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2017.09.12
荒川知水資料館での企画展「荒川の水 いまむかし」
好評につき、期間延長します。



日本生態系協会では、隔月で会報「エコシステム」を発行しています。
自然と伝統に囲まれた美しいまちと、子どもたちの笑顔が輝く暮らし。
日本をそんな持続可能な国にすることが、私たち(公財)日本生態系協会の目標です。
その目標のために、持続可能なまちづくりに関する提案活動、ビオトープの調査・研究、普及啓発などを行っています。

会報エコシステムでは、日本生態系協会が調査した結果や、日本国内・海外の生物保護・環境保護の活動などに関して、最新の事例を紹介しています。

このブログではエコシステムの一部を紹介させて頂きます。
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協会の会員制度について
お金の流れを変えるとき No.143[2016年05月17日(Tue)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.143
−金融と自然資本 −
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私たちの生存の土台である自然資本を湯水のごとく使い、直接・間接的に自然を消費することにたくさんのお金が使われてきました。しかし今、金融業界は持続可能な社会に向けて、地球温暖化に影響を与える投資先から手を引き始めるなど、お金の流れが変わりつつあります。



自然を守るお金の流れ

人は価値を認めたものにお金を使います。
「生物多様性を守ることは重要である」と言われている一方で、なぜそこに十分なお金が使われていないのでしょうか。
自然を守るということはどういうことなのか、お金の流れから考えてみました。

自然を守ることは何をもたらすのか

健全な自然生態系は、多くの野生の生き物たちのすみかとなったり、食料や水・材料を供給したり、薬のもととなる遺伝子を含んでいたり、災害を軽減したりと、直接・間接的にさまざまな恵みを与えてくれます。
これは、自然が長い時間をかけて育んでくれた私たちの公共の財産です。
自然を壊すことは、こうした財産を自ら大きく減らしているということになります。
生物多様性や健全な生態系を取り戻すためには、今ある自然を守りながら、失われた自然を再生していかなければなりません。
その取り組みにはお金が必要ですが、現状ではあまりお金が使われているとは言えません。
自然の価値が正しく理解されれば、自然を守る・取り戻すために「お金を使う」ことが当たり前となり、お金が流れていくことになります。
そもそもお金はどのように流れ、流れる先はどのような理由で決まっていくのでしょうか。

流れるお金

世の中にはさまざまなモノやサービスが場所や時間を超えて存在しています。
お金は、このさまざまな状況に存在するものを「金額」という共通の価値で取り引きできる、とても便利なものです。
そして投資や融資の世界では、「金額に見合うだけの何らかの利益が得られる」と期待と期待された時に、お金が流れ、取り引きが行われます。
銀行や保険・証券の会社などの金融機関は莫大な金額を扱います。
銀行は、利子を提供することでお金を集め(預かり)、そのお金をもとにほかの企業に金利をつけてお金を貸すことで利益を得たり、投資やファンドなどのさまざまな商品を通じてお金を回しています。
保険や証券の会社も、保険料や証券を販売したお金をもとに、ほかの企業に投資を行いお金を増やします。
このようにお金が流れ続けることで利益が生まれます。
このとき銀行や保険会社がお金を貸したり投資するのは、後に利益が確実に得られると判断しているからです。
そしてほとんどの場合、この利益とは「お金」のようにわかりやすいものです。
自然を守り、増やすことにお金が流れていかないのは、自然の価値が額に見合う利益のあるものとして十分に理解されていないこと、そして自然から得られる恵みが目に見えずわかりにくかったり、直接的ではなっかたり、得るのに長い時間がかかったりするためと考えられます。
ESD 持続可能な社会をつくる未来のための教育 No.142[2016年05月16日(Mon)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.142
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  • 今こそ必要なESD

  • 目指すべき持続可能な社会

  • ESDが育てる行動する人

  • これからの教育現場でのESD

  • ESDを定着させ持続可能な社会を





今こそ必要なESD
未来を考え、行動する人を育む


地球に生物が誕生し、進化をとげてきた長い歴史の中で、生存基盤である自然生態系を自らの手で破壊した生物は人間以外いません。
人間はあらゆる生物の中で初めて自然を大量に破壊し、はかりしれない環境問題を引き起こしています。
人間社会のあり方の根本的な転換が必要とされる今、教育現場でも世界が求める「持続可能な社会にむけた教育『ESD』」を、この10年進めてきました。
ところがESDの認知度は極めて低く、内閣府の調査によると内容も含め「知っている」人は2.7%でした。
ESDをとりまく現状や、ESDによって目指す社会を探ります。

ESDは未来を考え、行動する人を育む教育

ESDとは「すべての人が質の高い教育の恩恵を享受し、また、持続可能な開発のために求められる原則、価値観及び行動が、あらゆる教育や学びの場に取り込まれ、環境、経済、社会の面において持続可能な将来が実現できるような行動の変革をもたらす」教育のことです。つまり、持続可能な社会にむけて社会・経済で起こっている問題の解決策を「環境」を軸に考え、行動する人を育てることをいいます。
私たちの生活は、自然生態系を土台にし、自然資源があるからこそ成り立っています。しかし、その大切な自然生態系を自ら破壊してしまい、さまざまな環境問題を引き起こしています。さらに自然が回復しないうちに使い続け、将来世代の自然資源も利用している状況です。
このような持続不可能な使い方を続けていれば、将来世代が生存基盤を失うことは目に見えています。現代世代だけでなく、未来の人々にも公平に自然の恵みが残るよう、持続可能な社会が必要なのです。
ESDで求められているのは、地域の自然・社会・経済の現状を持続可能な社会の観点で把握し、課題を見出し、解決にむけ、発達段階に応じた行動をおこし、社会を変えていく人を育むことです。

日本が提唱したESD

生物多様性の喪失や地球温暖化、貧困などさまざまな地球規模の問題が表面化するなかで、個々の問題への対処とあわせて、根本的な問題の解決のため、自然生態系が持続する経済や社会への変革が求められました。
1992年、ブラジルのリオデジャネイロで開催された国際会議「地球サミット」で、持続可能な社会の実現にむけ各国首脳が合意しました。その10年後、2002年9月に南アフリカのヨハネスブルグにおいて、「持続可能な開発に関する世界首脳会議」(ヨハネスブルグ・サミット)が開催され、世界104ヶ国の首脳、190を超える国の代表、国際期間の関係者のほかNGOやプレスなど合計2万人以上が参加しました。
この会議で、当時の小泉首相が「持続可能な開発のための教育(Education for Sustainable Development/ESD)の10年」を提唱し、同年の国連総会で2005年から2014年までの10年間を国連「ESDの10年」とすることが採択されました。これにより世界各国でESDの取り組みが進められるようになりました。
2014年は「ESDの10年」の最終年であり、11月に提唱国である日本(愛知県名古屋市及び岡山市)で「ESDに関するユネスコ世界会議」が開催されまた。

環境教育はESDのベース

現在の日本の教育には、持続可能な社会が自然生態系により成り立っていることや、持続不可能な社会になってしまった原因と具体的な解決策を体系立てて教えるといったことが位置付けられていません。そのため、ESDの目指す持続可能な社会が理解できず、問題や課題が見えてこないのです。また、ESDで育みたい「持続可能な社会の担い手」の人間像がわからないために、教育のねらいや指導方法が見えないという状況に陥っています。
ESDが対象とする分野は、貧困や人権、平和問題など多岐にわたりますが、持続可能な社会を目標に、「環境」という軸で課題を考え、解決にむけて行動することは、どの分野にも当てはまります。環境に関する基本的な知識や考え方、行動を学ぶ環境教育は、ESDのベースとなる教育と言えるのです。

日本のESD推進の取り組み

日本では10年の間、ESDを推進するために、主に文部科学省た環境省が中心となってさまざまな取り組みが行われました。その一部を紹介します。

●計画に組み込む

第二期教育振興基本計画において、ESDの推進を記載。また、小・中・高等学校においても、学習指導要領に持続可能な社会の構築の観点が組み込まれました。

●ESDの拠点であるユネスコ スクールを拡充

日本では、日本ユネスコ国内委員会の提言「ESDの普及促進のためのユネスコ・スクール活用について」を受け、同スクールをESDの推進拠点として位置付けています。ESDの10年が開始された平成17年には15校でしたが、平成27年5月には約63倍の939校まで増加しました。

●ユネスコ スクール支援大学間ネットワークを形成

国内17の大学が自発的に組織するユネスコ スクール支援大学間ネットワークを中心に、同スクールの申請や活動を支援しています。

●普及啓発事業

ESD実践者間の連携・ネットワーク化の促進等を目的としたフォーラムの開催やESDを身近に感じてもらうことを目的としたイベントを開催しています。

●モデルプログラム

ESDの取り組みを推進・支援するためにモデル的なESDプログラムを公開したり、各団体のESDに関する個別の取り組みの実施状況などを紹介しています。


わかりにくかったESD

ESDの10年終了後に作成された「『国連ESDの10年』後の環境教育推進法策懇談会報告書」等には、ESDの認知度・理解度の低さや、ESDに関する教員研修の不足、連携・ネットワーク化の不足などが課題として挙げられました。加盟数を増やしたユネスコ スクールでも、75%が「教職員のESDに関する理解が不十分」と回答しています。また、「ESDの取り組みが導くその先の社会のビジョン」を示していくことの重要性も指摘されました。
このように、環境問題とは自然生態系の破壊だということを整理して教えてこなかったことや、ESDの目標となる持続可能な社会のあり方が明示されていないことなどを受けて、認知度が低いままでした。
地熱 地方を発展させる地熱エネルギーによる発電と給湯 No.141[2016年05月02日(Mon)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.141
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  • ゴミの少ないエネルギーの選択

  • 地熱発電とは何か

  • 地熱発電の利点と課題

  • 日本における地熱利用

  • 地熱を活用したまちづくり

  • 地熱を活用するために




日本における地熱利用

日本は「火山大国」です。
地熱は特に有望なエネルギー源となり得ると考えられていますが、日本における電力需要に比べ、地熱の利用は現在、ほんのわずかにすぎません。
日本ではどれだけの地熱を利用することができるのでしょうか。

日本の地熱資源量

火山大国と呼ばれる日本においては、地熱は有望なエネルギー源になり得ます。
ただ、地熱発電は、発電に有利な場所が国立公園など自然を保護すべき区域と重なることがあります。
ゴミの少ない発電方法を選ぶことは重要ですが、そのために貴重な自然を失ってしまっては元も子もありません。

地熱発電の適地は国立公園のような重要地域にあり、またそれ以外の場所は適地ではないという印象を持たれやすいのですが、2013年の環境省が地熱による発電量の見込の調査したところ、国立・国定公園や都道府県立自然公園(普通地域を除く)、世界自然遺産地域などの自然にとって重要な場所として法的規制がかけられている場所を除いたとしても、1,000万kW以上の出力を得ることができるということがわかっています。
これは、福島第1原子力発電所(2〜5号機、出力78.4万kW)と比較すると、およそ13基分の出力に相当します。

また現在、運転している地熱発電所の中でも、森地熱発電所(出力2万5,000kW、北海道森町)、滝上地熱発電所(出力2万7,500kW、大分県九重町)、山川地熱発電所(出力3万kW、鹿児島県指宿市)などは国立公園の外にある地熱発電所です。

一方、実際に日本の地熱発電所で発電されている出力の合計は約51万5,000kWで、2010年度に発電された量は27億6,400万kWhとなっています。
非常に大きな数字が見えますが、これは日本の電力需要の約0.3%に過ぎません。

地熱発電を進めるための価格のしくみ

地熱発電は再生可能エネルギーとして位置づけられ、固定価格買取制度の対象とされています。
現在、地熱からの電力は規模の大きさにより1kWhあたり26円から40円で、15年間にわたって有利な買取が行われることになっています。

これにより、より地熱発電を行いやすい環境が整いました。
2015年5月には秋田県湯沢市で大規模地熱発電所(出力4万2,000kW)の建設が始まるなど、日本でも地熱発電の開発が進んでいます。

国立公園と地熱

地熱発電を行ううえで有利な場所の多くが、開発の規制のある国立・国定公園などの貴重な自然を有する場所にあると推定されています。
現在、国立・国定公園の第2種、第3種特別地域及び普通地域においても地熱の開発が可能であるとする方針※2が環境省から出されています。

ですが、地熱発電は調査開発の段階で多数の井戸を掘る必要があるなど、周辺の自然への影響を伴う工事が必要なため、環境への配慮が欠かせません。

また、地熱発電の適地が国立公園に集中しているということは、地熱発電所そのものだけでなく、道路や、電気を町へ運ぶだめの送電線などのインフラ建設などで、地域の自然環境や景観を壊し、悪影響を及ぼすおそれもあるため、その点にも配慮が必要です。

※平成25年度地熱発電に係る導入ポテンシャル精密調査・分析委託業務報告書
※2 国立・国定公園内における地熱開発の取扱いについて
美しい森は日本の礎 No.140[2016年05月01日(Sun)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.140
−接続可能な林業 −
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  • 森は下流の都市住民も含めた私たちの生活基盤

  • 接続可能なドイツ林業

  • 発想の転換に遅れた日本林業

  • 日本林業に必要なこと

  • 接続可能な森林に向けて


ドイツの林業が1900年代後半には、自然の持つ力を活かした森づくりを目指すようになり接続可能な林業へと発想の転換をはたしていきました。
一方、日本では古いドイツの林業の考え方から抜け出すことができなかったため、時代の変化に伴うニーズにも応えられず、近年の林業の衰退期を迎えてしまったのです。


発想の転換に遅れた日本林業

森から「材木の畑」へ

江戸時代、秋田県など日本の林業では人工林と天然林が交じり合う、接続可能な林業を営んでいました。
それから時代は明治と移り、もともと生えていた木を切り払って同じ種類の木を植え、収穫するという方法に変わり、林業をとりまく山の姿も変わっていきました。

状況がさらに変わったのは昭和25年ごろからの戦後復興期です。
当時大きく不足していた建築資材の需要が高まり、国産材の価値は急上昇しました。
そのため、昭和30年代には国有林や民有林の伐採を進め、木材の輸入量を増やす対策が行われました。
さらに急を要する木材需要に応えるために、自然の森を、成長が早く加工しやすいスギやヒノキの「材木の畑」に転換する「拡大造林」が進められ、平成8年まで続けられました。

また、昭和30年頃は同時に、燃料が薪や炭から石油へガスへと代わっていったため、薪や炭に適したクヌギやコナラなどの広葉樹の森から、ますますスギやヒノキ林への転換の機運が高まったのです。
それまで広葉樹が葉を落とすことで豊かな土壌を育んでいましたが、スギやヒノキだらけの針葉樹の山になると十分な腐葉土が生まれず、土壌がやせていってしまいました。
そのような場所では、スギやヒノキが十分な栄養が得られず、代替わりをする度に、貧弱になってしまいます。
さらに、同じ樹種ばかりの「材木の畑」では、そこにくらす動植物の層も貧弱になります。
豊かな土壌や生きものと共にある森でなければ、接続的に恵みを得ることはできません。
地方の創生にとまどう地方 No.139[2016年04月30日(Sat)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.139
−注視する世界−
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  • 「地方創生」とは

  • これまでの地域活性化策の問題点

  • 自分たちのまちの戦略、「地方版総合戦略」をつくる 〜地方創生のヒント〜

  • これからの地方創生のあり方 〜自然環境を基盤にしっかり捉える〜

  • 接続可能な地方の創生 そして接続可能な日本へ




「地方創生」とは

896の地方自治体が消滅するかもしれない。
各地で人口急減、高齢化が進むなか、どのようにしたら日本を接続可能な社会に変えることができるのか。
私たちの国は、正念場を迎えています。

「ひと・しごと・まち創生法」の成立

昨年(2014年)5月に、日本創生会議(座長・増田寛他元総務相)から、「若い女性の人口が2040年までに5割以下に減ってしまう市区町村が全国に896ある。
全体のじつに半分にあたるこの896の自治体は、このままいくと将来消滅してしまう可能性がある。
その一方で、大都市・東京への人口の集中がさらに極端なかたちで進んでいく」というレポートが発表されました。

日本の総人口が減少することは、高度成長期に失った人と自然とのバランスを回復するという観点から、基本的に望ましいことです。

しかし、東京への一極集中がさらに進み、多数の地方が消滅してしまうことは問題です。
例えば、首都直下地震が起こった場合、その一つの地震で、日本全体が麻痺することになりかねません。

また、今のようなかたちで少子・高齢化が続くと、65歳以上人口の割合(高齢化率)が、全国平均で10年後に30%、40年後には40%になる、という問題もあります。
14歳以下の年少人口割合は、全国平均で40年後に10%を切り、子どもがほとんどいない状況になると予測されています。

地方ではさらにその傾向が強まると考えられます。

この状況を回避するため、昨年(2014)11月に国会で「ひと・しごと・まち創生法」という法律がつくられ、12月に「地方創生」に向けた国の総合戦略が発表されました。

国がいう「地方創生」とは

「地方創生」とは具体的にどのようなことでしょうか。
国は、地方創生には3種類あり、それぞれについて次のように説明しています。

@しごとの創生

地方で産業の活性化などに取り組むことで、地方での働き口を増やす。
若い人たちを地方に引きつけるために、「相応の賃金、安定した雇用形態、やりがいのあるしごと」という点にも注意する。

女性に地方に住み続けてもらうために、地方で女性が活躍できる場をつくる取り組むも進める。

Aひとの創生

地方への新しい人の流れをつくるために、しごとの創生を行いつつ、若者の地方への移住・定着を促すしくみを設ける。

若い人たちが地方で安心して仕事にチャレンジでき、また、子どもが産み育てられるよう、結婚から妊娠・出産・子育てまで、切れ目のない支援を実現する。

Bまちの創生

地方での生活の素晴らしさが実感でき、また安心して暮らせるようにする。

人口増加期に郊外開発で市街地が広がった地方都市では、財政の関係から、今後は医療・福祉などのサービスを、まち全体に行き渡らせることはできない。
市街地をまちの中心部に縮小する取り組みを進める。

地上の流れ 地下の水 No.138[2016年04月29日(Fri)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.138
−水の流れは自然がいい感謝とおそれを胸に−
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氾濫原は元の自然に戻す 〜川や低い土地では〜

洪水被害を受けやすい場所は元々の自然に戻す

アメリカでは、1993年にミシシッピ川とミズーリ川流域を中心に発生した大洪水がきっかけで、川を堤防と堤防の間の狭い空間に押し込めることはできない、という考えが国民の間で広がりました。そして、堤防やダムなどの構造物による従来の対策ではなく、氾濫原の土地利用を規制する方法が注目されるようになりました。

こうしたことから洪水後、「危険の緩和および移転の援助に関する法律」が制定され、政府の補助金を元に自治体が不動産を買い上げる「バイアウト(買い上げ)・プログラム」が実施されました。
これにより、ミズーリ州では100を超えるプログラムのもと、洪水によって損害を受けた数千戸の住宅・建物を買い上げ、洪水の危険がある氾濫原地域からの移転を行いました。

その結果、のちに発生した大洪水では、かつてのような被害が出ることはありませんでした。
また、買い上げられて公有地になった土地は自然に戻されたり、レクリエーションの場として利用されたりしています。

生物多様性を豊かにし、洪水被害を軽減させる遊水地

静岡県静岡市の麻機(あさはた)遊水地は、かつては沼地でしたが、土を入れて生産性の高い水田がつくられました。
しかし、1974年(昭和49年)に発生した集中豪雨で大きな被害を出したことから、県が水田を買い取り、水田を掘り下げて洪水時の水を溜める遊水地につくりかえました。
遊水地では、土中に眠っていたさまざまな植物が再生し、数多くの野鳥が飛来するなど、多様な生きもののすみかとなっています。
そして、本来の目的である洪水被害の軽減に役立つとともに、レクリエーションの場としても利用されています。
工業文明から生態系文明へ No.137[2016年04月28日(Thu)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.137
−右肩上がりの経済成長の限界−
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  • 国の経済を揺るがす地球温暖化

  • 疑う余地ない地球温暖化の進行

  • 日本の現状を課題

  • 主要国の取り組み

  • 自治体レベルの緩和策と適応策

  • 持続可能な未来に向けて




日本の現状と課題

地球温暖化の防止が世界的に急務となるなか、日本も具体的かつ野心的な数値目標を設定し実行する必要があります。
しかし、壮大な長期目標に掲げる傍ら、短中期目標は低い水準にとどまり、国内の実質的な削減は進んでいません。

求められる地道な削減

日本は、第一次安部内閣時代の2007年、世界全体の排出量を2050年までに半減するという「美しい星50」を提案しました。
また、第二次安部内閣の2013年11月には、「Actions for Cool Earth」を提案し、2050年世界半減、先進国80%削減という目標を掲げています。
しかし、その中身に目を移すと、目標の達成は主にCO2の回収・貯蔵・固定化などの技術革新や、途上国の排出削減への技術的・金銭的な支援にとどまっています。

安部首相は昨年11月の日米首脳会談で、緑の気候基金※1に最大約2,130億円を拠出する提案をしました。
もちろんこうした途上国への支援は評価に値します。しかし、同時に自国の排出量を80%以上削減して、世界に模範を示すことが必要です。

日本は京都議定書第一約束期間(2008年〜2012年度)に、基準年である1990年比6%減の目標を超え、8.4%の削減を達成しました。
しかし、これはこの期間の特例として認められた森林等吸収源3.9%と、京都メカニズム※2に基づいて取得したクレジット5.9%を差し引くことで達成したものです。

実際の排出量は減るどころかむしろ1990年比で1.4%増えています。また、2013年11月に発表した新目標は、2020年までに2005年比3.8%削減というもので、これを1990年比に置き換えると3.1%の増加となり、実質的には京都議定書の目標から後退する内容となっています。

日本の求められることは意欲的な短中期目標を掲げ、地道に削減することで、長期目標を確実に達成することです。

※1途上国による温室効果ガス排出の削減などを支援するための基金
※2他国において削減援助した分を、自国の削減分として用いることができる制度
使われない農地40万ヘクタール No.136[2016年04月27日(Wed)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.136
−自然に戻す国、無断にする国 −
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  • 全国で「使われなくなった農地」が増えている

  • 使われなくなった農地はどうしたらよいのか

  • 使われなくなった農地は自然に戻しておく

  • 耕作放棄地を自然に戻すためには

  • 海外において、農地を自然に戻した例

  • 美しい自然を取り戻すために




美しい自然を取り戻すために

将来世代の財産である土俵と遺伝子を守る

これからの日本の接続可能なくにづくりやまちのづくりに向けて、美しい自然とを取り戻し、多種多様な野生の生きものを将来世代に残していく必要があります。
植物が育つための基盤である土俵が失われてしまっては、私たちは生きていくことができません。
また、新たに医薬品を開発したり、農作物の品種改良を進めていくうえでも、多様な野生の生きものが持つ遺伝子を資源として保護していかなければなりません。

そのためにも、使われなくなった農地は自然に戻しておく、という考え方が必要です。
山間部や、平地であっても災害を受けやすい場所の耕地放棄地は、維持や管理にかかるお金が少なくてすむ自然へ戻しておくという考えが重要となります。

自然に戻していく際には、草地や湿地、自然の森などが持つ、多面的な機能の特徴をしっかりと把握し、地域の要望を満たした、住みやすいくにづくり・まちづくりに役立つ自然へと戻していく、という考えが求めれます。

提案1 行政などが耕作放棄地を取得し、官と民が協働して再自然化を進めていくしくみを設ける

自然公園の特別地域、高潮や洪水・土砂災害といった災害にあいやすい場所など、農業を営むよりも、自然に戻して多面的な機能を高めることが求めれる場所にある耕作放棄地は、国や地方公共団体が取得し、官と民が協働して自然再生を進めていく制度を設けます。

提案2 所有者のわからない耕作放棄地を、環境NGOが生物の多様性の保護を目的として管理できるしくみを設ける

耕作放棄地が所有者のわからない土地であった場合、行政はその土地が耕作放棄地であることなどを公表し、所有者でなくともその耕作放棄地の管理ができるような制度を設けます。
管理については、自然に悪い影響を与える外来種は駆除しますが、その以外は定期的な草刈りなど最低限の作業にとどめます。
管理の担ぎ手としては、環境NGOなど、自然環境の保護に専門的な知見を持つ団体にたくせるようにします。
一定の年数が経過した後も、なお耕作放棄地の所有者が名乗り出ない場合は、原則として公有地となるようにし、自然の持つ多面的な機能がより強く発揮されるよう、自然再生を進めます。

求められる政治家のリーダーシップ

ここに示した提案は、山から沿岸部まで、離島も含め、日本全土の土地利用に関わるものであり、複数の省庁が関係しています。
現在の省庁の中で制度化し、自然再生などの事業を進めていくことは困難です。
美しい自然を子どもたちにプレゼントするためにも、50年、100年先を見すえた、省庁の枠をこえて政策を示すことのできる、政治家の強いリーダーシップが求められます。
風土は個性 個性あるまちを、つくる時 No.135[2016年04月26日(Tue)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.135
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まちに個性と魅力を取り戻す
これまでグレーインフラに力を注いできた日本のまち。今、多くの自治体で人口減少が進み、維持しきれないことが
わかっています。国土交通省でも今年、景観法制定10年を契機に制度の点検や見直しを進めています。
世界の人が集まる個性と魅力あるまちにするには何が必要なのか、考えます。

人口減少時代のまちのあり方

2014年5月、有識者による政策提言組織「日本創世会議」の人口減少問題検討分科会が、「若年女性の流出により、2040年には全国の896市区町村が消滅の危機に直面する」という試算結果を発表しました。

896年市区町村は、今ある自治体数の約半分を占め、この試算結果は多くの自治体に衝撃を与えました。

今、人口減少が進む多くの自治体では、まちの個性と魅力を生かし、観光客や二地域居住者といった交流人口を増やすことで、人口減少の影響を緩和し、地域の活力を維持しようという取り組むを進めています。
しかし、コンクリート製のビルなど従来のインフラ(グレーインフラ)によるまちづくりの結果、どこに行っても同じような景観が広がり、まちの個性が感じられにくくなっています。
また大量の地下資源を使ってつくれらたインフラはいずれ大量のゴミになるため、接続可能なまちは言えません。
グレーインフラに頼らず、人が「住みたい」「訪れたい」と思う個性あるまちづくりが、接続可能な経済への第一歩です。

個性を生み出す三つの要素

魅力ある、個性的なまちとして注目される自治体には、次の三つの要素があります。

1 地域の生物多様性を取り戻す

私たちにとって多様な恵み(生態系サービス)を与えてくれる自然を未来に残すことは、接続可能な社会をつくる上での基本となっています。

自然は、気候や地形の違いなど、地域ごとの特徴があり、地域ならではの自然を特色として打ち出しているまちは、ブランドの構築につながっています。

自然の質が落ちた地域は、豊かな生物多様性を取り戻す必要があります。

2 地域の伝統や歴史を生かした景観を守る

多様な風土を持つ日本では、地域によってさまざまな文化が育まれてきました。

伝統的な家屋の構造は地域により異なるほか、まちの成立の歴史によってまちなみも特徴がありました。

このような伝統や歴史を生かしたまちは、住民の誇りを持たせると同時に、独特の雰囲気により、来訪者に個性ある環境を提供することができます。

3 地域資源を活用したエコツーリズムに取り組む

交流人口を増やす代表的な取り組みである観光では、団体で観光地を巡るものから、少人数での体験や地域の人との交流が中心のものへと関心が移っており、地域の自然や伝統を楽しむエコツーリズムが人気を集め、地域経済の活性化の手段として注目されています。

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