今年も、里山周辺の広葉樹林内から、
フクロウの声が聞こえています。
貴重な猛禽類の生息は、里山の豊かさの証でもありますし、
農家の天敵であるネズミを捕食してくれるフクロウは、
農家にとってはとてもありがたい里山の共存者でもあります。
そのフクロウが昨秋、防鳥糸に絡まって不幸にも事故死してしまったので、
岩大の智君に剥製づくりを頼んでおりました。
(剥製づくりがどれだけ大変かも知らずに。)
その後、智君は大いに苦労して苦心してようやく完成させて
持ってきてくれました。(ありがとね。)
その躍動感あふれる雄姿を里小屋内に設置。
不幸なフクロウくん、半年ぶりに剥製となっての帰還でありまする。
(生まれ育った里山に戻ったので、どうか成仏しておくれ。)
そして、
音を立てずに飛べる羽の仕組みや、
クルクル回る不思議な首や、
恐ろしく鋭い爪など、
身近な教材として訪れる人が実物を通してじっくり学べると思います。
大事にします。(だからくれぐれも成仏してね。)
さてさて、そのフクロウの声がよく聞こえてきた
生活学校入り口付近の広葉樹林ですが、
この春、地主さんが一斉に伐採。
生活学校を訪れてくる人は、みな一様に驚きます。
陽が入って一気に視界が開けてまるで別世界。
冬場、悩まされ続けた坂道の路面凍結も早く溶けてくれるかもしれませんし、
フクロウくんたちのネズミ狩りも見晴らしがよくなった分、
成功率が上がるかもしれません。
里山の広葉樹林の伐採は、決して自然破壊ではなく、
数十年単位の循環の一つのステージです。
植樹の必要なく、数十年で元に戻っていきます。
が、見慣れた風景のあまりの短期間での変化には、
やっぱり正直戸惑う日々であります。
多分フクロウくんたちも戸惑っていると思われますが、
とりあえず、別な森から声は聞こえてきていますので、
そのうち、慣れてくれるでありましょう。
by 里山おやじ
2018年04月03日
2015年05月29日
里山の野鳥・サシバの学習会
すでにお知らせしておりますが、
6月6日は、まきばの観察会と合わせて
里山の野鳥・サシバの学習会を開催します。
講師は岩手大学の東先生。
長年、このサシバという小さな鷹の生態を研究してこられた研究者です。
このサシバ、
毎年春にフィリピンや台湾から日本に渡ってやって来ます。
日本では、この岩手が北限だそうです。
2年前に生活学校の拠点であるこの里山でも営巣、子育てをして、
2羽の幼鳥が巣立っていきました。
ちょうど、田の脇のアカマツの木に営巣したので、
観察にはもってこいの場所で、写真もたくさん撮れました。
今年も、巣こそ見つかっていませんが、
よく見かけますし、
「ピッ、クイーー」という甲高い声を聴いています。
そんなわけで今回は東先生に
「里山の猛禽類サシバ〜なぜ里山生活学校で子育てするのか」
というタイトルでお話しいただきます。
詳しくは当日先生からお話をお聞きするわけですが、
私個人的に、
この鳥の生態は、
特に里山地域で稲作に携わる農家や、
その農家の生産作業に関心を持ってくれる消費者に
ぜひとも、知ってもらいたいな、と思っています。
一言でいうなら
サシバは、「里山で人が営む農耕(特に稲作)に依存している鳥」であり、
「里山の稲作を喜んでいる鳥」なのですね。
コメが単なる換金商品として
価格や食味や栄養価やブランド名(あるいは安全基準でさえ)
といった数値や記号のみで評価されるだけではけっして見えてこない、
だから見落とされてきた大切な物語が、
その生産過程のたんぼには少なからずあります。
その一つが、農耕作業と共存する生き物たちの物語だと思うからです。
もしかして、
その大切なことに気づかせてくれるきっかけを
このサシバの生態が教えてくれるのではないか・・・
そんな期待を抱かずにはいられないのです。
それは、この小さくも雄々しい鷹が好む環境が、
大規模化、機械化、ブランド化できない
つまり農業収益的には圧倒的に不利な
里山の田んぼ周辺だということです。
各地で、「里山」という言葉が頻繁に使われるようになったのは
大変好ましいことです。
この言葉が、しっかりと
欧米発の「手つかずの自然・ネイチャー」に対する
日本発の「人の手の入った自然・里山」と定義されるなら、
人の手(農林作業)と共存するサシバのような生き物
の存在を大切に思う心が育ってはじめて
「里山」の価値に重みが増してくるのではないでしょうか。
勿論、田んぼの生き物はみな大切ですが、
全国どこの田んぼにもいるカエルやトンボと違って、
里山の田んぼにしか生息しないのがサシバ。
だからサシバは、里山生活学校の「必修科目」です。
6月6日、興味ある方、ぜひ、一緒にこの必修科目受講しましょう。
かまどピザ食べながら。
by 里山おやじ
6月6日は、まきばの観察会と合わせて
里山の野鳥・サシバの学習会を開催します。
講師は岩手大学の東先生。
長年、このサシバという小さな鷹の生態を研究してこられた研究者です。
このサシバ、
毎年春にフィリピンや台湾から日本に渡ってやって来ます。
日本では、この岩手が北限だそうです。
2年前に生活学校の拠点であるこの里山でも営巣、子育てをして、
2羽の幼鳥が巣立っていきました。
ちょうど、田の脇のアカマツの木に営巣したので、
観察にはもってこいの場所で、写真もたくさん撮れました。
今年も、巣こそ見つかっていませんが、
よく見かけますし、
「ピッ、クイーー」という甲高い声を聴いています。
そんなわけで今回は東先生に
「里山の猛禽類サシバ〜なぜ里山生活学校で子育てするのか」
というタイトルでお話しいただきます。
詳しくは当日先生からお話をお聞きするわけですが、
私個人的に、
この鳥の生態は、
特に里山地域で稲作に携わる農家や、
その農家の生産作業に関心を持ってくれる消費者に
ぜひとも、知ってもらいたいな、と思っています。
一言でいうなら
サシバは、「里山で人が営む農耕(特に稲作)に依存している鳥」であり、
「里山の稲作を喜んでいる鳥」なのですね。
コメが単なる換金商品として
価格や食味や栄養価やブランド名(あるいは安全基準でさえ)
といった数値や記号のみで評価されるだけではけっして見えてこない、
だから見落とされてきた大切な物語が、
その生産過程のたんぼには少なからずあります。
その一つが、農耕作業と共存する生き物たちの物語だと思うからです。
もしかして、
その大切なことに気づかせてくれるきっかけを
このサシバの生態が教えてくれるのではないか・・・
そんな期待を抱かずにはいられないのです。
それは、この小さくも雄々しい鷹が好む環境が、
大規模化、機械化、ブランド化できない
つまり農業収益的には圧倒的に不利な
里山の田んぼ周辺だということです。
各地で、「里山」という言葉が頻繁に使われるようになったのは
大変好ましいことです。
この言葉が、しっかりと
欧米発の「手つかずの自然・ネイチャー」に対する
日本発の「人の手の入った自然・里山」と定義されるなら、
人の手(農林作業)と共存するサシバのような生き物
の存在を大切に思う心が育ってはじめて
「里山」の価値に重みが増してくるのではないでしょうか。
勿論、田んぼの生き物はみな大切ですが、
全国どこの田んぼにもいるカエルやトンボと違って、
里山の田んぼにしか生息しないのがサシバ。
だからサシバは、里山生活学校の「必修科目」です。
6月6日、興味ある方、ぜひ、一緒にこの必修科目受講しましょう。
かまどピザ食べながら。
by 里山おやじ
2015年04月09日
樋口先生、東先生来訪
里山は早春、快晴、最高の日和。
(スギ花粉さえ飛んでなければ。)
で、本日は、素晴らしい野鳥専門家先生方が来訪。
お一方は、今年度生活学校で、
初めてのサシバの学習会をお願いする
岩手大学の東淳樹先生。
以前から、サシバの研究者として
里山との関係を報告されていて、
2年前、サシバの営巣、子育て、巣立ち
を観察できた生活学校としては
いつか必ずお呼びしてお話を聞きたいと思っていた先生です。
東先生は2回目の来訪で、
今日は、鳥類学者(東大名誉教授)の樋口広芳先生と
元我孫子市鳥の博物館学芸員の時田さん
を連れてきてくださいました。
短い滞在時間でしたが、
「里山ランチ」のお昼を食べて、早速里山をご案内。
やさし森から、いのち森、ビオトープ、
そして2年前にサシバが巣をかけた田んぼの脇の松の木まで、
ぐるりと回ってきました。
先日は東先生に、
先生のサシバの研究が掲載されている
野鳥や自然保護の専門誌をいくつもいただき、
とても面白く読ませてもらいました。
ぜひ、この内容を生活学校でお聞きしたいです。
そして今日は、樋口先生に
最新著書「鳥・人・自然」をいただきました。
今からじっくり読みます。
先生方、遠いところ、ありがとうございました。
今年の生活学校はちょっとアカデミックに進化していきます。
by 里山おやじ
(スギ花粉さえ飛んでなければ。)
で、本日は、素晴らしい野鳥専門家先生方が来訪。
お一方は、今年度生活学校で、
初めてのサシバの学習会をお願いする
岩手大学の東淳樹先生。
以前から、サシバの研究者として
里山との関係を報告されていて、
2年前、サシバの営巣、子育て、巣立ち
を観察できた生活学校としては
いつか必ずお呼びしてお話を聞きたいと思っていた先生です。
東先生は2回目の来訪で、
今日は、鳥類学者(東大名誉教授)の樋口広芳先生と
元我孫子市鳥の博物館学芸員の時田さん
を連れてきてくださいました。
短い滞在時間でしたが、
「里山ランチ」のお昼を食べて、早速里山をご案内。
やさし森から、いのち森、ビオトープ、
そして2年前にサシバが巣をかけた田んぼの脇の松の木まで、
ぐるりと回ってきました。
先日は東先生に、
先生のサシバの研究が掲載されている
野鳥や自然保護の専門誌をいくつもいただき、
とても面白く読ませてもらいました。
ぜひ、この内容を生活学校でお聞きしたいです。
そして今日は、樋口先生に
最新著書「鳥・人・自然」をいただきました。
今からじっくり読みます。
先生方、遠いところ、ありがとうございました。
今年の生活学校はちょっとアカデミックに進化していきます。
by 里山おやじ
2013年12月02日
アトリ大群
一昨日の午前中…
数時間にわたって空一面に野鳥の大群が大移動するさまを目撃した。
他にも見た方はいらっしゃるのではないだろうか。
空一面というのは決して大げさな表現ではなく
例えば、天の川が延々と続くような数の大群だ。数千? 数万? 十数万?
その一部が近くの杉林に止まった。
一部と言っても、これも数百羽であろう数。
いったい何の鳥だろう。
そこで写真撮影してみると・・・
やっぱり、アトリだった。
「やっぱり」というのは、よく野鳥ガイドブックなどに
大群を作ると説明されている鳥だから。
でもそんな大群を実際に見たのは初めて。
これだけの数が一斉にというのは壮観。
ついつい「一体そんなにお揃いで、どこへなにしに?」
と、聞いてみたら、
「国会に、秘密保護法案の反対に」とでも答えそうな
そんな、迷いなのない、緊急事態の目的に向かってまっしぐら
という感じの、北から南に向かっての大移動だった。
by 里山おやじ
数時間にわたって空一面に野鳥の大群が大移動するさまを目撃した。
他にも見た方はいらっしゃるのではないだろうか。
空一面というのは決して大げさな表現ではなく
例えば、天の川が延々と続くような数の大群だ。数千? 数万? 十数万?
その一部が近くの杉林に止まった。
一部と言っても、これも数百羽であろう数。
いったい何の鳥だろう。
そこで写真撮影してみると・・・
やっぱり、アトリだった。
「やっぱり」というのは、よく野鳥ガイドブックなどに
大群を作ると説明されている鳥だから。
でもそんな大群を実際に見たのは初めて。
これだけの数が一斉にというのは壮観。
ついつい「一体そんなにお揃いで、どこへなにしに?」
と、聞いてみたら、
「国会に、秘密保護法案の反対に」とでも答えそうな
そんな、迷いなのない、緊急事態の目的に向かってまっしぐら
という感じの、北から南に向かっての大移動だった。
by 里山おやじ
2013年07月24日
サシバの巣・続報
さて、2羽のひなが孵ったサシバの巣の続報です。
その後、親鳥はせっせと餌を運び続けて
必死の子育てが続きました。
20〜30分に1度の割合で餌を運んできます。
でも、こうして巣にいるのはほんの10秒くらい。
あとはひたすら餌を取りに行くか、
たまにはこうして巣の近くの枝にとまって
ひな達の様子を見守っているようでした。
母鳥がべったりと巣の中にいて、
父鳥がエサを運んでくる
という子育てを勝手に想像していたのですが、
実際親鳥が巣にいることはほとんどありませんでした。
「木」の上に「立」って子どもを「見」守る
という漢字の組み合わせが「親」である。
と、聞いたことがありますが、まさにそんな子育てでした。
ひな達の成長の早さは驚くばかり。
1週間で、まるで大きさが変わっていきました。
7月15日に撮影した姿がこれ。
一瞬、親鳥かと間違えました。
20日にエコクラブの子供たちと観察したときが最後。
翌日には2羽とも巣立っていきました。
が、サシバの場合、
巣立つと言っても、
しばらくは巣の周辺をうろうろしていますので、
まだちょくちょく姿を見かけ、声を聴きます。
この2羽、厳しい自然界の中で、無事に育っていくのでしょうか。
また、来年もこの巣が使われることを願っています。
岩手県を北限とする渡り鳥・サシバは、
小さくとも猛禽類ですから環境の指標動物です。
県民、市民でもっともっと注目したい鳥ですね。
その後、親鳥はせっせと餌を運び続けて
必死の子育てが続きました。
20〜30分に1度の割合で餌を運んできます。
でも、こうして巣にいるのはほんの10秒くらい。
あとはひたすら餌を取りに行くか、
たまにはこうして巣の近くの枝にとまって
ひな達の様子を見守っているようでした。
母鳥がべったりと巣の中にいて、
父鳥がエサを運んでくる
という子育てを勝手に想像していたのですが、
実際親鳥が巣にいることはほとんどありませんでした。
「木」の上に「立」って子どもを「見」守る
という漢字の組み合わせが「親」である。
と、聞いたことがありますが、まさにそんな子育てでした。
ひな達の成長の早さは驚くばかり。
1週間で、まるで大きさが変わっていきました。
7月15日に撮影した姿がこれ。
一瞬、親鳥かと間違えました。
20日にエコクラブの子供たちと観察したときが最後。
翌日には2羽とも巣立っていきました。
が、サシバの場合、
巣立つと言っても、
しばらくは巣の周辺をうろうろしていますので、
まだちょくちょく姿を見かけ、声を聴きます。
この2羽、厳しい自然界の中で、無事に育っていくのでしょうか。
また、来年もこの巣が使われることを願っています。
岩手県を北限とする渡り鳥・サシバは、
小さくとも猛禽類ですから環境の指標動物です。
県民、市民でもっともっと注目したい鳥ですね。
2013年06月25日
サシバの巣・続報
2013年06月06日
サシバの巣
少雨による水不足に悩まされながら
よーやっと重労働の田植えが終わった。
いまどき、田植えを重労働とはあまり言わないだろうが
優命園の田植えは、昔ながらの尺角の手植えでございまして
それはそれは、手間がかかって腰が痛い
正真正銘の重労働。
今年も強力助っ人の落合君、由利ちゃんコンビ
が来てくれて本当に助かった。
それでも、たったの2反に4日もかかる“昭和の田植え”だ。
尺角の手植えにこだわるわけは、
この後始まる草とり作業に手押し車という道具を使うのだけれど
尺角(1尺、つまり30センチ間隔)に稲株を植えると、
この道具を縦横両方向に使えて、
除草効果が上がるということが一つ。
機械の田植え機による苗の植え傷みがないことが一つ。
ポット苗の田植え機が高価すぎることが一つ。
そして、1株1株丁寧に手植えすれば、
苗の活着が良好で植え終わった田を見ても気持ちいい。
重労働の見返りは、十分に感じられる。
さて、この田植の最中に、
そしてこの田んぼのほぼ真上に、
珍しいものを見つけてしまった。
サシバの巣である。
毎年春、この里山に渡ってくる小型のタカで
姿はよく見るけれど、巣は初めて。
写真中央、松の幹の前の黄色くて丸いのが目だ。
わかるかなぁ。
多分、もう卵を抱き始めている様子。
これは、このさき観察の楽しみが増えたぞ・・・・
いや、待て待て。
このあと、うちは合鴨の雛を田に放すんだぞ。
もしかして、サシバにエサをまくようなものか?
うわ、どうしよう。
いや、待て。
もしかして、ここがサシバのテリトリーになったってことは
毎年、合鴨を襲う最大の敵・ハヤブサを
サシバが追い出してくれるのではないか。
うーん、どうしよう。
と、考え始めたところに、かわいい合鴨君たち到着。
いまから10日ほど小屋で育ててから田に放すのだが、
(合鴨君は稲水ゾウムシを食べ尽くしてくれる)
どんな展開になることやら。
里山バトルは続く。
6月9日の観察会では、このサシバの巣も案内します。
スコープで静かに見てみましょう。
by 里山おやじ
よーやっと重労働の田植えが終わった。
いまどき、田植えを重労働とはあまり言わないだろうが
優命園の田植えは、昔ながらの尺角の手植えでございまして
それはそれは、手間がかかって腰が痛い
正真正銘の重労働。
今年も強力助っ人の落合君、由利ちゃんコンビ
が来てくれて本当に助かった。
それでも、たったの2反に4日もかかる“昭和の田植え”だ。
尺角の手植えにこだわるわけは、
この後始まる草とり作業に手押し車という道具を使うのだけれど
尺角(1尺、つまり30センチ間隔)に稲株を植えると、
この道具を縦横両方向に使えて、
除草効果が上がるということが一つ。
機械の田植え機による苗の植え傷みがないことが一つ。
ポット苗の田植え機が高価すぎることが一つ。
そして、1株1株丁寧に手植えすれば、
苗の活着が良好で植え終わった田を見ても気持ちいい。
重労働の見返りは、十分に感じられる。
さて、この田植の最中に、
そしてこの田んぼのほぼ真上に、
珍しいものを見つけてしまった。
サシバの巣である。
毎年春、この里山に渡ってくる小型のタカで
姿はよく見るけれど、巣は初めて。
写真中央、松の幹の前の黄色くて丸いのが目だ。
わかるかなぁ。
多分、もう卵を抱き始めている様子。
これは、このさき観察の楽しみが増えたぞ・・・・
いや、待て待て。
このあと、うちは合鴨の雛を田に放すんだぞ。
もしかして、サシバにエサをまくようなものか?
うわ、どうしよう。
いや、待て。
もしかして、ここがサシバのテリトリーになったってことは
毎年、合鴨を襲う最大の敵・ハヤブサを
サシバが追い出してくれるのではないか。
うーん、どうしよう。
と、考え始めたところに、かわいい合鴨君たち到着。
いまから10日ほど小屋で育ててから田に放すのだが、
(合鴨君は稲水ゾウムシを食べ尽くしてくれる)
どんな展開になることやら。
里山バトルは続く。
6月9日の観察会では、このサシバの巣も案内します。
スコープで静かに見てみましょう。
by 里山おやじ
2013年02月19日
里山野鳥物語(5)
食物連鎖の頂点に立つ猛禽類(もうきん)は、
その地域の自然の豊かさを表す指標動物と言われるので、
普段から気にかけている。
モズ、トビ、サシバ、ハヤブサ、フクロウ、ハイタカなどが
ここの里山の常連客で、たまにオオタカやミサゴもやって来る。
中には、合鴨や鶏を襲う“招かざる客”もいるが、
頂点にふさわしいその雄々しい姿は、
やはり、見ているだけで豊かな気持ちになる。
モズやトビ以外は、
なかなか撮影のチャンスに巡り合えない中で、
里山次男が撮ってきた唯一の猛禽ショットは、これ。
毎年、春に必ず渡ってくるサシバ。
残念ながら、他の猛禽同様、
個体数はどんどん減少しているという。
岩手県は、サシバが渡ってくる北限の地なので
岩手県にはこの鳥を研究している研究者もいる。
いくつかの研究によると、
田んぼと森林の境界線が豊富な地域を選んで
渡って来るそうで、まさに里山のシンボル的な猛禽だ。
蛇、カエル、バッタ、時には小鳥を狩るため
そうした小動物の多い環境を人の手が作り出す里山は、
サシバにとって重要なわけだ。
(ただ、地域によっては、これらの小動物を通して
猛烈にセシウム汚染を受ける可能性が高い。
被ばくによる繁殖への影響は最も心配される。)
子育て期に狩りをするオスは、
1日の大半を止まり木上で獲物探しに費やすため、
人が伐採や草刈りや耕起で手をかけて見通しが開けた場所は、
餌も探しやすいことだろう。
(だから写真も撮りやすく、二男はそこを撮ったのだ。)
ところで、写真をよく見ると、
サシバが止まっているのは、
フォークという刈った草を集める道具の上。
里山でのサシバと人の共生関係を
見事にこの1枚で表現した何とも偶然のベストショットになった。
いつまでも、サシバの来る里山であり続けたい、と願う。
by 里山おやじ
その地域の自然の豊かさを表す指標動物と言われるので、
普段から気にかけている。
モズ、トビ、サシバ、ハヤブサ、フクロウ、ハイタカなどが
ここの里山の常連客で、たまにオオタカやミサゴもやって来る。
中には、合鴨や鶏を襲う“招かざる客”もいるが、
頂点にふさわしいその雄々しい姿は、
やはり、見ているだけで豊かな気持ちになる。
モズやトビ以外は、
なかなか撮影のチャンスに巡り合えない中で、
里山次男が撮ってきた唯一の猛禽ショットは、これ。
毎年、春に必ず渡ってくるサシバ。
残念ながら、他の猛禽同様、
個体数はどんどん減少しているという。
岩手県は、サシバが渡ってくる北限の地なので
岩手県にはこの鳥を研究している研究者もいる。
いくつかの研究によると、
田んぼと森林の境界線が豊富な地域を選んで
渡って来るそうで、まさに里山のシンボル的な猛禽だ。
蛇、カエル、バッタ、時には小鳥を狩るため
そうした小動物の多い環境を人の手が作り出す里山は、
サシバにとって重要なわけだ。
(ただ、地域によっては、これらの小動物を通して
猛烈にセシウム汚染を受ける可能性が高い。
被ばくによる繁殖への影響は最も心配される。)
子育て期に狩りをするオスは、
1日の大半を止まり木上で獲物探しに費やすため、
人が伐採や草刈りや耕起で手をかけて見通しが開けた場所は、
餌も探しやすいことだろう。
(だから写真も撮りやすく、二男はそこを撮ったのだ。)
ところで、写真をよく見ると、
サシバが止まっているのは、
フォークという刈った草を集める道具の上。
里山でのサシバと人の共生関係を
見事にこの1枚で表現した何とも偶然のベストショットになった。
いつまでも、サシバの来る里山であり続けたい、と願う。
by 里山おやじ
2013年02月04日
里山野鳥物語(4)
節分・・・豆まき・・・を目前に測定した大豆から
セシウムが11ベクレル検出された。
事故1年後以降は、シイタケ以外すべて不検出で、
かなり安心していたところだったので驚いた。
あちこちで大豆からは検出が相次いでいるから
もしかして、とは思っていたが…。
大豆は、種まき直後、よく野鳥に食べられる。
ハトと並ぶ主犯格の一人?が、この美しきキジだ。
キジ対策は、
麦の畝間に大豆を播いたり、
播種後すぐにキラキラテープを張り巡らせたり、
種まきを辞めて、ペーパーポットで苗を作ったり、
知恵比べは毎年続いている。
害鳥であるし、
敵対関係だとも思う。
けれど、知恵比べは、ちょっと楽しくもあり、
同じ里山に暮らし、同じ大豆を食料とする仲間意識もある。
メスは、毎年大豆畑の周りで巣作りをして雛をかえす。
抱卵が始まると、エンジンが唸りをたてる草刈機
で近づいても、卵から離れない。
メスがカラフルでないのは、卵を抱く期間
草陰で身を隠して、卵を守るためだと知った。
だから、気づかずに
危うく切りつけてしまいそうになったことも多々ある。
そんな場面に出くわすと、子を思う母の気持ちは、
人も鳥も同じだな、と、
また仲間意識が生まれたりする。
大豆を食べる敵なので、増えては困るのだが、
道路で弱っていた雛を保護したこともあり・・・
うまく説明できないのだが、
こんなふうに、里山で暮らしていると、
他のいきものに対して、敵対意識と仲間意識が入り乱れて、
複雑な関係がたくさん生まれたりする。
そして、原発事故以来、
害虫、害鳥、害獣を問わず、
今まで敵対意識が強かった生き物たちと、
同じヒバクシャなんだ・・・という悲しい仲間意識が
芽生えてもいる。
by 里山おやじ
セシウムが11ベクレル検出された。
事故1年後以降は、シイタケ以外すべて不検出で、
かなり安心していたところだったので驚いた。
あちこちで大豆からは検出が相次いでいるから
もしかして、とは思っていたが…。
大豆は、種まき直後、よく野鳥に食べられる。
ハトと並ぶ主犯格の一人?が、この美しきキジだ。
キジ対策は、
麦の畝間に大豆を播いたり、
播種後すぐにキラキラテープを張り巡らせたり、
種まきを辞めて、ペーパーポットで苗を作ったり、
知恵比べは毎年続いている。
害鳥であるし、
敵対関係だとも思う。
けれど、知恵比べは、ちょっと楽しくもあり、
同じ里山に暮らし、同じ大豆を食料とする仲間意識もある。
メスは、毎年大豆畑の周りで巣作りをして雛をかえす。
抱卵が始まると、エンジンが唸りをたてる草刈機
で近づいても、卵から離れない。
メスがカラフルでないのは、卵を抱く期間
草陰で身を隠して、卵を守るためだと知った。
だから、気づかずに
危うく切りつけてしまいそうになったことも多々ある。
そんな場面に出くわすと、子を思う母の気持ちは、
人も鳥も同じだな、と、
また仲間意識が生まれたりする。
大豆を食べる敵なので、増えては困るのだが、
道路で弱っていた雛を保護したこともあり・・・
うまく説明できないのだが、
こんなふうに、里山で暮らしていると、
他のいきものに対して、敵対意識と仲間意識が入り乱れて、
複雑な関係がたくさん生まれたりする。
そして、原発事故以来、
害虫、害鳥、害獣を問わず、
今まで敵対意識が強かった生き物たちと、
同じヒバクシャなんだ・・・という悲しい仲間意識が
芽生えてもいる。
by 里山おやじ
2013年01月28日
里山野鳥物語(3)
秋、里山の樹木は、木の実を成らせるものがいくつもある。
木の実はそのまま落ちて、
その木のそばで発芽することもある。
木の実は種子なので、その木とは親子関係だ。
で、種子にとって、親の木のそばというのは、
じつはとても生きづらい。
親は、日陰を作ってしまうし、
根も張り巡らされているし、
親の木の葉が好物な害虫も多い環境だ。
親の木はそれを知ってか、
なるべくわが子(木の実)を自分から遠ざけて散布したいのだが、
いかんせん植物は自分で動けないので、
様々な工夫がいる。
その一つが、鳥に頼んで種子を散布してもらう方法だ。
いやいや、頼むといってもただではなく、「散布代金」は、
種子の周りのおいしい実だったり、種子そのものだったり。
持ちつ持たれつの共生関係というわけだ。
たとえば、このヒヨドリは、あらゆる木の実をたべるけど、
この里山で特に目立つのは、桑の実を食べまくっていること。
糞の中に混ざっていた種子が発芽して、
いのち森すそ野は、見事に山桑が1列に並んでいる。
前回、エゴノキの種子散布者として紹介した
ヤマガラの仲間のシジュウカラ。
こちらは松の実をよくほじくっている。
ダミ声で鳴くカケスが運ぶのは、コナラのどんぐり。
喉の袋に8つも入るらしい。
冬用に土の中に埋めるのがカケスの習性で、
掘り忘れのどんぐりが発芽する。
秋に地表に落ちただけでもどんぐりは発芽しているけど、
冬に凍死しているものがほとんどだ。
カケスに埋めてもらったどんぐりの生存率は
ぐっと高まるというからまさに共生関係と言える。
光合成が「できる」けど、動くことが「できない」植物と、
光合成は「できない」けど、動くことが「できる」動物の、
お互いの持っている小さな「できる」を生かし合った
里山自然界の共生関係は、
人間社会も学ぶこと大だ。と、いつも感じる。
by 里山おやじ
木の実はそのまま落ちて、
その木のそばで発芽することもある。
木の実は種子なので、その木とは親子関係だ。
で、種子にとって、親の木のそばというのは、
じつはとても生きづらい。
親は、日陰を作ってしまうし、
根も張り巡らされているし、
親の木の葉が好物な害虫も多い環境だ。
親の木はそれを知ってか、
なるべくわが子(木の実)を自分から遠ざけて散布したいのだが、
いかんせん植物は自分で動けないので、
様々な工夫がいる。
その一つが、鳥に頼んで種子を散布してもらう方法だ。
いやいや、頼むといってもただではなく、「散布代金」は、
種子の周りのおいしい実だったり、種子そのものだったり。
持ちつ持たれつの共生関係というわけだ。
たとえば、このヒヨドリは、あらゆる木の実をたべるけど、
この里山で特に目立つのは、桑の実を食べまくっていること。
糞の中に混ざっていた種子が発芽して、
いのち森すそ野は、見事に山桑が1列に並んでいる。
前回、エゴノキの種子散布者として紹介した
ヤマガラの仲間のシジュウカラ。
こちらは松の実をよくほじくっている。
ダミ声で鳴くカケスが運ぶのは、コナラのどんぐり。
喉の袋に8つも入るらしい。
冬用に土の中に埋めるのがカケスの習性で、
掘り忘れのどんぐりが発芽する。
秋に地表に落ちただけでもどんぐりは発芽しているけど、
冬に凍死しているものがほとんどだ。
カケスに埋めてもらったどんぐりの生存率は
ぐっと高まるというからまさに共生関係と言える。
光合成が「できる」けど、動くことが「できない」植物と、
光合成は「できない」けど、動くことが「できる」動物の、
お互いの持っている小さな「できる」を生かし合った
里山自然界の共生関係は、
人間社会も学ぶこと大だ。と、いつも感じる。
by 里山おやじ