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セボネ6月号特集「『ケアセンターwith』新たなスタート」 [2016年06月05日(Sun)]

「ケアセンターwith」新たなスタート

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 今年4月から、「ケアセンターwith」が下馬3丁目に移転しました。世田谷ボランティア協会の福祉事業部の機能が集約された、もうひとつの拠点となります。病気や事故による、目に見えにくい障がいと共に生きる人たちが、住み慣れた世田谷で自分らしい人生を送るために、何をしているところなのか、ご紹介します。


◆はじめまして、withです

 「ここはなにかのお店?」「何をするところなんだろう?」
 道行く人が不思議そうにのぞいていくのは、4月にこの地に移転したばかりの「ケアセンターwith(以下、with)」。withは介護保険制度のデイサービスですが、外観からはスタジオか、料理教室かといったふう。

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withの外観

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明るくフラットな室内

 一歩なかに入ると目にとまるのは、オープンキッチン。とても明るく、木の温かみを感じる室内は広々としていて、このキッチンで美味しい食事をつくります。ときにはランチのメニューをみんなで相談して考えたり、食材を買いに行ったり料理をしたり、ともに食事を囲みながら優しい笑顔があふれています。

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料理は一番人気のプログラム


◆65歳の壁をこえて

 「高次脳機能障がい」とは、脳卒中(くも膜下出血・脳内出血等)・感染症などの病気や交通事故等による脳外傷で脳の細胞が損傷したために、言語・思考・記憶・学習等の面で起こる障がいのことをいいます。見た目は以前と全く変わらないのに、うまくしゃべることができない、理解が悪い、集中力がなくボーッとしているなど外見だけではその障がいがわかりにくいという特徴があります。脳の損傷した部位により、障がいの出方もさまざま。区内に毎年約5,000人の方がたが暮らすといわれ、高次脳機能障がい者への支援はますます必要とされているのです。

 協会では、高次脳機能障がい者のリハビリテーションの場として「ケアセンターふらっと」を運営してきましたが、ふらっとは65歳までしか利用できません。65歳を越えると「障害福祉サービス」から「介護保険サービス」に移行するという原則があるからです。高次脳機能障がい者が65歳をすぎても利用できるようにと『ケアセンターwith』を九品仏につくったのが2007年のことでした。

 そして今年4月、九品仏から下馬に移転し、定員が10名から18名に増加しました。これまで点在していたケア相談センター結、ケアステーション連、世田谷地域障害者相談支援センターも同じ建物に集約し、世田谷ボランティア協会のもうひとつの拠点としてスタートしました。


◆暮らしのリハビリテーション

 人生の途中での病気や事故等により障害を抱えた方が65歳をすぎると、高次脳機能障がいに関するリハビリプログラムをしっかりとおこなう施設があまりないのが現状です。一般的な高齢者のデイサービス(通所施設)の利用者の平均年齢は80代後半ですが、withの利用者は平均65歳。65歳の方と80代の方が同じプログラムでいっしょにすごすのは難しく、年齢に応じた人生の楽しみ方があり、暮らしの工夫があると考えました。

 withの一日は、その日をどんな風に過ごそうか、まずは相談から始まります。四季折々の街を散策に外出するもよし、室内で料理や音楽、映画鑑賞、パソコン作業、思い思いに時間を過ごすもよし。今日その人がしたいことを最も大切に考えます。特に、ほぼ毎日積極的に外出しているのがwithの特徴。例えば美術館や展覧会、新しい商業施設や行楽地等にいち早く訪れ、自然や文化に触れたり、前向きに生活を楽しめるような活動を多く取り入れています。

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二子玉川ライズでのお散歩がリハビリタイム

 この日の午前中はみんなで話し合って、生田緑地にバラを見に出かけたとか。「天気も良くて気持ち良かったよ」とメンバーの佐藤さんが満面の笑みで教えてくれました。新しくなったwithの使い心地を尋ねてみると、移転前から通っていた須黒さんは、「僕は歩く練習をしたかったから、ここは広くて動きやすくていいね」とうれしそう。

 福祉事業部長の和田敏子さんは、withを「暮らしのリハビリテーション」を行うところだと言います。ある人は一家の大黒柱として、またある人は家庭の主婦として、社会や家族の中心で活躍し、人生さあこれから、という40代後半で発症しています。ある日突然病に倒れ、後遺症として障がいが残ることでこれまでの生活が全く変わり、みんなの世話になっている苦悩や、家族に迷惑をかけているといったマイナスのイメージを抱えています。

 「でも、いつもケアされる側ではなく、地域に参加することで役に立てることが多くあります。なので、ご本人がより充実した生活を送れるように暮らしの再構築のお手伝いをしたり、地域貢献していただける場づくりをしたり、専門職とボランティア等がチームでサポートしています」と和田さんは話します。


◆「おたがいさま」の関係づくり 

 以前、ある中学校から世田谷ボランティアセンターに「生徒に料理を教えてくれるボランティアを紹介してほしい」と相談がありました。協会ならではの強みを生かして福祉事業部と相談し、料理の得意な田中さんにお願いすることに。家庭の主婦である田中さんは料理が大好きで、何百個でも同じ形の餃子をつくれる特技がありましたが、脳卒中で倒れ手足に後遺症を負って以降、しばらく料理から遠ざかっていました。

 生徒たちは、職員と共に現れた車椅子姿の講師にビックリ。障害がある人から料理を教えてもらうことに驚きながらも、和気あいあいと調理を楽しみました。中学生は、障がいがあっても料理を楽しむことができるということを知り、田中さんは中学生との触れ合いを通して、「自分にもできることがある」と力をもらいました。元気になるきっかけは一方通行ではなく、双方向の関係なのです。

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授業で餃子づくりの講師に


◆地域のご縁を大切に
 
 以前はwithが九品仏商店街の一角にあったので、商店街のみなさんとおつきあいしたり、ミニライブをやったり、地域のお祭りに積極的に参加してきました。今度は住宅街のなかなので、これから徐々に近所とのおつきあいを広げて、つながりをつくっていけたらと考えています。

 ご縁のきっかけはさまざま。雪の日のあとに「大変でしょうから雪かきしますよ」という電話をかけてきてくれ、それから20年もボランティアで協力してくださる方もいるというから驚きです。午前中は出かけていることが多いwithですが、午後はコーヒーを飲みながらゆったりとした時間がながれています。そんな時間に好きなことを活かして、編み物や刺し子などの手芸やお菓子づくりをいっしょにやってくれる人がいたらいいな〜と夢は広がります。

 障がいがあってもなくても、きっかけがあれば、だれかの役に立つことがしたいと思っている人は多いのではないでしょうか。何かの役に立ちたいけどどうしたらいいかわからないという方でも、活動の拠点があって具体的な方法がみえればその気持ちを活かすことができます。

 肩肘張って『ボランティアしよう』と構えずに、withでは利用者とボランティアがともに活動するようなイベントを企画したいと考えています。そんな企画をいっしょに考えてくださる方も募集しています。「誰もが気軽に参加できるイベントなどの機会を通じて、地域と関わりを持つことで、地域とwithでの生活がより楽しく豊かになれば嬉しいです」と和田さんは言います。
 withの新たな関係づくりは始まったばかり。どんな広がりができていくのかこれからが楽しみです。
(取材/編集委員 鈴木 朋子)

ケアセンターwith http://www.cocokaraweb.org/
世田谷区下馬3-22-13 丸伝ビルW 1階
電話1(プッシュホン) 03-6805-4715

Posted by setabora at 17:30
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