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「狂争の世紀」から「共存の世紀」へ No.53[2016年02月04日(Thu)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.53
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先進国だけが勝ち続けた「狂争の世紀」

人類史上、前例のない大変化が起きた

21世紀の幕開けという歴史的な年明けを迎えました。
私たちが歩んできた20世紀を振り返ってみると、人類史上、これほど驚異的な変化をとげた世紀はなかったと言えます。

19世紀末では世界の人口は約16億人でしたが、20世紀末では60億人以上に急増、世界経済の規模は100年で17倍と、どちらも人類史上前例のない急激な成長を遂げました。

科学技術も驚異的に発展し、1953年に遺伝子が二重らせん構造であると明らかになったことを発端にバイオテクノロジーが躍進し、それ以前にはつくりえなかった新しい生物を私たちは手に入れました。
1903年に初めて人間は飛行機で空を飛び、1969年には月へと飛んだのです。
通信や交通に関する技術の発展は、国際経済とも言うべき、国境を超えた経済体制をつくりあげました。
いまやインターネットは神経細胞のように世界のすみずみまで複雑に絡み合い、国際輸送は海路に加え空路も大量輸送の担い手となりました。

世界経済も飛躍的に成長しました。
しかし、その国ごとの格差は大きく、国内総生産(GDP)の大きさを地図で表すと、先進国が著しく大きくなることがわかります。

20世紀とは、特定の人々の活動サイズが、100年前の人々が想像できないほど大きくなった世紀だったと言えます。

石油文明の落とし子、"狂争"の社会

この疾走するような社会の大変化を支えたのは石油文明です。
18世紀、イギリスで産声をあげた産業革命により、モノづくりの体制が手工場から大量生産が可能な工場生産へと変わり始めます。
さらに石油が主要なエネルギー源に加わり、地下資源を大量に使うことで、モノを大量生産、大量消費、大量廃棄する、欧米型の「使い捨て文化」が生まれたのです。

輸送手段が高度に発達することにより、先進国は自国でモノをつくるよりも、発展途上国の資源や労働力を安く買い上げる方が、より強い競争力が得られることに着目し、自国の自然はもちろん発展途上国の自然も大量に破壊することで、物質的な豊かさを手に入れてきました。
発展途上国は今日、明日の糧を得ようと自国の自然を切り売りしたのです。

"狂争"の極めつけは2度起きました。先進国の利害の衝突することで引き起こされた世界大戦です。
経済的に豊かになろうとする先進各国が争い、発展途上国が巻き込まれた最大の悲劇でした。

今の私たちが享受している物質的な豊かさとは、将来世代や発展途上国の財産でもある自然を大量に食いつぶすことで成り立つ異常な豊かさです。
20世紀とは狂おしいほどに、自分たちだけが物質的な豊かさを手に入れようとした、まさに「狂争の世紀」だったと言えるでしょう。
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