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小さな地球の生態系サービス No.109[2016年03月31日(Thu)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.109
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生態系サービスの量や質の低下

生態系サービスの量や質の低下の現状

生態系サービスは、自然の生態系の働きによって基本的には再生産されます。
私たちが持続可能な形で使っていれば、石油や天然ガス、鉱物などと異なり、枯渇することはありません。
しかし、持続可能な範囲を超えてしまうと、生態系サービスの量や質が低下し、最悪な場合はなくなってしまいます。

世界の人口が増加し、国際貿易が拡大するにしたがって、生態系サービスへの需要は大きく高まりました。
1960年と2000年を比較すると、食料の生産量が2.5倍、水の使用量が2倍になるなど、さまざまな資源の利用は急激に増加しています。
私たちが持続可能な範囲を超えて収奪してきた結果、生態系サービスの量や質は低下しています。

国連による生態系サービスの評価で、1950年から2000年までの50年間に、およそ60%(評価の対象となった24のサービスのうちの15)の生態系サービスは、世界中で量や質が低下し続けているか、あるいは持続不可能な形で消費されていることが明らかになっています。
この評価で、食料生産に関連した生態系サービスは向上しているとされました。
しかし、食料生産の増加は、水利用の増加や水質の悪化、森林面積の縮小などを伴い、ほかの生態系サービスを現象させてしまいます。
短期的な利便性や利潤を追求し、ある生態系サービスを産み出す働きだけを強化しようとすると、私たちの生活とすべての産業にとって必要なさまざまな生態系サービスの深刻な低下をもたらすのです。
太陽光発電の光と影 No.108[2016年03月30日(Wed)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.108
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  • 未来を担う新エネルギー

  • 広がる太陽光発電

  • 海外 -普及が進む太陽光発電-

  • 太陽光発電の影

  • エネルギーの自給のあり方




太陽光発電の影

シリコンの製造にかかる大量のエネルギー

太陽光発電システムに欠かせないシリコン。
原料となるシリカは世界中に豊富にあり、採ることが簡単なので環境負荷は小さいといえます。
しかし、製品をつくるには原料に混ざっている不純物を取り除き、純粋なシリコンを取り出す必要があります。
その過程で大量のエネルギーを必要とし、アルミニウム精錬の10倍、鉄の精錬の100倍もの電量を使うと言われています。

シリカから純粋なシリコンを取り出すために必要なエネルギーは、シリカなど原料の採掘から太陽光発電システムの生産・廃棄にいたる過程において費やすエネルギー全体の6割を超えます。
日本では、電気代がかかりすぎるため、電気代が比較的安いノルウェーやブラジル、オーストラリアなどで生産されたシリコンを輸入しています。
エネルギー自給率を高めるために導入を進めている太陽光発電システムですが、原料であるシリコンを外国に頼っている点で課題が残ります。

大量生産は困難 −特殊な金属材料が不足する−

太陽光発電パネルには、シリコン以外にも、特殊な金属材料が使われています。
インジウムやテルルといったレアメタル(希少な金属)が化合物系の薄膜太陽電池の原料になるほか、貴金属である銀が電極のすべてに用いられています。

インジウムは、液晶テレビや半導体にもつかわれており、市場拡大に伴い需要が急速に伸びています。
使用済みのインジウムやテルル、銀のリサイクルが行われたとしても、足りなくなると予想されています。

また、日本メタル経済研究所の予測によると、国内で非常に重要な金属”クリティカルメタル※になる可能性の高いものとして、銅、インジウム、ガリウムなどがあげられています。
これらはいずれも化合物系の薄膜太陽電池に欠かせません。

クリティカルメタル:原材料として重要で、代わりになる原料が簡単には見つからないものです。更に今後、供給が不安定になる可能性がり、供給ができなくなった場合、国の経済に影響が広がる金属のことです。

レアメタル採掘の陰で発生する公害

化合物系の薄膜太陽電池に必要なインジウムの産出は中国が世界一。
その中国では2000年以降、湖南省、広東省、雲南省、陜西省、広西チワン族自治区などで公害が起こっています。
鉱山や工場において、亜鉛を取り出した残りのものからインジウムを取り出す際に発生するカドミウムや鉛を、適切に取り扱っていませんでした。
今もカドミウムや鉛によって水が汚染され、健康被害が広がっています。
レアメタルが偏在していることと、公害問題などにより、原料の供給には常に不安定さが伴います。

メガソーラー建設が生物の多様性に与える影響は

2008年9月に、電気事業連合会が公表した「メガソーラー発電導入計画」の中に、電力10社が2020年度までに全国約30地点で約140MWのメガソーラー発電所を建設するという計画が掲げられています。
これらはおもに沿岸部や海上につくられる予定です。
現在のところ、建設される地域の条例で決められている規模を超えなければ、環境への影響を調査する必要がないことになっています。

世界レベルで見ると、国際エネルギー機関(IEA)が、この10年の間に砂漠地域など、現在、人が使っていない土地における数百〜数千MWの超大規模太陽光発電所の実現に向けて、研究を進めています。

しかし、砂漠には砂漠独自の生態系があります。
太陽光を広い範囲で利用し、遮断してしまうことは、地球上の健全な生態系を守るという点からも課題が残ります。
企業が生物の多様性を守る No.107[2016年03月29日(Tue)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.107
−企業も多くの生きものの恩恵を受けている−
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  • 生物の多様性はなぜ大切か

  • 生物多様性と経済

  • 失われる生物の多様性

  • 生物の多様性を取り戻す企業の取り組み

  • 健全な生態系なくして健全な社会はありません




失われる生物の多様性

生物の多様性の価値を計算にいれていない経済

私たちはお金と引き替えに、商品を簡単に手に入れることができます。
ところが、市場で売買される商品の価格のほとんどは、生物の多様性に与える影響を計算に入れていません。
その結果、はるか遠くの地域で伐採された木材や、大量の化石燃料を使って生産された食料、再生産が難しい鉱物などが、日本では信じられないほど安い価格で売られてる、ということがおこります。

生物の多様性の価値を正しく評価しない経済によって、自然の再生産力をはるかに上回るスピードで土地の開発や資源の消費が拡大しました。
その影響は、多くの野生の生きものの生息地の破壊とその絶滅という形で地球全体に広がっています。

世界の科学者や政府の機関などでつくる国際自然保護連合(IUCN)の報告では、地球上の約4万8,000種の生物を調べたところ、2009年の時点で約36%に当たる1万7,291種に絶滅のおそれがあるとの結果が出ました。
生物の多様性は、目に見える形で失われています。

日本においても、ほ乳類・は虫類・両生類については、国内にくらす種(亜種などを含む)の約半分が、鳥類はおよそ2割が、私たち人間の活動を主な原因として、すでに絶滅、または絶滅が心配されている状況になります。
また、こうした状況は、自治体レベルでみると一層深刻なものとなっています。

このままの速度で生物の多様性を失い続けると、一昨年に発生した世界的な金融危機とは比較にならないほどの経済的な損失が発生するだけでなく、気候の変化やそれによる農作物や漁業資源の減少など、多様性を失った地球の生態系が私たちにおよぼす影響ははかりしれません。

経済の活動を持続的なものとしていくためにも、経済活動によって起こった、また今後起きる、生物の多様性の減少分を、経済的な価値からも評価する必要があります。

安く買えるからくりは?

私たちは、商品の本来の価値、またはかかる費用よりもはるかに安い値段で買い物をしていると言えます。
例えば現在のしくみでは、材木の値段は、切り出すための費用、運搬費用をはじめとした、商品化に必要な費用を加えて決まります。
樹木には、「酸素をつくる」、「二酸化炭素を固定する」、「土砂が流されるのを防ぐ」、「野生の生きものを育む」といった、上であげた費用だけでは計算できない、たくさんの価値があります。
しかし、これらの働きに対する価値は、値段に適切に反映されていません。

将来世代にも自然のめぐみを残すためには、自然が回復できる範囲で自然のめぐみを利用することが必要です。
それができない場合には価格が高くなるはずです。
将来世代が受けられるはずの自然のめぐみを回復させることなく使い続けていることで価格は安くなり、大量の消費につながっているのが今の状態です。
豊かすぎる生活は、子どもたちや将来の人々の財産を使い続けることで実現しているのです。
生物の多様性を守るのは行政の義務 No.106[2016年03月28日(Mon)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.106
−市・区・町・村の最も大切な仕事は自然地の買い取り−
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  • 「生物の多様性」を守るのは地域から

  • 世界が注目する「生物の多様性」

  • まちなかに自然を

  • 運河を軸にしたエコ・ネット

  • 世界の自治体の取り組み

  • みんなが輝くまちになるために




まちなかに自然を

開発により、いたるところで生きもののすみ場所が分断され、自然の質が下がっています。
生態系の恵みをこれから先も安定して受けるために、どのように自然を増やし、まちなかにひきこめばよいのでしょうか。

分断された自然をつなぐエコロジカル・ネットワーク

今ある自然は守りながら、こま切れになってしまった自然をつなぎ、生きものが移動するための道すじを確保したり、より豊かな自然を回復させる取り組みがエコロジカル・ネットワーク(エコ・ネット)です。
高次消費者の巣や食物を捕る場所など、自然的価値が高い「コアエリア」と、その周辺地域の「緩衝帯」、そして生きものの移動が可能となり連続的な自然環境の「コリドー」などで構成されます。

まちづくりの計画において「私たち人間が生活をいとなむ場所」と「野生の生きものがくらす場所」をはっきりと示し、土地を確保することにより、生物の多様性を守り、また人間にとっても持続的に生態系の恩恵を受けることができるのです。

国レベルでのエコ・ネットの形成の重要性に関しては、第三次生物多様性国家戦略および国土形成計画(全国計画)のなかで指摘されています。
また、首都圏や近畿圏、中部圏といった広域圏レベルの地域づくりの計画においても、エコ・ネットを推進していくとする方針が示されています。※

身近なまちづくに直結する自治体レベルではどうでしょうか。
平成20年5月につくられた「生物多様性基本法」によると、生物の多様性を確保するための地域戦略をつくるよう努めなければならないとされています。
その際、生きものの視点で土地利用のあり方を考えるエコ・ネットの考え方は必要不可欠です。
地域の自然環境を把握し、森や川といった自然をどのようにネットワークさせて増やしていくのか…。
農地や林地、人間が利用する居住地や施設、道路などをどのように配置するのか…。
それぞれの自治体が地域の実状に沿って、戦略的に生物の多様性が守れるよう、計画図をつくる必要があるのです。

※例えば、中部圏広域地方計画では「中部圏が誇る豊かな自然の維持・保全と持続的な利用を図るため、生物多様性地域戦略の策定・推進を始め、鳥獣保護・管理、緑の回廊「コリドー」の整備等により、野生生物の生息環境や生態系の保護・管理による中部圏エコロジカルネットワークの構築を推進する。(略)」とされています。

さまざまなレベルのエコロジカル・ネットワーク

ため池で一生を終えるメダカ、県境も越える広大な森にくらすツキノワグマ、季節によりくらす国を変えるガンやカモ類など、体の大きさや食べ物の採り方、子育ての方法などによって、野生の生きものが必要とする環境のタイプやその面積はさまざまです。

このため、エコ・ネットを検討し、形成していくにあたっては、いろいろな野生の生きものの生態を理解したうえで、国際的な視点も踏まえ、全国、広域圏、都道府県、市区町村、また流域圏など、さまざまな空間レベルで、各レベル間の整合性についても充分に考慮する必要があります。
川が怒っている No.105[2016年03月27日(Sun)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.105
−川は健全な生態系のめじるし−
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持続可能な社会が実現する安全で自然豊かなくらし

水害を減らし、さらに自然を再生する

縮小する公共事業費と増大する維持管理・更新費によって生じる費用面の限界、そして自然の営みに対する人工構造物の能力の限界から、これまでの治水の考え方では、私たちのくらしを完全に水害から守ることができないことは明らかです。
これからは、氾濫の起こる地域には人を住まわせないという発想も取り入れた対策を行っていく必要があります。

日本はすでに、人口が減少する時代に入っており、まちづくりや土地利用のしかたも大きな転換が必要になりました。
この機会をうまくとらえれば、新しい発想のまちづくりや治水が可能です。
例えば、洪水の危険性の高い地域に住宅を建てさせない、すでにある住宅を移転させるなど、土地利用を法的に禁止・制限することで、人が住めないようにしていくことも必要です。
さらに、人が住まなくなった場所を、自然の氾濫原として保全・再生し、私たちの生存の基盤である自然の生態系をしっかりと守っていかなければなりません。

自然の生態系のもつ機能をいかしながら治水に取り組むことによって、水害の危険性を減らし、維持管理費を削減できるだけでなく、地球温暖化による気候変動やヒートアイランド現象などの水害を引き起こす原因の緩和にもつながります。
さらに、身近な自然を守り増やしていくことで、私たちのくらしに必要なさまざまな恵みを受けることができます。
こうして得た恵みは、今の私たちだけでなく将来にかけても大切な財産として残していくことができるのです。

子どもたちや将来世代に安全で自然豊かな社会を引き継ぐために

私たちは、物質的に豊かすぎる社会をつくり上げるために、大量の資源を浪費し、自然を破壊し続けてきてしまいました。水害から自分たちの生命・財産を守るために取り組んできたこれまでの治水もまた、今の私たちだけの豊かさを求める発想に基づいたものであったといえます。

ダムや堤防などの人工構造物ばかりに頼った治水の考え方では、川の怒りを買い、子どもたちや将来世代の財産を奪いさることにもなり、将来世代が安心して暮らせる健全な社会を手渡すことができなくなるのです。持続可能な社会を目指すことが国際的な共通認識となっている今、治水についてもこれまでの考え方を根本から見直し、健全な川と共存することによって、安全で自然豊かなくにづくり、まちづくりに取り組んでいく必要があります。
干潟をほろぼす日本 No.104[2016年03月26日(Sat)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.104
−再生に向かう世界−
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  • 干潟が消える

  • 干潟がもたらす恵み

  • 干潟を守るには不十分なしくみ

  • 日本における干潟復元・再生の現状

  • 海外で行われている干潟の復元

  • 今ある干潟を守り、失われた干潟を取り戻す




干潟を守るには不十分なしくみ

経済の成長を優先させ、日本の干潟の約4割もが失われた1970年代初めまでの国づくりには、自然環境を残すという考えがありませんでした。
60年代に起きた公害問題も影響し、70年代以降は法律の中にも環境の視点が盛り込まれたり、事業が環境に与える影響を調べるための法律もできましたが、その後も多くの干潟が開発され、今なお貴重な干潟が開発の危機に直面しています。

埋め立てありきの法律

干潟に限らず水辺を埋め立てる際には、公有水面埋立法に基づいて審査を受け、都道府県知事から免許を得ることが必要です。
1920年にできたこの法律は、都道府県の事業の場合は、埋め立てを申請する知事が、自分で審査をし、免許を自分に与えるかどうか決めるしくみになっています。
そのようなしくみの中で、埋め立て計画が客観的に検討されないということは想像に難くないでしょう。

そもそもこの法律は土地の造成を前提にしたもので、水辺を守るためのものではありません。1973年には、事業の規模のよっては環境庁長官(現環境大臣)が意見を言えるようになるなど、若干の改正はありました。

藤前干潟の場合は地元の粘り強い運動を基本に、世論の後押しもあるなか、環境庁長官の毅然とした反対表明があって状況が一転したまれなケースです。
今後は環境大臣の意見がより効力をもつことが期待されます。

環境への影響を調べても…

1997年には環境影響評価法(環境アセス法)ができ、環境に著しく影響があると思われる事業に関しては、その影響を予測・評価し、それを見て地域住民が意見を述べ、事業者は対策を講じなくてはならないことになりました。
ところが、計画が固まってからの変更は難しく、環境の影響への評価が正しく行われなかったり、事業を中止すべきかの検討もせずに、代償措置にもみたない「影響の低減」どまりの対応に落ち着いてしまうこともあります。
さらには、事業の規模を小さくすることで、この法律の対象外になるようにする「アセス逃れ」のケースも多々あります。

現在はより幅広い事業に対して計画の早い段階からチェックできる戦略的環境アセスの導入が進められていますが、これらの問題を完全に解決できるものではありません。

干潟を守る法律はある、しかし!

1971年に採択されたラムサール条約は、国境を越えて私をする水鳥などにとって重要な湿地を開発から守りつつ、人が「賢明な利用」をすることを目的としています。
日本は1980年に加入し、谷津干潟や藤前干潟をはじめ、37箇所の湿地が登録されています。
ラムサール条約自体に法的拘束力はありませんが、日本では鳥獣保護法の特別保護地区に指定することを登録の要件としており、これにより水面の埋め立てや干拓が規制されます。
ラムサール条約湿地を目指すプロセスにおいて、干潟を守れる可能性が出てくるかも知れません。
10番目の義務教育 環境科 No.103[2016年03月25日(Fri)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.103
−新時代のあたらしい教育−
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  • 今、学校教育に環境科が必要な理由

  • 日本の学校教育における環境教育の今

  • 環境教育の遅れが さらに自然の生態系を壊す

  • 自然の生態系をこわし続ける経済活動

  • 海外で取り組まれている環境教育

  • 環境科が日本、そして世界の環境教育を変える




環境科が日本、そして世界の環境教育を変える


環境教育が目指すもの

環境問題とは、「太陽光」「大気」「水」「土」「野生の生きもの」からなる自然の生態系の破壊と言い換えることができます。
この破壊が、私たち人間の生存を大きく揺らしています。
この危機は、科学技術のみでは解決することはできません。
私たち一人ひとりの行動に、その行く末が託されています。

私たちは、将来の世代に健全な社会を引き渡すために、自然の生態系の回復を目指す必要があります。
現代の産業やまちづくりの考え方、政治のあり方、個々の生活スタイルなどを見直し、望ましい形へとつくり変えていかなければなりません。
環境教育では、私たち一人ひとりが新たな社会をつくる一員となれるよう、自然の生態系や経済のしくみに関する知識、自然や人を大切にする価値観、市民として行動するための技能を身につけることが求められています。

子どもたちにこうした環境教育を、効果的・効率的に提供していくことこそが、教育基本法に記載された日本の教育の目標である「環境の保全に寄与する態度を養うこと」の実現になります。
そして、1972年にストックホルムで世界各国が交わした約束を日本も果たすことにつながっていきます。

環境科をつくり、世界をリード

環境教育で扱う内容は、多岐にわたります。
それは、環境問題が第一次産業から第三次産業、そして私たちの生活まで関わってくるからです。

そうしたなかで、今までの学校教育における分散型の環境教育では限界が生じています。
今までの環境教育では、すでにある各教科の枠内で行うため、子どもたちが自然の生態系、経済、社会についてつながりをもって学習することができないのです。
また総合的な学習の時間も、教育内容が学校によってバラバラで、すべての子どもたちがきちんとした環境教育を受けられるしくみになっていません。

子どもたちが、持続可能な社会をつくる一員となれるように、必要な知識や技能のあり方を学年に応じて整理し、小学校から高等学校に至るまで環境科を設置することが必要です。

こうした課題は、世界各国の課題でもあります。
環境科の実現は、日本が世界各国の環境教育の21世紀のモデルを世界に示すことになり、日本が世界をリードすることにもなります。

大学の受験科目に環境科を入れる

日本の学校教育は、大学受験を見据えて教育がなされる傾向にあります。
また、自然の生態系は、あらゆる分野の経済や社会活動に関係してきます。
そうしたことから、学校教育での環境科の設置とあわせて、学問を問わず、あらゆる大学の受験科目に環境科を加える必要があります。

それにより、日本が世界の人々のために貢献し、新しい国際社会をつくることができるのです。
水産庁から環境省へ−川や湖を私たちの手に− No.102[2016年03月24日(Thu)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.102
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  • 川や湖などで魚を捕る産業「内水面漁業」

  • 川や湖などで行われる漁業をとりまく問題

  • 川や湖などで行われる漁業自体の問題

  • 川や湖などで行う漁業というものについて、考えを変える時期に来ている

  • 国民と、行政と、漁業の担い手が、魚や川を守る

  • 美しい川や湖を国民の手に取り戻すために




美しい川や湖を国民の手に取り戻すために

魚やエビ、カニや貝など、野生の生きものがたくさんくらす自然豊かな川や湖を、いま一度私たちの手に取り戻すため、また川や湖を守り、次世代に伝えたいと願う人たちを支援するため、次のことが必要です。

川や湖などで行う漁業は、水産庁から環境省に移管する

川や湖などで行う漁業は、自然の中にくらす野生の生きものを捕る産業です。
「水産資源」は「野生の生きもの」であり、「漁場」は「野生の生きものがくらす場所」で、自然の川や湖などのことです。

このことから、川や湖などで行う漁業については、川や湖などの生態系を管理するという視点から、水産庁から環境省に移管させることが適切です。

漁業法に、川や湖の自然を守り育てることを明記する

放流に頼ることなく、自然の中で魚などが安定してくらしていくためには、川や湖などの自然環境を守り育てることが何よりも重要であり、国や地方公共団体はこの目的に向けた取り組みを行っていく必要があります。

これを受け、各地の川づくりなどに関する計画に、サケやアユのみならず、水の中にくらすすべての野生の生きものが安定してくらしていけるような自然環境の保全・再生について明記し、そのうえで計画に従った川や湖などの自然環境の保全・再生を、また生きものの安定したくらしに悪影響をおよぼすおそれのある事業については、自然環境の質がそこなわれないよう、適切な処置を進めていく必要があります。

また、川や湖などは、子どもたちが野生の生きものとふれあう自然体験の場として、大変重要です。

子どもたちの魚捕りについては遊漁料を取らず、自然を子どもたちの手に取り戻していく必要があります。

増殖体制について見直す

漁業権や増殖義務の大元となる漁場計画を作成する際には、各地の川や湖などに対し適切な環境アセスメントを行い、卵を産む場所や、稚魚が成長する場所などの一体的な確保に重点を置きます。

これを受けて増殖義務についても、魚の放流よりも漁場を守ることに重点を置くよう見直します。

特に自然への影響が大きい他の地域の魚などについては漁業権の対象とせず、自然の川や湖などへの放流は全面的に禁止していく必要があります。
新しい日本への投資 No.101[2016年03月23日(Wed)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.101
−渾沌からの日の出−
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  • 日本の国づくりへの投資

  • 持続可能な国のつくりかた

  • 自然地を残す国々

  • 60%の自然地が確保された日本へ

  • 国の予算の1%を毎年、新しい日本をつくるために投資




日本の国づくりへの投資

戦後、日本の経済は勢いよく生長をつづけ、1970年代には9割の国民が自分を中流階級だと考える「一億総中流」の時代を迎えました。
日本が戦後の復興という当初の目標を達成したこの頃から、世界では「持続可能な国づくり」が大きなテーマになりました。
しかし日本は、将来世代の財産を消費しながらさらなる経済の発展をめざし、「持続不可能な国づくり」を進め、今に至っています。
お金と物と不振の渦巻く渾沌の日本から、100年先をみすえた自然と共存する美しい日本を世界に示す時を迎えています。

世界が迎えた転機

1774年にワットが発明した蒸気機関車は、イギリスで綿織物の大量生産や鉄道での輸送などを可能にし、石炭を資源とした産業革命へとつながりました。
石炭を大量に長い間燃やしつづけたために大気汚染が発生し、首都ロンドンは「霧の都」と呼ばれたほどです。
歴史上初めて石炭という化石燃料を使った文明は、産業の急速な発展をもたらしましたが、一方で、二酸化炭素の増加による地球温暖化という新しい環境問題にもつながりました。

この石炭文面は約100年続きましたが、1908年にアメリカの自動車会社が「T型フォード」と呼ばれる自動車を量産するようになり、ガソリン車を中心とする石油文明の時代へと変わっていきます。

しかし、その石油文明もたった100年しかもたないということが、1970年代に明らかとなりました。
1972年にスウェーデンのストックホルムで開かれた国連人間環境会議や、民間の研究機関であるローマクラブから発表されたレポート「成長の限界」をきっかけに、地球の資源をとりすぎないような持続可能な経済のあり方が問われはじめました。
大量の石炭と大量の石油を消費して成り立つ今の文明のあり方に、大きな問題があったのです。

持続可能な国をつくる投資

1992年にブラジルで開かれた地球サミットでは、180もの国々の参加によって、持続可能な社会への転換を地球規模で取り組むことが決められました。
日本もこのサミットに参加し、持続可能な国づくりに取り組むことを約束したものの、国内では石油を大量に消費し、自然を次々と破壊しコンクリートやアスファルトなどの人工的な環境に変えています。
世界が持続可能な国づくりに向けて方向を変える一方で、日本は転機を迎えることなく、持続不可能な道を歩んできてしまいました。

これまでの日本は、私たち現代世代を中心にした国づくりを進めてきました。
しかし、先祖が私たちに残してくれたように、私たちには将来世代が使う資源を残しておくという未来への責任があります。
ここで国づくりの方向を転換し、現代世代だけでなく、将来世代も豊かに暮らしていけるような、未来への投資をしていくことが必要です。
よみがえる川ほろびる川 No.100[2016年03月22日(Tue)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.100
−自然との共存が世界の流れ−
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遠い存在となった都市の川 -身近な場所が、危険な場所に-

川から人が消えた

川がまだ清らかで自然豊かな時代、川は人々の生活と密接に関わっていました。
子どもたちが川で泳ぎ、魚を捕って遊ぶ姿がどの川でも見られました。

しかし、都市化して悪臭を放つような汚れた川には、誰も近づかなくなりました。
また、各家庭に水道がひかれると、蛇口をひねれば簡単に水が手に入るようになり、生活の中で川を利用する必要がなくなりました。

さらに、治水中心の川の工事によって人工的な姿となった川は、人々の安らぎの場となるような魅力的な場所ではなくなってしまいました。
同時に、フェンスやコンクリート堤防が川の両側に伸び、人々が水辺に近づけない状態となってしまいました。

多発する都市型水害

近年、都市部では「ゲリラ豪雨」と呼ばれる、狭い地域で短期間に大量の雨が降る現象が頻発しています。
ゲリラ豪雨の発生原因については、まだはっきりと解明されていませんが、都市のヒートアイランド現象※が一因と考えられています。

このような豪雨がコンクリートやアスファルトで覆われた都市に降ると、雨水が地中にしみ込まず、大量の雨水が一気に川に流れ込みます。
その結果、川の水位が急に上がり、激流となって流れ下ります。
また、川が流すことができる水の量を上回る雨水が流れ込むと、川があふれて道路や建物が浸水するなどの被害が起きます。
また、都市部は地下鉄や地下街などが多いため、あふれた水が流れ込むと、さらに大きな被害が出ることになります。

※ヒートアイランド現象…コンクリートやアスファルトによる舗装、またはビルなどの冷暖房を行う空調や自動車からの排熱の影響で都市部の気温が周辺地域よりも高くなる現象。
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