第12回公益通報者保護専門調査会 資料4 [2018年05月27日(Sun)]
第12回公益通報者保護専門調査会(平成30年4月18日) 5/27
http://www.cao.go.jp/consumer/kabusoshiki/koueki/012/shiryou/index.html ◎資料4 証拠持出行為と免責についての考慮要素(林委員提出資料) 1資料収集行為を理由とする不利益から保護する必要性がある。 何らの証拠資料もなしに公益通報を行うことは困難な場合が多く,そのためには公益通報者は証拠持出をしなければならない。しかし,証拠持出しが違法であるとすると,公益通報をすること自体が許されない行為となり,本法の趣旨を没却する。そこで,証拠持出行為について免責する要件を定めるべきと思料いたします。 2判例の考慮要素→今までの判例で証拠持出し行為について考察した主な判例は次のとおりです。 @武生信用金庫事件福井地裁H28.3.30→職務上の必要も権限もないのに理事長らのメールファイル等に無断で複数回アクセスし大量の機密文書を閲覧,印刷するなど不正アクセス禁止法違反行為したとして懲戒解雇された事例→「本件アクセス等が不正融資の証拠資料を取得して公益通報を行う目的でなされたとは認められ」ないとした。 A神戸司法書士事件大阪高裁H21.10.16→「信じるに足りる相当の理由がある」かどうかによって決せられることになる(何らの証拠資料もなしに公益通報を行うことは困難な場合が多いから,公益通報のために必要な証拠書類(又はその写し)を持ち出す行為も,公益通報に付随する行為として,同法による保護の対象となると解される Bいずみ市民生協事件大阪地裁堺支部H15.6.18→判決本件内部告発の内容の根幹的部分は真実ないしは少なくとも原告らにおいて真実と信じるにつき相当な理由があるというべきであること,本件内部告発の目的は高い公益目的に出たものであること,本件内部告発の方法も正当であり, 内容は,全体として不相当とは言えないこと,手段においては,相当性を欠く点があるのは前述のとおりではあるものの,全体としてそれ程著しいものではないこと,現実に本件内部告発以後,いずみ生協において,告発内容に関連する事項等について一定程度の改善がなされており,いずみ生協にとっても極めて有益なものであったと解されることなどを総合的に考慮する C宮崎信金事件福岡高裁宮崎支部H14.7.2→不正疑惑を解明する目的で行動していたもの,内部の不正を糺すという観点からはむしろ被控訴人の利益に合致するところもあった Dメリルリンチ事件東京地裁H15.9.17→原告が秘密保持義務に違反したとはいえない。 E思誠会富里病院事件東京地裁H7.11.27→原告らは被告が右診療方法等の改善をする気がないものと判断して,保健所による指導改善を期待して右内部告発に及んだものであり,不当な目的は認められないこと 3.要件として考慮すべきもの @公益通報の他の要件を満たしていること A通報対象事実と関連性があること(厳格ではなく) B目的外使用でないこと(目的外あることの立証責任は事業者側) C収集手段が社会的相当性を有していること を総合考慮することが必要になってくると思料いたします。 次回は、「参考資料1〜4」からです。 |