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東南アジアにおける日本のFTA/EPA戦略 [2007年05月24日(Thu)]
5月16日(水)、東京財団のイベント「政策懇談会」として、「東南アジアにおける日本のFTA/EPA戦略」というテーマで話をする機会がありました。

その概要は、東京財団のHPにも掲載されていますので、見てみてください。
http://www.tkfd.or.jp/event/detail.php?id=32

参加いただいた方々は、みなさんビジネス、研究、行政などの分野で豊富な経験ある方々ばかりでしたので、わたしのような若輩が講義をするというより、みなさんからのご意見を聞かせていただいて、わたし自身すっかり勉強させていただきました。

このブログを読んでいただいている方々のなかにも、「FTA(自由貿易協定)」や「EPA(経済連携協定)」という単語を、最近新聞やテレビで見聞きした記憶のある方が多いと思います。

当日の参加者の方々のなかにも、この「FTA」や「EPA」という何やら難しそうなものに興味はあるものの、それが一体何なのかは十分よくご存じない方々も大勢いらしたので、まずは冒頭30分程度、

・「FTA(自由貿易協定)、EPA(経済連携協定)とは何か?」
・「日本の交渉体制はどうなっているか?」
・「東南アジアにおける日本のFTA/EPA戦略は?」


といったことについて、簡単なイントロダクションをわたしからさせてもらい、その上で、参加者のみなさんからの意見や質問をいただく時間を1時間程度設けたところ、多くの方々から貴重なご意見&ご質問をたくさんいただきました。

多くのご質問やご意見をいただいたので、全部を紹介することはできませんが、例えば・・・

【質問1】
日本の交渉体制は各省庁に跨っており縦割りの弊害があるのではないか?米国通商代表部(USTR)のような日本版通商代表部のようなものが必要ではないか?


そうですね。確かに、日本のFTA/EPA交渉において、所管官庁ごとの意見の相違が影響することは否定できないように思います。

ただ、米国の通商代表部のような組織を日本に作ったからといって、そうした弊害を解消することができるとは、わたしには思えません。

米国が強い交渉力をもって日本などとの貿易交渉に臨めるのは、通商代表部という組織があるからではなく、議会や大統領の強いリーダーシップがあるからだと思います。

そうした強いリーダーシップがあってはじめて、ホワイトハウスの通商代表部が、各省庁の意見の相違を乗り越えて強い交渉力を発揮できるのです。

したがって、日本が、FTAやEPAという政策ツールを使って自由なビジネス環境を世界的に推し進めるために必要なものは、日本版通商代表部という新たなお役所組織ではなく、政治レベルの強いリーダーシップなのだと、わたしは考えています。

もし、そうした強いリーダーシップがあれば、新たな組織の有無はあまり関係ないように思うのです。

【質問2】
日本は東アジアの国々だけではなく経済的影響力が大きい米国や中国との交渉も考えるべきではないか?


個人的には、おっしゃるとおりだと思います。

日本にとって、中国と米国は最大の貿易相手であり、多くの日本企業が現地進出もしています。

この両国との間で、日本の輸出する自動車や家電・ハイテク機器の関税が撤廃されたり、投資や知的財産権の保護が一層進むのであれば、日本企業が得るところは大きいでしょう。

一方で、中国も米国も農業大国ですので、FTAやEPAを結ぼうとすれば、日本の農林水産品市場を今よりもっと開放するように主張してくることは間違いないでしょう。

農林水産品市場の更なる開放は、今の日本の政治情勢では、なかなか簡単に進められないでしょう。

しかし、だからこそ、工業も農業も含めた自由貿易の全面的推進は日本全体で見ればプラスが大きいと考える人たちとしては、一番難しい中国や米国との交渉を先行させて、農林水産市場の開放を決断してしまえば、もはや世界中の国々との自由貿易交渉について、日本が躊躇することはなくなるのでは?と考えるのでしょう。

わたしも、個人的にはこの意見に賛成です。ただ、これを実現するには、郵政改革に挑んだ小泉前首相のような強力な政治的リーダーシップが不可欠でしょう。

こうした問題意識から、↓のような意見が、会場の参加者からも聞かれました。

【意見】
日本のFTA(自由貿易協定)、EPA(経済連携協定)の交渉において結局は農林水産品がネックになっている。農林水産品のうちどの品を交渉にのせて何を得るかという政治の意思を明確に示すことが必要。

こうした質疑応答、意見交換をしているうちに、1時間半があっという間に過ぎ、この日の東京財団政策懇談会は終了しました。

参加者のみなさんには、平日の昼休みをつぶしてお越しくださって、本当に感謝しています。終了後に回収したアンケートを見ると、大半の方に好評をいただいたようですので、わたしとしても、とても嬉しく思っています。
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