特定非営利活動法人
全国地域生活支援ネットワーク設 立 趣 意 書
1.団体の設立 全国地域生活支援ネットワークは、1999年(平成11年)6月に、障害のある人たちの地域での暮らしを支える仲間たちの緩やかなネットワークとして誕生しました。それぞれの地域で展開されている地域生活支援の取り組みを、できる限り多くの地域に広げることが目的でした。それから5年あまり、地域で活動する仲間たちのネットワークは、新たな事業所の立ち上げや、事業所同士の交流を中心として徐々に広がりを見せてきました。
この度、私たちは全国各地で地域生活支援に取り組む人たちの力をひとつにまとめ、積極的に行動することを決意しました。
2.障害のある人の地域生活支援の経過 これまで、障害のある人は、家族にほとんどを支えられながら在宅で暮らすか、生活の多くに制限のある入所施設で暮らすかのどちらかであったといっても過言ではありません。そして、在宅で暮らしている人は、家族が支えきれなくなると、本人の意思にかかわらず、施設での暮らしを選ばざるを得ませんでした。
ノーマライゼーションの理念の広がりによって、十数年前から、わが国の各地で、障害のある人の地域での暮らしを支援する草の根的な実践が生まれてきました。それは、タイムケア、レスパイトサービスなどと呼ばれる、地域での暮らしを支援する試みの展開でした。都道府県や市町村によるガイドヘルプサービス、ホームヘルプサービスの柔軟な運用などもみられるようになりました。障害のある人一人ひとりの意思や主体性を尊重したこれらの取り組みは先駆的でしたが、全国的な展開となるには制度や財源の裏付けが十分ではなく、一部の地域にとどまっています。
3.「共生社会」と「ユニバーサルな支援」 国においては、社会福祉基礎構造改革が進められ、高齢者の介護保険制度や支援費制度(知的・身体・児童)、精神障害者や難病患者の生活支援事業などが始まりました。これらのことは、地域福祉を展開する制度的な足がかりになったということができます。また、障害者基本計画では、その目的に「共生社会の実現」を掲げました。障害のある人もない人も、ともに生きる社会の実現が、これからのわが国が目指す社会であるとされたのです。
「共生社会の実現」とは、障害のある人を特別な場で支援するのではなく、障害のある人もない人も、ともに地域社会の中で遊び、育ち、地域の学校で学び、社会に出て働き、生活することができることを基本に、支援が必要な人にはそれが提供される仕組みを築くことだと思います。
また、「生活」は、障害の種別によって違うのではなく、生活する一人ひとりによって違うことを考えるとき、これまでのように障害種別や年齢別で対象者を分ける制度を転換し、一人ひとりの主体性の尊重を前提とした、生活に身近で、誰もが利用できる「ユニバーサルな支援の仕組み」を作ることが必要です。
4.私たちの使命 私たちが目指す「ユニバーサルな支援による、ともに生きる地域社会づくり」への取り組みは、始まったばかりといえます。
私たちは、地域生活支援をより一層推進するために、全国の当事者や事業者、行政、政治など、関係者の横のつながりを深め、国民的な理解と共感を広げられるよう活動を展開していきたいと思います。そして、「ひらかれた議論」と「パートナーシップ」を基本とした新しい運動体として社会の中でその役割を担いたいと思います。ここに、全ての人がともに生きる社会をつくることを使命として、「特定非営利活動法人 全国地域生活支援ネットワーク」を設立します。
全国地域生活支援ネットワーク 定款(2004年版)