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風力発電 -豊かすぎる私たちの生活- No.49[2016年01月31日(Sun)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.49
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  • 注目を集める風力発電

  • 風力発電の問題点

  • 土地利用計画への位置づけ

  • 風力発電も無限には期待できない

  • 風力発電をめぐる賛否

  • 風力発電を意味あるものに


新エネルギーのひとつとして脚光を浴び、急成長をとげる「風力発電」。
しかし、その存在が、今の私たちの異常な消費を支えるためのものであってはなりません。


風力発電をめぐる賛否

ものごとには、よい面もあれば悪い面もあるように、風力発電に関しても様々な意見や考えがあり、公正に判断する必要があります。

二酸化炭素の排出を抑えるための必要という意見

◆風力発電の長所

米国の国立再生可能エネルギー研究所では、風力発電の長所を次のように述べています。

  • ・風のエネルギーは無限で再生可能なので、将来性がある。

  • ・これまでの発電所と異なり、風力発電所は大気汚染物質や温室効果ガスを発生しない。

  • ・石油や他の燃料の輸入による貿易赤字、汚染による健康や環境へのコスト、枯渇する資源にかかった対外的、社会的コストを回避する。

  • ・風のエネルギーは、国内産の信頼できる資源である。


◆温暖化防止に寄与する主要資源

また、日本の新エネルギー財団がこの4月に発表した「風力発電の導入促進に関する提言」のなかでは、風力発電の今日的価値を次のようにまとめています。


「風力発電の長所はクリーンであること、純国産エネルギー資源として無尽蔵であること、そして短期間で開発が可能であることであり、一方欠点はエネルギー密度が低いこと、大きな出力変動をもたらすこと、等である。

どのエネルギー資源も一長一短があり、地球温暖化が進む当面の間は、二酸化炭素排出を短期間に抑制することが可能な全てのエネルギー資源の開発が大きな価値を有する。

特に風力エネルギーは温暖化防止に寄与する主要なエネルギー資源であり、かかるグローバルな視点から、技術的・制度的課題を早急に解決することが望まれる」


その上で同財団は、風力発電の2010年までの開発目標を140万kW以上に上方修正すること、発電電力価格の公平な負担、補助金制度や税制面での優遇策のあり方の検討、規制緩和、省庁窓口の簡素化、運転データの公開、出力安定化技術の開発と弱小系統の強化、洋上風力発電の開発、役割分担の確率などを提言しています。

石油の消費を前提とした科学技術だけでは問題は解決しないという意見

◆風力発電は石油の無駄づかい

一方、『エコロジー神話の功罪』などの著者のある名城大学の槌田敦教授のように、風力発電は石油の無駄づかいだという意見もあります。

「風力発電が自然エネルギーだというけれども、風だけで成り立っているわけではない。

科学技術を駆使し、石油や金属などの再生不可能な地下資源の消費を前提としている。

風力発電のコストが火力発電の2〜3倍かかっているということは、それだけ無駄に石油が消費されているということだ。

科学技術は石油を消費することによって成り立つ技術であり、風力発電も結局、石油を消費して何かをつくり、それを消費して電力にするという発電方式である、石油を直接消費する火力発電との違いは、石油の燃やし方が違うというだけ。

代替エネルギーという言い方は嘘です」


◆今の石油文明に未来はない

「さらに言えば、太陽光発電や風力発電はコストが高いため、何らかの形で補助金を得て成り立っている。

お金のない政府が補助金を出すということは、国債を発行することであって、将来それを返済するためには余計な税金をかけなくてはならない。

余計に税金を払うためには、国民が余計に働かなければならないわけで、余計に働くということは、すなわち余計に石油を使うことを意味する。

これではとても風力発電や太陽光発電を自然エネルギーと呼ぶわけにはいかない。

自然のエネルギーを無駄なく使うという意味では光合成が一番。

森林を育て、木材や紙などとして利用した後に燃やすのは、一種の太陽光発電といってもいい。
今のように生活が自然の流れとかけ離れた石油文明に未来はない。

今やるべきことは、私たちの生活を徐々に自然の流れにあったものに戻すことであって、石油を消費する科学技術に頼った風力発電設備を大量に並べることで解決する問題ではないはずだ」
学校ビオトープ No.48[2016年01月30日(Sat)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.48
−子どもと地域の自然を育む環境教育の教材−
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  • 野生の生きものがあふれる学校あつまれ!【レポート】第一回全国学校ビオトープ・コンクール発表会

  • 環境問題を解決するために

  • 魅力あふれる教育を展開しよう

  • 学校ビオトープを十分活用するために

  • 学校ビオトープで自然を広げる、視野を広げる


世界各国では、環境教育によって、社会の基盤である自然を守り育てるために、自ら考え、行動する人材を育成しようとしています。
一方、日本の従来の教育は、知識偏重とも言われ、環境教育についても「環境問題についての知識を与える」あるいは「自然の一部だけを教える」にとどまることが懸念されてきました。
しかし、多くの学校が、環境教育の教材として非常に優れている学校ビオトープを導入しつつあり、これによって日本の環境教育を、世界が目指す人材育成のための教育へと刷新することが期待できます。
すでに欧米でも学校ビオトープを積極的に導入し、成果を上げています。
今回は、国内で初めて行われた学校ビオトープ・コンクールの報告も交えながら、学校ビオトープの可能性について考えていきます。


学校ビオトープを十分活用するために

学校ビオトープは、環境の時代と言われる21世紀にふさわしい教育を展開するための協力な教材です。
これを十分に活用するために、地域の自然を取り戻し、地域のさまざまな生きものを呼ぶ、さまざまな考え方や工夫を紹介します。

◆どうして「地域」にこだわって学校ビオトープをつくるのか?

自然生態系のなかでは、地域の生きものがお互いに関わり合いながら、長い時間をかけて進化してきました。
その結果、ある特定のものしか食べない専門家も登場。
例えば、ミドリシジミの幼虫はハンノキの葉、ヤマトシジミの幼虫はカタバミの葉を好みます。
こうした生きものは、学校農園や花壇では暮らすことができません。

一方、学校ビオトープには地域の植物が生え、それらを食べる地域の動物が暮らすようになり、子どもたちが自然のしくみを学ぶことができます。

こうした地域の自然を見せるには、学校ビオトープの面積をできるだけ広く確保する方が、地域の自然により近いものがつくれ、さまざまな生きものを呼ぶことができます。
理想としては、学校の敷地全体を学校ビオトープとし、グランドは草を適度に刈ったところを利用、敷地の一部は比較的教材として花壇や学校農園にしてもよいでしょう。
また、学校と外の自然をつなぐことで、地域の自然と一体となった学校ビオトープとするのです。
学校ビオトープの池などには、金魚などの愛玩動物やアメリカザリガニなどの外来種をいれず、「地域の自然」にこだわるようにし、子どもたちに間違った自然観を与えないようにします。
学校ビオトープの草木、花壇の植物などにはそれぞれの解説をつけ、どれが地元の植物かを分かるようにします。

学校ビオトープをつくるときの手順ごとに、地域の生きもののための考え方や工夫があります。
新しい文明の夜明け No.47[2016年01月29日(Fri)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.47
−自然を食いつぶす文明から自然を回復する文明へ−
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  • かつて文明は自然破壊とともに消えた

  • かつてないほどの人類の繁栄

  • 破壊され続ける自然生態系

  • 地下の財産まで食いつぶす現代文明

  • 地球は無限ではない

  • 文明のあり方をかえるとき


かつて緑豊かな森があった中国の黄土高原。
しかし、人間はその森を際限なく消費し、はげ山に変え、流れ出した土壌は今も黄河を黄色く染め続けています。


破壊され続ける自然生態系

華々しい繁栄をとげた現代文明。
しかし、それはかつての古代文明がそうであったように、自然の破壊と消費によって成り立っています。
土も水も大気も、今や地球規模で取り返しのつかないほど破壊や汚染が進み、そして野生の生きものも次々と絶滅の危機にさらされています。
国際連合食料農業機関(FAO)は、熱帯地域では1990年から1995年の間、平気すると日本の面積の約3分の1に相当する1,259万haの森林が、毎年なくなっていったと報告しています。

森を失った古代文明の消滅が地域内のことであったのに対し、現代文明の消滅は、全地球規模におよぶことを自覚しなくてはなりません。

自然を直接破壊するだけでなく、人間がつくりだした有害な物質を自然界に出すことで、自然生態系を犠牲にしていることも現代文明の特徴のひとつです。

なかでもダイオキシンは、人間がつくりだした最も危険な化学物質のひとつです。
ベトナム戦争では、ダイオキシンを含む「枯れ葉剤」が化学兵器として使われ、森林は枯れ、土壌中の微生物までが死に絶えました。

ダイオキシンには、ガンや奇形を起こす作用があることが認められています。
ベトナムの枯れ葉剤がまかれた地域では、無脳症など新生児が障害をもって生まれる確率が、以前に比べ非常に高いものに変化しています。
都市計画をかえる No.46[2016年01月28日(Thu)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.46
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  • これが私たちが望んだ都市の姿だったのだろうか?

  • 災害の起こりやすい場所が市街化区域になっている!

  • 都市から次々と消えていく農地や野生の生きものたち

  • 野生の生きものたちを都市に呼び戻すドイツの都市計画

  • コンクリートやアスファルトをはがす時代へ


将来の子どもたちのために、自然や農地を都市のなかでも守る。
それが新しい都市計画法が果たすべき21世紀の最も重要なテーマです。


これが私たちが望んだ都市の姿だったのだろうか?

今朝、起きてから今までに自分が「土」をふんだかどうか思い出してみてください。
一度も土をふんでいないという人も多いのではないでしょうか?
私たちは、自然とのつながりを断ったまちを、つくり続けてきたようです。

都市はこのままでは崩壊する

◆自然破壊と資源やエネルギーの大量消費

これまで私たちは、物質的な豊かさを夢中で追い求め、自然を壊し、限りある資源やエネルギーを大量に消費しながら都市をつくってきました。
しかし、気がついてみれば地球温暖化やゴミ問題、野生の生きものの絶滅など、環境問題が大きく目の前にたちはだかり、安全な暮らしは、音を立て足元から崩れようとしています。

◆終わりを迎える自動車の時代

日本は、国の面積あたりの道路の長さは今でも世界一ですが、さらに高速道路などを21世紀初頭には14,000Kmにするという長期構想があります。
平成9年度末で7,265Kmありましたから、その2倍近くまで延長される計画です。
石油が採れるのもあと43年という状況の下、将来世代も必要とする貴重な地下資源を食いつぶしながら、しかも、地球温暖化の原因となる二酸化炭素などをまきちらす交通システムを前提とした今の都心のつくり方が、果たして持続可能といえるのでしょうか?
自然をふやすくふう -ミティゲーション- No.45[2016年01月27日(Wed)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.45
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  • ミティゲーションって何?

  • 回避が最優先

  • 「代償」ミティゲーション

  • ドイツのミティゲーション

  • 都市の再開発にこそ「ミティゲーション」を


ミティゲーションは、環境への悪影響を避けたり自然をふやすためのひとつの方法です。自然の開発をはじめから認めた上での消極的な対策にとどめるのではなく、残された質の高い自然をこれ以上壊すことをやめ、さらには、過去に壊した自然を積極的に回復するための手段とする発想が、これからの時代に求められています。


ミティゲーションって何?

開発事業にかかわる環境アセスメントのニュースなどで、「ミティゲーション」という言葉がきかれるようになってきました。
ミティゲーションとは、一般に、自然への悪影響を「避ける/やわらげる」という意味ですが、米国などでは古くから法律に位置づけられ、自然を確実に守りふやしていく手続きのひとつになっています。

◆ミティゲーションって何?

自然の開発を行う計画などがもちあがったとき、最近よく「ミティゲーション(mitigation)」という言葉を耳にします。
ミティゲーションとは、簡単にいえば、自然への悪影響をさけたり、やわらげたりすることです。
例えば、ゴミ処分場をつくるために湿地の埋め立てを予定していたとします。
しかし、そこが渡り鳥の利用する大切な場所であるという理由から、埋立てを中止した場所がそうです。
あるいは、道路を建設する事業で、計画では道路が森をつらぬくことになっていたところ、森を壊さないようなルートに変更したという場合、ミティゲーションを行ったといいます。

◆ミティゲーションの種類

こうしたミティゲーションの考え方は、欧米では古くからありました。
米国では1969年、環境に関する国の基本法である「国家環境政策(NEPA)」ができ、この法律に位置づけられた環境アセスメント制度に関連して、ミティゲーションの種類が定義されています。
米国では現在、次の3つに大別することが多くなっています。

  • 1. 「回避」開発を中止したり、別のところで行うことで自然への悪影響をさける

  • 2. 「最小化」開発面積を小さくしたりして、自然への悪影響をできる限り小さくする

  • 3. 「代償」開発によって失われる自然の代わりに、別の場所で自然を守ったり、新たに自然を回復したりすることで悪影響の埋め合わせをする


◆回避→最小化→代償

ミティゲーションの検討にあたっては、優先順序があります。
その順序とは、@回避→A最小化→B代償の順です。
まず回避が優先され、代償は回避や最小化が困難な場合の、あるいは最小化しても残る環境への悪影響を埋め合わせる最後の手段です。
こうした順位づけは、環境アセスメントと大いに関係があります。
米国の環境アセスメント制度のなかでは、計画された開発事業などが環境へ大きな影響を与えると予測された場合、その影響を評価し、環境への影響をさける代替案の検討が義務づけられています。
その代替案においては、上に示した優先順位でミティゲーションを検討することになっています。
ビオトープガーデン No.44[2016年01月26日(Tue)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.44
−ガーデニングは野生の生きものと共に−
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写真に写っているのは、なんでしょうか?
実は竹筒の中にすみついた2匹のアマガエルです。
ビオトープを大切にすれば、庭にもいろいろな生きものたちもやってきます。
自然が失われ続けている今、身近なところでも、野生の生きものたちの暮らす場所を守ってあげることが大切です。


ドイツの庭園博と日本の都市緑化フェア

日本では、毎年「都市緑化フェア」が開かれています。
そこには様々な庭の見本展示が行われ、そのデザインなどを競い合ったりしています。
一方、ドイツの「庭園博」では、会場となる用地を買い上げるなどして、都市に新たな緑地をつくりだしています。

◆自然観に影響する都市緑化フェア

日本ではヨーロッパなどの園芸博覧会のように、1983年から毎年「全国都市緑化フェア」が開催されています。
特定の都市公園を会場としながら、各県もちまわりで行われ、新しい緑化技術や様々な庭の見本展示を行ったり、そのデザインなどを競い合うなど、各種のイベントが行われます。
国民的な花と緑の祭典として、例年、200万人弱ぐらいの人々が訪れ、緑化に対する考え方を伝える上で、その影響力は決して小さなものではありません。
都市緑化フェアの基本方針のひとつには、「未来社会を担う子供達を中心に、緑や自然に対する理解を深めるなど、環境教育の場とする」というものがあり、ここで伝えられる『自然観』には大切な意味があります。

◆もっと自然生態系への理解を

ところが、現状の都市緑化フェアは観光産業や、花き産業などの関連ビジネスの活性化に重点が置かれ、入場者数の多さで成功かどうかを判断するという一面があります。
しかし、基本方針にのっとり、自然生態系についてもっと理解が深まるような内容が必要です。
今年、宮崎市で開かれた都市緑化フェアでは、たしかにビオトープの名のついた庭の出展もありました。
しかし、それが、ビオトープに対する誤解をまねく内容であったことは残念でした。
例えば、池は土もなくゴムシートがむきだしで、水草は外来種のホテイアオイ、水の中にはヒメダカが泳ぎ、植物もマーガレットやクレマチスといった園芸種が中心だったかからです。

◆自然をふやすドイツの庭園博

一方、ドイツではほぼ2年に1度、『庭園博』が開かれています。
開催地となる各都市では、準備に約10年の歳月をかけ、会場にするための用地を買い上げて整備します。
例えば、フランクフルトで行われた庭園博の場合は、会場の広さが70ha。そのおよそ半分はもともとあった森で、新しく造成されたところには、水辺や草地などがつくられ、自然の多様性を高める努力がなされていました。
さらにすばらしいことは、庭園博が閉幕した後、その用地70ha全体が、市民のいこいの場である都市緑地として残されることです。
つまり、ドイツでは庭園博自体が、都市計画に組み込まれた緑地政策の一環であり、新たなビオトープを生み出す絶好の機会になっているのです。
子どもたちの最も大切な財産を守るための制度 No.43[2016年01月25日(Mon)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.43
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  • 子どもたちの財産を守る「環境アセス法」

  • 「環境アセス法」ここがポイント

  • まず自分たちのまちの環境の目標を描こう

  • 環境アセスを行うなら計画のより早い段階で

  • まちの環境アセス条例をつくろう


平成9年6月13日から環境影響評価法、いわゆる「環境アセス法」が実施されます。
環境アセスは、子どもたちや将来世代の人々の貴重な財産である「自然」を守るための大切な制度です。


まちの環境アセス条例をつくろう

●条例アセスとは?

環境アセスに関しては、国の法律がなかなかできないでいる間に、いわば県や市町村などの法律とも言える「条例」の方が先行してつくられていました。
川崎市が1976年に「環境影響評価に関する条例」をつくったのが第1号です。
その後、主に各県で環境アセスを「条例」や「要綱」として定める動きが活発になったのです。
しかし、「要綱」というのは強制力のない行政指導で、事業者に対し環境アセスの義務を課すものではありません。
これに対し「条例」は、法律と同じように義務が生じ、条例違反者に対しては罰則を定めることができるようになっています。
国の環境アセス法ができてからは、全国の都道府県で要綱を条例に格上げする動きが活発になっています。

●自分のまちの環境アセス条例をつくろう

条例は都道府県だけでなく、市町村でも環境を守るためにいろいろな条例がつくられています。
現在最も目立っているのは「環境基本条例」づくりです。
こうした条例に「環境アセス」を位置づける、あるいは市町村の独立した「環境アセス条例」をつくることは、「自分のまちの自然を守る」ためにぜひとも必要なことです。
国の環境アセス法の対象となる事業は、主に大規模な公共事業などで、3ページの表に示したように一律に決められています。
土地開発、ほ場整備、ゴルフ場、廃棄物の処理施設、レジャー施設、ビル建設などのような中小規模の事業については、環境アセスは行われません。
しかし、環境への影響の大きさは、規模の大小だけでは決まるものではありません。
自然の条件も全国それぞれ違います。
市町村の条例では、環境に影響がありそうであれば小規模な事業であっても、すべて環境アセスの対象にする姿勢が必要です。
列島開発はもうやめよう No.42[2016年01月24日(Sun)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.42
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  • ワシやタカがいない

  • ワシやタカは豊かな自然のシンボル

  • ワシやタカのすむ土地を守る

  • 国境を超えたネットワーク

  • ワシやタカも安心してすめる安全な国に


日本の生態系のトップにあり「森の王者」とも言われるクマタカ。しかし、今では絶滅が心配されている種のひとつとなっています。生態系のトップに位置するワシやタカが暮らせないということは、彼らの生活を支えている多くの生きものや、将来の日本を支える自然そのものがひん死の状態にあるということです。


国境をこえたネットワーク

◆国家間の協力にむけて(アルプスの国々)

ヨーロッパ・アルプスの一角に位置するベルヒタスガーデン国立公園(ドイツ・バイエルン州)は、ユネスコ※1の「人と生物圏保存計画(MAB計画)」の指定を受けている地域です。
人の利用をうまく調整しながら、自然を望ましい状態で保存しています。

ベルヒタスガーデン国立公園では、1994年から「イヌワシ保護プロジェクト」として調査研究が開始され、自動テレメトリーシステム※2が調査地に設定されました。
これにより得られたデータをGIS(地理情報システム)を使い、気象、地形や植生といった他の環境条件と組み合わせながら、さらにイヌワシが暮らす場所としてよい状態か悪い状態かの評価を行って、生息地モデルをつくりあげています。
ここでの成果は、アルプス地域に隣接する各国の研究者などとも情報の交換が行われ、より有効なモデルづくりへと結びつけられています。

1999年秋には、オーストリア、スイス、フランス、イタリア、スロバキアといった国々の研究者が集まり、アルプス全域で国境を越えイヌワシをどう調べ守っていくか、について議論される予定となっています。
このように、行動する範囲の広いワシやタカを守るためには、まず自分の国のワシやタカを守り、その上で彼らの暮らす地域にかかわる国々が協力しあいながら、自然生態系を守り回復させる努力を重ねることが大切です。

※1ユネスコ(UNESCO):国連教育科学文化機関。
※2自動テレメトリーシステム:発信器をつけた個体の位置を、24時間365日、自動的に記録するシステムのことで、イヌワシなどの特に行動する範囲が広い動物の調査に有効な手法といえます。

◆大陸間の協力にむけて(渡りの中継地・イスラエル)

渡りをするワシやタカなどの鳥にとって、国境や宗教の違いは何の意味ももちません。
繁殖地や越冬地、そしてその渡りのルートが安全でよい環境かどうかが、生きるための大切な条件となっています。

イスラエルにおける渡り鳥の研究と保護、教育活動は、レシェム博士(テル・アビブ大学)を中心として、イスラエル政府、イスラエル自然保護協会、アメリカの地球プログラムの協力関係のもとに行われており、世界中の研究者やNGOとネットワークがつくられてきています。

このような衛星追跡の研究は、単に論文を書くために行われているのではなく、渡り鳥を守るために実際に役立てられています。
例えば、アメリカのベチャード博士(ボイジー州立大学)は、北米大陸と南米大陸を行き来するタカに衛星発信器をつけて調査したところ、タカの数が減っている原因が、南米アルゼンチンで行われている、同じ種類の作物ばかりを大量栽培するような近代農業の悪影響であることを突き止めました。
そこで現在では、この問題を解決していくため、地元のNGOや研究者と協力体制を組み、国際的な保護活動が行われるまでに発展していきます。

さて、これまでに紹介してきたように、今やワシやタカを守るために世界では、

  • 1. ワシやタカが安心してすめる環境や生態系を守ることに積極的に取り組み、

  • 2. 自国の保護にとどまらず、国や大陸をこえてワシやタカを守るために国際的に動きはじめています。

また、その実現のためには、NGO、研究者、行政、企業がともに協力していくことが極めて重要です。
環境自由主義経済に向けて No.41[2016年01月23日(Sat)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.41
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  • ふくれあがり続ける私たちの借金

  • 今の自分たちさえよければいいのか?

  • 経済でいう「成長」とは自然の「消費」!?

  • 資源を消費しすぎない持続可能な社会へ

  • 環境自由主義経済の時代


山林に置き去りにされたゴミの山。
さびたドラム缶からは有毒な廃液が漏れていました。
こうしたゴミの処理も十分できないまま、私たちは、将来世代も必要とする自然の資源を消費し続けています。
現在の経済のしくみのなかでは、自然の価値が軽視されていることも問題です。
自然生態系が守られる範囲での経済活動を基本とする、「環境自由主義経済」へと向かうべき時がきています。


ふくれあがり続ける私たちの借金

◆苦しい日本の台所事情

私たちの国では、今年度は2回にわたり、国のお金を使って景気を回復させる対策をとることになりました。
しかし、国にはこれをまかなう十分なお金がりません。
そのため国の借金である国債がまた発行されることになっています。
今年度の国債の発行額は、過去最大の34兆円にも達するといわれています。
今年度の場合、国がこの一年に必要とするお金のおよそ4割が借金です。

◆利子だけでも1時間あたり13億円

こうして借金をふくらませているため、国の予算(一般会計)のうち借金を返す分が占める割合が年々増加しています。
この結果、社会保障・環境保全・教育などに十分な予算を割くことが難しくなってきています。

今年度の国の支払いのうちトップを占めるのは、国債の返済で約17兆3千億円です。
しかもその約7割は利子の支払いです。
借金そのものを減らす支払いは、残り3割ほどにすぎません。
これは、利子だけのために1時間あたり約13億円も支払っている計算になります。

◆借金をいつ返す?

「財政赤字は確かに問題ではあるが、まず現在の景気をよくすることが先で、景気がよくなれば赤字も減る」という考え方があります。
しかし国債での借金は、国債が戦後初めて発行された昭和40年度以降、好況、不況といった景気の変動にかかわらず、常に増え続けています。
また、日本の15歳から64歳(生産年齢)の人口は、1996年の8,716万人(総人口の69%)から2020年には15%減の7,381万人(同60%)、2050年には3分の2以下の5,490万人(同55%)にまで減少すると推定されており、経済力が衰えることが予想されています。
借金を増やして問題を先送りしても、将来、返せるというあてはなく、子どもたちに負担を押し付けることになるだけです。
日本にも自然を守る法律を No.40[2016年01月22日(Fri)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.40
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  • 殺され続ける野生の動物たち

  • 自然の破壊が不幸な関係を生み出した

  • 「鳥獣保護法」の改正で問題は解決するのか?

  • 自然を守る法律を作ることがすべての基本

  • 野生の動物たちと共に生きていくために


絶滅の危機にさらされる動植物が増え続ける一方で、一部の鳥獣による農林業の被害の声が高まるなど、野生の動物たちと私たちの生活の対立が激しくなっています。しかしその原因は、私たちが自然を壊してきたことが深く関係しています。問題解決のためには、狩猟の管理などだけではなく、社会のしくみや農業や林業のあり方を、自然を守るものにかえていくことが必要です。


自然の破壊が不幸な関係を生み出した

自然を壊したツケが今のしかかる

●餌付けや人慣れをさせて引き寄せている
また、人間側が野生の動物に対してペットのような感覚で接していることも、被害を自ら増やす原因になっています。
観光客がサルにエサを与えてエサの味を覚えさせたり、人に慣れさせてしまうことが、里地の畑に彼らを招き寄せ、作物に被害を受けることにつながっています。

不用意にゴミや残飯などを野外に捨てることも危険です。
森の自然が壊されエサが不足しがちなところへ、そのようなものを置かれては、クマなどにすれば里地に下りてこいと言われているようなものです。
人が捨てたエサの味を覚えたクマの生活は、一層人間に頼るものに変わってしまいます。
その結果、人里にまでクマがたびたび出没するようになり、危険を感じた住民の要望で、「有害」な動物として始末されることになるのです。

●自然を壊してきたツケ

シカは林縁部で暮らす動物なので、生活の場が人間と重なりあいます。
しかし、被害が増えたのは一方的に彼らのせいだとはいえません。
私たちが天然林を切り倒し、スギ、ヒノキの人工林ばかりにしたことも深く影響しています。
木々が切られ植林される森では、造林木が成長するまでは草地や食べれる若木の芽が増え、草食獣であるシカのエサが豊富になります。
もともと繁殖力の強い動物であるため、栄養状態がよければ数が増えるのも当然です。
けれども、その後エサは減り、農林業への被害も大きくなってきたのです。
シカの増加の問題は、現在各地で深刻になっていますが、大きな原因の一つは、シカが種として増えすぎることを防ぐ役割をもったオオカミを、私たちが絶滅させてしまったことにもあります。
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