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ささえが必要な子どもたちにも自然体験 No.150[2017年03月31日(Fri)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.150
−ビオトープ管理士・こども環境管理士の活用 −
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  • 誰もが必要な自然体験

  • 実践者が語る 特別支援学校で自然体験に取り組む理由

  • 命の大切さを実感する学校ビオトープ

  • 地域の特別支援学校が集う学校ビオトープ

  • 美しい自然と歴史ある修道院で学ぶ

  • 特別支援学校の子どもたちにも充分な自然体験を


思いやる心や豊かな感性を育む自然体験は、障がいのある子どもたちにも新しい発見や生きる喜びをあたえてくれます。


誰もが必要な自然体験

人生や社会にとって必要な感性

私たちが生きていくうえで欠かせない能力の一つに「感性」があります。
感性とはそもそも何でしょうか。

中学校の学習指導要領では、「対象・事象からよさや美しさなどの価値や心情などを感じ取る力」と定義されています。

つまり、豊かな感性があれば、日々の暮らしの中でさまざまな気付きや感動に出会い、コミュニケーションにも良い影響をもたらします。

それは、結果としてより暮らしやより良い社会をつくることにもつながります。

文部科学省の中央教育審議会では、社会や産業の構造が変化していく中、私たち人間に求められるのは、「感性を豊かに働かせながら、どのような未来を創っていくのか、どのように社会や人生をよりよいものにしていくのかを考え、自分なりに試行錯誤し新たな価値を生み出していくこと※」ではないかと言う議論がなされています。

現代において、感性を育むことは人生や社会にとって極めて重要なのです。

豊かな感性は自然が育む

では、豊かな感性を育むために大切なことは何でしょうか。
それは、直接的な体験活動です。中でも、自然体験は感性を最大限に伸ばします。

多くの野生の生きものが織りなす自然は、複雑な系(システム)を形づくり、多様性に富んでいます。
この多様さが、気付きや発見、感動の多さにつながっていきます。

五感を刺激し、感性の発達を促す気付きは、飼育活動や栽培活動、また、農体験だけでは得られません。

こうしたことから、誰もが日常的に自然体験を行えるようにする必要があります。
それは、自力ではなかなか活動範囲を広げることができない障がいのある人でも同じです。

意図的に体験の機会を創出したり、配慮をしたりする必要があります。

家庭で日常的に自然と触れさせようとした場合、手間や労力、適切な場所や時間の確保など、家族の負担が大きくなります。

そのため、障がいのある子どもたちが日中の大半を過ごす、特別支援学校での取り組みが重要になります。

※H28.7.7 中央教育審議会 教育課程部 総則・評価特別部会(第10回)「『社会に開かれた教育過程』の実現と、総則を軸とした教育過程の総体的構造の可視化」における取りまとめより一部抜粋
草はら −自然再生の心得− No.115[2016年04月06日(Wed)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.115
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草はらを取り戻すために

現在、自然環境を取り戻す一環で、全国各地でビオトープがつくられています。
しかし、その多くは池などの水辺や樹林地であり、草はらは少ないのが現状です。
一方イギリスでは、草はらの生態系における重要性を理解し、森を再生する際、草はらも同時に再生するプロジェクトが行われています。
今後日本で草はらの環境を増やすために、どのような方法があるのでしょうか。

市民により草はら保全の取り組みから自然公園へ

千葉県白井市は、県北部に位置し、平安時代から江戸時代にかけて馬の放牧地、明治から昭和初期にかけて茅場として利用さてていましたが、高度経済成長期以降、千葉ニュータウンの建設により多くの草はらが失われました。
そのようななか、谷田地区などでは、地権者が現状維持のために刈り取り管理をしていたため、良好なタチフウロなどの希少な植物の生育を確認したことから、保全の重要性を市に働きかけました。
市はその重要性を認め、市民と協働して、周辺の雑木林や谷津の湿地部を含めて多様な生きものがすめる自然公園をつくる計画を進めています。

まちに草はらを取り戻す−草地のビオトープをつくる

堤防、公園、鉄道敷、道路法面、校庭などの公共スペースは、管理の手を適度にゆるめれば、半自然草地を再生できる空間であり、場所によってはすでに希少性の高い在来植物が生育しています。
特に、鉄道敷は、通常、人の立ち入りや盗掘の心配も極めて少ないことから、希少な動植物を守るために利用できる場所です。
ただ、今まであまり調査が行われていないため、どこにどのような動植物が生息・生育しているのかほとんど知られていません。
まずは調査を行い、現状を把握することが望まれます。

堤防、鉄道敷、道路法面は、縦横に延長して広がっている特性から、草地のビオトープをネットワークするためのツールとしても重要です。
道路沿いの街路樹帯は、普通狭い枡の中に木が1本ずつ植えられていますが、これを連続したスペースとして確保し、チガヤなどの草を生育させることでネットワーク化を進めることができます。

私たちの身近な草地としては公園の緑地がありますが、多くの場合一律に過剰な草刈り管理をしているため、単調なジバ草地になっています。
このことから、国はもとより、県、市町村それぞれにおいて、草刈り頻度を変えたり、刈り残す場所をつくったりするなど、多様な草地環境を創出し、特有の生きものがすめるようにする管理手法の導入が求められます。

草はらの保全・再生に向けた制度づくり

まちのなかの樹木や樹林については、条件が合えば、樹木保存法という法律やこれに準ずる条例で「保存樹木」、「保存樹林」として守られ、管理費用についても、行政が一部負担しています。
しかし、草はらについては「保存草地」という制度はなく、開発により消滅しやすい状況にあります。
草地は、樹林、水辺と同様に、特有の生物相をつくりあげる貴重な生態系の一つとして保全・再生する価値があります。

都市近郊や農山村地域では、ドイツの例のように、質の高い二次草原の維持・再生による生物多様性の保全への貢献に対して助成する制度の導入が望まれてます。

また森を再生する場合、はじめから木を植えるのではなく、草はらからの自然な遷移によって長期的にかたちづくっていかせる方が、より自然に近い状態になります。
林野庁では人工林を伐採したあと、放置して自然林へ移行させる事業を始めることにしました。

自然に草はらが維持されるには

草はらは、自然の状態では木が生育できないような厳しい環境条件のほか、山火事や川の氾濫、高潮や津波などによって木が失われた場所などに出現します。
人間が住めば火害と呼ばれる自然の営みが、自然界においての変化、あるいは維持といった役割を担っているのです。

都市近郊や農村集落に二次草原を増やすことも重要ですが、それ以上に重要なことは、まず人が住んでいない、草はらが出現するような広大な環境を確保することです。
河川の堤防を堤内地側につくり替えて河川敷を広げる(引き堤)事業などは今後、国として全国各地で取り組むべき重要な課題ですし、人口減少に伴う土地利用の見直しも必要です。

草はらを彩る一つひとつの野草こそが、私たちをはじめ多くの生きものの生命を支える重要な存在であることを、忘れてはなりません。
ビオトープ地図がささえる市町村の美しい自立 No.74[2016年02月25日(Thu)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.74
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目標種ビオトープ地図をつくり、個性のある接続可能なまちづくりを

あなたのまちの「目標種ビオトープ地図」をつくりましょう!

持続可能なまちづくりや地域振興の土台となる地域の自然資源を計画的に保全するためには、まず自分たちのまちの現状をよく知ることが必要です。

近年、市町村のレッドデータブックが作られ始めました。
都道府県レベルのものより、地域の様子を詳しく示す重要なデータとして、すべての市町村での整備が求められます。
しかし、生きものを守り、生態系を回復させるためには、それだけでは不十分です、

これからは、地域にくらす生きもののかつての状況と現在の状況を把握することに加えて、地域の目標となる生きもの(希少種、上位種など)を決めて、それがくらし続けるために必要な「目標種ビオトープ」を明らかにする調査が急がれます。

さらに、優先的に守ったり回復すべき「目標種ビオトープ」を、まちの基盤をなす財産としてはっきりと示す「目標種ビオトープ地図」を作る必要があります。
この地図は、まちの将来像をつくるときの基礎情報として、重要な役割を果たします。

目標となる生きものも「目標種ビオトープ」も、地域ごとにちがう個性です。
市町村レベルできちんと調査して、「目標種ビオトープ地図」を各市町村が持つことが、持続可能なまちづくりの基本なのです。

目標種ビオトープを確実に守りましょう!

目標種ビオトープの保全・復元による持続可能なまちづくりは、地域の中心的な課題です。
そのために、各地域で重要な目標種ビオトープについては、それを法制度のもとで保全対象として位置づけることが必要です。

さらに、目標種ビオトープは守るだけではなく、復元、創出、またネットワーク化についても計画的に進めて、より効果的に自然を豊かにすることが望まれます。
「目標種ビオトープ地図」を土地利用計画などの基礎資料として位置づけることにより、保全計画と適切な開発計画がバランス良く行われることが必要です。

都市域では、かつての自然の状況を元に目標種ビオトープを取り戻す計画をすすめることが中心に求められます。

私たちの向かうべき道

私たちの国では、現在、”平成の大合併”とよばれる市町村合併が各地でさかんに進められていますが、人口と面積が増えるだけで、新しいまちの目標と戦略が見えてきません。
今求められているのは、個性的で持続的に発展するまちづくりです。
それは、自然・文化・歴史と共存する美しいまちづくりと地域振興の促進にほかなりません。
適正な人口と広さの中で、市民が自分のまちをふるさとと感じ、愛着を持ち、まちをどうするかを考えていくことが基本となります。

これまでの日本のまちづくりに対して、生きものから赤信号が灯されています。
将来へ進む青信号に変えるためには、各市町村が「目標種ビオトープ地図」をしっかりと持って、100年先のグランドデザインをつくり、自然と共存する美しいまちづくりへと転換することが大切です。
学校ビオトープ No.48[2016年01月30日(Sat)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.48
−子どもと地域の自然を育む環境教育の教材−
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  • 野生の生きものがあふれる学校あつまれ!【レポート】第一回全国学校ビオトープ・コンクール発表会

  • 環境問題を解決するために

  • 魅力あふれる教育を展開しよう

  • 学校ビオトープを十分活用するために

  • 学校ビオトープで自然を広げる、視野を広げる


世界各国では、環境教育によって、社会の基盤である自然を守り育てるために、自ら考え、行動する人材を育成しようとしています。
一方、日本の従来の教育は、知識偏重とも言われ、環境教育についても「環境問題についての知識を与える」あるいは「自然の一部だけを教える」にとどまることが懸念されてきました。
しかし、多くの学校が、環境教育の教材として非常に優れている学校ビオトープを導入しつつあり、これによって日本の環境教育を、世界が目指す人材育成のための教育へと刷新することが期待できます。
すでに欧米でも学校ビオトープを積極的に導入し、成果を上げています。
今回は、国内で初めて行われた学校ビオトープ・コンクールの報告も交えながら、学校ビオトープの可能性について考えていきます。


学校ビオトープを十分活用するために

学校ビオトープは、環境の時代と言われる21世紀にふさわしい教育を展開するための協力な教材です。
これを十分に活用するために、地域の自然を取り戻し、地域のさまざまな生きものを呼ぶ、さまざまな考え方や工夫を紹介します。

◆どうして「地域」にこだわって学校ビオトープをつくるのか?

自然生態系のなかでは、地域の生きものがお互いに関わり合いながら、長い時間をかけて進化してきました。
その結果、ある特定のものしか食べない専門家も登場。
例えば、ミドリシジミの幼虫はハンノキの葉、ヤマトシジミの幼虫はカタバミの葉を好みます。
こうした生きものは、学校農園や花壇では暮らすことができません。

一方、学校ビオトープには地域の植物が生え、それらを食べる地域の動物が暮らすようになり、子どもたちが自然のしくみを学ぶことができます。

こうした地域の自然を見せるには、学校ビオトープの面積をできるだけ広く確保する方が、地域の自然により近いものがつくれ、さまざまな生きものを呼ぶことができます。
理想としては、学校の敷地全体を学校ビオトープとし、グランドは草を適度に刈ったところを利用、敷地の一部は比較的教材として花壇や学校農園にしてもよいでしょう。
また、学校と外の自然をつなぐことで、地域の自然と一体となった学校ビオトープとするのです。
学校ビオトープの池などには、金魚などの愛玩動物やアメリカザリガニなどの外来種をいれず、「地域の自然」にこだわるようにし、子どもたちに間違った自然観を与えないようにします。
学校ビオトープの草木、花壇の植物などにはそれぞれの解説をつけ、どれが地元の植物かを分かるようにします。

学校ビオトープをつくるときの手順ごとに、地域の生きもののための考え方や工夫があります。
ビオトープガーデン No.44[2016年01月26日(Tue)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.44
−ガーデニングは野生の生きものと共に−
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写真に写っているのは、なんでしょうか?
実は竹筒の中にすみついた2匹のアマガエルです。
ビオトープを大切にすれば、庭にもいろいろな生きものたちもやってきます。
自然が失われ続けている今、身近なところでも、野生の生きものたちの暮らす場所を守ってあげることが大切です。


ドイツの庭園博と日本の都市緑化フェア

日本では、毎年「都市緑化フェア」が開かれています。
そこには様々な庭の見本展示が行われ、そのデザインなどを競い合ったりしています。
一方、ドイツの「庭園博」では、会場となる用地を買い上げるなどして、都市に新たな緑地をつくりだしています。

◆自然観に影響する都市緑化フェア

日本ではヨーロッパなどの園芸博覧会のように、1983年から毎年「全国都市緑化フェア」が開催されています。
特定の都市公園を会場としながら、各県もちまわりで行われ、新しい緑化技術や様々な庭の見本展示を行ったり、そのデザインなどを競い合うなど、各種のイベントが行われます。
国民的な花と緑の祭典として、例年、200万人弱ぐらいの人々が訪れ、緑化に対する考え方を伝える上で、その影響力は決して小さなものではありません。
都市緑化フェアの基本方針のひとつには、「未来社会を担う子供達を中心に、緑や自然に対する理解を深めるなど、環境教育の場とする」というものがあり、ここで伝えられる『自然観』には大切な意味があります。

◆もっと自然生態系への理解を

ところが、現状の都市緑化フェアは観光産業や、花き産業などの関連ビジネスの活性化に重点が置かれ、入場者数の多さで成功かどうかを判断するという一面があります。
しかし、基本方針にのっとり、自然生態系についてもっと理解が深まるような内容が必要です。
今年、宮崎市で開かれた都市緑化フェアでは、たしかにビオトープの名のついた庭の出展もありました。
しかし、それが、ビオトープに対する誤解をまねく内容であったことは残念でした。
例えば、池は土もなくゴムシートがむきだしで、水草は外来種のホテイアオイ、水の中にはヒメダカが泳ぎ、植物もマーガレットやクレマチスといった園芸種が中心だったかからです。

◆自然をふやすドイツの庭園博

一方、ドイツではほぼ2年に1度、『庭園博』が開かれています。
開催地となる各都市では、準備に約10年の歳月をかけ、会場にするための用地を買い上げて整備します。
例えば、フランクフルトで行われた庭園博の場合は、会場の広さが70ha。そのおよそ半分はもともとあった森で、新しく造成されたところには、水辺や草地などがつくられ、自然の多様性を高める努力がなされていました。
さらにすばらしいことは、庭園博が閉幕した後、その用地70ha全体が、市民のいこいの場である都市緑地として残されることです。
つまり、ドイツでは庭園博自体が、都市計画に組み込まれた緑地政策の一環であり、新たなビオトープを生み出す絶好の機会になっているのです。
子供たちに自然を 学校にビオトープを No.12[2015年12月25日(Fri)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.12
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  • 始まっている学校ビオトープ

  • シュールガルテン 学校生態園

  • ビオトープと緑化のちがい

  • ビオトープの教育的効果

  • 学校ビオトープに制度的裏付けを

  • 学校緑化コンクールの見直しを


小学校1〜2年生での生活科をはじめ、理科での自然の事物を対象とした体験学習や、環境教育の導入のように、学校教育で生きた教材としての身近な自然への評価と必要性が高まっています。
しかし、子供たちに自然の中での体験や学習を行わせようにも、学校内や周辺にそうした自然環境が、ほとんど無いのが現実です。
総務庁は85%の子供が日常的に外で遊んでいないと報告しています。
子供たちの健全な成長のために欠かせない、自然体験の場をどう確保すればよいのでしょう。
その回答が学校での『ビオトープ』づくりです。
生き物の生息空間であるビオトープを学校につくることは、自然の大切さを知る生きた教材となり、いろいろな生き物と共存する自然豊かな街づくりにつながります。


始まってる学校ビオトープ

小鳥が鳴く雑木林やトンボの池が

ビオトープづくりに取り組んでいる先進校では、どんなことをしているのでしょう。

【雑木林づくり】

ビオトープは庭園や花壇ではありません。
その地方の昔からのいろいろな生き物がすむ、身近な雑木林などを手本に自然の復元や創造をしています。

【池づくり】

コンクリートではない土の池をつくり、自然の水草を植えてトンボやアメンボがすむ池をつくっています。

【野草地づくり】

自然というと樹木に目が偏りがちです。
野草の原っぱづくりや雑木林の下草も樹木と同じように大切にしています。

【多孔質空間づくり】

丸太や意思を積んだり、落ち葉や枯れ草の山をつくると、昆虫などのすみかになります。
自然はコンクリートなどの人工物のように均質ではなくて、複雑で多様な多孔質空間なのです。
この空間が多くの生き物のすみかになります。


学校ビオトープの原則

@地域の自然がモデル

雑木林や小さな池など、昔からその地域にある身近な自然を手本にします。山の学校と海辺の学校では、モデルが違います。

A目標の小動物を決める

ビオトープの主役は動物です。
トンボやチョウ、野鳥などから自然復元の目標種を具体的に決めます。

Bネットワーク

ビオトープは箱庭でありません。
生き物が行き来するネットワークが欠かせません。

C自然の植生を復元

外国産や園芸種ではなく、その地域に自生する植物を選び、高木・低木・下草などの自然の植生の状態を復元します。

Dなるべく手を入れない

剪定や草刈り、落葉かきなどは極力行ないません。
除草剤や殺虫剤などは厳禁。


●学校ビオトープQ&A

Q: 自然のままだと見た目が悪く、理解者があまりいないのでは?

A: 区域分けと広報が大切です。
ビオトープ区域と花壇などとの使い分けを明確にし、ビオトープの目的を児童生徒・保護者・地域に、さまざまな機会の中でお知らせください。

Q: 草刈りをしないと苦情が寄せられるが?

A: 草刈りを全くしないのではありません。
年に1回刈るところ、5回刈るところなどと、なるべく多くの生き物がすめるように管理します。
草むしりは表土が露出して、雨や風で流失してしまうためにやってはいけません。

Q: 池をつくると蚊がわきませんか?

A: その心配はありません。
自然の池ではヤゴや水生昆虫がボウフラを食べます。
カエルがすみつけば、効果はさらにあがります。

Q: どんな生き物を放せばよいのですか?

A: 捕まえたり買った動物を放してはいけません。
自然を復元すれば生き物はやってきます。
陸上を移動できない生き物は、近くの自然から少しだけ補給します。
コイやアメリカザリガニなどは、ヤゴや水草を食べ尽くすので放してはいけません。

Q: 自然のままだと毛虫が発生しませんか?

A: 生態系のバランスがとれれば、特定の生き物だけが大量に発生することはありません。
気になる場合はシジュウカラ用の巣箱を掛ければ効果があります。

Q: 業者に頼めば費用はどれくらいですか?

A: ビオトープの技術を持った造園業者が少数あります。
当会にご相談ください。
手づくりだと、費用も数十万円から可能です。
地域によっては自然復元や緑化事業の補助金があります。

ビオトープ(Bio-top)No.1[2015年12月14日(Mon)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.1
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  • 緑をつなぐビオトープ

  • 自然を壊す開発 自然を創る開発

  • 学校にもビオトープを

  • 求められる自然保護の基本法

  • はじまっているビオトープ事業


(Bio-top)ドイツ語で生き物の生息場所を表すことばです。
ドイツをはじめとしたヨーロッパの国々では、自然環境を保全するために、ビオトープ・ネットワークを基本に置いた、都市計画や農山村計画などの、国土づくりを進めています。
自然を単に見た目の緑だけととらえず、多様な生き物が生息する生態系として保全・創造する事業に取り組んでいるのです。
これらの国では、人類がいつまでも繁栄していけるために、自然環境の保全を第一にとらえ、次いで農地の保全、都市開発は三番目に位置付けられています。
今回は、自然保護と開発を調和させるための、具体的な方法であるビオトープを紹介します。


学校にもビオトープを

ビオトープで自然保護教育を

ドイツでは学校の敷地もビオトープ・ネットワークに組み込まれています。これには二つの意味があります。
その一つは自然をつなぐ拠点としての意味です。
学校は特定の間隔で点在する公共用地ですから、そこに自然を再生すればうまくネットワークできます。
もうひとつの意味は、自然保護教育の実習場として活用することです。
日本では教科・領域の中に自然保護教育が位置付けられていませんが、諸外国では授業の中で自然の大切さを教えています。
現在の日本でも、学校にビオトープを整備すれば、生活科・理科・特別活動などで十分活用できます。

●校庭の野草地化

校庭の一部にビオトープを造りましょう。
特別に種や苗を植えなくても、ロープや柵で児童生徒の立ち入りを制限する場所を造り、自然のままに放置するだけで、野草が芽生え、多くの昆虫たちも生活をはじめます。
中庭やグランドのすみなどの余剰地から始めてみてはどうでしょう。
はじめは荒地に強い草が進入し、徐々に種類の構成が変化します。
植生の遷移を観察することができます。
緑というと樹木だけが大切にされていますが、雑草と呼ばれる植物も、それぞれに名前があり、大切な命があることが理解できます。

●自然植生の回復

ある地域が自然の状態にあれば、本来生えるであろう植物を、自然植生といいます。
日本では学校に限らず公園や街路樹などに植えられる樹木は、その地域に本来生えていない樹木が多用されています。
ビオトープはその地域本来の自然環境の保全・創造が原則です。
校庭の樹木もソメイヨシノやイチョウ、ツツジなどの種類から郷土の樹種へと転換すべきです。
背の高い木や低い木などいろいろな種類の木を植え、下草も残した自然の林を学校に再生するのです。
それによって多くの動物たちも生活できます。

●コンポスト 落葉の利用

落ち葉はとかくゴミ扱いされていますが、自然界では豊かな表土をつくるために欠かせません。
落ち葉を貯めて堆肥を作る場所を設置しましょう。
昆虫のすみかにもなります。

●屋上緑化

スペースが限られる都市部では、屋上や屋根の上も自然再生の対象となります。
ヨーロッパ諸国では写真のように屋上やビルの壁面にも植物を植えて自然を再生しています。
屋根の上でヒバリがヒナを育てていることも珍しくありません。

●いろいろな工夫

いろいろな生き物に生息場所を与えるには、石組みや丸太を積んだり、ブッシュを造るなどして環境に多様性を持たせる工夫が効果的です。
複雑な空間を造ると、それぞれの空間に合った小動物が利用します。
石組みはコオロギがすみ、丸太にはカミキリムシが発生します。
ドリルで穴を開ければ、ジガバチが巣を作ります。
そして多くの微生物も生活できます。

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