第10回子供の貧困対策に関する有識者会議 [2019年02月11日(Mon)]
第10回子供の貧困対策に関する有識者会議(平成31年1月29日開催)
《主な議題》「子供の貧困対策の方向性の検討について」等 https://www.cao.go.jp/minister/1810_m_miyakoshi/photo/2019-014.html(写真) https://www8.cao.go.jp/kodomonohinkon/yuushikisya/k_10/gijishidai.html ◎資料1第9回有識者会議(12 月 3 日)における主な指摘事項 1.平成 26 年以降のこれまでの歩みについて ・全国各地で様々な施策を精力的に実施した結果、相対的貧困という捉え方が国民に随分広がり、25 の指標も改善していることは評価。しかし、子どもの貧困率やひとり親の状況は依然として厳しい。この5年間の流れを断ち切ることなく、今後も継続的に施策を実施していく必要。 2.新たな子供の貧困対策に関する大綱に求められる視点について @切れ目のない支援 ・親が貧困で生まれた瞬間から貧困というケース(特に若年妊娠、望まない妊娠、DV 被害者など)においては妊娠・出産期の支援が重要。生まれてから小学校に入るまでの時期、特に乳幼児期からの支援は、今後特に重点を置くべき。小、中、高、大で支援が分断されないよう、様々なステークホルダーが一丸となって取り組んでいくことができると良い。学校という場を通じて全ての子供が総合的な支援につながることができるよう、「学校プラットフォーム」の中身をどう深めていくか。高校を辞めないよう支えること、また、もし辞めたり、行けなかったりした場合にも 高卒資格を取得するまでの支援も大切。大学進学後や就職後、その先の社会的自立が確立できるシステムを作っていかなくてはいけない。 A地方自治体間の取組格差への対応 ・各市町村における実態把握の状況はまだまだ格差があるのではないか。また、貧困対策の事業格差も出てきていると感じる。社会的養護の子供への支援は地域格差があり、国のイニシアティブで、さらに きめ細かく実施すべきではないか。地方公共団体の現場窓口によって制度の運用が変わることがないよう徹底していかなければならない。 B支援が届いていない、又は届きにくい子供 ・家庭への支援 ・既存の制度を「知らない」「知っていても利用しない、手続きが分からない」者がいる、全国調査をしっかりするべき。 社会的孤立の深刻化の防止。制度はあってもそれを利用しようという意欲がわかなければいけない。困窮状態にある二人親、外国につながる子供たちへの支援を検討いただきたい。確実に支援を届けるための相談支援体制やアウトリーチの充実、施策対象を関連施策 とも有機的に連携しながら幅広く捉えて取り組む必要。 C「子供の貧困」に対する社会の理解の促進 ・「自己責任論」ではなく、社会全体の問題として受け止め、支援をしていく中で企業にもっと入っていただき、国全体で子供を応援するという雰 囲気を作っていただきたい。 D分野ごとの視点 ・困窮世帯の子供の高校入学時の支援等について、国、都道府県、市町村の役割分担が明確化できるとよい。大学進学率の差を縮めることが、目に見えた貧困対策となる。AI の時代に職を確保するためにも、大学教育は重要。保護者の状態の安定が重要。女性は家庭事情に働き方を制約される。女性の保護の 問題とエンパワーメントを強化する必要。地方では、両親が働いても貧困ということもある。こうした地方の問題を取り上げなくてはならない。 ・児童扶養手当の拡充は進んでいるが、税の再分配の偏りをどうしていくか今後も議論。 E大綱の形式 ・「貧困」という言葉は外部に発信する言葉としては難しい。当事者自身にとって分かりやすいバージョンの大綱をつくるなど、若者や子供、当事者の声をもっと拾ってほしい。大綱の目次の順番を見直すくらいに、強弱のつけ方を検討する必要。 ◎資料2-1子どもの貧困対策における子どもソーシャルワークの必要性 ≪子どもの貧困対策推進法から5年間の変化≫ ○「7人に1人が抱える子どもの貧困」という言葉の広がりと誤解(2ページ参照) ・貧困課題はグラデーションがあること → 響く対策と響かない対策の区分け ○スクールソーシャルワーカーの増加の成果と何をしてもらいたいのか論の置き去り ・スクールソーシャルワーカーの自治体格差の広がり(業務内容の違いが大きい) ○生活支援の居場所の一つとして「子ども食堂」の広がりと見えてきた限界 ・大綱では計画されていなかった形の居場所が民間、地域の力でこれだけ広がった事実 ・行政の後追いによる「子どもの貧困対策=子ども食堂」の誤解 ○努力義務であった都道府県の取り組み格差と自主的に動き出した市町村の貧困対策 ・本気の子どもの貧困対策調査とあまりにお粗末な実態調査を行う自治体格差 ・プロポーザル方式やソーシャルと社会的インパクト評価での事業成果による功罪 ≪これからの子どもの居場所のあり方≫ ○滋賀県で行ってきた「まちの子どもソーシャルワーク」実践から ・まちにある社会資源を活用して作り出す「夕刻を支える夜の居場所(生活支援)」 ・スクールソーシャルワーカーを活用した居場所と行政(学校)の連携(3ページ参照) ・高校内居場所カフェを活用した専門家と子どもたちの出会い ・まちの美容室、歯医者、飲食店とのつながりで起こる子どもたちの変化 ○改めて「まちの子どもソーシャルワーク」の必要性 ・子どもの居場所の小規模化と学区ごとに増やす施策(市町村の貧困対策との連動) ・学区規模を意識したこどもソーシャルワーカーの必要性 ◎資料2-2横浜市におけるスクール ソーシャルワーカー活用事業 (チーム学校の専門職の一員として) ○SSWとして出会った貧困の課題↓ ・学校の奮闘 ⇒リュックの中のお弁当 ⇒ゴミ屋敷 ⇒一時保護といじめ ・SSWの支援→ 学校のエンパワメント、学校の奮闘と子の現況を虐待の可能性に沿って 区に伝える ・SSWとしての課題の整理→ケースマネジメントの課題(支援のデザインの共有、具体的な役割分担が必要)→仕組みがあっても互いの機能が生かされなければ状況は好転しない。どうしたらパフォーマンスを上げられるのか ○届かない支援とその課題 ・具体的な役割分担が必要→家庭、学校、行政、地域→キーワードは「知る」ということ。 ・SSWが考える子供の貧困対策に必要なもの 気づくこと、一人にしないこと、支える仕組み、より多くの人と仕組みの有効利用で支えること ○学校における福祉に関する支援のために ・SSWの拡充→学校にとってより身近な存在へ(予防、早期発見・支援) ・SSWの立ち位置→教員と相互に尊重し合いながら自立、外部性を持って子どもと家庭に関わる ・SSWの質の向上→エビデンスに基づく育成とスーパービジョン ・福祉と教育との連携→母子保健と学校保健の接続(健やかな育ちのために) ○横浜市におけるSSW活用事業 ・管理体制の構築、育成体制の構築、高校・特別支援学校への配置、派遣型から拠点巡回型への転換、社会福祉協議会との連携→全国のSSWのスタンダード化に期待します。 次回は、「参考資料1-3」になります。 |