年中・年長のお友だち2人でブリオという木製の汽車のおもちゃで遊びました。
決まったルールのあるゲームの中でのやりとりとはまた違う、少し自由度のある遊びでのやりとりの練習がねらいです。ポイントは“自分がしたいことを相手に向かってしっかり伝える”、“それを受けて答える”ことです。
はじめのうちは、A君はレールをつなげることと、どの汽車を誰が使うか、B君は動物園のパーツと、それぞれ気になるポイントが違い、別々の作業をしていました。
A君の「これをこうやってつけよう」のつぶやきを、「それをB君にも言ってみたら」と伝えると…
A君「ねえねえB君、ちょっと聞いてほしいんだけど、〜するのはどう?」と、とっても素敵な言い方!
でも目線は自分の手元で作業をしながら…B君が聞こえていないことに気付かないまま話し続けます。
「B君が聞いてるか、見てみた方がいいよ」と伝えると、今度はしっかりB君を見て話しています。
…がB君が聞いていません。「A君がお話してるよ」と伝えても自分の作業に集中しています。
「A君がお話してるから聞いて、返事をしよう。」と伝えるとB君「はい」と返事。
スタッフの伝え方が間違っていますよね。「A君は〜って言ってるから、そのことについてどうしたいか教えて」と伝え直すと、A君の提案に「うん、いいよ」と返事ができました。
前半はスタッフが、それぞれのつぶやきを相手に伝えるように促したり、相手が話していることに気付けるよう声をかける場面が多くありました。
その中で、相手の考えを聞いて「いいね」となることもあります。
ですが、自分の考えを譲らない所は譲らず、でも強引に通すのではなく「でもそれだと〜だからさ、こうしたいんだけど」「えー、でも〜だからこれならできるんじゃない?」「でも〜だから、こっちにしたら」と理由を説明したり、相手の考えを受けて新しいアイデアを出しながらも何とか自分の主張を納得してもらおうとする様子が見られました。
“しっかり譲らずに主張できること”“納得してもらうために伝え方を工夫すること”がとても上手にできていて、子ども達の持っている力を改めて発見でき、「すごい!」と感心しました。
やりとりを見守っていると、「いいね!」と言ったのに相手の主張と違うことをしたり、「ええー…」と言ったのに相手の提案に乗ったり、子ども達の心の動きや表出が、こちらの想像を超えることが何度もありました。
レールの橋の下をレールにするか川にするかで2人の意見が分かれ、お互いに自分の主張を通すためにあれやこれやと散々話し合って、スタッフが間に入るかどうか迷っていると…、ひょんなきっかけであっさりと川にすることで意気投合して、あっという間に川が出来上がりました。
あんなに譲らなかったのに…周りで見ていたお母さんもスタッフも拍子抜け、そして笑いをこらえるのに必死でした。何でもかんでも手伝いが必要なわけではなく、見守ることも大切だと改めて思いました。
そんなやりとりをくり返しながら、徐々に促しがなくても自分から相手を見ながら伝えたり、相手が話していると手を止めて近くに聞きに行ったりと、数十分の間でみるみるうちに、2人ともやりとりが上手になっていきました!協力して遊べたことで、2人の親密度もぐっとあがった1コマでした。
桃太郎T93