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2017年02月24日

性被害の経験が書籍になりました〜『13歳、「私」をなくした私』〜


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<2/25は満員御礼!>【2/26:東京】映画『月光』鑑賞会&トークショー

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2月20日、しあわせなみだ会員で、性被害経験者山本潤の初となる著書が出版されました。
これまでの人生やこれからの社会に向けたメッセージをまとめています。
ぜひお手に取ってご覧ください。

【『13歳、「私」をなくした私〜性暴力と生きることのリアル〜』】
第1章 性暴力、が始まった
第2章 刻印
第3章 アルコールに溺れる
第4章 セックスが怖い、けど止められない
第5章 母と私の葛藤
第6章 加害者の心
第7章 「私」を取り戻す
エピローグ あなたがやらない限り

【書籍はこちらでご予約いただけます】
【しあわせなみがのメールニュース「Tear's Letter」では、著者へのインタビューを掲載しています】 


なお、明日2月25日(土)18時より、出版記念トークショーを開催いたします。
会場では書籍販売も行います。
【イベント詳細はこちらです】【性暴力に関する最新情報をお届けするメールニュース「Tear's Letter」毎週配信!】
【しあわせなみだウェブサイトはこちら】

2015年11月17日

「リベンジポルノ―性を拡散される若者たち」著者インタビュー!


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【11/28:大阪】性暴力当事者のピアサポートグループ「Tear's Cafe」
*11月の開催後、グループは半年間お休みします。ぜひお越しください!*

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しあわせなみだが取材協力した書籍が出版されます!

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渡辺真由子著
『リベンジポルノ―性を拡散される若者たち』
弘文堂 1,404円
[アマゾン予約購入はこちら]


性的な画像や動画を、本人の同意なしに公開・拡散する「リベンジポルノ」。
被害にあってしまった当事者や被害者支援に取り組む実践者たちの生の声をもとに、リベンジポルノをめぐる現状にせまり、その予防策・打開策を探る書籍。
しあわせなみだ理事長中野へのインタビュー、ならびに昨年11月に開催された、立川市デートDV防止講座「リベンジポルノから自分・わが子を守る」の様子をご紹介いただきました。

出版を間近に控えた著者、渡辺真由子様へのインタビューです!


***


☆しあわせなみだ:
書籍出版おめでとうございます!
そしてしあわせなみだへの取材ありがとうございます。
なぜ「リベンジポルノ」をテーマに書籍を出版しようと思われたのですか?

▼渡辺様:
「なぜ若者たちは性的な撮影に応じるのだろうか」、という素朴な疑問からです。
私の世代の感覚とはかけ離れている気がして、その心理を知りたいと思いました。



☆しあわせなみだ:
書籍のサブタイトルである「性を拡散される若者たち」という言葉に、リベンジポルノの本質的課題や、渡辺様の思いが凝縮されているように感じました。
この「性を拡散される若者」について、もう少し詳しく教えていただけますか?

▼渡辺様:
紙焼きの写真と違い、デジタル画像は、ひとたびネットに投稿されるとあっという間にコピーされ、無数のサイトに拡散してしまいます。
ネットならではの怖さがある、という意味を込めました。



☆しあわせなみだ:
しあわせなみだには、被害者が相談できない理由や、加害者の心理、暴力防止のワークショップについて、ご取材いただきました。
特に印象に残った話などはありますか?

▼渡辺様:
ワークショップで私も体験した「王様ゲーム」は素晴らしいと思いました。
人から無条件で褒められることってこんなに自己肯定感を高めるんだ、というのが実感できます。



☆しあわせなみだ:
しあわせなみだは、性暴力をゼロにすることを目指して活動していますが、リベンジポルノをはじめとする性暴力への誤解や偏見は根深いなぁと感じています。
メディアジャーナリストとして活躍されている渡辺様は、こうした現状を変えるには、どのようなアクションが必要だとお考えですか?

▼渡辺様:
性暴力を許す風潮は、メディアが助長している部分も大きいと感じます。
アダルトビデオや漫画の性表現を、人権を侵害しない内容に変えていくことが必要だと思います。



☆しあわせなみだ:
最後に、読者に、メッセージをお願いします。

▼渡辺様:
「撮らせるな」と注意するだけでは十分ではないことが、本書をお読み頂ければおわかりになると思います!



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著者渡辺真由子(わたなべ・まゆこ)さんのサイトは[こちら]

***


これからの性暴力を考える上で、重要な示唆を与えてくれる書籍。
ぜひお手に取ってご覧ください!

[アマゾン予約購入はこちら]

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本ブログは毎週火・金更新!
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2015年10月30日

【11/19発売】取材協力をした書籍「リベンジポルノ―性を拡散される若者たち」が出版されます


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【11/28:大阪】性暴力当事者のピアサポートグループ「Tear's Cafe」

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しあわせなみだが取材協力した書籍の出版が決定いたしました。
ぜひお手に取ってご覧ください。

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渡辺真由子著
『リベンジポルノ―性を拡散される若者たち』
弘文堂
1,404円
【アマゾン予約購入はこちら】

リベンジポルノが起こる現状、被害者が置かれた状況、なくしていくための取り組みについて、お話しています。


【著者】
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渡辺真由子さん
メディアジャーナリストで、青少年健全育成政策を専門とするメディア学者です。
青少年の「性」や「ネットいじめ」、ジェンダー、LGBT問題を長年に渡り取材し、メディア・リテラシーの観点から対応策を提言されています。



【内容紹介】
★「撮らせたあなたが悪い」、その無理解が、リベンジポルノの被害を拡大させている!

相手の性的な画像や動画を、本人の同意なしに公開・拡散する行為のことを「リベンジポルノ」と呼び、2013年に東京都三鷹市で発生した女子高生殺害事件を機に、社会問題化しました。

「性」を拡散されるリベンジポルノの被害者が受けるダメージは甚大であるにもかかわらず、責められるのはなぜか被害者。

リベンジポルノの被害にあってしまった当事者や被害者支援に取り組む実践者たちの生の声をもとに、リベンジポルノをめぐる現状にせまり、その予防策・打開策を探ります。

リベンジポルノが増殖する社会に、私たちはどう向き合えばいいのか。
被害者、保護者、警察関係者、先生はじめ教育関係者、メディア関係者など、必読の一冊。


【目次】
第1章 性が拡散される社会
1 リベンジポルノとは何か
2 リベンジポルノはいつから日常になったのか

第2章 リベンジポルノはなぜ生まれるのか
1 性を拡散するというコミュニケーション
2 性を拡散するというビジネスモデル
3 「撮らせなければいい」という「対策」に意味はない
4 リベンジポルノの当事者たち
5 被害者はどのような気持ちなのか
6 加害者はどのような気持ちなのか

第3章 性が拡散される社会をどう生き抜くのか
1 相談機関に連絡すれば解決するのか
2 法律を使えば解決するのか
3 被害にあわないために出来ることはあるのか
4 リベンジポルノをなくす方法はあるのか



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2010年11月04日

性暴力に遭った方の書籍が出版されました

★「みんなの夢アワード」エントリーしました!応援してください!★
http://blog.canpan.info/shiawasenamida/archive/298

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性犯罪に遭ったことを、書籍『性暴力被害にあうということ』
http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=9314
の中で、実名と写真を出して公表した小林美佳さんが、新しい書籍を出版しました。

【小林美佳著『性犯罪被害とたたかうということ』朝日新聞出版】
http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=12029

性犯罪の裁判員裁判を傍聴した時の感想や、小林さんが開設するホームページ
http://www.apple-eye.com/micatsuki/
で出会った、性暴力に遭った方々の声を掲載しています。

以下 YOMIURI LINE 10月31日 からの転載です
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20101031-OYT1T00318.htm

***
小林さんに声を寄せた2,994人(女性2,850人、男性144人)の被害状況を分析。全体の58%が被害について「誰にも話していない」とし、警察などに届けていない人も85%を占めた。
***

ちなみに、2009年度に警察に届け出た件数は、強かんが1,582件、強制わいせつが女性6,928件、男性183件となっています。
↓詳細は『平成21年度犯罪白書』第5編/第1章/第4節 をご覧ください↓
http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/56/nfm/n_56_2_5_1_4_0.html
法務総合研究所「第2回犯罪被害実態(暗数)調査」によれば、性暴力被害に遭い、被害を届け出たるのは14.8%。
ウェブサイトを開設してから2年半で、これだけ多くの方の声が寄せられたということは、いかに性暴力が、他人に相談できない暴力であるかが分かります。

相談できないのは、性が本来プライベートの領域にあるものだから。
そして、性暴力に対して、まだまだ差別と偏見が残っているから。
「暗い夜道を歩いているから性暴力に遭うんだ」「抵抗すれば性暴力に遭わなくてすんだはず」といった、誤解に基づく「落ち度論」(性暴力に遭った方が悪い)が浸透しています。
↓「性暴力ゼロ理解度チェック」はこちらです↓
http://shiawasenamida.org/m05_02_01

性暴力はあなたの身近でも起こっていると知ること。
そして正しい情報に基づく理解を深めること。
それが、あなたの大切な人が性暴力に遭った時、心身の傷を乗り越えることを応援できること、そして性暴力を許さない風土を醸成することにつながります。

私は『性犯罪被害にあうということ』に出会ったことが、「しあわせなみだ」立ち上げのきっかけになりました。
http://ameblo.jp/nakanohiromi/entry-10203055341.html
新書の掲載も、小林さんに許可をいただき、実現しました。
小林さんに、この場を借りて、改めてお礼申し上げます。
本当にありがとう。

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*「しあわせなみだ」ウェブサイトはこちら
http://shiawasenamida.org/
*twitter nakano_hiromi
https://twitter.com/nakano_hiromi

2010年09月08日

性について、どこでどうやって知るか

雑誌『週刊金曜日』
http://www.kinyobi.co.jp/
最新号の9月3日号では、藤井誠二さんの連載記事「境界線上を走れ」で、性暴力に遭った小林美香さんの人物ルポが掲載されています。
10日号には後編も掲載されます。
↓最新号のご案内はこちらです↓
http://www.kinyobi.co.jp/consider/consider_newest.php

また雑誌『月刊福祉』
http://www.fukushinohon.gr.jp/esp.cgi?_file=book1545&_page=_index&_page2=contents&_page3=detailbook&_sys_id=1545&_class=500101
9月1日号の特集は「子どもの命と育ちをまもる」
「虐待を受けた子どものケア」という視点から、子どもに関わる様々な施設が、子どもの命と育ちはどうあるべきか、レポートが掲載されています。
↓9月1日号のご案内はこちらです↓
http://www.fukushinohon.gr.jp/esp.cgi?_page=_index&_page2=contents&_page3=detailmagazine_g&_sys_id=1541

雑誌やTVなど、人々に大きな影響を与えるメディアが、性暴力を取り上げてくれることは、性暴力ゼロに関心を持つ人を増やすという意味で、とても意義があることです。

性については、正しい知識を得られる場がほとんどない一方で、誤った情報が氾濫しています。
学校などで公的に学ぶ機会は非常に少なく、正しい情報がないばかりに、雑誌、ポルノ、AV等をうのみにしてしまう人も多いです。

雑誌『AERA』
http://www.aera-net.jp/
は、継続的に性を取り上げていますが、大学生を特集した記事では、AVの内容をそのまま実行しようとする男性にとまどう女性などが掲載されています。
↓2010年8月9日号「女子大学生の「性」と「男子」」 「草食」と「AV」のはざまで」(一部のみ)↓
http://www.aera-net.jp/summary/100801_001823.html
↓すべて読みたい場合はこちらで購入できます↓
http://astand.asahi.com/webshinsho/national/2010081000010.html?ref=recd

私自身考えてみても、公的に性について学んだのは、小学校の林間学校前に「男の子は精通、女の子は生理というのがあります」と言われたこと、中学校・高校の保健体育の授業で、学期末試験前のわずかな時間数、生殖器の仕組みを教えられたことくらいです。

小学校の林間学校前に配られた調査用紙の中に「生理は始まっていますか」という項目がありました。
それを見た隣の男の子から「生理って何?」と聞かれ、「どうしよう」と一瞬悩んだ末、「赤ちゃんを産むための準備」と答えたのを覚えています。
(今思えば、なぜこんな調査をする必要があるのでしょうか・・・おそらくナプキン等を準備するためだと思うのですが、それにしても不要な調査ですよね)

そんなわけで、今の日本では、性について、自分から学ぼうとしなければ、正しい知識を得られない状況です。
私自身、週末受講した講座
http://blog.canpan.info/shiawasenamida/archive/269
で自分の体を自分で知る大切さをあらためて感じ、遅ればせながら基礎体温を測り始めました。

性を考えることは生を考えること。
「性について、どこでどうやって知るか」が、自分の性、そして生をどれだけ大切にできるかに関わってきます。
まずは自分の性、生ときちんと向き合うことから!ですね。

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*「しあわせなみだ」ウェブサイトはこちら
http://shiawasenamida.org/
*twitter nakano_hiromi
https://twitter.com/nakano_hiromi

2010年04月13日

人を助けるとはどういうことか

性暴力被害ゼロネットワーク「しあわせなみだ」が、性暴力被害に遭われた方と関わるとはどういうことだろと、ずっと考えてきました。

性暴力被害に遭われた方に対しては「支援」という言葉が良く使われますが、「支援」という言葉には、支援「する側」と「される側」という関係性があり、ともすれば上下関係、依存関係として捉えられます。

それは少し違うな、と感じています。

被害に遭われた方は、被害によって一時期的に自身がもともと持っていた力を弱められているだけなのです。
それを取り戻すために、「力づける」「寄り添う」「応援する」「二人四脚(三脚、ではなく)」といった関わりを持っていくことが、心の傷を自分の力で乗り越えることにつながるのではないか、と。

それは4月9日のブログ
http://blog.canpan.info/shiawasenamida/archive/180
でも触れたように、支援者は何もできないことを知り、唯一できることである、「話を聴く存在」となり、「生きてて欲しい」想いを伝え続けること、被害に遭われた方を中心とした、「新しいセーフティネット」を構築し、頼ってもらえる存在となることなのかもしれません。

そんなことを考えている時に、1冊の書籍に出会いました。
エドガー・H・シャイン著 『人を助けるとはどういうことか』 英治出版 です。
http://www.eijipress.co.jp/book/book.php?epcode=2060

「人を助ける」こと(ケアの場面に限らず、日々の生活やビジネス上で「相手の役に立つこと」全般)について、様々な角度から検証した書籍です。

ここでは支援者に「陥りやすい罠」として、次の6つを挙げています。(pp..76-85)

1.時期尚早に知恵を与えること(本当に求められているものが何かを知らないうちに助言を与える)
2.防衛的な態度にさらに圧力をかけて対応すること(自分のどんな助言や提言も正しいと、クライアントを説得したくなる)
3.問題を受け入れ、(相手が)依存してくることに過剰反応する(クライアントの依存状態を強める)
4.支援と安心感を与えること(クライアントの地位の低さを助長する)
5.支援者の役割を果たしたがらない(客観的であろうとするがゆえに感情的な距離を置く)
6.ステレオタイプ化、事前の期待、逆転移、投影(過去に出会ったクライアントと同様であるとみなす)

そしてクライアント(支援を受ける側)にも「陥りやすい罠」があるとして、次の5つを挙げています。(pp..70-76)

1.最初の不信感(クライアントが真の問題を隠し、支援者を試す)
2.安堵(支援者に依存し、クライアントが主体的になることが難しくなる)
3.支援の代わりに、注目や安心感、妥当性の確認を求めること(問題解決への支援ではなく、クライアント自身の行動へのポジティブ評価や賞賛を求めることで、支援者と対等であろうとする)
4.憤慨したり防衛的になったりすること(支援者の立場を危うくすることで、支援者と対等であろうとする)
5.ステレオタイプ化、非現実的な期待、(対人)知覚の転移(過去に出会った支援者と同様であるとみなす)

そして私がイメージする、被害に遭われた方との関係として、次の一文がありました。(p.83)
「クライアントの話に心から耳を傾けることによって、支援者は相手に地位と重要性を与える。そして、クライアントによる状況の分析が価値あるものだというメッセージを伝えるのだ。支援というものが、影響を与えることの一つの形だと考えるなら、自分が影響されてもかまわない場合しか、他人に影響を与えられないという原則はきわめて適切だろう。」

これまで性暴力被害に遭われた方とご縁をいただき、本当にたくさんのことを学び、大きな影響を受けました。
どちらかからの一方的な働きかけではなく、相互作用の関係、影響しあえる関係によって、被害に遭われたことによる心の傷を乗り越える、性暴力被害ゼロに向けて行動していく。
「しあわせなみだ」がそんな関係を築けるよう、力をつけていきたいと、改めて感じました。

あなたはどんな関係が望ましいと思いますか。
是非教えてください。

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性暴力被害ゼロネットワーク「しあわせなみだ」
ウェブサイトはこちら
http://shiawasenamida.org/

2009年12月11日

本当にわかることはできなくても、わかる努力はできる 

10月13日のブログ
http://blog.canpan.info/shiawasenamida/archive/92
で紹介した研修会で講師を務められた、東京都立中部総合精神保健センター 保健福祉部長で精神科医の井上悟氏
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/chusou/index.html
から、「心の病を理解するのに適した書籍」として紹介のあった、村上春樹著「アンダーグラウンド」を読みました。
http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2085755

この書籍は、1995年3月20日に発生した地下鉄サリン事件で、被害に遭われた方とその家族、計62名の方へのインタビューが掲載されています。

被害に遭われた方への治療にあたっている精神科医中野幹三氏は、被害に遭われた方がPTSDを発症することについて、このように説明しています。

この事件の場合、何がなんだかわけのわからないままに、ある日いきなり死の淵に引きずり込まれたわけです。そこに居合わせた方々にとって、それは底知れぬ恐怖の体験だったはずです。おまけにサリンの怖さというのは、これまでに一度も言語化されたことのない種類のものです。こんな事件はまったく未曾有のものですから。だから被害者の方も本当の意味では、そのときの恐怖感をまだきちんと言語化できていないのだと思いますね。結局うまく言語化できないから、そのかわりに身体化するしかないということになります。感じていることを言語に置き換える、あるいは意識化する回路ができていません。だから仕方なく無理に押さえ込んでしまおうとする。でもいくら懸命に押さえ込んでも、身体の方は自然に反応してしまいます。それが「身体化」ということです。(pp..118-119)

そして先の中野氏からは、被害に遭われた方へのこんなメッセージもありました。

後遺症で悩んでおられる方は、気楽に私どもの門を叩いてください。とにかく来てみてほしい。その結果として「あなたは大丈夫です、心配ないですよ」と言われたら、それでいいわけですからね。ですかlら不安があればいつでも来てみてください。「こんな軽いのに行ってもいいのかな」という風には思わないでください。どんなかたちにせよ、もし何か苦痛があれば、専門家に一回相談してみることですね。(p.129)

被害に遭っていない私たちに何ができるのか。著者である村上氏はこのように語っています。

たしかに地下鉄サリン事件によって深い傷を負った被害者の方の気持ちからすれば、この本を書いている私は「安全地帯」からやってきた人間であり、いつでもそこに戻っていける人間である。そんな人間に「自分たちの味わっているつらい気持ちがほんとうにわかるわけはない」と言われても、それはしかたないと思う。まさにそのとおりである。わかるわけはないと思う。しかし、かといって、そこでそのまま話がぷつんと終わって、相互的なコミュニケーションが断ち切られてしまったら、私たちはそれ以上どこにもいけないだろう。あとに残るのはひとつのドグマでしかない。
そのとおりでありながら(そのとおりであることを相互認識しながら)、あえてそれを超えていこうと試みるところに、論理の煮詰まりを回避した、より深く豊かな解決に至る道が存在しているのではあるまいかと考えている。(p.714)

性暴力被害ゼロネットワーク「しあわせなみだ」が関わる性暴力被害に遭われた方も、まさに想いを抱えています。
「被害に遭っていない人に、被害者の気持ちが本当にわかるわけはない」。
本当にそのとおりです。
でも、村上氏が指摘しているように、それで終わらないこと、関係を切らないこと、です。

被害に遭われた方の本当の気持ちをわかることはできません。
でもわかる努力はできます。
そして心の傷を乗り越えることを応援したいという気持ちを持ち、自分にできることをしたいと思っています。

そんなメッセージを伝えていかれればと思います。
そしてあなたが同じ気持ちを持ってくれたら、とても嬉しいです。

2009年07月31日

人々はなぜ仲良くできないの?

性暴力被害ゼロネットワーク「しあわせなみだ」が取り組む性暴力被害の背景には、「暴力を許す構造」があります。
このため、個別の支援だけでは、性暴力をゼロにすることはできません。

竹中千春著『世界はなぜ仲良くできないの?』
http://books.hankyu-com.co.jp/_ISBNfolder/ISBN_04200/04209_sekai/sekai.html
では、暴力の構造と、連鎖を解く方法が示されています。
世界紛争を取り扱っていますが、「しあわせなみだ」が取り組む性暴力ゼロにも、沢山の示唆を与えてくれます。

1.なぜ世界で起こっている戦争やテロに関心が持てないか
2.なぜ社会的に弱い存在が生まれてしまうのか
3.どうすれば暴力の連鎖を解けるか

【なぜ世界で起こっている戦争やテロに関心が持てないか】(p.13-19)
・私たちは戦争やテロを「知りたくない」と思っているのではないでしょうか。知りたいことならお金や時間を使ってでも知ろうとします。しかし、毎日目の前のテレビにタダで流されている国際的な事件を見ないというのは、はっきりと、知りたくないという態度を反映しています。
・ではなぜ知りたくないのでしょうか。重要ではない、面倒くさい、自分には関係がない、生活の役に立たない、むずかしすぎて理解できない、といった理由もあるでしょう。でも、もっと根底には、「悲劇的な事件を知りたくないので無自覚に抵抗している」のではないでしょうか。そして事件を知ったところで、テレビの前の人を助けてあげることはできません。これは人としては大きなストレスです。
・ニュースを見たくないと感じることは、世界的な悲劇の重みを引き受けるだけの余裕がない、人として当たり前の反応です。けれども、見ず知らずの人々が苦しんでいる悲しい事件に耳を傾けようという気持ちが、ふと沸き起こってきたときには、ニュースをしっかりと聞き、新聞を読んでください。そこから、市民の時間が始まります。

【なぜ社会的に弱い存在が生まれてしまうのか】(p.37)
・グローバリゼーション時代は、人々の考えとともに、人、モノ、金、情報、ネットワークが国境を越えて移動します。そして、資本による過酷な自由競争を推進力として、世界を一つにするような求心力が働いています。それと同時に、世界を二つに分断させ、その間の緊張を生み出す遠心力も、非常に強く働いています。一握りの金持ちグループと、多数の貧乏人のグループに、世界が分裂してきています。
・貧しい人々や貧しい国々の正義を主張する思想(社会主義・共産主義・反植民地主義など)は力を失いました。金持ちに都合の良い資本主義や自由主義の思想や運動に、マイノリティや女性の思想、民主の平和を目指す思想は、互角に挑戦するほどの力は持っていません。貧しい人々には、正義を訴える言葉がなくなってきています。多くの人々は、黙って耐え忍ばざるを得ない状況に置かれています。

【どうすれば暴力の連鎖を解けるか】(p.223-230)
・暴力を止めたいと思うきっかけは「あ、痛い」と感じることではないかと思います。
・友人や家族について、「あ、痛い」と感じたことがありますか。もっと遠くの、一生会うこともない人々について、「あ、痛い」と思ったことがありますか。自分は痛くないのに、痛そう、と顔をしかめた経験がありますか。その感じが、仲間意識の芽生える瞬間だと思います

性暴力被害に置き換えてみると、こうなります。
・性暴力被害に関心が持てないのは、「悲劇的な事件を知りたくないので無自覚に抵抗している」ためではないでしょうか。事件を知ったところで、その人に対して「自分は何ができるか」もよく分かりません。これは大きなストレスであり、人としての感覚を持っているからこそ、情報を受け取ることに抵抗を感じます。
・性暴力被害は、権力のある者からない者(性別、人種、国籍、年齢、経済力、体力など)に対する人権侵害です。被害に遭う側が暴力を振るう側に対して正義を訴えることは、社会構造上とても難しいことです。
・性暴力被害を「あ、痛い」と受け止めてくれる人が増えることにより、性暴力を許さない風土が醸成されます。

「しあわせなみだ」が「あ、痛い」と受け止めてくれる人を増やす情報提供の場になるために。
まずはウェブサイトの開設に向け、準備を進めていきます。