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暑い熱い夏-誰でも知っている地球の温暖化- No.98[2016年03月20日(Sun)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.98
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  • ここまで深刻な温暖化の問題

  • 削減に向けた各国の意気込み

  • 私たちの生活とエネルギー

  • 生態系を守って、温室効果ガスを吸収・固定する

  • さあ私たち日本はどうする

  • 温暖化対策なしに人類の未来はない




私たちの生活とエネルギー

私たち人間が生活するためには、エネルギーはなくてはなりません。
今先進国とよばれていない国々も、今後さらに発展していくことを考えると、二酸化炭素の発生が少ない新たなエネルギー源の開発とともに、エネルギー利用の少ない社会へと、そのあり方を変えていく必要があります。

石油・石炭に代わるエネルギーの可能性と課題

石油や石炭などの化石燃料の代替エネルギーには、原子力、バイオ燃料、風力、波力、太陽光、地熱、核融合などがあります。
これらは大きなメリットがある反面、課題も抱えています。

原子力

原子力は、発電時には二酸化炭素の排出はありません。
しかし、ウラン濃縮燃料などをつくるのに多くのエネルギーが必要になるうえ、核廃棄物の処理や移動中の事故が大惨事になりかねないという心配があります。
また、大地震などの発生ということも考える必要があります。
原料のウランも有限で可採埋蔵量は70〜80年分といわれています。

バイオ燃料

バイオ燃料は、総排出量が増えないクリーンなエネルギーとされてきました。
しかし、トウモロコシなど、燃料用作物を栽培するための森林伐採や開墾などによって、トータルに見た場合、化石燃料よりも二酸化炭素の排出量が多くなるとの報告があります。
また、世界的な食糧価格の高騰に拍車をかけ、途上国の貧しい人々の生活を強く圧迫しはじめています。

太陽光発電

自然エネルギーは、再生可能な代替エネルギーとして期待されています。
その一つである太陽光発電は、地球にふりそそぐ太陽の光をエネルギー源としています。
しかし、ソーラーパネルの製造に要するエネルギーや耐久性、処理後の問題のほか、発電電力の安定化や蓄電能力の課題もあります。

風力発電

風力発電もクリーンなエネルギーとして普及が進んでいます。
しかし、大量の資源を用いて製造がされた発電機の寿命はせいぜい十数年で、その後の廃棄にもエネルギーや費用がかかります。
また、長い送電線にも大量の資源が必要となるうえ、衝突事故など鳥類への影響なども心配されています。
さらに、一定の供給量の確保など、代替エネルギー源になりうるだけの潜在力をもつかという疑問もあります。

核融合発電

自然界にある水素などを使って、太陽と同じしくみでエネルギーをつくる核融合発電の研究開発も始まっています。
しかし、実現は早くて数十年後と言われています。
普及に際しては、危険性や生態系への影響がないかなど、慎重な対応も求められます。
また、このような施設も最終的なゴミになることから、廃棄の問題についても解決しておく必要があります。


エネルギーの大量消費に頼らない社会をつくる

地球温暖化は、私たちが異常に豊かな生活をしてきた結果です。
将来世代がその代償を払わずにすむよう、石油・石炭の利用から、持続可能な代替エネルギーへの転換は、私たちの世代の重大な責任です。
とはいえ、資源の枯渇や安全性、自然環境への影響などの点で問題のない完璧な代替エネルギー源というものはありません。

ともすると、代替エネルギーに変えていきさえすれば、問題は解決されると考えがちです。
しかし、そうではありません。エネルギーの使用そのものを減らしていくことが、何よりも急務です。
そして、エネルギーの大量消費に頼らない社会をつくること、これが第一です。
そのうえで、先端技術を活かして、持続可能なエネルギーへと転換させていく努力をすることが必要です。
地球温暖化 No.93[2016年03月15日(Tue)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.93
−私たちが生んだ人類最大の危機−
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  • 今、地球に何が起きているのか

  • 地球温暖化はなぜ起こるのか

  • 世界の動き、日本の対応

  • 問題解決に向けて

  • 脱温暖化のためのしくみづくり




問題の解決に向けて

私たちの生活を見つめ直す

日本の省エネ技術は世界最高水準といわれています。
技術革新も進んでいます。産業部門からの温室効果ガスの排出量は減少しています。
それなのに、日本全体の排出量が、実際に減らないのはなぜでしょう?
技術革新だけに頼る温暖化対策には限界があるからです。

温室効果ガスの9割以上を占める二酸化炭素について、2005年の排出量の数値を見ると、家庭部門では1990年から約37%増加しています。
運輸部門も1990年から18%増加していますが、その約3分の1が家庭で使う自家用車からの排出です。

私たちの生活と直結結びついている排出が、全体の約2割を占め、急速に増加しています。
このことから、私たちの生活を、足もとから見つめ直してみる必要があります。

一人ひとりが今すぐ始める

省エネ技術が進歩しているにもかかわらず、温室効果ガスの排出量が増加しているのは、私たちが消費する資源・エネルギーの量が、省エネで低減される以上に増えているからです。

「消費量」は、エアコン、パソコン、テレビなどの家電製品の「台数」や「容量」、「スイッチが入っている時間」、車の「排気量」や「走行距離」などと、具体的に置き換えて考えると分かりやすいでしょう。
1990年頃よりも増えていませんか?
この消費増大型の生活を変えない限り、私たちの生活から排出される温室効果ガスは今後も増え続けるでしょう。

そこで求められるのが「質素な生活」です。
質素な生活を心がけることは、無駄を省き、ひとつのものを大切に長く使い、この「消費量」を最小限にすることです。
必ずしも、不便な生活を強いる、ということではありません。
また、これを実践することで、製品の運搬や、捨てられたものの処理にかかるエネルギーも節約できます。

私たち一人ひとりが、生活スタイルを変え、温暖化を抑制したいという、消費者としての意思表示をすることで、大量生産を基本とする経済のしくみや社会のあり方が変わっていきます。

このように、温暖化対策は、私たち一人ひとりにも、今すぐ始めることができるのです。

長距離から短距離へ

スーパーマーケットには、国内の遠く離れた地域や海外からの農産物が並んでいます。
長距離輸送は、より多くのエネルギーを使い、時間もかかるので鮮度が落ちます。
また、海外の農産物を大量に輸入することで、二酸化炭素の排出と国内に蓄積されるゴミの増加に加えて、国内農業の衰退と食料自給率の低下という問題も招いてしまいます。

このことから、私たちの生活と温暖化の関係を、大量輸入の問題も含めて、見つめ直すことが必要です。

これらの問題を解決するひとつの方法が、地元でとれたものを食べる「地産地消」です。この取り組みを、地域社会全体で支えることにより、運搬からの二酸化炭素の排出量が抑えられると同時に、消費者は新鮮で栄養価の高いものを得ることができます。
さらに、つくり手や生産者の励みになるほか、国内農業が活性化され、食料自給率の向上にもつながります。

社会のあり方を見直す
拡散からまとまりへ

日本の国土面積あたりの道路の長さは、アメリカの5倍、ドイツの3倍です。
地球温暖化が大きな問題となった今、自動車の利用を前提とした経済・社会のあり方を、見直すことが必要となっています。
そのためには、エネルギー多消費型の拡散したまちから、簡素ながら住みよくまとまりのあるまち、これを基本とした持続可能な社会を築くことが求められます。

望ましいまちづくりの考え方に、「スマートグロース」や「シュリンキング・ポリシー」といったものがあります。
これは、公共施設、店舗、事務所、住宅などを、徒歩や自転車、公共交通で移動できる範囲に配置し、人口減少にあわせて、住民をより便利なまちのなかに誘導し、空いた土地を自然に戻すというものです。
これによって、新たな二酸化炭素の吸収源と、将来世代のための遺伝子資源を確保することができます。

こうすることで、温暖化対策と人口減少対策が同時に実行できるうえ、豊かな自然とゆとりに満ちた、安全で魅力的なまちづくりが可能になります。
消費天国と地球温暖化 No.34[2016年01月16日(Sat)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.34
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  • 温室効果ガスの異常な排出

  • 限度を忘れた大量消費社会

  • 未来を選択する京都会議

  • 自然を回復させる暮らしへ


日本を襲うぜいたく病。増えるクルマ、のびる道路。
次々と現れる新製品、増え続ける電力需要。国外から大量に運び込む、燃料、木材、食料、鉱物資源。
夫婦に子ども2人の家庭で使うエネルギー量は、石油にすると4日でドラム缶1本、1年間で使う物質の量では180トン以上にもなります。
このぜいたくこそが地球温暖化を進め、私たちを様々な大災害に巻き込む大きな原因となっています。


資源を奪うからゴミがでる

●日本における物質の出入り(マテリアル・バランス)

平成7年度の私たちの国の国際貿易は、金額でみると輸入31.5兆円、輸出41.5兆円と大幅な黒字を記録しました(「平成9年度版通商白書」)。
しかし、物質量の出入り(マテリアル・バランス)の点では、この一年に日本国内に持ち込まれた石油、重化学工業品、食料等の海外資源は7.5億トン。
それに対して製品等の形で輸出されたのはわずか0.95億トン。
重さでは大幅な輸入のしすぎであり、輸出入の差約6.5億トンは、国内に捨てられるゴミとなります(「平成9年度版通商白書」)。
6.5億トンのうち約4億トンは原油、石炭等のエネルギー源です。

●日本は資源を大量に奪う国

ゴミは鉱物を掘るときなど、資源採取の現場でも発生しています。
しかも資源採取現場での自然破壊、ゴミの発生量は、時に商品として社会に投入される資源量の数倍にも達します。
平成7年に私たちの国に輸入された資源を掘るときに発生した捨石・不用鉱物等の量は、22.9億トン。日本に輸入される食料を生産するときに発生した土壌浸食量は、1.4億トン。
海外でのこうした不用物等の総量は、25.2億トン。国内での資源採取時等に発生した不用物等と合わせると37.4億トンに達しました。
また、夫婦に子ども2人を一世帯として、一年間に一世帯が必要とした物質の総量は183トンにもなり、しかもこれがすべてゴミになっているのです。

●リサイクルの前に物の消費量を減らす

それでは、リサイクルで資源の再生利用を進めるようにしたらどうでしょうか?
しかし今の日本の状態は、リサイクルを進めてゴミを減らす成果を消費の増大がだいなしにしているのが事実です。
また不用物となったものからのリサイクルにあまりとらわれると、大量消費・大量リサイクルに陥ったり、またエネルギー消費の増加すら招きかねない場合もあり問題があります。
平成7年度の我が国の一次エネルギー総供給量は、原油換算で約5億9,000万キロリットル。一人一日で12.8リットル、夫婦に子ども2人の四人家族で、わずか4日で石油のドラム缶1本を消費するというスピードです。
エネルギーの消費はCO2の排出そのものです。
今の日本の経済や私たちのライフスタイルを根本的に改めない限り、温室効果ガスは大量に排出され続け、地球温暖化は止まりません。
その流れを変える大きなきっかけとなる得るのが、今回日本で開かれる「地球温暖化防止京都会議」です。
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