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2012年03月26日

熟成・発酵食文化 その7

最終回は興味のある話などをまとめてみました。
本当はもっとたくさんの話を聞かせてもらいましたが、
いかんせん血流が胃袋に集中してしまったため、ご容赦願います。

和食の料理人である要太郎さんなので調理方法を熱心に聴く女性陣。
質問も矢継早でレシピを聞き出すも私はメモしきれませんでした。
ただ食事が始まるとシーンと静まり返りました。
20人近い大人が口をモグモグさせながら静かにしている。
これはこれでおもしろい光景でした。

今回私が一番気に入ったのが馬の肉だったのですが、
最初この肉を熟成させるために入荷した時に、要太郎さんは後悔したそうです。
なんといってもその大きさ。
吊るすにしても場所を変えるにしても重たい。
そして邪魔。
仕込み段階では基本的にその肉の油と小麦を混ぜたパテを切り口などに塗るのですが、
馬の油は高いため、仕方なく別の油で代用したとか。

素材になるべく手をかけない方が良いというのが要太郎さんの持論。
できれば豚の皮も骨も抜かない自然の形の方が良い。
日本の法律では豚の皮は加工場から出荷する段階で皮を剥がなければいけないそうです。
ただし沖縄は別。
皮付きのまま作った生ハムは香りからして別物だそうです。
またあらかじめ骨を抜いた方が沢山肉が取れるようですが、
こちらも付けたままの方が美味しいと。

最後にテーブルに並んだ料理達を飾って、今回の報告を終わろうと思います。
ハム12.jpg

煮込み2.jpg

皿盛り2.jpg

コロッケ2.jpg

要太郎さん、ありがとうございました。

http://tonoya-you.com/

2012年03月25日

熟成・発酵食文化 その6

要太郎さんの身内の方で山に入り狩猟をされる方がいらっしゃり、
携行する保存食が熟成に対し興味を持つきっかけとなったそうです。

冷蔵庫も無い時代から、
雑菌の少ない季節に山の風に吹かれて熟成する肉。
その魅力はモノ作りと一緒だそうです。
手をかければかけただけ手ごたえがある。
手を抜けばそれなりな反応を見せる。
失敗しても、まあ食べることができる。

やり方さえ覚えれば誰にでもできる?(一応疑問符は付けておきましょう)
もし何かあった時にも生き抜いていく力にもなる、
そんな技を色々な方に知ってもらいたい、そんな想いがあるそうです。

流石にレンジでチンなんて簡単ではないので、
ある程度の食材との対話が必要です。
臭いを嗅ぐ、様子を見る、舌を当ててみる、塩加減を覚える。
湿度が高くなってきたと感じたら、吊るし変えて風を当てる。

そんな結果が写真のようになるわけです。
里山プロシュット.jpg

肉を守る表面はそれこそ化石のようですが、
中身は赤々としたハム。
やってみたいと思いませんか?

なかなか風通しの良い場所が無くても、
室内で熟成させる方もいらっしゃるようです。
ただかび臭いのが困ると言うのでビニールをかけたまま吊るしてみたら、
それはそれで違う味になったそうな。
この辺りの事は最後まで聞けませんでしたが、興味津々です。
だってこのサイズの生ハムのかたまりって、
東京のデパ地下で数十万円くらいで吊るされてましたよ!

2012年03月24日

熟成・発酵食文化 その5

今回の食事会ですが、主催者側のテーマ(だと思われる)がありました。
同じ豚の右足と左足を、同じような手間をかけて、
別々の場所で熟成させるというものです。
片一方を遠野で、もう一方を里山で吊るしたのです。
仕込みは同じようにして、場所によってどんな違いが出るかを試したそうです。

その結果がこの写真。
プロシュット.jpg
左側が里山2年熟成、右側が遠野2年熟成です。
真ん中の脂身を多く残しているのが遠野3年熟成(別の豚)。
どうでしょう、色が全く違います。
里山熟成はアミノ酸が多く出ているとのことでした。
味は遜色ありませんでしたよ!

熟成度合いの違いをはっきりとさせるために、
美味しく食べるにはまだ日の浅い肉も少しいただきました。
食感も他のものに比べると柔らかい感じがして、
口に広がる味わいが違うのがわかります。

よく熟成された肉の後味・風味が、
口の中で丸い珠の形で少しずつ広がっていくような感じに対し、
熟成が足りないものは風味が口の中をすっと抜けてしまうようでした。

それらに比べると馬肉は圧倒的でした。
一気に珠が大きくなり、いつまでも風味が口の中で転がっているような、
そんな印象がありました。

どなたかが日本語は味を表現する語彙が少ないとのこと。
確かに上の言葉を探し出すのにしばらく考え込んでしまいました。
味はすぐにでも思い出せるのに、困ったものです。

2012年03月23日

熟成・発酵食文化 その4

「カビを制する者は肉を制す」
要太郎さんの言葉です。

里山おやじさんは肉は怖いから先生が必要とのことですが、
その先生は簡単簡単と笑います。
先人が科学的知識の無い経験則でやってきたことを考えると、
案外できるのかな?なんて思ってみたり。

「カビを怖がってはいけない」とも言われています。
里山かぁちゃんも肉の色が変わるたびに電話したそうですが、
食事会にも供されていたので問題なかったみたいですね。

細かい手順を解説した要太郎さんは繰り返し、
「簡単です。誰にでもできます。」と言っていましたが、
ここで作り方を詳細に書いてしまい、
間違ったことが起きても大変なことになりますので、
私が覚えていた豆知識という形でお披露目しようと思います。

もちろん私自身は素人なので細かい所まではわかりませんし、
そろそろ料理に気をとられながらの話なので、
興味を持ったお話だけピックアップになりますのでご容赦ください。

今回はここまで、だと短い気もしますので、
食事会のメニューをご紹介します。

 プロシュット 3年熟成・2年熟成(遠野/里山)
 からすみ ボラの3年熟成
 自家製チーズ 3年熟成アボンダス・2年熟成どぶろくウォッシュ
 シュップリ
 牛肉とトマト、ジャガイモの山葡萄ビネガー煮込
 低音発酵全粒粉パン
 自家製トマトソースのディップ
 平飼い卵と桜の園のほうじ茶のココット

どれも筆舌に尽くしがたい、とても美味しい料理でした。

by おり

2012年03月22日

熟成・発酵食文化 その3

さてさて、熟成のお話です。

私もそうでしたが日本では熟成・発酵食品と言われると、
長期保存させるために手を加えた食べ物、という印象が強いようです。
確かに間違ってはいないのですが、
食材の旨みを最大限に引き出すための手法として熟成させるのです。

保存目的だけならばカツオ節やベーコンのように燻製にしたり、
それこそ今の世の中なら真空パックで冷凍庫で凍らせれば長持ちします。
フリーズドライ技術のおかげで宇宙探査(宇宙食)は格段の進歩を得たのでしょう。

しかしそうではなく「食材をより美味しく」するための手段として、
熟成というものに着目して欲しいというのがメッセージです。
これは百の言葉を尽くしても伝わらないのでしょう。
食べてもらえれば一発でわかるんですけれどもね。

発酵のお話の中でも触れましたが近年の研究により、
熟成をすることが科学的に解明されてきました。
例えば「腐食」とは細菌や真菌(いわゆるカビ)が物質を変質させることを言います。
簡単に言うと生肉にカビがくっついて、腐って食べられなくなることです。

ただこのカビにも種類があり、熟成にとって良いカビ悪いカビがいるのです。
その良いカビを表面に満遍なく繁殖させて、
食品を腐らせてしまう悪いカビが入り込めないようにします。

正義のカビで守られたモモ肉は長い年月を経て、
美味しいプロシュット(Prosciutto:簡単に言うと「イタリア式生ハム」)になります。

小難しい話はここまでにして、
次回からは私がメモした要太郎さんのお話をお伝えしていきます。

by おり

2012年03月21日

熟成・発酵食文化 その2

発酵食品とは何でしょうか。

採れたてピチピチの食材に発酵の魔法をかけることで、
あら不思議、美味しくて長持ちする食品に変身!
というのは少々荒っぽい表現ですが、
あながち間違ってはいないようです。

酵素や微生物、カビなどを上手にコントロールすることで、
そのままでは腐ってしまうような食品を長期保存させる。
その歴史は古くワインやチーズなど数千年も前からあります。

日本では飛鳥時代に乳牛が伝来したそうで、
チーズが作られたのが最初の発酵食品と言われています。
ちなみにこのチーズ、仏教用語から来ている「醍醐」と呼ばれたようです。
「醍醐味(だいごみ)」の語源となっているからまだ驚きです。

当時は酵素やカビの仕組みなど解明されているはずもなく、
全て経験によって作られたはずです。
こういった昔の人の発見には頭が下がります。
理由はわからないけれど、こうしたら乳が塊になる。
こういう場所に置いておけば、固まるのが早い。
もちろん失敗の繰り返しもあったでしょうが、
その先人の苦労の上に私たちが成り立っているのですね。

ちなみにこの醍醐。
一般市民が口にする物ではなく、高貴な方々が食したそうです。
しかも食べ物というよりは、整腸作用のある薬として。
いったいどうやって効果がわかったのか不思議な話です。
体調不良の人をたくさん集めて実験でもしたのかな?

実はここまでのお話はおまけみたいなもので、
要太郎さんが伝えたいことの入り口に立ったばかりです。

熟成については次回にしましょう。

by おり

2012年03月20日

熟成・発酵食文化 その1

準備中

里山生活学校の舞台である河内山家。
訪れて早々失礼して裏手に回ると、
勝手口の扉の向かいに金網で囲まれた一角があります。

普段ならその奥に本日の主役がぶら下がっているのが見えるのですが、
今日はガランとしてお留守な模様。
すでに家の中に移動していたようです。

主人公の姿を追って勝手口の扉を開けると、
左手の釜にかけられたお鍋からは良い香りがします。
中の方々に挨拶をしつつ目を反対に向けると、
里山では見たことの無い(失礼)白いシェフコートを着た長身の男性。
ナイフを片手に主役たちを薄くスライスしていました。

今回の里山生活学校の活動は今までとは趣向が異なりますが、
里山に縁の深い方々を交えてのお食事会です。
もちろんただ飲み食いをして歓談するわけではなく、
里山で生産されたものを通して知識を深めます。
このブログのタイトルにもありますが地域資源の魅力に気づき、
美味しく!活用するしくみづくりの恩恵を受けてきました。

 「熟成・発酵食文化」を学ぶ食事会

これが今回のテーマです。
かぁちゃんからもご紹介がありましたが、
講師と調理人を務めますのは『とおの屋 要』のご主人である、
熟成・発酵についてお詳しい佐々木要太郎さんです。

食事会の始まる前から準備をしている台所でご挨拶しましたが、
支度の様子にカメラを向ける私に、とあるお肉のスライスをくれました。
口にして最初に浮かんだのはもちろん美味しいという言葉でしたが、
こりゃ食べるのに集中して、ろくにメモなんて取れないかも?
なんて思い始めました。

口をモグモグさせていない時に記したお話を、
数度にわたりご紹介します。

by おり

2012年03月19日

熟成ランチ

生活学校の小屋リニューアル記念式を17日、スタッフやかかわってくれた仲間と行いました。

当日の様子は番記者のおりさんのレポートをお待ちくださいね。
かぁちゃんからは当日のメインの一つ、ランチについての裏話・・


熟成の世界をみんなで共有すべく、ランチは「民宿とおの」の若きシェフ
要太郎さんに依頼。

発酵を語らせたらとどまることのない熱い語りは、遠野物語を語る”語りべ”をしのぐほど!

参加申し込みをされた方々とは会うたびに、メニューの話題。しかも1か月も前から(笑)

助手を務める私はまた別の緊張感を持ちながら要太郎さんとの打ち合わせ。

<4日前>
かぁちゃん:メニューは決まりましたか?
要太郎  :プロシュット2種とチーズ2種で・・
かぁちゃん:発酵の話の後で食事にしますか?前?
要太郎  :話しながらつまみますか!
かぁちゃん:つまむ?・・・食べるのはあとですね!
要太郎  :食べる?・・・
かぁちゃん:熟成・発酵ランチですよね?
要太郎  :えっ!ランチ!
かぁちゃん:ランチです!!!
要太郎  :ほ・本格的ですね・・
かぁちゃん:もちろんです!さっ、メニューは!
要太郎  :熟成とチーズは決まってて・・
かぁちゃん:はい。
要太郎  :何にしましょう!
かぁちゃん:いやいや。シェフは要太郎さんなんで私にドンと指示下さい!
要太郎  :緊張してきました・・プレッシャーが・・
かぁちゃん:いやいや。それは私のセリフですから・・
要太郎  :ですか?今から全力で考えときます!
<30分後>
要太郎  :そちらで揚げ物できますよね?
我が家の台所にガスはない・・・
かぁちゃん:問題ありません。(小声で、薪の火加減はプロ並みです!)
要太郎  :スップリを作っていきます。(スップリわかるかな?)
かぁちゃん:お〜シュップリですか!(何だかかっこいい料理名だね〜!)
要太郎  :あと2,3仕込んでいきますので。
<さらに30分後>
かぁちゃん:パンはこちらで仕込みます!
要太郎  :お〜お願いします。あとデザート用に卵を20個送って下さい
かぁちゃん:了解です。

この後3日間2人の仕込みが続いていることをお互い知らないまま、またかぁちゃんはシュップリがスップリだと気づかないままに当日を迎えます。

緊張しまくりのかぁちゃんのパン作り!
低温発酵のため出来上がりまでは10時間ほどかかります。

P1090551.JPG

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P1090564.JPG

原発事故前の汚染の心配がない自家製全粒粉も使いました!



2012年03月13日

ロケットストーブ製作日記・4

前回の続きから、この日で延べ4日目。

まずは、ヒートライザー断熱材のバーミキュライトを詰めたトップを
耐火セメントで丁寧に塞ぐ。
鏝がどうもうまく使えず、結局最後は素手で仕上げ。

P1090457.JPG

次に、ダクトのジョイント部分をアルミテープで固定。
ただし、横引きのダクトにどの程度勾配を付けるか、またはつけないかなど
何度か燃焼テストをやって、
ロケットの威力とダクトの長さによるバランス感覚をつかむ必要がある。
この辺は時間をかけた方がよい。
と、いまさら思う。

P1090464.JPG

燃焼テストは繰り返してみたが、ときどき煙が逆流してしまい、
しかもその原因がなかなかつかめず、ちょっと暗礁。
ダクトの勾配を変えてみたり、薪を変えてみたり、
焚口のフィードチューブを変えてみたり・・・。
でも、ところどころからやっぱり煙が漏れる。
まぁ、しかたない。
4日目はここまで。

P1090480.JPG

前日ここまでできたロケットストーブ。
5日目は、戸田さんが来てくれるので、蓄熱ユニットのベンチ作り。
とはいっても仕上げまでやるのではなく、その枠づくり。
早い話が、ブロック積みだ。

P1090493.JPG

水糸張って、ブロックを水につけて、モルタル練って、
つまり、今日は2人で左官屋だ。

さて、この日も燃焼テストをやりながら、左官工事をしていたのだが、
なぜかロケットの機嫌がよくて、煙の逆流がない。
前日あれほど悩んでいたのに、これならいけそうだ。

P1090503.JPG

ブロックは、ダクトに合わせて、
切断しなけりゃならないところも多々あって結構時間がかかる。

すごい手際で、仕事が進む戸田さんがいなけりゃ
何日かかったことか。

P1090525.JPG

朝から2人で丸一日かかって、積んだブロックは、70個。わたしゃ、たったの7個だけど。けれど、モルタル練りにしろ、ブロックを運ぶにしろ、積むにしろ、左官仕事はいちいち重たくて、重労働。
腰痛持ちには、きつい。

はー、疲れた。

でも、一応、これで、この冬の予定地点に到達だ。

ベンチの仕上げは、粘土を中心にした地域素材をつかって、
いつかワークショップでワイワイやりましょう。

今から、参加者募集です。

ロケットストーブを囲んで、
仲間とともに豊かな手作り空間でのティータイムまで・・・
もう一息だね。

by 里山おやじ




2012年03月10日

あれから一年

3・11から丸一年を迎えました。

あまりに多くの出来事が次から次におこり、その都度その都度、
判断や決断を迫られ、振り返る暇もなく時が過ぎて行った気がします。

地震と津波によって尊い命やそれまでの日常を失った人々、そして地域。
放射能汚染によってあらゆる絆を分断された人々、そして地域。

言葉にできない失望や、その中で生まれた希望が混在しながら、
課題は、果てしなく残っています。

地震、津波、放射能による被災者、被災地にとって語り継がねばならない
3・11の最初の記念日・・・・・。

祈り、そして誓うものを心に確かめる日にすることが、
犠牲になった人々と地域への「絆」だと思います。


by 里山おやじ