もちろん今回のワークショップにも活かされています。
登場するのは杉の木です。
直径20〜30cm程度、樹齢で言うと50年ほどの木材を輪切りにして、
某アニメのマンモス肉のような円盤が座面に。
同じような年齢の木に生えていた枝が、脚の部分となります。
あとはボンドや必要に応じて割れを防ぐ「鎹(かすがい)」もありますが、
基本的に材料はこれだけ。
何とも単純なものです。
ところがこの材料、使えるようになるまでには長い時間がかかっています。
林から切り出されたばかりの生木では、
時間が経つにつれ曲がったりヒビが入ったりと大変なことに。
伐採してから1年、輪切りにしてから3年ほど寝かせます。
これはどの木にも言えるそうですが、
以前里小屋で体験した発酵食品のお肉のように、
じっくりと熟成させないと良い材木にはならないのですね。
このお肉もとい杉の輪切りに、ドリルで穴を掘ります。
最初はこの穴掘りも体験の一つだったのですが、
素人目に見ても難しそうなことと、先生がノリノリだったので、
全部穴を掘ってもらいました。
三角の型を使って印を付け、その跡をドリルで掘ります。
最初はまっすぐに、少し掘ってから「斜めにドリルを動かします」。
この言葉に違和感があれば、あなたは立派な日曜大工見習卒業です。
ドリルは普通まっすぐにしか進みません。
それを先生がドリルの刃に少々細工をし、斜めにも掘り進められるようにしてあります。
これにより脚が座面より広がるように伸び、より安定感が増すのです。
写真を見てもらえるとわかりますが、
穴をいくつもあけている場合があります。
これは決して先生が間違ったわけではなく、
また軽量化を図っているわけではありません。
しっかりと乾燥された材木ですが、それでもヒビは入ってしまうもの。
あらかじめ木の中心や、すでにヒビが始まっている辺りに穴をあけると、
ヒビがその穴で止まるのです。
それでもダメなら鎹を打ってヒビが広がらないようにしますが、
これら先人の知恵には頭が下がります。
さて、次は脚の取り付けです。
by おり