自然生態系と文明の盛衰 No.30[2016年01月12日(Tue)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.30
吉野ヶ里遺跡や三内丸山遺跡の発見。
お隣の中国では、黄河文明よりも約1000年も古い文明が長江(揚子江)上流で発見され、話題となっています。
繁栄を極めた古代文明の多くは、遺跡だけを残して忽然と滅び去っています。
それ故に人々は、古代の生活や文化に一層の興味を覚えるのでしょうか?
「神々の指紋」が、科学的説得力に欠けるところが多いにもかかわらず、ベストセラーを続けているのも、”絶滅したという超古代文明”に現代文明との対比の中で興味を引かれるからではないでしょうか。
しかし、文明の滅亡は、そこに暮らした多くの人々の生活基盤を根底から奪い去ったはずです。
古代文明は、なぜ絶滅したのでしょうか?
現代文明が同じ道をたどる恐れはないのでしょうか?
古代文明はなぜ滅びたのか
孤島で起こった悲劇
イースター島には、悲惨な歴史が隠されていました。
かつては樹木で覆われていたはずの島に、今ではわずかの草しか生えていないことと関係がありそうです。
イースター島に移り住んだ人々は、森林を伐採して燃料やカヌーの材料にし、その森林がつくった土壌を利用して畑を造りました。
暮らしは豊かになり、何百と造ったモアイを運ぶために更に樹木を伐採し、"コロ"を敷きました。
森林の過剰な伐採は、島民の暮らしを一変させました。
海に出るカヌーがつくれず、漁網や布を作った繊維を採ることもできなくなりました。
そして決定的だったのが、伐採後の裸地や農地の土壌流出でした。
食料不足に陥った島民は争いを続け、敗れた者は奴隷となり、人肉さえ食べたと伝えられています。
頭部が欠けたり目が潰されているモアイが多いことは、集落ごとの争いの跡だと考えられています。
島を抜け出すカヌーさえ持たない島民の人口は、かつての10分の1となり、原始生活を余儀なくされたのです。
文明滅亡の原因
生態系破壊が原因のイースター文明の滅亡は、孤島という隔離された環境で起こった特異な例ではなく、同じことが多くの古代文明で起こっています。
その原因は複数です。
例えば、世界四大文明は、地球規模の気候の寒冷化によって始まったとされていますが、その1つのインダス文明は、約3800年前にユーラシア大陸の気候が再び温暖化を始めた時期に、衰退を開始したといわれています。
ヒマラヤの積雪量が減少し、インダスに恵みをもたらした春先の水量が減少したからです。
他にも、異民族の侵入や大洪水、川筋の移動などが衰退の原因にあげられています。
中南米で発達した、マヤやアステカ、インカ文明などは、ヨーロッパ人の侵略と、彼らが持ち込んだ天然痘をはじめとした伝染病によって滅亡したとも考えられています。
また、ポンペイに代表される火山の噴火などの天災も、古代都市を破壊しました。
そして、何よりも大きな原因と考えられるのが、文明自身により自然生態系の破壊です。
- 消えた文明
- 古代文明はなぜ滅びたのか
- 文明を育む自然の恵み
- 存亡の危機を迎えた現代文明
- 日本にも迫る危機
吉野ヶ里遺跡や三内丸山遺跡の発見。
お隣の中国では、黄河文明よりも約1000年も古い文明が長江(揚子江)上流で発見され、話題となっています。
繁栄を極めた古代文明の多くは、遺跡だけを残して忽然と滅び去っています。
それ故に人々は、古代の生活や文化に一層の興味を覚えるのでしょうか?
「神々の指紋」が、科学的説得力に欠けるところが多いにもかかわらず、ベストセラーを続けているのも、”絶滅したという超古代文明”に現代文明との対比の中で興味を引かれるからではないでしょうか。
しかし、文明の滅亡は、そこに暮らした多くの人々の生活基盤を根底から奪い去ったはずです。
古代文明は、なぜ絶滅したのでしょうか?
現代文明が同じ道をたどる恐れはないのでしょうか?
古代文明はなぜ滅びたのか
孤島で起こった悲劇
イースター島には、悲惨な歴史が隠されていました。
かつては樹木で覆われていたはずの島に、今ではわずかの草しか生えていないことと関係がありそうです。
イースター島に移り住んだ人々は、森林を伐採して燃料やカヌーの材料にし、その森林がつくった土壌を利用して畑を造りました。
暮らしは豊かになり、何百と造ったモアイを運ぶために更に樹木を伐採し、"コロ"を敷きました。
森林の過剰な伐採は、島民の暮らしを一変させました。
海に出るカヌーがつくれず、漁網や布を作った繊維を採ることもできなくなりました。
そして決定的だったのが、伐採後の裸地や農地の土壌流出でした。
食料不足に陥った島民は争いを続け、敗れた者は奴隷となり、人肉さえ食べたと伝えられています。
頭部が欠けたり目が潰されているモアイが多いことは、集落ごとの争いの跡だと考えられています。
島を抜け出すカヌーさえ持たない島民の人口は、かつての10分の1となり、原始生活を余儀なくされたのです。
文明滅亡の原因
生態系破壊が原因のイースター文明の滅亡は、孤島という隔離された環境で起こった特異な例ではなく、同じことが多くの古代文明で起こっています。
その原因は複数です。
例えば、世界四大文明は、地球規模の気候の寒冷化によって始まったとされていますが、その1つのインダス文明は、約3800年前にユーラシア大陸の気候が再び温暖化を始めた時期に、衰退を開始したといわれています。
ヒマラヤの積雪量が減少し、インダスに恵みをもたらした春先の水量が減少したからです。
他にも、異民族の侵入や大洪水、川筋の移動などが衰退の原因にあげられています。
中南米で発達した、マヤやアステカ、インカ文明などは、ヨーロッパ人の侵略と、彼らが持ち込んだ天然痘をはじめとした伝染病によって滅亡したとも考えられています。
また、ポンペイに代表される火山の噴火などの天災も、古代都市を破壊しました。
そして、何よりも大きな原因と考えられるのが、文明自身により自然生態系の破壊です。