笑顔が眩しいPaysan 求さんご夫妻 [2008年04月28日(Mon)]
大島の人気のパン屋、Paysan(ペイザン)のオーナーは求(もとめ)さんご夫婦。ここ大島に6年前に移住し、念願の田舎暮らしを実現された。小学生の息子さんが2人いらっしゃる。店売りは、毎週土曜のみだから、きっと優雅なカントリーライフを楽しんでいらっしゃるのだろうと想像していた。が、Paysan流のパン作りは、素人が考えるほど甘くはなかった。
移動販売やネット注文などもあり、1週間のうち2日間は仕込みに、2日間は焼きに費やされる。手作りのレンガ窯は薪で暖めるだけで2時間かかるため、未明から起きなければならない。休日は、裏山に登って薪の確保、家のリフォームなどが待っている。「今以上忙しくなったら、何のために田舎暮らしをしているのか分からなくなる。今のペースが限界…」と、ご主人は笑う。 確かに現役世代は、定年退職されたご夫婦が第2の人生を田舎で送るという風にはいかない。パン作りに手間ひまを惜しまず妥協せず、暮らしの足元を固めるということは容易ではないのだ。 でも、Paysanにはゆったりと澄みきった時間が流れている。光章さんは、渡部篤郎似ですごくカッコイイ。ゆう子さんは、おしゃれ主婦としてカリスマ的な存在のちはるさんとどこかオーバーラップする。 苦労などまったく無縁と思えるご夫婦だが、実は兵庫県時代に阪神淡路大震災を体験されている。ライフラインは止まり、日常生活にさえ不自由をきたす…。 それまで都会暮らしにストレスを感じていた日々に大震災が追い討ちをかけ、お二人は自給自足や田舎暮らしへの願望が募っていったそうだ。食通の先輩に、よく食べ歩きに連れて行ってもらっていたそうだが、贅沢三昧の中で本物の味を極めていくと行き着いた先は“食材そのものの味”“自然食”だったという。そう、都会では“自然食”は贅沢なのだ。 様々な経緯をへて大島に移住されたご夫妻。昨年からは地元の方たちと島生活情報誌「しましまタイムズ」を立ち上げ、Iターン組の方たちとも交流を深めている。「パン屋の嫁なんですけど実は私、ごはん党なんですよ」と話すゆう子さんの屈託無い笑顔が眩しかった。 【パン屋 Paysan】 営業時間:毎週土曜日 11時〜17時(売切れしだい閉店) カフェは、毎週土曜日 12時〜17時 吉海町本庄477 (0897)84-4016 |