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私たちがトキを滅ぼした No.5[2015年12月18日(Fri)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.5
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  • トキがたどった道

  • 絶滅してしまった生き物たち

  • 人類が生き物を滅ぼす

  • 姿を消す身近な生き物たち

  • 絶滅はなぜ問題なのか

  • 求められる真の自然保護基本法


1992年9月25日、中国から1羽のトキが新潟県佐渡に帰ってきました。
日本に残った最後のトキ2羽のうち、中国のトキとの間にヒナの誕生を期待され、3年間にわたって北京動物園に預けられていたトキ「ミドリ」です。
残念ながら「ミドリ」は高齢のため、ヒナの誕生は実現しませんでした。
関係者の懸命の努力にもかかわらず、日本のトキは事実上の絶滅を迎えてしまったのです。
現在、地球上では13分間に1種類の生き物が絶滅しているといわれています。
本誌を読み終える間にも、私たちが住む地球から永遠に姿を消す生き物がいるのです。
それは私たちの身近なところでも起こっているのです。
絶滅は何を意味し、なぜ問題なのでしょう。


人類が生き物を滅ぼす

絶滅 さまざまな原因

絶滅の原因はかつての狩猟中心から、これに加えて環境破壊があげられることは述べました。
しかし、環境破壊と一口にいってもさまざまなものがあります。いくつか例をあげてみましょう。


●農地・牧場の拡大

北海道のシマフクロウをはじめとして、ほぼ全域が農地・牧場にかえられた欧州では、ビーバー・オオカミ・オオヤマネコなどが広範な地域で絶滅しました。

●家畜の移入

ネコ・イヌなどの家畜の移入によって植生が破壊されたり、硫黄島のマミジロクロイナのように在来の野生動物が直接捕食されて絶滅しました。

●道路建設

道路は自然生態系を分断してしまいます。
日本では調査不足ですが、アメリカのフロリダでは、道路建設によってピューマ(アメリカライオン)の生息地が二分され、近親交配が起こり絶滅に向かっています。

●水質の悪化

世界中で秋田県田沢湖だけに生息してクニマスは、1940年に酸性河川の玉川の水を水力発電に使用し、田沢湖へ放水したため湖水が酸性化し、数年で絶滅しました。

●森林破壊

対馬のキタタキをはじめオランウータン・マダカスカルの原猿類のように、森林の動植物全てが生息地を奪われています。
これらは絶滅原因の一部にすぎませんし、実際には人間によるさまざまな原因が重なりあって絶滅につながるのです。


発見される前に絶滅するものも

地球上には500万種から5000万種の動植物が生息するといわれています。
数値にこれだけの差があるのは、未発見の動植物があまりにも多いと推定されているからです。
これらの中には、熱帯雨林に生息する昆虫類などの小動物のように、全種の発見・記載は不可能であろうといわれているものが多数含まれています。
また、細菌を含めた土壌生物に至っては、日本国内ですらその99.99%が名前さえ付けられていないのです。
しかも、それらの生き物は隣り合った場所ごとでも種類が異なるといわれています。
アマゾンの熱帯雨林の破壊はいうに及ばず、ゴルフ場造成などで表土を無造作に谷に埋めてしまうことは、そこにすむ膨大な数の未知の生き物も絶滅においやっているのです。
タグ:トキ
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