事業承継 の支援において、生産性向上に伴う賃上げ原資の確保の配慮を引き続 き行う。 ・REVIC において、新型コロナウイルス感染症等の影響を受けた、観光 地の再生や宿泊業などにおける事業再生支援を強化するため、民間の 再生ファンド等へのLP出資や対応職員増による支援体制の強化等 を行う。 ・地域金融機関による事業者支援を活性化させるため、2023 年度中に、 多くの事業再生支援の実績がある REVIC から地域金融機関への知見・ ノウハウの提供を重点的に行う。また、引き続きAI等を活用した支 援方法の研究を行い、成果普及を進める。 ・2023 年度に、ソーシャルビジネスを支援する中間支援団体による社会的インパクトの計測を伴うモデル実証を行うとともに、社会的インパ クトの評価方法等を検討し、2023 年度中に結論を得て、所要の措置を 講ずる。 ・地域経済牽引事業の促進に必要な事業環境整備に関する事項において、 地域における重要産業のサプライチェーンの構築・強靱化、GX・D Xの促進、人材の確保等を新たに位置付けるため、2023 年夏を目途に、 地域未来投資促進法に基づく基本方針を改定する。あわせて、新方針 を踏まえた地方公共団体等による基本計画の策定づくりを支援。・地域企業のDXを支援するコミュニティ組織を全国に整備するため、 未整備地域でのコミュニティづくりを支援する。あわせて、セミナー 開催、専門家派遣、人材育成の委託等を行う。
(インフラの整備)→広域的・戦略的なインフラメンテナンス、インフラDX、コンパクト・ プラス・ネットワークの取組等を進める。
(道路システムのDX)→2027 年度までを目途に、道路利用者の安全性・快適性の向上のため、 交通状況の観測体制をAI・ビッグデータ等を活用した常時観測する 体制へ移行させる等道路システムのDXに、引き続き取り組む。
(循環経済への移行や自然との共生)→・2030 年までに陸域・海域の 30%以上を保全地域とする国際目標(30by30)の達成のため、自然資源管理が適切になされ生物多様性保全に貢献する取組の認定・評価のための措置等について検討し、2023 年度中に結論を得て、所要の措置を講ずる。 ・2025 年度までに気候変動が企業の事業活動に及ぼすリスクの具体的 な評価手法を取りまとめ、気候変動適応ビジネスを展開・評価をしよ うとする企業・投資家に情報提供。・2023 年4月のG7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合の成果等を踏まえ世界のプラスチック汚染対策を加速させる条約策定の議論を積極的に進める。・2023 年度に、リチウムイオン蓄電池の使用製品に関するガイドライン の策定や、選別・解体・リサイクル技術の開発・導入の支援を重点的 に行う。
(地域・くらしの脱炭素化)→・地域・くらしの脱炭素化を進めるため、交付金の拡充や株式会社脱炭 素化支援機構による出資等を行うとともに、温対法の地域脱炭素化促 進事業の更なる促進のための方策について検討し、制度的対応を含め、 2023 年度以降所要の措置を講ずる。また、「脱炭素につながる新しい 豊かな暮らしをつくる国民運動」を通じ、国民・消費者の行動変容・ ライフスタイル変革等を促すため、グリーンライフ・ポイントやナッジの活用等も含めたロードマップを 2023 年度中に策定する。
(林業の成長産業化)→・森林経営管理の現況や近年の木材需給状況等を踏まえ、私有人工林の 集積・集約化の加速やこれに併せた国産材の安定供給、再造林の推進、 林業の担い手の育成のため、森林経営管理制度における方策について 検討を行い、結論を得て、2024 年度末を目途に所要の措置を講ずる。・違法伐採木材等の流通を抑制するため、流通する木材等の合法性を確 認するためのチェックリストを速やかに策定し、その普及を行う。ま た、2024 年度までを目途に、流通木材等の合法性の確認、記録・保存、 伝達のためのシステムを構築する。 ・「デジタル林業戦略拠点」を創出するため、専門家派遣等を行う。 ・2022 年度に実証した民有林の森林資源情報の公開手法も踏まえつつ、 2023 年度中に、航空レーザ計測で取得する高度な森林資源情報につい て公開方法を決定し、2024 年度から公開を開始する。 ・外国人材を含む林業の担い手の技能評価の仕組みを検討し、結論を得 て、2024 年度を目途に所要の措置を講ずる。・改質リグニン等木質系新素材について、化石資源由来のプラスチック 代替としての利活用の方策を検討し、2023 年中に結論を得る。また、その利活用に向けた技術開発・実証を行う。 ・家畜疾病や病害虫の侵入・まん延対策を迅速・適切に実施するため、 2023 年度に水際対策のデジタル化や、迅速な病害虫発生予察情報の提 供、農場の飼養衛生管理情報等を共有し分析するシステムの開発を行 う。また、魚病や家畜の遠隔診療の普及を支援する。 ・2023 年度中に、ほぼ全ての市町村で eMAFF 地図での農地台帳・水田台 帳の農地情報の紐付けを完了させる。
(水産業の成長産業化)→・2023 年度に「デジタル水産業戦略拠点」において、専門家派遣や研修 会の開催等を支援する。また、2022 年度に指定した海業振興モデル地 区へ専門家派遣等を行い、海業振興の先行事例を創出し、その普及を 行う。・瀬戸内海において、2023 年度に栄養塩類供給の管理方策を提案する。 また、東京湾及び伊勢・三河湾において、2023 年度から海域ごとの実情に応じ、底層環境の改善や栄養塩類と水産資源の関係解明に向けた 調査を行うとともに、関係解明を進め、水環境管理方策を提案。 ブルーカーボンの活用に向けて、藻場・干潟の保全を引き続き行う。
(都市の競争力向上)→・良好な都市環境の形成に必要な都市緑地の確保や機能増進等を推進するため、民間事業者による都市再開発と一体となった緑地整備等の取 組を評価する制度の創設等について検討し、2023 年度中に結論を得て、 所要の措置を講ずる。 ・地域の住宅団地の再生による「多世代・多機能のまち」を創出するた め、市町村の再生事業計画案を住民、民間事業者等が提案する仕組み や小規模店舗等日常生活に必要な施設の建築制限を緩和すること等を検討し、2023 年度中に結論を得て、所要の措置を講ずる。・マンションの長寿命化や円滑な再生を更に進めるため、区分所有者以 外の者によるマンションの管理を円滑に進めること等について検討し、2023 年夏頃に結論を得て、マンション標準管理規約の改定等を行う。 ・改正空家等対策特別措置法に基づき、空き家の重点的活用が必要な区 域の指定による用途変更や建替えを促すとともに、指定民間法人を通 じて子育て世帯等向けの空き家活用支援を行う。また、適切な管理がされていない空き家に対する指導・勧告を徹底し、その適切な管理の 確保を促す。さらに、地方公共団体での空き家・空き地バンクや相談 窓口の一元化等により、所有者不明土地等対策と空き家対策を一体 的・総合的に進める。
(国土強靱化、防災・減災)→・線状降水帯対策として水蒸気観測機器の整備等を引き続き重点的に行 い、2024 年中に線状降水帯の発生可能性に関する情報提供を県単位で 開始する。また、2024 年度までに気象防災アドバイザーを各都道府県 に5名以上配置する等地域の気象防災支援体制を拡充する。 ・無電柱化推進計画に基づき、既設電柱の占用制限を 2023 年度から開 始し、既設電柱の計画的な撤去を進める。 ・港湾の強靱化等のため、多様な関係者が連携・協働した防災・減災計 画の策定や災害時における物流ネットワークの早期復旧に向けた広 域調整を行う協議会の設置等の制度整備について検討し、2023 年度中に結論を得て、所要の措置を講ずる。 ・防災DXの推進のため、2024 年度に運用を開始する次期総合防災情報 システムを中核に各省庁等のシステムとの連携を強化し、2025 年度までに災害情報を一元化する防災デジタルプラットフォームを構築す る。
(建設業の処遇改善)→建設資材価格の変動への対応や、建設業での処遇改善のため、契約当 事者間でのリスク分担が適切に担保された請負契約締結の推進、建設 キャリアアップシステムを活用した施工体制の見える化、現場技能者 への賃金支払の適正化等に向けた方策を検討し、2023 年度中に結論を 得て、所要の措置を講ずる。
(所有者不明土地等対策)→「所有者不明土地等対策の推進に関する基本方針」(令和5年6月6日 所有者不明土地等対策の推進のための関係閣僚会議決定)に基づき、「土地基本方針」(令和3年5月 28 日閣議決定)の改定に向けて検討 を行う。あわせて、地籍調査や登記所地図作成の見直し、海外居住者 に係る不動産登記情報の適正化についても検討し、2023 年度中に結論 を得て、「土地基本方針」の改定等所要の措置を講ずる。さらに、区分 所有法制において、マンションの建替え決議での多数決要件を緩和すること等を検討し、2023 年度中に結論を得て、所要の措置を講ずる。

2.「企業の海外ビジネス投資の促進」関連 ↓
(日本企業の海外展開・ビジネス展開の促進
)→・これまで輸出に積極的ではなかった中小企業等が輸出を開始し、海外市場を開拓することを促すため、「新規輸出1万者支援プログラム」に 基づく支援を着実に実施する。また、同プログラムの成果を検証し、 より効果的に取り組む。 ・人権デュー・ディリジェンスの確保のため、G7専門家ネットワーク による情報交換等により、G7各国との連携を加速させる。また、「責 任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」 の企業向け研修や周知・広報等を行うとともに、民間における苦情処 理メカニズムの創設等を支援する。あわせて、国際機関と連携・協力 しつつ開発途上国の労働環境の向上を支援する。 ・東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)のデジタルイノベーシ ョン・サステナブルエコノミーセンターを 2023 年中早期に設置する。 あわせて、アジア地域大でのデータ共有・連携基盤及びルールの整備 を我が国が主導して行う。 ・引き続き、在外公館での現地のインフラや法務、農林水産物輸出促進 の専門家を通じた企業支援を強化し、海外ビジネス支援が必要な国・ 地域で受けることができる体制を速やかに確立する。 ・海外の仲裁関連機関と連携した国際仲裁の研修や周知・広報等を行う。 また、日本法令外国語訳の提供のため、AI翻訳を早期に導入し、2025 年度までに 1,000 本以上の英訳法令等の公開を進める。
(クールジャパン) →・「知的財産推進計画 2023」のクールジャパン戦略に基づき、飲食、観 光、文化芸術、イベント・エンターテインメント等のクールジャパン (CJ)関連分野で、埋もれた日本の魅力の発掘等に重点を置き、輸 出とインバウンドの好循環の構築、デジタル技術を活用した新たなビ ジネスモデルの確立等を行う。 ・メディア・コンテンツの海外展開のため、2024 年までに、放送番組等 の海外取引のためのオンライン基盤を構築するとともに、コンテンツ 制作・流通でのデジタル技術の活用や海外事業者との連携等を支援す る。また、日本のデザイン資産を活用できる基盤を整備する。 ・2022年度の企業によるアート投資を促す仕組みについての検討結果を 踏まえ、2023 年度に同仕組みを用いて 10 例程度の事例で実証する。
(インフラシステム海外展開) →・「インフラシステム海外展開戦略 2025(令和5年6月追補版)」に基 づき、デジタル技術を活用したインフラシステム案件の組成、デジタ ル技術の特性を踏まえたソフトインフラ等の海外展開等を支援する。 また、PPP の活用や民間資金と連携した国際協力銀行等の出融資強化、 17 日本貿易保険の保険対象の拡大等を行う。 ・2023 年3月に発表した「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)のため の新たなプラン」に基づき、「平和の原則と繁栄のルール」、「インド太 平洋流の課題対処」、「多層的な連結性」、「海から空へ拡がる安全保障・ 安全利用の取組」を柱に FOIP 協力を拡充する。また、FOIP 協力を推 進するためのアプローチとして、「開発協力大綱」(令和5年6月9日 閣議決定)に基づき、オファー型協力の強化等を行う。

次回はこの続き「X.「日本の魅力を活かしたインバウンドの促進」関連のフォローア ップ」からです

令和5年第9回経済財政諮問会議・第20回新しい資本主義実現会議合同会議 [2023年07月08日(Sat)]
令和5年第9回経済財政諮問会議・第20回新しい資本主義実現会議合同会議(令和5年6月16日) 
≪議事≫(1) 新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2023 改訂版案等 (2) 経済財政運営と改革の基本方針 2023(案)
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2023/0616/agenda.html
◎資料1 新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2023 改訂版案
◎新しい資本主義の グランドデザイン及び実行計画 2023改訂版 基礎資料集
○1人当たり実質賃金の伸び率の低さ
→先進国の1人当たり実質賃金の推移を見ると、1991年から2021年にかけて、米国は1.52倍、英 国は1.51倍、フランスとドイツは1.34倍に上昇しているのに対して、日本は1.05倍にとどまる。
○職務別の内外賃金格差→我が国と他の先進国等では、同じ職務であるにもかかわらず、著しい賃金差が存在し、特に高いスキル が要求される分野(IT、データアナリティクス、プロジェクトマネジメント、営業/マーケティング、技術研究、 経営・企画等)⇒その差が著しい。 日本企業と海外企業との賃金格差が大きいため、職務毎の賃金格差解消が不可避。ポストコロナの 人材不足の中で、日本企業から人材が奪われつつある危機的状況。 年功賃金での対応は難しく、この賃金格差を無くすため、雇用制度の見直しが求められている。
○在職者の学び直しに対する支援策の現状→日本の在職者向けの学び直し支援策は、資金の提供ルートとして2種類が存在。企業を通じた支援と、個人への支援。 日本の在職者向けの学び直し支援策は、企業を通じた支援が年間771億円で全体の75%を占め、 個人への直接支援は年間237億円で全体の25%を占める。 また、個人への直接支援は、過去5年間での伸びも限定的。労働移動の円滑化のためには、企業経 由が中心となっている在職者支援を、個人経由中心に見直す必要があるのではないか。この際、拡大する個人経由の支援に当たっては、キャリアコンサルティング等を受けていただく必要があるのではないか。
○リ・スキリングと職種間の移動→デンマークでは、適用可能性が高いスキルについてリ・スキリングを行った場合(一般的な資格、クラス ルームでの教育など)、求職者の新たな雇用は、元の職種以外の職種での雇用増加が多く、成長分 野への円滑な移動が行いやすい。
○スキル差と対比した賃金差→同じ国の中でも、他の先進国においては職務に求められるスキルに応じた賃金差がある。例えば、IT、 データアナリティクス、プロジェクトマネジメント、技術研究といった高いスキルが要求される職種は高い賃 金を獲得できている。これに対し、日本企業は、獲得したスキルに応じた賃金差が小さく、スキルの高い人材が報われにくい制 度となっている。
○リ・スキリングについての賃金助成の効果→デンマークにおいては、リ・スキリングを企業が行わせた場合、企業に対する賃金補助を行うことになっている。 この賃金補助は、企業がリ・スキリングを従業員に行わせる強いインセンティブとなっている。実際のところ、訓練コースの参加者数(食品衛生検定、仕事と教育のための自己啓発等)の推移を 見ると、政府が2011年2月にこの賃金補助を20%削減したところ、参加者数が激減した。すなわち、賃金助成は、リ・スキリングの受講者数と強い相関があることが分かっている。我が国の場合、 雇用調整助成金の給付要件に必ずリ・スキリングを行うことが要件となっているわけではない。
○従来の日本のメンバーシップ型雇用とジョブ型人事(職務給)の違い→従来の我が国のメンバーシップ型の雇用制度においては、採用は新卒一括採用中心、異動は従業員 の意向ではなく会社主導。企業から与えられた仕事を頑張るのが従業員であり、将来に向けたリ・スキリ ングが活きるかどうかは人事異動次第。構造的な賃上げの基礎となる従業員の意思による自律的な キャリア形成が行われにくいシステム。 個々の職務に応じて必要となるスキルを設定し、スキルギャップの克服に向けて、従業員が上司と相談 をしつつ、自ら職務やリ・スキリングの内容を選択していく制度に移行する必要。
○生成AIの使用による生産性の向上→レポートや電子メールなどのタスクについて、MITの研究者による実験によると、生成AIを用いた場合を 生成AIを用いない場合と比較すると、@作業時間が大幅に短縮され、Aタスクの質も向上した。
○生成AIの使用による人による差の縮小→同じくMIT研究者の実験によると、タスクの質も所要時間も生成AIを使用すると改善するだけでなく、 人による差が小さくなり、均質となることが見て取れる。
○生成AIの使用による仕事にかけられるウエイトの変化→生成AIの使用により人間が仕事に費やす時間のウエイトが大きく変化する。 生成AIを使用しない場合は、ブレインストーミング(brainstorming)に25%、下書きに50% (rough drafting)、編集(editing)に25%の時間を費やす。生成AIを使用すると、ブレインス トーミングや下書きにかける時間が大幅に減少し、仕上げの編集にかける時間に多くの時間を割けるよう になっている。
○開業率の推移の比較→日本の開業率は米国や欧州主要国と比べ、低い水準で推移し、2021年で4.4%。「スタートアップ育 成5か年計画」の着実な実行が不可欠。
○廃業率の推移の比較→日本の廃業率も、米国や欧州主要国と比べ、低い水準で推移し、2021年で3.1%。
○起業を望ましい職業選択と考える人の割合→中国では79%、米国では68%であるのに対し、日本 は25%。先進国・主要国の中で最も低い水準にある。
○ストックオプションの普及状況→○ 日本でIPOしたスタートアップの97%がストックオプションを活用。他方、スタートアップ側から見た場合、法制面の課題や、税制適格ストックオプションの要件が限定的過 ぎるといった課題が指摘されている。発行株式全体に占めるストックオプションの割合は、日本では10%に留まるが、米国では15%〜17% となっており、活用を拡大する余地がある。
○ストックオプションに関する法制度→ストックオプションの発行に際し、日本と米国では、取締役会で決定できる事項・決定を許される期間に 違いがある。日本では、株主総会で決定された範囲内で、ストックオプションの発行数を決定できるが、株主総会か ら1年以内に限定される。また、ストックオプションの権利を行使し、株式として取得する際の価格(権 利行使価格)や権利行使が可能な期間は決定できない。
○経営の再起に向けた再生・倒産に関する国際比較(2022年)→OECDは、事業再生や倒産に関連した再起のしやすさについて、指標を設定し、定期的に各国の現状 を評価。日本は、再起が相対的には難しいとの評価で、特に早期の診断等による倒産予防の評価が悪い。
○事業活動を停止する企業→黒字企業の割合が年々減少し、足下では 6割を下回る。逆に赤字企業の割合は増加している
○企業経営の継続に関する相談→後継者のいない企業が、事業の継続に関して相談した先は、顧問の税理士等が多く、支援実施機関 (事業引継ぎ支援センター、よろず支援拠点)の割合は、3.8%にとどまっている。中小企業支援の総合的な窓口は、全都道府県に設置された、よろず支援拠点が担っているが、事業 承継や廃業の相談は、1.8%にすぎない。事業に問題を抱えたときの相談機能の全国的な強化が大きな課題。
○企業における債務の過剰感→「債務の過剰感がある」と回答した企業の割合は、大企業で 16.2%、中小企業で33.0%
○債務による企業の事業再構築の取組への影響→債務の過剰感があると答えた企業のうち、債務が事業再構築の足かせになっている企業の割合は、大 企業で30.9%、中小企業で35.1%
○企業が事業再生の際に重視する点→私的整理手続を活用して事業再構築を検討する可能性があると答えた企業に対し、事業再構築を 目的に私的整理を検討する上で重視する点を聞いたところ、手続が現在の事業・取引に影響を与え ないこと(72.6%)、手続が多額の費用を要しないこと(67.5%)、手続が簡潔で長期間を要しな いこと(43.2%)、が重視されている。
○海外における私的整理・事業再生制度の概要→欧州各国においては、全ての貸し手の同意を必要とせず、裁判所の認可のもとで多数決により権利変 更(債権カット等)を行い、事業再構築を行う制度が存在するが、我が国には存在しない。制度の検 討が必要ではないか。
○経営者保証の提供→経営者保証ガイドラインにおいては、金融機関は、@法人と経営者の一体性の解消、A法人のみの資 産・収益力で借入を返済できる財務状況、B金融機関への適切な情報開示、という要件が満たされ る場合には、経営者保証を求めない可能性を検討する、と定められている。 経営者保証が付いている融資の割合は徐々に減少しているものの、引き続き、民間の新規融資のうち 7割で経営者保証が付いている。
○経営者保証の課題→中小企業の経営者にアンケートを採ったところ、経営者保証が経営に与えるネガティブな影響として、早 期の事業再生への着手が遅れてしまう、という声が半数近くを占める。
○起業の動機
→国内のスタートアップにおいて、起業の動機は「社会的な課題を解決したい、社会の役に立ちたい」が筆 頭
○家計金融資産の構成の国際比較→日本の家計金融資産は現預金が過半を占め、欧米と比較して有価証券の占める割合が低い。
○NISAの利用状況
→NISA制度の開始以来、着実に利用者数が増加し、現在は1,779万口座と国民の7人に1人が保 有。額で見れば、一般NISAの割合が大きい。
○アドバイスを受けることでの金融商品の購入意欲→「あなたの立場に立ってアドバイスしてくれたり、手続きをサポートしてくれる人がいたら、リスク性金融商品 を購入したいと思うか」というアンケートに対し、20代で5割、30代で4割、全体平均では25%程度が 「購入したいと思う」と回答。

次回も続き「資料2 成長戦略等のフォローアップ案」からです。

令和5年第9回経済財政諮問会議・第20回新しい資本主義実現会議合同会議 [2023年07月07日(Fri)]
令和5年第9回経済財政諮問会議・第20回新しい資本主義実現会議合同会議(令和5年6月16日) 
≪議事≫(1) 新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2023 改訂版案等 (2) 経済財政運営と改革の基本方針 2023(案)
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2023/0616/agenda.html
◎資料1 新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2023 改訂版案
[.経済社会の多極化
1.デジタル田園都市国家構想の実現↓
(1)デジタル田園都市国家の実現に向けた基盤整備・中山間地の生活環境改善↓

@規制・制度の一括改革と実証事業の実施→デジタル臨時行政調査会において、@)目視規制、A)実地監査規制、B)定期 検査・点検規制、C)常駐・専任規制、D)書面掲示規制、E)対面講習規制、F) 往訪閲覧・縦覧規制、の7項目のアナログ規制等について、集中的に改革を実施す る。 見直し方針・工程表に基づき、既存の規制・制度をデジタル技術で代替可能か検 証を要する規制(1,000件)について、早期に検証を行う。その結果も踏まえ、来春 を目途に7項目のアナログ規制等に関する法令(1万条項)及び通知・通達等(2,500 条項)について、法令改正等の見直しを実施する。また、行政手続等についてデジ タル完結に向けた2025年度までの工程表を作成し、実施する。 また、デジタル田園都市国家構想を先導することが期待されるスーパーシティ及 びデジタル田園健康特区の取組を推進する。
A光ファイバ・5G等のデジタルインフラの整備 光ファイバについて→2027年度末までに世帯カバー率99.9%を必達目標とし、更に必要とする全地域の整備を行う。 また、本年度中に「GIGAスクール構想」に資する通信環境の整備を目指すととも に、自治体設置の光ファイバ設備(150万世帯以上)について、要望がある場合には、円滑かつ計画的に民間設置に移行できるよう支援。 5Gの整備⇒2030年度末に人口カバー率で99%の整備を必達目標とし、 条件不利地域での基地局整備を支援する。また、居住地域だけでなく、インバウン ド対応や産業利用、防災の観点から、主要道路等の非居住地域についても基地局を 整備する必要があるため、これを支援する。 通信事故時の迅速な他社回線への切替えも課題である。携帯電話サービス停止時 に、他社の基地局を利用できる仕組みについて、2025年度内の社会実装を目指す。 設置した地域協議会を活用し、地域におけるデジタル基盤のインフラ整備とデジ タル実装のマッチングを進める。
Bデジタルによる中山間地の生活環境改善→中山間地域では、人口減少や高齢化が急速に進行しており、集落単体では農用地 等の維持・管理と農業生産活動の継続のみならず、集落機能の維持も困難になる集落が増加している。こうした社会課題の解決や地域の活性化を図るため、複数の集 落機能を補完する農村型地域運営組織(農村RMO:Region Management Organization)等 がスマート農機を活用した農用地の保全管理やICTを活用した買い物支援等に取り 組む地域に対する支援を行う。
C交付金を活用した優良事例の横展開の加速→計画的な地方のデジタル技術の実装のため、意欲のある自治体が民間事業者と連 携して行うハード・ソフト事業を支援するため、デジタル田園都市国家構想交付金 を創設した。本交付金により、地域課題解決を加速しつつ、優良事例を当該自治体 の取組のみに終わらせず、他自治体への横展開へとつなげていく。 自治体の取組のうち、申請受付・窓口業務のオンライン化等について、国による サービス・システムの共通化、標準的な仕様・要件の策定等の取組を併せて図る。
DDigi田甲子園の継続・強化→地域における未来サービスの先駆事例を発掘・横展開するため、地方自治体・企 業・国民の参加の下、優れた取組を表彰する「Digi田甲子園」を継続・強化する。 Digi田甲子園の事例を含むデジタル実装の優良事例を利用者目線で分かりやすい形 で紹介することで、全国津々浦々でのデジタル実装の横展開につなげるとともに、 2025年の大阪・関西万博等の機会も捉えつつ、国内外に向けた発信を強化する。
Eデジタルリテラシーの向上→高齢者を含めた全国民の基礎的なデジタルリテラシー向上のため、公民館等の社 会教育施設や小・中学校等の場を活用し、デジタルリテラシー向上のための講座を 実施する自治体への補助について、本年度中に100万人の受講を達成する。 また、携帯ショップ等において、デジタル推進委員等が講師となって行うスマー トフォンの利活用法に関する講習会について、携帯ショップのない地域でも地元企 業や自治体と協力して講習会を実施し、年間50万人の受講を達成する。
Fデジタル人材の育成→地域が抱える課題の解決をけん引するデジタル人材について、来年度末までに年 間45万人を育成できる体制を段階的に構築し、2026年度までに合計330万人を確保 する。このため、大学生・高等専門学校生の育成(年17万人)、社会人等のスキルア ップ支援(年13万人)、職業訓練等(年13.5万人)などの各領域において具体的な育成 計画を定め、フォローアップを行う。 特に、教員確保に課題を抱える大学・高等専門学校があること、社会人向けの教 育コンテンツが限られていること、職業訓練の中でのデジタル関連講座の開講が都 市部に偏在していることを踏まえ、大学・高等専門学校でデジタル教育を担う教員 確保のための実務家の導入、オンラインを活用した社会人向け教育コンテンツの提 供・充実、職業訓練の中で各地の産業・雇用特性に応じたデジタル関連講座の強化 を図る。また、地域におけるDXを推進するため、自治体におけるデジタル人材の 確保・育成を進める。 G地域を支える人材のマッチング 地域企業の成長に不可欠な人材ニーズを満たすため、大企業人材プラットフォームを活用し、地域金融機関によるマッチングを強化する。
(2)デジタル田園都市国家を支える地域交通、ヘルスケア、教育の整備→@自動運転の社会実装(技術が成熟しつつある低速・定路線のバス等から速やかに自動運転の社会実装を 進め、2025 年目途で全都道府県での自動運転の社会実験を実現すべく、官民連携 で導入に取り組む事例を後押しするとともに、MaaS(Mobility as a Service)の社会 実装を推進。あわせて、ロボットタクシーの社会実装を進める。
A交通インフラの整備・地域公共交通のリ・デザイン
B地域包括ケアシステムの整備→平均寿命が延伸する中、身体寿命と健康寿命とのバランスを取ることが重要であ る。高齢者自らの意思に沿って、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に 確保される体制(地域包括ケアシステム)を実現し、高齢者が可能な限り住み慣れた 地域で、暮らしを続けられる環境を整備する。具体的には、団塊の世代が全員75歳 以上になる2025年までに地域包括ケアシステムを完成させることを目指し、医療・ 介護等における取組を進める。 介護サービス事業者の介護ロボット・ICT機器の開発や導入を推進し、生産年齢 人口が減少する中でも、介護現場の生産性向上や職場環境の改善を図る。介護離職 の防止の観点から、高齢者それぞれのニーズに沿ったサービスを柔軟に組み合わせ られるようにし、高齢者側の生活改善と介護者側の負担軽減の両立を図る必要があ る。介護と仕事の両立の観点も含め、介護保険サービスの提供を阻害することのな いように留意しつつ、介護保険外サービスの活用拡大に向けた取組を進める。
CGIGAスクールの推進
D中堅・中小企業の振興
E地域の課題解決に取り組む事業者への支援
Fフリーランスを含む個人事業主の経営能力の向上
(3)デジタル田園都市国家構想の前提としての安心の確保→@広域交通インフラの整備A物流の2024年問題への対応B持続可能な地域経済社会の実現C国土強靱化、防災・減災投資の加速D空き家の管理・活用。

2.企業の海外ビジネス投資の促進→「海外ビジネス投資支援パッケージ」に基づき、日本が優位性を持つ技術の在外公館を通じた海外でのPRや、商工会議所を通じた支援メニューの広報等、政府ワンチームによる海外ビジネス投資への支援を図るとともに、在外公館等の連携の実績、支援の成功の実績等をベンチマークし、半年ごとに進捗状況をフォローする。

\.日本の魅力を活かしたインバウンドの促進→2025年より早期にインバウンド消費5兆円、国内旅行消費額20兆円を達成する。
(1)コンテンツの整備
→外国人向けのインバウンドの回復に向けた努力を行う。アドベンチャーツーリズ ム等の特別な体験の提供、医療ツーリズムやロケツーリズムも含めた新コンテンツ の創出、高付加価値旅行者の誘客のための集中的な支援を進める。
(2)受入れの円滑化→、空港業務の省力化・自動化や業務 効率化等による航空ネットワークの回復と強化、国際拠点空港の整備、クルーズ再 興に向けた訪日クルーズ本格回復への取組、国際交通機関へのアクセス向上、公共 交通機関や観光地でのキャッシュレス決済の導入等を支援するとともに、伝統芸能 等における外国人対応を進める。さらに、ビザ緩和、入国手続での関係機関の連携 強化、最先端技術を活用した出入国審査の導入等の受入体制の確保や、観光案内拠 点の整備等の外国人対応を着実に進める。 他方、障害者・高齢者等への受入環境整備のため、公共施設等の一体的・総合的 なバリアフリー化等を着実に進める。 加えて、観光客の受入れ増加に伴う混雑・マナー違反等の未然防止に取り組む。
(3)観光地域づくり→複数年度にわたる計画的・継続的な支援策を活用した観光地・観光産業の再生・ 高付加価値化や観光DX等、我が国固有の温泉・旅館・食・文化・歴史等の観光資 源・文化資源の連携による磨き上げを図りつつ、持続可能な観光地域づくりに取り 組む。日本酒・焼酎・泡盛等のユネスコ無形文化遺産への早期登録に取り組む。
(4)文化芸術→ポストコロナのインバウンドを見据え、アート市場の魅力を向上させるため、国 際的なアートフェアの誘致を本格化する。 また、名城等の地域の誇りとなる文化財の災害復興、防火・耐震対策、修理・活 用について、所有者による自助努力では限界があることを踏まえ、本年度中に、官 民連携で支える枠組みを具体化する。 子供の文化芸術鑑賞・体験機会の確保のため、学校や地域の劇場・音楽堂等での 本格的な文化芸術の鑑賞・体験を支援する。さらに、文化芸術教育の改善策につい て検討し、本年度中に結論を得る
(5)スポーツ→コロナの影響を払拭し、スポーツを成長産業としていくために、スタジアム・ア リーナ、スポーツ団体の新たな収益源確保が課題である。スポーツツーリズム、ま ちづくりとの一体化等の地域密着化を進めるとともに、デジタル技術も活用した高 収益化を図る。

].個別分野の取組 ↓
1.宇宙
→防災・減災等に貢献するため、官民連携の下、多数の小型合成開口レーダー(SAR) 衛星が連携するコンステレーションを2025年までに構築すべく、実証事業の推進や 次世代技術等の開発・実証を推進する。また、次期静止気象衛星について着実に整 備を進める。さらに、宇宙光通信ネットワーク、衛星量子暗号通信等の次世代技術 が2030年頃に社会実装できるよう開発・実証を推進する。 H3ロケット等の打上げ失敗に係る原因究明をした上で、信頼性を確保しつつ、 国内外の衛星の打上げを実施できるよう、基幹ロケットの打上げの高頻度化等国際 競争力強化に向けた取組を進める。 他国のGPSに頼らずより精緻な測位を可能とする準天頂衛星システムについて、 7機体制を着実に整備しつつ、11機体制に向けた検討・開発に着手する。 月面での持続的な有人探査を目指すアルテミス計画に参画し、有人与圧月面探査 車の本格的な開発等を進め、米国人以外で初となる日本人宇宙飛行士の月面着陸の 2020年代後半の実現を図る。 宇宙分野のイノベーションを官民連携で加速するため、欧米の宇宙開発機関が、 シーズ研究を担う大学や民間事業者、また、商業化を図る民間事業者の技術開発に 向けて、資金供給機能を有していることを踏まえ、民間事業者等が複数年度にわた る予見可能性を持って研究開発に取り組めるよう、宇宙航空研究開発機構(JAXA) の戦略的かつ弾力的な資金供給機能を強化する。
2.海洋→海洋状況表示システムの掲載情報・機能の充実に当たり、各利活用分野のニーズ をフォローする。特に、洋上風力発電の適地選定に向けたデータの整備を着実に実 施する。また、海洋デジタルツインの構築に向けた全球観測の実施や海洋環境等の シミュレーション技術の高度化等を行う。北極域研究船については、着実な建造を 進めるとともに、就航後の国際連携観測に向けた検討を進める。 排他的経済水域での海洋観測の高度化や、沖縄周辺海域等での海底における熱水 鉱床、メタンハイドレート、レアアース泥等の国産海洋資源の開発を進める。この ため、大深度海域で利用できる自律型無人探査機について、社会実装に向けた戦略 を策定し、小型化、無人化等に対応するための技術開発を行う。 国産海洋資源の開発に向け、必要な技術開発、生産プロセス確立、資源量評価、 環境影響把握等に取り組む。 これらを含め、フロンティアである海洋分野について、複数年度を視野に入れた 海洋開発重点戦略の策定及び予算の確保による予見可能性を持った開発を強力に推 進する。
3.対外経済連携の促進
→CPTPPの市場アクセス・ルールを高いレベルに維持しつつ、英国加入のプ ロセスを引き続き我が国が主導する。RCEP協定の完全な履行確保のための協定参加 国への経済・技術協力支援の強化、IPEF、DFFT、投資協定等の取組において具体的 な成果を目指す。WTOにおける電子商取引交渉等、国際的なルール作りにおいて中 心的な役割を果たす。 DFFTについては、G7広島サミット及びG7群馬高崎デジタル・技術大臣会合で 合意された国際的な議論の枠組みの設立を進めるとともに、官民協働プロジェクト を進める。 世界が直面する諸課題に、国際社会全体が協力して対応していくため、G7が結 束し、いわゆる「グローバル・サウス」と呼ばれる国・地域に対する関与を強化す る。また、これらの国々には、エネルギー・鉱物資源や、サプライチェーンの重要 な一翼を担う国々がある。「グローバル・サウス」でのビジネスを進める企業への 政策支援を強化する。
4.グローバルヘルス(国際保健)→グローバルヘルス(国際保健、ユニバーサルヘルスカバレッジ)分野への民間資金の呼 び込みに向けて、国際保健における民間セクターの役割の重要性を強調することに 合意したG7の成果を踏まえ、インパクト投資の推進に向けた国際連携の枠組みを 構築するとともに、最近取りまとめたインパクト投資の好事例も参考に、健康投 資・栄養対策等の取組事例の普及や投資インパクトの可視化を進める。国際機関等 における日本企業からの医薬品・医療機器等の調達を通じた国際展開及び国際貢献 を後押しするために、国際機関との協力やグローバルヘルス分野での官民連携を加 速する。
5.福島をはじめ東北における新たな産業の創出→本年4月に発足した福島国際研究教育機構における取組を始め、福島イノベーシ ョン・コースト構想を推進する。

Ⅺ.新しい資本主義実現に向けた枠組み
1.フォローアップ
→本実行計画を具体的に推進するため、5年間を目途として作成した工程表に基づ き、毎年度、実行状況についてフォローアップを行い、設定したKPIに沿って、 PDCAサイクルを進めるEBPMを実施する。
2.官と民の連携→新しい資本主義は、官と民がそれぞれ自らの役割を果たすことによって、初めて 実現する。官はこれまで以上に、民の力を最大限引き出すべく行動し、これまで官 の領域とされてきた社会的課題の解決に、民の力を大いに発揮してもらう。

次回も続き「新しい資本主義の グランドデザイン及び実行計画 2023改訂版 基礎資料集」からです。

令和5年第9回経済財政諮問会議・第20回新しい資本主義実現会議合同会議 [2023年07月06日(Thu)]
令和5年第9回経済財政諮問会議・第20回新しい資本主義実現会議合同会議(令和5年6月16日) 
≪議事≫(1) 新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2023 改訂版案等 (2) 経済財政運営と改革の基本方針 2023(案)
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2023/0616/agenda.html
◎資料1 新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2023 改訂版案
X.企業の参入・退出の円滑化とスタートアップ育成5か年計画の推進
1.産業構造の転換と企業の参入・退出の円滑化の必要性
→企業の参入率・退出率の平均(創造的破壊の指標)が高い国ほど、一人当たり経済 成長率が高い。さらに、若い企業(スタートアップ)の方が付加価値創造への貢献度 が高い。他方、我が国の開業率は、米国9.3%、英国12.4%と比べ、4.4%にとどま っており 、廃業率も、米国9.4%、英国11.1%と比べ、3.1%となっている。 GX・DX等の産業構造転換を進め、持続的な成長を確保していくためにも、新 規企業の参入の円滑化に向けて、「スタートアップ育成5か年計画」に定めた人材 育成、資金供給、オープンイノベーションを確実に推進するとともに、企業経営者 に退出希望がある場合のM&A・事業承継・廃業の円滑化に向けた早期相談体制の構 築等に取り組む
2.スタートアップ育成5か年計画の推進
(1)基本的考え方
→昨年11月に取りまとめた「スタートアップ育成5か年計画」では、スタートアップへの投資額を「5年後の 2027 年度に 10 倍を超える規模(10 兆円規模)」とする 目標を掲げた。その実現のためには、同計画の初期に、スタートアップ・エコシス テムの育成に不可欠な法律・税制等の制度面の整備が急務。ストックオプシ ョン制度の他、金融・ファンド法制、研究開発ファンディング、在留資格、税制等 は、スタートアップ・エコシステムを形成する基盤的制度であり、早急な制度整備 が求められる。 昨年11月に策定した「スタートアップ育成5か年計画」に基づき、その後の深掘 りの検討を含め、下記のとおり具体策を実施する。各政策で設定したKPIに沿って スタートアップ担当大臣によりフォローアップを行いながら、官民での大きな方向 性の実現に向けて、努力していく。
(2)目標→現在、8,000億円規模であるが、「スタートアップ育成5か 年計画」の実施により、5年後の2027年度に10倍を超える規模(10兆円規模)とする ことを大きな目標に掲げて、官民一体で取組を進める。
(3)パッケージの方向性→@スタートアップ創出に向けた人材・ネットワークの構築 Aスタートアップのための資金供給の強化と出口戦略の多様化Bオープンイノベーションの推進。 また、農業や医療等のディープテックの個別分野に特化した起業家教育・スター トアップ創出支援に関する取組の強化を図る
(4)スタートアップ創出に向けた人材・ネットワークの構築
→起業を望ましい職業選択と考える人の割合は、中国では79%、米国では68%であ るのに対し、日本は25%と、先進国・主要国の中で最も低い水準。⇒@ストックオプションの環境整備Aメンターによる支援事業の拡大・横展開B海外における起業家育成の拠点の創設(「出島」事業)Cグローバルスタートアップキャンパス構想D米国との連携による起業家育成プログラムの実施Eスタートアップ・ベンチャーキャピタル分野の日米人材交流プログラムの創設F米国経営大学院の日本向け起業家育成プログラムの創設等を含む、アントレプレ ナー教育の強化G1大学1エグジット運動H大学・小中高生でのスタートアップ創出に向けた支援I高等専門学校の起業家教育の強化Jスタートアップ・エコシステム拠点都市での取組強化Kスタートアップ・大学における知的財産戦略L研究分野の担い手の拡大M海外起業家・投資家の誘致拡大N分野の特徴に応じた支援強化・環境整備
(5)スタートアップのための資金供給の強化と出口戦略の多様化→@中小企業基盤整備機構のベンチャーキャピタルへの出資機能の強化A産業革新投資機構の出資機能の強化B官民ファンド等の出資機能の強化C新エネルギー・産業技術総合開発機構による研究開発型スタートアップへの支援 策の強化D日本医療研究開発機構による創薬ベンチャーへの支援強化E研究開発型スタートアップへのファンディングとSBIR制度の抜本強化F海外先進エコシステムとの接続強化Gスタートアップへの投資を促すための措置H個人からベンチャーキャピタルへの投資促進➉株式投資型クラウドファンディングの活用に向けた環境整備J公共調達の促進KSPAC(特別買収目的会社)の検討L未上場株の取引環境の整備M特定投資家私募制度等の見直しN海外進出を促すための出国税等に関する税制上の措置O個人金融資産及びGPIF等の長期運用資金のベンチャー投資への循環P銀行等によるスタートアップへの融資促進P銀行等によるスタートアップへの融資促進Q海外の投資家やベンチャーキャピタルを呼び込むための環境整備R地方におけるスタートアップ創出の強化S福島でのスタートアップ創出の支援㉑2025年大阪・関西万博でのスタートアップの活用㉒有価証券届出書・会社登記等における個人情報の取扱いの見直し㉓海外投資家に対する税制度の利便性向上㉔東京証券取引所グロース市場の在り方㉕ASEAN諸国等との連携強化
(6)オープンイノベーションの推進
→旧来技術を用いてきた企業は新技術を用 いて参入した企業に必然的に負けるとの議論であった。しかしながら、最近の研究 によると、旧来技術を用いてきた企業でもスタートアップと連携等して新技術の導 入を図った場合、持続的に存続可能であることが確認された。オープンイノベーシ ョンを推進するため、以下の取組を実施する。⇒@オープンイノベーションを促すための税制措置等Aスタートアップの労働環境整備B組織再編の更なる加速に向けた検討CM&Aを促進するための国際会計基準(IFRS)の任意適用の拡大DM&Aの成果に関する情報開示の在り方 Eスタートアップ・エコシステムの全体像把握のためのデータの収集・整理F公共サービスやインフラに関するデータのオープン化の推進 G大企業とスタートアップのネットワーク強化

3.事業不振の場合の総合的な支援策と事業再構築・事業承継等を含めた退出の円滑化→日本は、他の先進国に比べて、再起が難しいとの評価で、特に早期の診断、再生手続の有無による評価が悪い。 我が国での休廃業・解散企業の休廃業・解散直前の決算を見ると、黒字企業の割合が年々減少し、足下では5割強に下がっている。他方、赤字企業の割合は増加し、 4割を超えている。 企業経営者に退出希望がある場合の早期相談体制の構築等、退出の円滑化策の検 討も重要ある
(1)企業経営者に退出希望がある場合の早期相談体制の構築等の制度整備→企業経営者が、事業不振の際に、M&A・事業再構築・事業承継・廃業 等の幅広い選択肢について、早い段階から専門家に相談できる体制を、全国にある 中小企業支援実施機関の体制整備も含めて、構築するとともに、企業経営者への早 期相談の重要性について周知徹底を行う。あわせて、親族等に経営を託する事業承 継税制の延長・拡充を検討する。
(2)事業再構築法制の整備→他の先進諸国のように、全ての貸し手の同意を必要とせず、 多数決により金融債務の減額を容易にする事業再構築法制を整備すべきであり、法 案を早期に国会に提出する
(3)企業の事業性に着目した資金調達→企業のノウハウや顧客基盤等の知財・無形資産を含む事業全体 を担保に資金調達できる法制度(「事業成長担保権」)を検討し、早期の法案提出を 目指す。 また、経営者保証に頼らない融資慣行を確立するため、スタートアップの創業から5年未満について個人保証を徴求しない新しい信用保証制度の活用を促進する。 さらに、来春までに、経営者の取組次第で達成可能な要件を充足すれば、保証料の上乗せ負担により経営者保証の解除を選択できる信用保証制度を創設する。

Y.社会的課題を解決する経済社会システムの構築→短期的に企業収益が上がりさえすれば良いという考え方は成り立たない。社会面、 環境面での責任(人的資本・人権、気候変動、ダイバーシティ等)を企業が果たすことが、 事業をサステナブルに維持していくためには不可欠である。個社の短期的収益を重 視する視点から、社会的価値を重視する視点への転換を図り、金銭的リスク・リタ ーンに加え社会面・環境面のインパクトを考えることで、外部不経済を資本主義に取り込み、マルチステークホルダー型企業社会を推進する。 課題先進国といわれる我が国において、社会的課題を解決していく仕組みを経済 社会の中にビルトインしていく。
1.インパクトスタートアップに対する総合的な支援策→@インパクトスタートアップNPO、既存企業の関連部門、投資家等の関係者間の 連携強化のための枠組みの創設Aインパクト投資の案件創出Bインパクトスタートアップに関する教育プログラムCインパクトスタートアップの認証制度・新たな法人形態の検討D推奨企業リストの作成、地方自治体とのマッチング(自治体がインパクトスタートアップのサービスを導入す る際に求める情報や手続等のフォーマットを一元化) E投資に対する支援措置Fふるさと納税・企業版ふるさと納税の活用G休眠預金の活用H国・自治体による成果連動型事業の拡大I公益法人を通じた寄附性の高い資金の流れの拡大Jワンストップ窓口の設置

2.社会的課題を解決するNPO・公益法人等への支援→@公益法人の改革(来年の通常国会に必要な法案の提出) A地域の課題解決に取り組むNPOB孤独・孤立対策に取り組むNPOC地方と都市での人材のマッチング事業。

3.競争当局のアドボカシー(唱導)機能の強化→グリーン・デジタル等、市場が急速に変化する分野を中心に、新たな実態調査を 進め、アドボカシー機能を発揮する。これらの分野の迅速な取引実態の把握のため、 クラウドや情報技術、情報セキュリティ、経済分析等の専門性を有する人材の公正 取引委員会への登用を進める。

4.コンセッション(PPP/PFIを含む)の強化→空港については、新型コロナウイルス感染症のような不可抗力によって費用・損 害が生じる場合の官民のリスク分担の在り方について検討を進め、2026年度までに 3か所について、具体的な方針を決定する。なお、羽田・成田は空港容量の活用・ 拡大に向け、地域との調整を進める。 2026年度までに、バスタ7か所、スタジアム・アリーナ10か所について、具体的 な方針を決定する。スタジアム・アリーナについては、導入構想段階から自治体の 検討を支援する。また、公園、公民館等の身近な施設についてのモデルの形成を支 援する。 林業分野では、新たな樹木採取権の設定に向け、候補地の選定を進める。その際、 案件形成に向けた市場調査・情報収集(マーケットサウンディング)の常時実施、権利 期間(基本は10年)の柔軟化、採取区の複数・同時指定等の対応を行う。

Z.資産所得倍増プランと分厚い中間層の形成→1.資産所得倍増プランの推進→中間層の資産形成の実現に必要な資産運用の高度化を目指し、家計における貯蓄 から投資へのシフトを促進しつつ、資産運用業等の抜本的な改革、コーポレートガバナンス改革等を通じ、家計のより高く安定した投資リターンと企業価値向上を実現する。
(1)基本的考え
方→企業部門に蓄積された325兆円の現 預金を、人・スタートアップ・GX・DXといった重要分野への投資につなげ、成 長を後押しするとともに、我が国の家計に眠る現預金を投資につなげ、家計の勤労 所得に加え金融資産所得も増やしていくことが重要である。 我が国の家計金融資産2,000兆円は、半分以上がリターンの少ない現預金で保有 されており24、年金・保険等を通じた間接保有を含めても、株式・投資信託・債券 に投資をしているのは244兆円、投資家数は約2,000万人にとどまる。 他方、米国や英国では、中間層でも気軽に上場株式・投資信託に投資できる環境 が整備されており、米国では20年間で家計金融資産が3.4倍、英国では2.3倍になっているが、我が国では1.4倍にとどまっているのは、こうした投資環境の違いが背 景にある。 我が国において家計金融資産に占める現預金の割合が欧米諸国に比べて大きいことは、戦後、企業が銀行等の金融機関からの借入れで調達する間接金融が発展してきたことも一因である。貯蓄から投資を実現し、直接金融への転換を推進すること は、ベンチャーキャピタルから資金を調達するスタートアップのエコシステムを構 築する上でも重要であり、企業の成長を支えるリスクマネーを円滑に供給すること にもつながる。 中間層がリターンの大きい資産に投資しやすい環境を整備すれば、家計の金融資 産所得を拡大することができる。また、家計の資金が企業の成長投資の原資となれば、企業の成長が促進され、企業価値が向上。企業価値が拡大すれば家計の 金融資産所得は更に拡大し、成長と資産所得の好循環が実現する。
(2)目標→第一に、投資経験者の倍増を目指す。具体的には、5年間で、NISA総口座数(一 般・つみたて)を現在の1,700万から3,400万へと倍増させることを目指して制度整備 を図る。 第二に、投資の倍増を目指す。具体的には、5年間で、NISA買付額を現 在の28兆円から56兆円へと倍増させる。その後、家計による投資額(株式・投資信 託・債券等の合計残高)の倍増を目指す。
(3)NISA制度→@NISA の抜本的拡充・恒久化ANISA の手続の簡素化B新しい NISA 制度の開始に向けた対応
(4)iDeCo制度→@iDeCo 制度の改革AiDeCo の加入可能年齢の引上げBiDeCo の拠出限度額の引上げ及び受給開始年齢の上限の引上げ
(5)消費者に対して中立的で信頼できるアドバイスの提供を促すための仕組みの創設→来年中 に新たに金融経済教育推進機構を設立し、アドバイスの円滑な提供に向けた環境整 備やアドバイザー養成のための事業として、中立的なアドバイザーの認定や、これ らのアドバイザーが継続的に質の高いサービスを提供できるようにするための支援 を行う。
(6)雇用者に対する資産形成の強化→を活用する場合に企業から雇用者に対して助成を行うこと を後押しする。さらに、企業内に設置される雇用者向けの資産形成の相談の場にお いて、中立的な認定アドバイザーを積極的に活用することを促す。
(7)金融経済教育の充実→企業による社員への継続教育の充実や地方自治体による金融経済教育の実施と 併せて、広く国民に訴求する広報戦略を展開するとともに、学校・企業向けの出張 授業やシンポジウムの開催等、官民一体となった効率的・効果的な金融経済教育を 全国的に実施する。 また、将来の年金受給見込額を簡便に試算できる「公的年金シミュレーター」に ついて、民間サービスとの連携を進展させるため、プログラムを公開する。
(8)世界に開かれた国際金融センターの実現
→海外主要メディアへの広報チャンネル 拡大や、集中的に海外金融事業者を日本に招致する「Japan Week(仮称)」の立ち上 げを含む国内外でのプロモーションイベントの開催等、情報発信を効果的・戦略的 に実施する
(9)金融資本市場の活性化→@スタートアップ支援AESG 債市場等の活性化B人的資本への投資Cコーポレートガバナンス改革DアジアにおけるGX金融ハブの形成E市場インフラの強化F銀証ファイアウォール規制の見直し(顧客ニーズに合った商品・サービスを提供しやすくするなど金融機能の強化に向けた取組を推進する観点から、顧客情報管理や利益相反管理、優越的地位の濫用防 止の実効的な確保等の利用者保護の状況を適切に確認しながら、外務員の二重登録 禁止規制等に関する銀証ファイアウォール規制(金融グループの銀行・証券間で、顧客 の非公開情報を同意なく共有することを禁止する規制)の在り方や必要とされる対応につ き検討を行う。
(10)金融行政・税制のグローバル化→「国際金融ハブ」に向けた税制上の 諸課題について把握し、必要な見直しに向けた対応を行う。
(11)外国籍の高度金融人材を支える生活・ビジネス環境整備→預金口座の開設が円滑に進むよう、引き続き、金融機関の取組を促す等、高度金 融人材を支えるための生活・ビジネス環境整備に取り組む。
(12)顧客本位の業務運営の確保→金融事業者や 企業年金関係者に対して、顧客の最善の利益を勘案しつつ業務を遂行すべき旨の義 務を規定する、金融商品取引法等の一部を改正する法律案を、国会に提出したとこ ろ。顧客本位の業務運営の確保に向け、必要な取組を進める

2.資産運用立国に向けた取組の促進→資産運用会社やアセットオーナーのガバナンス改善・体制強化やスチュワードシップ活動(企業との対話)の実質化、国内外の資産運用会社の新規参入 の支援拡充・競争促進、資産運用力の向上及び運用対象の多様化に向けた環境整備 等を通じて、資産運用業等を抜本的に改革する。 我が国の運用セクターを世界レベルにするため、これらの取組を含む具体的な政 策プランを新しい資本主義実現会議の下で年内にまとめ、国内外への積極的な情報 発信を含めた必要な対応を進める

次回も続き「[.経済社会の多極化」からです。

令和5年第9回経済財政諮問会議・第20回新しい資本主義実現会議合同会議 [2023年07月05日(Wed)]
令和5年第9回経済財政諮問会議・第20回新しい資本主義実現会議合同会議(令和5年6月16日) 
≪議事≫(1) 新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2023 改訂版案等 (2) 経済財政運営と改革の基本方針 2023(案)
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2023/0616/agenda.html
◎資料1 新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2023 改訂版案
T.資本主義のバージョンアップに向けて
1.新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画の改訂の考え方
→昨年6月に閣議決定した「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」に 基づき、この1年の間に、人への投資など、新しい資本主義に関する具体的政策が着実に進展してきた。30 年ぶりとなる高い水準の賃上げ、企業部門に醸成されてきた高い投 資意欲等、これまでの悪循環を断ち切る挑戦が確実に動き始めている。今般「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」 を改訂し、閣議決定を行うものである。 新しい資本主義を通じて、官民が連携し、社会課題を成長のエンジンへと転換す ることで、経済の付加価値を高めつつ、企業が上げた収益を労働者に分配し、消費 も企業投資も伸び、更なる経済成長が生まれるという成長と分配の好循環を成し遂 げ、分厚い中間層を復活させていく。
2.市場の失敗の是正と普遍的価値の擁護→自由と民主主義は、権威主義的国家資本主義からの挑戦にさらされている。
3.「市場も国家も」による課題解決と新たな市場・成長、国民の持続的な幸福実現→新しい資本主義を貫く基本的な思想は、@「市場も国家も」、 「官も民も」によって課題を解決すること、A課題解決を通じて新たな市場を創る、 すなわち社会的課題解決と経済成長の二兎を実現すること、B国民の暮らしを改善し、課題解決を通じて一人ひとりの国民の持続的な幸福を実現すること、である。加えて、男女間賃金格差の是正等を通じた経済的自立等、横断的に女性活躍の基 盤を強化することで、日本経済・社会の多様性を担保し、イノベーションにつなげ ていくことも重要。
4.経済安全保障の徹底→G7広島サミットの成果も踏まえ、戦略的な外交・安全保障や我が国の経 済を強靱なものとする経済安全保障、エネルギー・食料安全保障を推進。

U.新しい資本主義を実現する上での考え方
1.分配の目詰まりを解消し、更なる成長を実現
→中間層が潤うことで、格差の拡大と固 定化による社会の分断を回避し、サステナブルな経済社会を実現。
2.技術革新に併せた官民連携で成長力を確保→創造的なイノベーションと経済成長は、女性、若者、高齢者等が、それぞれの能力と経験を活かせる社会を実現する、人への惜しみない投資により、一人ひとりのス キルを不断にアップデートしていくこと。
3.民間も公的役割を担う社会を実現→新 しい時代にふさわしい公正な競争を確保する競争政策を推進していくこと。

V.人への投資・構造的賃上げと「三位一体の労働市場改革の指針」
(1)三位一体の労働市場改革の指針の基本的考え方
→働き方は大きく変化。GXやDX等の新たな潮流。人口減少による労働供給制約。構造的賃上げを行っていく。これらの改革に、官民を挙げて、大胆に取り組むことを通じて、国際的にも競争 力のある労働市場を作っていく。
(2)目標→三位一体の労働市場改革を進めることで、構造的賃上げを通じ、同じ職務である にもかかわらず、日本企業と外国企業の間に存在する賃金格差2 を、国ごとの経済事 情の差を勘案しつつ、縮小することを目指す。あわせて、性別、年齢等による賃金 格差の解消を目指す。
(3)改革の方向性→三位一体の労働市場改革を進めるに当たり、その前提として、在職中からのリ・ スキリング支援やコンサルティング・助言機能の強化等を含めて雇用のセーフティ ネット機能を確保・拡充していくことが重要であり、民間の力も活用しつつ、官民 一体となったリ・スキリングやマッチング機能の強化が求められる。⇒@〜Bの視点で@〜Bの改革。
(4)リ・スキリングによる能力向上支援→@個人への直接支援の拡充A日本企業の人への投資の強化の必要性B「人への投資」施策パッケージのフォローアップと施策見直しC雇用調整助成金の見直しDデジタル分野等の講座の拡充E給与所得控除におけるリ・スキリング費用の控除の仕組みの柔軟化
(5)個々の企業の実態に応じた職務給の導入→@職務給の個々の企業の実態に合った導入A給与制度・雇用制度の透明性の確保Bいくつかの導入事例 職務給(ジョブ型人事)を導入している企業の導入事例(@)〜E)あり)。
(6)成長分野への労働移動の円滑化→@失業給付制度の見直しA退職所得課税制度等の見直しB自己都合退職に対する障壁の除去C求人・求職・キャリアアップに関する官民情報の共有化D副業・兼業の奨励E非正規雇用労働者等への支援F厚生労働省関係の情報インフラ整備
(7)多様性の尊重と格差の是正→@最低賃金(千円) A中小・小規模企業等の賃上げに向けた環境整備等B同一労働・同一賃金制の施行の徹底C女性活躍推進法の開示義務化のフォローアップDキャリア教育の充実
(8)国家公務員の育成・評価に関する仕組みの改革→企業の労働市場改革を進めるためには、「まず隗より始めよ」の精神で、国家公務員の育成や評価に関する仕組みもアップデートするとともに、こうした動きを地方公務員や独立行政法人等にも波及させていくことが必要。 キャリアパスや求められるスキルについても時代に合わせた再検討が必要。社会問題の複雑化や技術の高度化に伴い、国家公務員には高いスキルや専門性が求められるようになってきている。こうした専門性も踏まえたキャリアパスを意 識させる機会の設定や、制度の立案や現場における一定の経験のような国家公務員がキャリアを積むにつれて備えていく能力の整理等、キャリア形成を支援する取組 を行っていく。 高いスキル・専門性が求められる中では、これに応じたスキルアップを、一人ひ とりの国家公務員が行動に移さなければ意味がない。現在、座学が中心となってい る研修を、例えば参加型の形式のものを増加させる等の必要なアップデートを行う とともに、それぞれの職責において必要とされる研修を受講するよう受講管理を厳 格化する。 また、官民交流の本格化の観点から、官民人材の活用の在り方について検討を進 める。 なお、国家公務員の職歴、身に付けているスキル・専門性、達成した成果や経験 値の管理の在り方について、検討を進める。
(9)三位一体の労働市場改革の指針の関連事項→@フリーランスの取引適正化A男女ともに働きやすい環境の整備(いわゆる106万円・130万円の壁改革) B高等教育費の負担軽減(授業料等減免及び給付型奨学金について、授業料後払い制度について)

W.GX・DX等への投資
1.レジリエンス上の日本の優位性と国内企業立地促進・高度外国人材の呼び込み
(1)国内企業立地促進の考え方と戦略分野
→地方を中心とした国内投資拡大は、良質な雇用を増やし、若者層の結婚・子育て の希望を高めるものであり、少子化対策にも貢献。
(2)戦略分野への対応(半導体、蓄電池、バイオものづくり、データセンター等)→@半導体A蓄電池BバイオものづくりCデータセンター
(3)横断的環境整備→@イノベーション環境・インフラの整備A安定的なサプライチェーンの確保
(4)高度外国人材の呼び込み→言語の壁に加え、行政手続も含めた生活インフラの使いにくさ、税率等の課題が指摘。 こうした課題を踏まえつつ、我が国の強靱性(レジリエンス)という優位性を活かし、高度外国人材の受入れ拡大を進める。 本年4月、新たな在留資格制度として、高度人材の中でもトップレベルの能力のある人材、世界でトップレベルの大学を卒業したポテンシャルの高い若者を対象とした制度を創設。高度外国人材呼び込みに向けた税制や規制等の制度面も含めた課題の把 握・検討を行い、必要な対応を行う。

2.GX・エネルギー安全保障→世界規模で異常気象が発生し、大規模な自然災害が増加する等、気候変動問題への対応は今や人類共通の課題。カーボンニュートラル目標を表明する国・地域が増加し世界的に脱炭素の機運が高まる中、我が国も 2030 年度の温室効果 ガス 46%削減、2050 年カーボンニュートラルの実現という国際公約を掲げ、気候変動問題に対して国家を挙げて対応する強い決意を表明している。 このような中、昨年2月には、ロシアによるウクライナ侵略が発生し、世界のエ ネルギー情勢は一変し、我が国のエネルギー供給体制がぜい弱であり、エネルギー 安全保障上の課題を抱えたものであることを改めて認識することとなった。過去、幾度となく安定供給の危機に見舞われてきた我が国にとって、産業革命以 来の化石エネルギー中心の産業構造・社会構造をクリーンエネルギー中心へ転換する、GXは、戦後における産業・エネルギー政策の大転換を意味する。 周囲を海で囲まれ、すぐに使える資源に乏しい我が国では、脱炭素関連技術に関する研究開発が従来から盛んであり、日本企業が技術的な強みを保有する分野も多 い。こうした技術分野を最大限活用し、GXを加速させることは、エネルギーの安 定供給につながるとともに、我が国経済を再び成長軌道へと戻す起爆剤としての可 能性も秘めている。世界各国のカーボンニュートラルの実現に貢献するとともに、 脱炭素分野で新たな需要・市場を創出し、日本の産業競争力を再び強化することを 通じて、経済成長を実現していく必要がある。 閣議決定した「GX実現に向けた基本方針」に基づき、GXの実現を通して、エ ネルギー安定供給、産業競争力強化・経済成長、脱炭素を同時に実現するための取組を進める。
(1)エネルギー安定供給の確保を大前提としたGXに向けた脱炭素の取組→@徹底した省エネルギーの推進、製造業の構造転換(燃料・原料転換)A再生可能エネルギーの主力電源化 B原子力の活用C水素・アンモニアの導入促進Dカーボンニュートラルの実現に向けた電力・ガス市場の整備E資源確保に向けた資源外交など国の関与の強化Fその他個別分野の取組(次世代自動車、カーボンリサイクル燃料(国産の持続可能な航空燃料(SAF)、合成燃料 (e-fuel)、合成メタン(e-methane)等)、CCS(Carbon dioxide Capture and Storage:二 酸化炭素回収・貯留)等の分野について具体的な取組を着実に進めていく。)
(2)「成長志向型カーボンプライシング構想」の実現・実行→@GX経済移行債を活用した大胆な先行投資支援(規制・支援一体型投資促進策)( 今後 10 年間で 150 兆円を超えるGX投資を官民協調で実現、国 として長期・複数年度にわたり支援策を講じ、民間事業者の予見可能性を高めていく必要がある。そのため、新たに「GX経済移行債」を創設し、これを活用するこ とで、国として 20 兆円規模の大胆な先行投資支援を実行する。) AカーボンプライシングによるGX投資先行インセンティブB新たな金融手法の活用(官民 150 兆円超のGX投資の実現に向けて) C複数社連携における課題への対応
(3)国際展開戦略→アジアにおいては、「アジア・ゼロエミッション共同体」(AZEC)構想の実現に 向けて、再生可能エネルギーを含むクリーンエネルギー・プロジェクトの組成を加 速させる。
(4)社会全体のGXの推進→@公正な移行A中堅・中小企業・スタートアップのGXの推進
(5)資源の効率的・循環的な利用→希少資源・レアアースの確保という経済安全保障上の観点も踏まえ、市場のライ フサイクル全体で資源を効率的・循環的に有効利用する循環経済(サーキュラーエコ ノミー)への移行を産官学で連携して進めるため、動静脈連携、企業の研究開発・ 設備投資等を推進する。

3.食料安全保障→気候変動による食料生産の不安定化や世界的な人口増加等に伴う食料争奪の激化、 食料の「武器化」、災害の頻発化・激甚化等、食料がいつでも安価に輸入できる状 況が続くわけではないことが明白となる等、食料安全保障上のリスクが高まってい る。また、食料・農業・農村基本法の制定から 20 年間が経過する中で、前提となる 社会情勢や今後の見通しが大きく変化している。 こうした環境変化を踏まえ、持続可能で強固な食料供給基盤の確立に向けて、 「食料・農業・農村政策の新たな展開方向」に基づき、施策の具体化を進めるとと もに、食料・農業・農村基本法の改正法案を本年度中に国会へ提出することに向け、 見直しの作業を加速する。
(1)平時からの食料安全保障の確立→@食料安全保障の考え方A輸入リスクの軽減に向けた食料の安定供給の強化B適正な価格形成に向けた持続可能な食料システムの構築C全ての国民が健康的な食生活を送るための食品アクセスの改善D食料安全保障を担保する仕組みの構築(国内の食料供給力の状況や物流を含めたサプライチェーンの状況等を示す様々な 指標を活用・分析することにより、平時から我が国の食料安全保障の状況を定期的 に評価する仕組みを構築する。)
(2)農林水産業のグリーン化→みどりの食料システム戦略の実現に向けて
(3)農林水産物・食品の輸出拡大→農林水産物・食品の輸出について、2030 年5兆円の目標達成に向け、2025 年2兆 円の目標の前倒しでの達成を目指す。
(4)スマート農林水産業→サプライチェーン全体で新技術に対応するための栽培方 法や流通・販売方法の変革を促進する仕組みを構築。

4.AI→生成AIの技術進歩と普及によって、AIがどのようなデータをどのよ うに処理しているのかが分からない、巧妙な偽情報が拡散する等、AIが社会にも たらす不安やリスクへの懸念が世界的に高まっており、安全保障上のリスクも指摘 されている。 そこで、AIに関する国際的な議論、多様なリスクへの対応を進めるとともに、 AIの利用の促進、AIの開発力の強化を図る。
(1)国際的な議論とリスクへの対応→「広島AIプロセス」のスケジュールも念頭に検討し、 対応していく。
(2)AIの利用の促進→政府機関での生成AIの活用。教育現場でも、AIの利用により教育効果が上がり、教員の負担が軽減できる可 能性がある反面、生成AIが宿題に使われる、AIによる生成物か否かの判別が困 難といった喫緊の課題もあることから、教育現場における生成AIの利用に関する ガイドラインを本年夏までに策定する。 生成AIの普及を見据え、AIの基礎知識等、AIリテラシー教育も充実させる。
(3)AIの開発力の強化→作権等に留意しつつ、公的機関が保有するデータを、企業や大学等に対し開発用に アクセス可能とする仕組みを速やかに構築するとともに、AIに対するニーズが大 きい分野のデータを整備する。
(4)政府の検討体制の強化→有識者によるAI戦略会議、関係省庁 によるAI戦略チームを軸に、各省庁が協力しながら政策を立案・推進していく。

5.DX
(1)Web3.0 の推進に向けた環境整備
→暗号資産に係る税制上の取扱いについて、第三者が短期売買目的以外で暗号資産 を継続的に保有する場合を、他の暗号資産の保有と区別して取り扱うことが可能か どうか、法令上・会計上の在り方を含め、速やかに検討する。
(2)ポスト5G、6Gの実現→6Gについては、2030年頃の導入を見据えて、ネットワークから 端末まで全てに光通信技術を活用することで、現在の100倍の通信速度と100分の1 の超低消費電力を実現する技術を確立する。
(3)DX投資促進に向けた環境整備→@デジタル市場の環境整備AサイバーセキュリティBインターネットにおける新たな信頼の枠組みの構築Cデジタルガバメントの推進Dマイナンバーカードの普及・利活用の推進Eデジタル技術を用いた金融サービスの利便性向上Fクレジットカードのインターチェンジフィーの透明化H中小企業等のDXI医療・介護のDXJ建築・都市のDX

6.官民連携による科学技術・イノベーションの推進→権威主義的国家による挑戦も顕在化する中で、最終的な勝者を決めるのは、科学 技術の力である。科学技術・イノベーションには、感染症・地球温暖化・少子高齢 化等、世界が直面する様々な社会的課題を解決する力がある。官民が連携して科学 技術投資の抜本拡充を図り、科学技術立国を再興する。
(1)量子技術→2028年度までに、量子コンピュータと古典コンピュータを統合的に運 用し、エネルギー・食料問題や素材開発・創薬等の複雑な計算を要する具体的なユ ースケースに適用できるようにするため、基盤ソフトウェアを開発する。
(2)健康・医療→@認知症等の脳神経疾患の発症・進行抑制・治療法の開発Aゲノム創薬をはじめとする次世代創薬の推進B再生医療(早期に国会提出)
(3)フュージョンエネルギー・イノベーション戦略→フュージョンエネルギー(核融合エネルギー)について、産学官のコンセンサ スを形成するための枠組みを創設し、スタートアップを含む民間企業や大学におけ る研究開発を強化するとともに、官民連携による投資を促進する。同志国と連携し、 共同研究や安全規制の議論、規格の国際標準化を進める。
(4)国立研究機関による研究開発力の強化→気候変動、安全保障を始めとする科学技術・イノベーションによる解決が求めら れる国家的重要課題には、国立研究機関を中心に、大学や企業が連携し、設備・人 材等の資源を結集して取り組む
(5)大学ファンドによる支援→優良なガバナンスを導入する大学に対し、10兆円規模の大学ファンド で支援
(6)地域中核・特色ある研究大学への支援→地域中核・特色ある研究大学の総合振興のため、それらの大学の強みや特色を伸 ばす取組を支援
(7)国際的な人的ネットワークや研究成果へのアクセスの確保
→公的資金による研究成果へのオープンアクセスの確保を 我が国の方針として示すとともに、G7等の場を通じて研究成果の共有化を進める。
(8)留学派遣・受入れ→2033年までに日本人の海 外留学派遣を年間50万人に拡大することを目指す。このため、日本人の中長期留学 者に対する経済的支援の充実、博士課程人材の派遣促進、高校段階からの留学促進 を図る。 2033年までに、外国人留学生受入れを年間40万人に拡大し、かつ、外国人留学生 の国内就職率を6割(国内進学者を除く)に引き上げる。このため、海外でのイベン ト・説明会など留学生獲得に向けた戦略的な取組を進めるとともに、インターンシ ップを軸とした教育プログラムの促進による留学生支援を行う。
(9)ムーンショット型研究開発→フュージョンエネルギー(核融合エネルギー)の利活用、AIや量子技術を始めと する先端科学技術を活用した農業・食料分野のイノベーション等、社会環境の変化 に伴って出現する新たな課題に対応するため、ムーンショット型研究開発制度等の 充実を図る。
(10)博士課程学生・若手研究者等への支援→挑戦的な研究を行う若手研究者に対し、最長10年間の長期的な研究費を支給。研究に専念できる環境を確保するための措置を一体的 に行うスキーム(創発的研究支援事業)について、研究環境を充実させた上で、着実 に進める
(11)IoTの推進→製造業や農林水産業等の現場でのデータの収集・活用等を通じ、様々な分野にお ける課題解決に向けて、IoTを推進する。
(12)2025年大阪・関西万博
→空飛ぶクルマでの運航サービスの提供 等のほか、PHR(Personal Health Record)の活用や再生医療、スタートアップのビジ ネスコンテスト、日本食文化の魅力発信等を行う。

7.クリエイターへの支援→アニメ・ゲーム・エンターテイメント・漫画・映画・音楽・放送番組等の分野は、 日本の誇るべきコアの1つである。日本は、世界のコンテンツ市場の成長をにらん で、広い意味でのクリエイターへの支援を進めていく。 優れた才能を持つ若手クリエイターを対象に、制作費の支援や、コンテンツ業界 のトップランナーがメンターとなる制度の創設等を通じ、デジタル技術を活用する 次世代のクリエイターの育成・創出を進める。これらを含むクリエイター支援、海 外展開等、新しい資本主義実現会議の下で、官民連携で一体的な施策の検討を行う。 この際、併せてコンテンツ産業の構造改革に向けて具体的アクションを明らかにする。

次回も続き「X.企業の参入・退出の円滑化とスタートアップ育成5か年計画の推進」からです。

令和5年第8回経済財政諮問会議 [2023年06月27日(Tue)]
令和5年第8回経済財政諮問会議(令和5年6月7日)
≪議事≫ 経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)に向けて
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2023/0607/agenda.html
◎資料1 経済財政運営と改革の基本方針 2023(仮称)原案
第1章 マクロ経済運営の基本的考え方
1.本基本方針の考え方↓

・「新しい資本主義」の実現に向けた構造的賃上げの実現や人への投資、分厚い中間層の形成に向けた取組や、GX・DX、スタートアップ推進や新たな産業構造への転換など、官と民が連携した投資の拡大と経済社会改革の実行に向けた基本方針を示す。
・ 少子化のトレンドを反転させるべく、こども・子育て政策の抜本的強化に向けた道筋 を示す。多様性が尊重され全ての人が力を発揮できる包摂的な社会や地域 の中小企業の活力を引き出し特色ある地方創生を実現するための方針を示す。
・ G7広島サミットの成果も踏まえた戦略的な外交・安全保障や我が国経済を強靱なものとする経済安全保障、エネルギー・食料安全保障についての方針を示すとともに、自然災害から国民を守る防災・減災、国土強靱化の推進、東日本大震災等からの復興、 国民生活の安全・安心に向けた方針を示す。
・ その上で、これら政策遂行の基盤となる中長期の視点に立った経済財政運営の方針を示し、令和6年度予算編成の考え方を提示する。
2.環境変化に対応したマクロ経済運営→政府と日本銀行との緊密な連携。
・政府→まずは、輸入物価上昇を起点とした外生的な物価上昇から、賃金上昇や コストの適切な価格転嫁を伴う「賃金と物価の好循環」を目指し、下請取引適正化を始め とする中小企業の価格転嫁対策、最低賃金の継続的引上げに向けた環境整備、適切な労働 市場改革等を進める。あわせて、生産性向上とイノベーション促進に向けた民間投資を引き出す、人 への投資、GXなど社会課題の解決に向けた官民連携投資、さらに海外からの人材や資金の積極的な呼び込み等を通じ、国内投資の持続的な拡大を図る。また、効率化投資の促進 を含め構造的な人手不足の問題の克服に向けた取組を進めるとともに、スタートアップ推 進に向けた取組を抜本強化し、産業構造の転換と経済社会改革を促進。こうして「賃金と物価の好循環」に持続性を確保しつつ、成長力の向上と家計所得の幅広い増加に裏打ちされた消費・国内需要の持続的拡大が実現する「成長と分配の好循環」を目指す。
・日本銀行→賃金の上昇を伴う形で2% の物価安定の目標を持続的・安定的に実現する期待。こうした取組を通じ、今後とも大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を一体的に進めつつ長らく続いたデフレマインドを払拭し期待成長率を高めることでデフレに後戻りしないとの認識を広く醸成し、デフレ脱却につなげていく。
・経済財政諮問会議→財政政策と金融政策のポリシーミックスを含むマクロ経 済政策運営の状況、物価や賃金、分配面も含めた経済の状況、経済財政の構造改革の取組 状況などについて、定期的に検証していく。
3.持続可能な成長の実現に向けた経済構造の強化 ↓
我が国の人口→減少速度が加速しており、今後10年で5%減少した後、50年後(2070年)には現在の7割を切ると見込まれる。このため、異次元の少子化対策に全力で取り組みつつ、本格化する人口減少社会において持続的成長と安心で幸 せを実感できる経済社会を実現できる経済構造を作っていかなければならない。このためにも、「新しい資本主義」の下、新たな行動を実行に移す企業・個人を積極的に後押しすることで、民需主導の持続的・安定的な経済成長を実現する。 こうした状況について、経済活動に伴う収支を示す貯蓄・投資バランスから見ると、我 が国では、バブル崩壊以降、高齢化を背景に家計の貯蓄率は低下傾向にある一方、企業は 投資超過から余剰資金を保有する状態である貯蓄超過となり、政府は大きな財政赤字から 脱却できずにいる。また、企業投資は海外に向かい、交易条件も悪化し、この結果、所得 の流出、賃金の停滞等が生じてきた。 持続的な経済成長を実現するには、女性・高齢者の労働参加や資産所得の拡大等により 家計所得を押し上げ、高齢化による貯蓄率低下圧力を緩和しつつ、スタートアップや生産 性を高める投資、GXを始めとする官民連携による社会課題解決に向けた多年度にわたる 計画的投資の強化等、国内投資の強化が必要。その下で、高い収益・付加価値を実 現させ、企業の投資超過へのシフトを促していく。 こうした民間投資の喚起に併せて、政府による、DXの利活用を通じた行財政の徹底し た効率化や無駄の排除、EBPM(証拠に基づく政策立案)を通じた成果につながる賢い 財政支出(ワイズスペンディング)の徹底、政策の将来にわたる効果を見据えた動的思考 の活用等の取組があいまって、政府の財政赤字が改善していく姿を目指す。また、デジタル社会に対応し大胆に社会変革を進めつつ、変革に即した大胆な行財政改革に取り組む。 経済あっての財政であり、経済を立て直し、そして、財政健全化に向けて取り組むとの 考え方の下、財政への信認を確保していく。


第2章 新しい資本主義の加速
1.三位一体の労働市場改革による構造的賃上げの実現と「人への投資」の強化、分厚い
中間層の形成 →「成長と分配の好循環」と「賃金と物価の好循環」の実現の鍵を握るのが賃上げであり、これまで積み上げてきた経済成長の土台の上に、構造的な人手不足への対応を図りな がら、人への投資を強化し、労働市場改革を進めることにより、物価高に打ち勝つ持続的 で構造的な賃上げを実現する。あわせて、賃金の底上げや金融資産所得の拡大等により家 計所得の増大を図るとともに、多様な働き方の推進等を通じ、多様な人材がその能力を最 大限いかして働くことで企業の生産性を向上させ、それが更なる賃上げにつながる社会を創る。
(三位一体の労働市場改革)
(家計所得の増大と分厚い中間層の形成)
(多様な働き方の推進)

2.投資の拡大と経済社会改革の実行
(1)官民連携による国内投資拡大とサプライチェーンの強靱化
(2)グリーントランスフォーメーション(GX)、デジタルトランスフォーメーショ
ン(DX)等の加速→(グリーントランスフォーメーション(GX)⇒今後10年間
で150兆円超の官民GX投資の実現を目指し)(デジタルトランスフォーメーション
(DX)、AIへの対応)
(3)スタートアップの推進と新たな産業構造への転換、インパクト投資の促進→(スタ
ートアップの推進と新たな産業構造への転換⇒「スタートアップ育成5か年計画」)(インパクト投資の促進)
(4)官民連携を通じた科学技術・イノベーションの推進
(5)インバウンド戦略の展開 →(持続可能な形での観光立国の復活)(高度人材等の受
入れ)(技能実習制度及び特定技能制度の在り方の検討)(国際金融センター等の実現)
3.少子化対策・こども政策の抜本強化 →(加速化プランの推進)(こども大綱の取りま
とめ)
4.包摂社会の実現 →(女性活躍)(共生・共助社会づくり)(就職氷河期世代支援)(孤
独・孤立対策、「居場所」づくりなど)
5.地域・中小企業の活性化 →(デジタル田園都市国家構想と「新時代に地域力をつなぐ
国土」の実現)(「シームレスな拠点連結型国土」の構築と交通の「リ・デザイン」)(個性をいかした地域づくりと関係人口の拡大)(物流の革新)(中堅・中小企業の活力向上)(文化芸術・スポーツの振興)

第3章 我が国を取り巻く環境変化への対応
1.国際環境変化への対応

(1)外交・安全保障の強化
(2)経済安全保障政策の推進
(3)エネルギー安全保障の強化 →ロシアのウクライナ侵略によって国際的なエネルギ
ー市場が混乱する中、我が国では、需要サイドにおける徹底した省エネルギー、製造業の燃料転換などを進めるとともに、供給サイドにおいては、 足元の危機を乗り切るためにも再生可能エネルギー、原子力などエネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の高い電源を最大限活用。
(4)食料安全保障の強化と農林水産業の持続可能な成長の推進 →食料供給基盤の確立に向け、「食料・ 農業・農村政策の新たな展開方向」161を具体化するとともに、食料・農業・農村基本法162に ついて、本年度中の改正案の国会提出を視野に、基本理念を含め見直しの検討を加速化。
(5)対外経済連携の促進、企業の海外ビジネス投資促進 →(対外経済連携の促進)(企
業の海外ビジネス投資促進)
2.防災・減災、国土強靱化、東日本大震災等からの復興→(防災・減災、国土強靱化)(東日本大震災等からの復興)
3.国民生活の安全・安心 →次なる感染症危機への対応に万全を期すため、内閣感染症危
機管理統括庁を今秋に設置 し、感染症危機管理の司令塔機能を強化する、これまでの新型コロナウイルス感 染症への対応の検証を踏まえて政府行動計画210を見直す。国立健康危機管理研究機構を2025年度以降に創設し、質の高い科学的知見を迅速に提供する。また、医療措置協定締結 の推進、保健所や地方衛生研究所等の体制強化、臨床研究の基盤整備、人材育成や災害派 遣医療チーム(DMAT)の対応力強化等に取り組む。

第4章 中長期の経済財政運営
1.中長期の視点に立った持続可能な経済財政運営 ↓
(基本的考え方)
→これまで述べたとおり、我が国を取り巻く環境が激変する中、多様な社会課題に対応する財源を確保しながら、持続可能な経済財政運営を行っていく。 コロナ禍を脱し、経済が正常化し、「成長と分配の好循環」を拡大していく中で、賃金や調達価格の上昇を適切に考慮しつつ、歳出構造を平時に戻していく、緊急時の 財政支出を必要以上に長期化・恒常化させないよう取り組む。経済再生と財政健全化の両立を図るため、財政政策は主として潜在成長率の引上げと社会課題の解決に重点を置き、 中長期的な視点を重視した経済財政運営に取り組む。5〜10年の中長期的視点に立って、 民間の予見可能性を確保し、民需を引き出し、社会課題を解決する中長期の計画的な投資 を推進する政策運営を行うとともに、それを担保するワイズスペンディングを徹底する。
(中期的な経済財政の枠組みの検討等)→多年度にわたる計画的な投資⇒財源 も一体的に
検討し歳出と歳入を多年度でバランスさせるとともに、経常的歳出について毎年の税収等で着実に賄われる構造の実現に向けた取組を進める
中長期の経済財政の展望とその評価・分析の充実)
(効果的・効率的な支出の推進とEBPMの徹底強化)
(税制改革)
→経済成長と財政健全化の両立を図る、少子高齢化、グローバル化等の経済社会の構造変化に対応したあるべき税制の具体化に向け、包括的な検討を進める。
2.持続可能な社会保障制度の構築 →(社会保障分野における経済・財政一体改革の強化・推進)(研究の質を高める仕組みの構築等)
3.生産性を高め経済社会を支える社会資本整備
4.国と地方の新たな役割分担等
5.経済社会の活力を支える教育・研究活動の推進
→(質の高い公教育の再生等)(研究
の質を高める仕組みの構築等)

第5章 当面の経済財政運営と令和6年度予算編成に向けた考え方↓
1.当面の経済財政運営について
→我が国経済は、コロナ禍から経済社会活動の正常化が進み、緩やかに回復の一 方で、世界的な物価高騰とそれに対応する各国金融引締めによる海外景気の下振れリスク、 金融資本市場の変動が我が国経済に与える影響に十分注意する必要がある。 こうした経済環境の下、当面の経済財政運営⇒足下の物価高や世界経済の減 速等による我が国経済の下振れリスクに万全の対応を図りつつ、持続的な成長と分配の好 循環の実現に向けて、国内投資の拡大や研究開発の促進による生産性の向上とともに、価 格転嫁を通じたマークアップ率の確保による賃上げを車の両輪として一体的に進める。 このため、「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策269」及びそれを具体化す る令和4年度第2次補正予算、「物価・賃金・生活総合対策本部」で取りまとめたエネルギー・食料品等に関する追加策、並びに令和5年度予算の迅速かつ着実な執行に全力を尽くしつつ、物価や経済の動向を踏まえ、今後も機動的に対応していく。あわせて、人への 投資の抜本強化、労働移動の円滑化、労務費も含めた価格転嫁対策の強化等により「構造 的賃上げ」の実現に取り組むとともに、本基本方針で示した重点分野への官民連携投資を 実行することにより、潜在成長率の引上げを図る。
2.令和6年度予算編成に向けた考え方→@ 前述の情勢認識を踏まえ、持続可能な成長の実現に向けた経済構造の強化を進め、日 本経済を本格的な経済回復、そして新たな経済成長の軌道に乗せていく。 A 令和6年度予算において、本方針、骨太方針2022及び骨太方針2021に基づき、経済・ 財政一体改革を着実に推進。B 構造的賃上げの実現、官民連携による投資の拡大、少子化対策・こども政策の抜本強 化を含めた新しい資本主義の加速や防衛力の抜本的強化を始めとした我が国を取り巻く環境変化への対応など、重要政策課題に必要な予算措置を講ずること等により、メリハリの効いた予算編成とする。 C 新たな拡充を要する政策課題を含め、PDCAやEBPMの取組を推進し、効果的・ 効率的な支出(ワイズスペンディング)を徹底。単年度主義の弊害是正に取り組み、 事業の性質に応じた基金の活用・事業効果の見える化、経済・財政一体改革における重 点課題への対応など中長期の視点に立った持続可能な経済財政運営や社会保障制度の構 築等を進める。

◆令和5年会議情報一覧
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2023/index.html

次回は新たに「新しい時代の働き方に関する研究会 第8回資料」からです。

令和5年第7回経済財政諮問会議 [2023年06月16日(Fri)]
令和5年第7回経済財政諮問会議(令和5年5月 29 日)
≪議事≫(1) 経済・財政一体改革(社会保障)、こども、マイナンバー (2) 経済財政運営と改革の基本方針(骨子案)について
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2023/0526/agenda.html
◎資料7 活力ある多様な地域社会を実現するための地方税財政改革についての意見 の概要(地方財政審議会)(松本議員提出資料)
○活力ある多様な地域社会を実現するための地方税財政改革についての意見(概要)
・⽬指すべき地域の姿→住⺠の安⼼と安全、満⾜度を⾼め幸せをもたらし活⼒ある多様な地域。
・⽬指すべき地⽅財政のあり⽅→<持続可能な地⽅税財政基盤の構築・財政の健全化>
・物価⾼と感染症への対応→物価⾼騰対策や⽣活困窮者等への⽀援等に積極的に取り組むこと。新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類感染症へ移⾏したところであるが、引き続き、地⽅の意⾒を⼗分に踏まえ、必要な財政⽀援を迅 速かつ丁寧に⾏うとともに、次の感染症危機対応においても、適切に対応すべき

・地⽅税財政改⾰の⽅向→「⼀般財源総額の確保等」「地⽅財政の健全化に資する取組等」参照。
・活⼒ある多様な地域社会に向けた取組→5視点で。


◎配付資料1 経済・財政一体改革推進委員会及び各ワーキング・グループ 2023 年春の審議で有識者委員から示された主な意見(柳川議員提出資料)
【社会保障関連】→こども予算などの新しい財政需要が強まっている中、巨額な社会保障費をどうするかという 論点は以前よりも重みを増している。社会保障費を工夫して効率化することは、今後の財政 需要をどう賄うかという議論の大前提であり、新型感染症が一定の収束を迎えつつある今こそ、社会保障分野の改革の遅れを取り戻して加速させるタイミングである。
1.地域医療構想の実現↓
・都道府県の権限とそれに見合った責任を制度的に強化、整備して取り組むことが必要。
・ 民間医療機関の占める割合が多い国でも病院の再編は着々と進んでいることを考慮すると、規制的な手法も必要。民間の医療機関に対する協力を法制上求めていくことは意義がある。 ・ 診療報酬上の入院料区分と病床機能報告上の病床区分が対応していない。病床機能報告は 定量的な基準をもって行うべき。また、地域医療構想と連動した診療報酬体系を目指すべき。・ 地域医療構想調整会議⇒各地域でどのような傷病構造の変化が起こり、それに対してど の機関がどのように応ずるのかということを議論する必要がある。各地域ではそのためのデ ータが不足しており、国がデータ整備と提供を行うべき。
・ 過剰病床から在宅などへの転換を促す仕組みも必要。
2.かかりつけ医機能↓
・ 患者にとって本当にかかりつけ医との信頼性が担保される仕組みに変えていくべき。
今後具 体的な検討でより実効性が高いものにしていただきたい。 ・ 24時間365日対応、訪問診療等の必要な機能の内容をセットとして明確に示すべき。このため、かかりつけ医機能を担うのは単独の医師ではなくグループ診療や中小病院になるだろう。 ・ かかりつけ医機能は、自己申告ではなく第三者が認定しないと、国民の信頼を得られない。 ・ 医療機能情報提供制度を、国民がかかりつけ医を選択する際に使えるものに刷新すべき。 ・ 重複投薬を防ぐため、かかりつけ薬局が機能するようにすることも重要。
3.その他医療・介護提供体制の整備↓
・ 介護については、保険制度の持続性のためにも、在宅でできる限り暮らしていくことが重要だ が、そのためには公営住宅による支援も含めた住宅政策も強化すべき。 ・ 介護施設から医療施設への移行、特に急性期病棟に移行する際の円滑化など、医療と介護 の連携を強化すべき。 ・ タスクシェアについて、医師、薬剤師、看護師、介護士等について、職能縦割りに陥らず、あ る程度の職能の重なり合いを認めていくべき。調剤の外部委託も進める必要がある。 ・ 産業保健について、多様な働き方に対応するため、これまでのように職場のサラリーマンの健康管理を行うだけではなく、労働生産性の向上や人的資本経営を進める観点から、保険者、 経営者、産業界にとってプラスとなるような設計と評価を行っていくべき。
4.医療DXの工程化↓
・ これまでの医療DXの議論は、医療提供サイドの業務効率化に関するものが多かったが、これからは、マイナンバーによって個人の時系列の健康データが蓄積されることを活用した、医療費適正化を図る枠組み作りとルール整備を急ぐ必要がある。 ・ データの利活用が、医療費適正化に加えて、地域医療構想の検討や、例えば製薬、ICTとい った民間事業者の新たなソリューション開発にも寄与することが重要。
5.医薬品の在り方↓
・ イノベーションの推進と国民皆保険の堅持を両立させるには、薬剤費の無駄を省く必要がある。定額自己負担や給付率の柔軟化を進めるべき。給付範囲の見直しも重要、その際、 患者の負担増を緩和するため、保険外併用の選定療養を活用してはどうか。 ・ オンライン診療では多くの市販品類似薬が処方されていると指摘されており、街中でのOTC 医薬品購入と保険適用での医薬品処方とのバランスを考える必要が強まっている。その観点 からも改革工程表に記載されている薬剤自己負担の在り方は検討を急ぐ必要がある。
6.介護分野における給付と負担の見直し↓
・ 介護での利用者負担の2割の範囲を医療と整合的なものにすること、1号保険料の乗率の在り方と保険料と公費の役割分担、多床室の室料負担について結論を得る必要がある。それを 担保するためにも、見直しの方向性を含めて骨太の方針に明記する必要がある。 ・ 介護の利用者負担であるが、能力に応じた負担とすることが重要。資産は高齢者に偏在するので、資産も負担能力に反映すべき。 ・ 要支援1・2という軽度の介護、生活援助は保険給付から地域支援事業に移行しているが、このように、介護の軽度のリスクについては、介護保険以外の様々な予算事業を組み合わせ て、地域の中で見ていくという方向性を確認するべき。
7.医療費適正化の推進↓
・ 医療費の地域差縮減に向け医療資源の使い方の標準化を科学的な政策として推進すべき。 ・リフィル処方箋の医療費効率化効果は前回診療報酬改定時には−0.1%と見込まれていたが昨年の実績は−0.01%程度しかないという試算もあり、更に普及を進めるべき。 ・ 医療機関の経営情報の開示⇒医療法人において義務化されたが、11万の医科診療所のうち、4万の個人診療所は医療法人となっていない個人事業主である。医療機関の再編にも活用するため保険医療機関すべての経営情報報告の義務化を進めるべき。
8.社会保障に関する横断的な課題等↓
・ 長期の財政、社会保障の改革を一体的に見直すためにも、給付と負担の長期展望を出していただきたい。・ 個別の給付効率化策だけではなく、医療費の総額管理の議論も行うべき。医薬品や後期高齢者医療といった区分から始めてもよいのではないか。 ・ 給与所得だけではなく、フランスのように全ての所得に対して保険料を掛ける仕組みが必要ではないか。 ・ 誰もが容易にアクセスできて、国際比較もできる統計としてOECD基準(OECD Health Expenditure)で推計した統計を整備することが重要。

【社会資本整備等】
・ 持続可能なインフラメインテナンスサイクルの構築→・ インフラを「個別」ではなく「群」として捉え、面的に維持管理を考えていくことが重要であり、地域において取組を進めていくための具体的な方法を検討する必要。
・ 自治体における施設の集約・再編等の検討・実施が進むよう単なる事例集に留まらない工夫(内容の充実化)や、手引き・ガイドラインの存在をしっかり認識してもらうための工夫が必要。 ・ やみくもに施設の集約・再編等を行えば良いというものではないが、施設の経年数だけでなく、 様々な環境(施設利用者や施設管理可能者の有無等)を踏まえた評価があっても良いのではないか。 ・ 地域の面的なインフラ群の管理を定着させていく上では、デジタルも活用し、国土形成計画の「地域生活圏の形成」に資する取組としてうまく接続していくことが重要。 ・ 規制の見直しに加え、テクノロジーマップ・技術カタログの整備・活用等により、特に地方自治体においてドローン等の活用を広げていくことが大きな課題。 ・ インフラマネジメントを含め、幅広い分野において不動産ID等の利活用を考えていくべき。

【地方行財政改革等】↓
・ 自治体DXの推進
→自治体の基幹業務システムの統一・標準化やDX推進体制の構築について、早期に実現できるよう取り組むとともに、マイナンバーの活用も含め、迅速かつ効率的に自治体のデジタル基盤を整備することが必要。また、デジタル化に併せて業務フローそのものの見直しや業務効率化の効果検証、優良事例の横展開なども必要。 自治体におけるデジタル人材について、行政の観点からは事務と技術のバランスの取れた人材が求められるが、研修等を通じて自治体間で共通のものを提供していくことが必要。外部人材の活用のほか、地域単位での取組や内部での人材育成が重要。  
・地方創生臨時交付金→臨時的に異例の措置として取られた交付金について、臨時交付金の使途拡大が進む中で、 その使途内容や成果を評価するとともに、牽制機能を働かす交付要件の検討が必要。また、 臨時交付金の使途内容を評価するだけでなく、その効果について、KPIを設定するなどして検 証するとともに、責任論ではなく、将来につなげるためにデータを整理し、分析することが重要。 臨時交付金⇒コロナの収束に伴って廃止していくべき。今回の対応を分析し、グッド プラクティスを残すとともに、次の危機が生じた場合に適切な制度的対応がとれるよう今回の 評価分析データを活用した効果検証を次の政策立案につなげていくことが重要。

【文教・科学技術】↓
・研究力の強化
→研究力の分析では、(セクターを合わせる必要性や前提条件の違いを踏まえた実質化など) 統計の比較可能性や解釈に留意しつつ、日本が健闘している面の明確化を含め、エビデン スに基づいた構造的把握に一層努めるべき。 ・ 研究の質の向上や発信力強化等の戦略的観点から、国際的潮流であるオープンサイエンス など論文生産と密接に関わる取組への対応は一層推進すべき。 ・ 同時に、生成AI登場も相まって、今後の評価指標⇒論文指標に過度に依拠せず、研究の性格、国際競争力強化や社会貢献、日本ならではの特徴等も踏まえつつ、より実質的・多角的な在り方を模索すべき。 ・ 日本の大学での論文生産の分布は、独・英に比べ傾斜が強く、上位に続く層の薄さやロングテールが特徴。テール部分でも上位層並みの生産性があるケースではスター研究者に依存した研究資源分散の面や、上位層への研究投資集中による研究者の流動性低下の可能性もある。若手のキャリアパス形成への貢献を含む上位層による日本全体の牽引や、少子化や 社会ニーズに対応した研究資源の配分等も必要ではないか。 ・ 研究環境の改善⇒長期的な研究資金と、研究専念及び相互触発が可能な環境とを 若手等に一体的に提供する創発的研究支援事業は画期的。それだけに、特徴的な仕組み (長期的なマネジメント、研究エフォート確保のためのバイアウト先行導入等)を含めた効果 検証をステージゲート審査等で着実に行い、支援の効果を示しながら更に推進していくことが重要。 ・ 大学に環境整備の説明責任を求める上で、自助努力を発揮できる仕組み(リーダーシップを 適切にとれるガバナンス体制強化、外部資金獲得に向けた規制緩和等)を国が整えていくことも重要。 ・ 評価疲れに関する調査も調査疲れにならないよう設計を精査すべき。

【EBPM・基金】→EBPM⇒事後的な検証が可能な形でKPIの設定とエビデンスの提出を求めるとともに、経済・財政一体改革の推進に向けて重要な政策を中心にメリハリのある取組を推進すべき。 ・ 基金⇒期限の区切りがないと支援の対象者が行動を起こさない面がある。基金は 終了予定時期を必ず明記すべき。また、EBPMに基づいたPDCAの強化が必要であり、ある種の無駄遣いの温床にならないよう、基金の目的の達成状況や目的に照らした効果をチェッ クしていくべき。

◆令和5年会議情報一覧
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2023/index.html

次回は新たに「第4回社会保障審議会年金部会」からです。

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