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干潟から公共事業のあり方を問う No.32[2016年01月14日(Thu)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.32
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  • 干潟がなくなる!

  • 日本の干潟はここまで消滅

  • 失って気づく干潟の価値

  • 湿地の破壊はとまらない?

  • 生態系保全・復元型の公共事業を

  • 湿地の破壊は時代に逆行

  • 自然を守る社会に向けて


国営諌早湾干拓事業で長崎県に造られた全長7.05kmの潮受堤防。
そして干上がっていく干潟。
多くの生きものがすむ干潟という将来世代の大切な財産が、今年4月14日、この堤防によってまた破壊された。


湿地の破壊はとまらない?

■国内法では

絶滅の危機に瀕している野生生物とその生息地を守るための法律としてまずあげられるのは、1992年に制定された「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(通称:種の保存法)です。
諫早湾(いさはやわん)には、ムツゴロウ(危急種)やシオマネキ(希少種)をはじめ、環境庁のレッドデータブックに掲載された保護を急がなければならない野生生物が数多く生息しています。
この法律でそうした生きものを守ることはできないのでしょうか?
この点について、環境庁に伺ったところ、「今回の諫早湾の事情対象地には、この法律の政令で指定されている生物(国内希少野生動植物等)がいなかったため、法律に基づいて事業を止めることには限界がありました。
レッドデータブックに記載された野生生物と政令の指定種が一致しているわけれはありません。
またそれらの種は諫早湾だけにしかいないのではなく、有明海の他の場所にもいるので、干拓事業で致命的な打撃を受けるというものではありません。
レッドデータブックに掲載されている生きものについては、今後、さらに詳しい調査を進め、順次、政令の指定種に加えていきたい」との回答でした。
レッドデータブックでたとえ「絶滅危惧種」にランクされていても、法律で改めて指定種に指定されていなければ、法的には何の保証もありません。
また「種の保存法」には、仮に指定種になったとしても、生息地の確保等に必要な予算が、自動的に保証されるわけではありません。
予算的な裏付けを確保することによって、「種の保存法」を真に実効性のあるものにしていくことが求められます。

■国際条約では

日本は、日ロ・日中・日豪・日米の各渡り鳥条約、ラムサール条約、生物多様性条約など野生生物とその生息地の保護を目的とした各種国際条約の締結国として、生物多様性確保に向けた行動を率先して行う責務があります。
具体的には、諫早湾等の世界的にみても重要な野生生物の生息地については、国内の法律で保護区に指定するなどの措置を講じる責務が、国際法上、国にはあるはずです。
しかし、条約締結以前にはすでに開発の予定がある場所については、いくら生態学的に重要な価値があっても、締結した条約に基づいて開発計画の見直しが行われるということはほとんどありません。
また、条約締結後、今日に至るまで、ラムサール条約や生物多様性条約が求める水準の、湿地保全、生物多様性保全に関する措置が、国内法上整備されていません。
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