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沈黙の警告! 消えたカエルの声 No.18[2015年12月31日(Thu)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.18
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  • 世界中でカエルが減っている

  • アンケート 子供たちとカエル

  • なぜいなくなった?

  • 大切なエコトーン

  • カエルがすめる自然をもう一度

  • カエルを探しに行こう


まだまだ寒い日が続きますが、野生の生き物たちは春がやってきたことをちゃんと知っています。
湿地や水田などの水溜まりを探せば、もう、ヒキガエルやアカガエルが卵を産んでいるはずです。
世界各地の人々は、昔から天気の変化や雨期や乾期が近いことをカエルから知り、暮らしに役立ててきました。
カエルが登場する歌や物語もたくさん有ります。
ひょうきんな表情のせいでしょうか、カエルは多くの人々に親しまれてきた生き物です。
しかし、今、地球規模でカエルが絶滅したり激減しています。
その理由が、環境破壊にあることは間違いないのですが、原因が特定できない例がたくさんあります。
カエルたちは「鉱山のカナリア」のように、環境破壊に警告を発しているようです。


大切なエコトーン

カエルは水と陸を行き来する

両生類であるカエルの一番の特徴は水の中で育ち、成長すると陸に上がって暮らすことです。
もちろん親になっても水と陸を行き来します。
つまり、カエルの種類や数が多いと、水辺と森や草地などが一体になった、豊かな自然生態系が残っていると判断できます。
逆にカエルの絶滅や減少は、周辺の自然生態系まで含めた、広範な自然破壊を証明していると考えることができます。

カエルが減るとタカも減る

ニホンアカガエルの卵塊の数が1haあたり100個以下になると、両生類全体の種類数も急速に減少することを、長谷川氏(前出)が調べています。
いなくなるのはカエルだけではありません。
カエルを主食にしているヤマカガシとシマヘビも激減します。
ヘビが嫌いな人は喜ぶかも知れませんが、『食う・食われる』という食物連鎖でつながっている野生の生き物たちには、次々と影響が及ぶことを忘れてはいけません。
谷津田と周辺の森にすみ、その地域の自然生態系の最上位に位置しているサシバというタカは、ヘビやカエルを捕食するため、農地整備や水田の耕作放棄の悪影響をまともに受けてしまいます。
カエルがすめない環境では、イモリやトンボ、サギやイタチも減ってしまいます。

大切なエコトーン

エコトーン。初めて目にされる方も多いかもしれません。
日本語では「環境推移帯」といい、森林から草原に変わる林縁部や、水草が生える水際などの環境を指します。
エコトーンは森と草地、水中と陸上というように異なった環境の接点にあるため、生き物の種類が多様なことが知られています。
水辺のエコトーンは、魚類の産卵場所や稚魚が育つ場所でもあります。
水の濁りの原因になる植物プランクトンは稚魚の餌にもなります。
カイツブリやカルガモ、バンなどの水鳥もエコトーンに巣を作ります。
きれいな水があり、周囲に緑の森があっても、水際が切り立ったコンクリートでエコトーンがなければ、生き物の数が少なくなり、自然生態系の質は格段に低下してしまいます。
水陸両方にすみカエルは、水辺のエコトーンを代表する生き物と言ってよいでしょう。
自然を壊す鉄道・自然をつくる鉄道 No.17[2015年12月30日(Wed)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.17
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  • なぜ線路には草がない?

  • 自然を分断する鉄道

  • 鉄道は地球にやさしい

  • 自然をつなぐ鉄道

  • 鉄道をエコネットワークの軸に

  • 地球にやさしい乗り物を使おう


今年のお正月休みは、2,600万人以上の人々が帰省や旅行に出かけたとのことです。
恒例の”民族大移動”も、以前と比べれば分散化していますが、交通機関は今年も混雑しました。
多くの人間や物資を、安全に早く目的地まで運んでくれるさまざまな交通機関は、私たち現代人の生活に欠かせないものです。
中でも鉄道は、自動車や飛行機と比べるとエネルギー効率が良く、環境への負荷が比較的少ない交通機関だといわれています。
私たちは、交通機関の発達によって便利な暮らしを手に入れました。
しかし、それと引き替えに失ったものはないのでしょうか?
今月号は鉄道を題材に、自然生態系への悪い影響を、それを解決し自然の質や量をより高める方法について考えます。


自然をつなぐ鉄道

鉄道で自然が増える!?

環境先進諸国の鉄道は、どのような位置付けにあるのでしょうか。
それを端的に表しているのが、「鉄道が延びれば沿線に森が増える」といわれる環境対策です。
ドイツやフランスで建設される新幹線は、日本のようにコンクリートの高架が、忽然と田園や自然の中を走っているのではなく、沿線に地域ごとの植物からなる森が復元・創造されています。
沿線の自然化は騒音や振動を防ぎ、景観を守るだけでなく、自然生態系の分断を抑え、さらに東の森と西の森をつなぐという、自然生態系のネットワークに役立っています。

●トンネル化

開通直後のドイツの新幹線。極力トンネルにして、地上部の自然生態系の分断を抑えています。
遠景のトンネル上の農地は、トンネル工事で出た残土で再生されたものです。
地下水脈への影響も考慮されています。

●野草地の復元

在来線でも沿線の自然生態系の保全・復元に取り組んでいます。
ヨーロッパと比べると、高温多雨で植物の成長が早い日本では、野草地を"やぶ"や"雑草地"として嫌い、過剰ともいえる管理がされています。
しかし、日本の野生植物の6種に1種が絶滅のおそれがあるという現実を考えると、地域に在来の野草をいかに保護・復元するかは重要な課題といえます。

●地下化で自然生態系を確保

在来線を地下化し、地上部は在来樹種を用いて自然復元をしています。
騒音防止だけでなく、分断された自然生態系を元に戻し、さらに郊外から市の中心部へと自然をつないでいます。

●路面電車を再評価

都市内交通としての路面電車が、エコロジカルな乗り物として見なおされています。
騒音と振動の緩和のために、軌道敷きの石を剥がして草地にしているところもあります。

●計画的な自然復元

ニーザーザクセン州のゲッチンゲンーガッセル間を走る新幹線。
5〜10年後には、かつてここで自然破壊が行なわれたことさえ分からなくなるでしょう。
自然復元は単に樹木を植えるだけでなく、湿地や池沼、渓流の復元など多様なビオトープの保全・復元が計画されています。
こうしたことが可能なのは、法的な裏付けがあるからです。

●クラインガルテン

ドイツの旧国鉄沿いに整備されたクラインガルテン。市民農園と訳されますが、実際にはビオトープを備えた市民庭園といえます。
生き物の移入・野生化 No.16[2015年12月29日(Tue)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.16
−人の手が乱す生き物の分布−
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  • 生き物の世界も国際化?

  • だれが移入生物を運んだのか?

  • なぜいけない 移入・野生化

  • 地域の生物相を取り戻すために

  • 生き物にとって 本当に良いことを


野生の生き物は、それらが生活している地域の気候や地形、それが成り立った歴史、他の生き物との関係などによって何億年という時間をかけて多種多様に変化してきました。
そして、さまざまな姿かたちや習性を獲得しながら、地球上のあらゆる地域に広がりました。
現在みられる多種多様な野生の生き物は、原始的な大自然から私たちの身近にある雑木林や湿地まで、それぞれの地域でかけがえのない貴重な財産といえます。
ところが、自然地域の人口化や自然の過剰な利用、環境汚染などによって、私たち人類の生存に欠かせない野生の生き物が世界各地で絶滅しています。
そして、多様な生き物を絶滅させている大きな原因の一つが、今回取り上げる『人の手を介して移動・野生化した生物』です。



なぜいけない移入・野生化

1000種以上が海外から

移入生物の自然生態系への影響を考える前に、移入ルートと種類数を整理しました。

1.随伴

物資や輸送手段、導入生物、人の行き来に紛れ込んだもの。

2.天敵

他の生き物を駆除するために導入したもの。

3.ペット

ペットが逃げ出したもの。

4.産業資源

家畜や食料資源などとして導入し、自然界へ放出したり養殖場から逃げ出したもの。


種類数についての正確な調査は行なわれていませんが、外来生物だけで植物が700種以上、哺乳類が22種以上、鳥類102種以上、魚類29種以上、昆虫232種以上、両生爬虫類その他32種以上に達し、在来種さえ十分に知られていないダニなどに至っては全く不明です。
外来生物の総種類数は1000種を軽く越えています。

1.混血化 遺伝的汚染

ある生き物にごく近縁の種類が、外国や他地域から移入されると、混血化によって純粋な系統が失われる例があります。
中国から導入されたソウギョなどに紛れ込んだタイリクバラタナゴとニッポンダラタナゴは絶滅寸前です。
世界最北限のサルとして貴重な下北半島のニホンザルと、逃げ出したタイワンザルの混血化も危惧されています。
本誌’94年5月号のメダカのように、生き物は同じ種類でも地域ごとに遺伝的な違いがあります。
例えば、ゲンジボタルは西日本と東日本では、発光の間隔が異なりますが、神奈川県では発光パターンが東日本型とは考えられないタイプが確認されており、安易な放流による遺伝的汚染といわれています。
遺伝的特性の破壊は、生き物の遺伝子を活用するバイオテクノロジー(本誌'93年11月号)の張った地に悪影響を与えます。
移入種の影響

2.食害 捕食者の出現

自然界の生き物は、常に「食う・食われる」という関係にありますが、バランスを保っていた自然生態系への移入種の出現は、初めて見る捕食者に無抵抗のまま大量に捕食されるという事態を引き起こします。
例えば、釣り人が無責任に放流したオオクチバス(ブラックバス)によって、在来の淡水魚やエビなどが激減しています。
また、ノネズミの駆除にわずか20頭の雄イタチを導入した三宅島では、非公式に雌雄のイタチを放した者がいたため、10年を経たずにオカダトカゲやアカコッコといった、島中の至る所で見られた固有種が激減しました。
アカコッコは地上に巣をつくる習性があり、イタチに巣を襲われることが少なくありません。
アカコッコの卵が雛に育つ割合を調べたところ、1980年頃は70〜85%だったものが、1991年には7%にまで激減しました。
移入種の影響

3.食害と害虫の増加

植物が移入種によって食べ尽くされた例もあります。
小笠原諸島の兄島に自生していたオオハマギキョウは、人間が放したヤギによって絶滅しました。
元来、大型の草食動物がいない小笠原諸島では、植物たちも食べられることに無抵抗だったのです。
また、帰化昆虫には害虫が多いという事実もあります。
外来昆虫232種類の内、72%の167種が農作物などの害虫だといわれています。
移入種の影響

4.駆逐 生息地の独占

生息地や生育地を奪われる被害もあります。
例えば"くつぼそ"の名で親しまれているモツゴが、釣り用のヘラブナに紛れて移入されたため、関東から東北地方に生息していたシナイモツゴは、秋田県のごく一部などに残るだけになりました。
また、国の天然記念物として知られる埼玉県浦和市のサクラソウ自生地には、北米原産のオオブタクサが侵入しており、貴重な植物群落が危機に陥っています。
移入種の影響

5.自然生態系の崩壊

移入種による在来生物への影響は、絶滅や激減を引き起こすだけでなく、自然生態系全体へと広がります。
例えば、移入生物が植生を破壊すると、その植物を餌としていた昆虫の多くは死滅し、昆虫を餌としていた野鳥や小動物にも深刻な影響が及びます。
時には植物が食べ尽くされ、剥き出しの表土が雨や風で失われ、不毛の土地になってしまった例もあります。
また、アカコッコやオカダトカゲが激減した三宅島では、今後これらが餌にしていた昆虫などが大発生して、三宅島全域の植物相などに悪影響を与える可能性も指摘されています。

原風景と文化の破壊

移入生物による影響には、【遺伝子の汚染】【種の絶滅】【自然生態系の破壊】の三つがあり、全て私たち人類存続に関わることばかりです。
更に、これらから派生する影響に、数千年に渡って築かれた日本の原風景と、それが育んできた文化の破壊があります。
例えば、誤ったワイルドフラワー緑化は、感性の鈍化を進めます。古来、野の草花や野鳥を歌に詠み、絵に描き、文学作品に認めることで、日本の豊かな文化の一端が築かれてきました。
しかし、外来種や園芸種の赤や黄色の派手な色の花は、日本の伝統的な"わび"や"さび"といった感性を喪失させます。

環境破壊のバロメータ

移入生物は、自然生態系のバランスの崩れを示すバロメータでもあります。
帰化植物が繁茂するのは、造成地や道端、農地などの自然が破壊された場所であることは前述しました。
サクラソウ自生地への帰化植物の侵入も、当時の乾燥化などと無縁ではなさそうです。
動物にも同じことがいえ、ハクビシンは里山には生息しますが、自然度が高いブナ林では定着していません。
また、琵琶湖のオオクチバスは、渇水による沿岸部の水草帯の衰退後に、激増したことが知られています。
つまり、移入生物は生態系のバランスが崩れている所に入り込み、更にそれを進行させる生物だともいえます。

※公園の池や堀割りなどに放流される錦鯉は、野生の生き物でないうえに、雑食性の大食漢であるため、生態系に大きな悪影響を及ぼします。特に、水草と動物プランクトンを食べ尽くし、水質汚濁を進めることがあります。
絶滅に向うクマ No.15[2015年12月28日(Mon)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.15
−山から下ろされる動物−
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  • 山から下ろされるクマ

  • 孤立化する生息地

  • クマの保護はなぜ必要か

  • 各国のクマ類保護

  • クマと共存するために

  • 身近な動物は?

  • タヌキの場合


我が国最大の陸上野生動物であるクマが、絶滅に向っています。
日本には北海道にヒグマが、本州・四国・九州にはツキノワグマと、2種のクマが生息しています。
どちらも多くの人々にとっては、身近にその姿を見かけることのない、山奥の動物だという印象が強いと思います。
しかし、近年は野生のクマが山里や市街地にまで現れる事件が、日本各地で起こっています。
こんなことは、以前はごく例外的なことでした。
”クマが山を下りる”という全国的な現象は、何を意味しているのでしょう?
クマが絶滅に向っていることと関係があるのでしょうか?
オオカミを絶滅させた私たちは、今、再びクマを滅ぼすのでしょうか?


クマの保護はなぜ必要か

保護が人里への侵入を防ぐ
クマの保護を語る時まず問題になるのは、クマが出没する地域の人々の安全と農作物等への被害です。
クマのような大型獣の保護・管理は、人との「棲み分け」がまず必要となります。
クマの人里への出没は、わずか10年ほど前から起こったことで、昨今のクマと人との問題は、生息地の破壊によって、両者の棲み分けが崩壊した結果との見方が成り立ちます。
生息地の確保や人工林の混交林化※など、自然復元によって、人とクマの棲み分けを回復することが、クマだけでなく人の利益にもつながるはずです。

※混交林:針葉樹と落葉樹が交じり合って生えている森林

クマは自然生態系の指標

クマのような大型哺乳類の生息は、クマの食料になる様々な動植物が分布する、豊かな自然生態系が広い面積で残っていることを証明しています。
クマは豊かな自然の保全・復元のシンボルといえます。
私たちはニホンオオカミとエゾオオカミを絶滅させました。
約100年を経た現在、各地でニホンジカが増加して植生破壊などを引き起こしていますが、その原因のひとつにシカの捕食者であるオオカミの絶滅があげられています。
ツキノワグマとヒグマが絶滅すれば、自然のバランスが崩れ、予測不能な悪影響の発生が考えられます。

もっと理解と議論を

地球をひとつの生命体、あるいは全ての生物と無生物からなる共同体との見方があります。
その考えでは、ヒトという1種の生物が、他の生物を滅ぼすことが果たしてゆるされるのかという主張がなされています。
また、こんな意見を言う人もいます。
「車が危険だからといって、車を全て排除しようという人はいない。
しかし、野生動物や自然の危険・脅威には、排除という考えがまかり通ってしまう。
交通事故には、交通安全教育や交通法規などがあるように、自然や野生動物への対応にも、教育やルールづくりも含めた冷静な対策が必要ではないか」というものです。
地球環境の時代を迎え、「将来世代の権利」や「野生生物の権利」について、もっと議論と理解が必要となりました。
日本に本当の自然公園はあるのか!? No.14[2015年12月27日(Sun)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.14
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  • 自然が守られない自然公園

  • 世界の自然公園

  • 日本の自然公園

  • 日本に本当の自然公園はあるか!?

  • 国際的に認められる自然公園に

  • 自然公園を知り・正しく使おう


梅雨があければ夏休みです。
「山へ行こうか、海へ行こうか」と、計画を立てている人も多いことでしょう。
山や海など自然が豊かな所の多くは、国立公園などの『自然公園』に指定されています。
日本には28の国立公園の他、固定公園が55、都道府県立自然公園が301もあり、その面積は532万ha、実に国土の14%にも達しています。
しかし、自然公園にはゴルフ場やスキー場が造られていたり、人家や商店街さえあります。
都市部では、宅地が自然公園に含まれていることも珍しくありません。
自然公園と聞くと、国などが土地を買上げて、厳重に自然が守られている所だと人々は思っています。
しかし、日本の自然公園は国際的な基準から大きく外れていると言われています。
今年は日本に自然公園が造られて60周年です。


自然が守られない自然公園

自然公園でも進む自然破壊

大雪山、日光、西表など、北海道から沖縄まで全国に384か所の自然公園があり、年間10億人以上もの人々が休日などに楽しいひとときを過ごしています。
そうした自然公園は、その名の通り豊かな自然があり、それらはしっかりと保護されていると多くの人々は信じています。
しかし、瀬戸内海国立公園で最近も問題になった採石や産業廃棄物処分のように、自然公園が開発と自然破壊の問題に直面しています。
日本の自然公園の現状をみてみましょう。

1.自然公園を分断する道路建設

自然公園内にも多くの道路が通っています。
道路は私たちの生活に欠かせませんし、自然公園へ行くのにも必要なものです。
しかし、自然公園の心臓部とも言える重要な地域にまで道路が入り込んだり、地形や貴重な動植物の生息などから、建設に適さないと思われる地域にまで道路が造られています。
例えば、南アルプス国立公園や四国の剣山国定公園のスーパー林道をはじめ、最近では北海道の大雪山国立公園の道道「士幌公然道路」の工事再開などが、大きな社会問題になっています。
自然の中に道路を通すと、その地域の自然生態系が分断されてしまい、自然の質が大きく悪化することが知られています。
藤スパルラインのように森の分断と排気ガスで樹木が枯れたり、動物たちが交通事故に巻き込まれることも少なくありません。

●自然公園と都市公園
公園には、都市公園と自然公園の2つの種類があります。都市公園は街の中にある近隣公園や運動公園などで、「都市公園法」に基づいて建設省や都道府県、市町村が土地を買上げて造り、『営造物公園』といいます。
一方、自然公園には国立公園と国定公園、都道府県立自然公園があり、「自然公園法」に基づいて環境庁や都道府県が公園の地域を指定しています。土地の買上げは前提とせず『地域制公園』といいます。
つまり、他人の土地を単に指定するだけで、自然を守るには非常に弱い制度となっているのです。

2.大規模レジャー施設

1987年6月に施行された「総合保養地域整備法」いわゆるリゾート法は、全国各地の自然公園にゴルフ場やスキー場、マリーナ、ホテルなどの建設ラッシュを呼びました。
しかし、バブル経済の崩壊とともに多くのリゾートが頓挫し、自然破壊の爪痕と多額の負債を各地に残しています。
リゾートブーム以前にも、多くのレジャー施設が自然公園に造られました。
ちなみに有名な苗場国際や湯沢、志賀高原の各スキー場は、全て上信越高原国立公園の中にあります。

3.自然林が人工林に

スギやヒノキなどの人工林は、動植物の種類が極端に少ない上に、根の張りが浅いため保水能力が3分の1にも減るといわれています。
多様な生き物がすむ自然の森と林業という産業のための人工林は、同じ緑色であっても全く異なったものです。
自然公園に何千ヘクタールも広がる人工林は、自然林を伐採して大変な自然破壊を伴った開発行為の結果であり、本来、自然公園には馴染まないものです。

4.歓楽街や市街地も

温泉旅館や観光ホテル、行楽街が自然公園の中にあることも珍しくありません。
例えば、富士箱根伊豆国立公園内の箱根湯本。みやげ物店と観光バスでごった返す中禅寺湖畔の行楽街は日光国立公園の中にあります。
自然公園の中に歓楽街や市街地さえあるのは不思議なことです。
そこで、海外の自然公園を調べてみました。
メダカが絶滅する! No.13[2015年12月26日(Sat)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.13
−トキと同じ道をたどる水田の生き物たち−
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  • メダカがいなくなった!

  • メダカのくらし

  • 地域ごとに異なるメダカ

  • 危ない 水田の生き物

  • なぜメダカが大切なの?

  • 身近な生き物を守るために

  • メダカを探しに行こう


暖かくなり春の小川も輝いています。
ところで、最近小川でメダカを見かけたことがありますか?
「そういえば、メガカなんてずいぶん見ていないなぁ」という方が多いのでは。
身近にいた生き物が、気付いたときにはいなくなっている…。
今、野原や田圃で生活していた生き物が、つぎつぎと絶滅しています。
こんなことは今までになかったことです。
環境庁によると、脊椎動物だけで1,199種もの生き物が日本で絶滅の機にあるといいます。
その割合は、哺乳類が6種に1種、鳥類が5種に1種、爬虫類も5種に1種、そして淡水魚類も4種に1種という信じられないほど高い数字になっています。
今回はメダカを通して身近な生き物の絶滅を考えます。


地域ごとに異なるメダカ

日本に来たのは100万年以上前

日本のメダカと同じ種類は、中国や朝鮮半島にも生息しています。
大陸のメダカを、酵素の違い(アイソザイム型)によって、遺伝子レベルで分析した結果によると、中国から朝鮮半島の西側に生息する中国・西韓集団と、朝鮮半島の東岸沿いに生息する東韓集団に分けられることがわかりました。
同じように、日本のメダカも北日本集団と南日本集団に分けられました。
これた4つの集団は同じメダカという種ですが、遺伝子的には大きな違いがあり、100万年から数100万年にもわたって交流がなかったことになります。
この結果から、少なくても100万年前には、日本にメダカが生息していたことがわかります。

日本のメダカは2集団11地域型

メダカの地域集団の違いは、新潟大学の坂泉満先生の研究結果で、中国大陸約100か所、国内約300か所でメダカを採集し、遺伝子レベルの分析がなされました。
日本のメダカの地域的な違いについてもう少し詳しく見ましょう。
坂泉先生の研究によると、北日本集団は京都府の丹後半島から日本海沿いに青森県まで生息しています。
一方、南日本集団はさらに11の地域グループに分けられます。それらをまとめると次のとおりです。
メダカに限らず生き物は、同じ種であっても地形的な条件や氷河期の影響などの長い年月の隔離から、地域的に遺伝子レベルの変化が起こります。
研究がさらに進めば、外見は全く同じの埼玉県のメダカと千葉県のメダカが、遺伝子レベルでは違うことも明らかになるでしょう。
子供たちに自然を 学校にビオトープを No.12[2015年12月25日(Fri)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.12
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  • 始まっている学校ビオトープ

  • シュールガルテン 学校生態園

  • ビオトープと緑化のちがい

  • ビオトープの教育的効果

  • 学校ビオトープに制度的裏付けを

  • 学校緑化コンクールの見直しを


小学校1〜2年生での生活科をはじめ、理科での自然の事物を対象とした体験学習や、環境教育の導入のように、学校教育で生きた教材としての身近な自然への評価と必要性が高まっています。
しかし、子供たちに自然の中での体験や学習を行わせようにも、学校内や周辺にそうした自然環境が、ほとんど無いのが現実です。
総務庁は85%の子供が日常的に外で遊んでいないと報告しています。
子供たちの健全な成長のために欠かせない、自然体験の場をどう確保すればよいのでしょう。
その回答が学校での『ビオトープ』づくりです。
生き物の生息空間であるビオトープを学校につくることは、自然の大切さを知る生きた教材となり、いろいろな生き物と共存する自然豊かな街づくりにつながります。


始まってる学校ビオトープ

小鳥が鳴く雑木林やトンボの池が

ビオトープづくりに取り組んでいる先進校では、どんなことをしているのでしょう。

【雑木林づくり】

ビオトープは庭園や花壇ではありません。
その地方の昔からのいろいろな生き物がすむ、身近な雑木林などを手本に自然の復元や創造をしています。

【池づくり】

コンクリートではない土の池をつくり、自然の水草を植えてトンボやアメンボがすむ池をつくっています。

【野草地づくり】

自然というと樹木に目が偏りがちです。
野草の原っぱづくりや雑木林の下草も樹木と同じように大切にしています。

【多孔質空間づくり】

丸太や意思を積んだり、落ち葉や枯れ草の山をつくると、昆虫などのすみかになります。
自然はコンクリートなどの人工物のように均質ではなくて、複雑で多様な多孔質空間なのです。
この空間が多くの生き物のすみかになります。


学校ビオトープの原則

@地域の自然がモデル

雑木林や小さな池など、昔からその地域にある身近な自然を手本にします。山の学校と海辺の学校では、モデルが違います。

A目標の小動物を決める

ビオトープの主役は動物です。
トンボやチョウ、野鳥などから自然復元の目標種を具体的に決めます。

Bネットワーク

ビオトープは箱庭でありません。
生き物が行き来するネットワークが欠かせません。

C自然の植生を復元

外国産や園芸種ではなく、その地域に自生する植物を選び、高木・低木・下草などの自然の植生の状態を復元します。

Dなるべく手を入れない

剪定や草刈り、落葉かきなどは極力行ないません。
除草剤や殺虫剤などは厳禁。


●学校ビオトープQ&A

Q: 自然のままだと見た目が悪く、理解者があまりいないのでは?

A: 区域分けと広報が大切です。
ビオトープ区域と花壇などとの使い分けを明確にし、ビオトープの目的を児童生徒・保護者・地域に、さまざまな機会の中でお知らせください。

Q: 草刈りをしないと苦情が寄せられるが?

A: 草刈りを全くしないのではありません。
年に1回刈るところ、5回刈るところなどと、なるべく多くの生き物がすめるように管理します。
草むしりは表土が露出して、雨や風で流失してしまうためにやってはいけません。

Q: 池をつくると蚊がわきませんか?

A: その心配はありません。
自然の池ではヤゴや水生昆虫がボウフラを食べます。
カエルがすみつけば、効果はさらにあがります。

Q: どんな生き物を放せばよいのですか?

A: 捕まえたり買った動物を放してはいけません。
自然を復元すれば生き物はやってきます。
陸上を移動できない生き物は、近くの自然から少しだけ補給します。
コイやアメリカザリガニなどは、ヤゴや水草を食べ尽くすので放してはいけません。

Q: 自然のままだと毛虫が発生しませんか?

A: 生態系のバランスがとれれば、特定の生き物だけが大量に発生することはありません。
気になる場合はシジュウカラ用の巣箱を掛ければ効果があります。

Q: 業者に頼めば費用はどれくらいですか?

A: ビオトープの技術を持った造園業者が少数あります。
当会にご相談ください。
手づくりだと、費用も数十万円から可能です。
地域によっては自然復元や緑化事業の補助金があります。

鎮守の森は貴重な遺産 No.11[2015年12月24日(Thu)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.11
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  • 鎮守の森は豊かな森

  • 森のつくり

  • 森のちがい

  • 森が消えれば文明も滅ぶ

  • 森の復元は可能か

  • 森を生かした街づくりを

  • 鎮守の森を調べよう


初詣にはもう行かれましたか?
私たち日本人は、昔から神社やお寺を町や村、集落などのコミュニティーの中心に置いてきました。
それは初詣やお彼岸といった宗教的な意味だけではなく、昔の人々にとっては文化的・民族的、あるいは門前に市ができたように経済的にも中心をなしてきたと言えます。
こうした神社やお寺ですが、現代人にとってはわずかな精神的な拠り所としての価値しかなくなってしまった感があります。
ところが、環境の時代を迎えた今、身近な自然環境の保全と生態的な復元や創造の大切さが人々に認識されてきたことによって、神社やお寺に繁る社寺林といわれる森が大切な存在になってきました。
社寺林には、街づくり・村づくりの核としての新たな価値を見いだすことができます。


鎮守の森は豊かな森

昔の姿を残す神社の森

神社やお寺には大木があり、見た目にも豊かな緑が繁っています。
お寺の多くが日本の庭園文化を形づくってきたのに対して、神社の森は『鎮守の森』として人の手をあまり加えずに守られてきました。
鎮守の森を雑木林や公園の木と見比べてみると、木の大きさが違うだけでなく、異なった種類の木が多いことに気が付くはずです。
雑木林はコナラやクヌギなどの落葉広葉樹が中心で、公園に植えられた木はイチョウやツツジなどの外国産の木や園芸種が中心となっています。
一方、鎮守の森は北日本を除くと、カシやシイなどのように葉が一年中緑色の常緑広葉樹がたくさんあります。
聖域であった鎮守の森は人の手があまり加わっていないため、その地域に本来生えるはずの木や草が見られるのです。
鎮守の森は地域本来の自然の姿を知る大切な手掛かりでもあります。

”潜在自然植生”

私たちの身の回りの森や林、草原などは、長い間に人の手を加え続けて今の姿になりました。
一方、人の手が全く入らなかった場合に見られるはずの植物の状態を"潜在自然植生"と言います。
カシやシイなどの常緑広葉樹の森は、関東地方よりも南の代表的な潜在自然植生であると考えられています。※
鎮守の森の常緑広葉樹は、今では国土の1%以下までに激減してしまった非常に大切な森なのです。

※関東平野が昔常緑広葉樹であったかは、諸説があります。

鎮守の森に残ったムササビ

夜行性で空を滑空する哺乳類、ムササビの生息地を調べたところ、彼らが住む森のほとんどが、山里に点在する神社やお寺の森だったという結果が出ました。
調べた地域はスギやヒノキの人工林が多い低山帯で、大木がある自然の森にすむムササビにとって、鎮守の森やお寺の森が最後の生息地となっていたのです。
ムササビが住む鎮守の森は、周辺の森林よりも自然が豊かなことがわかります。

森の番人フクロウ

大木の幹や太い枝の中が空洞になったほらでは、フクロウやアオバズクなどが巣を作りヒナを育てています。
フクロウの仲間はネズミや小鳥、昆虫などを食べる肉食性の野鳥です。
そのため、フクロウ類がいる森は、餌になる小動物や植物の種類が多い、豊かな森であることを示しているのです。
フクロウというと山奥の野鳥というイメージが強いかもしれませんが、市街地の社寺林に住んでいることも少なくありません。
例えば、日本一の人口急増県で知られる埼玉県の浦和市や大宮市などでも、中心市街地の神社で毎年アオバズクがヒナを育てています。
環境の善し悪しを示す生き物を"指標生物"と言いますが、フクロウ類は森の豊かさを示す代表的な指標生物です。
フクロウから鎮守の森の豊かさを知ることができるのです。
バイオテクノロジー No.10[2015年12月23日(Wed)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.10
−多様な生き物の保護が未来の子供たちを救う−
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  • 人類を支える生き物の力

  • バイオテクノロジーの可能性と危険性

  • 自然はジーンプール

  • 生物の絶滅と多様性保全

  • 生物多様性保護の法律を

  • 学校にも生物の多様性を


私たち人類は、古くから自然界の多様な生き物を食料や薬品・衣料・燃料・建築材料などに利用して豊かな文明を築きました。
近年は、生き物がもっている『遺伝子』の情報や特性を利用する、『バイオテクノロジー』が注目されており、その発達によって思いがけない生き物が暮らしに役立つことが、次々と発見・実用化されています。
生き物は鉱物資源などと違い、上手に使えば再生産ができる消滅しない資源です。
しかし、一方で人間によるさまざまな行ないによって自然生態系の破壊が進み、13分間に1種の割合で地球上から野生生物が絶滅していると言われる激しい自然破壊の現実があります。
今回はバイオテクノロジーの功罪と、それを支える遺伝子資源としての生物の多様性保護について考えます。


生物の絶滅と多様性保全

減り続ける生き物たち

多様化した生き物に満ちあふれた地球の自然=ジーンプールは、私たちだけの財産でなく将来の世代への財産だと言えます。
しかし、生き物の絶滅(生物多様性の喪失)は、加速度的に進行しています。
例えば、生き物の種類の50〜90%がすんでいる熱帯林は毎年本州の半分の面積が失われています。
森林伐採の速度をゆるめなければ、30年以内に世界の植物24万種のうち6万種が消失すると言われています。
脊椎動物や昆虫が絶滅する割合はもっと高いとのことです。
こうした事態は熱帯林だけではありません。
ヨーロッパ各地では真菌類の種数が50%以下に減少し、ガラパゴスやカナリア諸島などでは固有な植物の60〜75%が絶滅の危機にあります。
もちろん日本も例外ではありません。
環境庁の「緊急に保護を要する動植物種の選定調査」によると、脊椎動物の20種と高等植物の35種が既に絶滅し、1000種以上の動植物が絶滅の危機に瀕しているのです。
それぞれの地域での絶滅が重なりあって種の絶滅になるといことからみると、現在の事態は一層深刻です。
身近に目を向ければ、かつてはごく普通にいた生き物の多くが、人知れず姿をけしてしまったことに気付くはずです。
生物の多様性は、熱帯林から私たちの生活範囲にまでわたって失われているのです。

ジーンバングの限界

食料戦略や新薬開発のために各国がジーンバングを設立し、遺伝子の収集・研究を行なっています。
ジーンバング先進国の米露国は10万〜30万点以上の種子を保存しているといわれ、1988年に農水省がつくば市に作った「農林水産生物遺伝資源管理施設」では、世界70ヵ国から5万4千点を集めています。
しかし、地球上の全ての生き物の収集が不可能なことは明らかです。
抗生物質は土の中の細菌から作りますが、国内でさえ土壌生物の99.99%は名前も付けられていません。
1980年のパナマの熱帯林での調査では、わずか19本の樹木から1200種もの甲虫が発見され、その80%が新種だったと報告されています。
ジーンバングでの遺伝子保存は「一杯のコップに海の水をすくい、海全体を守るような作業だ」と言われています。
ジーンバングを作っても、自然を守らなければ意味がないのです。
生物多様性の喪失が進行する中、世界資源研究所・国際自然保護連合・国連環境計画が『生物の多様性保全戦略』を発表し、昨年の地球サミットでは『生物の多様性条約』が調印されました。
しかし、その後も世界保健機構や国連食料農業機関が相次いで遺伝子資源の喪失(自然破壊)に警告を発しています。
将来の持続的な発展を考えたとき最も大切なことは、道路や建物、高速の交通手段などの整備ではなく、自然を守ることなのです。
今こそ日本の農業を守るとき No.9[2015年12月22日(Tue)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.9
−自然と共存する持続的農業への転換−
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  • 自然を壊す農業から自然を守る農業へ

  • 持続的な視点が必要な日本の農業

  • 食糧生産だけでない農業の価値

  • 一体化を目指す農業と自然保護

  • 農業の多様な価値への正当な評価を

  • 生活レベルで一人ひとりが持続的農業への理解を


「農業が自然を破壊している」と聞くと、多くの人は不思議に思われるでしょう。
自然の恵みを利用して緑を育てている農業や、それが営まれている農地は、自然そのものだという考えが、広く一般にあるからではないでしょうか。
しかし、農業は自然の土地を農地という形に変え、自然にあった野生の動植物を品種改良した農作物を育てる産業です。
従って農業は自然を利用・破壊することによって存在しているのです。
特に、大規模化・集約化されていく近代農業は、農地の生態系をさらに大きく破壊し、地球規模での自然環境の保全にも重大な影響を与えています。
今やOECD(経済協力開発機構)でも、農業が環境問題の加害者であると明確に位置付けられています。
農業と自然生態系保護の関係はどうあるべきなのでしょうか。


自然を壊す農業から自然を守る農業へ

農業による6つの悪影響

農業が環境問題の加害者に上げられた理由は何でしょう?

@生物の多様性の減少・喪失

農地の生態系が破壊され、生き物が減少・絶滅しています。

A表土の喪失と農業機械による踏み固め

農地の生態系と生産力を支えている表土が、雨や風などによって失われ、大型の農業機械が表土を踏み固めて、保水能力や通気性を悪くしています。

B水質の汚染

大量の農薬や化学肥料、過剰な有機肥料などの使用によって、地表を流れる水や地下水が汚染されています。

C大気汚染

農薬などの蒸散、飛散などで大気汚染を起こしています。

D湿地・水田の乾燥化

干拓や用水路の整備などで湿地や水田が乾燥化しています。

E限界地の開墾

農業に適さない所まで開墾され、その地に特有な自然生態系が破壊されています。


農業が変わる

農業が環境破壊を行なっているという主張は、ショッキングなことかもしれません。
しかし、これら6つの悪影響はOECD(経済協力開発機構)が、1992年にまとめた『農業政策と環境政策の一体化』というレポートに示されており、農政担当者や農業関係者に共通の理解となっているのです。
OECDは日本、アメリカ。ECなどの主要先進国の経済協力のための国際機関で、全世界のGNPの8割を占める巨大な経済グループです。
経済成長を最大の目的としてきたOECDは、農業でも規模拡大による効率的な生産を目指してきました。
いわば農業の大規模化・集約化をを推し進めてきた代表的な組織のひとつなのです。
そのOECD自らが農業と環境の問題を本格的に取り上げて、近代的農業を加害者・汚染者として明確に位置付けたのです。
これは"異例の環境シフト"といわれています。

世界の動きに逆行する日本

農業により環境破壊は、日本でも起こっています。
例えば圃場整備事業は、メダカやタガメといった水田の生き物を各地で絶滅に追いやり、タナゴやホタルがいた小川もコンクリートで固められてしまいました。
こうした身近な生き物が姿を消すことは、弥生時代から2千年にわたって形づくられてきた日本の農地の自然生態系の崩壊を表しているといえます。
しかしこれは日本全国どこででも起こっていることなのです。
先進国が生態系に配慮した農業を目指している中で、日本は昨年6月に「新政策」と呼ばれる新しい農業政策を発表しました。
これに基づいて今年の6月に閣議決定された第四次土地改良長期計画では、生態系への配慮が示されており高く評価できます。
しかし、一方では平坦地にある合計200万haの水田の内、70万haを1区画1ha以上の大規模圃場に整備し、利水をパイプラインによる自動化にするなどの、一層の大規模化・集約化が実施される予定です。
これによって農地の自然生態系の破壊が進むことが心配されます。
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