第28回 社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」(資料) [2024年01月02日(Tue)]
第28回 社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」(資料)(令和5年12月15日)
議事 生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度の見直しに関する最終報告書(案)ついて https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_36902.html ◎資料1 委員名簿 →21名。 ◎資料2 生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度の見直しに関する最終報告書(案) (社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会) T 本報告書の位置付け U−1 居住支援に関する制度見直しの具体的な方向性 U−2 中間まとめを踏まえた制度見直しの具体的な方向性 1. 生活困窮者への自立相談支援及び被保護者への自立支援の強化 2. 就労支援及び家計改善支援の強化 3. 子どもの貧困への対応 4. 医療扶助・被保護者健康管理支援事業の適正実施等 5. 生活困窮者自立支援制度と生活保護制度との連携 V 終わりに↓ 冒頭で述べたとおり、本報告書は、中間まとめの内容に基づきながら、令和5年度において議論した内容も踏まえ、特に生活困窮者自立支援法及び生活保護法における法制上の措置が必要な事項についてまとめたものであり、中間まとめと本報告書の双方をもって完成形となるもの。今後、厚生労働省において、中間まとめの「I 基本的な考え方」に基づき、上記の具体的な方向性に沿って関係法令等の改正等について検討を進め、可能な限り早期に実現するよう取り組むことを求める。 制度をより良いものにしても、それが適切に利用されないと意味をなさない。今般、特に若い世代に生活困窮者自立支援制度をはじめとする支援策が知られていないという課題が提起された。支援を必要な者に適確かつ速やかに届けることができるよう、生活困窮者自立支援制度や生活保護制度の周知・広報等や、子ども・若者世代への制度に関する正しい理解の促進に、あらゆる関係者が取り組んでいく必要がある。 また、生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度の見直しが現場で有効に機能していくためには、地域の実情に応じて必要な支援を適切に実施できる人員体制及び予算の確保や、支援員・生活保護のケースワーカー等の質の向上等が必要不可欠。さらに、両制度で連携して研修を実施するなどにより、相互理解を深めながら支援を進める視点も必要である。国は、引き続き、必要な人員体制、処遇等の確保が可能となる仕組みの構築や、国研修の実施及び自治体が研修を実施するための支援等を通じた人材育成等に積極的に取り組んでいくべきである。 以上のほか、本部会では、生活困窮者自立支援法における生活困窮者の定義(「就労の状況、心身の状況、地域社会との関係性その他の事情により、現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者」)についても議論があった。当該生活困窮者の定義については、平成 30 年に経済的困窮に至った背景・要因を明記する改正が行われたことによって、支援の幅が広げられた。経済的に困窮しているかどうかにかかわらず、社会的孤立や生きづらさを抱える者への支援も包括的に行えるようにすることについては、生活困窮者自立支援制度の制度的特徴や現場の実態等も踏まえながら、引き続き検討すべきである。 特に、今後増加が見込まれる身寄りのない単身高齢者等については、生活面で様々な課題を抱えているものの、現在の生活困窮者自立支援法の枠組みでこうした課題の解決を図ることが難しい場合も想定される。しかしながら、これらの者の支援については早急に検討すべき課題であり、今後政府としても検討が進められるものと考えるが、その議論の中において、生活困窮者自立支援制度が果たすべき役割についても、十分に検討されるべきである。今後、生活困窮者自立支援制度と生活保護制度との連携を強めていくに当たっても、それぞれの制度の独自性・固有性や発展可能性が失われることのないように留意するとともに、むしろ相互の強みを活かしながらより良い支援の実現を目指すべきである。 さらに、生活困窮者自立支援制度又は生活保護制度と重層的支援体制整備事業との関係についても議論があった。例えば、生活困窮者自立支援制度は、平成 27 年4月の創設以来、幅広い課題に柔軟に対応してきたが、令和3年4月から重層的支援体制整備事業が始まったことに伴い、その役割に変化が生じているのではないか。また、生活保護制度も重層的支援体制の中に位置付けられるべきであるのに、その認識が共有されていないのではないか。こうした事業の位置付けの整理が必要であるとの指摘のほか、重層的支援体制整備事業それ自体の中に、支援の観点ごとの分断ができている等の指摘等もあったところであり、今後、これらの制度を検討するに当たっては、このような視点も十分考慮されたい。 最後に、生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度の中長期的な検討は、中間まとめの「V 今後に向けて」でも述べたとおり、「地域共生社会」の理念が基本に据えられることが重要。制度間の壁や従来の「支える側」「支えられる側」の枠組みを超え、一人ひとりが「尊厳を保持され、社会との関わり方について自ら選択することのできる自律的な生の達成」に向けたものとなることが重要。そのためにも、両制度は、生活困窮者等が抱える様々な課題について、各種他制度・他施策との連携を絶えず進めながら、それぞれの制度が果たすべき役割を模索していくことが必要である。このような考え方に基づき、また、絶えず変化する生活困窮者等を取り巻く経済・社会状況も踏まえつつ、両制度についての議論が、今後とも更に深化していくことを期待する ○(参考1) 社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会 委員名簿→22名。 ○(参考2) 社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会 開催経過 ○(参考3) 生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度の見直しに関する これまでの議論の整理(中間まとめ) 令和4年 12 月 20 日 【目次】 T 基本的な考え方↓ 1.生活困窮者への自立相談支援及び被保護者への自立支援のあり方 (1) 生活困窮者自立相談支援事業の機能強化 @ 自立相談支援機関の機能強化 A 関係機関との連携 (2) 被保護者に対する自立支援 @ ケースワーカーの役割及び関係機関との連携 A 自立支援プログラム等の各種事業 2.就労支援のあり方 (1) 生活困窮者に対する就労支援 (2) 被保護者に対する就労支援 @ 就労支援 A 被保護者に対する就労インセンティブ 3.家計改善支援等のあり方 (1) 生活困窮者家計改善支援事業 (2) 被保護者に対する家計改善支援等 4.子どもの貧困への対応 (1) 子どもの学習・生活支援事業 (2) 生活保護受給中の子育て世帯全体への支援 (3) 生活保護受給世帯の子どもが高校卒業後に就職する場合の対応 (4) 大学等への進学の支援 5.居住支援のあり方 (1) 生活困窮者への居住支援 @ 生活困窮者一時生活支援事業等 A 生活困窮者住居確保給付金 (2) 生活保護における居住支援等 @ 保護施設 A 無料低額宿泊所、日常生活支援住居施設、居宅移行支援 6.被保護者健康管理支援事業・医療扶助 (1) 被保護者健康管理支援事業 (2) 医療扶助の適正化 (3) 医療扶助に関する都道府県等の関与 7.生活困窮者自立支援制度と生活保護制度との連携 8.生活困窮者自立支援制度と関連施策の連携のあり方等 9.支援を担う体制づくり、人材育成等 (1) 生活困窮者自立支援制度における自治体支援及び人材育成 @ 都道府県や中間支援組織等による自治体支援 A 人材養成研修 (2) 生活保護における都道府県等の役割等 @ 都道府県等の役割 A 人材養成研修 (3) 居住地特例 (4) 生活保護の不正受給対策 (5) 生活保護の効果的・効率的実施 V 今後に向けて↓ 当部会では、これまで、生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度に関して、平 成 30 年改正による法の施行状況や新型コロナウイルス感染症感染拡大による新た な課題への対応について検討を行ってきた。 この中間まとめは、これまでの当部会での主な議論を踏まえ、中長期的なものを 含めて、今後の見直しに向けて、現段階における対応の方向性や、検討を進めていく上での必要な課題等を中間的なものとして整理している。 今後、よりよい制度の構築に向けて、この中間まとめで整理した方向性等も踏ま えながら、法制化を検討していく上で前提となる点等も含め、引き続き、更に検討 を深めていくことが必要。 なお、今般の新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響により、生活困窮者自立 相談支援機関における相談者の急増や、相談者層の複雑化・多様化が見られたが、これは、社会経済情勢の変化により、誰しもが生活困窮に陥る可能性があることへ の示唆でもあった。また、これまで顕在化しにくかった層が浮き彫りとなり、セー フティネット機能の重要性も明らかになった。 これまでの間、新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響下において、生活困窮 者自立相談支援機関、生活保護等の実施機関のほか、特例貸付の業務等を担った社 会福祉協議会や、社会福祉法人、NPO法人、民生委員・児童委員など、各種の支援 やセーフティネットを支えてこられた多くの方々の尽力に対して、深く敬意を表したい。 今後、この中間まとめを踏まえた検討等を進めていくに当たっては、この間の経 験や蓄積等も踏まえ、相談支援・就労・家計・居住・子ども等の各種支援セーフティ ネット機能や、多様な関係者の連携を可能な限り強化していくとともに、顕在化し にくい層を含めて、支援を必要とする人が窓口につながりやすくなるようにし、こ れを受け止め、必要な支援を届けていけるようにしていくことが重要。 このため、生活困窮の端緒を適切に捉えることができるような体制の構築、制度 利用につなげられるような周知・広報等の工夫、これらの支援の基盤となる地域づくり等にも、継続的に取り組んでいくことが重要。地域住民一人ひ とりがよりよい社会を創っていこうとする視点を持つことも重要である。 また、生活保護制度については、いわゆる「利用しやすく自立しやすい制度」を 目指すべきである。これについて、保護が必要な方に対して、適切かつ速やかに保 護を行えるようにしていくことが重要であり、制度の内容や実態に関する不正確な 理解や先入観から、その申請がためらわれることがないようにするとともに、生活 保護の利用に対する社会的な理解も深めていく必要がある。 このため、制度の意義や必要性等について、一人でも多くの方に分かりやすく、 かつ、正確に届くよう、全ての関係者が周知や広報等に関する努力を継続的に重ね ていくことも重要。あわせて、自ら必要な相談機関へ相談することが難しい 生活困窮の状態にある方を発見し、必要な場合は保護につなげることで、必要な方 に支援が届くよう、生活保護制度と生活困窮者自立支援制度との連携を深めていく 必要がある。 加えて、被保護者の安定した日常生活を再建し、地域社会の一員としての自立し た生活や、労働市場への参加が容易となるような制度・運用を目指していくことも 重要。 そして、これらの検討や取組を進めるに当たっては、改めて「地域共生社会」の理念が基本に据えられること。すなわち、各制度分野の枠や、「支える側」、「支えられる側」といった従来の関係を超えて、一人ひとりが生きがいや役割を持って、人格と個性を尊重し合いながら、相互に支え合う社会の実現を目指したものであることが必要。この「地域共生社会」の理念は、両制度を含めて、地域福祉の共通理念に当たるもの。 また、「地域共生社会」を推進する上では、国や自治体において、支える側・支えられる側といった二分法を超えて、支え合いそのものを支えていくことが求められる。さらに、生活困窮者や被保護者が抱える困難や支援ニーズはそれぞれの制度の枠を超えて広がっている。両制度の外側にある他制度との連携を絶えず進めていくとともに、個別の支援事例にとどめず、各種施策との連動や連携に広げていくという視点も重要。 また、両制度は、いずれも、「自立」の概念や本人の「自立」に向けた支援といった制度目的上の共通の基盤を有している。「自立」には、経済的自立、日常生活自立、 社会生活自立の3つの自立があり、それらが並列の関係にあるとともに、相互に関連するものであるとの考え方も両制度で共通している。 今後、制度化に向けた検討を更に進めていく際には、こうした点も十分に踏まえながら、この中間まとめを経過点として、一つ一つの課題を丁寧に整理し、将来の 目指す方向に向けて、両制度が更によりよいものへと深化・発展していくよう、検討が深まることを期待したい ○社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会 委員名簿→23名。 次回も続き「参考資料1」からです。 |