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セボネ1月号特集「「ボランティア」がみつかってから 〜ボランティア相談の現場からA〜」 [2017年01月05日(Thu)]

「ボランティア」がみつかってから
〜ボランティア相談の現場からA〜


 前号の特集で、『「ボランティア募集」ができるまで』と題して、相談があってから募集するまでのことをお伝えました。相談を受ける中で、困っていることを捉え、「人」が関わって解決できる形にかみ砕いていくプロセスをお伝えしました。
 今回は、その「ボランティア募集」の記事をみて、興味を持った方が問い合わせをしてくださってからのことをお伝えしたいと思います。

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◆「ボランティア募集」ができるまで(前号のあらすじ)
 
 相談窓口であるボランティアセンターやボランティアビューローでは、「ボランティアを探しています」「○○してもらえないですか…」という相談を受けると、どういうふうに「人(ボランティア)」が関われば解決・実現できるか、と考え、ボランティア相談に取り組んでいます。
 まずはスタッフが相談者に会ってお話を聞いて、ボランティアを募集することが決まると、募集の呼びかけの文章を作成し、セボネやホームページなどで呼びかけ、協力者を募ります。

 寄せられた相談ごとを、「人」が関わって解決できる形に整えていくなかで心がけていることは、ボランティア活動をする人が関わりやすい形にすることです。例えば、時間を区切る、役割を分ける、複数人の募集にする、などです。「ボランティア活動をしたい」とか「それなら協力できるよ」と申し出てくださった方との、これまでの出会いの経験を踏まえて、「あ! これならできそう」という形にして募集をしています。


◆無理なくかかわるために

 そうして広報すると、興味をもってくださった方から「セボネの記事をみました」と電話やメールで問合せがあります。問合せをうけると「ありがとうございます! もしよかったら詳しく説明したいので一度お会いできませんか?」と、スタッフはまず応募者にお会いすることにしています。

 お会いしたら、募集記事に書ききれなかった内容を説明して、状況を理解してもらったり、その方がどんな動機や気持ちで応募されたのかをうかがっています。応募してくださった方が今回の内容について活動が可能かどうかを、相談者に紹介する前に確認する必要があると思っているからです。

 仕事や毎日の忙しい生活の中で時間をやりくりして協力を申し出てくださったり、応募される方にもさまざまな事情があります。話し相手や外出の付き添いなどの、個人の方へのボランティア活動の場合は、1回きりではなく、継続的で中長期になることが多いです。そのため、相談者の困っていることを継続的に解決して、応募者が無理なく、負担なく活動できそうかどうかを見極めていきます。

 協力したいと思っていても、アレルギーがあることで活動を断念された方や、イスではなく床に座る時間が長いことがわかり、断念された方もいます。応募者の仕事の都合で繁忙期には活動が難しくなることがわかり、ボランティアを追加募集をすることもありました。活動が始まってからだとなかなか言い出しにくかったり、無理をしてしまうこともあるので、こうした事前の確認は大事なプロセスとして位置付けています。

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◆信頼を築く関係づくり

 スタッフが応募者にお会いし、活動内容を説明をして「わかりました。やります」と言っていただけたら、次は相談者との面談の段取りをします。その際には、スタッフも同席をして、自宅など実際に活動が行われる場所で、三者で顔合わせをします。

 まず、スタッフが概要を紹介をし、次に相談者の方から状況や希望することを話していただきます。その後、ボランティア活動希望者(応募者)の方に応募動機を話していただき、あとはお互いに気になることなどを自由に話していただきます。面談は約1時間で、終える際に、話の整理をし、決まったことを確認します。

 そしてスタッフから「後日、お電話するので(基本的には翌日)、今日の感想をお聞かせください。お互いによければ、活動をスタートさせましょう。最初の日程はその時に相談いたします」と両者にお伝えします。その場で早急に意思確認をしないのは、その場では言いにくいことがあったり、会ったその時はお互い気持ちが高揚することもあり、相談者(依頼者)には「この人に任せられそうか」、活動希望者には「自分にできそうか」を一晩ゆっくり考えていただきたいことからそうしています。

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◆良好な関係の調整役として

 三者での面談後、連絡をして、お互いがよければ活動をスタートします。個人の方からの依頼の場合の多くは、連絡先を直接交換せずに、窓口をボランティアセンターにしています。「急な都合で活動ができなくなった」「状況が変わって依頼した活動が必要なくなった」などの連絡もボランティアセンターにしてもらうようにしています。

 連絡先を交換する例もありますが、直接連絡をとる形にしていると、「ちょっとお願いできませんか」など新たな頼みごとを言われた場合に断りにくくなることがあるからです。うまく連絡がつかないことが続いたりすると、関係が変わってきてしまうこともあります。予めお互いが決めた枠組みのなかで活動を行うことが、良好な関係を続けるためのポイントです。

 最初に約束していた活動内容を変えたい時には、またスタッフが間に入り、お互いが納得の上で、内容を変えるようにしています。それでも「人」と「人」の関係です。トラブルや気になることが出てくることもあります。そんなときは「いつでも間に入って調整します」という姿勢を心掛けています。

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◆「振り返り」を大切に

 活動が続いていくと、ときどき「振り返り」をする機会をつくることをお願いしています。長く活動をしていると、気がつかないうちに、はじめの時とは話が変わってくることがよくあります。「最初は1時間と約束していたのに、1時間半になっている」とか、「はじめはしていなかったが、今はこれも行っている」などの例です。知らず知らずに、そのことが潜在的なストレスになって、相手に負担を与えていたりすることがあります。それを見直したり、改めて最初の頃を思い出したりして、今のことを捉えると「自分のやりたいことができているな」とか「自分の充実感にもつながっているな」と気づき、気持ちを新たにする機会にもなります。そのために「振り返り」をお願いし、お会いすることにしています。

 一方で、私たちスタッフも「振り返り」をしています。相談から活動までのプロセスを複数のスタッフで振り返り、私たちの関わりが適切であったかを振り返ります。「振り返り」を通して改善点を見つけ、次回に活かすようにしています。
 同時に、「こういう事例は潜在的にどれくらいありそうか」を考え、地域に同じような困りごとを抱えた人がいそうであれば、個人の問題としてでなく、社会の課題として、どのようにその依頼を受けられるようにするか、また多く出てきそうな場合、より効率よく応えられるためにはどのようなしくみがあればよいかなどを考えます。

 例えばアンケートを実施したり、「身のまわりにこういう方はいませんか? いれば相談にのれます」というチラシをつくって配ったり、「傾聴ボランティア養成講座」「障がい児を見守るボランティア養成講座」のように事前にボランティアを募り、研修を企画し、さらなる依頼に応える準備をしていきます。
 また、課題のあるケースでボランティアの方の負担が大きい場合には、活動の悩みを話せたり、相談にのれるようにボランティアをサポートできる体制もつくっています。
 ボランティア募集の記事ができた後は、このように進めていっています。

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◆地域の困りごとは地域の手で

 一個人との出会いや、ふとした会話が、気づきになり、事例になり、同じ困りごとを抱えた方への助けになることがあります。世田谷ボランティア協会では、困りごとを抱えるご本人からの相談はもちろん、その方の周囲の人からの声も大切にしています。
 『地域の困りごとは、地域の手で』をモットーに、たくさんの情報が寄せられ、多くの気持ちが集まり、新たな動きが生まれていく、そんな期待を受けられる拠点になれるよう、ボランティアのコーディネートを行っています。

 私たちスタッフは、その仕事にやりがいや喜びを感じながら、ひとりでも多くの皆さんとお会いできることを希望し、その出会いを楽しみにしています。これからもどうぞよろしくお願いいたします。 
(担当/事務局 鈴木佑輔)
Posted by setabora at 15:42
この記事のURL
https://blog.canpan.info/setabora-vc/archive/225