CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る
«リレーハンスト 3 | Main | リレーハンスト 4»
プロフィール

さいとうひろしさんの画像
さいとうひろし
プロフィール
ブログ
<< 2017年03月 >>
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
カテゴリアーカイブ
リンク集
最新記事
最新コメント
成広のり子
風花 (03/11) ハックの家
つ ど う (09/17) 佐藤美紀子
梅雨展 (06/20) さいとうひろし
もうすぐ春だよ (03/17) chako@h2o
もうすぐ春だよ (03/16) さいとうひろし
アワワワワ〜! (12/11) さわだともこ
アワワワワ〜! (12/11) さいとうひろし
神様 仏様 (09/12) saito
神様 仏様 (09/11) うえむら
言葉 (07/11)
月別アーカイブ
日別アーカイブ
http://blog.canpan.info/shamurie/index1_0.rdf
http://blog.canpan.info/shamurie/index2_0.xml
ポートランドの風 1 [2012年07月04日(Wed)]

アメリカ合衆国・オレゴン州・ポートランド市にある、Portland Japanese Garden にある美術館で私の作品展がほぼ一カ月に亘り行われたので、そのオープニングに合わせ一週間ほど(6/7〜12)行って来ました。アメリカの中でも降雨量の多いこのあたりは、緑が豊かで、とても穏やかなたたずまいの街でした。そこにある日本庭園は、私が住む京都でもなかなかお目にかかることが出来ないような庭作りを、50年という歳月の中でやって来られた、<希望の庭>でした。
何故<希望>なのか、何回かに亘って、このブログでお伝えしたいと思います。

今回このブログで、私の生業も含めてお伝えしたいと思ったのは、この日本庭園を支え運営しておられる人たちが、、仲間と共にやってきた風の布・パピヨンや、AIDSメモリアル・キルトの活動や野染などを、本当に深い理解と共感を持って、受け入れてくださり、それら全部ひっくるめて紹介しようとしてくださったからです。私の中では、生業も、このブログでお伝えしているような作業も、不可分につながってあるものでしたが、遠く離れたこの地で、こんなにも深く分かりあえる人たちがいたことは驚きであり、感謝です。

まず最初のページはその作品展の様子をお伝えさせてもらいます。

jgm01.jpg
正門 ここで入場料を払い入園します。


004.JPG
庭園内にある木造の日本家屋の美術館。
9m×18mのたっぷりとした展示室に、
<あわせまとふ>と<毛斯綸もじり袖コート>をセッティング。


jgm2.jpg
photo by Portland Japanese Garden
バリやタイや中国・苗族の手紬手織の綿や大麻布に蝋纈染したもの
京都・川島織物の浴衣地など


jgm6.jpg
photo by Portland Japanese Garden
浜松産のガーゼ・モスリンのショール
インド産の綿ローンのタピストリーなど


jgm4.jpg
photo by Portland Japanese Garden
中国南部の少数民族、苗(ミャオ)の人たちの手による
手紬(絹)の広巾に蝋纈染したものを、
京都の作家・竹田安嵯代さんが裁断し縫った<あわせまとふ>
彼女との共同作業は25年を超えます。
竹田さんは本来オブジェのような美しいバッグを作る作家です。


jgm06.jpg
明治の初めに、信州安曇野出身の臥雲辰致により作られた日本で最初の紡績機<がら紡>により紡がれた綿糸と、玉糸(二匹の蚕が絹糸を絡み合いながら作ってゆく繭から採れる節糸)の双糸で織られた、広巾の布に、蝋纈染をしました。それを竹田さんが仕立てたものです。肩にかけている大判のショールは、がら紡の綿糸を双糸(単糸2本で撚った糸)にして、織られたがら紡布を染めた物。いずれの素材も豊橋産。

jgm20.jpg
毛斯綸(モスリン)のもじり袖コート。浜松産のウールモスリンを蝋纈染し、裏地も同素材で刷毛ボカシ染したものを合わせ、近江八幡の和裁士・古澤淳子さんが手縫いしたものです。がら紡と同じく途絶が心配される、この繊細な美しい薄手のウールの素材も大好きで30年近く染めています。



jgm23.jpg
毛斯綸(モスリン)のもじり袖コートを纏う。
軽く保温性が高くそれでいて蒸れない身体に優しい性質、
纏うと体に添って<トロン>と落ちる<落ち感>は、
この素材独特なものです。


garabo1.jpg
がら紡布(和布)を纏う。
この紡績機で紡がれた綿糸で織られたこの布は、
軽く、温かで、柔らかいという、
木綿の良さが充分生かされています。


jgm7.jpg
photo by Portland Japanese Garden
伊勢木綿(通称)のストール。
三重県津市にある江戸時代から続く織元で作られているシンプル(素直)な小巾木綿(単糸)に刷毛染したものです。豊田佐吉が作った古い豊田織機が今でも動いていて、それで織られたものです。ちなみに今世界を席巻するTOYOTAは、この織機から始まりました。使い、洗うほどに柔らかく、身体に優しく馴染みます。

jgm8.jpg
photo by Portland Japanese Garden
インド産綿ローンのタピストリーに蝋纈染。
美しい庭が透けて見えます。


作品の一部を見てもらいました。使用する布は様々、その糸も皆違います。もっと先を辿ると、蚕や羊、綿や麻などの生きものがいます。それを育てる人がいます。そうやって様々な人や植物、動物が関わり、多くの工程を経た布が私の手元にやってきます。それを私は染めます。その染めた物をデザインし、裁断し、縫製する人がいます。ここに並んでいる作品にはそれだけの多くのプロセスを必要としているのです。考えてみると私の染という作業は、展示された作品の10%ぐらいを担っているのかもしれません。そして手渡されたこれらの作品はやがて生地も弱くなり、色も変化し、擦り切れたり、破れたりしてきます。でもそこから布の新しい人生は始まります。たとえば服は解かれ、袋物や帽子など小さなものに生まれ変わるかもしれません。田老のおかあちゃんたちが作るあの草履小銭入れや、田野畑村・ハックの家の裂き織など、古くなったものだからこその風合いが生かされていきます。このように布は本当にたくさんの人や生き物が関わる、いわばもっとも社会的な素材です。そして布は人の体の一番近くに寄り添い、守り、包んでくれる素材です。そんなことをお伝えできたらと思いました。


トラックバック
ご利用前に必ずご利用規約(別ウィンドウで開きます)をお読みください。
CanpanBlogにトラックバックした時点で本規約を承諾したものとみなします。
この記事へのトラックバックURL
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
http://blog.canpan.info/tb/717213

コメントする
コメント