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偉大な政治家たち No.119[2016年04月10日(Sun)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.119
−総理大臣をはじめ、すべての首長は退任時に将来世代へ自然という贈り物を−
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現代人の現代人による現代人のための政治

アメリカでは大統領が退任時に自然保護区を指定することが多いと紹介しましたが現職ではやりにくい理由があるのでしょうか

目先のことを考えがちな現代人

アメリカの大統領は、有権者により直接選ばれます。
そして、有権者は、自分たちが求めていることを実行する人に投票をします。
ゆえに、現職時代は選挙権を持つ現代人の要求に応じた政策になりがちです。

日本も政治のしくみこそ違いますが、現代世代を生きる現代人が経済的に豊かになることばかりを追い求め、「開発」や「発展」を主張する候補者が歓迎されてきたのはアメリカと同じです。
それは、必ずしも将来世代のことを考えたものではなく、結果的に大きなツケを残すことになりました。

このツケの一つが、現代人により消費しつくされた「貧弱な自然」です。
言うまでもなく、自然は私たち人間にとっての生存基盤です。
自然が貧弱だということは、生存基盤が脆弱だということです。

将来世代にとってこのツケは、本来受けられたはずの自然のめぐみが失われただけでなく、自然の調整がきがず災害が増えるという形でも現れます。

将来世代が十分な自然のめぐみを受けられるように、保護区とする土地の購入を今の予算に入れるという発想はありません。
つまり将来世代の人々にとって今の政治は、「現代人の、現代人による、現代人のための政治」となっているのです。

世界的にも、日本でも劣化している生態系サービス

自然から受けられるめぐみは、生態系サービスという形で整理されています。
これにより自然の価値をお金に換算したり、人が自然の機能を再現するのがいかに大変なことか、よりわかりやすく示すことができるようになりました。

国連は2005年に、世界中の研究者の協力のもと、主要な生態系サービスとして24項目をとりあげ、過去50年間の状況を世界レベルで調べました。
その結果、15項目において、質・量ともに劣化しているということがわかっています。

また、日本でも生物の多様性の概況についての報告書「生物多様性総合評価」が、2010年にとりまとめられています。
この評価においても、生物の多様性は過去約50年間に、どの生態系においても「損なわれている」または「大きく損なわれている」とされています。

将来世代の自然という資源にまで手をつけることで、私たちは物質的に豊かな暮らしを営んでいます。
そして、国としてこのように政治が動くのは、現代世代が求めているからであり、将来世代へ自然という基本財産を残すしくみがないからでもあります。
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