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環境教育とビオトープ No.29[2016年01月11日(Mon)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.29
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  • まちがった環境教育

  • 学校に自然を 学校から地域へ

  • 日本の学校ビオトープ

  • 教育の目的に「環境」を

  • 環境教育にNGOの参加を


日本の学校で環境教育が”本格的”に始まって数年が経過しました。
文部省は平成3年に「環境教育指導資料」(中学校・高等学校編)を、翌年には小学校編を発行し、都道府県や市町村でも指導指針や副読本をつくっています。
また、環境教育の場として、校庭にビオトープ(地域の野生生物の生息環境)をつくる学校も、少しずつ増え始めています。
世界各国で現在行われている環境教育は、1975年の国際環境教育ワークショップでまとめられた『ベオグラード憲章』を基本としています。
日本の子供たちは、どのような環境教育を受けているのでしょうか。
ベオグラード憲章の精神は生かされているのでしょうか?
今月号は環境教育とビオトープについて考えます。


まちがった環境教育

何を学んでいるのか

日本の子供たちが環境教育でどんなことを学んでいるのかを知るために、47の都道府県と12の政令指定都市に対してアンケートを行いました。
その結果、子供たちはおおむね次の3つのことを学んでいることがわかりました。

@リサイクル

牛乳パックでの再生紙づくりや、空缶のリサイクル、ゴミの分別収集の必要性など。

A環境美化・緑化

学校内外での花いっぱい運動や植樹、校庭の除草、サケやホタルの飼育・放流など。

B地球環境問題

地球温暖化や熱帯雨林の減少、オゾンホールなどの地球環境問題。


リサイクル偏重の危険性

先のアンケートでは、回答のあった37都道府県のすべてがリサイクルを取り上げています。
しかし、リサイクルだけでゴミが減るのでしょうか?
そもそもゴミが大量に発生する原因は、大量生産・大量流通・大量消費・大量廃棄という流れからもわかるように、大量生産または大量輸入に原因があります。
年間7億d以上の物資を輸入し、輸出量が1億dの現状では、毎年6億dもの物資が国内に蓄積され、ゴミになっています。
この量は国民1人当り約5dにもなります。(本誌'96年3月号参照)。
ゴミ問題の本質は、自然界の生き物や地下資源の大量利用、つまり自然生態系の大量破壊を起こしながら、工業製品や農産物を大量に作り、運び、使い、捨てることで更に発生する生態系の破壊にあります。
即ち、大自然破壊→大量生産→大量流通→大量消費→大量廃棄→大自然破壊という悪循環が起こっているのです。
従って、廃棄の前にリサイクルをしても問題は解決しないことになります。

美化と緑化の誤り

子供たちが学んでいることのもう1つは、環境美化や環境緑化についてです。
学校の内外でのゴミ拾いや、園芸植物を育てたり、校庭や花壇の除草などを行なっています。
美化や緑化の対象になっている「環境」とは、何を指しているのでしょうか?
校庭や通学路などの、身近な環境であることは間違いないようですが、あくまでも人工的な環境を指し、自然環境は含まれていないようです。
あるいはそうした区別はなくして、混同されているという方が正確かもしれません。
その結果子供たちは、身近な自然から多くの動植物が絶滅していることを学ぶことはなく、校庭の野草を「雑草」として排除し、外国産の園芸植物を育てることが、環境に良いことだと教えられています。
植物を育てることで「命の大切さを教えている」と言う先生たちに、「雑草」の命については子供たちにどう教えているのですか?と聞いてみても、的確な答えが返ってきたことは、残念ながら一度もありません。

知識偏重の地球環境問題

環境教育で学んでいる3つめは、地球環境問題についてです。
沙漠(さばく)化※や温暖化、オゾンホール、熱帯雨林の減少など、子供たちは地球上で起こっている環境問題のことをよく知っています。
そして多くの子供たちが、幼い心を痛めています。
しかし、地球環境問題を自分たち自身の問題として自覚している子供は、決して多くありません。
知識は多くてもその解決のために何をすべきかが教えられていないために、「遠くで大変なことが起こっている」といった認識にとどまっているように思えます。
日本でも北欧などと同様の酸性雨が降り、オゾン層の破壊や温暖化も進行しているといわれています。
※サハラ砂漠のように砂だけの土地を砂漠といい、水が少なく草や潅木が疎らに生える土地を沙漠という。沙漠の方が多い。

「生態系」が欠けた環境教育

(財)埼玉県生態系保護協会は、13年前から県内の小中学生を対象に、自然保護をテーマにしたポスター・絵画・作文を募集していますが、昨年寄せられた8,000点を超える作品を分析したところ、「実体験に基づいた自然」を描いたポスターと絵画は、小学校低学年が41.9%なのに対して、高学年では7.7%となり、中学生ではわずか2.4%でした。
「身近にほしい自然」がテーマの小学校低学年の絵画では、その31.3%が花壇や農地などの自然ではないものを描き、21.1%が本などから引用した風景や動植物を描いていました。
つまり、子供たちは自然環境と人工環境の違いを知らないし、「身の回りの身近な遊び場としてどんな自然がほしいですか?」というテーマに対して、原っぱや小川ではなく、国立公園の風景のような大自然や天然記念物などの珍しい動植物の絵を描いているのです。
こうしたことが起こる理由は、「自然とは何か」「環境破壊とは何か」を、学校できちんと教育されていないからではないでしょうか。
タグ:教育
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