大きなリュックを背負う 肉・野菜 No.64[2016年02月15日(Mon)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.64
節度ある社会へ
私たちは企業から絶え間なく出されるさまざまな商品に、消費意欲をかき立てられ、「もっとはやく」「もっとたくさん」を求めてきました。
そしてそれに対応した流通の変化が、私たちの要望に応えてきたのです。
しかし、その大量流通のしくみを支えてきたのは、貴重な石油を始めとした資源です。
大量の資源を消費して、大量のモノを移動させ、環境への悪影響を十分に負担せずに利益をうみ出すという経済のあり方は、物質の循環を乱し、流通をどう変えていくか考えることも必要です。
例えば食べものの場合、可能な限り、地域でつくって地域で食べるというしくみへ変えていくことが大切です。
現在、WTOで進めている貿易自由化は、地球規模での持続的な社会をつくろうとの流れには逆行するものです。
自由貿易を進めることを前提として環境のことを十分に考えない貿易は、見直す必要があります。
環境に関する情報公開
限りある資源をいかに有効に利用するかということが、21世紀の大きな課題です。
そこで、まず国が率先して環境へ配慮した品物を買いましょうというのが「グリーン購入法」(2001年4月施行)です。
しかし、最終的には私たち消費者が、商品を必要最低限に買うことが求められます。
このためには、消費者が正しい判断をするための情報開示(環境ラベルなど)や賢い消費者を育てるための環境教育を進めることが不可欠です。
情報の公開は、消費者の知る権利(知らされる権利)を保証することです。
昨年のJAS(日本農林規格)法改正により、野菜や果物などを売る場合、名称と原産地を表示することが義務づけられました。
今後はその商品がどこで何を使ってつくられ、どんなルートで運ばれたものかといった環境情報の追加が求められます。
また、現在、エコマークを始め、私たちの国で広まっている環境ラベルの認定基準の項目に、モノを運ぶときに生じる環境への影響なども盛り込んでいく必要があります。
ムダなモノを買わない・買わせない
モノの移動に使う燃料や、流通のときに出るゴミなどに対して、税金をかけることで、大量流通にともなう環境問題をやわらげることができます。
私たちの国でもガソリンや軽油には、ガソリン税・軽油取引税などの税金がかけられています。
しかし、ガソリン・軽油にかけられた税金は、ほとんどが道路を整備することにあてられています。
国の面積あたりの道路の長さがアメリカやヨーロッパの国々より大きく上回った現在、「道路整備緊急措置法」といった法律を廃止して、燃料には環境税として新たに税金をかけ、税収の一部をモノの移動にともなう環境問題を改善するための財源として確保するなど、税のしくみをかえることも必要です。
こうした環境税の導入以外に、今の大量流通を引き起こす原因が、私たちの大量消費によることから、消費税を上げることも十分に検討の余地があります(EU諸国の消費税率は15〜25%)。
子どもたちのために
環境への悪影響が少ない輸送手段への切り替えを進めることは大切です。
しかし、これだけでは、問題は解決しません。モノの移動にともなう物質の循環の乱れをいかに少なくするかを、あわせて考えていくことが求められます。
海外からのめずらしい食べものがすぐに手に入ることが当たり前になると、そこから得られる満足感は下がり、今度はそれをいつでも食べることを望むようになります。
こうしたきりのない消費者の欲望の拡大や、それをかきたてる商売のしかたが、景気を刺激し、経済成長を支えてきたといえます。
一方、私たちは経済成長の陰で、大切な資源を、私たちの子どもや将来世代の分まで、持続不可能なペースで使い続けているのです。
私たちが口にする多くの肉や野菜は、環境問題、将来世代の貴重な資源などが詰まった大きなリュックを背負っています。
私たちの子どもや将来世代にとって暮らしやすい社会をつくるためにも、地域でつくって地域で食べる暮らしを進め、石油を中心とした貴重な資源の消費を前提としたモノの移動と、それにともなう環境問題を改善していく必要があります。
- もっとはやく もっとたくさん
- どこからどれだけ?
- なぜ安い?
- 流通に環境の視点
- 節度ある社会へ
節度ある社会へ
私たちは企業から絶え間なく出されるさまざまな商品に、消費意欲をかき立てられ、「もっとはやく」「もっとたくさん」を求めてきました。
そしてそれに対応した流通の変化が、私たちの要望に応えてきたのです。
しかし、その大量流通のしくみを支えてきたのは、貴重な石油を始めとした資源です。
大量の資源を消費して、大量のモノを移動させ、環境への悪影響を十分に負担せずに利益をうみ出すという経済のあり方は、物質の循環を乱し、流通をどう変えていくか考えることも必要です。
例えば食べものの場合、可能な限り、地域でつくって地域で食べるというしくみへ変えていくことが大切です。
現在、WTOで進めている貿易自由化は、地球規模での持続的な社会をつくろうとの流れには逆行するものです。
自由貿易を進めることを前提として環境のことを十分に考えない貿易は、見直す必要があります。
環境に関する情報公開
限りある資源をいかに有効に利用するかということが、21世紀の大きな課題です。
そこで、まず国が率先して環境へ配慮した品物を買いましょうというのが「グリーン購入法」(2001年4月施行)です。
しかし、最終的には私たち消費者が、商品を必要最低限に買うことが求められます。
このためには、消費者が正しい判断をするための情報開示(環境ラベルなど)や賢い消費者を育てるための環境教育を進めることが不可欠です。
情報の公開は、消費者の知る権利(知らされる権利)を保証することです。
昨年のJAS(日本農林規格)法改正により、野菜や果物などを売る場合、名称と原産地を表示することが義務づけられました。
今後はその商品がどこで何を使ってつくられ、どんなルートで運ばれたものかといった環境情報の追加が求められます。
また、現在、エコマークを始め、私たちの国で広まっている環境ラベルの認定基準の項目に、モノを運ぶときに生じる環境への影響なども盛り込んでいく必要があります。
ムダなモノを買わない・買わせない
モノの移動に使う燃料や、流通のときに出るゴミなどに対して、税金をかけることで、大量流通にともなう環境問題をやわらげることができます。
私たちの国でもガソリンや軽油には、ガソリン税・軽油取引税などの税金がかけられています。
しかし、ガソリン・軽油にかけられた税金は、ほとんどが道路を整備することにあてられています。
国の面積あたりの道路の長さがアメリカやヨーロッパの国々より大きく上回った現在、「道路整備緊急措置法」といった法律を廃止して、燃料には環境税として新たに税金をかけ、税収の一部をモノの移動にともなう環境問題を改善するための財源として確保するなど、税のしくみをかえることも必要です。
こうした環境税の導入以外に、今の大量流通を引き起こす原因が、私たちの大量消費によることから、消費税を上げることも十分に検討の余地があります(EU諸国の消費税率は15〜25%)。
子どもたちのために
環境への悪影響が少ない輸送手段への切り替えを進めることは大切です。
しかし、これだけでは、問題は解決しません。モノの移動にともなう物質の循環の乱れをいかに少なくするかを、あわせて考えていくことが求められます。
海外からのめずらしい食べものがすぐに手に入ることが当たり前になると、そこから得られる満足感は下がり、今度はそれをいつでも食べることを望むようになります。
こうしたきりのない消費者の欲望の拡大や、それをかきたてる商売のしかたが、景気を刺激し、経済成長を支えてきたといえます。
一方、私たちは経済成長の陰で、大切な資源を、私たちの子どもや将来世代の分まで、持続不可能なペースで使い続けているのです。
私たちが口にする多くの肉や野菜は、環境問題、将来世代の貴重な資源などが詰まった大きなリュックを背負っています。
私たちの子どもや将来世代にとって暮らしやすい社会をつくるためにも、地域でつくって地域で食べる暮らしを進め、石油を中心とした貴重な資源の消費を前提としたモノの移動と、それにともなう環境問題を改善していく必要があります。