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「ママインターン事業」におけるSROI測定に関する研修報告 [2016年05月11日(Wed)]
 日本財団からの委託事業として、「ママインターン事業」の社会的価値(SROI)を測定する研修を2016年1月から4月にかけ、計4回実施しました。その様子を、株式会社ピー・エス・サポートの稲葉久之さんよりご報告いただきます。

 「ママインターン事業」は、出産や育児で職場を離れたママたちの再就職を後押しすることを目的に、ママへのキャリア・カウンセリングやトレーニング、就職先企業の職場環境へのアドバイスなど、女性が長く働けるためのサポートを行うもので、特定非営利活動法人ArrowArrowが中心となり全国6地区で実施されます。今回の研修は、「ママインターン事業」の社会的価値をSROI(Social Return on Investment:社会的投資収益率)を用いて測定するプロセスを、参加団体(※)のスタッフとともに進めることで測定方法を習得してもらうことを目指して実施されました。
 1回目(初日)の研修では、講師を務める村田元夫さん(株式会社ピー・エス・サポート 代表取締役)からSROIの概念や活用事例、測定のプロセスについて紹介をしてもらいました。SROIはその事業を経済的リターンのみで評価するのではなく、事業を通して与えられた社会的リターンも考慮し、社会的価値を定量化することを目的に開発された測定手法です。今回の研修は、「ママインターン事業」のSROIを予測型(事業実施後の評価ではなく、実施前にSROIを測定し事業計画の見直しに活用する)で進めていくことが確認され、「ママインターン事業」の目的の共有とともに、どのような利害関係者(ステークホルダー)が存在するか、を意見交換しました。

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最初に参加者間の自己紹介と各団体の事業概要の共有を行いました。

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「ママインターン事業」に関わるステークホルダーの抽出を参加者で行いました。

 2回目の研修では、抽出された各ステークホルダーに対して、「事業に参加することで生じる変化(アウトカム)」をプラス(肯定的な変化)とマイナス(否定的な変化)要因から抽出するアウトカム仮説を立てるワークを行いました。ここでは「アウトカムを集計するタイミング(初期・中間・最終)を合わせること「と「アウトカムをダブルカウントしないよう、『原因−結果」のロジックを検討し、集約できる項目は出来るだけ絞り込んでいくこと』に注意しながらグループワークをしました。今回は予測型のSROIのため、想定されるアウトカムを検討しつつ、ステークホルダーへのアンケートやヒアリング調査を行いながら精査していくことになりました。

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(第1回SROI研修資料より:コミュニティ・ユース・バンクmomo)

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グループに分かれて、ステークホルダー毎にアウトカム仮説を設定しました。

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「原因−結果」のロジックに注意しながら、アウトカムの重複カウントがないか確認しました。


 2回目の研修の最後にはアウトカム仮説の検証のために実施するヒアリングの進め方について確認をしました。ヒアリングは、少数でもオープン・クエスチョン(自由回答)によって意見を抽出していくこと、2人組で実施することで、インタビュアーの視点を増やしインタビュアーの思い込みや偏りが軽減される工夫をすること、「事業成果が大きく生じた人」「成果が小さかった人」「年齢」「事業参加前の経験やスキルの有無」など対象者の属性を区別することで、アウトカム仮説の精度を上げることができること、などのアドバイスがありました。

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最後にアウトカム仮説の検証を全員で行いました。

 3回目の研修では、宿題となっていたステークホルダーへのヒアリング結果の報告を受けながら、修正されたアウトカム仮説について確認をしました。参加者からは「ヒアリングとアウトカム仮説の検証を通して、本事業の対象者をより具体的にイメージすることができた」「“仕事をみつける”ことだけではなく、ママインターンプログラムを通して“今は働く時期ではない”ことを再認識する参加者がいるなど、プログラムのさまざまな成果、影響を知ることができた」などのコメントがありました。予測型SROIは、その事業成果をあらかじめ予測することと同時に、SROIの測定プロセスを通じて、これから実施する事業内容やコンテンツを見直すことにも有効であることが研修を通して共有されました。

 ステークホルダーとアウトカム仮説が確認された後、いよいよSROIの測定に入っていきます。まずはそれぞれのアウトカムの貨幣的価値を設定していきました。ここでは「アウトカムを測定するために見るべき変化は何か?」「全対象者のうち、そのアウトカム(変化)が起こる個数や%はどの程度か?」「指標を貨幣価値に代替する場合に参照されるものは何か?」「貨幣代替指標の経済的価値(金額)はいくらか?」などを、ワークシートを用いて算出していきました。

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ワークシートを用いながら、各ステークホルダーのアウトカムに対して貨幣的価値を算出していきました。

 貨幣的価値の算出では、「既存に経済交換されているものの中から同等の価値と考えられるもの」の価格を代替指標とします。例えば、「ライフプランの作成により人生の見通しがついた」というアウトカムなら、その価値に相当する既存セミナーの価格をネット等で調べて引っ張ってきます。グループワークでは、事業の内容を確認しながら、代替指標となりえるものは何か?を話し合いながら確認していきました。

 SROIの測定においては、貨幣的価値の算出と共に、減額計算についても合わせて検証をしていきます。「ほかに置き換えることができるサービスはないか?」「事業がなくても生じる変化はないか?」など事業のSROIに影響を与える外部要因を考える作業で、これにより事業によって得られる社会的価値を過大評価するのではなく、より厳密に値を設定していきました。

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SROIの減額計算を行い、より正確なSROIを測定しました。

 最終回となる4回目は、3回目の宿題となっていたSROIの算出と減額計算の結果について質疑応答と確定作業を行った後、SROIの分析と事業計画の見直し作業を行いました。SROIを測定することで、各ステークホルダーにどのようなアウトカム(成果)が生じるのか、それはどの程度の社会的価値(経済的価値に換算されたもの)と評価できるのかが明らかになります。これをもとに、(1)さらにSROIを高めていくために、見直す/改善する事業内容はあるか、(2)SROIからみえてくる新たな戦略はあるか、(3)ステークホルダーに対してどのような提言が可能か、を分析しました。「ママインターン事業」では、ママインターン受け入れのためのマニュアルやツールを作成することで、企業側の受け入れコストを抑え、SROIをより高めることができるのではないか、などのアイデアが出されました。

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SROI測定の結果を分析し、事業計画の見直しや新たな戦略について意見交換をしました。

 全4回の研修を経て、「ママインターン事業」の社会的価値が明らかになるとともに、各ステークホルダーにどのようなアウトカム(成果)が生じるのか、アウトカムをより高めるために、今の事業計画のどこを見直す必要があるのか、また各ステークホルダーに本事業をどうPRしていくことができるかを、参加者(事業実施団体)の間で共有することができました。予測型SROIの測定は、事業の社会的価値が明らかになるだけではなく、事業の内容や成果を具体的に捉え、事業内容にフィードバックすることができます。これにより、よりよい事業実施につなげることが可能となります。

 本研修を企画・提案いただいた日本財団様、研修に参加いただいたママインターン事業の実施団体のみなさま、ご協力ありがとうございました。本研修がきっかけとなり、ママインターン事業の社会的価値が高まり、広く世の中に浸透していくと同時に、多様な働き方が受け入れられる社会になっていくことを期待します。

※参加団体
寄付者:JPモルガン
寄付先:日本財団ママ基金「女性の再就職支援プロジェクト」(研修委託元)
実行責任者:NPO法人ArrowArrow(東京都世田谷区、小金井市の担当も兼任)
各地域の実行担当者(担当エリア):
 一般社団法人地球の楽好(宮城県名取市)
 一般社団法人ママプロぐんま(群馬県高崎市)
 株式会社IPシンフォニー(静岡県三島市)
 株式会社グローバルママ・ゲートウェイ(愛知県名古屋市)
研修提供:コミュニティ・ユース・バンクmomo
研修講師:株式会社ピー・エス・サポート 代表取締役 村田元夫 稲葉久之
SROI測定アドバイザー:ビズデザイン株式会社 取締役 友田景
            NPO法人SROIIネットワークジャパン 代表理事 伊藤健
Posted by コミュニティ・ユース・バンクmomo at 16:46 | 活動報告 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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