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科学技術は人類を救えるか? No.59[2016年02月10日(Wed)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.59
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  • 祖父・祖母の想像を超えた私たちの暮らし

  • 「もっと豊かに」「もっと早く」を科学技術がかなえてきた

  • 急速に、大量に、地球が使い捨てられようとしている

  • 自然生態系を壊さないことを基準に組み込む

  • 科学技術の限界を知る




祖父・祖母の想像を超えた私たちの暮らし

楽観的に思われていた20世紀の社会

1890年代、全米新聞協会が学識者に20世紀に起きそうな出来事を予測してもらったところ、興味深い答えが寄せられたと、ワールドウオッチ研究所のレスター・ブラウンは著書で紹介しています。
例えば、「電気や電話が広く行き渡る」「人は150歳まで生きられるようになる」「大気汚染はなくなる」など、科学技術が進歩し、住みやすい世界が生まれると楽観的な予測がなされました。

ところが、20世紀に実際に起きた2回の世界大戦や核兵器などの開発、自然生態系の破壊、10億人が飢えに苦しむ状況については、だれひとりとして予測できなかったそうです。

しかし19世紀の人々にとって、20世紀の社会を言い当てることなど手に余ることだったに違いありません。
なぜなら科学技術がありまりに急速に、そして高度に発展を遂げたために、社会全体が大きく変化していったためです。

約1万年前に始まった農業の始まりと、18世紀の産業革命は、人類史上のなかでも私たちの社会を大きく変えた特筆すべき出来事です。
しかし農業にしろ、産業革命にしろ、社会の変化は今よりもゆるやかでした。

社会は100年で別世界に変わった

変化の速度が激化したのは、ここ100年のことです。

例えば、1903年にライト兄弟が初めて空を飛ぶことに成功してから、およそ30年後にはジェット機が空を飛び交い、ついに1969年には人間は月に降り立っています。

遺伝子が二重ラセン構造をしていることがわかってから、たかだか50年でライフサイエンスは急速に発達しました。
ある生きものの遺伝子を大腸菌の遺伝子に組み込むことで、特定の物質を大腸菌に大量につくらせて医療に役立てるほか、遺伝子組み替え作物など、従来の交配という技術ではつくり得なかった作物が家庭の食卓にのぼるようにもなりました。

また、アメリカでは4分の1の家庭が電化されるのに46年かかりましたが、インターネットが広がるにはわずか7年しかかからなかったと言われています。

かつて私たちは生活の知恵を子へ孫へと引き継ぎ、祖父・祖母の代と孫の代はほとんど同じ暮らしをしてきました。
ところが、今の私たちの日常生活には、祖父・祖母の代では想像もできなかったモノであふれかえっています。

19世紀の人々は、遠くの人に連絡をとりたいとき、伝書鳩や馬、飛脚などを使っていました。

今や電話やインターネットで海外の人と瞬時にコミュニケーションをとることができ、ラジオやテレビのスイッチを入れさえすれば、世界各国のニュースがリアルタイムで飛び込んできます。

一歩家の外に出ると、地上にも地下にも電車が走り、飛行機が大勢の人々や大量のモノを日夜を問わず運び続けています。

また、特に都会では夜の暗闇がなくなり、カラスが夜中に飛ぶようになりました。

便利で快適、そしてスピーディーな今の社会。これは科学技術が発達することで築かれた社会とも言えます。
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