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2019年05月27日

サシバサミット2019市貝大会

田植え間近の農繁期真っただ中、
にもかかわらず、なんとなんと栃木県まで行って、
記念すべき「第1回・国際サシバサミット」に参加してきました。
(こんな時期に遠出をするのはもちろん初めてです。)

里山のシンボルと呼ばれるサシバの保全活動を、
町を挙げて取り組んできた市貝町がその会場。

人口1万人あまりの小さな町の果敢な取り組みは、
とても刺激あるものでした。

日本で最も多くのサシバが繁殖する地域であることの意味を、
町民が自ら研究者たちから学び、確認しあい、
保全活動のアイデアを出し合って試行錯誤を重ね、
そこから新しい価値を生み出そうという気概を
町のあちらこちらに感じました。

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多分、ドイツなどもこうした取り組みが多いはずです。
ある意味、とても先進的。

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そしてシンポジウムの会場となった地元の小さな小学校の体育館は、
満員という人数だけでなく、参加者の熱気に満ちていました。

渡り鳥であるサシバの保全活動は、
越冬地、中継地、繁殖地にまたがって国境を越えた協力が不可欠。
実際に日本からの働きかけがきっかけとなって、
他国での密猟が終息したという素晴らしい成果の報告もありまして、
フィリピンや台湾の研究者や首長も参加しての国際サミットには、
とても意義深いものを感じました。

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市貝のゆるキャラはサシバのさっちゃん。
(夏日となったこの日はさぞ大変だったろうな。)

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昼休みのポスター展示会場もすごい熱気。
岩手からは東先生の研究報告のポスターに、
生活学校の若者サミットでスタートした
「サシバ田んぼプロジェクト」も紹介してもらいました。

前回の若者サミットで、
サシバの止まるパーチを設置する作業風景の写真も掲載されて、
ポスターの前で東先生は、参加者からの様々な質問に答えて忙しそうでした。

この作業をしてくれたⅯちゃんとT君もスタッフとして岩手から参加。
(夜中1時に盛岡を出たそうで、ほんと、お疲れ様でした。)


ところで、今回、個人的に最も感動したのは・・・
宿泊させていただいたサシバの里・自然学校さんの田んぼで、
翌朝、タガメを見つけたことです。
これが人生「初タガメ」!
手に取って初めて伝わるそのデカさ、
何よりの体験をさせてもらいました。

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市貝のような取り組みをする地域があるということは、
中山間地の条件不利地域で米作りを続ける私にとっては、
なにか勇気づけられる思いがしました。

大規模区画整理をして、
機械化や効率化の価値を宣伝する自治体はいくらでもあるでしょうが、
広葉樹の丘陵地帯に入り組んだ小さな谷津田と言われる
労働生産性の低い田んぼにやって来る野鳥に
光を当てて町おこしをしようという稀有な自治体なわけです。
(町民の9割以上はサシバをよく知っています。
日本人全体ではおそらく1%未満でしょうね。)

そういう意味では、本当に刺激ある2日間になり、
わざわざ農繁期に岩手から来た甲斐は十分にありました。

一方で、大きな課題も見えました。
それはなによりもまず、生産者の参加が少なすぎることです。

原生自然に生息する動物の保全とは大きく違って、
サシバの場合は、人の手の入る里山自然での繁殖。
特に林に隣接する小さな田んぼがえさ場になっているのですから、
そんな田んぼで米作りをする農家の存在がサシバ保全には不可欠。

技術も機械も体力もない自然愛好家のボランティア作業では、
谷津田の復活や維持はとても無理。

サシバ保全には農家の参加が絶対条件。
なのに熱意をもって集まるのは、愛鳥家、研究者、学生ばかり…。
おそらくそれは町長さんもわかっていて、
最後のあいさつの中で、
「重要なのは実践、しかし、政策が十分生産者に届いていかない・・・」
という課題を正直に話しておられました。
(成果の誇張などしないこの町長さんの正直さはとても好印象でした。)

しかし、課題が見えてくるということは、
真摯な挑戦を続けている証だとも思うわけで、
市貝町の今後のサシバ保全活動の成り行きは、
興味深く注目していきたいと思いました。


   by (サシバサミット翌日から田植えに追われてる)里山おやじ