日本生態系協会　会報「エコシステム」No.86

• 持続するくに、持続するまちへ


• しくみを見直す


• 自分たちのくにやまちは自分たちでつくる


• 公正な税金の使い方


• 世界をリードする日本

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しくみを見直す

チェックしきれなかったこれまでのしくみ

政府のお金の使い方に対しては、これまでもチェックをするしくみはありました。
会計検査院という政府の機関もあります。

しかし、残念なことに、これらのチェックだけでは、不適切な支出はなくなりませんでした。
最近、マスコミに取り上げられている行政による不適切な支出や行為に関するニュースは、どれもびっくりするものばかりです。

国会のチェックを受ける一般会計の数倍もの規模になる特別会計と呼ばれるお金も、私たちが納めている税金などから成り立っているお金です。
しかし、この特別会計は国会でも予算成立時に細かいチェックを受けることなく、その支出は官僚の判断によって決められてきました。
この特別会計というお金と、将来の世代からの借金によって、道路やダムといった大型の公共工事がすすめられてきました。
私たちの税金は、100％行政に納められます。
だからこの行政には、それらの税金を私たちのためになるように、適正に使う責任があるはずです。
不適切な支出や行為がなくならないという事実は、税金を100％行政だけに納めることが、危険がある、ということを明らかにしています。

どのように税金が使われているのかをチェックすることは簡単なことではありません。
政府の予算は国会の議会によって、地方の予算は地方議会の議決によって成立します。
しかし、ひとつひとつの支出について、どのような目的・効果のために税金がつかわれるかをチェックすることは、使われる内容に関する専門的な知識が必要となることから、なかなか適正な評価をくだすことができないのが実情です。
また、税金が使われた後に、はじめの目的通りに使われたのか、期待した効果を発揮することができたかを、しっかり確認する必要もあります。
そうすることでようやく、適正な支出という判断をくだすことができるのです。

最も関心をもたなければならないことは、「持続するくに」や「持続するまち」をつくるだめに、どのように税金が使われて、どのような成果を発揮したのか、をチェックすることです。
リオ宣言での約束を果たすためにも、「持続するくに」をつくらなければなりません。
それは、自然を守り、復元するためにどのようにお金が使われて、効果を発揮するのかを調査、分析、評価し、チェックすることを重点的におこなうことになります。
自然環境や生態系について専門的な知識や、自然と共存するまちづくりについての知識が求められるのです。

不適切な支出や行為

私たちの信頼をうしなってしまいそうなほどの不適切な支出や行為は、残念ながらなくなりません。
自分のお金ではないから、という認識があるためなのか、あまりにもお粗末な事件が多すぎます。

【官製談合】

入札情報の事前漏洩　受発注談合

【大型公共事業】

国民が理解できない高速道路、自動車専用道路、バイパス道路、ダム、新造船の建造など

【公費海外留学者の早期退職】

公費で海外留学を経験した公務員が留学後、短期間で退職してしまうケースが続発

【不正支出、不正処理、不正契約】

職員出張費の水増し請求　役所による年金の不正免除

民間による政府予算のチェック

アメリカでは、NGOや市民団体が共同して「グリーンシザーズ」というキャンペーンを展開しています。
1994年に始まったこのキャンペーンは、環境に対して害を与えたり、連邦政府予算のムダ使いとされる計画や補助金などを指摘して、毎年、報告書にまとめて公表しています。
これまでに合計260億ドル、日本円にしておよそ2.9兆円の計画や補助金の中止を勝ちとりました。
このように民間の立場から、予算や支出を節約し、環境に害となる計画をやめさせることを目的とする活動が行われ、成果をあげています。