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経済をささえる自然資本 No.130[2016年04月21日(Thu)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.130
−古くなったGDP−
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  • 自然を浪費し続ける世界

  • 自然を資本としてとらえ始めた世界の潮流

  • 自然を経営に取り込む決断をした企業や国

  • 日本の現状

  • 自然を経済の中心にすえる


空気はただ、水は安いもの、自然はあって当たり前といった時代は終わっています。
健全な生態系サービスがあって、初めて経済や社会が成り立ちます。
自然は最も大切な資本なのです。日本は自然資本の回復に多額な投資が必要です。


日本の現状

自然資本の管理を欠いた成長戦略

リオ+20では、世界のさまざまな国や企業、機関が自然を資本ととらえ、接続可能な社会や経済の形成に向けた動きが明らかになりました。

日本も、「未曾有の大震災を経験した国として、自然と調和した真に接続可能な社会のあり方を見出すことが使命である」と外務大臣がスピーチしました。
しかし、2012年末に発足した第二次安部内閣のもとでは、接続可能性よりも経済再生が優先されています。

2013年6月に政府が発表した新しい成長戦略では、再生可能エネルギーや次世代蓄電池、自動車の開発や普及などを通じ、新たに170兆円を超える市場と、210万人の雇用の創出が掲げられました。

現在の日本の成長戦略で掲げる「グリーン」の考え方は、環境技術による、新しい成長産業の創出に限定されており、基盤となる自然という資本の接続的な利用や保護・再生という視点に欠けています。

自然資本の喪失を加速させる強靭化

東日本大震災の教訓を踏まえ、事前の防災・減災と迅速な復旧・復興に資する施策の実行に向けて、2013年5月に「防災・減災等に資する国土強靭化基本法」が国会に提出されました。

この法案に合わせて自民党が示した政策集「J-ファイル2013」では、大規模な災害に備えて国土全域で強靭な国づくりを進めることの具体策として、防潮堤や堤防の強化に加え、高速道路の整備や拡幅、新幹線の延伸などを掲げています。

今後、財政縮小が予想されるなかで、老朽化したインフラの維持管理や更新に必要な費用はますます増えていくため、新たなインフラへの投資に対しては長期的な視点から、事業の必要性や優先順位が議論されてきたはずでした。
しかし、結局は従来通りの公共事業の拡大に拍車がかかるきざしが見られます。
これでは、日本は自然資本の喪失をさらに加速させてしまい、世界の流れから脱落してしまいます。
タグ:GDP
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