自由貿易の限界 No.55[2016年02月06日(Sat)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.55
環境問題と貿易は深い関わりがある
輸入大国、日本
日本は輸入大国です。
金額的には、今年1月の貿易収支が赤字になりましたが、年間を通してはまだまだ黒字の傾向です。
また、貿易によってどれだけのモノが出入りしているかを重さで見ると、日本は年間で5.6億tもの輸入超過となっています。
その内訳は海外から輸入した製品や原料は重さに直すと6.7億トン、これに対して輸出されたモノはわずか1.1億トンでした。
差し引き5.6億トンのモノが日本にあふれ続けていることになります。(輸出入の数値は平成10年)
モノは最終的には大量のゴミになる
モノの出入りが、国内に入ってくる方に大きく傾いているため、日本の狭い国土のなかにモノがあふれています。
あふれた大量のモノの多くはゴミとなります。
ゴミ処理場や埋めた地が不足して、次はどこにつくるかという議論は毎日のように聞かれます。
また、大量の食料や飼料、肥料を輸入して消費した結果、川や海など多くの場所で富栄養化が進み、自然に与える悪影響も大きくなっています。
先進国は大量のゴミを出し続けている
日本やその他の先進国では、国内外の資源を異常に消費し、大量のゴミを出すことで経済を成り立たせ、豊かで便利な生活を享受しています。
この経済のあり方は、20世紀に欧米が中心となって推し進めてきたものであり、これを確立したごく一部の国々が先進国と呼ばれています。
先進国は、貿易を拡大し、発展途上国の資源を安く大量に買い上げています。
この大量に輸入した資源を使って、大量生産・大量消費・大量廃棄を行い、原材料を加工してつくった付加価値の高い製品を輸出して外貨をかせぎ、再び資源などを大量に輸入するという構図になっています。
そして再び、大量生産・大量消費・大量廃棄を行い、地球温暖化問題や酸性雨、オゾン層の破壊といった国境を超えた環境問題を、発展途上国に先立って引き起こしてきました。
また、今の消費の勢いでは多くの地下資源が21世紀中にはなくなると予想され、再生可能である生物資源も生きる土台である自然生態系が大規模に破壊されることで、急速に失われています。
私たちは、国内にとどまらず海外の資源を大量に消費し、大量のゴミをまき散らし、環境問題を引き起こしていると言えます。
発展途上国は大量に自然を破壊し続けている
一方、発展途上国は環境問題とどのように関わっているのでしょうか。
輸出できる資源などは安価に買われ、工業製品として輸入するときは高価になっているという国際経済の構造のなか、多くの発展途上国が、莫大な国の借金を抱えることとなりました。
これら国の借金の総額は、1971年で2,950億ドル、98年には24,650億ドルと増えています。
発展途上国では、多くの人々が低所得を強いられ、栄養不足に陥っています。
- 環境問題と貿易は深い関わりがある
- 貿易が生みだした問題とその背景
- ぶつかりあう自由貿易と環境政策
- 食料は買ってくればよいのか
- 輸送手段を見直す
- 環境の枠組みのなかで貿易を考え直す
- 貿易を持続可能なものとするために
環境問題と貿易は深い関わりがある
輸入大国、日本
日本は輸入大国です。
金額的には、今年1月の貿易収支が赤字になりましたが、年間を通してはまだまだ黒字の傾向です。
また、貿易によってどれだけのモノが出入りしているかを重さで見ると、日本は年間で5.6億tもの輸入超過となっています。
その内訳は海外から輸入した製品や原料は重さに直すと6.7億トン、これに対して輸出されたモノはわずか1.1億トンでした。
差し引き5.6億トンのモノが日本にあふれ続けていることになります。(輸出入の数値は平成10年)
モノは最終的には大量のゴミになる
モノの出入りが、国内に入ってくる方に大きく傾いているため、日本の狭い国土のなかにモノがあふれています。
あふれた大量のモノの多くはゴミとなります。
ゴミ処理場や埋めた地が不足して、次はどこにつくるかという議論は毎日のように聞かれます。
また、大量の食料や飼料、肥料を輸入して消費した結果、川や海など多くの場所で富栄養化が進み、自然に与える悪影響も大きくなっています。
先進国は大量のゴミを出し続けている
日本やその他の先進国では、国内外の資源を異常に消費し、大量のゴミを出すことで経済を成り立たせ、豊かで便利な生活を享受しています。
この経済のあり方は、20世紀に欧米が中心となって推し進めてきたものであり、これを確立したごく一部の国々が先進国と呼ばれています。
先進国は、貿易を拡大し、発展途上国の資源を安く大量に買い上げています。
この大量に輸入した資源を使って、大量生産・大量消費・大量廃棄を行い、原材料を加工してつくった付加価値の高い製品を輸出して外貨をかせぎ、再び資源などを大量に輸入するという構図になっています。
そして再び、大量生産・大量消費・大量廃棄を行い、地球温暖化問題や酸性雨、オゾン層の破壊といった国境を超えた環境問題を、発展途上国に先立って引き起こしてきました。
また、今の消費の勢いでは多くの地下資源が21世紀中にはなくなると予想され、再生可能である生物資源も生きる土台である自然生態系が大規模に破壊されることで、急速に失われています。
私たちは、国内にとどまらず海外の資源を大量に消費し、大量のゴミをまき散らし、環境問題を引き起こしていると言えます。
発展途上国は大量に自然を破壊し続けている
一方、発展途上国は環境問題とどのように関わっているのでしょうか。
輸出できる資源などは安価に買われ、工業製品として輸入するときは高価になっているという国際経済の構造のなか、多くの発展途上国が、莫大な国の借金を抱えることとなりました。
これら国の借金の総額は、1971年で2,950億ドル、98年には24,650億ドルと増えています。
発展途上国では、多くの人々が低所得を強いられ、栄養不足に陥っています。